JP2015098578A - (メタ)アクリル系重合体の製造方法及び(メタ)アクリル系重合体 - Google Patents

(メタ)アクリル系重合体の製造方法及び(メタ)アクリル系重合体 Download PDF

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Abstract

【課題】高分子量であって、分子量分布が狭く、かつ純度の高い(メタ)アクリル系重合体を低コストで製造する方法を提供する。
【解決手段】(メタ)アクリル系単量体を含む単量体成分及び光重合開始剤を含有する組成物に活性エネルギー線を照射して(メタ)アクリル系重合体を製造するに際し、重合反応中の反応温度を測定し、その検出温度に応じて活性エネルギー線の照射量を調整する。前記活性エネルギー線の照射量は、前記検出温度が、設定温度±20℃の範囲内となるように調整することが好ましい。
【選択図】図1

Description

本発明は、活性エネルギー線を照射することにより(メタ)アクリル系重合体を製造する方法、及びこれにより得られる(メタ)アクリル系重合体に関するものである。
(メタ)アクリル系重合体は、(メタ)アクリル酸、若しくはこれらのエステル等を重合させることにより得られ、透明性、耐候性及び加工性等に優れることから、塗料、コーティング剤、接着剤及び建築材料等、種々の分野で使用されている。
(メタ)アクリル系重合体から得られるフィルム、塗膜、成形体等について、その強度や強靭性、耐熱性等の性能を向上するためには、一般に重合体の高分子量化及び分子量分布の狭小化が望まれる場合が多い。これ以外にも、高性能化または耐着色・黄変等の観点から、触媒や低分子量化合物等の含有量の少ない、純度の高い重合体を要求されることも少なくない。
分子量の高い重合体を得るのに適した重合方法としては、懸濁重合、乳化重合、高モノマー濃度条件下での溶液重合及びバルク重合(塊状重合)等が挙げられる。これらの内、懸濁重合は、得られた重合体と分散媒とを分離する場合に溶剤留去等の操作を要するため、製造コストが高くなる点で不利である。さらに、用いる分散剤へのグラフト化が生じるため、純度の高い重合体を得難いという問題がある。また、乳化重合の場合も、乳化剤又は分散剤等の不純物の混入が避けられない。
これに対し、高モノマー濃度条件下での溶液重合及びバルク重合(塊状重合)は、高分子量の重合体を高重合率で得るのに適した重合方法である。しかしながら、熱開裂型開始剤を用いたいわゆる熱重合の場合には、重合熱による発熱により開始剤の分解が促進され、更に発熱が生じることとなるため、反応温度の制御が極めて難しい。その結果として、分子量分布の狭い重合体を得ることが困難である。上記の発熱を制御する手段として重合温度を低く設定した場合には、重合反応が安定に進行しないという問題が生ずる。
このため、光開始剤を利用した上記重合方法による(メタ)アクリル系重合体の製造方法が各種提案されている。
例えば、特許文献1及び2には、アクリル系単量体、熱重合開始剤及び光重合開始剤からなる重合性組成物を押出機に供給し、熱重合させた後、更に紫外線を照射して光重合させるアクリル系重合体の製造方法が開示されている。また、特許文献3には、(メタ)アクリル酸エステルモノマー及び光開始剤を含有する組成物に紫外線を照射し、低温で光重合させた後、高温に加熱してさらに光重合させる(メタ)アクリル酸エステルポリマーの製造方法が記載されている。
特許文献4には、アクリル系モノマー、特定のアクリル系ポリマー、光重合開始剤及び架橋剤を含有し、実質的に溶媒を含有しない組成物に紫外線を多段階に変化させて照射し該組成物を反応させる方法が記載されている。
特開平7−224102号公報 特開平7−324102号公報 特開2009−292936号公報 特開2003−49130号公報
しかしながら、特許文献1及び2に記載の方法では、熱重合により得られる重合体の割合が高いため、分子量分布の狭い重合体を得ることは困難であった。また、特許文献3に記載の方法は光重合のみによるものであるが、特定の温度範囲において、特定の照射強度の紫外線を連続的若しくは断続的に照射する方法が記載されるのみである。その実施例では、一定温度に維持したモノマー組成物に紫外線を連続的に照射する実験例が示されているが、例えば、反応スケールや重合組成等により、重合熱を十分に除熱できなかった場合には、分子量分布の狭い重合体を得ることは困難なものであった。
特許文献4に記載の方法は、アクリル系ポリマー及びアクリル系シロップを含む組成物を光重合するものであり、分子量分布の狭い重合体を得るものではなかった。また、シート状の薄層状態での重合プロセスに限定されるものでもあった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、高分子量で分子量分布が狭く、かつ純度の高い(メタ)アクリル系重合体を低コストで製造する方法を提供することである。
上記課題を解決するために鋭意検討した結果、本発明者らは、光開始剤を用いた重合において、重合反応温度に応じて活性エネルギー線の照射量を調整することにより分子量分布の狭い重合体を得ることが可能となることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明は以下の通りである。
〔1〕(メタ)アクリル系単量体を含む単量体成分及び光重合開始剤を含有する組成物に活性エネルギー線を照射し、前記単量体を重合させることにより(メタ)アクリル系重合体を製造する方法であって、活性エネルギー線を照射して重合を開始した後、重合反応中の反応温度を測定し、その検出温度に応じて前記活性エネルギー線の照射量を調整することを特徴とする(メタ)アクリル系重合体の製造方法。
〔2〕前記検出温度が、設定温度±20℃の範囲内となるよう、前記活性エネルギー線の照射量を調整することを特徴とする前記〔1〕記載の(メタ)アクリル系重合体の製造方法。
〔3〕前記重合反応中の反応温度が、放射温度計により測定されることを特徴とする前記〔1〕又は〔2〕記載の(メタ)アクリル系重合体の製造方法。
