JP2015097484A - 人工降雨用ノズルおよび人工降雨用装置 - Google Patents

人工降雨用ノズルおよび人工降雨用装置 Download PDF

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Abstract

【課題】人工降雨エリアの多様な形状を得ると共に人工降雨の面積拡大を容易にすることを可能とした人工降雨用ノズルおよび人工降雨用装置を提供する。
【解決手段】人工的に雨を降らせる際に使用される人工降雨用ノズル10を、水供給源に接続され可撓性部材で形成されると共に外部に向けて水を噴出する先端開口部13Fを有するフレキシブルチューブ部13Cを備えた構成とし、フレキシブルチューブ部13Cの先端開口部13Fに、水が層流状態から脈動流を含む乱流を発生させる乱流発生手段T・Gとして、1枚のフラップ状片13Eを設けて構成した。
【選択図】図2

Description

本発明は、人工降雨用ノズルおよび人工降雨用装置に係り、更に詳しくは、降雨させたい目的の空間を幅と奥行きと高さで規定される空間を降雨エリアと定義すると、自然雨に近似した雨滴粒径分布と降雨量とで特徴付けられる人工降雨を、希望する降雨エリアに降らすことができる人工降雨用ノズルおよび人工降雨用装置に関する。
近年、自動車や電車の車両、及び各種建築物を含めて、屋外で使用される種々の建造物の降雨に対する耐久性や耐水性等を確認するための検査(或いはテスト)用として、人工降雨用装置の利用が多くなっている。
自然雨の再現が要求される場合では、雨滴の粒径分布が自然雨の分布に近いこと、降雨量を降り始めから降り終わりの時間経過に伴って可変できること、降雨量の幅としてパラパラ降る程度から大雨や豪雨に対応できることが求められる。
これらは、表土の流失実験であるとか、視界距離や降雨中でも視認性確認、建物や車輌の防水試験、降り始めを検知する検知器の開発、降り始めにおいて傘を差すとか、軒先を探す等の人の行動の観察により建物の軒先や広場の雨宿り空間を検討すること等、防災や検出器開発、街つくりに至る広い範囲で降雨模擬実験の必要性が高まっている。
また、ヒートアイランド現象の対策として、打ち水や空中に噴霧された水の気化潜熱を利用して人通りの多い通路や広場や地区の冷却が注目されているが、路面が濡れるほどの一度の打ち水では歩行者に水跳ねによる汚れを与えたり、空中に噴霧される霧では風に流されて所望の空間を冷却出来ないと言った欠点がある。
この対策として、霧より粒径が大きく、一度に路面を濡らさないパラパラ雨程度の散水による冷却が望まれている。
さらに、近年、大規模商業施設や建物の屋内に於いて、清涼感や癒しや清涼感を与える手段として、植物やせせらぎや水溜りを配した中庭や、ビオトープ的な演出が好まれ、あるいは、真夏の太陽を遮りかつ葉からの水分蒸散により採光窓際などの温度上昇を抑える緑のカーテンや、屋上庭園などの設置が進んでいる。
従来、清涼感を与える水の装置として噴水があるが、新たな親水装置として疑似降雨に関心が高い。植物の葉に雨滴が当たるかすかな音や水溜りの水面の波紋を楽しめる雨滴粒径分布や、ほぼ空中に葉を伸ばした緑のカーテンへの散水など、降雨エリアが四角ではない異形エリアでも対応できることが求められる。
また、比較的解放された空間での建造物解体工事などで発生する埃を吸着するために散水することが増えた。カーテン状に散水する際、シャワーヘッドのように水滴の軌跡が略固定したものより、不規則に水滴の軌跡が変化する方が、埃との接触機会が増え効果的となる。これは、規則正しい織物状のフィルターより、不織布状のフィルターが効果的なのと同じである。
地面を濡らし過ぎると水溜りによる地面の汚れとなり、付近の通行人などに迷惑を掛けることになるため、小雨程度の水滴が防塵したい境界を降雨エリアとしできる散水装置が求められている。
一方、多くの場合、希望する粒径分布の人工降雨を目的とする降雨エリアに少雨量から大雨量に至るまで、時間経過に伴って自在に可変設定することが必要とされている。そのために、人工降雨用ノズルに多くの機能を持たせる必要上、ノズル形状の複雑化が避けられなかった。
その理由は、粒径分布を構成するために粒径の異なる複数種類のノズルを組み合わせることは当然として、多数の水噴出孔を持つシャワーヘッド状のノズルや、噴流水をデフューザーに衝突させて水滴化するスプリンクラー等のノズルでは、流量を少なくすると水がボタ落ちとなり、反対に大雨や豪雨の再現で流水量を無闇に増やすと噴霧状態となり、いずれも水滴粒径や降雨エリアを満たせなくなるため、数多くのノズルを備えて流量範囲に対応して通水を切り替える必要があった。
この切り替え時にも、水圧不足が発生するとボタ落ちを起こすが、表土の実験などではボタ落ちの水塊によって落下地点の表土を窪ませてしまうため、この対策として散水ノズルの直前に弁を設けて水の流れをON、OFFすることが必要となっている(特許文献2参照)。
図25は、概ね球面状を成す板に多数の水噴出孔が放射状に向けて設けられたシャワーヘッド型ノズル100のボタ落ちの様子を断面図で示したものである。
更に詳しくは、止水してノズル100の空洞部に残った水Wが、右端の水噴出孔から空気が吸い込まれた結果、隣接する水噴出孔から染みだした水が集まってノズル表面に付着した大きな水塊となり、重力に逆らえなくなって大きな水滴W1として滴り落ちる瞬間を表している。
これは、隣接する水噴出孔の中で地面から高い位置にあるノズル100では、空洞部の水圧が少し低くなる位置にあるため大気圧に負けて空気を吸い込む結果起こるからである。水噴出孔の直径が小さい場合には起こらないこともある。
流量が少ない場合も、水噴出孔を出る噴流の質量運動量が小さいため、水噴出孔周囲の壁にまとわりつくことが起こり、噴出方向が水噴出孔の延長線上から外れることとなり、この噴流が隣接する噴流と合流して太い液柱となったり、数本の水噴出孔の水Wがノズル100の表面に付着した流れとなり、集まって大きな水塊となって滴り落ちることとなり、これがボタ落ちと呼ばれる現象となる。
また、水滴の落下軌跡を不規則化するために、ノズルに振動装置を組み合わせて実現するなど、制御機器を含むノズル駆動設備が複雑化することから、自然降雨に近い降雨を再現しようとする人工降雨用装置は大型化しやすいという不都合があった。
このため、自然降雨に近い降雨を再現した降雨装置は、重いノズルやノズル内の弁を切り替えるための動力や制御装置を備えるために、強固な建物に備え付けるのが一般的であった。従って、実際の屋外に存在する斜面などでの繰り返し再現実験による研究では、簡易的な降雨装置に頼らざるを得ず、正確な再現実験のためには現場の一部を切り取って前記の強固な建物の実験室に持ち込んで実験しなければならなかった。
かかる不都合を改善するものとして、近時にあっては、一般的な水道水の水圧で使用可能な、本出願人による下記特許文献1に記載の人工降雨用ノズルが知られている。
この特許文献1に開示された人工降雨用ノズルは、水供給源に連結された細管と、この細管に連結され先端に噴出口を有するフレキシブルチューブとを備え、このフレキシブルチューブの前記細管側にフレキシブルチューブの自励振動をする運動方向を制御するためのガイドフィンを備えた構成となっている。
この特許文献1に記載の人工降雨用ノズルによる液滴化の原理について説明する。
液体を微粒化する原理としては、次にあげる4つに大別されると言われている。
1)液体の圧力(運動エネルギー)の利用
2)気流の運動エネルギーの利用
3)回転運動による遠心力の利用
4)その他、静電気、超音波の利用
そして、上記特許文献1に記載の人工降雨用ノズルは、この中で主に1)の液体圧力(運動エネルギー)を利用した方式である。
即ち、水噴出孔に相当する先端開口部から噴射される連続流(Continuous Flow)の液体からなる液柱(liquid column)に、液体の不安定を引き起こす主に6種類の要因
a)表面張力
b)液体の自由振動
c)液柱のレイリー(RaYleigh)不安定
d)相対速度に基づく不安定(Kelvin-HelmholtZ不安定問題)
e)液体噴流の内在不安定性と乱れ
f)加速度に基づく不安定性
などが働くことによって分散流(Dispresed Flow)に変化するとされていることを利用したものである。
図26は、液柱が液滴に変化する過程を表したものである。
ここで、液体を噴出するノズルが固定されている場合、ノズルの先端開口部に至る流路の流体と接する壁が滑らかであり、流れがレイノルズ数(Re)で乱流を示さないような範囲、一般的には、Re<2310 の流路長さと流速であれば、先端開口部を出た液体の噴流は、層流を保った液柱となって噴出する。
噴出後の液柱は、前記した主に6数種類の不安定要素を受けることに依って液柱表面にわずかなくびれが生じる。一旦くびれが生じると、表面張力によってくびれが更に成長し、やがて液柱は連続を保てなくなって分裂する。この分裂の大きさは、RaYleighの理論によれば、液柱の初期直径をDとした場合、液柱に生じるくびれの波長λは、
λ=4.44D
になるとされ、くびれが成長して液柱が分裂を引き起こし、分裂した液滴が表面張力によって球形になると、その液滴の直径dは、
d=1.88D
になるとされている。
図27は、表面張力を利用した液体の微粒化の原理図で、液体をシート状に噴出するノズルから層流で噴出させると、液体の表面張力によってシート状態を保てなくなり分裂して液滴を生じる。
図27のような平面状のシート110の場合、シート110の端の表面張力が大きいために縮流を起こして厚みが増すために、分裂して得られる液滴の粒径はシート110の端で生成されたものは大粒となりがちである。そこで、多くの場合は、図示しないが、シートを円環状または扇状にして噴出させる方法がとられる。
