JP2015097172A - スパークプラグの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】溶接ダレやスパッタ、ブローホールの抑制されたスパークプラグを製造する。
【解決手段】中心電極および接地電極を備え、中心電極および接地電極の少なくともいずれか一方は、電極母材と電極母材に溶接された柱状の貴金属チップとを有するスパークプラグの製造方法。パルス発振レーザを照射することにより、電極母材と貴金属チップとの境界部の周囲に1回のレーザの照射につき1つ形成される単位溶融部を複数形成し、電極母材と貴金属チップとを溶接するレーザ溶接工程を備え、レーザ溶接工程では、レーザの照射軸を貴金属チップの中心軸から貴金属チップの径方向にずらし、貴金属チップの直径をA、レーザの照射軸をずらす量をXとしたとき、A/20≦|X|≦A/4を満たすことを特徴とする。
【選択図】図4

Description

本発明は、スパークプラグの製造方法に関する。
スパークプラグの中心電極や接地電極には、電極母材と貴金属チップとがレーザ溶接されているものがある。電極母材と貴金属チップとのレーザ溶接では、溶融部の表面が広がるいわゆる「溶接ダレ」が貴金属チップの先端に及んだり、レーザ照射時に溶融した金属のスパッタが電極母材や貴金属チップに付着したりすることがある。このような溶接ダレやスパッタは、スパークプラグの着火性の低下を招くおそれがある。また、レーザ照射時に、溶融部にブローホールが生じると、溶融部の接合強度が低下して、電極母材から貴金属チップが剥離するおそれがある。特許文献1には、レーザ溶接に用いられる矩形状のレーザ強度波形を変更することによって、スパッタやブローホール等を抑制する技術が記載されている。
国際公開第2008/123343号公報
近年、スパークプラグが使用される環境の高温化や、着火性の向上が要求されていることから、より高融点の貴金属チップが用いられつつある。電極母材と高融点の貴金属チップとを溶接するために、高いエネルギーのレーザが用いられる場合には、溶接ダレやスパッタ、ブローホールが発生しやすい。そのため、溶接ダレやスパッタ、ブローホールをさらに抑制する技術が望まれている。
本発明は、上述の課題を解決するためになされたものであり、以下の形態として実現することが可能である。
(1)本発明の一形態によれば、中心電極および接地電極を備え、前記中心電極および前記接地電極の少なくともいずれか一方は、電極母材と該電極母材に溶接された柱状の貴金属チップとを有するスパークプラグの製造方法が提供される。この製造方法は;パルス発振レーザを照射することにより、前記電極母材と前記貴金属チップとの境界部の周囲に1回の前記レーザの照射につき1つ形成される単位溶融部を複数形成し、前記電極母材と前記貴金属チップとを溶接するレーザ溶接工程を備え;前記レーザ溶接工程では、前記レーザの照射軸を前記貴金属チップの中心軸から前記貴金属チップの径方向にずらし;前記貴金属チップの直径をA、前記レーザの照射軸をずらす量をXとしたとき;A/20≦|X|≦A/4;を満たすことを特徴とする。この形態の製造方法によれば、レーザの照射軸を貴金属チップの中心軸から径方向にずらすことにより、貴金属チップの周方向に沿って長径を有する楕円形状の単位溶融部を形成することができる。そのため、貴金属チップの先端に向けての溶接ダレやスパッタ、ブローホール(以下、溶接ダレ等)を抑制することができる。また、レーザの照射軸を貴金属チップの中心軸から径方向にずらす量Xを、A/20≦|X|≦A/4を満たす範囲とすることで、溶接ダレ等を効果的に抑制することができる。
(2)本発明の他の形態によれば、中心電極および接地電極を備え、前記中心電極および前記接地電極の少なくともいずれか一方は、電極母材と該電極母材に溶接された柱状の貴金属チップとを有するスパークプラグの製造方法が提供される。この製造方法は;パルス発振レーザを照射することにより、前記電極母材と前記貴金属チップとの境界部の周囲に1回の前記レーザの照射につき1つ形成される単位溶融部を複数形成し、前記電極母材と前記貴金属チップとを溶接するレーザ溶接工程を備え;前記レーザ溶接工程では、前記電極母材と前記貴金属チップとを前記レーザの照射軸に対して相対的に回転させる、単位時間あたりの回転数をR(rps)、前記レーザのパルス幅をM(msec)としたとき;5≦0.36×R×M≦30;を満たすことを特徴とする。このようにすることによっても、貴金属チップの周方向に沿って長径を有する楕円形状の単位溶融部を形成することができるので、溶接ダレ等を抑制することができる。また、レーザの照射軸に対する電極母材と貴金属チップとの相対的な回転数Rと、レーザのパルス幅Mとを、5≦0.36×R×M≦30とすることで、溶接ダレ等を効果的に抑制することができる。
(3)本発明の他の形態によれば、中心電極および接地電極を備え、前記中心電極および前記接地電極の少なくともいずれか一方は、電極母材と該電極母材に溶接された柱状の貴金属チップとを有するスパークプラグの製造方法が提供される。この製造方法は;パルス発振レーザを照射することにより、前記電極母材と前記貴金属チップとの境界部の周囲に1回の前記レーザの照射につき1つ形成される単位溶融部を複数形成し、前記電極母材と前記貴金属チップとを溶接するレーザ溶接工程を備え;前記レーザ溶接工程では、レーザスポットが楕円形状となる光学系を有するレーザ照射装置を用いて、前記貴金属チップの周方向に沿って長径を有する楕円形状の前記単位溶融部を形成することを特徴とする。この形態の製造方法によれば、レーザスポットが楕円形状となる光学系を有するので、レーザを電極母材と貴金属チップとの境界部に照射すれば、貴金属チップの周方向に沿って長径を有する楕円形状の溶融部を形成することができる。よって、溶接ダレ等を簡易に抑制することができる。
