JP5986014B2 - スパークプラグの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、スパークプラグに関する。
ガソリンエンジンなどの内燃機関の点火に使用されるスパークプラグとして、中心電極と、中心電極の周囲を取り囲む絶縁体と、絶縁体の周囲を取り囲む主体金具と、主体金具に接続された接地電極と、中心電極および接地電極の先端部に接合された電極チップとを備えるスパークプラグが用いられている。中心電極および接地電極への電極チップの接合方法として、中心電極または接地電極と電極チップとを互いに接触させて配置し、接触部分にレーザー光を照射して溶接する方法が採用される(特許文献1、2)。このようなレーザー溶接を実行する際に、電極チップの位置ずれの抑制や電極チップからの放熱の抑制を目的として、専用の冶具(以下、「押さえ冶具」と呼ぶ)で電極チップを押さえる方法が提案されている(特許文献2)。
特開2011−44440号公報 特開2003−249325号公報
特許文献2に記載されたレーザー溶接方法では、押さえ治具の端面が大きいために、押さえ冶具により電極チップを押さえた際に、押さえ治具における電極チップと接触する面において、電極チップと接触しない領域(以下、「非接触部」と呼ぶ)が生じる。このため、レーザー溶接による電極または電極チップの突沸によって生じた塵(スパッタ)が非接触部に付着するおそれがある。レーザー溶接の塵が非接触部に付着すると、次回のレーザー溶接のために押さえ冶具で新たな電極チップを押さえる際に、かかる塵が電極チップと接触することにより電極チップを損傷させるという問題があった。なお、かかる問題は、中心電極または接地電極と電極チップとの溶接に限らず、他の電極材料同士のレーザー溶接においても起こり得る。また、レーザー溶接に限らず、抵抗溶接など、任意の方法による溶接を行う際に起こり得る。
本発明は、上述の課題を解決するためになされたものであり、以下の形態又は適用例として実現することが可能である。
[形態1]中心電極と、前記中心電極の軸線方向に延びる軸孔を有し、前記軸孔内に前記中心電極を保持する筒状の絶縁体と、前記絶縁体を保持する主体金具と、前記中心電極よりも先端側に配置される接地電極と、前記中心電極と前記接地電極とのうちの一方の電極に接合された電極チップと、を有するスパークプラグの製造方法であって、
(a)前記一方の電極と前記電極チップとを、互いに接して配置する工程と、
(b)前記一方の電極と前記電極チップとのうち、少なくとも一方において、他方と接する接合面とは反対の反対面を、押さえ冶具を用いて前記反対面から前記接合面に向かう方向に押す工程と、
(c)前記一方の電極と前記電極チップとを、前記接合面において溶接する工程と、
を備え、
前記工程(b)は、前記押さえ冶具として、前記反対面を押す平らな押面を有し、前記押面の第1直径が前記反対面の第2直径よりも小さい冶具を用いて実行され、
前記第1直径と前記第2直径との差は、0.1mm以上であり、
前記押面の面積は、前記反対面の面積の50%以上である、ことを特徴とする、スパークプラグの製造方法。
この形態のスパークプラグの製造方法によれば、押さえ治具の押面の第1直径は、一方の電極(中心電極または接地電極)または電極チップの反対面の第2直径よりも小さいので、押面において反対面に接しない領域が生じることを抑制できる。このため、溶接により生じた塵が押面に付着することを抑制できるので、押面に付着した塵による一方の電極または電極チップの損傷を抑制できる。加えて、押面は平らな面であることから、押面によって押されることによる一方の電極または電極チップの損傷を抑制できると共に、溶接加工時において、一方の電極または電極チップから押さえ治具への熱伝導性を向上させることができる。このため、溶接加工時(工程(b))において、一方の電極または電極チップが高温となることを抑制できるので、一方の電極または電極チップにおける過度の溶融を抑制でき、塵の発生を抑制できる。また、押面の第1直径と反対面の第2直径との差は、0.1mm以上であるため、押面と反対面とが好ましい位置関係から互いにずれて接した場合であっても、押面において反対面に接しない部分が生じることを抑制できる。このため、溶接により生じた塵が押面に付着することを抑制できる。加えて、押面の面積が非常に小さくなることを抑制できるので、押面によって押されることによる反対面の損傷を抑制しつつ、一方の電極または電極チップから押さえ治具への熱伝導性を向上できる。したがって、一方の電極または電極チップが高温となることを抑制できるので、一方の電極または電極チップにおける過度の溶融を抑制でき、塵の発生を抑制できる。