噴流の断面形状が円形ではない場合には、シート状噴流の場合と同様に表面張力によって表面積を小さくする力が発生し噴流の不安定性が増すために、分裂して水滴を得る典型例がシート状噴流と言える。
先端開口部からの噴出速度が遅い場合は、液柱内部の不安定要因のエネルギーが小さく、連続流の状態が長く続く。これに対して、噴出速度が速い場合、不安定要因のエネルギーも大きくなる為、連続流れの持続距離が短くなる。更に流速が増すと、先端開口部を出た直後に液柱表面にくびれが出現し分裂流となる。
更に流速を上げると、先端開口部内部で乱流状態となり、先端開口部を出た瞬間に流体は微細な分裂を起こし、噴霧状と言われる状態になるとされている。
工業的には、単一噴孔ノズルを使った場合、噴霧状態を得る為には15MPa以上の高い圧力を掛けている。
次に、前記特許文献1に開示された人工降雨用ノズルのように、先端開口部を持つ本体の一部が可橈性の高い材質で構成されているフレキシブルチューブの場合について説明する。
可橈性材料として、例えばシリコンゴムなどを用いると、たとえ円管形状であっても、円管の軸方向に圧力を掛けると、いわゆる挫屈限界値としての長さと直径の比が、金属製や硬質プラスチック製などの高剛性材料製のものに比べて小さい。
従って、前記特許文献1に開示された人工降雨用ノズルに用いられているような、例えばフレキシブルチューブ長さが30mmで、内径1mm、外径2mmのような場合、先端開口部に軸方向の力を加えるとフレキシブルチューブが挫屈することは容易に理解できる。
ここで、人工降雨用ノズルの動きの説明を容易にするために、図28のように運動方向を示す3次元座標軸を設定する。
前述した、降雨エリアの幅方向を「X」、奥行き方向を「Z」、平面XZに垂直方向即ち高さ方向と「Y」と設定する。
人工降雨用ノズル120をY軸に沿って下向きに噴出するように、床面から例えば2mの位置に設置する。前記フレキシブルチューブ120Aの側面に配されたガイドフィン120Bも、フレキシブルチューブ120Aと同じ材料で構成し、取り付ける向きはガイドフィン120Bの屈曲が容易となる厚み方向をZ軸に垂直となるように設置すると、ガイドフィン120BはYX平面と平行な面内で撓みやすくなるため、その先端に伸びるフレキシブルチューブ120Aの動きをも、ガイドフィン120Bの曲がり易い平面に納めるような働きをすることになる。
実験に用いた人工降雨用ノズル120の概略の寸法は、フレキシブルチューブ120Aの内径が1mm、外径が2mmで長さが30mm、このフレキシブルチューブ120Aの通路は前記ガイドフィン120Bを通って水を供給する細管の取り付け部に繋がっている。
人工降雨用ノズル120に水道栓から水圧レギュレーターを介して給水すると、およそ0.05MPa以下ではフレキシブルチューブ120Aは概ね静止しているが、更に圧力を高めると唐突に振動を始める。その結果、ZX平面の底部に水滴が不規則な軌跡を描いて落下することになる。
水圧が0.17MPaで実験すると、散水される形状はX方向に7000mm、Z方向に200mmの範囲であった。この時の水滴の粒径は中央値d=1.012mmであった。なお、詳しい粒径分布は後述する。
次に、フレキシブルチューブが自励振動を起こす原理について、簡単に説明する。
フレキシブルチューブの先端開口部から液体が噴出すると、液体の噴出する運動量の反力が先端開口部を通してノズルに働く。
図29(A)で説明をすると、初期状態では噴流の反力が前記フレキシブルチューブ120Aの先端にY軸に沿って働き、フレキシブルチューブに圧縮圧力として働く状態を示している。フレキシブルチューブは自身の剛性で該反力に対抗するが、フレキシブルチューブが容易に挫屈してしまい、図29(B)の状態になる(なお、図29(B)〜(D)ではチューブ内部を図示していない)。
細管に接続されている側は固定されているため一端固定の挫屈であり、この図29(B)では、フレキシブルチューブ120A(太線の点線で示す)が固定端から先端開口部に向かう途中で第1の屈曲点を持ってX軸のマイナス方向へ角度θ1曲がり、更に先端開口部側のところで第2の屈曲点が発生して角度θ2曲がり、先端開口部は第2の屈曲点からはX軸のプラス方向を向きY軸に対してθ3の傾きを持つ。
この為、噴流の反力は先端開口部ではX軸のマイナスの向きにsinθ3の水平分力を生じ、先端開口部をX軸のマイナスの向きに移動させる力として働く。第2の屈曲点では内部を流れる流体の向きがθ2変わることからフレキシブルチューブ120Aに遠心力が働き、流体の質量運動量のsinθ2の水平分力を受け、この力もフレキシブルチューブ120Aの先端開口部がある部分をX軸のマイナスの向きに運動させる力として働く。
他方、第1屈曲点では、流体の向きがθ1変えられることによる遠心力が発生し、質量運動量のsinθ1が水平分力となるが、働く向きはX軸のプラス方向となる。
即ち、先端開口部の移動方向に対して第1の屈曲点は反対向きに働く。フレキシブルチューブ120Aのその後の動きを中心線と反力およびその分力を書くと、図29(B)〜(D)のようになる。
移動方向に対して反対向きの力(=抗力)が掛ると振動が持続することになるとされ、強制加振ではないため、このような持続的振動は自励振動と呼ばれる。
フレキシブルチューブ120Aの振動面は理想的にはYX平面内であるが、円柱が気流と相対速度を持つと円柱の回りに渦を生じ、この渦が円柱を不規則に揺らす力を発生する。従ってフレキシブルチューブ120Aは、Z軸方向にも加振力を受けるために、X軸方向に振動しながらもZ軸方向にも振動する。この事に依って散水エリアがZ軸方向にも幅を持つことになる。
図30の写真は、前記従来例の人工降雨用ノズル120の自励振動をスローシャッターとストロボ発光を組み合わせて撮影したものであり、人工降雨用ノズル120が水平方向に扇状に散水する状況を上から撮影したものである。
スローシャッターによる長時間露光による画像では、人工降雨用ノズル120の振動の振幅が凡そ180度まで開いたものであることが分かり、得られた水滴の飛翔が放射状に軌跡を残していることが分かる。更にストロボ発光によって得られた瞬間画像では、人工降雨用ノズル120のS字状の瞬間姿勢と、このノズル120から噴出されて蛇行した液柱や液柱の分裂や分断されて生じた液滴の列が記録されている。
このように先端開口部が常に角度を変えながら横向きの運動をするために、噴出した液柱は新たな加速度を受け、その結果、液柱内部の乱れが増大する。また、先端開口部から出た液柱は空気とは横からの相対運動も生じるため、液柱は外部から不安定エネルギーを受け、これにより、液柱表面にくびれが生じやすくなり、かつ乱れのエネルギーが大きくなるためにくびれの発生周期が短くなると考えられる。
そのため、前述したRaYleighの理論による単一の先端開口部の噴流によって得られる水滴の粒径d=1.88Dよりも小径の水滴が多く得られるものと考えられる。
また、前記したように、先端開口部が常に角度を変えながら横向きの運動をするために、噴出した液柱の表面に生じたくびれが成長して断裂に至り水滴となって運動するが、先端開口部から放出される角度が刻々と変化しているために、水滴の落下軌跡は個々に異なり、それ故水滴が落下する場所は不規則となる。
このことも、人工降雨用ノズルを使った人工降雨が、自然雨に非常に類似していると言える特徴となっている。
次に、人工降雨用ノズルによって得られた粒径分布について説明する。
自然雨の粒径分布を表すものとして、マーシャル&パルマー分布が挙げられる。これは次式で与えられている。
N(D)=0.08×exp(-4.1×R-0.21×D)
N(D):粒径分布
D:雨滴の粒径(m)
R:降雨強度(mm/hr)
前記人工降雨用ノズルによる実験結果をマーシャル&パルマー分布にプロットしたのが、図31のグラフである。また、図32は、実際の雨を観測した雨滴粒径分布の例として、「熱帯各地における雨滴粒径分布特性の比較(古津年章ほか、CPEAWS021218koZu-dsd.doc)、p4、図5(b)」を引用したものである。
図32のグラフで粒径が0.5mm以下ではマーシャル&パルマー分布から大きくずれているのは、計測に使ったJoss型ディスドロメータは、1mm以下の粒径での精度劣化が指摘されているので参考とされている。
尚、人工降雨用ノズルによる実験で粒径計測に使用した計測器は、計測下限閾値が0.5mmであり、参考値とする。また、計測器として下記文献に有るものを使用した。
即ち、
「Nanko, K., Hotta, N., SuZuki, M. (2006) Evaluating the influence of canopYspecies and meteorological facT・Grs on throughfall drop siZe distribution.Journal of HYdrologY 329: 422-431. DOI:10.1016/j.jhYdrol.2006.02.036」
人工降雨用ノズルの雨滴粒径分布は、先端開口部径が1mmのものでは粒径が1mm前後で突出て多く生成しているが、実際の人工降雨用装置として設計する場合は、粒径分布特性を参考にして、先端開口部径を選択して組み合わせて使うとよい。
要求される雨滴分布に適合させるには、複雑な波形をフーリエ展開して単純な波形の組み合わせで表現することは広く行われているが、雨滴分布の場合も同様に行えばよい。散水ノズルの場合は、粒径分布がサイン波のような基礎的な要素ではないために、いわば偏った基礎波を用いて所望の波形を表現するという難しさがある。
