JP7226434B2 - 重合体の製造方法 - Google Patents

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Description

関連出願の相互参照
本出願は、2018年3月28日に出願された日本出願番号2018-62480号に基づくもので、ここにその記載内容を援用する。
本開示は、重合体の製造方法に関する。
可逆的付加-開裂連鎖移動(RAFT)重合は、モノマーの重合反応を精密に制御できることから、例えばレジスト技術や分散剤、接着剤等といった種々の用途に適用することが試みられている。RAFT重合により生成される重合体の末端には、RAFT剤に由来するチオカルボニルチオ基が結合している。このため、重合体に紫外線が照射されることによってラジカルが発生した場合に、着色等が生じることが懸念される。こうした不都合を回避するために、RAFT重合により得られた重合体の末端に結合するチオカルボニルチオ基を、除去又は変換して不活性化する方法が、従来、種々提案されている(例えば、特許文献1~3、非特許文献1,2参照)。
特許文献1には、チオカルボニルチオ基を末端に有する重合体に、亜リン酸金属塩及びラジカル発生剤を接触させる方法が開示されている。非特許文献1には、金属触媒としてスズ化合物を用いて、重合体末端のチオカルボニルチオ基を除去する方法が開示されている。また、特許文献2には、チオカルボニルチオ基を末端に有する重合体に、遊離ラジカル源(ラジカル発生剤)を添加することにより、チオカルボニルチオ基を、遊離ラジカル源に由来する部分構造に置換する方法が開示されている。特許文献3には、チオカルボニルチオ基を末端に有する重合体に、連鎖移動剤と遊離ラジカル源とを添加して、重合体の末端構造を変換する方法が開示されている。非特許文献2には、チオカルボニルチオ基を末端に有する重合体に、チオール化合物とアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)とを反応させることが開示されている。
特表2007-537341号公報 特開2005-226051号公報 特開2006-2096号公報
A.Postma et.al, American Chemical Society, 2006, 5293-5306. S.Harrisson et.al, Macromolecules, 2009, 42, 897-898.
従来の方法は、重合体末端の不活性化の際に使用される化合物に由来する構造が重合体末端に導入され、重合体末端のチオカルボニルチオ基を水素原子に置換する(水素化する)効率が十分に高いとはいえない。また、特許文献1や非特許文献1のように、ラジカル発生剤として又はラジカル発生剤と共に金属を使用して重合体末端のチオカルボニルチオ基を除去又は変換して不活性化する場合、電材用途への使用が制限されることが懸念される。RAFT重合により得られた重合体の末端を水素原子に置換した重合体は、電材用途のほか、各種用途への適用が期待される。
本開示は上記課題に鑑みなされてものであり、重合体末端に結合するチオカルボニルチオ基を、簡便に、しかも高選択的に水素原子に置換することができる重合体の製造方法を提供することを一つの目的とする。
本開示によれば、以下の手段が提供される。
[1] チオカルボニルチオ化合物の存在下でモノマーを重合して、基「-SC(=S)R」(ただし、Rは1価の有機基である。)を末端に有する重合体Tを得る工程Aと、
ラジカル発生剤を添加せずに前記重合体Tとチオール基含有化合物とを接触させて、前記重合体Tが有する基「-SC(=S)R」を水素原子に置換する工程Bと、を含む、重合体の製造方法。
[2] 基「-SC(=S)R」(ただし、Rは1価の有機基である。)を末端に有する重合体Tと、チオール基含有化合物とをラジカル発生剤を添加せずに接触させて、前記重合体Tが有する基「-SC(=S)R」を水素原子に置換する方法。
[3] 上記[1]の製造方法により得られた重合体。
[4] 上記[3]の重合体を含有する、重合体組成物。
本開示の製造方法によれば、基「-SC(=S)R」を末端に有する重合体とチオール基含有化合物とを、ラジカル発生剤を添加せずに接触させるという簡便な操作によって、重合体末端の基「-SC(=S)R」を高選択的に水素原子に置換することができる。また、重合体末端の不活性化に際して金属を使わなくてもよく、電材用途への使用が制限されにくい点で好適である。
図1は、熱分解ガスクロマトグラフ質量分析によるポリマー末端構造の解析結果を示す図である。 図2は、マトリックス支援レーザー脱離イオン化飛行時間型質量分析によるポリマー末端構造の解析結果を示す図である。
[重合体の製造方法]
以下、本開示の重合体の製造方法について説明する。本製造方法は、以下の工程A及び工程Bを含む。
工程A;チオカルボニルチオ化合物の存在下でモノマーを重合して、基「-SC(=S)R」を末端に有する重合体(以下、「重合体T」ともいう。)を得る工程。
工程B;ラジカル発生剤を添加せずに重合体Tとチオール基含有化合物とを接触させて、重合体Tが有する基「-SC(=S)R」を水素原子に置換する工程。
≪工程A≫
<モノマー>
