JP2014060146A - 多孔性ポリオレフィンフィルムおよび蓄電デバイス - Google Patents

多孔性ポリオレフィンフィルムおよび蓄電デバイス Download PDF

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Abstract

【課題】シャットダウン特性を持ち、かつ、耐熱性に優れた多孔性ポリオレフィンフィルム製の蓄電デバイス用セパレータを提供する。
【解決手段】融点が155℃以上であって、熱処理前の透気抵抗が400秒/100ml以下であり、140℃で1分間熱処理後の透気抵抗が1,000秒/100ml以上である多孔性ポリオレフィンフィルムにおいて、多孔性ポリオレフィンフィルムの全質量を100質量%としたとき、ポリエチレン含有量が10質量%以下で、融点が130℃〜160℃である低融点ポリプロピレンの含有量が3質量%以上とする。
【選択図】なし

Description

本発明は、シャットダウン特性を持ち、かつ、耐熱性に優れた多孔性ポリオレフィンフィルム、及び該多孔性ポリオレフィンフィルムを蓄電デバイス用セパレータとして用いた蓄電デバイスに関する。
多孔性ポリオレフィンフィルムは、電池や電解コンデンサーのセパレータや各種分離膜、衣料、医療用途における透湿防水膜、フラットパネルディスプレイの反射板や感熱転写記録シートなど多岐に亘る用途への展開が検討されている。中でも、ノート型パーソナルコンピュータや携帯電話、デジタルカメラなどのモバイル機器や、電気自動車、ハイブリッド車などに広く使用されているリチウムイオン電池用のセパレータとして、多孔性ポリオレフィンフィルムは好適である。
近年では、国際的な地球環境保護活動の高まりを背景とした省エネルギー化や省資源化の観点から、特に自動車業界において、電気自動車(PEV)やハイブリッド自動車(HEV)の導入検討が積極的に行われており、そのモーター駆動電源や補助電源として燃料電池や大型リチウムイオン二次電池の開発が活発に行われている。リチウムイオン二次電池には、正負極間の接触を防ぎ、イオンを透過させる機能を発現させる目的で、セパレータと呼ばれる、電解液を保持した多孔膜が正負極間に設けられ、さらに長期間にわたる信頼性や安全性の確保の観点から、このセパレータには電解液の含浸性や保持性が求められている。また一方で、正負電極の活物質の形状は必ずしも平滑ではなく、活物質がセパレータを突き破り電極間が短絡してしまう可能性があり、短絡防止の観点から適度な機械強度が求められている。さらに高容量、高出力のリチウムイオン二次電池などにおいては、電池内に内在するエネルギー量が大きくなるために、短絡や過充電などの異常時においては従来以上に過剰な発熱に至る可能性が大きい。そのため電池には異常時でも安全を確保するための手段が数種施されており、その中の一つにセパレータのシャットダウン特性がある。シャットダウン特性とは、なんらかの要因で電池の温度が上昇した際に、セパレータの孔が閉塞し、イオンの移動を阻止することにより電池反応を停止させ、過剰な発熱を抑制する機能である。
シャットダウンを要求される用途のリチウムイオン二次電池用セパレータとして、例えば特許文献1に示すように樹脂自体の融点が低いポリエチレン樹脂を主体としたシャットダウン特性に優れる多孔性ポリオレフィンフィルムが提案されている。しかしながら、高いエネルギーを有する電池では、異常発熱時の発熱量が大きく急激に高温に至る場合や、シャットダウン後の放熱に時間を要し長時間高温状態が維持される場合があり、セパレータの強度不足、熱による収縮などで破膜して正負極間が短絡し、さらなる発熱を引き起こす問題があった。
前記問題を改善する目的でシャットダウン性と耐熱性および高い機械特性を有するセパレータを提供するため、例えば特許文献2、3および4では、ポリエチレン系を多く含む層を、機械的強度に優れるポリプロピレン系樹脂を多く含む層にて熱圧縮法もしくは共押出法にて挟み込んだ積層多孔性ポリオレフィンフィルムが提案されている。しかしながら、実質的にポリエチレンを多く含む多孔性ポリオレフィンフィルムでは低温にてシャットダウン特性が付与できてもシャットダウン温度以上の熱では十分な耐熱性が発揮せずに収縮し短絡を引き起こすため高温時の耐熱性不足の問題があった。特許文献5では前記のようにポリエチレン系を多く含む層を、機械的強度に優れるポリプロピレン系樹脂を多く含む層で挟むことなく、ポリプロピレンとポリエチレンの混合系樹脂でシャットダウン特性を付与する提案がされているが、ポリエチレン系樹脂を多く含む必要があるため、高温では十分な耐熱性が発揮せずに収縮し短絡を引き起こすため高温時の耐熱性不足の問題があった。
他方、ポリエチレンの耐熱性不足を補う目的で特許文献6および7では低融点のポリプロピレン樹脂と高融点のポリプロピレン樹脂をブレンドする検討もなされているが特許文献6についてはシャットダウン特性を有するが耐熱性および透気性が不十分であったり、また特許文献7では高い透気性を有し耐熱性にも優れるがシャットダウン特性が不十分になるなど、高透気性を有しながらシャットダウン特性、耐熱性を両立することは困難であった。
特開平10−298325号公報 特許第4704513号公報 特許第4120116号公報 特開2008−307890号公報 特開2009−26499号公報 特開2009−45775号公報 特開2012−7156号公報
本発明の課題は、上記した問題点を解決することにある。すなわち、電池用セパレータとして使用したとき、高透気性を有しながらシャットダウン特性を持ち、かつ、耐熱性に優れた多孔性ポリオレフィンフィルムを提供することにある。
