JP2015099721A - スパークプラグ - Google Patents

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Abstract

【課題】 この発明は、中心電極及び接地電極の少なくとも一方にチップが設けられたスパークプラグにおいて、前記チップの異常消耗を抑制することで、耐久性に優れたスパークプラグを提供することを課題とする。【解決手段】 中心電極と前記中心電極との間に間隙を設けて配置された接地電極とを備え、前記中心電極と前記接地電極との少なくとも一方は前記間隙を形成するチップを有し、前記チップは、組成がPtを主成分とし、Rhが5質量%以上及びNiが0質量%以上8質量%未満である本体部と、前記本体部の中心から前記間隙に向かう方向に延びる軸線の径方向外側に向かう表面に少なくとも設けられ、Niを8質量%以上含有し、その厚さが2μm以上である表面層とを有することを特徴とするスパークプラグ。【選択図】 図2

Description

この発明は、スパークプラグに関する。この発明は、特に、中心電極及び接地電極の少なくとも一方にチップが設けられたスパークプラグに関する。
スパークプラグは、自動車エンジン等の内燃機関の点火用に使用される。スパークプラグは、一般に、筒状の主体金具と、この主体金具の内孔に配置される筒状の絶縁体と、この絶縁体の先端側内孔に配置される中心電極と、一端が主体金具の先端側に接合され、他端が中心電極との間に火花放電間隙を有する接地電極とを備える。そして、スパークプラグは、内燃機関の燃焼室内で、中心電極の先端部と接地電極の先端部との間に形成される火花放電間隙に火花放電され、燃焼室内に充填された燃料を燃焼させる。
中心電極及び接地電極を形成する材料としては、Ni合金等が一般に使用される。Ni合金は、耐酸化性及び耐消耗性に関してPt及びIr等の貴金属を主成分とした貴金属合金に比べると多少劣る。しかし、貴金属に比べて安価であるため接地電極及び中心電極を形成する材料として好適に使用される。
近年、燃焼室内の温度が高温化する傾向にある。そのため、Ni合金等で形成された、接地電極の先端部と中心電極の先端部との間で火花放電が生じると、接地電極及び中心電極との対向するそれぞれの先端部が火花消耗を生じ易くなることがある。そこで、接地電極と中心電極との対向するそれぞれの先端部にチップを設け、このチップで火花放電が生じるようにすることで接地電極及び中心電極の耐消耗性を向上させる方法が開発されている。
このチップを形成する材料としては、耐酸化性及び耐火花消耗性に優れる貴金属を主成分とする材料が使用されることが多い。そのような材料として、Ir、Ir合金、Pt合金等がある。また、チップの耐久性を向上させる目的で、Irを主成分とする芯材の表面に保護被膜層等を設けたチップが提案されている(例えば、特許文献1及び2)。
特開2004−31300号公報 特開2012−38733号公報 特開2002−359050号公報
ところで、近年、スパークプラグにおいては、エンジンの高出力化及び燃費向上を図るために、燃料室内のプラグ周辺に燃料を直接噴射する直噴ガソリンエンジン、及び空気に対する燃料の混合比を小さくして高酸素濃度雰囲気で燃焼を可能とするリーンバーンエンジン等が開発されている。
このようなエンジンでは、スパークプラグに耐酸化性を有することが要求される。そのため、中心電極及び接地電極に設けられるチップを形成する材料としては、耐火花消耗性に優れることで知られるIr合金よりも耐酸化性に優れることで知られるPt合金の方が耐久性を確保できると考えられてきた。特に、PtにRhを含有させることで耐酸化性及び耐火花消耗性を向上させたPt−Rh合金が好適であると考えられてきた。
しかしながら、Pt−Rh合金からなるチップを備えたスパークプラグを、直噴ガソリンエンジンで用いると、直噴ガソリンエンジンは、高酸素濃度雰囲気であるリーンバーン状態でチップ表面に吸気ガスや燃料が直撃しやすいので、チップにおける特定の部位、特に、チップの吸気バルブ側の側面において異常消耗が発生することがあることが分った。このチップの側面における異常消耗は、スパークプラグが高温で高酸素濃度の燃焼室内で使用され、チップの表面に吸気ガスや燃料が直撃し易く、また、チップの周辺の酸素濃度や温度の変化の大きい条件下にチップが置かれた場合に起こり易いことが分った。
特許文献3において、Ir合金において発生する異常消耗が示されている。Pt−Rh合金からなるチップの側面における異常消耗は、特許文献3の異常消耗とは、その消耗のメカニズムが異なる。特許文献3に開示されている、Irと20質量%のRhとを含有した貴金属チップは、「放電部の放電面ではない外周側面を円弧上にえぐるような形態で異常消耗が生じ」(段落番号0005欄)るのに対し、Pt−Rh合金からなるチップは、チップにおける一方の側面全体が消失するような形態で異常消耗が生じる。両者の消耗のメカニズムが異なることは、両者の消耗形態が異なっていることからも分る。
この発明は、中心電極及び接地電極の少なくとも一方にチップが設けられたスパークプラグにおいて、前記チップの異常消耗を抑制することで、耐久性に優れたスパークプラグを提供することを目的とする。
前記課題を解決するための手段は、
[1] 中心電極と、前記中心電極との間に間隙を設けて配置された接地電極と、を備えるスパークプラグであって、
前記中心電極と前記接地電極との少なくとも一方は前記間隙を形成するチップを有し、
前記チップは、組成がPtを主成分とし、Rhが5質量%以上及びNiが0質量%以上8質量%未満である本体部と、前記本体部の中心から前記間隙に向かう方向に延びる軸線の径方向外側に向かう表面に少なくとも設けられ、Niを8質量%以上含有し、その厚さが2μm以上である表面層とを有することを特徴とするスパークプラグである。
前記[1]の好ましい態様は、
[2] 前記本体部の組成は、Niが0質量%以上1質量%以下である。
[3] 前記[1]又は[2]に記載のスパークプラグにおいて、前記表面層は、Niを40質量%以上含有し、その厚さが2μm以上である。
[4] 前記[1]〜[3]のいずれか一つに記載のスパークプラグにおいて、前記間隙を形成する前記チップの面から前記間隙の位置する側とは反対側に向かって厚さ0.2mmの領域は、前記領域の全質量に対して、NiとNiより融点の低い元素との合計含有率が7質量%以下である。
[5] 前記[1]〜[4]のいずれか一つに記載のスパークプラグにおいて、前記チップを有する前記中心電極又は前記チップを有する前記接地電極は、前記チップにおける前記本体部が露出している面を、前記中心電極又は前記接地電極に接合することにより形成されていることを特徴とするスパークプラグである。
[6] 前記[1]〜[5]のいずれか一つに記載のスパークプラグにおいて、前記チップが前記接地電極から0.15mm以上突出しており、0.15mm以上突出した任意の位置において、前記本体部の中心から前記間隙に向かう方向に延びる軸線方向の径方向における断面を観察したときに、大気と接する外周面において、曲率半径R0.33mm以上の部分が存在することを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載のスパークプラグである。