〔4〕前記単量体成分におけるアクリル系単量体の含有量が50mol%以上であることを特徴とする前記〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の(メタ)アクリル系重合体の製造方法。
〔5〕前記〔1〕〜〔4〕に記載の製造方法により得られる(メタ)アクリル系重合体であって、ガラス転移温度が50℃以下であることを特徴とする(メタ)アクリル系重合体。
本発明の製造方法によれば、高分子量で分子量分布が狭く、かつ純度の高い(メタ)アクリル系重合体を低コストで得ることができる。また、これらの特徴から、得られた重合体は、強度及び強靭性の機械的物性、並びに、耐着色・黄変等の光学特性に優れるものであることが期待される。
実施例11で用いた重合反応装置の概略図である。
以下、本発明について詳しく説明する。尚、本願明細書においては、アクリル及び/又はメタクリルを(メタ)アクリルと、アクリレート及び/又はメタクリレートを(メタ)アクリレートと、また、アクリロイル基及びメタクリロイル基を(メタ)アクリロイル基と表す。
<単量体成分について>
本発明では、(メタ)アクリル系単量体を含む単量体成分を重合させることにより(メタ)アクリル系重合体を得る。本発明では、前記単量体成分は、(メタ)アクリル系単量体を必須とする単量体成分を示すものである。
前記(メタ)アクリル系単量体としては、(メタ)アクリル酸及びこれらの塩、(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド類等のアクリロイル基又はメタクリロイル基を有する化合物が挙げられる。
(メタ)アクリレートとしては、分子内に1個の(メタ)アクリロイル基を有する化合物〔以下、「単官能(メタ)アクリレート」という〕が好ましい。
単官能(メタ)アクリレートとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、及びステアリル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート;シクロヘキシル(メタ)アクリレート、トリシクロデカン(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルオキシエチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート及びアダマンチル(メタ)アクリレート等の脂環式(メタ)アクリレート;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等の水酸基含有(メタ)アクリレート;2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシルカルビトール(メタ)アクリレート、エトキシエトキシエチル(メタ)アクリレート等のアルコキシアルキル(メタ)アクリレート;フェノキシエチル(メタ)アクリレート、o−フェニルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、p−クミルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノール誘導体のアルキレンオキサイド変性物の(メタ)アクリレート及び2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート等の芳香族(メタ)アクリレート;テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート;N−(メタ)アクリロイルオキシエチルテトラヒドロフタルイミド及びN−(メタ)アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタルイミド等のマレイミド(メタ)アクリレート;グリシジル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸のポリカプロラクトン変性物、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートのポリカプロラクトン変性物、3−(トリメトキシシリル)プロピル(メタ)アクリレート、3−(トリエトキシシリル)プロピル(メタ)アクリレート、3−(メチルジメトキシシリル)プロピル(メタ)アクリレート、3−(メチルジエトキシシリル)プロピル(メタ)アクリレート並びにオキサゾリジノンエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
上記の内でも、重合性が良好である点から、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート及びシクロヘキシル(メタ)アクリレート等の炭素数1〜8のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート及び脂環式アルキル(メタ)アクリレートが好ましい。より好ましくは、高い重合率が得られる点から、ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート及び2−エチルヘキシル(メタ)アクリレートである。
上記、単官能(メタ)アクリレート以外にも、分子内に2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物〔以下、「多官能(メタ)アクリレート」という〕を用いてもよい。