上記した課題は、融点が155℃以上であって、熱処理前の透気抵抗が400秒/100ml以下であり、140℃で1分間熱処理後の透気抵抗が1,000秒/100ml以上である多孔性ポリオレフィンフィルムによって達成可能である。
本発明の多孔性ポリオレフィンフィルムは、高透気性を有しながらシャットダウン特性を持ち、かつ、耐熱性に優れることから、蓄電デバイス用セパレータに好適な優れた安全性を有するセパレータとして好適に使用することができる。
本発明の多孔性ポリオレフィンフィルムは、融点が155℃以上である。より好ましくは160℃以上、さらに好ましくは170℃以上である。融点が155℃未満では、多孔性ポリオレフィンフィルムの熱収縮率が大きく耐熱性が不十分となり、例えば電池セパレータとして用いた場合、急激に高温に至る異常時やシャットダウン後の放熱に時間を要し長時間高温状態が維持されることがある。また微短絡により電池内部の温度が上昇したときなどに、セパレータが大きく収縮し短絡に繋がる場合がある。ここで多孔性ポリオレフィンフィルムの融点とは、DSC(示差走査型熱量計)のピーク温度を示す。ピークが2個以上ある場合は低い方のピーク温度である。融点を155℃以上とするには、フィルム中のポリエチレン成分量や使用するポリオレフィン樹脂の特性やフィルムの積層構成を後述する範囲内とすることにより制御可能である。
本発明の多孔性ポリオレフィンフィルムは、熱処理前の透気抵抗が400秒/100ml以下である。より好ましくは350秒/100ml以下、更に好ましくは300秒/100ml以下である。熱処理前の透気抵抗が400秒/100mlを超えると、蓄電デバイス用のセパレータとして用いたときに、出力特性が低下する場合がある。熱処理前の透気抵抗を400秒/100ml以下とするには、後述するポリエチレン成分や低融点ポリプロピレンの添加量、長手方向および幅方向の延伸倍率と温度および速度、さらには熱処理温度と弛緩処理を後述する範囲内とすることにより制御可能である。下限は特に限定しないが50秒/100mlであればよい。50秒/100mlより低い場合にはフィルムの機械強度が低下したり、セパレータに用いたときサイクル特性などの電気特性が低下する場合がある。
本発明の多孔性ポリオレフィンフィルムは、140℃で1分間熱処理後の透気抵抗が1,000秒/100ml以上である。より好ましくは1,200秒/100ml以上、更に好ましくは、1,500秒/100ml以上である。140℃で1分間熱処理後の透気抵抗が1,000秒/100ml未満であると、シャットダウン特性が不十分であり、電池を使用中に環境温度が上昇したり、微短絡により電池内部の温度が上昇したときなどに、孔が閉塞せず電池の温度が更に上昇する場合がある。140℃で1分間熱処理後の透気抵抗を1,000秒/100ml以上とするには、後述する低融点ポリプロピレンの添加量、積層厚み構成を後述する範囲内とすることにより制御可能である。
本発明の多孔性ポリオレフィンフィルムは、上記した140℃で1分間熱処理後の透気抵抗が同熱処理前の透気抵抗の4倍以上であることが好ましい。より好ましくは5倍以上、更に好ましくは6倍以上である。熱処理後の透気抵抗が熱処理前の透気抵抗の4倍未満であると、シャットダウン特性が不十分であり、電池を使用中に環境温度が上昇したり、微短絡により電池内部の温度が上昇したときなどに、孔が閉塞せず電池の温度が更に上昇する場合がある。熱処理後の透気抵抗を熱処理前の透気抵抗の4倍以上とするには、後述する低融点ポリプロピレンの添加量、積層厚み構成を後述する範囲内とすることにより制御可能である。
本発明の多孔性ポリオレフィンフィルムは、フィルムの両表面を貫通し、透気性を有する孔(以下、貫通孔という)を有している。多孔性ポリオレフィンフィルムの製造方法としては、抽出法や乾式法などを挙げることができるが、抽出に溶媒を使用しないため環境負荷が低減できることや、製造コストが低減できる観点から、乾式法により製造することが好ましい。さらには、長期信頼性に優れたフィルムを得やすいことから、二軸延伸によりフィルム中に形成することが好ましい。具体的な方法としては、β晶法を挙げることができる。
β晶法を用いてフィルムに貫通孔を形成せしめるためには、ポリオレフィン樹脂組成物のβ晶形成能が40〜95%であることが好ましい。β晶形成能が40%未満ではフィルム製造時にβ晶量が少ないためにα晶への転移を利用してフィルム中に形成される空隙数が少なくなり、その結果、透過性の低いフィルムしか得られない場合がある。一方、β晶形成能が95%を超えるようにするのは、後述するβ晶核剤を多量に添加したり、使用するポリオレフィン樹脂の立体規則性を極めて高くしたりする必要があり、製膜安定性が低下するなど工業的な実用価値が低い。工業的にはβ晶形成能は60〜90%が好ましく、65〜85%が特に好ましい。
β晶形成能を40〜95%に制御するためには、アイソタクチックインデックスの高いポリオレフィン樹脂を使用したり、β晶核剤と呼ばれる、ポリオレフィン樹脂中に添加することでβ晶を選択的に形成させる結晶化核剤を添加剤として用いたりすることが好ましい。