(4)上記形態の製造方法において;前記単位溶融部は、前記貴金属チップの周方向の最大幅をD、前記貴金属チップの中心軸と平行な方向の最大幅をdとしたとき;1.05≦D/d≦1.50;を満たす楕円形状を有することを特徴としてもよい。この形態の製造方法によれば、溶融部の形状を溶接ダレ等を抑制するために適した形状にすることができる。
(5)上記形態の製造方法において;前記単位溶融部を境界部の周囲に複数形成することにより、前記貴金属チップの全周にわたって形成された溶融部を、前記貴金属チップの周方向に沿って切断した断面の面積をS1、前記断面における前記溶融部の面積をS2としたときに;(S2/S1)×100≧70;を満たすことを特徴としてもよい。この形態の製造方法によれば、電極母材から貴金属チップが剥離することを抑制することができる。
(6)上記形態の製造方法において;前記レーザ溶接工程では、前記電極母材と前記貴金属チップとの前記境界部の周囲に、レーザスポットの単位面積あたりのエネルギーが30J/mm2以上で前記レーザが照射されることを特徴としてもよい。この形態の製造方法によれば、レーザスポットの単位面積あたりのエネルギーが30J/mm2以上のように比較的高いために溶接ダレ等が発生しやすい場合であっても、貴金属チップの周方向に沿って長径を有する楕円形状の単位溶融部が形成されるので、溶接ダレ等を効果的に抑制することができる。
本発明は、上述したスパークプラグの製造方法以外の種々の形態で実現することも可能である。例えば、スパークプラグや、スパークプラグ用の中心電極や接地電極、スパークプラグ用の中心電極や接地電極の製造方法等の形態で実現することができる。
スパークプラグ100の部分断面図である。 中心電極20の先端付近を拡大して示す図である。 中心電極20の先端付近を拡大して示す断面図である。 電極母材と貴金属チップのレーザ溶接方法を示すフローチャートである。 本実施形態におけるレーザ溶接工程の様子を示す図である。 溶接ダレ、スパッタ、ブローホールが発生したスパークプラグの溶融部を示す図である。 条件1および条件2においてレーザ照射軸LSのずれ量Xを変化させた場合の溶接状態の評価結果を示す図である。 条件1および条件2においてD/dの値を変化させて単位溶融部を形成した場合における溶接状態の評価結果を示す図である。 溶融部比率を算出する様子を示す図である。 酸化スケールの進展割合を算出する方法について説明するための図である。 溶融部比率と酸化スケールの進展割合との関係を示す図である。 第2実施形態における電極母材と貴金属チップのレーザ溶接方法を示すフローチャートである。 回転数Rとパルス幅Mとを変化させた場合の溶接状態の評価結果を示す図である。 第3実施形態における電極母材と貴金属チップのレーザ溶接方法を示すフローチャートである。
A.第1実施形態:
A1.スパークプラグの構成:
図1は、スパークプラグ100の部分断面図である。スパークプラグ100は、図1に示すように、軸線Oに沿った細長形状を有している。図1において、一点破線で示す軸線Oの右側は、外観正面図を示し、軸線Oの左側は、スパークプラグ100の中心軸を通る断面でスパークプラグ100を切断した断面図を示している。以下の説明では、軸線Oに平行であって図1の上方側を先端側と呼び、図1の下方側を後端側と呼ぶ。図1のxyz軸は、他の図のxyz軸と対応している。図1において、スパークプラグ100の後端側が−z方向であり、スパークプラグ100の先端側が+z方向である。単に「z方向」というときは、z軸に平行な方向(z軸に沿った方向)をいう。このことは、x軸およびy軸についても同様である。
スパークプラグ100は、絶縁碍子10と、中心電極20と、接地電極30と、端子金具40と、主体金具50とを備える。絶縁碍子10の先端から突出する棒状の中心電極20は、絶縁碍子10の内部を通じて、絶縁碍子10の後端に設けられた端子金具40に電気的に接続されている。中心電極20の外周は、絶縁碍子10によって保持され、絶縁碍子10の外周は、端子金具40から離れた位置で主体金具50によって保持されている。主体金具50に電気的に接続された接地電極30は、火花を発生させる隙間である火花ギャップを中心電極20の先端との間に形成する。
絶縁碍子10は、アルミナ等を焼成して形成された絶縁体である。絶縁碍子10は、中心電極20および端子金具40を収容する軸孔12が中心に形成された筒状の部材である。絶縁碍子10の軸方向中央には外径を大きくした中央胴部19が形成されている。中央胴部19よりも後端側には、端子金具40と主体金具50との間を絶縁する後端側胴部18が形成されている。中央胴部19よりも先端側には、後端側胴部18よりも外径が小さい先端側胴部17が形成され、先端側胴部17のさらに先端側には、先端側胴部17よりも小さい外径であって先端側へ向かうほど外径が小さくなる脚長部13が形成されている。
主体金具50は、絶縁碍子10の後端側胴部18の一部から脚長部13にわたる部位を包囲して保持する筒状の金具である。本実施形態では、主体金具50は、低炭素鋼により形成され、全体にニッケルめっきや亜鉛めっき等のめっき処理が施されている。主体金具50は、工具係合部51と、取付ネジ部52と、シール部54とを備える。工具係合部51は、スパークプラグ100をエンジンヘッドに取り付けるための工具が嵌合する。取付ネジ部52は、エンジンヘッドの取付ネジ孔に螺合するネジ山を有する。シール部54は、取付ネジ部52の根元に鍔状に形成され、シール部54とエンジンヘッドとの間には、板体を折り曲げて形成した環状のガスケット5が嵌挿される。