重合に使用するモノマーとしては、重合可能であれば特に制限されないが、ラジカル重合性不飽和結合を有する化合物(以下、「重合性不飽和化合物」ともいう。)を好ましく用いることができる。これらのうち、(メタ)アクリル化合物及び芳香族ビニル化合物よりなる群から選ばれる少なくとも一種を含むことがより好ましく、(メタ)アクリル化合物を少なくとも含むことがさらに好ましい。なお、本明細書において(メタ)アクリル化合物は、アクリル化合物及びメタクリル化合物を含む意味である。
(メタ)アクリル化合物の具体例としては、例えば、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸ω-カルボキシポリカプロラクトン、クロトン酸、α-エチルアクリル酸、α-n-プロピルアクリル酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、メサコン酸、イタコン酸、ビニル安息香酸等の不飽和カルボン酸;
(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸-n-プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸アリル、(メタ)アクリル酸-n-ブチル、(メタ)アクリル酸-イソブチル、(メタ)アクリル酸-t-ブチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸-1-メチルシクロペンチル、(メタ)アクリル酸-2-メチル-2-アダマンチル、(メタ)アクリル酸-2-エチル-2-アダマンチル、(メタ)アクリル酸-3-ヒドロキシ-1-アダマンチル、(メタ)アクリル酸-α-ヒドロキシ-γ-ブチロラクトン、(メタ)アクリル酸ノルボルナンカルボラクチル、α-(メタ)アクリルオキシ-γ-ブチロラクトン、β-(メタ)アクリルオキシ-γ-ブチロラクトン、3-(2,2-ビス(トリフルオロメチル)-2-ヒドロキシエチル)-エンド-2-(2-メチルプロペノイル)-ビシクロ[2.2.1]-へプタン、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸2-フェニルエチル、(メタ)アクリル酸-2-エチルヘキシル、イソボルニル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸トリメトキシシリルプロピル、(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸-N,N-ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸-N,N-ジエチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸メトキシポリエチレングリコール、(メタ)アクリル酸オクトキシポリエチレングリコール、α-メトキシアクリル酸メチル、α-エトキシアクリル酸メチル、3-メトキシアクリル酸エステル、クロトン酸メチル、クロトン酸エチル、フマル酸ジアルキル等のα,β-不飽和カルボン酸エステル化合物;
N-イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N-t-ブチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジエチル(メタ)アクリルアミド等などのα,β-不飽和カルボン酸アミド化合物;
メチルビニルケトン、エチルビニルケトン、メチルイソプロペニルケトン、エチルイソプロペニルケトン等のα,β-不飽和カルボニル化合物;酢酸ビニル、酪酸ビニル、安息香酸ビニル等のカルボン酸ビニル化合物;無水マレイン酸、無水イタコン酸、N-ブチルマレイミド、N-フェニルマレイミド等の環式ビニル化合物;N-ビニルピロリドン、ビニルカルバゾール、ビニルイミダゾール等のN-ビニル化合物;エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等の炭素-炭素二重結合を2つ以上有する化合物;(メタ)アクリロニトリル等を挙げることができる。なお、単量体(B)は1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。本明細書中の(メタ)アクリルは、アクリル及びメタクリルであることを示す。
芳香族ビニル化合物としては、スチレン系化合物を好ましく使用することができる。具体的には、例えばスチレン、ヒドロキシスチレン、o-メチルスチレン、m-メチルスチレン、p-メチルスチレン、α-メチルスチレン、2,4-ジメチルスチレン、2,4-ジイソプロピルスチレン、4-t-ブチルスチレン、m-エチルスチレン、p-エチルスチレン、t-ブトキシスチレン、ビニルベンジルジメチルアミン、N,N-ジメチルアミノメチルスチレン、4-ビニルベンジルグリシジルエーテル、p-アセトキシスチレン等が挙げられる。なお、芳香族ビニル化合物としては、1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
重合に際し、(メタ)アクリル化合物の使用割合は、重合に使用するモノマーの全量に対して、20質量%以上とすることが好ましく、50質量%以上とすることがより好ましく、60質量%以上とすることがさらに好ましい。芳香族ビニル化合物の使用割合は、重合に使用するモノマーの全量に対して、50質量%未満とすることが好ましく、40質量%とすることがより好ましく、20質量%とすることがさらに好ましい。