(1)本発明の一形態によれば、中心電極と、前記中心電極の軸線方向に延びる軸孔を有し、前記軸孔内に前記中心電極を保持する筒状の絶縁体と、前記絶縁体を保持する主体金具と、前記中心電極よりも先端側に配置される接地電極と、前記中心電極と前記接地電極とのうちの一方の電極に接合された電極チップと、を有するスパークプラグの製造方法が提供される。この方法は、(a)前記一方の電極と前記電極チップとを、互いに接して配置する工程と、(b)前記一方の電極と前記電極チップとのうち、少なくとも一方において、他方と接する接合面とは反対の反対面を、押さえ冶具を用いて前記反対面から前記接合面に向かう方向に押す工程と、(c)前記一方の電極と前記電極チップとを、前記接合面において溶接する工程と、を備え、前記工程(b)は、前記押さえ冶具として、前記反対面を押す平らな押面を有し、前記押面の第1直径が前記反対面の第2直径よりも小さい冶具を用いて実行されることを特徴とする。この形態のスパークプラグの製造方法によれば、押さえ治具の押面の第1直径は、一方の電極(中心電極または接地電極)または電極チップの反対面の第2直径よりも小さいので、押面において反対面に接しない領域が生じることを抑制できる。このため、溶接により生じた塵が押面に付着することを抑制できるので、押面に付着した塵による一方の電極または電極チップの損傷を抑制できる。加えて、押面は平らな面であることから、押面によって押されることによる一方の電極または電極チップの損傷を抑制できると共に、溶接加工時において、一方の電極または電極チップから押さえ治具への熱伝導性を向上させることができる。このため、溶接加工時(工程(b))において、一方の電極または電極チップが高温となることを抑制できるので、一方の電極または電極チップにおける過度の溶融を抑制でき、塵の発生を抑制できる。
(2)上記形態のスパークプラグの製造方法において、前記工程(b)は、(b1)前記押面のすべてが前記反対面の内側に位置するように、前記押さえ冶具を配置する工程、を含んでもよい。この形態のスパークプラグの製造方法によれば、押面において反対面に接しない領域が生じることを確実に抑制できる。
(3)上記形態のスパークプラグの製造方法において、前記第1直径と前記第2直径との差は、0.1mm以上であり、前記押面の面積は、前記反対面の面積の50%以上であってもよい。この形態のスパークプラグの製造方法によれば、押面の第1直径と反対面の第2直径との差は、0.1mm以上であるため、押面と反対面とが好ましい位置関係から互いにずれて接した場合であっても、押面において反対面に接しない部分が生じることを抑制できる。このため、溶接により生じた塵が押面に付着することを抑制できる。加えて、押面の面積が非常に小さくなることを抑制できるので、押面によって押されることによる反対面の損傷を抑制しつつ、一方の電極または電極チップから押さえ治具への熱伝導性を向上できる。したがって、一方の電極または電極チップが高温となることを抑制できるので、一方の電極または電極チップにおける過度の溶融を抑制でき、塵の発生を抑制できる。
(4)上記形態のスパークプラグの製造方法において、前記押面が前記反対面を押す方向に沿った前記押さえ冶具の断面における、前記押面側の先端の隅の形状は、所定の曲率半径のR形状であり、前記所定の曲率半径は、0.03mm以上であり、かつ、0.1mm以下であってもよい。この形態のスパークプラグの製造方法によれば、押さえ治具が一方の電極または電極チップと接触する際に、押面側の先端の隅により一方の電極または電極チップを傷付けることを抑制できると共に、押面の面積が非常に小さくなることを抑制できる。
(5)上記形態のスパークプラグの製造方法において、前記押さえ冶具のうち、少なくとも前記押面側の材料の硬度は、前記接合面及び前記反対面を有する前記一方の電極または前記電極チップの材料の硬度よりも高くてもよい。この形態のスパークプラグの製造方法によれば、押さえ治具の耐久性を向上させることができる。
(6)上記形態のスパークプラグの製造方法において、前記押さえ冶具のうち、少なくとも前記押面側を構成する材料の熱伝導率は、41W/(m・K)以上であってもよい。この形態のスパークプラグの製造方法によれば、一方の電極または電極チップから押さえ治具への熱伝導性を向上できる。したがって、一方の電極または電極チップが高温となることを抑制できるので、一方の電極または電極チップにおける過度の溶融を抑制でき、塵の発生を抑制できる。
(7)上記形態のスパークプラグの製造方法において、前記押さえ冶具は、長手方向を有する棒状の外観形状を有し、一端に前記押面を有し、他端に前記押面と同じ形状の面を有してもよい。この形態のスパークプラグの製造方法によれば、一方の押面が損傷した場合であっても、他方の押面を用いて、一方の電極または電極チップの反対面を押すことができる。
(8)上記形態のスパークプラグの製造方法において、前記押さえ冶具は、前記長手方向に沿った両端側にそれぞれ位置し前記押面を有する2つの端部と、前記長手方向に沿った中央側に位置し、前記2つの端部とそれぞれ接続され、前記第1直径よりも大きな直径を有する胴部と、を有してもよい。この形態のスパークプラグの製造方法によれば、胴部を利用して押さえ治具を支持することができる。また、胴部を支持する際の応力等による押さえ治具の折れや曲がり等の損傷を抑制できる。