主体金具50の工具係合部51より後端側には薄肉の加締部53が設けられている。また、シール部54と工具係合部51との間には、加締部53と同様に薄肉の圧縮変形部58が設けられている。工具係合部51から加締部53にかけての主体金具50の内周面と絶縁碍子10の後端側胴部18の外周面との間には、円環状のリング部材6,7が介在されており、さらに両リング部材6,7間にタルク(滑石)9の粉末が充填されている。スパークプラグ100の製造時には、加締部53を内側に折り曲げるようにして先端側に押圧することにより圧縮変形部58が圧縮変形し、この圧縮変形部58の圧縮変形により、リング部材6,7およびタルク9を介し、絶縁碍子10が主体金具50内で先端側に向け押圧される。この押圧により、タルク9が軸線O方向に圧縮されて主体金具50内の気密性が高められる。
主体金具50の内周においては、取付ネジ部52の位置に形成された金具内段部56に、環状の板パッキン8を介し、絶縁碍子10の脚長部13の基端に位置する碍子段部15が押圧されている。この板パッキン8は、主体金具50と絶縁碍子10との間の気密性を保持する部材であり、燃焼ガスの流出が防止される。
接地電極30は、耐腐食性の高い金属から構成され、一例として、ニッケル合金が用いられる。この接地電極30の基端は、主体金具50の先端面57に溶接されている。接地電極30の先端側は、軸線Oと交差する方向に屈曲されている。接地電極30の中心電極20の先端と対向する部分においては、円柱状の貴金属チップ34が電極母材31に溶接されている。
中心電極20は、電極母材21の内部に、電極母材21よりも熱伝導性に優れる芯材22が埋設された棒状の部材である。電極母材21は、ニッケルを主成分とするニッケル合金から成り、芯材22は、銅または銅を主成分とする合金から成る。中心電極20の先端においては、円柱状の貴金属チップ24が電極母材21に溶接されている。
貴金属チップ24、34は、例えば、白金(Pt)、イリジウム(Ir)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)あるいはこれらの合金によって形成されている。なお、図1に示す軸線Oは、貴金属チップ24、34の中心軸Oでもある。
図2は、中心電極20の先端付近を拡大して示す図である。図3は、中心電極20の先端付近を拡大して示す断面図である。中心電極20は、電極母材21と貴金属チップ24との境界部26(図3)付近において、電極母材21と貴金属チップ24とが溶融して形成された溶融部25を備える。溶融部25は、複数の単位溶融部25n1〜25n12(図2)から構成されている。単位溶融部25n1〜25n12は、貴金属チップ24の周方向に全周にわたって形成されている。貴金属チップ24の周方向とは、電極母材21の周方向といいかえることもできるし、境界部26付近の周方向といいかえることもできる。図2に示すように、それぞれの単位溶融部25n1〜25n12は、隣り合う単位溶融部と重なり合っている。なお、単位溶融部の数は、適宜変更されてもよい。
単位溶融部25n12は、複数の単位溶融部25n1〜25n12のうち、最後に形成された単位溶融部である。単位溶融部25n12は、貴金属チップ24の周方向に沿って長径を有し、軸線Oと平行な方向であるz方向に沿って短径を有する楕円形状を有する。それぞれの単位溶融部25n1〜25n12は、後述するように同じ条件で順次形成される。そのため、例えば、単位溶融部25n11は、単位溶融部25n11に続いて形成された単位溶融部25n12が重なって全体の形状を確認し難いものの、単位溶融部25n12と同じく楕円形状を有している。
本実施形態では、単位溶融部25n1〜25n12の形状は、以下の式(1)を満たすことが好ましい。
1.05≦D/d≦1.50・・・式(1)
ただし、Dは、貴金属チップ24の周方向の最大幅(長径)、
dは、貴金属チップ24の中心軸Oと平行な方向の最大幅(短径)。
なお、単位溶融部25n1〜25n12の貴金属チップ24の周方向の最大幅とは、図2を用いて説明すると、x方向から中心電極20を見た場合における、単位溶融部25n1〜25n12のy方向の最大長さである。
また、本実施形態では溶融部25は、以下の式(2)を満たすことが好ましい。
(S2/S1)×100≧70・・・式(2)
ただし、S1は溶融部25の中心軸O(z軸)と平行な方向における中心を、貴金属チップ24の周方向(図2においてxy平面)に沿って切断した断面の面積、
S2は断面における溶融部25の面積。
なお、溶融部25の中心軸O(z軸)と平行な方向とは、中心軸Oと完全に平行な方向でなくともよく、例えば、数°のずれを含む概ね平行な方向であってもよい。
式(1)および式(2)を満たすことが好ましい理由については、実験結果とともに後述する。
A2.スパークプラグの製造方法:
本実施形態の製造方法では、まず、主体金具50と、絶縁碍子10と、中心電極20と、接地電極30とが準備される。中心電極20は、電極母材21と貴金属チップ24とがレーザ溶接されて形成されている。電極母材21と貴金属チップ24のレーザ溶接方法については、後述する。
続いて、主体金具50に接地電極30が接合される。これとは別に、中心電極20と絶縁碍子10とが組み付けられる。そして、中心電極20が組み付けられた絶縁碍子10が主体金具50に組み付けられる組み付け工程が実施される。この組み付け工程によって、主体金具50の内側に絶縁碍子(絶縁体)10と中心電極20とが組み付けられた組立体が構成される。