上記重合に際しては、(メタ)アクリル化合物及び芳香族ビニル化合物以外のその他のモノマーを使用してもよい。その他のモノマーとしては、例えばエチレン、プロピレン、1,3-ブタジエン、イソプレン、1,3-ペンタジエン等が挙げられる。その他のモノマーの使用割合は、重合に使用するモノマーの全量に対して、10質量%以下とすることが好ましく、5質量%以下とすることがより好ましい。
<チオカルボニルチオ化合物>
本工程では、チオカルボニルチオ化合物の存在下でモノマーを重合することにより、重合体の末端に、チオカルボニルチオ化合物に由来する1価の基「-SC(=S)R」が導入される。
の1価の有機基としては、炭素数1~30のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルキルチオ基、アラルキルチオ基、ヘテロシクリル基、-NR1112、-NR11-NR1213、-COOR11、-OCOR11、-CONR1112、-P(=O)(OR11又は-O-P(=O)R1112(ただし、R11、R12及びR13は、それぞれ独立にアルキル基、シクロアルキル基、アリール基又はアラルキル基である。以下同じ。)等を挙げることができる。また、Rは、上記の各基における炭素原子に結合する水素原子の1個以上が、シアノ基、カルボキシ基等で置換された1価の基であっていてもよい。
チオカルボニルチオ化合物としては、RAFT重合において用いられる連鎖移動剤(RAFT剤)から、モノマーの種類に応じて適宜選択して使用することができる。モノマーとして(メタ)アクリル化合物を用いる場合には、ビス(チオカルボニル)ジスルフィド化合物(下記式(s-1)で表される化合物)、ジチオエステル化合物(下記式(s-2)で表される化合物)、及びトリチオカルボナート化合物(下記式(s-3)で表される化合物)よりなる群から選ばれる少なくとも一種を好ましく使用することができる。これらのうち、ビス(チオカルボニル)ジスルフィド化合物及びトリチオカルボナート化合物よりなる群から選ばれる少なくとも一種をより好ましく使用することができる。
Figure 0007226434000001
(式(s-1)~式(s-3)中、Z~Zはそれぞれ独立に1価の有機基である。)
上記式(s-1)~式(s-3)中のZ~Zにおける1価の有機基としては、例えば炭素数1~30のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルキルチオ基、アラルキルチオ基、ヘテロシクリル基、-NR1112、-NR11-NR1213、-COOR11、-OCOR11、-CONR1112、-P(=O)(OR11又は-O-P(=O)R1112等を挙げることができる。また、Rは、上記の各基における炭素原子に結合する水素原子の1個以上が、シアノ基、カルボキシ基等で置換された1価の基であっていてもよい。
上記式(s-2)中のZは、フェニル基等の芳香族基であることが好ましく、上記式(s-3)中のZはアルキル基であることが好ましい。
チオカルボニルチオ化合物の具体例としては、ビス(チオカルボニル)ジスルフィド化合物として、例えばテトラエチルチウラムジスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィド、ビス(n-オクチルメルカプト-チオカルボニル)ジスルフィド、ビス(n-ドデシルメルカプト-チオカルボニル)ジスルフィド、ビス(ベンジルメルカプト-チオカルボニル)ジスルフィド、ビス(n-ブチルメルカプト-チオカルボニル)ジスルフィド、ビス(t-ブチルメルカプト-チオカルボニル)ジスルフィド、ビス(n-ヘプチルメルカプト-チオカルボニル)ジスルフィド、ビス(n-ヘキシルメルカプト-チオカルボニル)ジスルフィド、ビス(n-ペンチルメルカプト-チオカルボニル)ジスルフィド、ビス(n-ノニルメルカプト-チオカルボニル)ジスルフィド、ビス(n-デシルメルカプト-チオカルボニル)ジスルフィド、ビス(t-ドデシルメルカプト-チオカルボニル)ジスルフィド、ビス(n-テトラデシルメルカプト-チオカルボニル)ジスルフィド、ビス(n-ヘキサデシルメルカプト-チオカルボニル)ジスルフィド、ビス(n-オクタデシルメルカプト-チオカルボニル)ジスルフィド等を;
ジチオエステル化合物として、例えば2-フェニル-2-プロピルベンゾチオエート、4-シアノ-4-(フェニルチオカルボニルチオ)ペンタン酸、2-シアノ-2-プロピルベンゾジチオエート等を;
トリチオカルボナート化合物として、例えばS-(2-シアノ-2-プロピル)-S-ドデシルトリチオカーボネート、4-シアノ-4-[(ドデシルスルファニル-チオカルボニル)スルファニル]ペンタン酸、シアノメチルドデシルトリチオ-カルボナート、2-(ドデシルチオカルボノチオールチオ)-2-メチルプロピオン酸等を、それぞれ挙げることができる。
上記重合におけるチオカルボニルチオ化合物の使用割合は、モノマーの合計100質量部に対して、好ましくは0.05質量部以上であり、より好ましくは0.1質量部以上である。また、チオカルボニルチオ化合物の使用割合は、モノマーの合計100質量部に対して、好ましくは20質量部以下であり、より好ましくは10質量部以下である。なお、チオカルボニルチオ化合物としては、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