この発明によると、中心電極と接地電極との少なくとも一方に設けられたチップが、前記組成を有する本体部の表面のうち本体部の中心から間隙に向かう方向に延びる軸線の径方向外周面(側面と称することもある)に少なくとも設けられ、Niを8質量%以上含有し、その厚さが2μm以上である表面層を有するので、スパークプラグが高温で高酸素濃度の燃焼室内で使用され、チップの表面に吸気ガスが直撃し易く、また、チップの周辺の酸素濃度や温度の変化の大きい条件下にチップが置かれても、チップの側面における異常消耗を抑制することにより、耐久性に優れたスパークプラグを提供することができる。
図1は、この発明に係るスパークプラグの一実施例であるスパークプラグの一部断面全体説明図である。 図2は、図1におけるスパークプラグにおけるチップを拡大して示した要部説明図である。 図3は、チップの組成を測定する位置を示す断面説明図である。 図4は、この発明に係るスパークプラグの別の一実施例であるスパークプラグの一部断面要部説明図である。 図5は、チップにおける低融点元素の組成を測定する領域を示す上面説明図である。
この発明に係るスパークプラグの一実施例であるスパークプラグを図1に示す。図1はこの発明に係るスパークプラグの一実施例であるスパークプラグ1の一部断面全体説明図である。なお、図1では紙面下方すなわち後述する接地電極が配置されている側を軸線Oの先端方向、紙面上方を軸線Oの後端方向として説明する。
このスパークプラグ1は、図1に示されるように、軸線O方向に延びる軸孔2を有する略円筒形状の絶縁体3と、前記軸孔2内の先端側に配置された略棒状の中心電極4と、前記軸孔2内の後端側に配置された端子金具5と、前記中心電極4と前記端子金具5とを前記軸孔2内で電気的に接続する接続部6と、前記絶縁体3を保持する略円筒形状の主体金具7と、一端部が前記主体金具7の先端部に接合されると共に他端部が前記中心電極4と間隙Gを介して対向するように配置された接地電極8とを備え、前記接地電極8にはその先端部の側面にチップ9が設けられている。
前記絶縁体3は、軸線O方向に延びる軸孔2を有し、略円筒形状を有している。絶縁体3は、後端側胴部11と、大径部12と、先端側胴部13、脚長部14とを備えている。後端側胴部11は、端子金具5を収容し、端子金具5と主体金具7とを絶縁する。大径部12は、該後端側胴部よりも先端側において径方向外向きに突出している。先端側胴部13は、該大径部12の先端側において接続部6を収容し、大径部12より小さい外径を有する。脚長部14は、該先端側胴部13の先端側において中心電極4を収容し、先端側胴部13より小さい外径及び内径を有する。先端側胴部13と脚長部14との内周面は棚部15を介して接続されている。この棚部15に後述する中心電極4の鍔部16が当接するように配置され、中心電極4が軸孔2内に固定されている。先端側胴部13と脚長部14との外周面は段部17を介して接続される。この段部17に後述する主体金具7のテーパ部18が板パッキン19を介して当接し、絶縁体3が主体金具7に対して固定されている。絶縁体3は、絶縁体3における先端方向の端部が主体金具7の先端面から突出した状態で、主体金具7に固定されている。絶縁体3は、機械的強度、熱的強度、電気的強度を有する材料で形成されることが望ましい。このような材料として、例えば、アルミナを主体とするセラミック焼結体が挙げられる。
前記絶縁体3の軸孔2内には、その先端側に中心電極4、後端側に端子金具5、中心電極4と端子金具5との間には接続部6が設けられている。接続部6は、中心電極4及び端子金具5を軸孔2内に固定すると共にこれらを電気的に接続する。前記接続部6は、抵抗体21と、第1シール体22と、第2シール体23とにより形成されている。抵抗体21は、伝播雑音を低減するために配置されている。第1シール体22は、該抵抗体21と中心電極4との間に設けられている。第2シール体23は、該抵抗体21と端子金具5との間に設けられている。抵抗体21は、ガラス粉末、非金属導電性粉末及び金属粉末等を含有する組成物を焼結して形成され、その抵抗値は通常100Ω以上である。第1シール体22及び第2シール体23は、ガラス粉末及び金属粉末等を含有する組成物を焼結して形成され、その抵抗値は通常100mΩ以下である。この実施態様における接続部6は、抵抗体21と第1シール体22と第2シール体23とにより形成されているが、抵抗体21と第1シール体22と第2シール体23の少なくとも1つにより形成されていてもよい。
前記主体金具7は、略円筒形状を有しており、絶縁体3を内装することにより絶縁体3を保持するように形成されている。主体金具7における先端方向の外周面にはネジ部24が形成されている。このネジ部24を利用して図示しない内燃機関のシリンダヘッドにスパークプラグ1が装着される。前記主体金具7は、ネジ部24の後端側にフランジ状のガスシール部25を有し、ガスシール部25の後端側にスパナやレンチ等の工具を係合させるための工具係合部26、工具係合部26の後端側に加締め部27を有する。加締め部27及び工具係合部26の内周面と絶縁体3の外周面との間に形成される環状の空間にはリング状のパッキン28,29及び滑石30が配置され、絶縁体3が主体金具7に対して固定されている。ネジ部24の内周面における先端側は、脚長部14に対して空間を有するように配置されている。そして、径方向内向きに突出する突起部32における後端側のテーパ状に拡径するテーパ部18と絶縁体3の段部17とが環状の板パッキン19を介して当接している。主体金具7は、導電性の鉄鋼材料、例えば、低炭素鋼により形成されることができる。
端子金具5は、中心電極4と接地電極8との間で火花放電を行うための電圧を外部から中心電極4に印加するための端子である。端子金具5は、絶縁体3の後端側からその一部が露出した状態で軸孔2内に挿入されて第2シール体23により固定されている。端子金具5は、低炭素鋼等の金属材料により形成されることができる。
前記中心電極4は、前記接続部6に接する後端部34と、前記後端部34から先端側に延びる棒状部35とを有する。後端部34は、径方向外向きに突出する鍔部16を有する。該鍔部16が絶縁体3の棚部15に当接するように配置され、軸孔2内周面と後端部34の外周面との間に第1シール体22が充填されていることで、中心電極4は、その先端が絶縁体3の先端面から突出した状態で絶縁体3の軸孔2内に固定され、主体金具7に対して絶縁保持されている。中心電極4における後端部34と棒状部35とは、Ni合金等の中心電極4に使用される公知の材料で形成されることができる。中心電極4は、Ni合金等により形成される外層と、Ni合金よりも熱伝導率の高い材料により形成され、該外層の内部の軸心部に同心に埋め込まれるように形成されてなる芯部とにより形成されてもよい。芯部を形成する材料としては、例えば、Cu、Cu合金、Ag、Ag合金、純Ni等を挙げることができる。
前記接地電極8は、例えば、略角柱形状に形成されてなり、一端部が主体金具7の先端部に接合され、途中で略L字状に屈曲され、他端部が中心電極4の先端部との間に間隙Gを介して対向するように形成されている。前記接地電極8は、Ni合金等の接地電極8に使用される公知の材料で形成されることができる。また、中心電極4と同様に接地電極の軸芯部にNi合金よりも熱伝導率の高い材料により形成される芯部が設けられていてもよい。