組み付け工程の後には、主体金具50の加締工程が実施される。この加締工程により、絶縁碍子10が主体金具50に固定される。その後、接地電極30の電極母材31に貴金属チップ34がレーザ溶接される。そして、最後に、主体金具50のシール部54と取付ネジ部52との間にガスケット5が装着されて、スパークプラグ100が完成する。なお、上記製造方法は一例であり、これとは異なる種々の方法でスパークプラグを製造可能である。例えば、上述した工程の順序は、任意に変更可能である。
A3.電極母材と貴金属チップとのレーザ溶接方法:
図4は、電極母材と貴金属チップとのレーザ溶接方法を示すフローチャートである。この方法は、中心電極20と接地電極30との両方に適用されるが、ここでは中心電極20におけるレーザ溶接を例に挙げて説明する。このことは、以下の実施形態においても同様である。
まず、電極母材21の所定の位置(本実施形態では先端)に貴金属チップ24が配置される(ステップS101)。ステップS101では、電極母材21と貴金属チップ24とを仮固定のために抵抗溶接してもよいし、電極母材21と貴金属チップ24とを治具により固定してもよい。
次に、電極母材21と貴金属チップ24との境界部26付近の周囲にレーザが照射される(ステップS102)。ステップS102では、電極母材21と貴金属チップ24とを中心軸Oを中心として回転させ、パルス発振レーザ装置を用いて、1回のレーザ照射につき1つ形成される単位溶融部を、境界部26付近の周囲に順次形成する。こうすることにより、複数の単位溶融部25n1〜25n12から構成される溶融部25が、貴金属チップ24の全周(境界部26付近の周囲)にわたって形成される。本実施形態では、貴金属チップ24の中心軸Oから、貴金属チップ24の径方向にレーザ照射軸LSをずらして、レーザが照射される。
なお、本実施形態において、1パルスあたりのエネルギーを、レーザスポット面積で除算して算出される、レーザスポットの単位面積あたりのエネルギーは、30J/mm2以上である。
図5は、本実施形態におけるレーザ溶接工程の様子を示す図である。図5(a)は、レーザ溶接工程を−x方向からみた図であり、図5(b)は、レーザ溶接工程を+z方向からみた図である。図5(a)に示すように、レーザLBは電極母材21と貴金属チップ24との境界部26付近に照射されている。レーザ照射軸LSは、xy平面と並行である。また、図5(b)に示すように、レーザ照射軸LSは、貴金属チップ24の中心軸Oから、貴金属チップ24の径方向(図5(b)においてx方向)にずれている。すなわち、レーザLBは、レーザ照射軸LSと貴金属チップの中心軸Oとが交わらないように、境界部26付近に照射されている。いいかえると、レーザ溶接工程では、レーザの照射軸LSと貴金属チップ24の中心軸Oとの位置がねじれの位置になるように、レーザの照射軸LSが、貴金属チップ24の中心軸Oから貴金属チップ24の径方向にずらされている。このようにレーザLBを照射する位置が設定されて、レーザLBが境界部26付近に照射されることにより、単位溶融部25n1〜25n12は、図2に示したように、貴金属チップ24の周方向に沿って長径を有する楕円形状となる。本実施形態では、貴金属チップ24の直径Aと、レーザ照射軸LSの中心軸Oからのずれ量Xとが、以下の式(3)を満たすように、レーザを照射する位置を設定する。
A/20≦|X|≦A/4・・・式(3)
本実施形態では、レーザ照射軸LSを貴金属チップ24の中心軸Oから径方向にずらすことにより、貴金属チップ24の周方向に沿って長径を有する楕円形状の単位溶融部25n1〜25n12を形成することができる。そのため、本実施形態の単位溶融部と周方向の最大幅Dが同じであって、円形状の単位溶融部を形成する場合と比べると、本実施形態の製造方法によれば、溶融部25のz方向の最大幅dを短くすることができる。よって、貴金属チップ24の先端へ向けての溶接ダレや、貴金属チップ24の先端付近にスパッタが付着することを抑制することができる。そのため、貴金属チップ24の厚みが比較的小さい場合であっても、貴金属チップ24の先端へ向けての溶接ダレや、スパッタの付着を効果的に抑制することができるので、スパークプラグの着火性を確保することができる。
また、一般的に、単位溶融部の重なり合う部分では、ブローホールが発生しやすい。しかし、本実施形態の単位溶融部とz方向の最大幅dが同じであって、円形状の単位溶融部を形成する場合と比べると、本実施形態の製造方法によれば、少ないショット数で溶融部25を形成することができる。そのため、円形状の単位溶融部を形成する場合と比べて、溶融部25における単位溶融部の重なり合う部分の面積を、小さくすることができる。よって、単位溶融部の重なり合う部分に生じやすいブローホールを抑制することができる。
また、レーザ照射軸LSのずれ量が上述の式(3)を満たすようにレーザを照射する位置を設定することで、溶接ダレやスパッタ、ブローホールを効果的に抑制することができる。さらに、一般的にレーザスポットの単位面積あたりのエネルギーが高いほど、溶接ダレやスパッタ、ブローホールが発生しやすい傾向がある。しかし、本実施形態の製造方法によれば、レーザスポットの単位面積あたりのエネルギーが、30J/mm2以上であり、従来の約2〜3倍以上と比較的高い場合であっても、溶接ダレやスパッタ、ブローホールを抑制することができる。そのため高融点の貴金属チップ24を高いエネルギーでレーザ溶接する場合であっても、溶接ダレやスパッタ、ブローホールを効果的に抑制することができる。