<ラジカル発生剤>
上記重合は、生産性の観点から、ラジカル発生剤の存在下で行うことが好ましい。ラジカル発生剤は、従来公知のラジカル重合において一般に用いられるラジカル重合開始剤から適宜選択することができる。具体的には、熱や光によりラジカルを発生させる化合物であり、例えば過酸化物、アゾ化合物、レドックス系開始剤等の加熱によりラジカルを発生する化合物や、放射線の照射によりラジカルを発生する化合物を挙げることができる。
加熱によりラジカルを発生する化合物の具体例としては、過酸化物として、例えばt-ブチルヒドロペルオキシド、クメンヒドロペルオキシド、ペルオキシ酢酸t-ブチル、ペルオキシ安息香酸t-ブチル、ペルオキシオクタン酸t-ブチル、ペルオキシネオデカン酸t-ブチル、ペルオキシイソ酪酸t-ブチル、過酸化ラウロイル、ペルオキシピバル酸t-アミル、ペルオキシピバル酸t-ブチル、過酸化ジクミル、過酸化ベンゾイル、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等を;
アゾ化合物として、例えばアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、2,2’-アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2’-アゾビス(2-ブタンニトリル)、4,4’-アゾビス(4-ペンタン酸)、1,1’-アゾビス(シクロヘキサンカルボニトリル)、2-(t-ブチルアゾ)-2-シアノプロパン、2,2’-アゾビス[2-メチル-N-(1,1)-ビス(ヒドロキシメチル)-2-ヒドロキシエチル]プロピオンアミド、2,2’-アゾビス(2-メチル-N-ヒドロキシエチル)プロピオンアミド、2,2’-アゾビス(N,N’-ジメチレンイソブチルアミジン)ジクロリド、2,2’-アゾビス(2-アミジノプロパン)ジクロリド、2,2’-アゾビス(N,N-ジメチレンイソブチルアミド)、2,2’-アゾビス(2-メチル-N-[1,1-ビス(ヒドロキシメチル)-2-ヒドロキシエチル]プロピオンアミド)、2,2’-アゾビス(2-メチル-N-[1,1-ビス(ヒドロキシメチル)エチル]プロピオンアミド)、2,2’-アゾビス[2-メチル-N-(2-ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]、2,2’-アゾビス(イソブチルアミド)二水和物等を;
レドックス系開始剤として、例えば加硫酸塩と酸性亜硫酸ナトリウムと硫酸第一鉄との組み合わせ物、t-ブチルハイドロパーオキサイドと酸性亜硫酸ナトリウムと硫酸第一鉄との組み合わせ物、p-メンタンハイドロパーオキサイドと硫酸第一鉄とエチレンジアミン四酢酸ナトリウムとナトリウムホルムアルデヒドサルホキシレートとの組み合わせ物等を;それぞれ挙げることができる。加熱によりラジカルを発生する化合物としては、酸素などによる副反応物が生成されにくい点でアゾ化合物が好ましく、アゾビスイソブチロニトリルが特に好ましい。
放射線の照射によりラジカルを発生する化合物の具体例としては、例えばアセトフェノン、アセトフェノンベンジルケタール、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン、キサントン、ベンズアルデヒド、フルオレン、アントラキノン、トリフェニルアミン、カルバゾール、3-メチルアセトフェノン、4-クロロベンゾフェノン、4,4’-ジメトキシベンゾフェノン、ベンゾインプロピルエーテル、ベンジルジメチルケタール、1-(4-イソプロピルフェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパン-1-オン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、ジエチルチオキサントン、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルホリノ-プロパン-1-オン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)-ブタノン-1,4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル-(2-ヒドロキシ-2-プロピル)ケトン、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、ビス-(2,6-ジメトキシベンゾイル)-2,4,4-トリメチルペンチルホスフィンオキシド、オリゴ(2-ヒドロキシ-2-メチル-1-(4-(1-メチルビニル)フェニル)プロパノン)等が挙げられる。