(9)上記形態のスパークプラグの製造方法において、前記電極チップが前記反対面を有してもよい。この形態のスパークプラグの製造方法によれば、押さえ冶具を用いて電極チップを押す際に、押さえ冶具の押面に塵が付着することを抑制できる。
(10)上記形態のスパークプラグの製造方法において、前記電極チップは、第1中心電極チップと第1中間チップとから成り、前記第1中間チップが前記中心電極と前記第1中心電極チップとの間に配置されると共に前記中心電極に接合された構造を有する第1複合チップと、前記中心電極に接合された第2中心電極チップと、第1接地電極チップと第2中間チップとから成り、前記第2中間チップが前記接地電極と前記第1接地電極チップとの間に配置されると共に前記接地電極に接合された構造を有する第2複合チップと、前記接地電極に接合された第2接地電極チップと、のうち、少なくとも1つであってもよい。この形態のスパークプラグの製造方法によれば、中心電極に第2中心電極チップが接合された構造のスパークプラグ、中心電極に第1複合チップが接合された構造のスパークプラグ、接地電極に第2接地電極チップが接合された構造のスパークプラグ、接地電極に第2複合チップが接合された構造のスパークプラグのうち、少なくとも1つのスパークプラグを製造する際に、中心電極、第2中心電極チップ、第1複合チップ、接地電極、第2接地電極チップおよび第2複合チップの損傷を抑制できる。
本発明は、スパークプラグの製造方法以外の種々の形態で実現することも可能である。例えば、複合チップの製造方法、中心電極の製造方法、レーザー溶接機、レーザー溶接機に用いられる押さえ治具等の形態で実現することができる。
本発明の一実施形態としての製造方法により製造されたスパークプラグの部分断面図である。 図1に示す複合チップ60及び中心電極チップ70を中心としたスパークプラグ300の部分拡大図である。 本発明の一本実施形態としてのスパークプラグの製造方法の手順を示すフローチャートである。 複合チップの製作処理(ステップS105)の詳細手順を示すフローチャートである。 複合チップの製作処理において用いられる接合装置の概略構成を示す説明図である。 ステップS220実行時における貴金属チップ61と押さえ冶具100との接触部分を拡大して示す説明図である。 ステップS120実行時の接合装置400の概略構成を示す説明図である。 比較例としての従来における貴金属チップ61と柱状部62とのレーザー溶接箇所を拡大して示す説明図である。 変形例における押さえ冶具の構造を概略的に示す平面図である。
A.実施形態:
A1.スパークプラグの構成:
図1は、本発明の一実施形態としての製造方法により製造されたスパークプラグの部分断面図である。スパークプラグ300は、軸線OLに沿った細長形状を有している。図1において、軸線OLの右側は、外観正面図を示している。図1において、軸線OLの左側は、スパークプラグ300の中心軸を通る断面でスパークプラグ300を切断した断面図を示している。なお、以下では、軸線OLに沿った図1の下方側(後述する接地電極10が配置されている側)を先端側と呼び、軸線OLに沿った図1の上方側(後述する端子金具40が配置されている側)を後端側と呼ぶ。
スパークプラグ300は、絶縁碍子30と、中心電極20と、主体金具50と、接地電極10と、端子金具40とを備えている。中心電極20は絶縁碍子30によって保持され、絶縁碍子30は主体金具50によって保持される。接地電極10は主体金具50の先端側の端面57に取り付けられている。
絶縁碍子30は、軸線OLと平行な軸孔31を備えた筒状の外観形状を有している。絶縁碍子30は、アルミナ等のセラミックス材料を焼成して形成された絶縁体である。絶縁碍子30は、中央胴部32と、後端側胴部33と、先端側胴部34と、脚長部35とを備えている。中央胴部32は、絶縁碍子30において、軸線OLに沿った中央部分に配置されており、他の部分よりも外径が大きい。後端側胴部33は、中央胴部32よりも後端側に配置されている。後端側胴部33は、端子金具40と主体金具50との間を絶縁する。先端側胴部34は、中央胴部32よりも先端側に配置されている。脚長部35は、先端側胴部34よりも先端側に配置されている。脚長部35の外径は、先端側胴部34の外径よりも小さい。
中心電極20は、棒状の金属製部材であり、絶縁碍子30の軸孔31に挿入され、先端側の一部が軸孔31から露出している。中心電極20の構造としては、例えば、母材の内部に、母材よりも熱伝導性に優れる芯材が埋設された構造を採用することができる。母材としては、例えば、ニッケルを主成分とするニッケル合金からなる材料を採用することができる。芯材としては、例えば、銅または銅を主成分とする合金からなる材料を採用することができる。中心電極20の先端側の端部には、中心電極チップ70が設けられている。