多官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、3−メチル−1,5−ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、2−ブチル−2−エチル−1,3−ノナンジオールジアクリレート、2−メチル−1,8−オクタンジオールジ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−1,3−ジ(メタ)アクリロイルオキシプロパン、2−ヒドロキシ−3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート等のポリオールポリ(メタ)アクリレート;これらポリ(メタ)アクリレートの原料アルコールのアルキレンオキサイド〔エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイド等〕付加物のポリ(メタ)アクリレート;これらポリ(メタ)アクリレートの原料アルコールのカプロラクトン変性物のポリ(メタ)アクリレート;エチレンオキサイド変性イソシアヌル酸のジ(メタ)アクリレート及びエチレンオキサイド変性イソシアヌル酸のトリ(メタ)アクリレート等のアルキレンオキサイド変性イソシアヌル酸のポリ(メタ)アクリレート等が挙げられるが、これらに限らない。
多官能(メタ)アクリレートとしては、オリゴマーも使用することができ、具体的にはウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート及びエポキシ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
(メタ)アクリルアミド類としては、N−メチル(メタ)アクリルアミド及びN−エチル(メタ)アクリルアミド等のN−アルキル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド及びN,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド等のN,N−ジアルキル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、並びに(メタ)アクリルロイルモルホリン等が挙げられる。
上記の(メタ)アクリル系単量体は、目的とする用途等に応じて適宜選択すればよく、単独で用いても、2種類以上を併用してもよい。
上記の(メタ)アクリル系単量体以外にも、これらと共重合可能な他の単量体を使用してもよい。具体的な化合物としては、例えば、スチレン及びビニルトルエン等の芳香族ビニル化合物、(メタ)アクリロニトリル、酢酸ビニル、N−ビニルピロリドン、N−ビニルホルムアミド並びにN−ビニルカプロラクタム等が挙げられる。
(メタ)アクリル系単量体は、分子量の高い重合体を得やすく、また、得られる重合体の機能を調整しやすい点で良好であるため、その使用量は、全単量体成分に対し、30〜100質量%が好ましく、50〜100質量%がより好ましく、70〜100質量%がさらに好ましく、90〜100質量%が最も好ましい。
また、上記単量体からなる単量体成分の割合は、光開始剤及び後述するその他の成分を含めた組成物全体に対し、60質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましく、80質量%以上であることがさらに好ましく、90質量%以上であることが最も好ましい。単量体成分の割合が60質量%以上であれば、高分子量で分子量分布が狭い(メタ)アクリル系重合体を得るのに有利となる。
<光開始剤について>
本発明では、重合開始剤として光重合開始剤を使用する。
光重合開始剤としては、ベンジルジメチルケタール、ベンジル、ベンゾイン、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−[4-(2−ヒドロキシエトキシ)-フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパンー1−オン、オリゴ[2−ヒドロキシ−2−メチル−1−[4−1−(メチルビニル)フェニル]プロパノン、2−ヒドロキシ−1−[4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチループロピオニル)−ベンジル]−フェニル]−2−メチルプロパンー1−オン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)]フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタンー1−オン、2−ジメチルアミノ−2−(4−メチルベンジル)−1−(4−モルフォリン−4−イルーフェニル)−ブタンー1−オン、アデカオプトマーN−1414((株)ADEKA製)、フェニルグリオキシリックアシッドメチルエステル、エチルアントラキノン、フェナントレンキノン等の芳香族ケトン化合物;
ベンゾフェノン、2−メチルベンゾフェノン、3−メチルベンゾフェノン、4−メチルベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾフェノン、4−フェニルベンゾフェノン、4−(メチルフェニルチオ)フェニルフェニルメタン、メチル−2−ベンゾフェノン、1−[4−(4−ベンゾイルフェニルスルファニル)フェニル]−2−メチル−2−(4−メチルフェニルスルフォニル)プロパンー1−オン、4,4‘−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4‘−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、N,N′−テトラメチル−4,4′−ジアミノベンゾフェノン、N,N′−テトラエチル−4,4′−ジアミノベンゾフェノン及び4−メトキシ−4′−ジメチルアミノベンゾフェノン等のベンゾフェノン系化合物;
ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、エチル−(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィネート及びビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキサイド等のアシルホスフィンオキサイド化合物;
チオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、1−クロロ−4−プロピルチオキサントン、3−[3,4−ジメチル−9−オキソ−9H−チオキサントン−2−イル]オキシ]−2−ヒドロキシプロピル−N,N,N―トリメチルアンモニウムクロライド及びフロロチオキサントン等のチオキサントン系化合物;