上記人工降雨用ノズルの場合、前記したように概ねマーシャル&パルマー分布と傾向が近いため、例えば図33のように少ない組み合わせで近似させることができる(降雨強度R=10mm/hに近似)。
傾向が逆の粒径が大きいほど分布が大きくなるような人工降雨用ノズルを用いる場合は、マーシャル&パルマー分布を近似させるためには、より多くの種類のノズルで構成しなければならない。この点でも、フレキシブルチューブの単純な先端開口部を持つ人工降雨用ノズルは自然雨の再現について有利である。
次に、図34を参照して、人工降雨用装置での実施例を説明する。
上記人工降雨用ノズル120の散水エリアの奥行きは、ノズル120を真下に向けた時に200mmであるが、図34(A)のように横向きや迎え角を持って取り付けると散水エリアの奥行きは増大するので、この実施例では縦横夫々5本のノズル120を配置して構成した。
降雨強度が増すと大きな雨滴粒径が増えるため、これに対応可能なように先端開口部の大きなノズルを組み合わせてある(図34では先端開口部の大きさの違いを区別して描いていない)。
この実施例は、図34(C)に示すように、降雨エリアは幅と奥行きが夫々2mの正方形であり、前述したように小さな降雨エリアである。
ここで、従来例の人工降雨用ノズルの散水エリアの大きさが、奥行き200mm、幅7000mmだった場合、一辺が2000mmの降雨エリアの1/3以下であるため、降雨エリアを超えてしまう水滴をキャッチする板125と、この板125に当たった水を集める樋126と、この樋126に集まった水を排出するホース127などを装着してある。
尚、水滴をキャッチする板125は、図34(B)では1辺のみ表示したが、本来は4辺に取り付けられているものである。
フレキシブルチューブの先端開口部が水噴出口となったノズルの場合は、流量が少なくなっても噴出する液柱の太さは先端開口部の径を概ね保つ。また、流量がほぼゼロに近い場合には、先端開口部の外壁にまとわりついて、いわゆる水滴形状となって落下することになるが、内径1mmのノズルの場合、その水滴の直径はおよそ2mmであり、このノズルが出す雨滴粒径の大きい粒径に相当する範囲である。
また、先端開口部が隣接していないため、他の先端開口部の水と合流することもなく、このノズルにおいては散水の開始や終止時、少流量から大流量に渡ってリニアに流量を可変として使うことができる。そのため、従来型のノズル(特許文献2)のようにON、OFF制御をしなくても良いという利点があり、前記したように複数のノズルを組み合わせて使う場合でも、ボタ落ち対策が不要なため簡単な制御で十分な利点がある。
特許第4711112号公報 特開平8−247317号広報
上記特許文献1に記載の人工降雨用ノズルは、従来は困難視されていた自然雨に近い雨滴粒径分布の水滴を、目的とする降雨エリアに不規則な落下地点となるような人工降雨を、簡単な構成で実現可能とした点では多大の有効性を備えたものとなっている。
該人工降雨用ノズルは、構成上ではガイドフィンによる細管への固定によってフレキシブルチューブの動作方向の安定が確保されている。このガイドフィンによって先端の首振り範囲が一方向に制御されることから、1本のノズルが提供する人工降雨エリアの幅が広く奥行きが狭い明瞭な帯状を呈しており、ノズルの組み合わせによって目的とする降雨エリアを構成することができていた。
しかしながら、前述したように降雨エリアとして人工降雨用ノズルが提供可能な散水エリアよりも小さく、長方形や正方形に近い散水エリアの要求に対しては、この人工降雨用ノズルが提供する帯状の降雨エリアでは幅方向に余剰に降らせることになり、余剰のエリアの雨滴については遮蔽板やキャッチする装置と組み合わせる必要があった。
また、雨滴粒径分布についても、人工降雨用ノズルで自然雨に近似させることは先端開口部の径の異なるものを組み合わせることで容易に実現できるが、涼感を演出する装置や打ち水効果で冷却を目的とするような自然雨の再現以外の要求では、もっと違った粒径分布を好む要求もあり、より簡便な方法で実現が望まれていた。
〔発明の目的〕
本発明は、かかる従来例が有する不都合を改善し、人工降雨エリアの多様な形状を得ると共に人工降雨の面積拡大を容易にすることを可能とした人工降雨用ノズルおよび人工降雨用装置を提供することを、その目的とする。
前記目的を達成するために、本発明に係る人工降雨用ノズルは、人工的に雨を降らせる際に使用される人工降雨用ノズルであって、
水供給源に接続され可撓性部材で形成されると共に外部に向けて水を噴出する先端開口部を有するフレキシブルチューブ部を備え、
前記フレキシブルチューブ部の先端開口部に、前記水が層流状態から脈動流を含む乱流を発生させる乱流発生手段を設けたことを特徴とする。
更に、上記目的を達成するため、本発明に係る人工降雨用装置は、人工降雨用ノズルを複数設け、前記各人工降雨用ノズルを取付ける複数の取付部材とこれらの各取付部材を支持する支持機構とを備えて構成すると共に、
前記各取付部材を、前記各人工降雨用ノズルがそれぞれの乱流発生手段の先端同士が相互に干渉し合わない間隔をあけて、前記支持機構に配設した構成を採っている。
本発明の人工降雨用ノズルによれば、フレキシブルチューブ部の水を噴出する先端開口部には乱流発生手段を設けたので、この乱流発生手段により前記フレキシブルチューブ部の先端開口部から噴出する液柱に対して不安定要素を与え、不安定を増した噴出した液体の質量運動量の反動力を受け、乱流発生の反動は、大きさや向きが不規則に変化するため、噴流の反動との合力の大きさと向きも不規則に変化する。その結果、フレキシブルチューブを挫屈させようとする力は向きと大きさが刻々とかわるので、フレキシブルチューブが振動する方向も刻々と変わる。
刻々と変わる反力の大きさのピークは、乱流発生手段が無いものに比べて大きくなり、フレキシブルチューブの運動を制御するチューブ振動制御部(ガイドフィン)の抑制力にある程度抗して運動できるようになる。これにより、本発明の人工降雨ノズルが実現する散水エリアは、チューブ振動制御部によって抑制されていた奥行き方向にも散水エリアを広げられることが可能となり、この結果、人工降雨の面積全体を大幅に拡大することが可能となった。
また、乱流発生手段が高い周波数で液柱に乱流の振動を起すため、粒径が小さな人工降雨を得ることができようになった。
本発明の人工降雨用装置によれば、複数の人工降雨用ノズルを、その乱流発生手段の先端同士が干渉し合わない間隔をあけて支持機構に配設してあるので、より大型の建造物、装置、車両等の耐久性、耐水性、視認性、および感知性等を人工的な降雨を用いて調べることが可能となった。
尚、フレキシブルチューブ先端開口部では、先述のように噴出した液体の質量運動量の反動力を受け、フレキシブルチューブを圧縮する方向にこの力が働き、同時に乱流発生手段も乱流を発生させて噴流にエネルギーを注入した反動を別途受ける。
乱流発生の反動は、大きさや向きは不規則に変化するため、噴流の反動との合力の大きさと向きも不規則に変化する。その結果、フレキシブルチューブを挫屈させようとする力は向きと大きさが刻々とかわるので、フレキシブルチューブが振動する方向も刻々と変わる。
刻々と変わる反力の大きさのピークは、乱流発生手段が無いものに比べて大きくなり、フレキシブルチューブの運動を制御するチューブ振動制御部の抑制力にある程度抗して運動できるようになる。この結果、本願の人工降雨用ノズルが実現する散水エリアは、チューブ振動制御部によって抑制されていた奥行きZ軸方向にも散水エリアを広げられることが可能となった。
また、相対的にチューブ振動制御部が抑制しないX軸方向のフレキシブルチューブの振幅が減少する傾向を示した。これは、フレキシブルチューブが起こす自励振動のエネルギーは、流体の質量運動量から得るもので概ね一定であり、フレキシブルチューブの振動のよる軌跡が包絡するエリアの面積も該エネルギーと比例関係にあると考えられるため、Z軸方向の運動が増えると反比例してX軸方向の運動が減ったと言える。
乱流発生手段によって増加するエネルギー増加分は振動する運動量が増加でき、結果として振幅の空間が広がって、散水エリアの面積も広がったと言える。
本発明に係る第1実施形態の人工降雨用ノズルを示す全体正面図である。 図1に開示した人工降雨用ノズルのノズル本体部分を示す図で、同図(A)はその斜視図、図2(B)はフレキシブルチューブ部先端に設けられた乱流発生手段を構成するフラップ状片を示す拡大斜視図である。 図2(B)に開示したフラップ状片の開き角度と噴流との関係とを示す説明図である。 図2(B)に開示したフラップ状片の2種類の開き角度およびフラップ状片を開かない場合と噴流の関係とを示す説明図である。 図2(B)に開示したフラップ状片と先端開口部とを流れる水の流速を示す説明図である。 フラップ状片が形成されていない場合のフレキシブルチューブの先端開口部から水が噴出されている状態を示す(ストロボ写真)図である。 図7(A)は図2(B)に開示したフラップ状片に水が噴出していない状態を写真撮影(ストロボ撮影)したもので、図7(B)はフラップ状片を下側に配置して水を噴出した状態、図7(C)はフラップ状片を横向きに配置して水を噴出した状態を示す説明図である。 図2(B)に開示したフラップ状片の開き角度の違いと噴流の関係(ストロボ撮影)を示す図であり、図6(A)はフラップ状片が少し開いた状態、図6(B)はフラップ状片が大きく開いた状態を示す。 図9(A)は、図2(B)に開示したフラップ状片を台形状に形成したフラップ状片を写真撮影(ストロボ撮影)したもので、図9(B)は、フレキシブルチューブに水を噴出した状態を写真撮影(ストロボ撮影)したものである。 図1に開示した人工降雨用ノズルを上向きに使用して人工的に雨を降らせた状態を示す動作説明図である。 