JP2015110563A - アルドステロン合成酵素阻害剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】CYP11B1に対しCYP11B2への選択性を高めた新規のメトミデート誘導体化合物を提供する。【解決手段】本発明は、所定の一般式で表される化合物は又はその塩である。【選択図】なし

Description

本発明は、アルドステロン合成酵素阻害剤に関する。
副腎の異常により発症する疾病として、原発性アルドステロン症(PA)が知られている。原発性アルドステロン症は、副腎皮質に生じた腫瘍がアルドステロンを過剰に産生し、高血圧や低カリウム血症を引き起こす病気である。原発性アルドステロン症の多くは右か左かのどちらか一方に腫瘍ができ、片側の場合は手術が可能である一方、両側に発症した場合は薬物療法による治療が採用される。
原発性アルドステロン症の薬物療法としては、現在、アルドステロン受容体拮抗薬が用いられている。その他の薬物治療のターゲット分子としてアルドステロン合成酵素であるCYP11B2が考えられている(非特許文献1)。
エトミデートは、海外では静脈麻酔薬として用いられているが、コルチゾール、コルチコステロン、およびアルドステロンの生合成のために必要な11βヒドロキシラーゼ(CYP11B1)に主に結合し、これを阻害することによって副腎皮質ステロイド合成を抑制することが知られている(非特許文献2)。そのため、血漿中のアルドステロン濃度及びコルチゾール濃度の低下を引き起こすという副作用が報告されている(非特許文献3)。
また、近年、非侵襲的なアルドステロン産生腺腫の局所診断を目指し、シングルフォトン断層撮影(SPECT)やポジトロン放出断層撮影(PET)による副腎腺腫の画像化の試みがなされている。特許文献1,2、非特許文献4〜8には、ステロイド生合成酵素を標的とした各種放射性標識化合物が報告されている。たとえば、非特許文献4,7には11C標識メトミデート、非特許文献5には18F標識エトミデート、及び、非特許文献6、8には123I標識ヨードメトミデートが記載されている。臨床所見によれば、これらの放射性トレーサーは、腺腫を始めとする副腎皮質由来の病変部では多量に取り込まれるが、副腎皮質以外に由来する病変部ではごく少量しか取り込まれないことが報告されている。
国際公開第2007/144725号 国際公開第2011/151411号
Amar,et al.,Hypertension,(2010)Vol.56,831〜8 de Jong et al.,J.Clin.Endocrinol Metab(1984)Vol.59,No.6,1143〜7 Forman et al.,Anesthesiology(2011)Vol.114,No.3,695〜707 Georg Zettinig,et al.,European Journal of Nuclear Medicine and Molecular Imaging(2004)Vol.31,No.9,p.1224〜1230 Wolfgang Wadsak,et al.、European Journal of Nuclear Medicine and Molecular Imaging(2006)Vol.33,No.6,p.669〜672 Stefanie Hahner,et al.,Journal of Clinical Endocrinology & Metabolism(2008)Vol.93,No.6,p.2358〜2365 Timothy J.Burton,et al.,Journal of Clinical Endocrinology & Metabolism(2012)Vol.97,No.1,p.100〜109 Stefanie Hahner,et al.,Journal of Clinical Endocrinology & Metabolism(2013)Vol.98,No.4,1508〜18
本発明者らは、メトミデート、エトミデート、ヨードメトミデートといった公知のメトミデート系化合物の構造を修飾することにより、CYP11B2に対する選択性を高めることができると考えた。CYP11B2に対する選択性を高めることができれば、血漿中のアルドステロン濃度を選択的に低下できるため、原発性アルドステロン症の治療剤としての有用性が期待される。また、放射性核種で標識することで、非侵襲的なアルドステロン産生腺腫の局所診断剤としての有用性も期待される。
本発明は、上記事情に鑑みなされたものであり、CYP11B1に対しCYP11B2への選択性を高めた新規のメトミデート誘導体化合物を提供することにある。
本発明の一態様によれば、下記一般式(1)で表される化合物又はその塩が提供される。
Figure 2015110563
〔式中、Rは、ハロゲン原子、又は、−COCH(Rは、水素原子、炭素数1〜3のハロアルキル基、ハロゲン化フェニル基、又はハロゲン化ビニル基)であり、
は水素原子、Rは水素原子もしくはシアノ基、Rは、水素原子、又は、
〜Rが結合して水素化されたキノリジン骨格を形成する。
ただし、Rが−COCHであり、Rが水素原子又は炭素数1〜3のハロアルキル基であるとき、R、R及びRがいずれも水素原子である場合を除く。〕
また、本発明の他の態様によれば、上記記載の化合物又はその塩を含む医薬が提供される。
また、本発明の他の態様によれば、上記記載のアルドステロン合成酵素阻害剤が提供される。
本発明によれば、CYP11B1に対しCYP11B2への選択性が高い新規のメトミデート誘導体化合物が提供される。
1−[(1R)−フェニルエチル]−1H−イミダゾール−5−カルボン酸p−ヨードベンジルエステル(CDP1200)、及び、1−[(1R)−フェニルエチル]−1H−イミダゾール−5−カルボン酸p−トリブチルスタニルベンジルエステル([123I]CDP1200の標識前駆体化合物)の合成スキームを示す図である。 1−[(1R)−フェニルエチル]−1H−イミダゾール−5−カルボン酸(E)−3−ヨード−2−プロペニルエステル(CDP1220)の合成スキームを示す図である。 1−[1−(5−オキソ−2,3,6,7−テトラヒドロ−1H,5H−ベンゾ[ij]キノリジン−9−イル)エチル]−1H−イミダゾール−5−カルボン酸メチルエステル(CDP1700)の合成スキームを示す図である。 1−[1−(5−オキソ−2,3,6,7−テトラヒドロ−1H,5H−ベンゾ[ij]キノリジン−9−イル)エチル]−1H−イミダゾール−5−カルボン酸−2−フルオロエチルエステル(CDP1880)の合成スキームを示す図である。 4−[1−(5−ヨード−1H−イミダゾ−ル−1−イル)エチル]ベンゾニトリル(CDP1910)の合成スキームを示す図である。 1,2−エタンジオール 1−[1−(5−オキソ−2,3,6,7−テトラヒドロ−1H,5H−ベンゾ[ij]キノリジン−9−イル)エチル]−1H−イミダゾール−5−アセテート 4−メチルベンゼンスルホネート([18F]CDP1880の標識前駆体化合物)の合成スキームを示す図である。
本明細書において「ハロゲン原子」とは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子から選択される少なくとも一種である。