アクリドン、10−ブチル−2−クロロアクリドン等のアクリドン系化合物;
1,2−オクタンジオン1−[4−(フェニルチオ)−2−(O―ベンゾイルオキシム)]及びエタノン1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−1−(O―アセチルオキシム)等のオキシムエステル類;
2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジ(m−メトキシフェニル)イミダゾール二量体、2−(o−フルオロフェニル)−4,5−フェニルイミダゾール二量体、2−(o−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(p−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2,4−ジ(p−メトキシフェニル)−5−フェニルイミダゾール二量体及び2−(2,4−ジメトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体等の2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体;
9−フェニルアクリジン及び1,7−ビス(9,9′−アクリジニル)ヘプタン等のアクリジン誘導体等;並びに
2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)、1,1−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、アゾクメン、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビスジメチルバレロニトリル、4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)、2−(tert−ブチルアゾ)−2−シアノプロパン、2,2’−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)、2,2’−アゾビス(2−メチルプロパン)、ジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)等のアゾ化合物が挙げられる。
これらの化合物は、1種又は2種以上を併用することもできる。
光重合開始剤の配合割合としては、単量体の総量に対して、0.0001〜1mol%となることが好ましい。光重合開始剤のより好ましい配合割合は、0.0001〜0.1mol%であり、さらに好ましくは、0.0001〜0.01mol%である。
光重合開始剤の配合割合を0.0001mol%以上とすることにより、適量な活性エネルギー線の照射により重合を行うことができ、一方1mol%以下とすることで、得られる重合体を耐候性や透明性に優れたものとすることができる。
<その他の成分について>
本発明では、上記単量体成分及び光重合開始剤以外にも、必要に応じて種々の成分を含有してもよい。以下、その他の成分について説明する。
(1)有機溶剤
本発明は、有機溶剤等の重合溶媒を用いた溶液重合であってもよい。有機溶剤としては、例えば、テトラヒドロフラン及びジオキサン等の環状エーテル類、ベンゼン、トルエン及びキシレン等の芳香族炭化水素化合物、酢酸エチル及び酢酸ブチル等のエステル類、アセトン、メチルエチルケトン及びシクロヘキサノン等のケトン類等、メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール類が例示され、これらの1種または2種以上を用いることができる。
有機溶剤を用いる場合、その使用量が多すぎると高分子量の重合体を得にくい傾向がある。このため、有機溶剤の使用量は、単量体成分及び光開始剤等を含めた組成物全体に対し、40質量%以下が好ましく、30質量%以下がより好ましく、20質量%以下がさらに好ましく、10質量%以下が最も好ましい。
(2)重合開始剤
本発明では、光重合開始剤以外にも加熱等により開裂する重合開始剤として、例えば、アゾ系化合物、有機過酸化物、無機過酸化物等を添加することができる。これらの重合開始剤の使用量は、5質量%以下が好ましく、1質量%以下がより好ましく、0.5質量%以下がさらに好ましい。
上記アゾ系化合物の具体例としては、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)、1,1−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、アゾクメン、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビスジメチルバレロニトリル、4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)、2−(tert−ブチルアゾ)−2−シアノプロパン、2,2’−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)、2,2’−アゾビス(2−メチルプロパン)、ジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)等が挙げられる。
上記有機過酸化物の具体例としては、シクロヘキサノンパーオキサイド、3,3,5−トリメチルシクロヘキサノンパーオキサイド、メチルシクロヘキサノンパーオキサイド、1,1−ビス(tert−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(tert−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、n−ブチル−4,4−ビス(tert−ブチルパーオキシ)バレレート、クメンハイドロパーオキサイド、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジハイドロパーオキサイド、1,3−ビス(tert−ブチルパーオキシ)−m−イソプロピル)ベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルパーオキシ)ヘキサン、ジイソプロピルベンゼンパーオキサイド、tert−ブチルクミルパーオキサイド、デカノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、ビス(tert−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、tert−ブチルパーオキシベンゾエート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン等が挙げられる。