主体金具50は、絶縁碍子30において、後端側胴部33の先端側の一部から脚長部35に亘る部分を包囲する略円筒形の金具である。主体金具50は、例えば、低炭素鋼などの金属からなる。主体金具50は、ネジ部52と、工具係合部51と、シール部54とを備えている。ネジ部52は、主体金具50の先端側に配置され、略円筒形の外観形状を有している。ネジ部52の表面には、ネジ山が形成されている。このネジ山は、スパークプラグ300をエンジンヘッド500に取り付ける際に、エンジンヘッド500のネジ孔201に螺合する。工具係合部51は、例えば、六角形の断面形状を有し、スパークプラグ300をエンジンヘッド500に取り付ける際に図示しない工具と勘合する。シール部54とエンジンヘッド500との間には、板体を折り曲げて形成した環状のガスケット59が嵌挿される。主体金具50は、主体金具50の後端部53が加締められることにより、絶縁碍子30に組み付けられる。
接地電極10は、屈曲した棒状の金属製部材である。接地電極10の構造は、例えば、中心電極20と同様な構造とすることができる。すなわち、例えば、ニッケル合金からなる母材に、銅または銅を主成分とする合金からなる芯材が埋設された構造を採用することができる。接地電極10は、一方の端部12が主体金具50の端面57に溶接されており、他方の端部11が中心電極20の先端部と対向するように屈曲されている。接地電極10において、中心電極20の先端に設けられた中心電極チップ70と対向する部分には、複合チップ60が設けられている。中心電極チップ70と複合チップ60との間には、火花放電のための間隔(火花ギャップ)が形成されている。
端子金具40は、先端側が絶縁碍子30の軸孔31に収容され、後端部が軸孔31から露出している。端子金具40には、図示しない高圧ケーブルが接続され、高電圧が印加される。
図2は、図1に示す複合チップ60及び中心電極チップ70を中心としたスパークプラグ300の部分拡大図である。複合チップ60は、軸線がスパークプラグ300の軸線OLに一致する位置に配置されている。複合チップ60は、貴金属チップ(「接地電極チップ」とも呼ぶ)61と、中間チップ64とを備えている。後述するように、貴金属チップ61と中間チップ64とはレーザー溶接により接合されており、貴金属チップ61と中間チップ64との境界部分には、溶融部91が形成されている。中間チップ64は、貴金属チップ61と接地電極10の端部11との間に配置されている。
貴金属チップ61は、略円柱状の外観形状を有している。貴金属チップ61の直径は0.4mm〜3.0mmとすることができる。貴金属チップ61は、例えば、白金(Pt)を主成分として、ロジウム(Rh)、ニッケル(Ni)等を1種類あるいは2種類以上を添加したPt合金によって形成することができる。
中間チップ64は、柱状部62と鍔状部63とから成る。柱状部62及び鍔状部63は、いずれも略円柱形の外観形状を有する。鍔状部63の厚み方向の長さは、柱状部62の厚み方向の長さよりも短い。また、鍔状部63の径方向の長さは、柱状部62の径方向の長よりも長い。鍔状部63は、接地電極10の端部11に抵抗溶接により接合されている。柱状部62及び鍔状部63は、例えば、クロム(Cr)、ケイ素(Si)、マンガン(Mn)アルミニウム(Al)等を含んだNi合金によって形成することができる。
中心電極20の先端側の端部21には、耐火花消耗性を向上するため、高融点の貴金属からなる中心電極チップ70が接合されている。中心電極チップ70の軸線は、スパークプラグ300の軸線OLと一致している。中心電極チップ70は、例えば、イリジウム(Ir)や、Irを主成分として、Pt、Rh、ルテニウム(Ru)、パラジウム(Pd)、レニウム(Re)等を、1種類あるいは2種類以上を添加したIr合金によって形成することができる。なお、中心電極チップ70の直径は0.4mm〜3.0mmとすることができる。後述するように、中心電極チップ70と中心電極20(端部21)とは、レーザー溶接により接合されており、中心電極チップ70と中心電極20(端部21)との間には、溶融部92が形成されている。中心電極チップ70は、タングステン(W)や、タングステンを主成分とした合金によって形成してもよい。
複合チップ60(貴金属チップ61)の上方の端面(後述する反対面S2)と、中心電極チップ70の下方の端面(後述する上端面S5)との間には、火花ギャップGが形成されている。
なお、上述した複合チップ60を構成する中間チップ64、および中心電極チップ70は、請求項における電極チップに相当する。
A2.スパークプラグの製造:
図3は、本発明の一本実施形態としてのスパークプラグの製造方法の手順を示すフローチャートである。主体金具50と、絶縁碍子30と、中心電極20と、接地電極10と、中心電極チップ70と、貴金属チップ61と、中間チップ64とが準備される(ステップS105)。なお、このステップS105において準備される中心電極20には、中心電極チップ70は接合されていない。同様に、ステップS105において準備される接地電極10には、複合チップ60は接合されていない。また、S105において準備される接地電極10は、図1,2に示すように屈曲していない。
ステップS105が完了すると、複合チップが製作される(ステップS110)。本実施形態において、複合チップの製作は、接合装置を用いて行われる。図4は、複合チップの製作処理(ステップS110)の詳細手順を示すフローチャートである。図5は、複合チップの製作処理において用いられる接合装置の概略構成を示す説明図である。
図4に示すように、複合チップの製作処理では、まず、接合装置により中間チップ64が支持される(ステップS205)。図5に示す本実施形態の接合装置400は、2つの電極材料同士をレーザー溶接するための装置である。接合装置400は、押さえ冶具100と、第1支持装置210と、第2支持装置220と、レーザー溶接機200と、第1駆動部231と、第2駆動部232とを備えている。なお、図5には、重力方向dr1を示す矢印を記載している。
押さえ冶具100は、断面が円形の棒状の部材であり、長手方向の両端にそれぞれ縮径部111を有し、また、これら2つの縮径部111の間に胴部112を有する。縮径部111は、胴部112側の端部から他方の端部(端面)に向かうに従って外径が縮小している。後述するように、縮径部111の端面の直径は、接触する電極材料(貴金属チップ61または中心電極チップ70)の直径よりも小さい。ここで、「直径」とは、縮径部111の端面または電極材料における任意の位置における直径を意味する。したがって、本実施形態では、縮径部111の端面の任意の位置における直径は、電極材料(貴金属チップ61または中心電極チップ70)の任意の位置における直径よりも小さい。縮径部111において胴部112との接続部分とは反対の端面の縁は、R形状となっている。胴部112は、略均一の外径を有する円柱形の外観形状を有する。本実施形態では、押さえ冶具100は、中心電極チップ70及び貴金属チップ61よりも高い硬度の材料を用いて形成されている。具体的には、押さえ冶具100は、超硬合金を用いて形成されている。なお、超硬合金に代えて、例えば、SK材(炭素工具鋼鋼材)を用いて押さえ冶具100を構成することができる。
第1支持装置210は、レーザー溶接の対象となる一方の電極材料を把持して固定する。第1支持装置210は、水平方向に沿って回転可能に構成されている。第2支持装置220は、押さえ冶具100を把持して支持する。より具体的には、第2支持装置220は、押さえ冶具100のうち、胴部112を把持することにより、押さえ冶具100を支持する。第2支持装置220は、第1支持装置210の鉛直上方に配置されている。第2支持装置220は、鉛直方向に沿って上昇又は下降可能に構成されている。また、第2支持装置220は、水平方向に沿って回転可能に構成されている。2つの支持装置210,220としては、例えば、2爪チャックや、3爪チャックを採用することができる。
レーザー溶接機200は、レーザー光を照射することにより、2つの電極材料同士を溶接する。レーザー溶接機200としては、例えば、YAGレーザー、CO2レーザー、半導体レーザー等のレーザー光を照射可能な装置を採用することができる。レーザー溶接機200は、被照射物に対して、パルス発振によるラップ(重ね)照射を行うことができる。
第1駆動部231は、第1支持装置210を回転させる。第2駆動部232は、第2支持装置220を回転させる。第1駆動部231と第2駆動部232とは互いに同期しており、第1支持装置210と第2支持装置220とを互いに同期して回転させることができる。第1駆動部231及び第2駆動部232としては、例えば、第1支持装置210又は第2支持装置220に接続されたアクチュエーターと、かかるアクチュエーターを回転駆動又は上下駆動させるためのモーターと、かかるモーターを制御する制御回路とを有する装置を採用することができる。
前述のステップS205では、中間チップ64は、第1支持装置210により把持されることにより支持される。ステップS205が完了すると、中間チップ64上に貴金属チップ61が載置される(ステップS210)。貴金属チップ61は、柱状部62において鍔状部63と接続された側とは反対側の端面に載置される。
第2駆動部232を用いて第2支持装置220を鉛直下方に下降させることにより、押さえ冶具100によって貴金属チップ61が鉛直下方(中間チップ64に向かう方向)に押される(ステップS215)。本実施形態において、前述の「押される」とは、押さえ冶具100の下方の縮径部111の端面により、貴金属チップ61の上端面に押圧力を加えられることを意味する。なお、本ステップS215において、縮径部111の端面と貴金属チップ61の上端面を接触させ、かつ、縮径部111の端面により貴金属チップ61の上端面に押圧力を加えない構成を採用してもよい。