β晶核剤としては、たとえば、1,2−ヒドロキシステアリン酸カルシウム、コハク酸マグネシウムなどのカルボン酸のアルカリあるいはアルカリ土類金属塩、N,N’−ジシクロヘキシル−2,6−ナフタレンジカルボキシアミドに代表されるアミド系化合物、3,9−ビス[4−(N−シクロヘキシルカルバモイル)フェニル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカンなどのテトラオキサスピロ化合物、ベンゼンスルホン酸ナトリウム、ナフタレンスルホン酸ナトリウムなどの芳香族スルホン酸化合物、イミドカルボン酸誘導体、フタロシアンニン系顔料、キナクリドン系顔料を好ましく挙げることができるが、特に特開平5−310665号公報に開示されているアミド系化合物を好ましく用いることができる。β晶核剤の含有量としては、ポリオレフィン組成物全体を基準とした場合に、0.05〜0.5質量%であることが好ましく、0.1〜0.3質量%であればより好ましい。0.05質量%未満では、β晶の形成が不十分となり、多孔性ポリオレフィンフィルムの透気性が低下する場合がある。0.5質量%を超えると、粗大ボイドを形成し、長期信頼性が低下する場合がある。
本発明で用いるポリプロピレン樹脂には、メルトフローレート(以下、MFRと表記する)が2〜30g/10分のアイソタクチックポリプロピレン樹脂を用いることが押出成形性及び孔の均一な形成の観点から好ましい。ここで、MFRとはJIS K 7210(1995)で規定されている樹脂の溶融粘度を示す指標であり、ポリオレフィン樹脂の特徴を示す物性値である。本発明においては230℃、2.16kgで測定した値を指す。本発明においてはポリプロピレン樹脂のアイソタクチックインデックスは90〜99.9%の範囲であることが好ましい。より好ましくは95〜99%である。アイソタクチックインデックスが90%未満の場合、樹脂の結晶性が低くなってしまい、製膜性が低下したり、フィルムの強度が劣る場合がある。
本発明の多孔性ポリオレフィンフィルム、フィルム全体を100質量%としたとき、低融点ポリプロピレンを3質量%以上含むことが好ましい。フィルム全体中の含有量が3質量%未満ではシャットダウン特性が付与できない場合がある。シャットダウン特性を付与する観点からは5質量%以上がより好ましく、10質量%以上がさらに好ましい。本発明における低融点ポリプロピレンの融点は130℃〜160℃であることが好ましく、130〜155℃がより好ましく、130〜150℃がさらに好ましい。ここで低融点ポリプロピレンとは、ポリプロピレンにエチレン成分やブテン、ヘキセン、オクテンなどのα−オレフィン成分をランダム共重合せしめたポリプロピレン樹脂があげられ、プロピレンと共重合されるコモノマーとしては、エチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、4−メチル−1−ブテンなどが例示され、具体的にはプロピレン−エチレンランダム共重合体、プロピレン−ブテン1ランダム共重合体、プロピレン−エチレン−ブテン−1ランダム共重合体等が挙げられる。またポリプロピレン樹脂製造時の触媒、例えばメタロセン系触媒を用いた樹脂などが挙げられる。本発明ではシャットダウン特性を付与する観点からα−オレフィン成分は10質量%以下、より好ましくは5質量%以下の範囲で共重合した樹脂を好ましく用いることができる。
また本発明の多孔性ポリオレフィンフィルムは、優れた耐熱性とシャットダウン特性を具備する観点から、共押出により積層された少なくとも2層以上の多孔質層を有していることが好ましい。積層数としては、2層積層でも3層積層でも、また、それ以上の積層数でもいずれでも構わない。積層の方法としては、ラミネートによる多孔性フィルム同士を貼り合わせる方法、共押出によるフィードブロック方式やマルチマニホールド方式、ラミネートによる多孔性フィルム同士を貼り合わせる方法などがあげられるが、生産効率およびコストの観点から共押出による積層方法が好ましい。積層構成としては、耐熱性および低温でのシャットダウン性を具備する目的で、上記した低融点ポリプロピレンを20質量%以上含む層を少なくとも1層含むことが好ましく、より好ましくは25質量%以上、さらに好ましくは30質量%以上含む層を有しているとよい。低融点ポリプロピレンが20質量%未満の層では低温でのシャットダウン性が付与できない場合がある。ここで特に限定されないが、上限は50質量%であればよく、50質量%を超えて含む層の場合はシャットダウン性は付与できるが耐熱性が損なわれる場合がある。
ここで本発明の多孔性ポリオレフィンフィルムは優れた耐熱性とシャットダウン特性を具備する観点から、低融点ポリプロピレンを含有する層の合計厚みは低融点ポリプロピレンを含まない層に対して10〜60%であることが好ましい。低融点ポリプロピレンを含有する層の合計厚みが10%未満である場合には十分なシャットダウン特性を得られにくい場合があり、他方60%を超える場合は熱収縮率が高くなり耐熱性が不足する場合がある。低融点ポリプロピレンを含有する層の合計厚みは低融点ポリプロピレンを含まない層に対して15〜55%がより好ましく、20〜50%がさらに好ましい。
本発明で用いるポリプロピレン樹脂は、二軸延伸時の空隙形成効率の向上や、孔の均一な開孔、孔径が拡大することによる透気性向上の観点から、ポリプロピレン90〜99質量%とエチレン・α−オレフィン共重合体10〜1質量%の質量比率とした混合物としてもよい。ここで、エチレン・α−オレフィン共重合体としては直鎖状低密度ポリエチレンや超低密度ポリエチレンを挙げることができ、中でも、オクテン−1を共重合した、融点が60〜90℃の共重合ポリエチレン樹脂(共重合PE樹脂)を好ましく用いることができる。この共重合ポリエチレンは市販されている樹脂、たとえば、ダウ・ケミカル製“Engage(エンゲージ)(登録商標)”(タイプ名:8411、8452、8100など)を挙げることができる。