上記無機過酸化物の具体例としては、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム等が挙げられる。
(3)その他
上記以外にも、本発明では、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、レベリング剤、消泡剤、表面調整剤、密着性付与剤、レオロジーコントロール剤、ワックス、無機フィラー、有機フィラー等を添加することができる。
紫外線吸収剤としては、2−(2'−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2'−ヒドロキシ−3',5'−ジ−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2'−ヒドロキシ−3'−t−ブチル−5'−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール等のベンゾトリアゾール化合物;
2,4−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−6−(2−ヒドロキシ−4−イソ−オクチルオキシフェニル)−s−トリアジン等のトリアジン化合物;
2,4−ジヒドロキシ−ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−4'−メチルベンゾフェノン、2,2'−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2、4、4'−トリヒドロキシベンゾフェノン、2,2',4,4'−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,3,4,4'−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,3',4,4'−テトラヒドロキシベンゾフェノン、又は2、2'−ジヒドロキシ−4,4'−ジメトキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン化合物等を挙げることができる。
光安定性剤としては、N,N′−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−N,N′−ジホルミルヘキサメチレンジアミン、ビス(1,2,6,6−)ペンタメチル−4−ピペリジル)−2−(3,5−ジターシャリーブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−n−ブチルマロネート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)セバケート、等の低分子量ヒンダードアミン化合物;N,N′−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−N,N′−ジホルミルヘキサメチレンジアミン、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)セバケート等の高分子量ヒンダードアミン化合物等のヒンダードアミン系光安定剤を挙げることができる。
<重合方法について>
本発明では、上記(メタ)アクリル系単量体を含む単量体成分及び光重合開始剤を含有する組成物に活性エネルギー線を照射して、前記単量体を重合させることにより(メタ)アクリル系重合体を製造する。ここで、反応系は実質的に溶媒を含まないバルク重合であってもよいし、有機溶剤等を重合溶媒とする溶液重合であってもよい。溶液重合の場合、単量体を60質量%以上の濃度で含む、高モノマー濃度条件下での溶液重合が好ましい。
また、重合の方式に特別な制限はなく、バッチ式重合法、セミバッチ式重合法及び連続重合法等のいずれの方式も採用し得る。
バッチ式重合法としては、公知の方法を採用することができる。例えば、単量体成分及び光重合開始剤を含む組成物を活性エネルギー線が透過可能な透明な反応容器、又は活性エネルギー線が透過可能な透明な部位を1箇所若しくは2箇所以上有する反応容器等に仕込み、活性エネルギー線を照射して重合反応を開始した後、反応温度を測定するとともに、予め設定した温度を保つように、得られた温度に応じて活性エネルギー線の照射量を適宜調整すればよい。
重合反応容器としては、上記活性エネルギー線の照射源を備え、反応温度の測定が可能なものであれば特に制限はなく、槽型反応器、管型反応器及び塔型反応器等の従来公知の反応器を使用することができる。また、重合反応器には、ジャケット、内部コイル又は外部熱交等の除熱設備を備えたものであることが好ましい。
反応温度の測定は、熱電対、測温抵抗体及びサーミスター等を用いる接触式、又は赤外線等を利用した非接触式のいずれの方法を採用してもよいが、種々の液性状を有する反応系の温度を簡便に測定することができる点から、非接触式の放射温度計を使用して行うことが好ましい。
連続重合法による場合は、単量体成分及び光重合開始剤等の原料成分が連続的に反応装置に供給され、活性エネルギー線の照射を受けた後、得られた重合体が連続的に排出されるものであればよい。反応装置としては、管型反応器、(連続)槽型反応器、ベルト型反応器等の公知の反応器を用いることができる。上記反応容器は、バッチ式と同様活性エネルギー線が透過可能な透明な反応容器、又は活性エネルギー線が透過可能な透明な部位を1箇所若しくは2箇所以上有する反応容器等を用いることが好ましい。原料成分は各単量体の貯蔵タンク等から計量しながら反応装置に供給してもよいし、予め別容器等において原料成分を調整した後、反応装置に供給してもよい。