前記チップ9は、この実施形態においては円柱状であり、接地電極8のみに設けられている。前記チップ9は、その形状は特に限定されず、中心電極4のみに設けられていてもよいし、接地電極8と中心電極4との両方に設けられていてもよい。また、接地電極8及び中心電極4に設けられたチップのうち少なくとも一方のチップが、後述する特性を有する材料により形成されたチップにより形成されていればよく、他方のチップはチップとして用いられる公知の材料で形成されてもよい。前記チップ9は、レーザ溶接及び抵抗溶接等の適宜の方法により接地電極8における中心電極4に対向する面に接合されている。この実施形態のスパークプラグ1における間隙Gは、接地電極8に設けられたチップ9と中心電極4との間の最短距離である。この間隙Gは、通常、0.3〜1.5mmに設定される。図4に示すように、接地電極108,208に設けられたチップ109,209の先端面と、中心電極104に設けられたチップ309の側面とが対向するように設けられているスパークプラグ101の場合には、接地電極108の先端部に設けられたチップ109と中心電極104に設けられたチップ309との対向するそれぞれの対向面の間の最短距離が間隙G’となり、この間隙G’で火花放電が生じる。
この発明の特徴部分であるチップについて、以下に詳細に説明する。
図2に示すように、この実施形態のチップ9は、本体部41と、この本体部41の周側面すなわち本体部41の中心から間隙Gに向かう方向に延びる軸線Aの径方向外周面(側面と称することもある。)に設けられている表面層42と、を有する。
前記本体部41の組成は、Ptを主成分とし、Rhが5質量%以上及びNiが0質量%以上8質量%未満である。前記本体部41の組成は、Ptを主成分とし、Rhが5質量%以上45質量%以下及びNiが0質量%以上7質量%以下であるのが好ましい。前記本体部41の組成は、Ptを主成分とし、Rhが5質量%以上45質量%以下及びNiが0質量%以上1質量%以下であるのがより好ましい。なお、「主成分」とは、本体部41に含まれる成分のうちで最も質量割合の多い成分のことをいう。前記本体部41が前記組成範囲にあると、耐火花消耗性及び耐酸化性に優れるものの、この本体部41の全表面が露出している場合には後述する異常消耗が発生し易くなる。特に、Niの含有率が少なくなるほど異常消耗が発生し易くなる。しかし、この発明のチップは、本体部の表面のうち異常消耗が発生し易い面に少なくとも表面層を有するので、異常消耗の発生を抑制することができる。
チップ9に発生する異常消耗について、まず説明する。これまで、Pt合金からなるチップ9は、耐火花消耗性及び耐酸化性に優れると考えられてきた。しかし、スパークプラグが高温で高酸素濃度の燃焼室内で長時間稼働され、チップ9の表面に吸気ガスが直撃し易く、また、チップ9の周辺の酸素濃度及び温度の変化の大きい条件下にチップ9が置かれた場合に、チップ9における特定の部位(例えば、チップ9の側面)が消失してしまう現象(異常消耗)が発生することがあった。このチップ9が消失してしまう現象は、チップ9における吸気ガスが直撃し易い部位に発生し、排気バルブのある側に面している部位には発生していない。この現象は、火花放電によってチップ9の放電面が消失する火花消耗とは異なる。また、チップ9が酸化することによりチップ9の全表面の一部が消失する単純な酸化消耗とも異なる。したがって、火花消耗とも酸化消耗とも異なるこのようなチップ9の特定部位が消失する現象を「異常消耗」と称する。
異常消耗は、Pt合金からなるチップ9のうちRhの含有率が5質量%以上及びNiの含有率が8質量%未満、特に7質量%以下であるチップ9で特に発生し易い。一方、組成が前記範囲内にあるチップ9は、耐火花消耗性及び耐酸化性に優れるので、異常消耗の発生を抑制することができれば、耐久性の良好なスパークプラグを提供することができる。そこで、本発明者らは、前記組成を有する本体部41の表面のうち少なくとも異常消耗が生じやすい面に後述する表面層42を設けることで異常消耗の発生を抑制することを考え、本発明に至った。
前記表面層42は、Niを8質量%以上含有し、その厚さが2μm以上である。前記表面層42は、Niを40質量%以上含有し、その厚さが2μm以上であるのが好ましい。表面層42におけるNiの含有率が前記範囲内にあり、Niの含有率が8質量%以上であり、好ましくは40質量%以上である部分の厚さが2μm以上であると、本体部41に含有されるRhが酸化し難くなる。その結果、チップ9に異常消耗が生じ難くなる。Niの含有率が8質量%未満であると、Ni酸化物の被膜が十分に形成されず、異常消耗が生じやすくなる。表面層42の厚さが2μm未満では、組成に関わらず緻密な膜が形成されず、表面層42を本体部41の表面に設けたことによる異常消耗の発生を抑制する効果が得られない。また、表面層42の厚さが2μm未満では、スパークプラグ1の稼働時間の経過と共に本体部41と表面層42とにおける元素が相互拡散し、表面層42による異常消耗の発生を抑制する効果が低下してしまう。
前記表面層42を前記本体部41の表面の少なくとも一部に設けることにより、異常消耗の発生を抑制できるのは次のような理由であると考えられる。まず、異常消耗は次のようなメカニズムによって発生すると考えられる。チップに異常消耗が発生するときのチップの置かれた環境では、吸気バルブ側から吸気ガスがチップの表面に直撃するので、その場に吸気ガスが滞留し易く、局所的に酸素濃度が上がると共に温度が急激に下がり、その後、燃焼により急激に温度が上がると共に酸素濃度が下がる。チップの置かれた環境では、このような雰囲気の変化が繰り返される。内燃機関の燃料室内のように、大気中と比較して酸素が少ない環境下において、Rh酸化物の酸素解離圧は、Pt及びNi酸化物のそれと比較して酸化と還元のサイクルが生じ易い領域にあるので、酸素濃度が高くかつ比較的温度の低い酸化雰囲気でRhが酸化してRh酸化物を形成し、その後、酸素濃度が低くかつ比較的温度の高い還元雰囲気でRh酸化物が還元されて金属Rhを形成する。このようにしてチップの表面でRh酸化物の形成と金属Rhへの還元とが繰り返される。酸素濃度や温度の変化がそれほど大きくなければ、金属Rhが酸化せずにそのまま存在したり、金属Rhが酸化して緻密なRh酸化物の膜が形成されたりすることで優れた耐酸化性を示すはずである。しかし、Rh酸化物と金属Rhとでは体積が異なり、金属Rhが酸化されてRh酸化物になると体積が大きくなり、Rh酸化物が還元されて金属Rhになると体積が小さくなるので、このような酸化還元がチップの表面で繰り返されることにより、チップ9表面は海綿状になる。海綿状になったチップの表面は剥離して脱落し易くなり、異常消耗という現象を生じる。純Ptチップ及びIr合金チップでこのような現象が生じない理由は、Ptの場合はそもそも酸素解離圧が非常に高く、内燃機関の燃焼室内のように酸素が少ない環境下では、Ptは酸化しないためと考える。また、Irの場合は、わずかな酸素濃度でも揮発性酸化物であるIrOを生成しやすく、雰囲気が変化しても酸化還元のサイクルが生じないためであると考えられる。