上記重合をラジカル発生剤の存在下で行う場合、ラジカル発生剤の使用割合は、重合に際し使用するチオカルボニルチオ化合物100質量部に対して、好ましくは1質量部以上であり、より好ましくは10質量部以上である。また、ラジカル発生剤の使用割合は、重合に際し使用するチオカルボニルチオ化合物100質量部に対して、好ましくは1,000質量部以下であり、より好ましくは100質量部以下である。なお、ラジカル発生剤としては、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記重合は、溶液重合により行うことが好ましい。重合形式は、回分式及び連続式のいずれを用いてもよい。使用する溶媒は、反応に不活性な有機溶媒であればよく、例えばアルコール類、エーテル類、ケトン類、エステル類又はそれらの混合物等が挙げられる。
重合に使用する溶媒の具体例としては、アルコール類として、例えばエチルアルコール、イソプロピルアルコール、シクロヘキサノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、トリエチレングリコール、1-メトキシ-2-プロパノール、3-メトキシ-1-ブタノール、3-メトキシ-3-メチルブタノール等を;
エーテル類として、例えば1,4-ジオキサン、テトラヒドロフラン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等を;
ケトン類として、例えばアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、4-メチルシクロヘキサノン、ジイソブチルケトン等を;
エステル類として、例えば酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルメトキシプロピオネ-ト等を、それぞれ挙げることができる。なお、溶媒としては、一種を単独で又は二種以上を組み合わせて使用することができる。
溶液重合において溶媒の使用割合は、モノマーの溶媒に対する溶解度等に応じて適宜設定すればよいが、反応効率の観点から、モノマーの全量100質量部に対して、30~1,000質量部とすることが好ましく、50~800質量部とすることがより好ましい。
重合温度は、重合が進行可能な温度であれば特に制限されるものではないが、生産性の観点から0℃以上とすることが好ましく、0℃~140℃の範囲とすることがより好ましく、20℃~100℃の範囲とすることがさらに好ましく、50℃~90℃の範囲とすることが特に好ましい。なお、重合温度は、上記重合反応が発熱反応であることを考慮して設定することが好ましい。重合温度は、ラジカル発生剤、モノマー及び溶媒のフィード速度及び温度を調整し、反応器外部からの冷却や加熱を行うことにより制御することができる。重合反応は、モノマーを実質的に液相に保つのに十分な圧力の下で行うことが好ましい。上記重合の反応時間は、好ましくは30分~20時間であり、より好ましくは1~10時間である。上記重合反応により、チオカルボニルチオ化合物に由来する基「-SC(=S)R」を末端に有する重合体Tを含む重合体溶液が得られる。
重合の終了後に重合体溶液から重合体Tを単離してもよい。重合体Tの単離に際しては従来公知の方法を採用することができる。具体的には、例えばスチームストリッピング等で溶媒を分離した後、重合体を濾別し、さらに脱水及び乾燥して重合体を取得する方法;フラッシングタンクで濃縮し、さらにベント押し出し機等で脱揮する方法;ドラムドライヤー等で直接脱揮する方法;等を適用できる。
≪工程B≫
続く工程Bでは、上記工程Aにより得られた重合体Tと、チオール基含有化合物とを、上記工程Aの重合後において、ラジカル発生剤を添加せずに接触させる。この操作により、重合体Tが有する末端の基「-SC(=S)R」が、水素原子に置換される。なお、本製造方法では、工程Bではラジカル発生剤を添加せず、また、工程Aで使用したラジカル発生剤は通常、ラジカル発生のための加熱又は放射線照射によって分解される。ただし、工程Bにおいて、本発明の効果を損なわない範囲で、工程Aで使用したラジカル発生剤のうち未分解のラジカル発生剤が存在していてもよい。
<チオール基含有化合物>
使用するチオール基含有化合物は、連鎖移動剤の機能を有していれば特に限定されない。チオール基含有化合物としては、下記式(1)で表される化合物を好ましく使用することができる。
-SH …(1)
(式(1)中、Rは、炭素数1~30の1価の炭化水素基、又は炭素数2~30の炭化水素基の炭素-炭素結合間に-C(=O)O-を有する基であり、少なくとも1個の水素原子が水酸基、カルボキシ基又は-SONaで置換されていてもよい。)
上記式(1)において、Rの1価の炭化水素基としては、1~30のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基等が挙げられる。これらのうち、Rは、好ましくは1価の炭化水素基であり、より好ましくは炭素数1~30のアルキル基であり、さらに好ましくは炭素数4~30のアルキル基である。
チオール基含有化合物の具体例としては、例えば、2-メルカプトエタノール、3-メルカプト-1,2-プロパンジオール、メルカプト酢酸、メチルメルカプトアセテート、エチルメルカプトアセテート、2-エチルヘキシルメルカプトアセテート、3-メルカプトプロピオン酸、メチル-3-メルカプトプロピオネート、ヘキシル3-メルカプトプロピオネート、シクロヘキシル3-メルカプトプロピオナート、2-エチルヘキシル3-メルカプトプロピオナート、オクチル3-メルカプトプロピオナート、ドデシル3-メルカプトプロピオナート、トリデシル3-メルカプトプロピオナート、オクタデシル3-メルカプトプロピオナート、メルカプトこはく酸、2-メルカプトエタンスルホン酸ナトリウム、1-エタンチオール、1-プロパンチオール、1-ブタンチオール、2-ブタンチオール、1-ペンタンチオール、1-ヘキサンチオール、1-ヘプタンチオール、1-オクタンチオール、1-デカンチオール、1-ドデカンチオール、1-ヘキサデカンチオール、1-オクタデカンチオール、2-メチル-1-プロパンチオール、t-ドデシルメルカプタン、シクロヘキサンチオール、チオフェノール等が挙げられる。