連続重合法においても、重合時の反応温度を測定し、得られた温度に応じてその後の活性エネルギー線の照射量が適宜調整される。調整の方法は特に限定されるものではなく、反応容器内のある領域において反応液の温度を測定し、得られた温度に応じてその後の領域における活性エネルギー線の照射量が調整されるものであればよい。また、反応装置には、ジャケット、内部コイル、冷水シャワー及びプレートクーラーその他の外部熱交等の除熱設備を備えたものであることが好ましい。
活性エネルギー線としては、電子線、紫外線、可視光線及びX線等が挙げられるが、安価な装置を使用することができるため、紫外線が好ましい。
紫外線照射装置は特に限定されるものではなく、例えば、低圧水銀ランプ、中圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、ブラックライトランプ、UV無電極ランプ、LED等が挙げられる。
照射強度は、後述の通り反応中適宜調整されるものであるが、0.01〜100mW/cm2が適当である。照射強度のより好ましい範囲は0.01〜10mW/cm2であり、さらに好ましい範囲は0.01〜1mW/cm2である。重合反応の温度状況によっては、反応途中で照射を停止してもよい。
一般に、活性エネルギー線を利用したラジカル光重合では、空気中の酸素により重合が阻害されることが知られている。このため、公知の方法により酸素を遮断する処置を施すことが好ましい。具体的な手段としては、例えば、反応系を窒素又はアルゴンガス雰囲気へ置換する方法が挙げられる。また、単量体組成物をポリエチレン等の透明なフィルムで挟み、単量体の周辺に酸素が存在しない状態で重合を行うこともできる。さらには、ガラス等の透明な反応容器に単量体組成物を仕込んだ後、シール材等により空間部を密封してもよい。
本発明では、活性エネルギー線を照射して重合を開始した後、重合反応中の反応温度を測定し、その検出温度に応じて前記活性エネルギー線の照射量を調整する。照射量の調整は、前記反応温度が設定温度を保つように、又は設定温度から大きく乖離しないようにマニュアル若しくはコンピュータ制御等により適宜調整する。具体的には、反応温度が設定温度を超えた場合や一定の上昇傾向を示した場合には照射を停止若しくは減量し、反応温度が設定値を下回った場合や一定の下降傾向を示した場合には再照射若しくは照射量を増加させる。
前記照射量の調整は、測定される反応温度が、当初設定する温度に対し±20℃の範囲となるように行うことが分子量分布の狭い重合体が得られる点で好ましく、±10℃の範囲となるよう調整されることがより好ましい。
上述した通り、高モノマー濃度条件下での溶液重合及びバルク重合(塊状重合)は、高分子量の重合体を高重合率で得るのに適した重合方法であるが、熱重合の場合には、重合熱による発熱により開始剤の分解が促進され、更に発熱が生じることとなるため、反応温度の制御が極めて難しく、分子量分布の狭い重合体を得ることが困難である。
これに対して本発明では、光重合開始剤を使用するため、活性エネルギー線の照射量により開始剤ラジカルの発生量を制御することができる。すなわち、反応系の重合温度によらず、活性エネルギー線の照射量を増大させることにより開始剤ラジカルの発生量は増加し、照射量を減少させることにより開始剤ラジカルの発生量も減少する。よって、重合反応中の反応温度を常時又は逐次測定し、その検出温度に応じて活性エネルギー線の照射量を調整することにより、反応系における開始剤ラジカルの発生量を制御することができるため、反応系の温度を安定に保つことが可能となる。また、結果として分子量分布の狭い重合体を得ることができる。
重合反応において設定する反応温度は、単量体成分の組成及び目的とする分子量等により適宜選択されるが、20〜100℃の範囲が好ましく、25〜80℃の範囲がより好ましく、30〜50℃の範囲がさらに好ましい。反応温度が20℃以上であれば、安定に重合を進行することができ、また、冷却に特別な装置等を必要としない。反応温度が100℃以下であれば分子量が高く、分子量分布の狭い重合体を得やすい点から好ましい。
<重合体について>
本発明の製造方法によれば分子量の高い(メタ)アクリル系重合体を得ることができる。得られる(メタ)アクリル系重合体の重量平均分子量(Mw)は、10万〜500万と高く、重量平均分子量(Mw)を数平均分子量(Mn)で除した値(Mw/Mn)は、1.5〜5程度と狭い分子量分布を有するものである。
また、得られる(メタ)アクリル系重合体の分子量を調整する目的で、公知の連鎖移動剤を用いることができる。連鎖移動剤としては、メルカプト基含有化合物(エタンチオール、ブタンチオール、ドデカンチオール、ベンゼンチオール、トルエンチオール、α−トルエンチオール、フェネチルメルカプタン、メルカプトエタノール、3−メルカプトプロパノール、チオグリセリン、チオグリコール酸、2−メルカプトプロピオン酸、3−メルカプトプロピオン酸、α−メルカプトイソ酪酸、メルカプトプロピオン酸メチル、メルカプトプロピオン酸エチル、チオ酢酸、チオリンゴ酸、チオサリチル酸、オクチルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、tert−ドデシルメルカプタン、n−ヘキサデシルメルカプタン、n−テトラデシルメルカプタン、tert−テトラデシルメルカプタン等)、キサントゲンジスルフィド化合物(ジメチルキサントゲンジスルフィド、ジエチルキサントゲンジスルフィド、ジイソプロピルキサントゲンジスルフィド等)、チウラムジスルフィド化合物(テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィド、テトラブチルチウラムジスルフィド等)、ハロゲン化炭化水素(四塩化炭素、臭化エチレン等)、芳香族炭化水素(ペンタフェニルエタン、α−メチルスチレンダイマー等)等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明の(メタ)アクリル系重合体は、上述した(メタ)アクリル系単量体を含む単量体成分を重合することにより得られる。ここで、前記単量体成分において、アクリル系単量体の含有量は50mol%以上であることが好ましく、60mol%以上であることがより好ましく、70mol%以上であることがさらに好ましい。アクリル系単量体の含有量が50mol%以上である場合、極めて高い重合率で重合体を得ることができる。