一方、PtとRhとを含有する前記本体部41の表面の少なくとも一部に、Niを本体部41よりも多く含有する前記表面層42が設けられていると、Niの酸化物は、Rhの酸化物と比較して酸素解離圧が低いので、酸化し易く還元され難く、チップ9の表面にNi酸化物の被膜が形成される。すなわち、チップ9がRhが酸化還元する環境下に置かれても、Niは酸化してNi酸化物を形成したままで還元され難い。チップ9の表面がNi酸化物の被膜で覆われていれば、本体部41の表面付近の酸素濃度はRhが酸化する解離圧以下になり、Rhが酸化し難くなる。本体部41の表面に表面層42が設けられていると、このようにして本体部41の表面におけるRhの酸化還元が生じ難くなることで、チップ9の表面が海綿状になるのを防止して、異常消耗を抑制することができる。また、Niは接地電極8及び中心電極4の主成分であることが多いので、チップ9と接地電極8又は中心電極4とを溶接する際に形成される溶融部43と表面層42との間で拡散が起こりやすく、溶融部43と表面層42との境界で表面層42が剥離し難い。その結果、表面層42による異常消耗の発生を抑制する効果が長期間にわたって発揮される。
前記表面層42は、Ptと同じ面心立方格子構造を有する金属元素を含有するのが好ましく、そのような金属元素のうちPtと全率固溶する金属元素を含有するのが特に好ましい。そのような元素として、Ptを挙げることができる。すなわち、前記表面層42は、Ni以外の元素としてPtを含有するのが好ましい。前記表面層42が面心立方格子構造を有する金属元素であって、Ptと全率固溶する金属元素を含有すると、表面層42内に析出物が形成され難く、また、本体部41と表面層42との間の元素の相互拡散によって大きな体積変化を生じることなく、それによって密着性が良好になり、表面層42内におけるクラックの発生及び表面層42の剥離が生じるのを抑えることができる。また、元素の相互拡散によるチップ9自身の熱伝導率の低下を最低限に抑えることができ、チップ9の過熱を抑制できる。
前記表面層42は、Rhより高融点の元素の含有率が表面層42の全質量に対して30質量%未満であるのが好ましく、10質量%以下であるのがより好ましく、1質量%以下であるのが最も好ましい。Rhより高融点の元素としては、例えば、W、Mo、Ta、Nb、Hf、Ir、Ru、及びRe等を挙げることができる。これらの元素はNiと合金化することで脆くなりやすく、Pt及びRhと比較して酸素解離圧が低く、表面層42の内部で酸化し易い。そのため、これらの元素の含有率が多すぎると、内部酸化による圧縮応力によって表面層42や本体部41と表面層42の境界部分でクラックが生じやすくなり、冷熱サイクルが加えられると表面層42の剥離が生じやすくなる。従って、表面層42におけるこれらの元素の含有率が少ないほど、表面層42の剥離を防止することができる。また、これら高融点の元素は、本体部41に含有させる場合においても、上記含有率に抑えるのが好ましい。本体部41にこれらの元素が多量に含有されていると、スパークプラグ1の使用により本体部41におけるこれらの元素が表面層42に拡散することで、表面層42に含有するのと同じように、悪影響を及ぼすためである。
前記表面層42は、Niより低融点の元素の含有率が表面層42の全質量に対して10質量%未満であるのが好ましく、含まないのが最も好ましい。Niより低融点の元素としては、例えば、Fe、Al、Si、Co、Cu、Au、及びAg等を挙げることができる。これらの元素は融点が低いので、表面層42におけるこれらの元素の含有率が少ないほど、表面層42の耐火花消耗性の劣化を抑制することができる。
この発明におけるチップ9は、本体部41の組成が、Ptを主成分とし、Rhが5質量%以上及びNiが0質量%以上8質量%未満であり、表面層42の組成が、Niが8質量%以上であればよく、本体部41と表面層42とは、それぞれ5質量%より小さい含有率で、不可避不純物を含有していてもよい。本体部41における不可避不純物としては、例えば、Al、Si、Fe、Cu等を挙げることができる。表面層42における不可避不純物としては、例えば、Al、Si、Mn、P等を挙げることができる。これらの不可避不純物の含有率は少ない方が好ましいが、この発明の課題を達成することができる範囲内で含有していてもよく、前述した成分の合計質量を100質量部としたときに、前述した1種類の不可避不純物の割合は0.1質量部以下、含有される全種類の不可避不純物の合計割合は0.2質量部以下であるのがよい。
前記本体部41及び前記表面層42における各成分の含有率は次のようにして求めることができる。まず、チップ9の軸線Aを含む断面で切断して切断面を露出させる。図3に示すように、前記本体部41の組成は、前記切断面における中心付近について、EPMAを利用して、WDS(Wavelength Dispersive X-ray Spectrometer)分析を行うことにより、各測定箇所における質量組成を測定する。すなわち、軸線A方向における切断面の端部から端部までの線分の中心を通り、前記軸線Aに直交する方向における切断面の端部から端部までの線分の中心を中心点Cとして、この中心点Cでスポット径100μmの領域の分析値を本体部41の組成とする。前記表面層42の組成は、前記切断面の端部から内側へ2μmの位置においてスポット径1μmの領域を分析することにより、その測定点における組成を表面層42の組成として求めることができる。
前記表面層42の厚さは、軸線Aに直交する方向の前記線分L上を1μm間隔で元素分析し、線分Lの端部から他端に向かう測定点において、Niの含有率が8質量%以上である部分の長さとして求めることができる。また、表面層42の厚さが20μm以上の場合は、10μm間隔で分析してもよい。前記表面層42は、本体部41の表面に設けられているので、Niの含有率が8質量%以上である点は、通常、前記線分L上の一端から他端に向かって一定の長さにわたって存在する。軸線Aに直交する方向の任意の複数の前記線分L上を元素分析することにより、チップ9の側面における任意の位置の厚さを求めることができる。
前記表面層42は、本体部41の全表面のうち吸気ガスが直撃し易い部位に少なくとも設けられていればよく、本体部41の全表面に設けられていてもよい。吸気ガスが直撃し易い部位としては、図1に示すスパークプラグ1においては、中心電極4及び接地電極8のいずれに結合されるチップ9についても、本体部41の周側面すなわち本体部41の軸線Aの径方向外周面であり、図4に示すスパークプラグ101においては、中心電極104に結合されているチップ309については中心電極104に結合されている面以外の全表面、接地電極108,208に結合されているチップ109,209については本体部の周側面のうち軸線O’の先端側に臨む面である。