また、本明細書において「炭素数1〜3のハロアルキル基」とは、炭素数1〜3のアルキル基の少なくとも一つの水素原子がハロゲン原子で置換されたものであり、具体的には、ハロメチル基、ハロエチル基及びハロプロピル基が挙げられる。好ましくは、炭素数1〜3のアルキル基の一の水素原子がハロゲン原子で置換された、炭素数1〜3のモノハロアルキル基であり、具体的には、モノハロメチル基、モノハロエチル基及びモノハロプロピル基が挙げられる。モノハロメチル基としては、フルオロメチル基、クロロメチル基、ブロモメチル基、ヨードメチル基が挙げられる。モノハロエチル基及びモノハロプロピル基には、末端の1の水素原子がハロゲン原子に置換されたものが好ましく、モノハロエチル基としては、2−フルオロエチル基、2−クロロエチル基、2−ブロモエチル基、2−ヨードエチル基が挙げられる。モノハロプロピル基としては、3−フルオロプロピル基、3−クロロプロピル基、3−ブロモプロピル基、3−ヨードプロピル基が挙げられる。
また、本明細書において「ハロゲン化フェニル基」とは、フェニル基の少なくとも1の水素原子がハロゲン原子で置換されたものであり、好ましくはフェニル基の1の水素原子がハロゲン原子で置換されたものであり、より好ましくはフェニル基の4位の水素原子がハロゲン原子で置換されたものである。具体的には、4−フルオロフェニル基、4−クロロフェニル基、4−ブロモフェニル基、4−ヨードフェニル基が挙げられる。
また、本明細書において「ハロゲン化ビニル基」とは、ビニル基の少なくとも1の水素原子がハロゲン原子で置換されたものであり、好ましくはトランス位の水素原子がハロゲン原子で置換されたものである。具体的には、(E)−フルオロビニル基、(E)−クロロビニル基、(E)−ブロモビニル基、(E)−ヨードビニル基が挙げられる。
また、本明細書において「水素化されたキノリジン骨格」とは、キノリジン骨格が有する2原子炭素間の不飽和結合の少なくとも一つが飽和結合(単結合)に還元されたものをいう。また、「水素化されたキノリジン骨格」には、少なくとも1の水素原子が他の置換基に置換されたものも含まれ、カルボニル基を有するものが好ましい。
また、本明細書において「塩」とは、医薬として許容されるものであればよい。例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸などの無機酸、又は、酢酸、トリフルオロ酢酸、マレイン酸、コハク酸、マンデル酸、フマル酸、マロン酸、ピルビン酸、シュウ酸、グリコール酸、サリチル酸、ピラノシジル酸(グルクロン酸、ガラクツロン酸など)、α−ヒドロキシ酸(クエン酸、酒石酸など)、アミノ酸(アスパラギン酸、グルタミン酸など)、芳香族酸(安息香酸、ケイ皮酸など)、スルホン酸(p−トルエンスルホン酸、エタンスルホン酸など)などの有機酸から誘導される塩にすることができる。
また、本明細書において「放射性ハロゲン化フェニル基」とは、フェニル基の少なくとも1の水素原子が放射性ハロゲン原子で置換されたものである。好ましくはフェニル基の1の水素原子が放射性ハロゲン原子で置換されたものであり、より好ましくはフェニル基の4位の水素原子が放射性ハロゲン原子で置換されたものである。具体的には、放射性フッ素標識4−フルオロフェニル基、放射性クロロ標識4−クロロフェニル基、放射性ブロモ標識4−ブロモフェニル基、放射性ヨウ素標識4−ヨードフェニル基が挙げられる。
本明細書において、放射性ハロゲン原子とは、フッ素、塩素、臭素及びヨウ素の放射性同位体から選択される少なくとも一種であり、好ましくは、18F,34mCl,75Br,76Br,77Br,82Br,123I,124I,125I,又は131Iを用いることができる。CYP11B2への親和性を高める観点から、放射性ハロゲン原子としては、放射性フッ素原子(18F)、又は、放射性ヨウ素原子がより好ましい。放射性ヨウ素原子としては、123I,124I,125I及び131Iが挙げられる。
本発明に係る化合物の一例としては、一般式(1)において、Rが−COCHであり、R、R及びRがいずれも水素原子の化合物が挙げられる。この場合において、Rはハロゲン化フェニル基、又は、ハロゲン化ビニル基であることがより好ましい。また、Rを放射性ハロゲン化フェニル基とすれば、周辺領域に比して副腎に選択的に集積しうるアルドステロン産生腺腫診断剤として有用であるため、さらに好ましい。この場合、より好ましくは、Rは、放射性ヨウ素標識4−ヨードフェニル基である。
具体的には、下記一般式(3)又は一般式(4)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2015110563
一般式(3)において、Xは、ハロゲン原子であり、好ましくはヨウ素原子である。一般式(3)で表される化合物の立体構造は、R体が好ましい。一般式(3)で表される化合物は、Xが放射性ハロゲン原子であってもよく、好ましくは放射性ヨウ素原子である。
Figure 2015110563
一般式(4)において、Xは、ハロゲン原子であり、好ましくはヨウ素原子である。一般式(4)で表される化合物の立体構造は、R体が好ましい。
本発明に係る化合物の他の一例としては、一般式(1)において、Rが−COCHであり、R〜Rが結合して水素化されたキノリジン骨格を形成した化合物が挙げられる。この場合において、Rは水素原子、又は、炭素数1〜3のハロアルキル基であることがより好ましい。
具体的には、下記一般式(2)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2015110563
一般式(2)において、Rは水素原子、又は、炭素数1〜3のハロアルキル基である。Rが炭素数1〜3のハロアルキル基のとき、下記一般式(5)で表される化合物が好ましい。
Figure 2015110563
一般式(5)において、nは1〜3の整数であり、好ましくは、1の整数である。Xは、ハロゲン原子であり、好ましくはフッ素原子である。また、Xを放射性ハロゲン原子とすれば、周辺領域に比して副腎に選択的に集積しうるアルドステロン産生腺腫診断剤として有用であるため、さらに好ましい。この場合、より好ましくは、Xは、放射性フッ素原子(18F)である。
本発明に係る化合物の他の一例としては、上記一般式(1)において、Rがハロゲン原子であり、R及びRは水素原子であり、Rはシアノ基の化合物が挙げられる。具体的には、一般式(6)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2015110563
一般式(6)において、Xは、ハロゲン原子であり、好ましくはヨウ素原子である。
中でも、
・1−フェニルエチル−1H−イミダゾール−5−カルボン酸p−ヨードベンジルエステル(一般式(3)において、Xがヨウ素原子の化合物)
・1−フェニルエチル−1H−イミダゾール−5−カルボン酸(E)−3−ヨード−2−プロペニルエステル(一般式(4)において、Xがヨウ素原子の化合物)
・1−[1−(5−オキソ−2,3,6,7−テトラヒドロ−1H,5H−ベンゾ[ij]キノリジン−9−イル)エチル]−1H−イミダゾール−5−カルボン酸メチルエステル(一般式(2)において、Rが水素原子の化合物)
・1−[1−(5−オキソ−2,3,6,7−テトラヒドロ−1H,5H−ベンゾ[ij]キノリジン−9−イル)エチル]−1H−イミダゾール−5−カルボン酸−2−フルオロエチルエステル(一般式(5)において、nが1であり、Xがフッ素原子の化合物)
・4−[1−(5−ヨード−1H−イミダゾ−ル−1−イル)エチル]ベンゾニトリル(一般式(6)において、Xがヨウ素原子の化合物)
が特に好ましい。
つづいて、本発明に係る化合物の製造方法について、一般式(2)〜(6)で表される化合物の製造方法の一態様を例に挙げて説明する。