また、重合中のモビリティが高く良好な重合率とし易い点から、得られる(メタ)アクリル系重合体のガラス転移温度(Tg)を50℃以下とすることが好ましく、10℃以下とすることがより好ましく、−10℃以下とすることがさらに好ましく、−30℃以下とすることが最も好ましい。(メタ)アクリル系重合体のTgは示差走査熱量計(DSC)により測定することができる他、「POLYMER HANDBOOK 第4版」(John Wiley & Sons,Inc.発行)に記載された各単独重合体のTgを元にして、以下の式(1)に示す計算によって求められる値を用いても良い。
1/Tg={W(a)/Tg(a)}+{W(b)/Tg(b)}
+{W(c)/Tg(c)}+・・・ (1)

上記の式中、
Tg:重合体のTg
W(a):重合体における単量体(a)からなる構造単位の重量分率
W(b):重合体における単量体(b)からなる構造単位の重量分率
W(c):重合体における単量体(c)からなる構造単位の重量分率
Tg(a):単量体(a)の単独重合体のガラス転移温度
Tg(b):単量体(b)の単独重合体のガラス転移温度
Tg(c):単量体(c)の単独重合体のガラス転移温度
以下、実施例に基づいて本発明を具体的に説明する。尚、以下の記載において「部」は質量部を意味し、「%」は質量%を意味する。
また、各例において得られた(メタ)アクリル系重合体の分析は、以下の方法により行った。
(1)重合率
ガスクロマトグラフィーにより測定された残存モノマー量から算出した。
(2)分子量測定(GPC)
重合体の重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)により測定した。
GPCの装置として、HLC8320−GPC(東ソー社製)を用い、下記の条件によりMw及びMnを測定した。検量線は標準ポリスチレンを使用して作成した。
<測定条件>
カラム:TSKgel Super HZM−H5本(東ソー社製)
カラム温度:40℃
溶離液:テトラヒドロフラン
流速:0.5ml/分
検出器:RI
実施例1
アクリル酸エチル30gに2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン(BASF社製光開始剤、商品名「Irgacure651」)0.15gを溶解し、アルゴンを30分間バブリングして十分に脱酸素を行い、単量体を含む組成物を調整した。5mmのスペーサーを配した2枚のガラス板の間に温度計をセットし、前記モノマー液を流し込んだ。その後、ガラス板から垂直方向に50cm離した位置に配設した光源(LED−365−SPD、オプトコート社製)から、25℃の室温条件下で光照射することにより重合を開始した。照射強度は0.2mW/cm2であった。この際、重合反応中の反応温度を測定し、その検出温度に応じて前記光照射を手動で調整しながら重合を行った。具体的には、重合温度を40℃に設定し、重合熱により溶液の温度が42℃を超えた時点で光照射を停止、その後、溶液の温度が低下して38℃を下回った時点で再び光照射を開始することとし、この操作を繰り返した。その結果、重合反応は40℃±10℃の温度範囲で制御されて進行した。重合開始から90分後、光照射を停止し、冷却することにより、目的とする重合体を得た。得られた重合体の重合結果を表1に示す。
実施例2〜4、7及び8
重合に用いた単量体及び温度制御を表1に示す通り行った以外は、実施例1と同様の操作により重合体を得た。得られた重合体の重合結果を表1に示す。
実施例5
重合中の反応液の表面温度を放射温度計(SK−8210、佐藤計量器製作所製)により測定された温度により照射強度を調整するようプログラムした以外は、実施例1と同様の操作により重合体を得た。得られた重合体の重合結果を表1に示す。
実施例6
アクリル酸エチル24g、酢酸エチル6g及びIrgacure651 0.12gから単量体を含む組成物を調製した以外は、実施例1と同様の操作により重合体を得た。得られた重合体の重合結果を表1に示す。
実施例9
単量体としてアクリル酸エチルをメタクリル酸メチルに代えた以外は、実施例1と同様の操作により重合体を得た。得られた重合体の重合結果を表1に示す。
実施例10
アクリル酸ブチル30g及び1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(BASF社製光開始剤、商品名「Irgacure184」) 0.042gから単量体を含む組成物を調製し、2枚のガラス板の間に配するスペーサーとして20mmのものを用いた以外は、実施例1と同様の操作により重合体を得た。得られた重合体の重合結果を表1に示す。
実施例11
図1の概略図に示す連続式の反応装置を用いて重合を行った。反応ラインの全長は10mであり、50cm間隔で20本の高圧水銀ランプ(長さ25cm、出力80mW/cm、アイグラフィックス社製)を設置した。各高圧水銀ランプには幅50cmの光線が平行光となるように反射板を取り付け、ガラス板フィルターを通して照射を行った。
高圧水銀ランプの下部には回転式の遮光板を設置するとともに赤外線温度計を用いて各遮光板の直前の反応液の温度を測定し、得られた温度に応じてリレー制御により対応する遮光板を開閉し、反応液への光照射量を制御した。具体的には、反応液が予め設定した温度以下の場合は対応する遮蔽板を開とし、設定温度以上の場合には遮蔽板が閉となるようにリレー制御で動作する装置を設置した。
単量体成分及び光重合開始剤を含有する組成物(原料成分)は、後述する通りポリエチレン製の袋に充填し、これが所定の速度で遮蔽板の下を移動するように10mのコンベアを設置した。