ここで本発明の多孔性ポリオレフィンフィルムは、多孔性ポリオレフィンフィルム全体を100質量%としたときに、ポリエチレン含有量が10質量%以下であることが好ましい。ポリエチレン含有量が10質量%を超えると耐熱性が損なわれる場合がある。ポリエチレンの含有量は、8質量%以下がより好ましく、5質量%以下がさらに好ましい。また本発明においては第3成分として、エチレン・α−オレフィン系共重合体のドメインを微細かつ均一に分散させるための分散剤を用い、後述する製膜条件を採用すると、孔構造が均一化し、140℃で1分間熱処理後の透気抵抗と同熱処理前の透気抵抗との比が大きくなりでシャットダウン特性が向上できるため好ましい。上記の分散剤としては、エチレン・α−オレフィン系共重合体のポリプロピレン樹脂への分散性を高めることができるものであればよく、ポリプロピレン樹脂との相溶性が高いセグメント(例えばポリプロピレンセグメント、エチレンブチレン共重合セグメント)とエチレン・α−オレフィン系共重合体との相溶性が高いセグメント(ポリエチレンセグメントなど)とを各々有するブロック共重合体を分散剤としてポリプロピレン組成物に配合することが好ましく、市販されている樹脂、例えばJSR社製オレフィン結晶・エチレンブチレン・オレフィン結晶ブロックポリマー(以下、CEBCと表記する)“DYNARON”(ダイナロン)(登録商標)(タイプ名:6100P、6200Pなど)や、ダウ・ケミカル社製オレフィンブロック共重合体“INFUSE OBC”(登録商標)を挙げることができる。分散剤の添加量としてはエチレン・α−オレフィン系共重合体100質量部に対して1〜50質量部であることが好ましく、5〜33質量部であることがより好ましい。また、エチレン・α−オレフィン系共重合体のポリプロピレン樹脂への分散性向上の観点および孔構造均一化によるシャットダウン特性向上の観点から、分散剤の融点は、エチレン・α−オレフィン系共重合体(B)の融点より、0〜60℃高いことが好ましく、15〜30℃高いことがより好ましい。
本発明の多孔性ポリオレフィンフィルムを形成するポリオレフィン組成物には、本発明の効果を損なわない範囲において、酸化防止剤、熱安定剤、帯電防止剤や無機あるいは有機粒子からなる滑剤、さらにはブロッキング防止剤や充填剤、非相溶性ポリマーなどの各種添加剤を含有させてもよい。特に、ポリオレフィン樹脂の熱履歴による酸化劣化を抑制する目的で、酸化防止剤を添加することが好ましいが、ポリオレフィン組成物100質量%に対して酸化防止剤添加量は2質量%以下とすることが好ましく、より好ましくは1質量%以下、更に好ましくは0.5質量%以下である。
本発明の多孔性ポリオレフィンフィルムを形成するポリオレフィン組成物には、本発明の効果を損なわない範囲において、無機あるいは有機粒子からなる孔形成助剤を含有させてもよい。含有量はポリオレフィン組成物100質量%に対して5質量%以下とすることが好ましく、より好ましくは2質量%以下、更に好ましくは1質量%以下である。5質量%を超えると、セパレータとして使用したとき、脱落した粒子が電池性能を低下させたり、原料コストが高くなり、生産性が低下する場合がある。
本発明の多孔性ポリオレフィンフィルムは、130℃、1時間処理後のフィルム長手方向における熱収縮率が5%以下であることが好ましい。熱収縮率が5%を超える場合は蓄電デバイス用セパレータとして使用した際に、発生した熱によって容易に収縮し短絡を引き起こす場合がある。熱収縮率は小さいほど好ましいが、実質的には0.01%程度が下限であり、蓄電デバイス用セパレータとして安全性向上の観点から130℃、1時間処理後のフィルム長手方向における熱収縮率はいずれも0.01%以上3%以下が好ましく、0.01%以上2.5%以下がより好ましく、さらに好ましくは0.01%以上2%以下である。熱収縮率を好ましい範囲とするには後述する延伸、熱処理、弛緩率を適宜調整することで可能である。
本発明の多孔性ポリオレフィンフィルムは、フィルム総厚みが5〜300μmであることが好ましく、蓄電デバイス用セパレータ用途では10〜30μmであることが好ましい。総厚みが10μm未満では使用時にフィルムが破断する場合があり、30μmを超えると透気性が低下してセパレータとして用いたとき、出力特性が低下したり、蓄電デバイス内に占める多孔性フィルムの体積割合が高くなりすぎてしまい、高いエネルギー密度を得ることができなくなる。フィルム総厚みは12〜25μmであればより好ましく、15〜20μmであればなお好ましい。なお、5μm未満では強度が低すぎて製膜が困難な場合があり、300μmを超えると透気性が低下する場合がある。
本発明の多孔性ポリオレフィンフィルムは、空孔率が35〜85%であることが好ましい。空孔率が35%未満では、特に高出力電池用のセパレータとして使用したときに電気抵抗が大きくなる場合がある。一方、空孔率が85%を超えると、厚み当たりの樹脂量が低くなるため、機械強度が低くなりすぎてしまい、製膜時に破れたり、後加工などのコーティング搬送工程でシワが入る場合がある。フィルムの空孔率は38〜75%であればより好ましく、40〜70%であれば特に好ましい。
以下に本発明の多孔性ポリオレフィンフィルムの製造方法を具体的な一例をもとに説明する。なお、本発明のフィルムの製造方法はこれに限定されるものではない。また、本願においては、フィルムの製膜する方向に平行な方向を、製膜方向あるいは長手方向あるいはMDと称し、フィルム面内で製膜方向に直交する方向を幅方向、横方向あるいはTDと称する。