図1に開示した人工降雨用ノズルを使用して人工的に雨を降らせた実験結果を粒径分布として表したもので、1枚のフラップ状片の長さと粒径分布との関係を示すグラフである。 図1に開示した人工降雨用ノズルを使用して人工的に雨を降らせた実験結果を散水エリアとして表したもので、フラップ状片の長さと散水エリアとの関係を示す比較図である。 本発明に係る第2実施形態の人工降雨用ノズルのノズル本体部を示す図で、図12(A)はその斜視図、図12(B)はフレキシブルチューブ部先端に設けられた乱流発生手段を構成するフラップ状片を示す拡大斜視図である。 図13(B)に開示したフラップ状片の開き角度と噴流との関係とを示す説明図である。 図13(B)に開示したフラップ状片の2種類の開き角度およびフラップ状片を開かない場合と噴流の関係とを示す説明図である。 図12(B)に開示したフラップ状片の開き角度の違いと噴流の関係(ストロボ写真)を示す図であり、図16(A)はフラップ状片が少し開いた状態、図16(B)はフラップ状片が大きく開いた状態を示す図である。 図13に開示した人工降雨用ノズルを使用して人工的に雨を降らせた実験結果を散水エリアとして表したもので、2枚のフラップ状片の長さと散水エリアとの関係を示す比較図である。 本発明に係る第3実施形態の人工降雨用ノズルのノズル本体部を示す図で、図12(A)はその斜視図、図12(B)はフレキシブルチューブ部先端に設けられた乱流発生手段を構成するフラップ状片を示す拡大斜視図である。 図18に開示した人工降雨用ノズルを使用して人工的に雨を降らせた実験結果を散水エリアとして表したもので、4枚のフラップ状片の長さと散水エリアとの関係を示す比較図である。 本発明に係る人工降雨用ノズルを複数使用した人工降雨用装置を示す一部省略の正面図である。 本発明に係る人工降雨用ノズルにおける乱流発生手段の変型形態を表し、図21(A)は切込みを1箇所に入れてフラップ状片を設けた状態、図21(B)は切込みを3箇所に入れてフラップ状片を設けた状態、図21(C)は内側溝を4箇所に入れてフラップ状片を設けた状態、をそれぞれ示す正面図である。 本発明に係る人工降雨用ノズルにおける乱流発生手段の変形形態を表し、フレキシブルチューブ部先端近傍に孔を設けた状態を示す(ストロボ撮影)図である。 本発明に係る人工降雨用ノズルの第1実施形態の変型形態を示す全体斜視図である。 本発明に係る人工降雨用ノズルの第2実施形態の変形形態を示す全体斜視図である。 一般的なシャワーヘッド型ノズルのボタ落ちの様子を示す縦断面図である。 レイレーの理論を表す図であり、液柱が液滴に変化する過程を示す説明図である。 表面張力を利用した液体の微粒化の原理図であり、液体をシート状に噴出した場合を示す図である。 従来例の人工降雨用ノズルの動きを説明するための運動方向を示す3次元座標軸を示す図である。 図29(A)〜(D)は、従来例の人工降雨用ノズルにおいてフレキシブルチューブが自励振動を起こす原理を示す図である。 従来例の人工降雨用ノズルが自励振動した状態を示す(ストロボ撮影)図である。 マーシャル&パルマー分布と従来例の人工降雨用ノズルによる実験結果の実測値を示すグラフである。 熱帯各地において実際の雨滴観測から得られた粒径分布例を示す図である。 2種類のノズルの合成雨滴分布イメージを示すグラフである。 従来例の人工降雨装置での実施例を表し、図34(A)は迎え角で配置したノズルを示し、図34(B)は小型人工降雨装置を示す斜視図、図34(C)は小型人工降雨装置を示す平面図である。
〔第1実施形態〕
以下に、図1〜図12に基づいて、本発明に係る人工降雨用ノズルの第1実施形態を説明する。
図1は、人工降雨用ノズル(以下、単にノズルと呼ぶ)10を示す全体図であり、図2(A)は、ノズル10を構成するノズル本体13を示す斜視図、図2(B)は、ノズル本体13に設けられたフレキシブルチューブ部13Cの先端開口部13Fに設けられた乱流発生手段T・Gであるフラップ状片13Eを拡大した斜視図である。
本第1実施形態のノズル10は、自然雨に近似する人工的な雨を降らせる際に使用されるものである。
ノズル10は、図1に示すように、水供給源(図略)に連結部材であるクイックソケット15を介して着脱可能に連結される継手部11、およびこの継手部11に一体的に設けられた細管部12と、可撓性部材、例えばシリコンゴムで形成されると共に、細管部12に連結され当該細管部12内を流れる水を案内して外部に噴出するフレキシブルチューブ部13Cとを備えている。また、上記クイックソケット15にはホース16が連結され、このホース16が水道等の水供給源に接続されるようになっている。
なお、継手部11と細管部12とは、例えば、合成樹脂製とされ、上述のようにノズル10と一体的に形成されていてもよい。
そして、このフレキシブルチューブ部13Cの先端開口部13F(図2参照)に、当該先端開口部13Fから流れ出る水が層流状態から脈動流状態を含む乱流に変化するように、乱れエネルギーを与える乱流発生手段T・Gを設けた構成となっており、この乱流発生手段T・Gが1枚のフラップ状片13Eで構成されている。
そして、本第1実施形態のフレキシブルチューブ部13Cは、その内径寸法が例えば1mm、外径寸法が例えば2mmのものが使用されている。内径は主に粒径を左右するので要求される粒径分布で決められるが、外径は振動の状態を変え得るため散水エリアに影響し、フレキシブルチューブ部13を構成する樹脂の比重や弾性等の物性によって調整される要素となる。
また、細管部12とフレキシブルチューブ部13Cの内径寸法は1mm〜2mmの範囲のものが採用されているが、要求される雨滴粒径分布や降雨強度を実現するために適宜の径のものが採用される。例えば、内径寸法が1mm以上のフレキシブルチューブ部を備えたノズル本体も揃えておき、使用目的に応じて適宜選択して用いることもできる。
なお、内径寸法が小さいほど、水滴の粒径が小さな人工降雨を実現でき、例えば、霧に近い状態の人工降雨も実現できる。これに対して、内径寸法が大きくなればなるほど、水滴の粒径が大きな人工降雨を実現でき、例えば、豪雨状態の人工降雨も実現できる。
図2(A)に詳細を示すように、ノズル本体13の水が噴出する側を先端側と呼ぶと、このノズル本体13の後端側には、前記細管部12に接続される細管挿入部13Aが設けられている。
また、細管挿入部13Aの他端を底部としてノズル本体13の先端側には、フレキシブルチューブ部13Cの自励振動の運動方向を制御する薄板状のチューブ振動制御部であるガイドフィン13Bが設けられており、このガイドフィン部13Bは、フレキシブルチューブ部13Cの一部を内包した状態で細管挿入部13Aから先端側に所定長さ突き出した形状で設けられている。
フレキシブルチューブ部13Cの先端は図2(B)に示すように先端開口部13Fとなっており、前述のように、先端開口部13Fに乱流発生手段T・Gとして1枚のフラップ状片13Eが設けられている。
以上のようなノズル本体13の細管挿入部13A、ガイドフィン部13B、およびフレキシブルチューブ部13Cを前記シリコンゴムで一体成形した場合は、上記ガイドフィン部13Bが前記フレキシブルチューブ部13Cを内包するのではなく、フレキシブルチューブ13Cの内径を有する流路を連続させて前記細管部挿入部13Aに通じて開口していれば良い。
なお、ノズル本体13の材質は、シリコンゴムに限定されるものではなく、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリウレタン等でもよい。要は、可撓性、つまり柔軟性を有するものであればよい。
ノズル本体13のガイドフィン部13Bは、その平面形状が細長の五角形状に形成されている。
また、ガイドフィン部13Bの側面形状は、そのガイドフィン部13Bの底部において厚さ寸法が細管部12の外径寸法と同じ厚さ寸法の肉厚部とされ、そこから先端側に伸びるに従って滑らかに薄くなり、且つフレキシブルチューブ部13Cが突出する部分に於いて、当該フレキシブルチューブ部13Cの外径寸法とほぼ同じ厚さ寸法のくさび状に形成されている。
本第1実施形態では、ガイドフィン部13Bは、フレキシブルチューブ部13Cの軸方向に対して軸対称形に形成した薄型のくさび状であるので、くさびの厚み方向へ撓みやすい性質がある。このため、ガイドフィン部13Bは、フレキシブルチューブ部13Cの振動方向を概ね厚み方向での振動を促進するように働き、これにより、くさびの幅方向の振動を抑制するようになっている。
なお、ガイドフィン部13Bは対称形でなくても良く、ねじれているものや厚みは幅寸法が逆くさび状でも良いし、枚数も1枚や3枚などでも構わなく、前記フレキシブルチューブ部13Cの振動方向を散水エリアの形状に合わせる向きに制御できる形状を与えられれば良い。
前記フレキシブルチューブ部13Cの先端は、前述のように、フレキシブルチューブ部13C内を流れて来た水(液体)を噴出させるための先端開口部13Fとなっており、この先端開口部13Fに前記1枚のフラップ状片13Eが設けられている。
ここで、フレキシブルチューブ部13Cの長さt(図2(A)参照)は、前記ガイドフィン部13Bの付け根から前記フラップ状片13Eの先端までと定義すると、内径が1mm、外径が2mmのフレキシブルチューブ部13Cの長さが30mmに設定されたとき良好な自励振動を得ている。
図2(A)、(B)等に示すように、第1実施形態では、乱流発生手段T・Gとして1枚のフラップ状片13Eを採用した。このフラップ状片13Eは、フレキシブルチューブ部13Cの先端開口部13Fの部分に、その長手方向中心線に沿って先端から鉈で竹を縦に割るように1本の切込みCを所定の長さで入れて形成した2枚の半割り円管状のうち、一方を根元から切り除いて残った半円筒状のものである。