前記表面層42は、本体部41の全表面に設けられていてもよいが、接地電極8に結合されている面には設けられていないのが好ましい。すなわち、チップ9における本体部41が露出している面を、接地電極8に抵抗溶接、若しくはレーザ溶接、若しくは抵抗溶接を行った後にレーザ溶接を行い、これらを接合して、チップ9を有する接地電極8を形成するのが好ましい。チップ9における接地電極8に結合される面には吸気ガスが直撃することはなく、この面に異常消耗は発生しないので、表面層42を設けても本願発明の効果が得られない。また、チップ9における接地電極8に結合される面に表面層42が設けられていると、後述するように、チップ9を接地電極8に抵抗溶接、若しくはレーザ溶接、若しくはその両方により接合する際に、チップ9及び接地電極8等が溶融して、溶融した粒子が接合部の周辺に飛散して付着するおそれがあり、それによってスパークプラグの品質を維持できず製造不良となるおそれがある。したがって、チップ9における接地電極8に接合される面は、そのうちの少なくとも一部が本体部41により形成されているのが好ましく、前記面はその全面が本体部41のみにより形成されているのが特に好ましい。
前記間隙Gを形成する前記チップ9の先端面から前記間隙Gの位置する側とは反対側に向かって厚さ0.2mmの領域について、前記領域の全質量に対して、NiとNiより融点の低い元素との合計含有率が、0質量%を超え7質量%以下であるのが好ましい。図1に示すスパークプラグ1のように、中心電極4の先端と接地電極8に設けられた円柱状のチップ9の先端面との間に間隙Gが形成されている場合には、図2に示すように、チップ9における前記領域Tは、円柱状のチップ9の先端部分の厚さ0.2mmの領域Tであって、その領域Tは円盤状体である。前記領域Tには、本体部41及び表面層42が含まれている。チップ9の先端面から厚さ0.2mmの範囲内の領域にチップ9を接地電極8に溶接した際に形成された溶融部43が含まれる場合には、前記領域には、本体部41と表面層42と溶融部43とが含まれる。また、図4に示すスパークプラグ101のように、中心電極104に設けられたチップ309の側面と接地電極108,208に設けられたチップ109,209の先端面との間に間隙G’が形成されている場合には、図5に示すように、中心電極104に設けられたチップ309における前記領域Tは、チップ309の軸線O’方向の先端側からみて接地電極108に設けられたチップ109に最も近い点Eにおける接線Fとこの接線Fを前記間隙G’の位置する側とは反対側に向かって0.2mm移動した第2接線Fとの間に含まれる領域Tであって、その領域Tは円弧切欠き柱状体である。Niより融点の低い元素としては、例えば、Fe、Al、Si、Co、Cu、Au、及びAg等を挙げることができる。
前記領域T1、におけるNiとNiより融点の低い元素との合計含有率が前記範囲内にあると、異常消耗の発生を抑制すると共に、耐消耗性に優れたスパークプラグを提供することができる。NiとNiより融点の低い元素は、主に表面層42に含有されるので、前記領域T1、におけるNiとNiより融点の低い元素との合計含有率によって前記領域T1、における表面層42の占める体積がある程度示される。前記表面層42の厚さは、前述したように、2μm以上であればよく、その上限値はこの発明の課題を達成できる範囲で適宜設定されればよく、例えば、本体部41の直径以下である。しかし、表面層42が厚くなるほど異常消耗の発生を抑制できる一方で、表面層42が厚くなるほど本体部の体積が小さくなるので、逆に耐消耗性に劣るようになる。したがって、前記領域T1、におけるNiとNiより融点の低い元素との合計含有率を前記範囲内にすることで、異常消耗の発生を抑制すると共に、耐消耗性に優れたスパークプラグを提供することができる。
チップにおける前記領域の、NiとNiより融点の低い元素との合計含有率は、次のようにして測定することができる。まず、前記間隙を形成しているチップの先端面から前記間隙Gの位置する側とは反対側に向かって0.2mmの位置でチップを切断する。切断したチップの先端側の円盤状体を溶解した後に、化学分析(ICP発光法)により前記元素の質量割合を測定することができる。
チップ9の形状は、この実施態様においては円柱状であるが、特に限定されず、円柱状以外に、楕円柱状、角柱状、及び板状等の適宜の形状を採用することができる。チップ9が接地電極8の表面から突出しており、吸気ガスが直撃し易い形状を有するチップであるほど、異常消耗が発生し易い。したがって、この発明のチップが以下の2つの条件の両方を満たすチップであると、異常消耗の発生をより一層抑制することができる。
(1)チップが接地電極の表面から0.15mm以上突出している
(2)接地電極に設けられているチップの、接地電極の表面から前記表面に直交する方向に0.15mm以上の任意の位置で、チップの軸線Aに直交する断面で切断して得られた切断面の輪郭の少なくとも一部の曲率半径Rが0.33mm以上である、すなわち前記切断面を観察したときに、大気と接する外周面において、曲率半径Rが0.33mm以上の部分が存在する
前記条件(1)及び(2)を満たすチップ9としては、例えば、半径が0.33mm以上で高さが0.15mm以上の円柱状のチップを挙げることができる。なお、チップ9が接地電極8に設けられている場合だけでなく、中心電極に設けられている場合についても、前記条件(1)及び(2)の両方を満たすチップであると、より一層効果が得られる。なお、チップが接地電極の表面から0.6mm以上突出していると、より一層異常消耗が生じやすくなるため、この発明の効果が得られる。
前記チップは、変形例として、前記本体部と前記表面層との間に拡散層を有していてもよい。前記拡散層は、本体部の表面に表面層を設けたチップに熱処理を施すことで、本体部と表面層との間で元素が相互拡散し、それによって形成された層である。したがって、前記拡散層は、本体部の組成から表面層の表面部における組成へと次第に組成が変化する傾斜構造を有する。前記チップが、このような傾斜構造を有していると、本体部と表面層との密着性が良好になり、表面層が本体部から剥離し難くなり、長期間にわたって表面層による異常消耗の抑制効果が発揮される。
本体部と表面層との密着性を考慮する場合、前記拡散層の厚さは、少なくとも2μm以上であるのが好ましい。但し、拡散層が厚くなりすぎると、前記本体部と表面層の合金化が進むことで熱伝導率が低下し、火花消耗しやすくなる。従って、拡散層の厚さは200μm未満であるのが好ましい。前記拡散層の厚さが前記範囲内にあると、耐火花消耗性を確保しつつ本体部と表面層との密着性が良好になり、表面層が本体部から剥離し難くなる。前記拡散層の厚さは、表面層の厚さを求める場合と同様にして求めることができる。すなわち、図3に示すように、チップの切断面において軸線Aに直交する方向の任意の線分L上を元素分析し、線分Lの端部から他端に向かう測定点において、Niの含有率が次第に変動する領域の線分L上の長さを拡散層の厚さとして求めることができる。ここで、Niの含有率が次第に変動するとしているが、ほとんどの場合は、Niの含有率の多い表面層からNiの含有率の少ない本体部へ向かって、Niの含有率は減少する。ただし、本体部と表面層を構成する元素が3つ以上の場合であって、本体部と表面層の相互拡散によって析出物を形成するような場合には、チップの表面から中心に向かってNiの含有率が増大する場合がありうる。また、このような場合にも、この発明の範囲内であれば、異常消耗抑制の効果を得ることができる。
前記スパークプラグ1は、例えば次のようにして製造される。まず、チップ9は、本体部41となる芯材を製造し、この芯材の表面に表面層42を形成することにより製造される。