ポリプロピレン樹脂(A)として、MFR8g/10分の市販のホモポリプロピレン樹脂99.5質量%、β晶核剤としてN,N’−ジシクロヘキシル−2,6−ナフタレンジカルボキシアミド0.3質量%、酸化防止剤0.2質量%がこの比率で混合されるように計量ホッパーから二軸押出機に原料供給して溶融混練を行い、ストランド状にダイから吐出して、25℃の水槽にて冷却固化し、チップ状にカットしてポリプロピレン組成物原料(a)を準備する。この際、溶融温度は270〜300℃とすることが好ましい。低融点ポリプロピレン樹脂(B)として、MFR30g/10分の市販のα−オレフィンランダム共重合ポリプロピレン樹脂99.5質量%とβ晶核剤としてN,N’−ジシクロヘキシル−2,6−ナフタレンジカルボキシアミド0.3質量%、酸化防止剤0.2質量%がこの比率で混合されるように計量ホッパーから二軸押出機に原料供給して溶融混練を行い、ストランド状にダイから吐出して、25℃の水槽にて冷却固化し、チップ状にカットしてポリプロピレン組成物原料(b)を準備する。
次いで積層フィルムを作製するための2台の押出機(押出機1、押出機2)、マニホールドまたは合流ブロックを用いて、積層フィルムを作成する。上記により得られた、ポリプロピレン組成物原料(a)とポリプロピレン組成物原料(b)を所望濃度になるようブレンドし、200〜230℃の温度に加熱された押出機1(A層)に投入する。一方、ポリプロピレン原料(a)を200〜230℃の温度に加熱された押出機2(B層)に投入する。その後、押出機1、2を経た溶融ポリマーをフィルターにて、異物や変質ポリマーなどを除去した後、合流ブロック用いて合流させて3層積層(A|B|A積層)し、その溶融積層ポリマーをTダイよりキャストドラム上に吐出し、未延伸の積層キャストシートを得る。キャストドラムは、表面温度が105〜130℃であることが、キャストシートのβ晶分率を高く制御する観点から好ましい。この際、特にシートの端部の成形が、後の延伸性に影響するので、端部にスポットエアーを吹き付けてドラムに密着させることが好ましい。また、シート全体のドラム上への密着状態から、必要に応じて全面にエアナイフを用いて空気を吹き付けてもよい。
次に、得られた積層キャストシートを二軸配向させ、フィルム中に空孔を形成する。二軸配向させる方法としては、フィルム長手方向に延伸後幅方向に延伸、あるいは幅方向に延伸後長手方向に延伸する逐次二軸延伸法、またはフィルムの長手方向と幅方向をほぼ同時に延伸していく同時二軸延伸法などを用いることができるが、優れた透気性を発現させやすい点で逐次二軸延伸法を採用することが好ましく、特に、長手方向に延伸後、幅方向に延伸することが好ましい。
具体的な延伸条件としては、まず、キャストシートを長手方向に延伸する温度に制御する。温度制御の方法は、温度制御された回転ロールを用いる方法、熱風オーブンを使用する方法などを採用することができる。長手方向の延伸温度としては、90〜140℃であることが好ましい。90℃未満では、フィルムが破断する場合がある。140℃を超えると、透気性が低下する場合がある。長手方向の延伸温度は、より好ましくは100〜130℃、特に好ましくは115〜125℃である。延伸倍率としては、3〜8倍であることが好ましい。延伸倍率を高くするほど透気性は良化するが、8倍を超えて延伸すると、耐熱性が劣る場合がある。透気性および耐熱性の両立の観点から、延伸倍率は3〜7倍、より好ましくは3〜6倍である。
次に、テンター式延伸機にフィルム端部を把持させて導入する。横延伸温度は、好ましくは100〜140℃である。100℃未満ではフィルムが破断したり、幅方向の熱収縮率が大きくなってセパレータとして用いたときに短絡が生じやすくなる場合があり、140℃を超えると低融点ポリプロピレンが軟化して延伸されるため開孔が不十分となり、透気性が低下する場合がある。透気性と耐熱性の観点から、より好ましくは105〜135℃である。幅方向の延伸倍率は2〜12倍であることが好ましい。2倍未満であると、透気性が発現しにくい場合がある。12倍を超えると、熱収縮率が大きくなってセパレータとして用いたときに短絡が生じやすくなる場合がある。透気性および耐熱性の両立の観点から、延伸倍率はより好ましくは4〜10倍、更に好ましくは6〜8倍である。なお、このときの横延伸速度としては、100〜3,000%/分で行うことが好ましく、200〜2,000%/分であればより好ましく、300〜1,500%/分であればさらに好ましい。延伸速度が3,000%/分を超える条件では樹脂の延伸が支配的になりMD配向したフィブリル開裂が抑制され開孔性が不十分となり透気性が低下する場合がある。他方100%/分未満の場合は製膜速度が遅くなるため生産性は低下する。
横延伸に続いて、テンター内で熱処理工程を行う。ここで熱処理工程は、横延伸後の幅のまま熱処理を行う熱固定ゾーン(以後、HS1ゾーンと記す)、テンターの幅を狭めてフィルムを弛緩させながら熱処理を行うリラックスゾーン(以後、Rxゾーンと記す)、リラックス後の幅のまま熱処理を行い弛緩後のフィルムの残留歪みを開放させ平面性の向上や耐熱性を向上させる効果のある熱固定ゾーン(以後、HS2ゾーンと記す)の3ゾーンに分かれていることが、透気性とシャットダウン特性および耐熱性を得る観点から好ましい。
詳しくはHS1ゾーンおよびRxゾーンの各温度は、100〜140℃であることが好ましい。100℃未満であると、熱固定が十分でなく、耐熱性が低下する場合がある。140℃を超えると、低融点ポリプロピレンが軟化して貫通孔を塞いで透気性が発現しなかったりする場合がある。透気性の発現と耐熱性の両立の観点から105〜135℃であればより好ましい。またHS2ゾーンの温度は前ゾーンの温度以下であることが耐熱性を得る観点から好ましい。
ここで各ゾーンでの各熱処理時間は、透気性の発現と耐熱性の両立の観点から0.1秒以上10秒以下であることが好ましく、3秒以上8秒以下であるとより好ましい。
本発明におけるRxゾーンでの弛緩率は13〜35%であることが好ましい。弛緩率が13%未満であると幅方向の熱収縮率が大きくなる場合がある。35%を超えると透気性が低下したり、幅方向の厚み斑を引き起こし平面性が低下する場合がある。透気性と耐熱性の観点から、15〜25%であるとより好ましい。