工程Bにおいてチオール基含有化合物の使用割合は、チオール基含有化合物と重合体Tとを接触させる際に使用する重合体Tの全量に対して、0.1質量%以上とすることが好ましく、0.3質量%以上とすることがより好ましい。また、チオール基含有化合物の使用割合は、使用する重合体Tの全量に対して、20質量%以下とすることが好ましく、15質量%以下とすることがより好ましい。なお、チオール基含有化合物としては、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
上記工程Aで得られた重合体Tと、チオール基含有化合物との接触は、好ましくは有機溶媒中で実施される。使用される有機溶媒としては、重合に用いることができる溶媒として例示した有機溶媒を挙げることができる。生産性の観点からすると、上記工程Aで得られた重合体溶液をそのまま用い、この重合体溶液中にチオール基含有化合物を添加することが好ましい。その場合、チオール基含有化合物の使用割合が、重合体100質量部に対して、好ましくは0.1~20質量部、より好ましくは0.3~15質量部となるように、上記工程Aにおけるモノマーの使用割合、及び本工程におけるチオール基含有化合物の使用割合を設定することが望ましい。
重合体Tとチオール基含有化合物とを接触させる際の温度(以下、「変性温度」ともいう。)は、基「-S-C(=S)R」を水素原子に置換する反応をより高選択的に行わせることができる点で、40℃以上とすることが好ましい。変性温度は、より好ましくは50℃以上であり、さらに好ましくは60℃以上であり、70℃以上とすることが特に好ましい。また、変性温度は、熱による反応性の低下を抑制する効果が高い点で、130℃以下とすることが好ましく、120℃以下とすることがより好ましく、110℃以下とすることがさらに好ましい。反応時間は、好ましくは15分~15時間であり、より好ましくは30分~8時間である。
工程Bでは、工程Aによる重合終了後にラジカル発生剤を系内に添加することなく、重合体Tとチオール基含有化合物とを、好ましくは有機溶媒中で接触させる。なお、上記工程Aで得られた重合体溶液をそのまま用い、その重合体溶液中でチオール基含有化合物と重合体Tとを接触させる場合、チオール基含有化合物による重合体Tの末端水素化の反応機構の妨げとならない限り、工程Aで重合開始剤として添加したラジカル発生剤のうち未分解成分が、工程Bにおいて、重合体Tとチオール基含有化合物とを含む系内に僅かに含有されていることは許容される。この場合、未分解のラジカル発生剤の系内における含有割合は、重合体Tとチオール基含有化合物とを接触させる際に使用するチオール基含有化合物の合計量に対して、好ましくは1質量%以下であり、より好ましくは0.5質量%以下である。
重合体Tとチオール基含有化合物とを溶液中で接触させた場合、その反応によって得られた重合体(以下、「重合体P」とも示す。)を含む溶液を単離するには、例えばスチームストリッピング等の公知の脱溶媒方法及び熱処理等の乾燥の操作によって行うことができる。この工程Bでは、重合体Tの末端のチオカルボニルチオ基を、金属を添加せずに水素化するため、重合体Pにつき、電材用途への使用が制限されにくい点で好適である。
重合体Tの末端において、基「-SC(=S)R」から水素原子への変換効率(以下、「末端変換効率」ともいう。)は、好ましくは40%以上、より好ましくは50%以上、さらに好ましくは60%以上である。なお、末端変換効率(%)は、H-NMRの測定データを用いて算出された値であり、以下の式(3)で表される。
末端変換効率=100-[{(A1/R1)/(A2/R2)}×100]
…(3)
(式(3)中、A1は、重合体Tとチオール基含有化合物との接触後の末端基に由来するピークの積分値であり、A2は、重合体Tとチオール基含有化合物との接触前の末端基に由来するピークの積分値であり、R1は、重合体Tとチオール基含有化合物との接触後における末端基を除くポリマー全体のピーク積分値であり、R2は、重合体Tとチオール基含有化合物との接触前における末端基を除くポリマー全体のピーク積分値である。)
得られる重合体Pのゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)は、重合体の用途等に応じて適宜選択すればよいが、好ましくは1.0×10~2.0×10であり、より好ましくは1.0×10~1.0×10である。また、Mwと、GPCにより測定したポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)との比で表される分子量分布(Mw/Mn)は、好ましくは3以下であり、より好ましくは2.5以下である。
[重合体組成物]