上記半円筒の長さ寸法を短いものから長いものへ変えると、散水エリアの形状や面積、および雨滴粒径の分布が変わることが観測された。
散水エリアが広いほど良いということではなく、降雨エリアの要求を満たし易い特性を選べばよいため、金型で予め数種類の長さのものを準備するだけでなく、例えば要求の降雨エリアを満たすのに都合のよい散水エリアのノズルとするための調整代と考えて、先端開口部13Fのフラップ状片13Eを形成する加工を、レーザーカッターなどで後加工する方法も採用してもよい。
フラップ状片13Eは、壁面(フレキシブルチューブ部13Cの内周面)を構成する素材(シリコンゴム)と形状とに基づく固有振動数を持っている。
この固有振動数は、フラップ状片13Eの回りの液体や気体の密度や粘性によって一定の振動モード(節の数)と振動数を持つ。
なお、後述するように、先端開口部13Fの内壁の一部を薄肉部として円環状の変形振動を促進させて、前記フラップ状片13Eと同等の効果を得る構成も取り得る。
以上のようなフラップ状片13Eは、図3,4に示すように、先端がフラップ状片13Eの基端部Mから外方に湾曲状に広がった形状、つまり略末広がり状に形成されている。
そして、フラップ状片13Eの先端側の外方への広がり角度α°(図3参照)は、フレキシブルチューブ部13Cの内周面の延長線上と、この延長線上の交点M1から、水がフラップ状片13Eから離れるようにコアンダ効果の限界を生じる境界層剥離部の接線に向かって延びた角度α°に設定されている。
ここで、上記コアンダ効果とは、噴流が粘性の効果により周りの流体を引き込むこと(entrainment)によって起きる現象である。そのため、先端開口部13Fがラッパのベルマウスのように全周が末広がりの形状であると、噴流はその断面積を急には増やせないため、壁に付着しない部分も生じ、この剥離する場所が刻々と変わる。
また、フラップ状片13Eの内周面が曲面であれば、噴流もその局面に沿って流れる。そして、フラップ状片13Eの内周面の曲率が大きいと、噴流はその曲面に沿って流れたり離れたりを周期的に起こしながら流れ、フラップ状片13Eをパタパタ引き込み振動させるようになる。
以上に述べたように、フレキシブルチューブ部13Cの内周面の形状と流速や粘性によって、噴流が曲面に沿って流れたり離れたりする周期が決まり、流体を噴出するノズルの場合は、流体がフレキシブルチューブ部13Cの内周面から剥離するとそこに空気層が入るため、噴流に脈動流を与える結果となる。
なお、図9に示すように、フラップ状片13Eの平面形状を先端が狭い台形とすることもできる。更に、台形形状を非対象としてもよい。フラップ状片13Eが台形の場合、台形の斜辺が噴流に対して旋回力を与える効果も生じるので、乱流の程度が増すという効果が得られる。
次に、フレキシブルチューブ部13Cの先端にフラップ状片を設けない場合と、フラップ状片13Eを設けた場合の広がり角度と噴流との関係を、図4に基づいて説明する。
図4において、フラップ状片13Eを設けない場合のフレキシブルチューブ部を仮想線(二点差線)で示し、フラップ状片13Eの広がり角度(開度)が狭い場合を点線で示し、フラップ状片13Eの広がり角度を大きくした場合を実線で示す。
フラップ状片を設けないフレキシブルチューブ部の場合、水Wはフレキシブルチューブ部13Cの内周面に沿って層流状態で噴出される。そのため、先端開口部を出た水流Wが層流状態から脈動流状態に直ちに変化することはない。
これに対して、フラップ状片13Eの広がり角度(開度)が狭い場合、先端開口部13Fから噴出された水流Wはフラップ状片13Eの先端まではフラップ状片13Eの内壁を追従している。そして、その後、水流Wは一旦広がってから収束する。
フラップ状片13Eの開角度を大きくした場合、水流Wはフラップ状片13Eの曲率に追従しきれず、前記コアンダ効果の限界を超えることにより、フラップ状片13Eの内周面の途中から剥離して流れる。
ここで、フラップ状片13Eが噴流に対して与える影響について説明する。
前述のように、噴流が、流体の粘性によって周囲の物体を引きこむことをコアンダ効果と言う。
本第1実施形態では、乱流発生手段T・Gが1枚のフラップ状片13Eで構成されており、このフラップ状片13Eを通過する噴流の液柱の片側側面がフラップ状片13Eに接し、残り半分が空気に接しているため、フラップ状片13E側の粘性抵抗が大きく反対側は小さい。噴流は粘性の大きい側で流速が落ちるため、フラップ状片13E側に曲がろうとする。
図5は、先端開口部13Fの流速を示したもので、先端開口部13Fを流れる水流Wが円管部からフラップ状片13Eに達すると、フラップ状片13E側の流速が遅くなることを示している。
噴流が曲がると、遠心力によってフラプ状片13Eを元に戻す方向の力が発生するためフラップ状片13Eが振動を始める。振動の周波数はフラップ状片13Eが短いと高い周波数で持続し、フラップ状片13Eが長くなるに従って周波数が下がるが、2次モードの振動を起こすために高い周波数で安定することも起こる。
従って、フラップ状片13Eの長さに反比例して周波数が下がる一方ということは無く、ノコギリ波のように周波数が階段状に上がってから長さの増加に伴って周波数が下がり、そこから再び階段状に上がるような変化をする。これは振動体の一般的な特徴である。
このフラップ状片13Eの振動は、噴流への不安定エネルギーとして伝わると共に、フラップ状片13Eに繋がるフレキシブルチューブ部13Cの加振源となり先端開口部13Fの向きを振動に合わせて変化させる。
乱流発生手段T・Gとしてのフラップ状片13Eの振動と、フレキシブルチューブ部13Cの振動はそれぞれが独立して発生するが、フレキシブルチューブ部13Cの振動は噴孔13Fの向きが、該フラップ状片13Eの振動によって変えられるため、合成された振動運動を呈する。
フラップ状片13Eの振動によって噴流が受ける影響は、噴流の液柱に起こる乱れの周期に影響するため、粒径に影響する。
他方、フラップ状片13Eの振動によってフレキシブルチューブ13Cが受ける影響はZ軸方向への加振力が増す為に相対的にX軸方向への加振力が減少して散水エリアの形状を変化させることになる。
このことを実験結果から確認できるのが、後で詳細を述べる図11,12のグラフである。
次に、図6〜9を参照して、上記各態様のフレキシブルチューブ部13Cから実際に水を噴射した場合(ストロボ撮影)を説明する。
図6は、フレキシブルチューブ部13Cの先端開口部にフラップ状片を設けない場合であり、上述のように、噴出された水流がほぼ層流状態のまま噴出している。
図7は、フラップ状片13Eが1枚の場合で、且つ当該フラップ状片13Eに広がり角度がない場合の拡大写真(ストロボ撮影)を示し、図7(A)は、フレキシブルチューブ部13Cに水が供給されていない状態、図7(B)は、フラップ状片13Eを上向きにして水が噴流した状態、図7(C)は、フラップ状片13Eを横向きにして水が噴流した状態である。
図7(B)、(C)から、水がフレキシブルチューブ部13Cの先端開口部13Fから層流状態を保って噴出するのではなく、層流状態から脈動流を含む乱流状態に変化して噴出していることが分かる。
図8は、フラップ状片13Eの広がり角度(開度)が狭い場合と広い場合との拡大写真(ストロボ撮影)を示し、図8(A)は、フラップ状片13Eの広がり角度(開度)が狭い場合であり、前述のように、フラップ状片13Eの先端まで水流Wは追従し、その後、水流は一旦広がってから収束した様子が分かる。
図8(B)は、フラップ状片13Eの開角度を大きくした場合であり、前述のように、水流はフラップ状片13Eの先端に追従しきれず、噴流はフラップ状片13Eの途中から剥離して流れている様子が分かる。
なお、図9(A),(B)は、前記フラップ状片13Eを台形状にしたフラップ状片13EAにおける先端開口部13Fの拡大写真である。実験によると、半割円管状のフラップ状片を示す図7(C)等よりも、上記台形状のフラップ状片13EAが台形形状である方が、噴流にくびれが強く現われていることが分かる。
以上のようなノズル10は、例えば、人工降雨用装置に装備して使用されるようになっている。
次に、図10を参照して、ノズル10を人工降雨用装置に装備して、且つ上向き状態で人工的に雨を降らせた状態を説明する。
図10は、前述した従来例の図30(ストロボ撮影の写真)と同様に、本第1実施形態のノズル10に所定の水圧の水が供給され、その水の噴出の反動によりノズル10のフレキシブルチューブ部13Cが蛇行状の自励振動をしている状態を示す図である。
なお、図10において、ノズル10の実線はある瞬間の状態を示し、破線は別の瞬間の状態を示す。
フレキシブルチューブ部13Cが蛇行状の自励振動をしているとき、フレキシブルチューブ部13Cの先端の噴孔に設けられているフラップ状片13Eは、フレキシブルチューブ部13Cの蛇行状の自励振動に連れて振動するが、フラップ状片13Eと噴流との相互作用と、フラップ状片13Eの弾性に反発力として働き、これにより、フラップ状片13Eは振動を始める。この振動がノズル内部の流体に伝播することで、噴流に脈動流を含む乱流を発生することができる。
図10に示すように、フレキシブルチューブ部13Cの先端開口部から噴出した水はフラップ状片13Eを経由して人工降雨として散水される。このとき、フラップ状片13Eを経由して噴出された水Wは、水滴W1となって散水される。
以上のようなノズル10により人工降雨の実験を行った結果が、図11,12に示されている。
すなわち、図11のグラフは、1枚のフラップ状片13Eの長さと粒径分布の比較で、乱流発生手段が無いノズルの粒径分布に対して、分散が大きくなりかつ中央値が小径側や大径側に寄ることが分かる。尚、このグラフの縦軸は存在比率である。