以下、式(3)を満たすように電極母材21と貴金属チップ24との溶接が行われる根拠について、実験結果に基づいて説明する。
A4.第1実施形態の実施例1:
本実施例では、上述のレーザ溶接方法(図4、ステップS101〜ステップS102)のうち、ステップS102において、貴金属チップ24の直径Aとずれ量Xとを以下に示すそれぞれの条件1、2内で異ならせて、同じ直径Aおよびずれ量Xごとに、100本のスパークプラグを作製した。
<レーザ溶接条件1>
・貴金属チップ
直径A:0.6mm
材質:Ir合金
・レーザ
レーザパワー:200W
パルス幅:6msec
ショット数:12ショット
電極母材と貴金属チップの回転速度:2rps
レーザスポット径:150μm
レーザスポットの単位面積あたりのエネルギー:68J/mm2((200W×6msec)/((150μm/2000)2×π)により算出。)
<レーザ溶接条件2>
・貴金属チップ
直径A:0.8mm
材質:Pt合金
・レーザ
レーザパワー:150W
パルス幅:4msec
ショット数:16ショット
電極母材と貴金属チップの回転速度:2rps
レーザスポット径:150μm
レーザスポットの単位面積あたりのエネルギー:34J/mm2((150W×4msec)/((150μm/2000)2×π)により算出。)
次に、作製したスパークプラグの溶融部において、溶接ダレやスパッタ、ブローホールの発生の有無を確認した。そして、溶接ダレやスパッタ、ブローホールが発生したことにより溶接状態が不良(NG)であると判断されたスパークプラグの本数を計数した。
図6は、溶接ダレ、スパッタ、ブローホールが発生したスパークプラグの溶融部を示す図である。図6(a)には、溶融部において溶接ダレが発生した様子が示されている。本実施例では、最も+z方向に位置する溶融部の先端z1から、最も−z方向に位置する溶融部の先端z2までの距離Lを測定し、L≧0.1mmである場合に、溶接ダレにより溶接状態がNGであると判断した。
図6(b)には、スパッタSPが発生したスパークプラグが示されている。本実施例では、直径0.1mm以上のスパッタSPが発生している場合に、スパッタにより溶接状態がNGであると判断した。
図6(c)には、ブローホールBHが発生したスパークプラグが示されている。本実施形態では、スパークプラグの中心電極20にX線を照射して、ブローホールBHの有無を確認した。ブローホールBHの大きさは、ブローホールBHが確認された箇所を切断して金属顕微鏡により観察することによって測定した。測定されたブローホールBHの大きさが0.1mm以上である場合に、ブローホールにより溶接状態がNGであると判断した。
図7は、条件1および条件2において、レーザ照射軸LSのずれ量Xを変化させた場合の溶接状態の評価結果を示す図である。図7には、ずれ量Xと、溶接ダレおよびスパッタが発生したことによってNGと判断されたスパークプラグの本数と、ブローホールが発生したことによってNGと判断されたスパークプラグの本数とが示されている。また、図7には、溶接ダレおよびスパッタ、ブローホールにより溶接状態がNGであると判断されたスパークプラグの数が0である範囲を斜線で示している。
条件1では、ずれ量Xの絶対値が、0.15≦|X|≦0.03の範囲内ある場合に、電極母材21と貴金属チップ24との溶接状態が良好(OK)であった。また、条件2では、ずれ量Xの絶対値が、0.20≦|X|≦0.04の範囲内にある場合に、溶接状態が良好であった。溶接状態が良好である場合のずれ量Xと、条件2における貴金属チップ24の直径Aとの関係について調査すると、溶接状態は、Xの絶対値が、A/20≦|X|≦A/4の範囲内にある場合に良好であることがわかった。
以上の結果をまとめると、ずれ量Xの絶対値|X|と貴金属チップ24の直径Aとの関係が、A/20≦|X|≦A/4(式(3))を満たす場合に、溶接ダレやスパッタ、ブローホールが抑制された溶融部25が形成され、電極母材21と貴金属チップ24とが良好に溶接されることが示された。
A5.第1実施形態の実施例2(単位溶融部の形状評価):
次に、式(1)を満たすように電極母材21と貴金属チップ24との溶接が行われることが好ましい根拠について、実験結果に基づいて説明する。
本実施例では、単位溶融部25n1〜25n12の貴金属チップ24の周方向の最大幅をD、貴金属チップ24の中心軸Oと平行な方向(z方向)の最大幅をdとし、D/dの値を変化させたスパークプラグを100本ずつ作製した。レーザ溶接条件は、上述の実施例1における条件1および条件2を用いた。次に、溶接ダレやスパッタ、ブローホールが発生したことにより、溶接状態がNGと判断されたスパークプラグの本数を計数した。溶接状態がNGと判断される基準は、上述の実施例1と同様であるため、説明を省略する。
図8は、条件1および条件2において、D/dの値を変化させて単位溶融部を形成した場合における溶接状態の評価結果を示す図である。図8には、D/dの値と、溶接ダレおよびスパッタが発生したことによってNGと判断されたスパークプラグの本数と、ブローホールが発生したことによってNGと判断されたスパークプラグの本数と、が示されている。また、図8には、溶接ダレおよびスパッタ、ブローホールにより溶接状態がNGであると判断されたスパークプラグの数が0である範囲を、斜線で示している。
図8に示すように、条件1および条件2において、D/dの値が1.05≦D/d≦1.50(式(1))の範囲内にある場合に、溶接ダレやスパッタ、ブローホールが発生せず、溶接状態が良好であった。以上の結果より、式(1)を満たすように電極母材21と貴金属チップ24との溶接が行われることが好ましいことが示された。