第1支持装置210及び第2支持装置220を互いに同期させて回転させることにより、中間チップ64及び貴金属チップ61を互いに同じ回転速度で回転させながら、レーザー溶接機200により、柱状部62と貴金属チップ61との境界部分にレーザー光を照射する(ステップS220)。
図6は、ステップS220実行時における貴金属チップ61と押さえ冶具100との接触部分を拡大して示す説明図である。図6に示すように、柱状部62の上端の面S4と、貴金属チップ61の下端の接合面S3とは接触しており、これら2つの面S3,S4の境界部分にレーザー光LBが照射されている。レーザー光LBの照射により、柱状部62又は貴金属チップ61の材料の塵spが飛び散っている。塵spは、レーザー溶接による貴金属チップ61または中間チップ64(柱状部62)の突沸によって生じたものと推測される。また、縮径部111の押面S1は、貴金属チップ61の反対面S2と接触している。反対面S2は、貴金属チップ61において接合面S3とは反対の端面に該当する。
図6に示すように、縮径部111の押面S1の縁は、所定の曲率半径r1のR形状となっている。所定の曲率半径r1としては、例えば、0.03mm以上、かつ、0.1mm以下の任意の値とすることができる。このように縮径部111の押面S1の縁をR形状としているのは、電極材料(貴金属チップ61または中心電極チップ70)と接触する際に、縮径部111の縁により電極材料を傷付けることを抑制するためである。
また、図6に示すように、押面S1の直径R1は、貴金属チップ61の反対面S2の直径R2よりも小さい。具体的には、直径R2を、直径R1よりも0.1mm以上大きくすることが好ましい。換言すると、本実施形態では、直径R1を、直径R2と直径R1との差が0.1mm以上となるように設定している。例えば、貴金属チップ61の反対面S2の直径R2が0.6mmである場合には、押面S1の直径R1を0.4mmとすることができる。
押面S1及び反対面S2の平面形状はいずれも略円形であり、かつ、直径R1が直径R2よりも小さい。また、押面S1の中心位置と反対面S2の中心位置とは一致している。このため、押面S1はすべて反対面S2と接触している。換言すると、押面S1において反対面S2と接触しない領域(非接触部)は生じていない。また、換言すると、押面S1のすべては反対面S2の内側に位置している。したがって、レーザー光の照射により生じた塵spは、押面S1には付着しない。なお、本実施形態では、押面S1の面積は、反対面S2の面積の50%以上である。
図4に示すステップS220により、貴金属チップ61と中間チップ64(柱状部62)との境界部分における溶接が完了すると、第2支持装置220を鉛直上方に上昇させることにより、押さえ冶具100を上方に移動させ、複合チップ60を第1支持装置210から取り外す(ステップS225)。このようにして、接地電極10に接合される前の複合チップ60が得られる。
図3に示すように、上述した複合チップの製作(ステップS110)と並行して、主体金具50に接地電極10が接合される(ステップS115)。かかる接合は、抵抗溶接により実現され得る。また、上述したステップS110およびS115と並行して、中心電極20と中心電極チップ70とが、接合装置400を用いてレーザー溶接される(ステップS120)。
図7は、ステップS120実行時の接合装置400の概略構成を示す説明図である。図7に示すように、ステップS120における接合装置400は、第1支持装置210に中心電極20が把持(支持)されている点、中心電極20の端面に中心電極チップ70が載置されている点、縮径部111の端面(押面S1)が中心電極チップ70の上端面S5に接している点、レーザー溶接機200の鉛直方向に沿った位置が、中心電極20と中心電極チップ70との境界部分に対応する位置である点を除き、図5に示すステップS110実行時の接合装置400と同じである。
図7に示すように、縮径部111の押面S1の直径は、中心電極チップ70の上端面S5の直径よりも小さい。換言すると、押面S1において上端面S5と接触しない領域(非接触部)は生じていない。また、換言すると、押面S1は上端面S5によってすべて覆われている。したがって、図4に示すステップS220実行時と同様に、レーザー溶接により生じた中心電極20又は中心電極チップ70の材料の塵は、押面S1に付着しない。なお、本実施形態では、押面S1の直径R1を、上端面S5の直径R2と押面S1の直径R1との差が0.1mm以上となるように設定している。また、本実施形態では、押面S1の面積を上端面S5の面積の50%以上としている。