図12のグラフは、1枚のフラップ状片13Eの長さと散水エリアの比較であり、散水エリアの形状が変わり得ることが確認できる。
(第1実施形態の効果)
以上のような構成の第1実施形態のノズル10によれば、次のような効果が得られる。
(1)フレキシブルチューブ部13Cの先端開口部13Fには乱流発生手段を構成するフラップ状片13Eを設けたので、このフラップ状片13Eによりフレキシブルチューブ部13の先端開口部13Fから噴出する液柱に対して不安定要素を与える。不安定を増して噴出した液体の質量運動量の反動力を受け、乱流発生の反動は、大きさや向きは不規則に変化するため、噴流の反動との合力の大きさと向きも不規則に変化する。その結果、フレキシブルチューブ13Cを挫屈させようとする力は向きと大きさが刻々とかわるので、フレキシブルチューブ13Cが振動する方向も刻々と変わる。
刻々と変わる反力の大きさのピークは、フラップ状片13Eが無いものに比べて大きくなり、フレキシブルチューブ13Cの運動を制御するガイドフィン部13Bの抑制力にある程度抗して運動できるようになる。これにより、本発明の人工降雨ノズル10が実現する散水エリアは、ガイドフィン部13Bによって抑制されていた奥行き方向にも散水エリアを広げられることが可能となり、この結果、人工降雨の面積全体を大幅に拡大することが可能となり、より大型の建造物、装置、車両等の耐久性、耐水性、視認性、および感知性等を人工的な降雨を用いて調べることが可能となった。
(2)フラップ状片13Eがフレキシブルチューブ部13Cの先端開口部13Fから噴出する水に対して不安定要素を与え、不安定を増した噴出した水の質量運動量の反動力を受け、乱流発生の反動は、大きさや向きが不規則に変化するため、噴流の反動との合力の大きさと向きも不規則に変化する。また、フラップ状片13Eが、高い周波数で振動を起こすため、粒径が小さな人工降雨も得ることができ、大小の粒径が混合した自然雨に極めて近似した人工降雨を得ることができるようになった。
(3)従来のように、乱流発生手段T・Gが無いノズルの場合は、粒径分布を変えるためには主に先端開口部の内径を選択するだけであったが、本第1実施形態では、フレキシブルチューブ部13Cの先端開口部13Fにフラップ状片13Eを設けたので、粒径分布を変えることができ、設計の自由度が増した。
(4)また、散水エリアについても、従来のように、乱流発生手段T・Gが無いノズルの場合は、ノズルの本数と配置で降雨エリアの要求に対応するしかなかったが、本第1実施形態のノズル10を用いことで、散水エリアが異なったノズルと組み合わせることが可能となり設計の自由度が高まった。
(5)フレキシブルチューブ部13Cのフラップ状片13Eの長さを大きくすること(切込み長さ寸法が大の場合)で、シリコンゴムで形成されているフラップ状片13Eの振動が、1次モードではなく、水流によるコアンダ効果によってフラップ状片13Eが水流に吸引されたり水流から離れたりを繰り返す、つまりパタパタとなるような振動モードを持ちやすくなる。そのうえ、フラップ状片13Eが屈曲しやすいため、同時に高い周波数での振動を起こしやすくなる。従って、フラップ状片13Eが短い場合に比べて生成できる水滴は、当該フラップ状片13Eの高い周波数で振動を起こすため、粒径が小さくなるという効果が得られる。
(6)フラップ状片13Eが長いと、ノズル本体13が自励振動をすることによって空気中を高速で振動的に横移動する際に受ける空気抵抗によって、フラップ状片13Eへの空気抵抗による横方向の力が周期的に変化しながら加わるため、フラップ状片13Eの振動面が単純な面とならない。このため、フラップ状片13Eの振動によって層流を乱流に変える際の、より複雑な影響を受けることとなり、粒径が均一ではなくなることも生じる。このように、フラップ状片13Eを設けたノズル10を使うと、水滴の粒径のバラツキ幅を広げることができ、より自然雨に近い雨滴粒径分布の人工降雨を実現できる。その結果、より大型の建造物、装置、車両等の耐久性、耐水性、視認性、および感知性等を人工的な雨を用いて調べることが可能となった。
〔第2実施形態〕
次に、図13〜図17に基づいて、本発明に係る人工降雨用ノズルの第2実施形態を説明する。
図13(A)は、ノズル20の斜視図であり、図13(B)は、該ノズル20の乱流発生手段T・Gを構成する2枚のフラップ状片23E,23Eの拡大図である。
前記第1実施形態のノズル10では、その乱流発生手段T・Gを1枚のフラップ状片13Eで構成したものであったが、本第2実施形態のノズル20では、その乱流発生手段T・Gを2枚のフラップ状片23E,23Eで構成したものである。両ノズル10,20では、フラップ状片13E,23Eが異なるのみで、その他の構成は同じである。
即ち、本第2実施形態のノズル20のノズル本体23は、その後端側に設けられ前記細管部12に接続される細管挿入部13Aと、それに続いて先端側に設けられたガイドフィン部23Bと、このガイドフィン部23Bの先端側に設けられたフレキシブルチューブ部23Cとを備え、このフレキシブルチューブ部23Cの先端開口部23Fの部分に、前記2枚のフラップ状片23E,23Eが設けられた構成となっている。
基本的に、乱流発生手段を構成するフラップ状片は、複数枚としても発生する現象は1枚と同じであり、枚数が増えることで新たに発生する問題点は、隣接または対向するフラップ状片が相互に関係し合うことである。
図13に示すように、本第2実施形態のノズル20は、乱流発生手段T・Gとして、前述のように、2枚のフラップ状片23E,23Eを採用したものである。
フラップ状片23E,23Eは、フレキシブルチューブ部23Cの先端開口部23Fの部分に、その長手方向中心線に沿って先端から鉈で竹を縦に割るように1本の切込みC2を所定の長さで入れて形成された2枚の半割り円管状のものである。
ここで、半円筒の長さ寸法を短いものから長いものへ変えると、散水エリアの形状や面積、および雨滴粒径の分布が変わることが観測された。
散水エリアが広いほど良いということではなく、降雨エリアの要求を満たし易い特性を選べばよいため、金型で予め数種類の長さのものを準備するだけでなく、例えば要求の降雨エリアを満たすのに都合のよい散水エリアのノズルとするための調整代と考えて、先端開口部23Fに設けられたフラップ状片23E,23Eを形成する加工をレーザーカッターなどで後加工する方法も採用してもよい。
以上のようなフラップ状片23E,23Eは、図14に示すように、先端がフラップ状片23E,23Eの基端部Mから外方に湾曲状に広がった形状、つまり略末広がり状に形成されている。
そして、フラップ状片23E,23Eの先端側の外方への広がり角度α°は、フレキシブルチューブ部23Cの内周面の延長線上と、この延長線上の交点M1から、水がフラップ状片23E,23Eから離れるようにコアンダ効果の限界を生じる境界層剥離部の接線に向かって延びた角度α°に設定されている。
フラップ状片23E,23Eの内周面が曲面であれば、噴流もその局面に沿って流れる。そして、フラップ状片23E,23Eの内周面の曲率が大きいと、噴流はその曲面に沿って流れたり離れたりを周期的に起こしながら流れ、フラップ状片23E,23Eをパタパタ引き込み振動させるようになる。
以上に述べたように、フレキシブルチューブ部13Cの内周面の形状と流速や粘性によって、噴流が曲面に沿って流れたり離れたりする周期が決まり、噴流に脈動流を含む乱流与える結果となる。
なお、前記1枚のフラップ状片13Eを示した図10のように、フラップ状片23E,23Eの平面形状を先端が狭い台形とすることもでき、この場合、フラップ状片23E,23Eが本第2実施形態のように、複数枚隣接している例では、フラップ状片23E,23Eが振動した場合に相互干渉が減るので、安定した振動を得ることができる。
更に、上記台形形状を非対象としてもよい。フラップ状片23Eが台形の場合、台形の斜辺が噴流に対して旋回力を与える効果も生じるので、乱流の程度が増すという効果が得られる。
次に、フレキシブルチューブ部23Cの先端にフラップ状片を設けない場合、およびフラップ状片23E,23Eを設けた場合の広がり角度と噴流との関係を、図15に基づいて説明する。
図15において、フラップ状片等の乱流発生手段T・Gを設けない場合のフレキシブルチューブ部を仮想線(二点差線)で示し、フラップ状片23E,23Eの広がり角度(開度)が狭い場合を点線で示し、フラップ状片23E,23Eの広がり角度を大きくした場合を実線で示す。
フラップ状片を設けないフレキシブルチューブ部の場合、水Wはフレキシブルチューブ部23Cの内周面に沿って層流状態で噴出される。そのため、先端開口部を出た水流Wが層流状態から脈動流状態に直ちに変化することはない。
これに対して、フラップ状片23E,23Eの広がり角度(開度)が狭い場合、先端開口部23Fから噴出された水流Wは、フラップ状片23E,23Eの先端までは追従している。そして、その後、水流Wは一旦広がってから収束する。
フラップ状片23E,23Eの開角度を大きくした場合、水流Wはフラップ状片23E,23Eの曲率に追従しきれず、前記コアンダ効果の限界を超えることにより、フラップ状片23E,23Eの内周面の途中から剥離して流れる。
次に、図16を参照して、上記各態様のフレキシブルチューブ部13Cから実際に水を噴射した状態(ストロボ撮影)を説明する。
なお、フレキシブルチューブ部23Cの噴孔にフラップ状片を設けない場合は、前記第1実施形態のノズル10において、フレキシブルチューブ部23Cの先端開口部にフラップ状片を設けない場合を説明した図6の説明と同様であり、噴出された水流がほぼ層流状態のまま噴出している。
図16(A)は、フラップ状片23Eの広がり角度(開度)が狭い場合であり、上述のように、フラップ状片23E,23Eの先端まで水流Wは追従し、その後、水流は一旦広がってから収束した様子が分かる。