本開示の重合体組成物は、重合体成分として、本開示の製造方法によって重合体末端の基「-SC(=S)R」が水素原子に置換された重合体を含む。本開示の製造方法により得られた重合体及び重合体組成物は、種々の用途に使用される。具体的には、例えば、フォトレジスト用組成物や液浸用組成物、上層膜形成組成物等の各種樹脂組成物、粘着剤、分散剤、相溶化剤、界面活性剤、履物用素材、各種自動車部品、工業用品、アスファルト組成物、塗料、生体材料等の各種用途に適用することができる。
以下、実施例に基づいて具体的に説明するが、本開示の内容はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、実施例及び比較例中の「部」及び「%」は、特に断らない限り質量基準である。重合体の各種物性値の測定方法は以下のとおりである。
[質量平均分子量Mw及び数平均分子量Mn]
以下の条件で、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(商品名「HLC-8120GPC」、東ソー社製)を使用して得られたGPC曲線の最大ピークの頂点に相当する保持時間からポリスチレン換算で求めた。
カラム:商品名「GMHXL」(東ソー社製)2本
カラム温度:40℃
移動相;テトラヒドロフラン
流速;1.0ml/分
サンプル濃度;10mg/20ml
[末端変換効率]
末端変換効率(%)は、H-NMRによる測定データを用いて上記式(3)により算出した。
[熱分解ガスクロマトグラフ質量分析]
以下の条件で、熱分解ガスクロマトグラフ質量分析装置を使用してポリマー末端基を解析した。サンプルについては、パイロホイルに包んで測定した。
(測定条件)
Figure 0007226434000002
[実施例1]
窒素雰囲気下の50mlフラスコに、2-シアノ-2-プロピルドデシルトリチオカルボナート 2.9g、p-アセトキシスチレン 16g、重合溶媒として1-メトキシ-2-プロパノール 0.080gを加えて攪拌した。続いて、アゾビスイソブチロニトリルの1-メトキシ-2-プロパノール溶液(0.1mol/L) 7.7gを添加した後、フラスコ温度を80℃に昇温し、重合を開始した。3時間重合反応を行った後、ヘキサン溶媒に再沈殿することでポリマー粉体Aを得た。
次いで、窒素雰囲気下の30mlフラスコにて、ポリマー粉末A 3.2gを1-メトキシ-2-プロパノール 2.1gに溶解し、t-ドデシルメルカプタンを1.7g添加し、温度80℃で1時間反応させた。得られたポリマーApを再沈殿精製し、H-NMRによってポリマー解析を実施したところ、ポリマー停止末端由来のピークの減少が確認された(末端変換効率は78%)。
[実施例2]
窒素雰囲気下の50mlフラスコに、2-シアノ-2-プロピルドデシルトリチオカルボナート 2.9g、メタクリル酸 1-メチルシクロペンチル 17g、重合溶媒として1-メトキシ-2-プロパノール 0.37gを加えて攪拌した。続いて、アゾビスイソブチロニトリルの1-メトキシ-2-プロパノール溶液(0.1mol/L) 7.7gを添加した後、フラスコ温度を80℃に昇温し、重合を開始した。3時間反応を行った後、ヘキサン溶媒に再沈殿することでポリマー粉体Bを得た。
次いで、窒素雰囲気下の30mlフラスコにて、ポリマー粉体B 3.4gを1-メトキシ-2-プロパノール 2.2gに溶解し、t-ドデシルメルカプタンを1.7g添加し、変性温度80℃にて1時間反応させた。得られたポリマーBpを再沈殿精製し、H-NMRによってポリマー解析を実施したところ、ポリマー停止末端由来のピークの減少が確認された(末端変換効率は86%)。
[実施例3]
窒素雰囲気下の50mlフラスコに、2-シアノ-2-プロピルドデシルトリチオカルボナート 0.86g、メタクリル酸メチル 8.4g、重合溶媒として1-メトキシ-2-プロパノール 1.7gを加えて攪拌した。次いで、アゾビスイソブチロニトリルの1-メトキシ-2-プロパノール溶液(0.1mol/L) 2.5gを添加した後、温度80℃に昇温し、重合を開始した。3時間反応させることでポリマー溶液Cを得た。
次いで、窒素雰囲気下の30mlフラスコにポリマー溶液C 6.7g(ポリマー濃度66質量%)及びt-ドデシルメルカプタン1.0gを添加し、80℃3時間反応させた。得られたポリマーCpを再沈殿精製し、H-NMRにてポリマー解析を実施したところ、ポリマー停止末端由来のピークの減少が確認された(末端変換効率は42%)。
[実施例4]
窒素雰囲気下の100mlフラスコに、2-シアノ-2-プロピルドデシルトリチオカルボナート 2.2g、p-アセトキシスチレン 13g、メタクリル酸 1-メチルシクロペンチル 20g、重合溶媒として1-メトキシ-2-プロパノール 9.8gを加えて攪拌した。続いて、アゾビスイソブチロニトリルの1-メトキシ-2-プロパノール溶液(0.1mol/L) 5.9gを添加した後、フラスコ温度を80℃に昇温し、重合を開始した。途中、アゾビスイソブチロニトリルの1-メトキシ-2-プロパノール溶液(0.1mol/L)5.3gを添加しながら6時間反応させることでポリマー溶液を得た。また、得られたポリマー溶液をヘキサン溶媒に再沈殿することにより精製し、ポリマー粉体Dを得た。