本体部41となる芯材を製造する際には、まず、各成分の含有率が前述した範囲となる金属成分を配合し、原料粉末を用意する。これをアーク溶解してインゴットを形成し、このインゴットを熱間鍛造して、棒材とする。次に、この棒材を複数回溝ロール圧延して、必要に応じてスエージングを行い、ダイス引きにて伸線加工を施すことによって、断面円形状の丸棒材とし、この丸棒材を所定の長さに切断する。この丸棒材の表面に表面層を形成し、この表面層が形成された丸棒材をチップ9としての所望の長さに切断することによって、本体部41の表面に表面層42が設けられたチップ9を製造する。なお、本体部41となる芯材の形状は円柱状に限定されず、例えば前記インゴットを四角形ダイスを用いて伸線加工を行い、角材に加工し、その角材を所定の長さに切断することによって例えば角棒状に形成することもできる。
前記芯材の表面に表面層42を形成する方法としては、特に限定されないが、電解めっき処理、無電解めっき処理、化学蒸着法、物理蒸着法、及び芯材に円筒の棒材を張り合わせて加工する異種材の接合(クラッド材)等を挙げることができる。
電解めっき処理、もしくは無電解めっき処理により芯材の表面に表面層42を形成する場合には、前述した組成を有する表面層42が形成されるように、めっき浴の組成や電流値、電圧値や熱処理条件などを制御してめっき処理することにより形成される。芯材の表面に異なる組成のめっきを連続して形成させて複層構造としても良い。化学蒸着法(CVD)としては、MOCVD、PECVD、LPCVD、常圧CVD、CCVD等を挙げることができる。物理蒸着法(PVD)としては、真空蒸着法、DCスパッタリング、高周波スパッタリング等の各種スパッタリング法、高周波イオンプレーディング等の各種イオンプレーディング法、分子線エピタキシー法、レーザアブレーション法、イオン化クラスタビーム蒸着法、イオンビーム蒸着法等を挙げることができる。
芯材の全表面のうちの一部に表面層42を形成し、本体部41の一部が露出するチップ9を製造する方法としては、芯材の全表面に表面層42を形成した後に、表面層42を備えた芯材を該芯材の軸線に垂直に切断することで、本体部の一部が露出したチップを製造する方法、及び芯材の全表面に表面層42を形成した後に一部の表面層42を切削及び切断等して除去することによりチップにおける任意の部位に本体部が露出したチップを製造する方法等を挙げることができる。
この発明におけるチップ9は、前記工程に加えて、熱処理工程を行って、前記本体部41と前記表面層42における元素が相互拡散することにより形成される拡散層を形成してもよい。熱処理工程は、芯材の表面に前記表面層42を形成した後に、例えば、600〜1300℃の温度に0〜10時間維持することにより行われる。0時間維持とは、昇温してすぐに降温させることを示す。加熱方法は、特に限定されず、電気炉を用いて雰囲気制御して加熱してもよいし、バーナーによって加熱してもよい。また、前記熱処理工程を複数回行ってもよい。
中心電極4にチップが接合される場合には、接地電極8に接合されるチップ9と同様の方法によりチップを製造してもよいし、従来公知の方法によりチップを製造してもよい。
中心電極4及び接地電極8は、例えば、真空溶解炉を用いて、所望の組成を有する合金の溶湯を調製し、線引き加工等して、所定の形状及び所定の寸法に適宜調整して、作製することができる。中心電極4が、外層とこの外層の軸心部に埋め込まれるように設けられた芯部とにより形成されている場合には、中心電極4はカップ状に形成したNi合金等からなる外材に、外材より熱伝導率の高いCu合金等からなる内材を挿入し、押し出し加工等の塑性加工にて、外層の内部に芯部を有する中心電極4を形成する。接地電極8もまた中心電極4と同様に外層と芯部とにより形成されてもよく、この場合には中心電極4と同様にしてカップ状に形成した外材に内材を挿入し、押し出し加工等の塑性加工した後、略角柱状に塑性加工したものを、接地電極8にすることができる。
次いで、所定の形状に塑性加工等によって形成した主体金具7の端面に、接地電極8の一端部を電気抵抗溶接又はレーザ溶接等によって接合する。次いで、接地電極8が接合された主体金具7にZnめっき又はNiめっきを施す。Znめっき又はNiめっきの後に3価クロメート処理を行ってもよい。また、接地電極に施されためっきは剥離してもよい。
次いで、上述のように作製したチップ9を接地電極8に抵抗溶接及び/又はレーザ溶接等により溶融固着する。抵抗溶接でチップ9を接地電極8に接合する場合には、例えば、チップ9を接地電極8の所定位置に設置して押し当てながら抵抗溶接を施す。レーザ溶接でチップ9を接地電極8に接合する場合には、例えば、チップ9を接地電極8の所定位置に設置し、チップ9と接地電極8との接触面と平行方向からチップ9と接地電極8との接触部分を部分的に又は全周に渡ってレーザビームを照射する。抵抗溶接をした後にレーザ溶接を施してもよい。本体部41の全表面に表面層42が設けられたチップ9を接地電極8に接合する場合には、チップ9及び接地電極8が溶融して、溶融した粒子が接合部の周辺に飛散して付着するおそれがあり、それによってスパークプラグの品質を維持できず製造不良となるおそれがある。一方、チップ9における接地電極9に接合される面に表面層42が設けられておらず、本体部41が露出しているチップ9であると、チップ9を接地電極8に接合する際に、チップ9及び接地電極8の溶融した粒子が飛散するのを防止することができ、製造不良となるスパークプラグの数を低減することができる。したがって、製造不良となるスパークプラグの数を低減できる点で、チップ9は、チップ9における接地電極8に接合される面において、本体部が露出しているのが好ましい。なお、中心電極4にチップを接合する場合には、接地電極8にチップ9を接合する方法と同様にして接合することができる。
一方、セラミック等を所定の形状に焼成することによって絶縁体3を作製し、この絶縁体3の軸孔2内に中心電極4を挿設し、第1シール体22を形成する組成物、抵抗体21を形成する組成物、第2シール体23を形成する組成物をこの順に前記軸孔2内に予備圧縮しつつ充填する。次いで前記軸孔2内の端部から端子金具5を圧入しつつ前記組成物を圧縮加熱する。こうして前記組成物が焼結して抵抗体21、第1シール体22及び第2シール体23が形成される。次いで接地電極8が接合された主体金具7にこの中心電極4等が固定された絶縁体3を組み付ける。最後に接地電極8の先端部を中心電極4側に折り曲げて、接地電極8の一端が中心電極4の先端部と対向するようにして、スパークプラグ1が製造される。
本発明に係るスパークプラグ1は、自動車用の内燃機関例えばガソリンエンジン等の点火栓として使用され、内燃機関の燃焼室を区画形成するヘッド(図示せず)に設けられたネジ穴に前記ネジ部24が螺合されて、所定の位置に固定される。この発明に係るスパークプラグ1は、如何なる内燃機関にも使用することができる。この発明に係るスパークプラグ1は、高温で高酸素濃度の燃焼室内で使用され、チップの表面に吸気ガスが直撃し易く、また、チップの周辺の酸素濃度及び温度の変化の大きい条件にチップが置かれても、チップの側面における異常消耗の発生を抑制することができるので、例えば、リーンバーン状態で運転される直噴ガソリンエンジン等の内燃機関に特に好適である。