A6.第1実施形態の実施例3(貴金属チップの耐剥離性評価):
次に、式(2)を満たすように電極母材21と貴金属チップ24との溶接が行われることが好ましい根拠について、実験結果に基づいて説明する。
本実施例では、楕円形状の単位溶融部から形成された溶融部について、溶融部比率(S2/S1)を変化させたスパークプラグを複数作製した。溶融部比率と貴金属チップ24の電極母材21からの耐剥離性を評価した。
図9は、溶融部比率を算出する様子を示す図である。図9(a)は溶融部25の切断位置を示す図であり、図9(b)は切断された溶融部の断面を示す図である。溶融部比率は、図9(a)に示すように、中心軸O(z軸)と平行な方向における溶融部25の中心Pを、貴金属チップ24の周方向(xy平面)に沿って切断した断面の面積をS1、断面における溶融部25の面積をS2として(S2/S1)×100を計算することにより求めた。具体的には、レーザ溶接条件を適宜変更させて、単位溶融部が楕円形状を有し、溶融部比率が50%、60%、70%、80%、90%である中心電極20を有するスパークプラグを作製した。
次に、溶融部比率と貴金属チップ24の耐剥離性との関係を評価するために、冷熱試験を行った。冷熱試験では、まず中心電極20先端をバーナーで2分間熱し、中心電極20の温度を1000℃まで上昇させた。その後バーナーを切り、中心電極20を1分間徐冷し、再び中心電極20をバーナーで2分間熱して20の温度を1000℃まで上昇させた。このサイクルを1000回繰り返した。次に、溶融部25を中心軸Oを通るzy平面で切断し、溶融部25付近に発生した酸化スケールの長さを測定した。そして、測定された酸化スケールの長さから、酸化スケールの進展割合を求めた。
図10は、酸化スケールの進展割合を算出する方法について説明するための図である。図10には、冷熱試験を行ったスパークプラグの中心電極20について、中心軸Oを通るzy平面で切断した断面(半断面)図が示されている。酸化スケールの進展割合は、半断面におけるy方向の酸化スケールOSの長さB1、B2の合計Bと、電極母材21と貴金属チップ24とのy方向の溶接長さC1、C2の合計Cと、をそれぞれ求め、溶接長さCに対する酸化スケールの長さBの割合を求めることにより算出した。そして、酸化スケールOSの進展割合が50%未満である場合に、耐剥離性が良好であると判断した。
図11は、溶融部比率と酸化スケールの進展割合との関係を示す図である。図11に示すように、溶融部比率が70%を超えると、酸化スケールの進展割合が50%未満となった。すなわち、溶融部比率が(S2/S1)×100≧70(式(2))を満たす場合に、貴金属チップ24の耐剥離性が良好となった。以上の結果より、式(2)を満たすように電極母材21と貴金属チップ24との溶接が行われることが好ましいことが示された。
B.第2実施形態:
B1.スパークプラグの構成:
本実施形態におけるスパークプラグ100の構成は、第1実施形態のスパークプラグ100の構成(図1〜図3)と同様であるため説明を省略する。
B2.スパークプラグの製造方法:
本実施形態におけるスパークプラグ100の製造方法は、電極母材と貴金属チップとのレーザ溶接方法を除き、上述の第1実施形態と同様であるため説明を省略する。
B3.電極母材と貴金属チップとのレーザ溶接方法:
図12は、第2実施形態における電極母材と貴金属チップのレーザ溶接方法を示すフローチャートである。第2実施形態でも、上述の第1実施形態と同様に、電極母材21の所定の位置に貴金属チップ24が配置される(ステップS201)。
次に、電極母材21と貴金属チップ24との境界部26付近の周囲にレーザが照射される(ステップS202)。本実施形態では、電極母材21および貴金属チップ24とをレーザ照射軸LSに対して相対的に回転させる単位時間あたりの回転数R(rps)と、レーザのパルス幅M(msec)とが、以下の式(4)を満たすように調整される。なお、レーザは、貴金属チップ24の中心軸Oに向けてxy平面と平行に照射される。
5≦0.36×R×M≦30・・・式(4)
このように、回転数Rとレーザのパルス幅Mとが式(4)を満たすように調整することによっても、貴金属チップ24の周方向に沿って長径を有する楕円形状の単位溶融部25n1〜25n12を形成することができるので、上述の第1実施形態と同様の効果を奏する。
また、本実施形態の製造方法によれば、第1実施形態と同様に、レーザスポットの単位面積あたりのエネルギーが、30J/mm2以上と従来より高い場合であっても、溶接ダレやスパッタ、ブローホールを抑制することができる。
以下、式(4)を満たすように電極母材21と貴金属チップ24との溶接が行われる根拠について、実験結果に基づいて説明する。
B4.第2実施形態の実施例1:
本実施例では、上述のレーザ照射工程(ステップS202)において、電極母材21と貴金属チップ24とを、中心軸Oを中心にして回転させる回転数R(rps)と、レーザのパルス幅M(msec)と、を以下に示す条件内で異ならせて、異なる条件ごとに100本のスパークプラグを作製した。作製したスパークプラグについて、溶接ダレやスパッタ、ブローホールが発生したことにより、溶接状態がNGと判断されたスパークプラグの本数を計数した。溶接状態がNGと判断される基準は、上述の第1実施形態の実施例1と同様であるため、説明を省略する。
<レーザ溶接条件>
・ 貴金属チップ
直径A:0.6mm
材質:Ir合金
・ レーザ