まず、一般式(3)で表される化合物の製造方法について説明する。出発物質は、1−フェニルエチル−1H−イミダゾール−5−カルボン酸とし、ベンジルアルコールのフェニル基の4位をハロゲン原子で置換した、4−ハロゲン化ベンジルアルコールを用いてエステル結合を形成する。一般式(3)で表される化合物の立体構造を(R)体とする場合は、(R)体の1−フェニルエチル−1H−イミダゾール−5−カルボン酸を用いる。また、一般式(3)で表される化合物の立体構造を(S)体とする場合は、(S)体の1−フェニルエチル−1H−イミダゾール−5−カルボン酸を用いる。1−[(1R)−フェニルエチル]−1H−イミダゾール−5−カルボン酸は、例えば、Journal of Medicinal Chemistry,46(7),1257−1265(2003)記載の方法で合成することができる。
つづいて、一般式(4)で表される化合物の製造方法について説明する。出発物質は、一般式(3)で表される化合物の出発物質と同じ1−フェニルエチル−1H−イミダゾール−5−カルボン酸を用い、2−プロペン−1−オールの3位をハロゲン原子で置換した(E)−3−ハロゲノ―2−プロペン―1−オールとエステル結合を形成する。一般式(4)で表される化合物の立体構造を(R)体とする場合は、(R)体の1−フェニルエチル−1H−イミダゾール−5−カルボン酸を用いる。また、一般式(4)で表される化合物の立体構造を(S)体とする場合は、(S)体の1−フェニルエチル−1H−イミダゾール−5−カルボン酸を用いる。1−[(1R)−フェニルエチル]−1H−イミダゾール−5−カルボン酸は、例えば前述の文献記載の方法で合成することができる。(E)−3−ヨード―2−プロペン―1−オールは、例えばOrganic Letters(2006),8(17),3675−3678記載の方法で合成することができる。
つづいて、一般式(2)で表される化合物の製造方法について、スキーム1を用いつつ説明する。
Figure 2015110563
1,2,3,4−テトラヒドロキノリンを出発物質とし、3−クロロプロピオニルクロリドと反応させた後、フリーデル・クラフツアルキル化反応を行って、2,3,6,7−テトラヒドロ−1H,5H−ベンゾ[ij]キノリジン−5−オンを得る(ステップa)。その後、フリーデル・クラフツアルカノイル化反応により、9−アセチル−2,3,6,7−テトラヒドロ−1H,5H−ベンゾ[ij]キノリジン−5−オンを得る(ステップb)。次いで、ケトン基を還元してアルコールにし、トリフェニルホスフィン、アゾジカルボン酸ジイソプロピル、及び、1H−イミダゾール−5−カルボン酸メチルエステルを反応させて、1−[1−(5−オキソ−2,3,6,7−テトラヒドロ−1H,5H−ベンゾ[ij]キノリジン−9−イル)エチル]−1H−イミダゾール−5−カルボン酸メチルエステル(一般式(2)中、Rが水素原子の化合物)を得る(ステップc)。
一般式(5)で得られる化合物は、スキーム1に示す方法で得られる、1−[1−(5−オキソ−2,3,6,7−テトラヒドロ−1H,5H−ベンゾ[ij]キノリジン−9−イル)エチル]−1H−イミダゾール−5−カルボン酸メチルエステルについて、脱メチル化反応を行った後、炭素数2〜4のハロアルキルアルコールを用いてエステル化反応を行うことにより、得ることができる。炭素数2〜4のハロアルキルアルコールとしては、2−ハロゲノエタノール(2−フルオロエタノール、2−クロロエタノール、2−ブロモエタノール、2−ヨードエタノール)、3−ハロゲノプロパノール(3−フルオロプロパノール、3−クロロプロパノール、3−ブロモプロパノール、3−ヨードプロパノール)、4−ハロゲノブタノール(4−フルオロブタノール、4−クロロブタノール、4−ブロモブタノール、4−ヨードブタノール)を用いることができる。
つづいて、一般式(6)で表される化合物の製造方法について、スキーム2を用いつつ説明する。
Figure 2015110563
4−シアノアセトフェノンを還元し、4−(1−ヒドロキシエチル)ベンゾニトリルを得る(ステップd)。次いで、4−(1−ヒドロキシエチル)ベンゾニトリルのヒドロキシ基に脱離基(L)を導入する(ステップe)。脱離基(L)としては、ハロゲン原子又はスルホン酸エステル基が挙げられる。ここで、「スルホン酸エステル基」として、好ましくは、メタンスルホン酸エステル基、トリフルオロメタンスルホン酸エステル基等の水素原子がハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜4のアルキルスルホン酸エステル基、又は、p−トルエンスルホン酸エステル基、p−ニトロベンゼンスルホン酸エステル基等の芳香族スルホン酸エステル基が用いられる。
次いで、トリチル基などのイミダゾール窒素の保護基(P)が導入された4−ハロゲノ−1H−イミダゾール(スキーム2中、Xがハロゲン原子の化合物)をN−アルキル化する(ステップf)。その後、イミダゾール窒素の保護基(P)の除去を行って、一般式(6)で表される化合物を得る。
なお、保護基(P)の選択、及び、脱保護の方法は、Greene’s Protective Groups in Organic Synthesis(Wiley‐Interscience;4版)記載のものを種々選択することができる。
上記一般式(3)で表される化合物について、Xが放射性ハロゲン原子である化合物は、以下のように合成することができる。
まず、上記一般式(3)で表される化合物において、Xがヨウ素原子であるものを合成する。次いで、フェニル基の4位のヨウ素に対し、トリアルキルスタニル化反応、又は、トリアルキルシリル化反応を行って、上記一般式(3)中、Xがトリアルキルスズ基又はトリアルキルシリル基の化合物を標識前駆体化合物として得る。
ここで、本明細書において、「トリアルキルスズ基」としては、トリ(C1−C6アルキル)スズ基が挙げられ、好ましくは、トリメチルスズ基又はトリブチルスズ基が用いられる。また、本明細書において「トリアルキルシリル基」としてはトリ(C1−C6アルキル)シリル基が挙げられ、好ましくは、トリメチルシリル基又はトリブチルシリル基が用いられる。標識前駆体化合物としては、一般式(3)中、Xがトリアルキルスズ基、好ましくはトリブチルスズ基の化合物又はその塩がより好ましい。
得られた標識前駆体化合物を放射性ハロゲン化反応することにより、上記一般式(3)で表される化合物を放射性ハロゲン標識化合物として得ることができる。放射性ハロゲン化反応は、求電子剤として調製された放射性ハロゲンを用いて行えばよく、例えば、放射性ハロゲン分子、放射性アセチルハイポハロリドを用いることができる。また、酸性条件下、酸化剤存在下に、放射性ハロゲン化ナトリウム又は放射性ハロゲン化カリウムと反応させてもよい。酸化剤としては、例えば、クロラミン−T、過酸化水素水、過酢酸、ハロゲン化スクシンイミド等を用いることができる。放射性ヨウ素化反応を行う場合、例えば、塩酸などの酸性条件下、過酸化水素水などの酸化剤存在下に、放射性ヨウ素化ナトリウムと反応させることができる。
また、上記一般式(5)で表される化合物について、Xが放射性ハロゲン原子である化合物は、スキーム3に従い、合成することができる。
Figure 2015110563
まず、スキーム1に示す方法で得られる、1−[1−(5−オキソ−2,3,6,7−テトラヒドロ−1H,5H−ベンゾ[ij]キノリジン−9−イル)エチル]−1H−イミダゾール−5−カルボン酸メチルエステルを脱メチル化する(ステップg)。次いで、アルキルジオールの一方のヒドロキシ基に脱離基(L)を導入した後、他方のヒドロキシ基をステップgで脱メチルしたカルボキシル基に反応させて、エステルを形成する(ステップh)。ステップhで得られた化合物(7)が、一般式(5)で表される化合物の放射性標識前駆体化合物となる。ここで、スキーム3中、nは、上記一般式(5)で表される化合物と同義であり、Lは、ハロゲン原子又はスルホン酸エステル基である。標識前駆体化合物(7)は、塩を形成してもよい。