次いで、窒素雰囲気下の30mlフラスコにて、ポリマー粉末D 4.4gを1-メトキシ-2-プロパノール 2.6gに溶解し、t-ドデシルメルカプタン0.80gを添加し80℃1時間反応させた。得られたポリマーDpを再沈殿精製し、H-NMRにてポリマー解析を実施したところ、ポリマー停止末端由来のピークの減少が確認された(末端変換効率は63%)。
[実施例5]
実施例4と同様の操作を行うことによりポリマー粉末Dを得た。次いで、窒素雰囲気下の30mlフラスコにて、実施例4で得られたポリマー粉体D 4.4gを1-メトキシ-2-プロパノール 2.6gに溶解し、t-ドデシルメルカプタンを0.80g添加して80℃3時間反応させた。得られたポリマーEpを再沈殿精製し、H-NMRにてポリマー解析を実施したところ、ポリマー停止末端由来のピークの減少が確認された(末端変換効率は80%)。
[比較例1]
実施例2と同様の操作を行うことによりポリマー粉末Bを得た。次いで、窒素雰囲気下の30mlフラスコにて、ポリマー粉末B 3.2gを1-メトキシ-2-プロパノール36gに溶解し、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)を 7.9g添加し、温度80℃で1時間反応させた。得られたポリマーB1を再沈殿及び精製した。
[比較例2]
実施例2と同様の操作を行うことによりポリマー粉末Bを得た。次いで、窒素雰囲気下の30mlフラスコにて、ポリマー粉末B 3.2gを1-メトキシ-2-プロパノール 9.0gに溶解し、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)を1.6g及びt-ドデシルメルカプタンを1.6g添加し、温度80℃で1時間反応させた。得られたポリマーB2を再沈殿及び精製した。
(ポリマー末端基の同定)
1.熱分解ガスクロマトグラフ質量分析
実施例2で得られた末端水素変性ポリマーBpにつき、熱分解ガスクロマトグラフ質量分析装置(pyGCMS)により末端構造を解析した。その測定結果を図1に示した。なお、図1中、上段のグラフ中の逆三角印は、変性反応で得られた水素末端構造近傍由来のピークである。
2.マトリックス支援レーザー脱離イオン化飛行時間型質量分析
実施例2、比較例1及び比較例2のそれぞれで得られたポリマーBp、ポリマーB1及びポリマーB2につき、マトリックス支援レーザー脱離イオン化飛行時間型質量分析計(MALDI-TOF-MS)によりポリマー分子量を測定し、末端構造について解析した。その測定結果を図2に示した。なお、図2中、逆三角印は、アゾ化合物由来の末端構造(下記式(2)で表される構造)を有するポリマーのピークであり、丸印は、水素末端(下記式(3)で表される構造)に変換されたポリマー構造由来のピークである。
Figure 0007226434000003
これらの測定結果から、実施例2のポリマーBpは、末端構造が水素原子に置換されていることが確認された。また、実施例2のポリマーBpは、比較例1のポリマーB1及び比較例2のポリマーB2に対し、アゾ化合物由来の末端構造体の混入が無く、高選択的に水素原子に置換されたことが確認された。
以上の結果から、RAFT剤由来の官能基を末端に有するポリマーとチオール基含有化合物とを、重合終了後にラジカル発生剤を添加せずに接触させることにより、RAFT剤由来の官能基が水素原子に置換されたことが分かった。また、末端変換効率も高い数値であった。これらのことから、RAFT剤由来の官能基を末端に有するポリマーとチオール基含有化合物とを、重合終了後にラジカル発生剤を添加せずに接触させる方法によれば、RAFT剤由来の官能基を、金属を使わずに簡便に、かつ高選択的に除去して水素原子に置換できることが明らかとなった。

Claims (6)

  1. チオカルボニルチオ化合物の存在下でモノマーを重合して、基「-SC(=S)R」(ただし、Rは1価の有機基である。)を末端に有する重合体Tを得る工程Aと、
    ラジカル発生剤を添加せずに前記重合体Tとチオール基含有化合物とを接触させて、前記重合体Tが有する基「-SC(=S)R」を水素原子に置換する工程Bと、を含む、重合体の製造方法。
  2. 前記工程Bにおいて、前記重合体Tと前記チオール基含有化合物とを40℃以上130℃以下で接触させる、請求項1に記載の重合体の製造方法。
  3. 前記モノマーは、(メタ)アクリル化合物及び芳香族ビニル化合物よりなる群から選ばれる少なくとも一種を含む、請求項1又は2に記載の重合体の製造方法。
  4. 基「-SC(=S)R」から水素原子への変換効率が40%以上である、請求項1~3のいずれか一項に記載の重合体の製造方法。
  5. 前記チオール基含有化合物は、下記式(1)で表される化合物である、請求項1~4のいずれか一項に記載の重合体の製造方法。
    -SH …(1)
    (式(1)中、Rは、炭素数1~30の1価の炭化水素基、又は炭素数2~30の炭化水素基の炭素-炭素結合間に-C(=O)O-を有する基であり、少なくとも1個の水素原子が水酸基、カルボキシ基又は-SONaで置換されていてもよい。)
  6. 基「-SC(=S)R」(ただし、Rは1価の有機基である。)を末端に有する重合体Tと、チオール基含有化合物とをラジカル発生剤を添加せずに接触させて、前記重合体Tが有する基「-SC(=S)R」を水素原子に置換する方法。
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