図3に示すように、上述したステップS110、S115およびS120が完了すると、主体金具50に中心電極20と絶縁碍子30とが挿入される組み付け工程が実行される(ステップS125)。かかる組み付け工程としては、中心電極20を絶縁碍子30に組み付けた後に、主体金具50を組み付ける方法と、絶縁碍子30を主体金具50に組み付けた後に、中心電極20を組み付ける方法とのうち、いずれの方法を採用してもよい。主体金具50を図示しない加締め工具を用いて加締め加工して、絶縁碍子30を主体金具50に固定させる(ステップS130)。接地電極10と複合チップ60とが抵抗溶接される(ステップS135)。複合チップ60が接合された接地電極10が、図示しない曲げ工具を用いて曲げ加工される(ステップS140)。この工程により、図1,2に示すように、接地電極10が屈曲される。主体金具50のネジ部52に、ガスケット59が装着されて(ステップS145)、スパークプラグ300が完成する。
以上説明した本実施形態のスパークプラグ300の製造方法によれば、レーザー溶接に用いられる押さえ冶具100において、縮径部111の端面(押面S1)は、押さえの対象となる貴金属チップ61の反対面S2または中心電極チップ70の上端面S5の直径よりも小さな直径を有する。また、押面S1において、貴金属チップ61の反対面S2または中心電極チップ70の上端面S5と接触しない領域は生じていない。このため、ステップS220及びステップS130において、レーザー光LBの照射により生じた塵が、押さえ冶具100の押面S1に付着することを抑制できる。したがって、次回に新たに複合チップを製作する際、または、次回に新たに中心電極20と中心電極チップ70とをレーザー溶接する際に、押面S1に付着した塵spが貴金属チップ61または中心電極チップ70と接触することにより、貴金属チップ61または中心電極チップ70が損傷することを抑制できる。
A3.比較例:
図8は、比較例としての、従来における貴金属チップ61と柱状部62とのレーザー溶接箇所を拡大して示す説明図である。比較例の押さえ治具900において、端面S10は、貴金属チップ61の反対面S2と接触している。なお、端面S10の平面形状は、略円形である。図8に示すように、押さえ治具900の端面S10の直径R10は、貴金属チップ61の反対面S2の直径R2よりも大きい。換言すると、押さえ治具900の端面S10には、貴金属チップ61の反対面S2と接触しない領域(非接触部901)が生じている。このため、レーザー光LBを、貴金属チップ61と柱状部62との境界部分に照射することにより生じた塵spが、押さえ治具900の非接触部901に付着している。したがって、次回に新たな複合チップを製作する際、また、次回に新たに中心電極20と中心電極チップ70とをレーザー溶接する際に、非接触部901に付着した塵spが貴金属チップ61または中心電極チップ70と接触することにより、貴金属チップ61または中心電極チップ70が損傷するおそれがある。
これに対して、本実施形態のスパークプラグ300の製造方法では、上述したように、押さえ冶具100の押面S1への塵spの付着を抑制できるので、貴金属チップ61及び中心電極チップ70の損傷を抑制できる。加えて、押さえ冶具100の押面S1は、平らな面であるため、押さえ冶具100により電極材料(貴金属チップ61および中心電極チップ70)を押さえた際に電極材料の端面(反対面S2および上端面S5)が損傷することを抑制できると共に、レーザー溶接加工時における電極材料から押さえ冶具100への熱伝導性を向上できる。このため、レーザー溶接加工時において電極材料が高温となることを抑制できるので、塵spの発生を抑制できる。
また、押さえ冶具100の押面S1の直径R1と貴金属チップ61の反対面S2の直径R2との差、及び押さえ冶具100の押面S1の直径R1と中心電極チップ70の上端面S5の直径との差を、いずれも0.1mm以上としている。このため、押面S1と反対面S2とで互いに中心軸がずれて接した場合であっても、押面S1のすべてが反対面S2によって覆われる可能性を高くできる。したがって、このような場合であっても、押面S1への塵spの付着を抑制できる。なお、押面S1と反対面S2とが互いに中心軸がずれて接するのは、例えば、中間チップ64への貴金属チップ61の載置位置のずれが生じたことや、押さえ冶具100を下方に下降する際に、押さえ冶具100の位置がずれたこと等に起因する。同様に、中心電極20への中心電極チップ70の載置位置のずれが生じたことや、押面S1と中心電極チップ70の上端面S5とで互いに中心軸がずれて接した場合であっても、押面S1への塵spの付着を抑制できる。
また、縮径部111の押面S1の縁を、所定の曲率半径r1のR形状としており、かつ、曲率半径r1を0.03mm以上、かつ、0.1mm以下の任意の値としているので、押さえ冶具100が電極材料(貴金属チップ61または中心電極チップ70)と接触する際に、縮径部111の縁により電極材料を傷付けることを抑制できると共に、押面S1の面積が非常に小さくなることを抑制できる。