本明細書において、「スルホン酸エステル基」として、好ましくは、メタンスルホン酸エステル基、トリフルオロメタンスルホン酸エステル基等の水素原子がハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜4のアルキルスルホン酸エステル基、又は、p−トルエンスルホン酸エステル基、p−ニトロベンゼンスルホン酸エステル基等の芳香族スルホン酸エステル基が用いられる。
得られた標識前駆体化合物(7)に対し、放射性ハロゲン化物イオンを反応させることで、一般式(5)で表される化合物の放射性標識体を得ることができる(ステップi)。放射性ハロゲン化物イオンとしては、放射性フッ化物イオン(18)、放射性塩化物イオン(34mCl)、放射性臭化物イオン(75Br76Br77Br82Br)、放射性ヨウ化物イオン(123124I,125I,又は131I)を用いることができる。ステップiの反応は、炭酸カリウムなどを用いた塩基性条件下に行うことが好ましい。
標識前駆体化合物(7)に放射性フッ化物イオンを反応させる場合、放射性フッ化物イオンとしては、好ましくは[18F]フッ化物イオンを用いることができる。[18F]フッ化物イオンは、[18O]水にサイクロトロンで加速した陽子を照射して18O(p,n)18Fの核反応を発生させることにより、製造することができる。製造した[18F]フッ化物イオンは、[18F]フッ化物イオンを含むターゲット水を陰イオン交換樹脂に吸着させ、樹脂に吸着させた[18F]フッ化物イオンを炭酸カリウム水溶液で脱離させることによって[18F]フッ化カリウムとして調製されることが好ましい。また、標識前駆体化合物(7)の放射性フッ素標識反応は、上記調製した[18F]フッ化カリウムを用い、クリプトフィックス222(商品名)などの相間移動触媒、及び、炭酸カリウムなどの塩基存在下で実行することが好ましい。これにより、標識前駆体化合物(7)のLで表される基に[18F]フッ素原子が導入した化合物(一般式(5)においてXが[18F]フッ素原子である化合物)を得ることができる。
本発明では、このようにして製造された化合物又はその塩から、医薬を調製することもできる。本明細書において「医薬」とは、上記一般式(1)で表される化合物又はその塩を生体内への投与に適した形態で含む組成物であると定義することができる。かかる組成物は適宜、pH調節剤、製薬学的に許容される可溶化剤、安定剤又は酸化防止剤などの追加成分を含んでいてもよい。
また、本発明に係る化合物又はその塩、及びこれらを有効成分として含む本発明に係る医薬は、アルドステロン合成酵素阻害剤として用いることができる。本発明に係るアルドステロン合成酵素阻害剤によれば、血漿中のアルドステロン濃度を選択的に低下できるため、原発性アルドステロン症の治療剤としての有用性が期待される。
本発明に係る医薬の一態様として、例えば、上記一般式(3)においてXが放射性ハロゲン原子の放射性ハロゲン標識化合物、若しくは、上記一般式(5)においてXが放射性ハロゲン原子の放射性ハロゲン標識化合物、又はこれらの塩を医薬として用いた放射性医薬が挙げられる。上記一般式(3)、(5)の放射性ハロゲン標識化合物又はこれらの塩を医薬として用いる場合には、未反応の放射性ハロゲン及び不溶性の不純物を、メンブランフィルター、種々の充填剤を充填したカラム、HPLC等により精製することが望ましい。
この本発明の一態様の放射性医薬は、非経口的に、即ち注射によって投与することが好ましく、水溶液であることがより好ましい。本発明の一態様の放射性医薬を生物体内に導入すると、上記一般式(3)、(5)で表される化合物がアルドステロン産生領域に集積する。そのため、放射線検出器、シングルフォトン断層撮影スキャナー、陽電子放射断層撮影スキャナー、オートラジオグラフィー等を用いて生物体外から非侵襲的に放射線を検出し、画像化して、アルドステロン産生の亢進又は低下を診断することができる。したがって、本発明の一態様の放射性医薬は、画像診断剤として使用することができ、具体的には、ポジトロン放出断層撮影用の画像診断剤やシングルフォトン断層撮影用の画像診断剤の用途に用いることができる。例えば、放射性ハロゲン原子として18F、76Br、124I等の陽電子放出核種を用いた場合は、ポジトロン放出断層撮影用の画像診断剤として用いることができ、放射性ハロゲン原子として123Iを用いた場合は、シングルフォトン断層撮影用の画像診断剤として用いることができる。本発明に係る画像診断剤は、好ましくは、アルドステロン過剰産生に起因する副腎疾患(アルドステロン産生腫瘍等)の画像診断に使用することができる。
以下、実施例を記載して本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの内容に限定されるものではない。なお、下記実施例において、実験に供する各化合物の名称を以下のように定義した。
CDP1200:1−[(1R)−フェニルエチル]−1H−イミダゾール−5−カルボン酸p−ヨードベンジルエステル
CDP1220:1−[(1R)−フェニルエチル]−1H−イミダゾール−5−カルボン酸(E)−3−ヨード−2−プロペニルエステル
CDP1700:1−[1−(5−オキソ−2,3,6,7−テトラヒドロ−1H,5H−ベンゾ[ij]キノリジン−9−イル)エチル]−1H−イミダゾール−5−カルボン酸メチルエステル
CDP1880:1−[1−(5−オキソ−2,3,6,7−テトラヒドロ−1H,5H−ベンゾ[ij]キノリジン−9−イル)エチル]−1H−イミダゾール−5−カルボン酸−2−フルオロエチルエステル
CDP1910:4−[1−(5−ヨード−1H−イミダゾ−ル−1−イル)エチル]ベンゾニトリル
123I]CDP1200:1−[(1R)−フェニルエチル]−1H−イミダゾール−5−カルボン酸p−[123I]ヨードベンジルエステル
18F]CDP1880:1−[1−(5−オキソ−2,3,6,7−テトラヒドロ−1H,5H−ベンゾ[ij]キノリジン−9−イル)エチル]−1H−イミダゾール−5−カルボン酸−2−[18F]フルオロエチルエステル
以下の実施例及び比較例に記載した各化合物の合成例において、化合物合成における各ステップは、必要に応じて複数回繰り返し行い、他の合成において中間体等として用いる際に必要な量を確保した。また、以下の各実施例は好適な例について記載したものであり、本発明の範囲を限定する意図ではない。実施例中、各化合物のNMRスペクトルによる分子構造は、1H−NMRスペクトルで同定した。1H−NMRスペクトルは、NMR装置として、JNM−ECP−500(日本電子株式会社製)又はAVANCEIII(BRUKER社製)を使用して得た。共鳴周波数は500MHzとし、溶媒は重クロロホルムを用い、重クロロホルムのシグナルδ7.24を参照として使用した。全ての化学シフトはデルタスケール(δ)上のppmであり、そしてシグナルの微細分裂については、略号(s:シングレット、d:ダブレット、t:トリプレット、dd:ダブルダブレット、dt:ダブルトリプレット、q:カルテット、m:マルチプレット)を用いて示した。
実施例1:CDP1200の合成
CDP1200(化合物2)は、図1に示すスキームに従って合成した。
4−ジメチルアミノピリジン(5.03mg,0.0412mmol)をジクロロメタン(5.0mL)に溶解したのち、トリエチルアミン(63.2μL,0.453mmol)、2−メチル−6−ニトロ安息香酸無水物(156mg,0.453mmol)、Journal of Medicinal Chemistry,46(7),1257−1265(2003)記載の方法で合成した1−[(1R)−フェニルエチル]−1H−イミダゾール−5−カルボン酸(化合物1)(89.1mg,0.412mmol)、p−ヨードベンジルアルコール(116mg,0.494mmol)を加え、アルゴンガス雰囲気下、室温で2時間撹拌した。反応終了後、溶媒を留去し、得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液(体積比):n−ヘキサン/酢酸エチル=2/1)にて精製を行い、CDP1200(109mg,0.252mmol,収率61%)を得た。