この発明に係るスパークプラグ1は、前述した実施例に限定されることはなく、本発明の目的を達成することができる範囲において、種々の変更が可能である。例えば、前記スパークプラグ1は、中心電極4の先端面と接地電極8に設けられたチップ9の先端面とが、軸線O方向で、間隙Gを介して対向するように配置されているが、この発明において、図4に示すように、中心電極104に設けられたチップ309の側面と接地電極108,208に設けられたチップ109,209の先端面とが、中心電極の半径方向で、間隙G’を介して対向するように配置されていてもよい。この場合に、中心電極に設けられたチップ309の側面に対向する接地電極は、単数が設けられても、複数が設けられてもよい。
<スパークプラグ試験体の作製>
(試験番号1〜59)
表面層を有する表面層有チップは、本体部となる芯材を製造し、電解めっき処理又は異種材料の張り合わせ(クラッド)によって、この芯材の表面に表面層を形成することにより製造した。
電解めっき処理により表面層を形成する場合、芯材は、所定の組成を有する原料粉末を配合し、アーク溶解してインゴットを形成し、このインゴットを熱間鍛造、熱間圧延及び熱間スエージングし、さらに、伸線加工を施すことによって、直径0.35mmで所定の長さの丸棒材とし、この丸棒材の周側面に、電解めっき処理によって所定の組成を有する表面層を形成し、その後所定の長さに切断することによって、直径0.35mm、高さ0.6mmの円柱状の本体部を有し、本体部の周側面に表面層が形成された表面層有チップを得た。
異種材料の張り合わせ(クラッド)により表面層を形成する場合、芯材は、所定の組成を有する原料粉末を配合し、アーク溶解してインゴットを形成し、このインゴットを熱間鍛造、熱間圧延及び熱間スエージングし、さらに、伸線加工を施すことによって、所定の長さの丸棒材とし、この丸棒材の周側面に、所定の組成を有する表面層に相当する円筒の材料を張り合わせて伸線加工を行い、所定の長さに切断することによって、直径0.35mm、高さ0.6mmの円柱状の本体部を有し、本体部の周側面に表面層が形成された表面層有チップを得た。
また、いずれの手法で本体部の表面に表面層を形成させた場合も、表面層を形成した後、必要に応じて熱処理を行ったチップについては、本体部と表面層との間で元素の拡散が生じ、拡散層が形成されるので、本体部の直径は0.35mm未満となった。
表面層無チップは、表面層有チップにおける芯材と同様にして直径0.35mmの丸棒材を形成し、これを所定の長さに切断することによって、直径0.35mm、高さ0.6mmの円柱状の表面層無チップを形成した。
得られた表面層有チップのうちの一部については、次いで、熱処理工程として、電気炉で600〜1300℃の範囲内における所定の温度で、0〜10時間の範囲における所定の時間維持して、本体部と表面層との間に拡散層を形成した。
得られた表面層無チップ及び表面層有チップ(チップと総称することもある)をインコネル601により形成された接地電極に抵抗溶接した後、レーザ溶接により接合し、図1に示す構造を有するスパークプラグ試験体を製造した。
(試験番号60〜81)
本体部の直径を0.7mmに変更し、表面層の厚さ、本体部及び表面層の組成を変更したこと以外は試験番号1〜59と同様にしてスパークプラグ試験体を製造した。なお、本体部はPtを主成分とし、Rhを10%含有している。表面層におけるNi以外の元素は、本体部に含まれる元素のみとなるように作製した。
(試験番号82〜90)
表5に示すように、チップの半径を変更したこと以外は試験番号9、19と同様にしてスパークプラグ試験体を製造した。あわせて、後述する「異常消耗の評価」をするために、表面層無チップを用いたときの異常消耗開始時間tを測定するのに用いるサンプルとして、試験番号82〜90と同じ半径を有する表面層無チップを備えたスパークプラグ試験体を作製した。
<チップの組成及び表面層の厚さの測定方法>
チップの組成は、EPMA(日本電子株式会社製JXA-8500F)のWDS分析を行うことにより、質量組成を測定した。
本体部の組成については、チップをその軸線Aを含む平面で切断し、この切断面において前述したように中心付近の質量組成を測定した(加速電圧:20kV、スポット径:100μm)。
表面層の組成については、スポット径を1μmとして、前記切断面において軸線Aに直交する方向の任意の2つの線分L上を1μm間隔で質量組成の測定を行い、切断面の端部すなわち線分Lの端部から他端に向かって2μmの位置のNiの含有率を測定し、これらの測定値の算術平均値を表面Ni含有率として表1に示した。
なお、表1の表面層における「Ni以外の含有元素」の欄の記号の意味は次の通りである。
「*1」は、Ni以外の成分を100質量%としたときに本体部と同じ組成を有することを示す。
「*2」は、Ni以外の元素が本体部に含まれる元素のみであることを示す(組成は異なる)。
「Pt」は、Ni以外の成分がPtのみであることを示す。
その他の記号は、Niを含めて100質量%としたときの成分比を示す。
表面層の厚さについては、前記2つの線分Lの端部から他端に向かって質量組成を測定し、Niの含有率が8質量%以上である部分の長さを求め、これらの算術平均値を表面層の厚さとして表1に示した。前記表面Ni含有率が8質量%未満である場合には、表面層の厚さは、線分Lの端部から他端に向かって質量組成を測定し、Niの含有率が表面Ni含有率の80%になるまでの部分の長さを表面層の厚さとした。
また、前記線分Lの端部から他端に向かって質量組成を測定し、Niの含有率が次第に変動する部分が2μm以上あった場合には、拡散層があると判断した。
<Ni及び低融点元素の測定方法>
図2に示すように、間隙Gを形成しているチップの面から前記間隙Gの位置する側とは反対側に向かって0.2mmの位置でチップを切断し、チップの先端側の円盤状体を必要数量溶解した後に、化学分析(ICP発光法)により、Ni及びNiより融点の低い元素の質量割合を測定した。測定結果を表3に示す。
<耐久試験方法>
製造したスパークプラグ試験体を、試験用の過給器付エンジン(初期放電電圧20kV以上、排気量660cc、3気筒)に、吸気ガスが接地電極に設けたチップに直撃し易いように、接地電極を吸気ガスの流れを邪魔しない位置に調整して取付けた。空燃比(空気/燃料)は11.3、スロットル全開で、エンジン回転数6000rpmの状態を維持し、100時間運転を行う耐久試験を行った。接地電極母材の先端から1mmの位置の温度を熱電対によって測定したところ、950℃であった。
<異常消耗の評価>
前記耐久試験において、チップにおける吸気ガスが直撃する部位に消耗が生じているのが観察された場合、異常消耗が発生していると判断して、異常消耗の発生開始時間を測定した。表面層無チップを用いたときの異常消耗開始時間tに対する表面層無チップと同じ組成を有する本体部の表面に表面層を設けた表面層有チップを用いたときの異常消耗開始時間tの比(t/t)を算出し、以下の基準にしたがって異常消耗の評価を行った。結果を表1及び表2に示す。

★:前記比(t/t)が2.5以上のとき
☆:前記比(t/t)が2以上2.5未満のとき
◎:前記比(t/t)が1.5以上2未満のとき
○:前記比(t/t)が1.3以上1.5未満のとき