図16(B)は、フラップ状片23E,23Eの開角度を更に大きくした場合であり、上述のように、水流はフラップ状片23E,23Eの内壁に追従しきれず、噴流はフラップ状片23E,23Eの途中から剥離して流れている様子が分かる。
この散水エリアが変わることを実験結果から確認できるのが、図17のグラフである。
図17のグラフは、散水エリアの比較であり、フラップ状片23E,23Eの長さで散水エリアの形状が変わり得ることが確認できる。また、この図17のグラフと、図12のグラフのフラップ状片13Eが1枚の場合との散水エリアと比較しても、散水エリアの形状が変わることが分かる。
乱流発生手段T・Gが2枚フラップ状片23E,23Eで構成されている場合に、散水エリアの形状が複雑を呈したのは、フラップ状片の枚数が異なる以外は同じ条件であることから、主にフラップ状片の振動数又は振動モードが1枚と2枚とで異なったためであると考えられる。
即ち、X軸方向の振動数は専らフレキシブルチューブ23Cの振動に依り、Z軸方向の振動数が主にフラップ状片の振動数に依ると考えれば、X軸とZ軸に夫々異なる振動数の波形を入れて得られるリサージュ図形に対応すると考えられる。
このように、本第2実施形態のノズル20を用いれば、先端開口部23Fに形成された乱流発生手段T・Gを設けることでも散水エリアを変えることが可能となり、設計の自由度が高まった。
以上に説明したように、ノズル20の乱流発生手段T・Gを2枚のフラップ状片23E,23Eで構成した第2実施形態でも、前記(1)〜(6)と略同様の効果を得ることができる。
〔第3実施形態〕
次に、図18,19に基づいて、本発明に係る人工降雨用ノズルの第3実施形態を説明する。
図18(A)は、ノズル30の斜視図であり、図18(B)は、該ノズル30の乱流発生手段T・Gを構成する4枚のフラップ状片33Eの拡大図である。
前記第1実施形態のノズル10ではその乱流発生手段T・Gを1枚のフラップ状片13Eで構成、第2実施形態のノズル20ではその乱流発生手段T・Gを2枚のフラップ状片23E,23Eで構成したものであるが、本第3実施形態のノズル30ではその乱流発生手段T・Gを4枚のフラップ状片33Eで構成したものである。各ノズル10,20,30では、フラップ状片13E,23E,33Eが異なるのみで、その他の構成、形状は同じである。
即ち、本第3実施形態のノズル30のノズル本体33は、その後端側に設けられ前記細管部12に接続される細管挿入部33Aと、それに続いて先端側に設けられたガイドフィン部33Bと、このガイドフィン部33Bの先端側に設けられたフレキシブルチューブ部33Cとを備え、このフレキシブルチューブ部33Cの水を噴出する先端開口部33Fの部分に、前記4枚のフラップ状片33Eが設けられた構成となっている。
図18(A)、(B)に示すように、本第3実施形態のノズル30は、乱流発生手段T・Gとして、前述のように、4枚のフラップ状片33Eを採用したものである。
4枚のフラップ状片33Eは、フレキシブルチューブ部33Cの先端部の先端開口部33Fの部分に、その長手方向中心線に沿って先端から鉈で竹を縦に割るように2本の切込みを、所定の長さで入れて形成された4枚の半割り円管状のものである。
これらのフラップ状片33Eも、前記第1実施形態のフラップ状片13Eおよび第2実施形態のフラップ状片23Eと同様、先端がフラップ状片33Eの基端部から外方に湾曲状に広がった形状、つまり略末広がり状に形成されている。
そして、各フラップ状片33Eの先端側の外方への広がり角度が、図3に示すのと同じように、フレキシブルチューブ部33Cの内周面の延長線上と、この延長線上の交点から、水がフラップ状片33Eから離れるようにコアンダ効果の限界を生じる境界層剥離部の接線に向かって延びた角度に設定されている。
また、各フラップ状片33Eを、図9に示すのと同様に、台形状に形成してもよい。
そして、4枚の各フラップ状片33Eの働きは、前記した1枚のフラップ状片13Eや2枚のフラップ状片23E,23Eと略同じである。
図19は、乱流発生手段T・Gを構成する4枚のフラップ状片33Eの長さを変えたノズル30による散水エリアの比較である。
この例でも、各フラップ状片33Eの長さの違いによって、散水エリアの形状や面積が異なることが分かる。また、前記図12に示すようなフラップ状片13Eの枚数が1枚の場合と、図17に示すようなフラップ状片23E,23Eが2枚の場合と、図19に示すようなフラップ状片33Eが4枚の場合との、それぞれの散水エリアの形状が異なることも分かる。
(第3実施形態の効果)
以上に説明したように、ノズル30の乱流発生手段T・Gを4枚のフラップ状片33Eで構成した第3実施形態でも、前記(1)〜(6)と略同様の効果を得ることができる。
以上のように、本発明においては、先端開口部の乱流発生手段T・Gとして、第1〜3実施形態のように、フラップ状片の枚数や長さを適宜選択設計することで、散水エリアの形状や面積を変えることが容易である。
ここで、前記第1〜3実施形態のノズル10,20,30に応用された乱流発生手段の乱流発生原理について、さらに詳しく説明する。
乱流発生原理の一つとして、先端開口部の先端に、当該先端開口部の壁の延長する壁面を持つフラップ状片を1枚以上設け、先端開口部から噴出する噴流とフラップ状片とが接触し、流体の粘性力やベルヌーイの定理に基づく速度を持つ流体の圧力が下がることと、噴流が周囲の物体を引きこむコアンダ効果による吸引と、その力に抗するフラップ状片の弾力性との拮抗が自励振動を起こし、この自励動によって、接触している流体に振動が伝搬することとで、噴出する液柱に乱れを発生させ、連続流れを分裂流れに変えることを促進することが挙げられる。
また、乱流発生原理の他の一つとして、先端開口部の先を末広がりに延長して形成した壁を一部又は全周に渡って設け、先端開口部を出た連続流れの液柱がこの末広がりの壁に沿って流れようとするコアンダ効果を得ることが挙げられる。
コアンダ効果によって、液柱が曲げられる際に発生する遠心力や、曲げられる液柱が相対的に末広がりの壁を液柱側に引きこむ力の反力によって、液柱に不安定さを増して液柱の断裂を促進する。
先端開口部の先を末広がりに延長した壁の広がり角度を増すと、噴流がこの壁に追従し切れなくなる場所ができ、噴流は壁を離れる。この時、流れには壁に接した層に境界層が急激に発達し遂には境界層剥離至るが、境界層剥離が起こる場所は不規則に変動するため液柱にはくびれが激しく発生する。
また、先端開口部の先を末広がりに延長した壁が全周に渡ってあるのではなく部分的に1枚以上に分かれて末広がりとなる場合、噴流がコアンダ効果によってこの壁に沿って流れると、壁に接している液柱が引き延ばされる格好となり液柱は末広がりで続く壁面の葉数に対応した角を持つ形状を断面とした液柱となり、液柱には表面張力によって円形断面に戻る力が働くために、不安定となり液柱の断裂が促進される。
さらに、フレキシブルチューブ部の先端に乱流発生手段T・Gを設けたので、フレキシブルチューブ部の先端の軌跡が略YX平面であったものが、Z軸方向にも振れるようになり、逆にX軸方向の振幅が減少し、該ノズルによる散水エリアはX軸方向が縮みZ軸方向に伸びた長方形にと呼ばれる形状に近づく。
この時、前記フレキシブルチューブの先端の軌跡に注目すると、従来例のノズルではその軌跡のエリアは凡そX軸に70mm、Z軸に5mm以下となっており、このノズルを密集配置すると、Z軸方向はガイドフィンの幅の20mmに規制されるので、Z軸方向に20mm、X軸方向に70mmのピッチで配列できる。
一方、本発明の乱流発生手段T・G付きのノズルの場合、前述のように乱流発生手段として長さ15mmのフラップ状片を1枚構成するように切り込みを入れた実験では、散水エリアがX軸方向3000mm、Z軸方向1000mmが得られ、フレキシブルチューブ先端の軌跡のエリアは、X軸方向は約50mm、Z軸方向は約18mmとなる。
Z軸方向はやはりガイドフィンの20mmで規制されるため、このノズルを密集配置すると、Z軸方向は20mm、X軸方向は50mmのピッチで配列が可能となり、約40%密集した設置が可能となる利点がある。
また、フレキシブルチューブ部の先端に乱流発生手段T・Gを設けたので、乱流発生手段T・Gが先端開口部から噴出する液柱に対して与える乱れのエネルギーの周期を変える。
従来例のノズルでは、前記フレキシブルチューブの振動数は数十Hzであり、噴出する液柱のくびれや分裂した液滴の個数を計数すると2000個/secである。液柱に生じるくびれが起点となって分裂を起こすほどの乱れエネルギーの変化周期は2000Hz前後と仮定できる。これは、液柱が分裂する際に、くびれから分裂するときに副次的に小さな液滴を生じることがあるが、これは針先に付着した水滴が自然落下する際にも観察される現象であるため、液柱表面に発生するくびれを生じさせる乱れエネルギーの周期から除外して良いと考えられる。
乱流発生の原理は幾通りかあり、また夫々の原理がどのような周波数の乱れを発生するかは、設計次第である。
乱流発生手段が液柱に与える乱れエネルギー、例えば前述のようにフラップ状片によって機械的な振動を与える場合では、フラップ状片の振動数が、前記した乱れエネルギーの周波数の約2000HZより高いか低いいかで、乱流発生手段が無い場合の粒径分布に対して、粒径を小径側に偏るか大径側に偏る分布特性に変え得る。
その結果、人工降雨用装置を使う研究においては、より大型の建造物、装置、車両等の耐久性、耐水性、視認性、および感知性を対象とした実験に対して、このような樹脂製のノズルは凡そ数十グラムと軽量であるため、簡単な枠に取り付けた可搬型や組み立て式で披実験物に沿わせるような簡便であっても、自然降雨に近似した粒径分布をもつ降雨装置を作ることが可能であり、屋外での土砂流失実験など等を自然降雨の粒径分布に近似した人工降雨を用いて調べることが可能となった。