使用NMR装置:JNM−ECP−500
H−NMR:δ 7.80(s,1H),7.75(s,1H),7.69(d,J=8.4Hz,2H),7.35−7.27(m,3H),7.16−7.14(m,2H),7.08(d,J=8.4Hz,2H),6.32(q,J=7.1Hz,1H),5.22−5.14(m,2H),1.86(d,J=7.1Hz,3H)。
実施例2:[123I]CDP1200標識前駆体化合物(化合物3)の合成
123I]CDP1200の標識前駆体化合物である1−[(1R)−フェニルエチル]−1H−イミダゾール−5−カルボン酸p−トリブチルスタニルベンジルエステル(化合物3)は、図1に示すスキームに従って合成した。
実施例1で得たCDP1200(80mg,0.185mmol)をトルエン(2mL)に溶解したのち、ビストリブチルスズ(185μL,0.37mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(21.4mg,0.0185mmol)を加え、100℃にて18時間撹拌した。反応終了後、溶媒を留去し、得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液(体積比):n−ヘキサン/酢酸エチル=4/1→3/1)にて精製を行い、化合物3(73mg,0.123mmol,収率66%)を得た。
使用NMR装置:AVANCEIII
H−NMR:δ 7.81(d,J=1.0Hz,1H),7.72(d,J=0.6Hz,1H),7.50−7.42(m,2H),7.35−7.28(m,5H),7.18−7.16(m,2H),6.36(q,J=7.1Hz,1H),5.27−5.19(m,2H),1.86(d,J=7.1Hz,3H),1.57−1.51(m,6H),1.37−1.29(m,6H),1.12−0.98(m,6H),0.88(t,J=7.3Hz,9H)。
実施例3:[123I]CDP1200の合成
実施例2で得た化合物3のアセトニトリル溶液(1mg/mL,45μL)に、1mol/L塩酸(85μL)、[123I]ヨウ化ナトリウム(413MBq,30μL)の1mol/L水酸化ナトリウム溶液、及び30%(W/V)過酸化水素(5μL)水溶液を添加した。当該混合液を40℃にて10分間静置した後、下記の条件のHPLCに付して、実施例1で得たCDP1200と保持時間が同じ画分を[123I]CDP1200画分として分取した。
<HPLC条件>
カラム:YMC PackPro C8(YMC社製、サイズ:4.5×150mm)
移動相:0.1%トリフルオロ酢酸含む水/0.1%トリフルオロ酢酸含むアセトニトリル(体積比)=80/20から10/90へ40分かけてグラジエント
流速:1.0 mL/分
検出器:紫外可視吸光光度計(検出波長:260nm)及び放射線検出器(raytest社 STEFFI型)
分取した画分に水(10mL)を添加した液をSep−Pak C18カラム(Sep−Pak(登録商標)Light C18 Cartridges、Waters社製、充填剤の充填量130mg)に通液し、[123I]CDP1200を当該カラムに吸着捕集した。このカラムを水(1mL)で洗浄した後、ジエチルエーテル(1mL)を通液して[123I]CDP1200を溶出させたのち、ジエチルエーテルを留去することで[123I]CDP1200を得た。得られた放射能量は合成直後において90.5MBq(合成開始後60分)であった。また、下記の条件によるTLC分析を行ったところ、その放射化学的純度は98.5%であった。
<TLC分析条件>
TLCプレート:Silica Gel 60 F254(メルク社製)
展開相(体積比):酢酸エチル/ジエチルアミン=100/1
RI検出器:Rita Star、raytest社製
実施例4:CDP1220の合成
CDP1220(化合物5)は、図2に示すスキームに従って合成した。
4−ジメチルアミノピリジン(12.5mg,0.102mmol)をジクロロメタン(10.0mL)に溶解したのち、トリエチルアミン(156μL,1.12mmol)、2−メチル−6−ニトロ安息香酸無水物(386mg,1.12mmol)、Journal of Medicinal Chemistry,46(7),1257−1265(2003)記載の方法で合成した1−[(1R)−フェニルエチル]−1H−イミダゾール−5−カルボン酸(化合物1)(220mg,1.02mmol)、Organic Letters(2006),8(17),3675−3678記載の方法で合成した(E)−3−ヨード−2−プロペン−1−オール(化合物4)(225mg,1.22mmol)を加え、アルゴンガス雰囲気下、室温(25℃)で2時間撹拌した.反応終了後、溶媒を留去し、得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液(体積比):n−ヘキサン/酢酸エチル=2/1)にて精製を行い、CDP1220(180mg,0.471mmol,収率61%)を得た。
使用NMR装置:JNM−ECP−500
H−NMR:δ 7.80(d,J=0.8Hz,1H),7.75(s,1H),7.36−7.27(m,3H),7.17−7.16(m,2H),6.66(dt,J=14.6,6.1Hz,1H),6.50(dt,J=14.6,1.4Hz,1H),6.31(q,J=7.1Hz,1H),4.66−4.56(m,2H),1.86(d,J=7.1Hz,3H)。
実施例5:CDP1700の合成
CDP1700(化合物10)は、図3に示すスキームに従って合成した。
[ステップ5−1]2,3,6,7−テトラヒドロ−1H,5H−ベンゾ[ij]キノリジン−5−オン(化合物8)の合成
1,2,3,4−テトラヒドロキノリン(化合物7,東京化成工業株式会社製)(4.40g,33.0mmol)をアセトン(20mL)に溶解したのち、氷冷下、3−クロロプロピオニルクロリド(1.4mL,15mmol)を加えた。アルゴンガス雰囲気下、1時間加熱還流した。反応終了後、2mol/L塩酸を加え、酢酸エチルで3回抽出を行った。合わせた酢酸エチル層を無水硫酸ナトリウムで乾燥後減圧濃縮し、得られた粗生成物に塩化ナトリウム(2.81g,48.0mmol)と塩化アルミニウム(9.40g,70.5mmol)を加え、アルゴンガス雰囲気下、150℃で一時間撹拌した。反応終了後、氷冷下、0.1mol/L塩酸を加え、酢酸エチルで3回抽出を行った。合わせた酢酸エチル層を無水硫酸ナトリウムで乾燥後減圧濃縮し、化合物8(2.81g,15.0mmol,定量)を得た。
使用NMR装置:AVANCEIII
H−NMR:δ 7.01−6.98(m,2H),6.91(m,1H),3.89−3.87(m,2H),2.89−2.86(m,2H),2.80−2.78(m,2H),2.66−2.63(m,2H),2.09−1.92(m,2H)。
[ステップ5−2]9−アセチル−2,3,6,7−テトラヒドロ−1H,5H−ベンゾ[ij]キノリジン−5−オン(化合物9)の合成
ステップ5−1で得た、化合物8(2.45g,13.1mmol)を二硫化炭素(33mL)に溶解したのち、氷冷下、塩化アルミニウム(11.7g,87.7mmol)と塩化アセチル(1.9mL,26mmol)を加え、アルゴンガス雰囲気下、一晩加熱還流した。反応終了後、氷冷下、水を加え、ジクロロメタンで3回抽出を行った。合わせたジクロロメタン層を無水硫酸ナトリウムで乾燥後減圧濃縮し、化合物9(2.97g,13.0mmol,定量)を得た。