熱固定工程後のフィルムは、テンターのクリップで把持した耳部をスリットして除去し、ワインダーでコアに巻き取って製品とする。
本発明の多孔性ポリオレフィンフィルムは、耐熱性に優れることから、包装用品、衛生用品、農業用品、建築用品、医療用品、分離膜、光拡散板、反射シート用途で用いることができるが、特にシャットダウン特性を有することから、蓄電デバイス用のセパレータとして好ましく用いることができる。ここで、蓄電デバイスとしては、リチウムイオン二次電池に代表される非水電解液二次電池や、リチウムイオンキャパシタなどの電気二重層キャパシタなどを挙げることができる。このような蓄電デバイスは充放電することで繰り返し使用することができるので、産業装置や生活機器、電気自動車やハイブリッド電気自動車などの電源装置として使用することができる。本発明の多孔性ポリプロピレンフィルムを用いたセパレータを使用した蓄電デバイスは、セパレータの優れた特性から産業機器や自動車の電源装置に好適に用いることができる。
以下、実施例により本発明を詳細に説明する。なお、特性は以下の方法により測定、評価を行った。
(1)β晶形成能
多孔性ポリオレフィンフィルム5mgを試料としてアルミニウム製のパンに採取し、示差走査熱量計(セイコー電子工業製RDC220)を用いて測定した。まず、窒素雰囲気下で室温から260℃まで40℃/分で昇温(ファーストラン)し、10分間保持した後、20℃まで10℃/分で冷却する。5分保持後、再度40℃/分で昇温(セカンドラン)した際に観測される融解ピークにについて、145〜157℃の温度領域にピークが存在する融解をβ晶の融解ピーク、158℃以上にピークが観察される融解をα晶の融解ピークとして、高温側の平坦部を基準に引いたベースラインとピークに囲まれる領域の面積から、それぞれの融解熱量を求め、α晶の融解熱量をΔHα、β晶の融解熱量をΔHβとしたとき、以下の式で計算される値をポリオレフィン樹脂組成物のβ晶形成能とする。なお、融解熱量の校正はインジウムを用いて行った。
β晶形成能(%) = 〔ΔHβ / (ΔHα + ΔHβ)〕 × 100
(2)多孔性ポリオレフィンフィルムの融点(Tm)
上記β晶形成能の測定方法において260℃まで40℃/分で昇温(ファーストラン)した際に観測される融解ピークであり、ピークが2個以上ある場合は低い方の融解ピーク温度を多孔性ポリオレフィンの融解ピークとして測定した。
(3)ポリオレフィン原料の融点
上記β晶形成能の測定方法と同様の方法で原料のポリオレフィン樹脂を測定し、セカンドランのピーク温度(α晶)を融点(Tm)とした。ただし、融点の測定においてはβ晶核剤を未添加のポリオレフィン原料を用いて測定した。
(4)メルトフローレート(MFR)
ポリプロピレン樹脂のMFRは、JIS K 7210(1995)の条件M(230℃、2.16kg)に準拠して測定した。ポリエチレン樹脂は、JIS K 7210(1995)の条件D(190℃、2.16kg)に準拠して測定した。
(5)厚み
接触式の膜厚計ミツトヨ社製ライトマチックVL−50A(10.5mmφ超硬球面測定子、測定荷重0.06N)にて測定した。測定は場所をかえて10回行い、その平均値を多孔性ポリオレフィンフィルムの厚みとした。
(6)熱処理前の透気抵抗(G1)
多孔性ポリオレフィンフィルムから100mm×100mmの大きさの正方形を切取り試料とした。JIS P 8117(1998)のB形ガーレ試験器を用いて、23℃、相対湿度65%にて、100mlの空気の透過時間の測定を行った。測定は試料をかえて3回行い、透過時間の平均値をそのフィルムの熱処理前の透気抵抗とした。
(7)140℃1分間熱処理後の透気抵抗(G2)
外寸100mm×100mm、厚み5mmの大きさのSUS製金属板2枚の間に試料サイズ100mm×100mmに切り出した多孔性ポリオレフィンフィルムを挟み込み、140℃に加熱された熱風オーブンに1分間放置した。1分後にオーブンから金属板を取り出し、多孔性ポリオレフィンフィルムを金属板から取り出し室温で冷却した後、該フィルムをJIS P 8117(1998)のB形ガーレ試験器を用いて、23℃、相対湿度65%にて、100mlの空気の透過時間の測定を行った。測定は試料をかえて同様に3回行い、透過時間の平均値をそのフィルムの140℃で1分間熱処理後の透気抵抗とした。
(8)シャットダウン特性
前記(7)にて測定した140℃で1分間熱処理後の透気抵抗が1,000秒/100mlを超え、かつ、140℃1分間熱処理前と熱処理後の透気度の関係(G2/G1)からシャットダウン特性を判定した。判定基準は次の通り。なお◎と○がシャットダウン特性を有していると判断できる。
(G2/G1)が5以上 :◎
(G2/G1)が4以上5未満:○
(G2/G1)が4未満 :×
(9)長手方向の130℃1時間処理後の熱収縮率
フィルムの長手方向(MD)について、幅10mm、長さ200mmの試料を5本切り出し、両端から25mmの位置に印を付けて試長150mm(l)とする。次に、荷重3gを付けて130℃に保温されたオーブン内に吊し、1時間加熱後に取り出して、室温で冷却後、寸法(l)を測定して下記式にて求め、5本の平均値を熱収縮率とした。
熱収縮率={(l−l)/l}×100(%)
(実施例1)