×:前記比(t/t)が1.3未満のとき
−:表面層無チップにおいて異常消耗の発生なし
Figure 2015099721
Figure 2015099721
<耐消耗性の評価>
前記耐久試験の前後に間隙Gの長さを測定し、耐久試験の前後での間隙Gの増加量を算出した。表面層無チップを用いたときの間隙増加量Hに対して、表面層有チップを用いたときの間隙増加量Hの間隙増加割合{(H−H)/H}×100を算出し、以下の基準にしたがって耐消耗性の評価を行った。結果を表3に示す。

○:前記間隙増加割合が20%以下のとき
−:前記間隙増加割合が20%を超えるとき
Figure 2015099721
<本体部への表面層の被覆部位の違いによる評価>
試験番号10のチップを接地電極に抵抗溶接する溶接試験を1000個のチップについて行った。溶接後における接地電極からチップの先端までの寸法が、溶接前のチップの高さより0.1mm小さくなるように溶接した後に、チップ及び接地電極が溶融して飛散した金属粒子が接合部の周辺に付着しているのが観察され、その金属粒子が直径0.1mm以上であった場合に、スパッタが発生したと判断して、スパッタが発生したチップの数をカウントした。また、本体部の全表面に表面層が設けられていること以外は試験番号10と同じである試験番号81のチップについても同様の試験を行った。スパッタの発生率を算出し、以下の基準にしたがって評価した。結果を表4に示す。

○:スパッタ発生率が3%未満
−:スパッタ発生率が3%以上
Figure 2015099721
<チップ径の違いによる異常消耗の評価>
表5に示すように、円柱状のチップの半径を変化させたこと以外は試験番号9及び19と同様のチップを備えたスパークプラグ試験体を用いて、「異常消耗の評価」と同様にして評価を行った。なお、表5に示す試験番号82〜90の表面層有チップの異常消耗の発生開始時間tと、これと同じ半径を有する表面層無チップの異常消耗の発生開始時間tとを測定し、比(t/t)を算出し、算出された値によって異常消耗を評価した。
Figure 2015099721
表1に示されるように、本発明における本体部の組成の範囲外の組成を有する試験番号1〜6のチップは、異常消耗が発生しなかった。このことから、特定の組成を有するチップに異常消耗が発生することが分る。また、表1に示されるように、表面層のない表面層無チップに比べて、Niを8質量%以上含有し、その厚さが2μm以上である表面層が設けられた表面層有チップは異常消耗の発生が抑制された。一方、Niの含有率が8質量%以上及びその厚さが2μm以上という条件のうちいずれか一方を満たさない表面層が設けられた表面層有チップは異常消耗の発生が抑制されなかった。なお、試験番号14、29、30、52、53、54のチップでは、本体部と表面層との境界部分で微細なクラックが生じていた。試験番号34、55、56、57のチップでは、本体部と表面層との境界部分でより大きなクラックが生じていた。試験番号58のチップでは、本体部41と表面層42との境界部分でさらに大きなクラックが生じていた。
表2に示されるように、Niを100%含有する表面層を備えた試験番号20のチップは、異常消耗の発生が抑制されたのに対し、Agを100%含有する表面層を備えた試験番号59のチップは、異常消耗の発生が抑制されなかった。このことから、Niを含有する表面層を設けることで異常消耗の発生を抑制することができることが分る。
表3に示されるように、チップの先端面から厚さ0.2mmの範囲におけるNi及び低融点元素の含有率が7質量%以下であると、表面層のないチップに劣らない耐消耗性を維持することができることが分る。
表4に示されるように、本体部の全表面に表面層が設けられている試験番号81のチップに比べて、本体部の周側面のみに表面層が設けられている試験番号10のチップの方が、スパッタ発生率が低かった。したがって、本体部の周側面のみに表面層が設けられているチップは、スパークプラグを製造する際に製造不良の発生を抑制することができる。
表5に示されるように、チップの半径が大きいほど、異常消耗の発生を抑制することができた。このことから、吸気ガスが直撃し易く、異常消耗が発生し易くなるような半径の大きいチップであるほど、本発明のチップは異常消耗の発生の抑制効果が高いことが分る。
1、101 スパークプラグ
2 軸孔
3 絶縁体
4、104 中心電極
5 端子金具
6 接続部
7 主体金具
8、108、208 接地電極
9、109、209、309 チップ
11 後端側胴部
12 大径部
13 先端側胴部
14 脚長部
15 棚部
16 鍔部
17 段部
18 テーパ部
19 板パッキン
21 抵抗体
22 第1シール体
23 第2シール体
24 ネジ部
25 ガスシール部
26 工具係合部
27 加締め部
28,29 パッキン
30 滑石
32 突起部
34 後端部
35 棒状部
41 本体部
42 表面層
43 溶融部
G、G’ 火花放電間隙

Claims (6)

  1. 中心電極と、前記中心電極との間に間隙を設けて配置された接地電極と、を備えるスパークプラグであって、
    前記中心電極と前記接地電極との少なくとも一方は前記間隙を形成するチップを有し、
    前記チップは、組成がPtを主成分とし、Rhが5質量%以上及びNiが0質量%以上8質量%未満である本体部と、前記本体部の中心から前記間隙に向かう方向に延びる軸線の径方向外側に向かう表面に少なくとも設けられ、Niを8質量%以上含有し、その厚さが2μm以上である表面層とを有することを特徴とするスパークプラグ。
  2. 前記本体部の組成は、Niが0質量%以上1質量%以下であることを特徴とする請求項1に記載のスパークプラグ。
  3. 前記表面層は、Niを40質量%以上含有し、その厚さが2μm以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載のスパークプラグ。
  4. 前記間隙を形成する前記チップの面から前記間隙の位置する側とは反対側に向かって厚さ0.2mmの領域は、前記領域の全質量に対して、NiとNiより融点の低い元素との合計含有率が7質量%以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のスパークプラグ。
  5. 前記チップを有する前記中心電極又は前記チップを有する前記接地電極は、前記チップにおける前記本体部が露出している面を、前記中心電極又は前記接地電極に接合することにより形成されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のスパークプラグ。
  6. 前記チップが前記接地電極から0.15mm以上突出しており、0.15mm以上突出した任意の位置において、前記本体部の中心から前記間隙に向かう方向に延びる軸線方向の径方向における断面を観察したときに、大気と接する外周面において、曲率半径R0.33mm以上の部分が存在することを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載のスパークプラグ。
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