使用NMR装置:AVANCEIII
H−NMR:δ 7.62(s,1H),7.61(s,1H),3.91−3.88(m,2H),2.96−2.93(m,2H),2.86−2.83(m,2H),2.70−2.67(m,2H),2.56(s,3H),1.99−1.94(m,2H)。
[ステップ5−3]CDP1700(化合物10)の合成
ステップ5−2で得た化合物9(80mg,0.349mmol)をエタノール(1.5mL)に溶解したのち、氷冷下、水素化ホウ素ナトリウム(26.4mg,0.698mmol)を加え、アルゴン雰囲気下、室温(25℃)で一時間撹拌した。反応終了後、氷冷下、飽和塩化アンモニウム水溶液を加え、ジクロロメタンで3回抽出を行った。合わせたジクロロメタン層を無水硫酸ナトリウムで乾燥後減圧濃縮し、得られた粗生成物をテトラヒドロフラン(2.0mL)に溶解したのち、氷冷下、トリフェニルホスフィン(138mg,0.524mmol)、アゾジカルボン酸ジイソプロピル(0.11mL,0.52mmol)、1H−イミダゾール−5−カルボン酸メチルエステル(66.1mg,0.524mmol)を加え、アルゴンガス雰囲気下、室温(25℃)で1.5時間撹拌させた。反応終了後、反応溶液を減圧濃縮し、得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:酢酸エチル)にて精製を行い、CDP1700(34.9mg,0.103mmol,収率30%)を得た。
使用NMR装置:AVANCEIII
H−NMR:δ 7.78(m,1H),7.73(s,1H),6.82(s,2H),6.29(q,J=7.1Hz,1H),3.87−3.83(m,2H),3.83(s,3H),2.85−2.82(m,2H),2.76−2.73(m,2H),2.64−2.61(m,2H),1.94(m,2H),1.83(d,J=7.1Hz,3H)。
実施例6:CDP1880の合成
CDP1880(化合物12)は、図4に示すスキームに従って合成した。
[ステップ6−1]1−[1−(5−オキソ−2,3,6,7−テトラヒドロ−1H,5H−ベンゾ[ij]キノリジン−9−イル)エチル]−1H−イミダゾール−5−カルボン酸(11)の合成
実施例5で得た化合物10(338mg,0.995mmol)をテトラヒドロフラン(8.4mL)に溶解したのち、2mol/L水酸化ナトリウム水溶液(2.1mL,4.2mmol)を加え、アルゴン雰囲気下、60℃で3時間撹拌した。反応終了後、氷冷下、1mol/L塩酸で中和し、減圧濃縮した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液(体積比):酢酸エチル/メタノール=9/1→クロロホルム/メタノール=5/1)にて精製を行い、化合物11(220mg,0.676mmol,収率68%)を得た。
使用NMR装置:AVANCEIII
H−NMR:δ 7.88(s,1H),7.77(s,1H),6.83(s,2H),6.30(q,J=7.1Hz,1H),3.87−3.84(m,2H),2.85−2.82(m,2H),2.75−2.73(m,2H),2.64−2.61(m,2H),1.94−1.89(m,2H),1.83(d,J=7.1Hz,3H)。
[ステップ6−2]CDP1880(化合物12)の合成
ステップ6−1で得た化合物11(20.0mg,0.0615mmol)をジクロロメタン(1.5mL)に溶解したのち、4−ジメチルアミノピリジン(2.3mg,0.019mmol)、トリエチルアミン(0.077mL,0.55mmol)を加えた。氷冷下、2−メチル−6−ニトロ安息香酸無水物(95.4mg,0.277mmol)を加え,アルゴン雰囲気下、0℃で40分撹拌した。氷冷下、2−フルオロエタノール(0.036mL,0.62mmol)を加え、アルゴン雰囲気下、0℃で2.5時間撹拌した。反応終了後、反応溶液を減圧濃縮し、得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:酢酸エチル)にて精製を行い、CDP1880(19.4mg,0.0522mmol,収率75%)を得た。
H−NMR:δ 7.85(m,1H),7.75(m,1H),6.81(s,2H),6.24(q,J=7.1Hz,1H),4.73−4.62(m,2H),4.55−4.40(m,2H),3.87−3.84(m,2H),2.85−2.82(m,2H),2.76−2.73(m,2H),2.64−2.61(m,2H),1.94−1.90(m,2H),1.83(d,J=7.1Hz,3H)。
実施例7:CDP1910の合成
CDP1910(化合物17)は、図5に示すスキームに従って合成した。
[ステップ7−1]4−ヨード−1−トリチル−1H−イミダゾール(化合物14)の合成
4−ヨード−1H−イミダゾール(化合物13,和光純薬工業株式会社製)(1.9g,10mmol)をジクロロメタン(40mL)に溶解したのち、氷冷下、トリエチルアミン(2.1mL,15mmol)、塩化トリチル(3.4g,12mmol)を加え、アルゴンガス雰囲気下、室温(25℃)で17時間攪拌した。反応終了後、水を加え、ジクロロメタンで2回抽出を行った。合わせたジクロロメタン層を無水硫酸ナトリウムで乾燥後減圧濃縮し、得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液(体積比):クロロホルム/n−ヘキサン=1/1→クロロホルム)にて精製を行い、化合物14(4.1g,9.3mmol,収率93%)を得た。
使用NMR装置:AVANCEIII
H−NMR:δ 7.36−7.34(m,9H),7.31(d,J=1.5Hz,1H),7.13−7.11(m,6H),6.80(d,J=1.5Hz,1H)。
[ステップ7−2]4−(1−ヒドロキシエチル)ベンゾニトリル(化合物16)の合成
4−シアノアセトフェノン(化合物15,東京化成工業株式会社製)(0.29g,2.0mmol)をメタノール(10mL)に溶解したのち、0℃にて水素化ホウ素ナトリウム(0.11g,3.0mmol)を加え、アルゴンガス雰囲気下、室温(25℃)で5時間撹拌した。反応終了後、反応溶液を減圧濃縮し、水を加え、ジクロロメタンで2回抽出を行った。合わせたジクロロメタン層を無水硫酸ナトリウムで乾燥後減圧濃縮し、化合物16(0.30g,2.0mmol,定量)を得た。
使用NMR装置:AVANCEIII
H−NMR:δ 7.65−7.64(m,2H),7.50−7.48(m,2H),4.99−4.95(m,1H),1.87(d,J=3.8Hz,1H),1.50(d,J=6.5Hz,3H)。
[ステップ7−3]CDP1910(化合物17)の合成
ステップ7−2で得た、化合物16(0.15g,1.0mmol)をジクロロメタン(10mL)に溶解したのち、0℃にてトリエチルアミン(0.28mL,2.0mmol)、メタンスルホニルクロリド(0.10mL,1.3mmol)を加え、アルゴンガス雰囲気下、同温にて1時間半撹拌した。反応終了後、水を加え、ジクロロメタンで2回抽出を行った。合わせたジクロロメタン層を無水硫酸ナトリウムで乾燥後減圧濃縮し、得られた粗生成物をアセトニトリル(5.0mL)に溶解したのち、室温(25℃)にて、ステップ7−1で得た、化合物14(0.44g,1.0mmol)を加え、アルゴンガス雰囲気下、80℃で一晩撹拌した。反応溶液にクロロホルム(2.0mL)を加え、アルゴンガス雰囲気下、90℃にて6時間撹拌した。反応終了後、反応溶液を減圧濃縮し、酢酸(3.0mL)、水(2.0mL)を加え、100℃で7時間撹拌した。反応終了後、飽和炭酸水素ナトリウム溶液を加えてpHを9としたのち、ジクロロメタンで2回抽出を行った。合わせたジクロロメタン層を無水硫酸ナトリウムで乾燥後減圧濃縮し、得られた粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィー(溶離液(体積比):ジクロロメタン/酢酸エチル=3/1→2/1)にて精製を行い、CDP1910(25mg,0.078mmol,化合物16に対する収率8%)を得た。