ポリプロピレン樹脂(住友化学(株)製、FLX80E4、融点165℃、MFR=7.5g/10分)99.45質量%に、β晶核剤であるN,N’−ジシクロヘキシル−2,6−ナフタレンジカルボキシアミド(新日本理化(株)製、NU−100)を0.3質量%、滑剤としてベヘン酸カルシウム0.05質量%、さらに酸化防止剤であるチバ・スペシャリティ・ケミカルズ製IRGANOX1010、IRGAFOS168を各々0.1質量%ずつがこの比率で混合されるように計量ホッパーから二軸押出機に原料供給し、300℃で溶融混練を行い、ストランド状にダイから吐出して、25℃の水槽にて冷却固化し、チップ状にカットしてポリプロピレン組成物(あ)を得た。
また、低融点ポリプロピレン樹脂(サンアロマー(株)製 PM940M、融点137℃、MFR=30g/10分)99.45質量%に、β晶核剤であるN,N’−ジシクロヘキシル−2,6−ナフタレンジカルボキシアミド(新日本理化(株)製、NU−100)を0.3質量%、滑剤としてベヘン酸カルシウム0.05質量%、さらに酸化防止剤であるチバ・スペシャリティ・ケミカルズ製IRGANOX1010、IRGAFOS168を各々0.1質量%ずつがこの比率で混合されるように計量ホッパーから二軸押出機に原料供給し、300℃で溶融混練を行い、ストランド状にダイから吐出して、25℃の水槽にて冷却固化し、チップ状にカットしてポリプロピレン組成物(い)を得た。
得られたポリプロピレン組成物(あ)を210℃の温度に加熱された押出機2(B層)に投入した。一方、ポリプロピレン組成物(あ)70質量%とポリプロピレン組成物(い)30質量%をブレンドし210℃の温度に加熱された押出機1(A層)に投入した。その後、押出機1、2を経た溶融ポリマーをフィルターにて、異物や変質ポリマーなどを除去した後、合流ブロック用いて合流させてA|B|Aの3層積層で積層厚み比が1|16|1となるよう押出量を調節し、その溶融積層ポリマーをTダイより吐出させ120℃に制御されたキャストドラム上にシート化し、未延伸の積層キャストシートを得た。ついで、120℃に加熱したロールを用いてキャストシートを加熱し、長手方向に5.0倍延伸を行った。次に端部をクリップで把持して120℃で幅方向に延伸速度300%/minにて6.0倍に延伸した。続く熱処理工程で、延伸後のクリップ間距離に保ったまま110℃で熱処理し(HS1ゾーン)、更に110℃で弛緩率20%リラックスを行い(Rxゾーン)、最後に弛緩後のクリップ間距離に保ったまま100℃で熱処理を行い(HS2ゾーン)、その後、クリップで把持したフィルムの耳部をカットして除去し、厚み20μmの多孔性ポリオレフィンフィルムを得た。フィルム特性を表1に示す。
(実施例2)
積層厚み比が表1に示した条件になるよう押出量を変更した以外は実施例1と同様にして厚み20μmの多孔性ポリオレフィンフィルムを得た。フィルム特性を表1に示す。
(実施例3)
低融点ポリプロピレンの含有量が表1に示した量になるように210℃の温度に加熱された押出機1(A層)にポリプロピレン組成物(あ)60質量%とポリプロピレン組成物(い)40質量%をブレンドして投入した以外は実施例1と同様にして厚み20μmの多孔性ポリオレフィンフィルムを得た。フィルム特性を表1に示す。
(実施例4)
A|B|A=1|16|1の3層構成を、B|A|B=4|1|4の3層構成となるよう押出時の合流ブロック、押出量を変更した以外は実施例1と同様にして厚み20μmの多孔性ポリオレフィンフィルムを得た。フィルム特性を表1に示す。
(実施例5)
A|B|A=1|16|1の3層構成を、A|B=1|8の2層構成となるよう押出時の合流ブロックを変更した以外は実施例1と同様にして厚み20μmの多孔性ポリオレフィンフィルムを得た。フィルム特性を表1に示す。
(実施例6)
ポリプロピレン樹脂(住友化学(株)製 FLX80E4)を69.8質量%と、エチレン−オクテン−1共重合体(ダウ・ケミカル製 Engage8411、メルトインデックス:18g/10分)を30質量%、酸化防止剤であるチバ・スペシャリティ・ケミカルズ製IRGANOX1010、IRGAFOS168を各々0.1質量%ずつがこの比率で混合されるように計量ホッパーから二軸押出機に原料供給し、240℃で溶融混練を行い、ストランド状にダイから吐出して、25℃の水槽にて冷却固化し、チップ状にカットしてポリプロピレン組成物(う)を得た。
ポリプロピレン組成物(あ)60質量%、ポリプロピレン組成物(い)30質量%、ポリプロピレン組成物(う)10質量%でブレンドし210℃の温度に加熱された押出機2(B層)に投入した以外は実施例1と同様にして厚み20μmの多孔性ポリオレフィンフィルムを得た。フィルム特性を表1に示す。
(実施例7)
低融点ポリプロピレン樹脂として(住友化学(株)社製 FS3611、融点132℃、MFR=3.5g/10分)を用いた以外は実施例1と同様にして厚み20μmの多孔性ポリオレフィンフィルムを得た。フィルム特性を表1に示す。
(実施例8)
低融点ポリプロピレン樹脂として(住友化学(株)社製 S131、融点132℃、MFR=1.5g/10分)を用いた以外は実施例1と同様にして厚み20μmの多孔性ポリオレフィンフィルムを得た。フィルム特性を表1に示す。
(実施例9)
ポリプロピレン樹脂(住友化学(株)製 FLX80E4)を64.8質量%、エチレン−オクテン−1共重合体(ダウ・ケミカル製 Engage8411、メルトインデックス:18g/10分)を30質量%、分散剤としてJSR社製オレフィン結晶・エチレンブチレン・オレフィン結晶ブロックポリマー (CEBC)“DYNARON(ダイナロン)(登録商標)”(タイプ名:6200P)を5質量%、さらに酸化防止剤であるチバ・スペシャリティ・ケミカルズ製IRGANOX1010、IRGAFOS168を各々0.1質量%ずつがこの比率で混合されるように計量ホッパーから二軸押出機に原料供給し、240℃で溶融混練を行い、ストランド状にダイから吐出して、25℃の水槽にて冷却固化し、チップ状にカットしてポリプロピレン組成物(え)を得た。