さらに、反応熱の除熱を効果的に行うことができるように、ベルトコンベアの外側部から原料成分を充填したポリエチレン製の袋に向けて、約20℃の冷却水を散布できるシャワー様の装置を設置した。
アクリル酸ブチル6000g及びIrgacure184 8.4gを10Lフラスコ内で溶解し、窒素を30分間バブリングして十分に脱酸素を行い、単量体を含む組成物を調整した。28cm×41cm(厚み0.08mm)のポリエチレン製の袋5袋に、組成物を各1250gずつ充填し、ヒートシーラーで脱気しながら封止した。組成物を充填した袋の外寸は、おおよそ25cm×25cm×2cmであった。
ポリエチレン製の袋内部の照度は、2mW/cm2(365nm)となるようにガラス板フィルターで調整した。また、リレー制御は40℃で動作するように設定し、ベルトコンベアのライン速度は8cm/minとした。次いで、原料成分を充填した5つのポリエチレン製の袋を順次ベルトコンベアに載せた。重合反応は、反応液が充填されたポリエチレン製の袋の表面温度が40℃±5℃の温度範囲で制御されて進行し、ベルトコンベアの出口より、ポリエチレン製の袋に内包された状態で重合体を得た。
重合率およびGPCの測定値は、3番目にベルトコンベアに載せたポリエチレン製の袋内の重合体から、重合体の照射面側、裏面側のそれぞれ中央部、端部をサンプリングし、各サンプルの測定結果の平均値として表1に示した。
比較例1
実施例1において開始剤としてIrgacure651の代わりに2,2’−アゾビス(2,4−イソバレロニトリル)(和光純薬工業社製、商品名「V−65」)0.04gを使用し、モノマー液を調整し、実施例1と同様の装置に流し込んだ。これをヒーターで40℃に加熱することにより重合を開始した。重合の進行に伴い反応液の温度が上昇し、ピーク温度として155℃を記録した。重合開始から90分後、冷却することにより、目的とする重合体を得た。得られた重合体の重合結果を表2に示す。
比較例2
光照射により重合を開始した後、その照射強度を調整することなく、照射し続けた以外は実施例1と同様の操作を行い重合体を得た。重合中は重合熱により反応液の温度が上昇し、ピーク温度として148℃を記録した。重合開始から90分後、冷却することにより、目的とする重合体を得た。得られた重合体の重合結果を表2に示す。
比較例3
アクリル酸エチル15g、酢酸エチル15g、重合開始剤V−65 0.04gを混合し、100ml容量のガラス製反応容器に投入した。30分間窒素バブリングを行った後、40℃に昇温することにより重合を開始した。反応温度を40℃に保ち、5時間反応を継続した後、冷却することにより、重合体を得た。得られた重合体の重合結果を表2に示す。
Figure 2015098578
Figure 2015098578
表1及び表2において用いた単量体の詳細は以下の通り。
EA:アクリル酸エチル
EMA:メタクリル酸エチル
MMA:メタクリル酸メチル
BA:アクリル酸ブチル
実施例1〜11は、本発明の製造方法より(メタ)アクリル系重合体を得たものであり、Mw100万〜200万以上の高分子量で、かつ、分子量分布の狭い重合体を高重合率で得ることができた。これらの重合体は、乳化剤及び分散安定剤等不純物を含まないため、純度の高いものである。
実施例1、7及び8の比較から、単量体成分におけるアクリル系単量体の含有量が50mol%以上である実施例1及び7は、実施例8に比較してより高い重合率を示すものであることが判る。
また、重合体のTgの観点からみると、実施例9(Tg:105℃)に比べて、重合体のTgが50℃以下である実施例1(Tg:−22℃)は、より高い重合率で高分子量の重合体が得られる結果を示した。
実施例10及び11は、アクリル酸ブチルをそれぞれバッチ式及び連続式で重合した例である。いずれの方法においても高分子量の重合体を非常に高い重合率で得られることが確認できた。
比較例1は、熱によるバルク重合法の製造例であるが、重合の進行に伴い重合熱により反応温度が加速度的に上昇し、得られた重合体は分子量分布の広いものであった。また、光によるバルク重合であっても、光照射を調整せず、一定の光を照射し続けた場合も分子量分布の狭い重合体は得られなかった(比較例2)。
比較例3は熱開始による溶液重合の実験例である。分子量の高い重合体を得るために、比較的低い温度(40℃)で重合した例であるが、5時間反応させた後でも重合率は80%強程度であり、未反応モノマー量が多いものであった。
本発明の製造方法により得られた(メタ)アクリル系重合体は、高分子量で分子量分布が狭く、その純度も高いものである。よって、該重合体は、強度及び強靭性の機械的物性、並びに、耐着色・黄変等の光学特性に優れるものであることが期待され、塗料、コーティング剤、接着剤及び建築材料等、種々の分野で使用が見込まれる。

Claims (5)

  1. (メタ)アクリル系単量体を含む単量体成分及び光重合開始剤を含有する組成物に活性エネルギー線を照射し、前記単量体を重合させることにより(メタ)アクリル系重合体を製造する方法であって、活性エネルギー線を照射して重合を開始した後、重合反応中の反応温度を測定し、その検出温度に応じて前記活性エネルギー線の照射量を調整することを特徴とする(メタ)アクリル系重合体の製造方法。
  2. 前記検出温度が、設定温度±20℃の範囲内となるよう、前記活性エネルギー線の照射量を調整することを特徴とする請求項1記載の(メタ)アクリル系重合体の製造方法。
  3. 前記重合反応中の反応温度が、放射温度計により測定されることを特徴とする請求項1又は2記載の(メタ)アクリル系重合体の製造方法。
  4. 前記単量体成分におけるアクリル系単量体の含有量が50mol%以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の(メタ)アクリル系重合体の製造方法。
  5. 請求項1〜4に記載の製造方法により得られる(メタ)アクリル系重合体であって、ガラス転移温度が50℃以下であることを特徴とする(メタ)アクリル系重合体。
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