パルス幅:M(msec)
回転速度:R(rps)
ショット数:12ショット
レーザスポット径:直径150μm
図13は、回転数R(rps)とパルス幅Mとを変化させた場合の溶接状態の評価結果を示す図である。図13には、回転数Rとパルス幅M(msec)と、溶接ダレやスパッタが発生したことによってNGと判断されたスパークプラグの本数と、ブローホールが発生したことによってNGと判断されたスパークプラグの本数と、回転数R(rps)とパルス幅M(msec)と0.36とを乗算した値(0.36×R×M)と、レーザパワーと、レーザスポットの単位面積あたりのエネルギーと、が示されている。なお、「0.36×R×M」は、「R×360°×(M/1000(sec))」を意味しており、レーザ照射中の回転角度に相当する。また、図13には、溶接ダレおよびスパッタ、ブローホールによりNGと判断されたスパークプラグが存在しない範囲を斜線で示している。
図13に示す結果より、回転数Rおよびパルス幅Mが、5≦0.36×R×M≦30(式(4))の関係を満たす場合(回転角度が5°以上30°以下である場合)に、溶接ダレやスパッタ、ブローホールが抑制された溶融部25が形成され、電極母材21と貴金属チップ24とが良好に溶接されることが示された。
C.第3実施形態:
C1.スパークプラグの構成:
本実施形態におけるスパークプラグ100の構成は第1実施形態のスパークプラグ100の構成(図1〜図3)と同様であるため説明を省略する。
C2.スパークプラグの製造方法:
本実施形態におけるスパークプラグ100の製造方法は、電極母材と貴金属チップとのレーザ溶接方法を除き、上述の第1実施形態と同様であるため説明を省略する。
C3.電極母材と貴金属チップとのレーザ溶接方法:
図14は、第3実施形態における電極母材と貴金属チップのレーザ溶接方法を示すフローチャートである。第3実施形態でも、上述の第1実施形態および第2実施形態と同様に、電極母材21の所定の位置に貴金属チップ24が配置される(ステップS301)。
次に、電極母材21と貴金属チップ24との境界部26付近の周囲にレーザが照射される(ステップS302)。本実施形態では、レーザスポットが楕円形状となる光学系を有するレーザ照射装置を用いて、電極母材21と貴金属チップ24との境界部26付近にレーザが照射される。具体的には、楕円のビームを形成可能なレンズを備えるレーザ照射装置を用いて、レーザが照射される。なお、レーザは、貴金属チップ24の中心軸Oに向けてxy平面と平行に照射される。レーザは、貴金属チップ24の周方向にレーザスポットの長径が位置し、貴金属チップ24の中心軸O(z軸)と平行な方向にレーザスポットの短径が位置するように調整されて、照射される。
なお、レーザスポットが楕円形状となる光学系を有するレーザ照射装置は、例えば、丸型のレーザビームを楕円に変形させるユニットを備えるレーザ照射装置や、出射されるビームの断面が楕円形状である、半導体レーザを用いる照射装置など種々の装置を用いることができる。また、丸型のレーザビームを楕円に変形させる方法として、例えば、丸型のレーザビームを形成するレンズを有するレーザ照射装置を用い、レーザの照射軸(入射軸)LSをレンズの中心軸からずらしてレンズに入射し、さらにフォーカスをずらすことによって、出射されるビームの断面を楕円形状としてもよい。
このようにすることによっても、貴金属チップ24の周方向に沿って長径を有する楕円形状の単位溶融部25n1〜25n12を形成することができるので、上述の第1実施形態および第2実施形態と同様の効果を奏する。
また、本実施形態の製造方法によれば、第1実施形態および第2実施形態と同様に、レーザスポットの単位面積あたりのエネルギーが、30J/mm2以上と従来の約2〜3倍以上と比較的高い場合であっても、溶接ダレやスパッタ、ブローホールを抑制することができる。
さらに、第1実施形態のようにレーザ照射軸LSを貴金属チップの中心軸Oに対してずらしたり、第2実施形態のように電極母材21と貴金属チップ24との回転数Rやレーザ光のパルス幅Mを調整したりすることなく、楕円形状の単位溶融部を形成することができる。そのため、一般的なレーザ溶接と同様の操作で、溶接ダレやスパッタ、ブローホールを抑制することができる。
D.変形例:
上述の種々の実施形態では、レーザ溶接は、電極母材21と貴金属チップ24とを回転させつつ、境界部26付近にレーザを照射して行われている。これに対し、レーザ溶接は、レーザ照射装置を貴金属チップ24の周方向に回転させつつ、電極母材21と貴金属チップ24とを回転させずに、境界部26付近の周囲にレーザを照射して行われてもよい。また、レーザ溶接は、レーザ照射装置を貴金属チップ24の周方向に回転させるとともに、電極母材21と貴金属チップ24とを回転させて、境界部26付近の周囲にレーザを照射して行われてもよい。
上述の種々の実施形態では、単位溶融部25n1〜25n12の形状は楕円形状である。これに対し、単位溶融部25n1〜25n12の形状は、完全な楕円形状でなくともよい。例えば、単位溶融部25n1〜25n12の形状が、長径と短径とが上述の式(1)を満たし、溶接ダレにより溶接状態がNGと判断されない形状であればよい。単位溶融部25n1〜25n12がこのような形状であれば、上述の種々の実施形態と同様の効果を奏する。