ポリプロピレン組成物(あ)60質量%、ポリプロピレン組成物(い)30質量%、ポリプロピレン組成物(え)10質量%でブレンドし210℃の温度に加熱された押出機2(B層)に投入した以外は実施例6と同様にして厚み20μmの多孔性ポリオレフィンフィルムを得た。フィルム特性を表1に示す。
(比較例1)
ポリプロピレン組成物(あ)を単膜構成で210℃にて溶融押出し、120℃に制御されたキャストドラム上にシート化し、未延伸の単膜キャストシートを得た。ついで、120℃に加熱したロールを用いてキャストシートを加熱し、長手方向に5.0倍延伸を行った。次に端部をクリップで把持して150℃で幅方向に6.0倍に延伸した。続く熱処理工程で、延伸後のクリップ間距離に保ったまま160℃で熱処理し(HS1ゾーン)、更に160℃で弛緩率20%リラックスを行い(Rxゾーン)、最後に弛緩後のクリップ間距離に保ったまま160℃で熱処理を行い(HS2ゾーン)、その後、クリップで把持したフィルムの耳部をカットして除去し、厚み20μmの多孔性ポリオレフィンフィルムを得た。フィルム特性を表1に示す。
(比較例2)
ポリプロピレン樹脂(住友化学(株)製 FLX80E4)を69.8質量%と、高密度ポリエチレン樹脂(プライムポリマー社製「ハイゼックスHZ2200J」MFR5.2g/10分、Tm134℃、密度0.964g/cm)を30質量%、酸化防止剤であるチバ・スペシャリティ・ケミカルズ製IRGANOX1010、IRGAFOS168を各々0.1質量%ずつがこの比率で混合されるように計量ホッパーから二軸押出機に原料供給し、240℃で溶融混練を行い、ストランド状にダイから吐出して、25℃の水槽にて冷却固化し、チップ状にカットしてポリプロピレン組成物(え)を得た。得られたポリプロピレン組成物(え)を210℃の温度に加熱された押出機2(B層)に投入した。一方、ポリプロピレン組成物(あ)を210℃の温度に加熱された押出機1(A層)に投入した。その後、押出機1、2を経た溶融ポリマーをフィルターにて、異物や変質ポリマーなどを除去した後、合流ブロック用いて合流させてA|B|Aの3層積層で積層厚み比が1|16|1となるよう押出量を調節し、その溶融積層ポリマーをTダイより吐出させ120℃に制御されたキャストドラム上にシート化し、未延伸の積層キャストシートを得た。ついで、105℃に加熱したロールを用いてキャストシートを加熱し、長手方向に3.0倍延伸を行った。次に端部をクリップで把持して125℃で幅方向に5.0倍に延伸した。続く熱処理工程で、延伸後のクリップ間距離に保ったまま125℃で熱処理し(HS1ゾーン)、更に125℃で弛緩率5%リラックスを行い(Rxゾーン)、最後に弛緩後のクリップ間距離に保ったまま125℃で熱処理を行い(HS2ゾーン)、その後、クリップで把持したフィルムの耳部をカットして除去し、厚み20μmの多孔性ポリオレフィンフィルムを得た。フィルム特性を表1に示す。
(比較例3)
長手方向に延伸後のクリップに挟んで幅方向に延伸する速度を3,000%とし、続く熱処理工程で、延伸後のクリップ間距離に保ったまま155℃で熱処理し(HS1ゾーン)、更に155℃で弛緩率20%リラックスを行い(Rxゾーン)、最後に弛緩後のクリップ間距離に保ったまま150℃で熱処理(HS2ゾーン)とした以外は実施例1と同様にして厚み20μmの多孔性ポリオレフィンフィルムを得た。フィルム特性を表1に示す。
Figure 2014060146
本発明の要件を満足する実施例では高透気性を有し、熱収縮率が小さいことから耐熱性に優れ、かつシャットダウン特性を備えているため安全性が高く、蓄電デバイス用のセパレータとして好適に用いることが可能である。一方、比較例では、シャットダウン特性と耐熱性の両立が不十分なため安全性に劣り、蓄電デバイス用のセパレータとして用いることが困難である。
本発明の多孔性ポリオレフィンフィルムは、高透気性を有しながらシャットダウン特性を持ち、かつ、耐熱性に優れるため、蓄電デバイス用のセパレータとして好適に使用することができる。

Claims (7)

  1. 融点が155℃以上であって、熱処理前の透気抵抗が400秒/100ml以下であり、140℃で1分間熱処理後の透気抵抗が1,000秒/100ml以上である多孔性ポリオレフィンフィルム。
  2. 140℃で1分間熱処理後の透気抵抗が熱処理前の透気抵抗の4倍以上となる、請求項1に記載の多孔性ポリオレフィンフィルム。
  3. 多孔性ポリオレフィンフィルムの全質量を100質量%としたとき、ポリエチレン含有量が10質量%以下である、請求項1または2に記載の多孔性ポリオレフィンフィルム。
  4. 多孔性ポリオレフィンフィルムの全質量を100質量%としたとき、融点が130℃〜160℃である低融点ポリプロピレンの含有量が3質量%以上である、請求項1〜3のいずれかに記載の多孔性ポリオレフィンフィルム。
  5. 共押出により積層された少なくとも2層以上の多孔質層を有し、融点が130℃〜160℃である低融点ポリプロピレンの含有量が20質量%以上である層を少なくとも1層含む、請求項1〜4のいずれかに記載の多孔性ポリオレフィンフィルム。
  6. β晶形成能が40〜95%以上であるポリオレフィン樹脂組成物からなる、請求項1〜5のいずれかに記載の多孔性ポリオレフィンフィルム。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載の多孔性ポリオレフィンフィルムをセパレータとして用いた蓄電デバイス。
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