また、冷却手段としての小粒径発生による蒸散効果アップ、および、人体に水滴が付着した場合に、濡れたと感じにくい粒径として、小粒径に偏った粒径分布が得られる(フラップ状片の構造がある)。
その他、広範囲への散水、および不規則性による防塵効果アップや、自然降雨に近い散水による景観、演出効果への応用等が容易に実現できる。
次に、図20を参照して、本発明の人工降雨用装置50を説明する。
人工降雨用装置50は、以上に説明したノズル10,20,30のいずれかを、複数個、例えば4個設けて構成されたものである。なお、図20では、第1実施形態のノズル10を4個装備した人工降雨用装置50となっている。
人工降雨用装置50は、2本の支柱51,51とこれらの支柱51,51の上端部同士を連結する水平部材52とを備えて構成され、各支柱51,51の下部には安定のための脚部(図略)が設けられている。水平部材52には支持部材53が設けられ、この支持部材53にはノズル10等の前記クイックソケット15を取付ける取付部材54が設けられている。
そして、取付部材54には、各フラップ状片13Eの先端同士が干渉し合わない間隔をあけて各ノズル10が設けられている。なお、図20では、ノズル本体13のフラップ状片13Eの振れ方向は、符号Aで示すように、紙面直交方向である。
このような人工降雨用装置50によれば、次のような効果が得られる。
(1)4個のノズル10が、それぞれのノズル本体13におけるフラップ状片13Eの先端同士が干渉し合わない間隔をあけて配置して設けられているので、一度の実施で、より広範囲に人工的に雨を降らすことができる。
その結果、より大型の建造物、装置、車両等の耐久性、耐水性、視認性、および感知性等を人工的な降雨を用いて調べることが可能となった。
以上、前記各実施形態を参照して本発明を説明したが、本発明は前記各実施形態に限定されるものではない。本発明の構成や詳細については、当業者が理解し得るさまざまな変更を加えることが出来る。また、本発明には、上記各実施形態の構成の一部又は全部を相互に適宜組み合わせたものも含まれる。
例えば、先端開口部に設ける乱流発生手段T・Gとして、第1実施形態では1枚のフラップ状片13E、第2実施形態では2枚のフラップ状片23E,23E、第3実施形態では4枚のフラップ状片33Eで構成したが、乱流発生手段T・Gはこれに限らない。
図21(A)に示すように、フレキシブルチューブ部63Cの切込みCを1箇所に入れて形成したフラップ状片63E、図21(B)に示すように、フレキシブルチューブ部64Cの切込みCを3箇所に入れて形成したフラップ状片64Eにより乱流発生手段T・Gを構成してもよい。そして、このようにしても、前記(1)〜(6)と略同様の効果を得ることができる。
また、図21(C)に示すように、乱流発生手段T・Gとして、フレキシブルチューブ部65C等の先端の内周面に、内側溝Dを例えば4箇所に設けてもよい。このようにすると、フレキシブルチューブ部65Cの先端内周面の断面が非円形流れとなり、断続流を発生させる起点となり易く、これにより、容易に液滴を発生させることができる。
さらに、先端開口部に設ける乱流発生手段T・Gとして、第1実施形態では1枚のフラップ状片13E、第2実施形態では2枚のフラップ状片23E,23E、第3実施形態では4枚のフラップ状片33Eで構成したが、乱流発生手段T・Gはこれに限らない。
例えば、図22に示すように、フレキシブルチューブ部43Cの先端部近傍に、外気と繋がる少なくとも1個の孔43aをあけ、この孔43aを乱流発生手段T・Gとしてもよい。
このようにすると、内部流によるベルヌーイの定理により周囲より減圧となるため、この孔から空気が巻き込まれることになる。そうすると、この空気の巻き込みが流体の噴流に混入するが、空気は気泡として混入し流体の流れに溝を付ける結果となり、その気泡は流体の断続の起点となる。そのため、容易に液滴を発生させることができる。
なお、実験の結果、上記孔43aはフレキシブルチューブ部の端部から、例えば口径の3/4の位置に、口径の半分の寸法の孔径とすることで、上記効果を得ることができた。
また、前記第1実施形態では、フレキシブルチューブ部13Cの先端開口部13Fに1枚のフラップ状片13Eを設け、このフラップ状片13Eを、ノズル本体13の前記ガイドフィン部13Bの厚さ方向と直交する方向に半円筒部が位置するように設けたが、図23に示すように、半円筒部がガイドフィン部13Bの厚さ方向に沿った形状で位置するように設けてもよい。
そして、このようにしても、第1実施形態と同様の作用、効果を得ることができる。
さらに、前記第2実施形態では、フレキシブルチューブ部23Cの先端開口部23Fに2枚のフラップ状片23E,23Eを設け、こられのフラップ状片23E,23Eを、ノズル本体13のチューブ振動制御部13Bの厚さ方向と直交する方向に半円筒部が向くように設けたが、図24に示すように、2枚のフラップ状片23E,23Eの半円筒部がチューブ振動制御部23Bの厚さ方向に沿った形状で位置するように設けてもよい。
そして、このようにしても、第2実施形態と同様の作用、効果を得ることができる。
更に、前記各実施形態では、フレキシブルチューブ部13C等の先端開口部13Fに少なくとも1枚のフラップ状片13E等を形成することで、乱流発生手段を構成したが、これに限らない。例えば、乱流発生手段T・Gとして、フレキシブルチューブ部13C等の先端部の噴孔の形状を非円形断面形状に形成してもよい。
即ち、噴孔の断面形状を非円形とし、噴口を噴出した異形断面の液柱が円形断面液柱に戻ろうとする力が働くようにすることで、液柱に不安定を与え分裂流への移行を促進することができる。
本発明の人工降雨用ノズルでは、フレキシブルチューブの肉厚を薄いもので構成しているため、異形断面を与える溝などを設けると、肉厚の異なる壁で噴孔を構成することになり、噴孔を通る流体の流速がベルヌーイの定理で示されている通り減圧するため、噴孔の壁が外気圧で押されて潰れようとするが、ノズルの剛性は押し戻そうとする。
この時、液体又はノズルの不均一性によって、ノズルの断面形状変化するように変形するが、周囲の長さが同じまま断面形状が変わると断面積が減少することになり、流れ抵抗が増して流体の圧力が増し変形したノズルを元の円形に近い形に戻す力が働く。
ノズルが変形する向きと、これに抗する力の向きが反対方向であるため、断面が変形することを繰り返す振動が持続する。この振動も噴流の液柱に伝わり、液柱に不安定さを増して液柱の断裂を促進することになる。
なお、非円形断面形状は、断面形状が円形でなければよく、円を潰した長円や楕円、三角や四角などの多角形、1本以上の溝による角状の断面形状でもよい。また、この非円形断面をツイストさせて旋回力を与えることで、効果を更に上げることができる。
本発明の人工降雨用ノズルおよび人工降雨用装置は、人工降雨を必要とするすべての場所、例えば、洗車、ハウス栽培、ビルの屋上の緑化部の散水、畑、空き地、グランド等に配置され、その場所における土煙や砂ぼこりを防止する際等に利用される。
また、屋外で使用される種々の建造物の降雨に対する耐久性や耐水性等を確認するための検査(或いはテスト)用や、表土の流失実験、建物や車輌の防水試験、降り始めを検知する検知器の開発、防災や検出器開発や、水の気化潜熱を利用したヒートアイランド現象の対策用等として、利用される。
10,20,30 人工降雨用ノズル
11 継手部
12,22,32 細管部
13,23,33 ノズル本体
13A,23A,33A 細管挿入部
13B,23B,33B チューブ振動制御部であるガイドフィン
13C,23C,33C フレキシブルチューブ部
13E,23E,33E 乱流発生手段であるフラップ状片
15 クイックソケット
16 ホース
50 人工降雨用装置
T・G 乱流発生手段

Claims (5)

  1. 人工的に雨を降らせる際に使用される人工降雨用ノズルであって、
    水供給源に接続され可撓性部材で形成されると共に外部に向けて水を噴出する先端開口部を有するフレキシブルチューブ部を備え、
    前記フレキシブルチューブ部の先端開口部に、前記水が層流状態から脈動流を含む乱流を発生させる乱流発生手段を設けたことを特徴とする人工降雨用ノズル。
  2. 請求項1に記載の人工降雨用ノズルにおいて、
    前記乱流発生手段を、
    前記フレキシブルチューブ部先端部に加工形成された1本以上のフラップ状片をもって構成したことを特徴とする人工降雨用ノズル。
  3. 請求項2に記載の人工降雨用ノズルにおいて、
    前記フラップ状片の先端側を外方に広がった形状としたことを特徴とする人工降雨用ノズル。
  4. 請求項3に記載の人工降雨用ノズルにおいて、
    前記フラップ状片の先端側の外方への広がり角度を、前記フレキシブルチューブ部内を流れる水が前記フラップ状片に沿って流れるとき境界層剥離が起こる角度以上に広がる壁面を持って設定したことを特徴とする人工降雨用ノズル。
  5. 請求項1ないし請求項4のいずれか一つに記載の人工降雨用ノズルを複数設け、前記各人工降雨用ノズルを取付ける複数の取付部材とこれらの各取付部材を支持する支持機構とを備えて構成すると共に、
    前記各取付部材を、前記各人工降雨用ノズルがそれぞれの乱流発生手段の先端同士が相互に干渉し合わない間隔をあけて、前記支持機構に配設したことを特徴とする人工降雨用装置。
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