使用NMR装置:AVANCEIII
H−NMR:δ 7.80(s,1H),7.66−7.64(m,2H),7.21(s,1H),7.16−7.15(m,2H),5.45(q,J=7.2Hz,1H),1.92(d,J=7.2Hz,3H)。
実施例8:[18F]CDP1880標識前駆体化合物(化合物19)の合成
1,2−エタンジオール 1−[1−(5−オキソ−2,3,6,7−テトラヒドロ−1H,5H−ベンゾ[ij]キノリジン−9−イル)エチル]−1H−イミダゾール−5−アセテート 4−メチルベンゼンスルホネート([18F]CDP1880の標識前駆体化合物、化合物19)は、図6に示すスキームに従って合成した。
[ステップ8−1]2−[(4−メチルベンゼンスルホニル)オキシ]エタン−1−オール(化合物18)の合成
エチレングリコール(6.71mL,120mmol)をピリジン(2.90mL,36.0mmol)に溶解したのち、4−ジメチルアミノピリジン(36.7mg,0.300mmol)を加えた。氷冷下、4−メチルベンゼン−1−スルホニルクロライド(5.72g,30.0mmol)を加え、アルゴン雰囲気下、室温(25℃)にて2時間撹拌した。反応終了後、ジクロロメタンで希釈したのち、0.5mol/L塩酸を加えた。ジクロロメタンで3回抽出を行い、合わせたジクロロメタン層を無水硫酸ナトリウムで乾燥後減圧濃縮し、得られた粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィー(溶離液(体積比):ヘキサン/酢酸エチル=2/1)にて精製を行い、2−[(4−メチルベンゼンスルホニル)オキシ]エタン-1-オール(5.27g,24.4mmol,4−メチルベンゼン−1−スルホニルクロライドに対する収率81%)を得た。
使用NMR装置:AVANCEIII
H−NMR:δ7.82−7.81(m,2H),7.37−7.35(m,2H),4.16−4.14(m,2H),3.84−3.81(m,2H)2.46(s,3H),1.94−1.89(m,1H)。
[ステップ8−2][18F]CDP1880の標識前駆体化合物(化合物19)の合成
ステップ6−1に示す方法で得られた化合物11(150mg,0.461mmol)をジクロロメタン(10mL)に溶解したのち、4−ジメチルアミノピリジン(5.6mg,0.0461mmol)、トリエチルアミン(0.193mL,1.38mmol)を加えた。氷冷下、2−メチル−6−ニトロ安息香酸無水物(238mg,0.692mmol)を加え,アルゴン雰囲気下、0℃で20分撹拌した。氷冷下、ステップ8−1で得た化合物18(199mg,0.922mmol)を加え、アルゴン雰囲気下、0℃で1.5時間撹拌した。反応終了後、反応溶液を減圧濃縮し、得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液(体積比):酢酸エチル→酢酸エチル/メタノール=50/1)にて精製を行い、化合物19(182mg,0.348mmol,収率75%)を得た。
使用NMR装置:AVANCEIII
1H−NMR:δ7.79−7.77(m,2H),7.73(s,1H),7.67(s,1H),7.33−7.32(m,2H),6.80(m,2H),6.19(q,J=7.1Hz,1H),4.44−4.39(m,2H),4.30−4.28(m,2H),3.86−3.84(m,2H),2.85−2.82(m,2H),2.76−2.73(m,2H),2.64−2.61(m,2H),2.44(s,3H),1.94−1.89(m,2H),1.81(d,J=7.1,3H)。
実施例9:[18F]CDP1880の合成
18F]フッ化物イオン含有[18O]水(1990MBq、合成開始時補正値)を、Sep−Pak(登録商標)Light QMA(商品名、日本ウォーターズ株式会社製)に通液し、[18F]フッ化物イオンを吸着捕集した。次いで、該カラムに炭酸カリウム水溶液(42.4μmol/L、0.3mL)及びクリプトフィックス222(商品名、メルク社製)(14mg、37.2μmol)のアセトニトリル(0.7mL)溶液を通液して、[18F]フッ化物イオンを溶出した。これをアルゴンガスの通気下110℃に加熱して水を蒸発させた後、アセトニトリル(0.3mL×2)を加えて共沸させ乾固させた。ここに実施例8で合成した1,2−エタンジオール 1−[1−(5−オキソ−2,3,6,7−テトラヒドロ−1H,5H−ベンゾ[ij]キノリジン−9−イル)エチル]−1H−イミダゾール−5−アセテート 4−メチルベンゼンスルホネート(化合物19)(10mg、28.2μmol)を溶解したアセトニトリル溶液(0.3mL)を加え、110℃で10分加熱した。反応終了後、注射用水(1.0mL)を加え、下記の条件のHPLCに付して、実施例6で得たCDP1880と保持時間が同じ画分を分取した。
<HPLC条件>
カラム:CAPCELL PAK C18MG(商品名、資生堂社製、サイズ:10mmφ×250mm)
移動相:0.2体積%ジエチルアミンを含む水/0.2体積%ジエチルアミンを含むアセトニトリル(体積比)=60/40
流速:3.0mL/分
検出器:紫外可視吸光光度計(検出波:254nm)
当該画分に水(50mL)を添加した液を逆相カラム(商品名:Sep−Pak C18 Light,Waters社製)に通液し、[18F]CDP1880を当該カラムに吸着捕集した。このカラムを水(40mL)で洗浄した後、ジエチルエーテル(1mL)を通液して[18F]CDP1880を溶出させた後、ジエチルエーテルを留去することで、[18F]CDP1880を得た。得られた放射能は333MBq(合成開始後94分)であった。また、下記の条件によるTLC分析を行ったところ、その放射化学的純度は100%であった。
<TLC分析条件>
TLCプレート:Silica Gel 60 F254(製品名、メルク社製)
展開相:酢酸エチル/ジエチルアミン(体積比)=100/1
RI検出器:Rita Star、raytest社製
評価1:親和性及び選択性の評価
チャイニーズハムスター肺由来線維芽細胞であるV79細胞(DSファーマバイオメディカル株式会社を介しECACC(European Collection of Cell Cultures)から入手)にヒトCYP11B2を発現させV79−B2を、またヒトCYP11B1を発現させ、V79−B1を作製した。V79−B2又はV79−B1をマイクロプレートに播種し、一晩培養した後、V79−B2にはコルチコステロン,V79−B1には11−デオキシコルチゾールを最終濃度が100nmol/Lになるように培養上清中に添加した。同時に、最終濃度が10−4〜103nmol/Lになるように培養上清中に、(R)−メトミデート((R)−MTO),(R)−ヨードメトミデート((R)−IMTO),(R)−1−(1−フェニルエチル)−1H−イミダゾール−5−カルボン酸の2−フルオロエチルエステル((R)−FETO)((R)−FETO)、又は、実施例1、4〜7で合成したCDP1200,1220,1700,1880,1910をそれぞれ添加した。1時間後にV79−B1の培養上清を回収し、CYP11B1の代謝産物であるコルチゾール濃度をELISA(Enzyme−Linked ImmunoSorbent Assay)により測定した。また、4時間後にV79−B2の培養上清を回収し、CYP11B2の代謝産物であるアルドステロン濃度をELISAにより測定した。(R)−MTO,(R)−IMTO,(R)−FETO,CDP1200,1220,1700,1880,1910をいずれも添加しなかった場合のアルドステロン濃度、及び、コルチゾール濃度を100%として、阻害曲線を作成し,各化合物の阻害活性(IC50)を算出した。