上述の種々の実施形態では、中心電極20の電極母材21と貴金属チップ24のレーザ溶接方法を示している。このレーザ溶接方法は、接地電極30の電極母材31と貴金属チップ34とに適用されてもよい。貴金属チップ34は、電極母材31と貴金属チップ34との間に介在する中間チップを介して電極母材31にレーザ溶接されてもよい。中間チップを用いる場合には、例えば、貴金属チップ34が中間チップに予めレーザ溶接され、その中間チップが接地電極30の電極母材31に抵抗溶接またはレーザ溶接される。この場合、中間チップを接地電極の一部として捉えることが可能である。中間チップは、例えば、接地電極と同様の材料により形成されてもよい。
本発明は、上述の実施形態や変形例に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば、発明の概要の欄に記載した各形態中の技術的特徴に対応する実施形態、変形例中の技術的特徴は、上述の課題の一部または全部を解決するために、あるいは、上述の効果の一部または全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
5…ガスケット
6、7…リング部材
8…板パッキン
9…タルク
10…絶縁碍子
12…軸孔
13…脚長部
15…碍子段部
17…先端側胴部
18…後端側胴部
19…中央胴部
20…中心電極
21…電極母材
22…芯材
24…貴金属チップ
25…溶融部
25n1〜25n12…単位溶融部
26…境界部
30…接地電極
31…電極母材
34…貴金属チップ
40…端子金具
50…主体金具
51…工具係合部
52…取付ネジ部
53…加締部
54…シール部
56…金具内段部
57…先端面
58…圧縮変形部
100…スパークプラグ
O…中心軸(軸線)
P…溶融部中心
LB…レーザ
LS…レーザ照射軸
BH…ブローホール
SP…スパッタ
OS…酸化スケール

Claims (6)

  1. 中心電極および接地電極を備え、前記中心電極および前記接地電極の少なくともいずれか一方は、電極母材と該電極母材に溶接された柱状の貴金属チップとを有するスパークプラグの製造方法であって、
    パルス発振レーザを照射することにより、前記電極母材と前記貴金属チップとの境界部の周囲に1回の前記レーザの照射につき1つ形成される単位溶融部を複数形成し、前記電極母材と前記貴金属チップとを溶接するレーザ溶接工程を備え、
    前記レーザ溶接工程では、前記レーザの照射軸を前記貴金属チップの中心軸から前記貴金属チップの径方向にずらし、
    前記貴金属チップの直径を直径A、前記レーザの照射軸をずらす量をXとしたとき、
    A/20≦|X|≦A/4
    を満たすことを特徴とする、スパークプラグの製造方法。
  2. 中心電極および接地電極を備え、前記中心電極および前記接地電極の少なくともいずれか一方は、電極母材と該電極母材に溶接された柱状の貴金属チップとを有するスパークプラグの製造方法であって、
    パルス発振レーザを照射することにより、前記電極母材と前記貴金属チップとの境界部の周囲に1回の前記レーザの照射につき1つ形成される単位溶融部を複数形成し、前記電極母材と前記貴金属チップとを溶接するレーザ溶接工程を備え、
    前記レーザ溶接工程では、前記電極母材と前記貴金属チップとを前記レーザの照射軸に対して相対的に回転させる、単位時間あたりの回転数をR(rps)、前記レーザのパルス幅をM(msec)としたとき、
    5≦0.36×R×M≦30
    を満たすことを特徴とする、スパークプラグの製造方法。
  3. 中心電極および接地電極を備え、前記中心電極および前記接地電極の少なくともいずれか一方は、電極母材と該電極母材に溶接された柱状の貴金属チップとを有するスパークプラグの製造方法であって、
    パルス発振レーザを照射することにより、前記電極母材と前記貴金属チップとの境界部の周囲に1回の前記レーザの照射につき1つ形成される単位溶融部を複数形成し、前記電極母材と前記貴金属チップとを溶接するレーザ溶接工程を備え、
    前記レーザ溶接工程では、レーザスポットが楕円形状となる光学系を有するレーザ照射装置を用いて、前記貴金属チップの周方向に沿って長径を有する楕円形状の前記単位溶融部を形成することを特徴とする、スパークプラグの製造方法。
  4. 請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載のスパークプラグの製造方法であって、
    前記単位溶融部は、前記貴金属チップの周方向の最大幅をD、前記貴金属チップの中心軸と平行な方向の最大幅をdとしたとき、
    1.05≦D/d≦1.50
    を満たす楕円形状を有することを特徴とする、スパークプラグの製造方法。
  5. 請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載のスパークプラグの製造方法であって、
    前記単位溶融部を前記境界部の周囲に複数形成することにより、前記貴金属チップの全周にわたって形成された溶融部を、前記貴金属チップの周方向に沿って切断した断面の面積をS1、前記断面における前記溶融部の面積をS2としたときに、
    (S2/S1)×100≧70
    を満たすことを特徴とする、スパークプラグの製造方法。
  6. 請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載のスパークプラグの製造方法であって、
    前記レーザ溶接工程では、前記電極母材と前記貴金属チップとの前記境界部の周囲に、レーザスポットの単位面積あたりのエネルギーが30J/mm2以上で前記レーザが照射されることを特徴とする、スパークプラグの製造方法。
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