表1には、(R)−MTO,(R)−IMTO,(R)−FETO,CDP1200,1220,1700,1880,1910のアルドステロン産生のIC50,コルチゾール産生のIC50を、平均値±標準偏差で示した。表1中、nは試験数であり、Selectivity factorは、コルチゾール産生のIC50の平均値/アルドステロン産生のIC50の平均値を示す。
Figure 2015110563
以上の結果から、CDP1200,1220,1700,1880,1910は、既知のステロイド合成酵素阻害剤に比較して、CYP11B2に対する特異性が高いことが示された。
評価2:体内動態分布実験[1]
実施例3に記載の方法で得た[123I]CDP1200を生理食塩水で希釈したものを投与液とした。麻酔下で、約3.7MBq、約40μLを3匹のラット(雄,8〜9週齢)へそれぞれ尾静脈注射した後、10分後に放血死させ、血液及び臓器(心臓、肺、胃、肝臓、脾臓、小腸、大腸、腎臓、膀胱、筋肉、脳、副腎、甲状腺、精巣)を摘出して、残全身とともに、重量を計量後、血液、各摘出臓器及び残全身の放射能を測定した。また、投与後の時間点を30分後及び60分後に変えて同様な操作を行った。表2には、血液、各摘出臓器及び残全身における放射能分布(%dose/g)の平均値±標準偏差を示す。
Figure 2015110563
表3〜5には、表2に示した副腎の放射能集積(%ID/g)、並びに、血液、肝臓、腎臓、小腸及び筋肉の各臓器の放射能集積(%ID/g)に対する副腎の放射能集積(%ID/g)の比率を示す。表3が投与後10分の結果を示し、表4が投与後30分の結果を示し、表5が投与後60分の結果を示す。また、比較のため、(R)−4−[123I]ヨードメトミデート((R)−[123I]IMTO)を用いて同条件で体内分布実験を行った結果も合わせて示した。
Figure 2015110563
Figure 2015110563
Figure 2015110563
表2〜5で示すように、[123I]CDP1200は、副腎には、血液及び周辺組織に対して高い放射能集積が認められた。
評価3:体内動態分布実験[2]
実施例9に記載の方法で得た[18F]CDP1880を生理食塩水で希釈したものを投与液とした。麻酔下で、約3.7MBq、約40μLを3匹のラット(雄,8〜9週齢)へそれぞれ尾静脈注射した後、10分後に放血死させ、血液及び臓器(心臓、肺、胃、肝臓、脾臓、小腸、大腸、腎臓、膀胱、筋肉、脳、副腎、大腿骨、精巣)を摘出して、残全身とともに、重量を計量後、血液、各摘出臓器及び残全身の放射能を測定した。また、投与後の時間点を30分後及び60分後に変えて同様な操作を行った。表6には、血液、各摘出臓器及び残全身における放射能分布(%dose/g)の平均値±標準偏差を示す。
Figure 2015110563
表7〜9には、表6に示した副腎の放射能集積(%ID/g)、並びに、血液、肝臓、腎臓、小腸及び筋肉の各臓器の放射能集積(%ID/g)に対する副腎の放射能集積(%ID/g)の比率を示す。表7が投与後10分の結果を示し、表8が投与後30分の結果を示し、表9が投与後60分の結果を示す。また、比較のため、(R)−1−(1−フェニルエチル)−1H−イミダゾール−5−カルボン酸 2−[18F]フルオロエチルエステル([18F]FETO)を用いて同条件(ただし、試験数は表7が2例、表8及び表9が3例)で体内分布実験を行った結果も合わせて示した。表7〜9中、[18F]CDP1880の結果は平均値±標準偏差を示し、[18F]FETOの結果は平均値(表7)及び平均値±標準偏差(表8及び表9)を示す。
Figure 2015110563
Figure 2015110563
Figure 2015110563
表6〜9で示すように、[18F]CDP1880は、副腎には、血液及び周辺組織に対して高い放射能集積が認められた。
評価4:ヒト血漿中安定性実験
正常ヒト血漿プール(ヘパリン処理)(コージンバイオ,lot.BJ3370A)5.0mLを15mLチューブに分注し、凍結保存したものを、37℃の温浴で融解、インキュベーションした。次いで、実施例9に記載の方法で得た、100MBqの[18F]CDP1880を添加し、37℃の温浴で撹拌した。攪拌10、30、60、120分後、各1.0mLを15mLチューブに回収し、メタノール2.0mLを加えて、攪拌、遠心(3,600rpm,4℃,10分)した後,上清を回収し、実施例9と同条件でTLC分析を行った。標品として、[18F]CDP1880の原液を用いた。
その結果、何れの攪拌時間においても、標品のTLC分析結果と同様な結果が得られ、[18F]CDP1880以外のピークは確認されなかった。従って、[18F]CDP1880は、血漿中で安定であることが示された。

Claims (8)

  1. 下記一般式(1)で表される化合物又はその塩。
    Figure 2015110563
    〔式中、Rは、ハロゲン原子、又は、−COCH(Rは、水素原子、炭素数1〜3のハロアルキル基、ハロゲン化フェニル基、又はハロゲン化ビニル基)であり、
    は水素原子、Rは水素原子もしくはシアノ基、Rは、水素原子、又は、
    〜Rが結合して水素化されたキノリジン骨格を形成する。
    ただし、Rが−COCHであり、Rが水素原子又は炭素数1〜3のハロアルキル基であるとき、R、R及びRがいずれも水素原子である場合を除く。〕
  2. 前記一般式(1)において、Rが−COCH(ただし、Rがハロゲン化フェニル基、又は、ハロゲン化ビニル基)であり、R、R及びRがいずれも水素原子である、請求項1に記載の化合物又はその塩。
  3. 前記一般式(1)において、Rが放射性ハロゲン化フェニル基である、請求項2に記載の化合物又はその塩。
  4. 前記一般式(1)において、Rが−COCH(ただし、Rが水素原子、又は、炭素数1〜3のハロアルキル基)であり、R〜Rが結合して水素化されたキノリジン骨格を形成した、下記一般式(2)で表される、請求項1に記載の化合物又はその塩。
    Figure 2015110563
    〔式中、Rは水素原子、又は、炭素数1〜3のハロアルキル基である。〕
  5. 前記一般式(1)において、Rが−COCH(ただし、Rが炭素数1〜3のハロアルキル基)であり、R〜Rが結合して水素化されたキノリジン骨格を形成した、下記一般式(5)で表される、請求項1又は4に記載の化合物又はその塩。
    Figure 2015110563
    〔式中、nは1〜3の整数であり、Xは放射性ハロゲン原子である。〕
  6. 前記一般式(1)において、Rがハロゲン原子であり、R及びRは水素原子であり、Rはシアノ基である、請求項1に記載の化合物又はその塩。
  7. 請求項1乃至6いずれか1項に記載の化合物又はその塩を含む医薬。
  8. 請求項1乃至6いずれか1項に記載のアルドステロン合成酵素阻害剤。
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