また、押さえ冶具100の材料として、押さえの対象となる貴金属チップ61又は中心電極チップ70の硬度よりも高い硬度を有する超硬合金を採用しているので、押さえ冶具100の耐久性を向上させることができる。また、超硬合金の熱伝導率は、41W/(m・K)以上であり、押さえの対象となる貴金属チップ61及び中心電極チップ70の熱伝導率よりも高い。このため、レーザー溶接時に貴金属チップ61及び中心電極チップ70から多くの熱を押さえ冶具100に逃がすことができる。したがって、貴金属チップ61及び中心電極チップ70の過度の溶融を抑制でき、塵spの発生を抑制できる。
また、押さえ冶具100は、棒状の外観形状を有し、両端に縮径部111が配置され、2つの縮径部111間を胴部112により接続する構造を有する。このため、いずれか一方の縮径部111が損傷した場合でも、他方の縮径部111を用いて電極材料を押さえることができる。また、胴部112の直径は縮径部111の直径に比べて大きいため、第2支持装置220により把持し易く、また、第2支持装置220による把持の応力等による折れの発生を抑制できる。
B.変形例:
B1.変形例1:
上述した実施形態の押さえ冶具100は、両端に縮径部111を有し、2つの縮径部111が胴部112に接続された構造を有していたが、本発明は、これに限定されない。図9は、変形例における押さえ冶具の構造を概略的に示す平面図である。図9では、4種類の押さえ冶具100a,100b,100c,100dの構造を示している。
図9において最上段に示す押さえ冶具100aは、一方の端にのみ縮径部111を有し、他方の端には縮径部111を有さない点において、上記実施形態の押さえ冶具100と異なり、他の構成は、実施形態の押さえ冶具100と同じである。押さえ冶具100aの両端のうち、縮径部111側の端面の直径R11は、上記実施形態の押面S1の直径R1と同じである。これに対して、押さえ冶具100aの他方の端面の直径R12は、胴部112の直径と同じである。このような押さえ冶具100aを用いたスパークプラグの製造方法においても、縮径部111側の端面S11を電極材料の押さえに用いることで、上記実施形態と同様な効果を奏する。
図9において2段目に示す押さえ冶具100bは、両端部において縁がR形状となっていない点において、上記実施形態の押さえ冶具100と異なり、他の構成は、実施形態の押さえ冶具100と同じである。押さえ冶具100bの端部111aの端面S13の直径R13は、上記実施形態の押さえ冶具100の押面S1の直径R1と略同一である。したがって、端面S13の直径R13は、上記実施形態の押さえ冶具100の押面S1の直径R1と同様に、押さえの対象となる電極材料の直径よりも小さい。このような押さえ冶具100bを用いたスパークプラグの製造方法においても、上記実施形態と同様な効果を奏する。
図9において3段目に示す押さえ冶具100cは、両端部に縮径部111を備えていない点、上記実施形態の胴部112に相当する部分の直径が小さい点において、上記実施形態の押さえ冶具100と異なり、他の構成は、実施形態の押さえ冶具100と同じである。押さえ冶具100cの端面S14の直径R14は、上記実施形態の押さえ冶具100の押面S1の直径R1と略同一である。したがって、端面S14の直径R14は、上記実施形態の押さえ冶具100の押面S1の直径R1と同様に、押さえの対象となる電極材料の直径よりも小さい。このような押さえ冶具100cを用いたスパークプラグの製造方法においても、上記実施形態と同様な効果を奏する。
図9において最下段に示す押さえ冶具100dは、縮径部111に代えて小径部111bを備えている点において、上記実施形態の押さえ冶具100と異なり、他の構成は、実施形態の押さえ冶具100と同じである。小径部111bは、長手方向に沿ったいずれの位置においても外径が略均一であり、略円筒形の外観形状を有する。小径部111bの端面S15の直径R15は、上記実施形態の押さえ冶具100の押面S1の直径R1と略同一である。したがって、端面S15の直径R15は、上記実施形態の押さえ冶具100の押面S1の直径R1と同様に、押さえの対象となる電極材料の直径よりも小さい。このような押さえ冶具100dを用いたスパークプラグの製造方法においても、上記実施形態と同様な効果を奏する。
B2.変形例2:
上記実施形態において、レーザー溶接機200は、パルス発振によるラップ照射を行っていたが、パルス発振に代えて、連続発振(CW)を行う構成を採用してもよい。また、上記実施形態においてレーザー溶接を用いる各工程では、レーザー溶接に代えて、電子ビーム溶接、抵抗溶接など、任意の方式の溶接を採用することができる。これらの構成においても、上記実施形態と同様な効果を奏する。また、上記実施形態において、複合チップ60(鍔状部63)は、接地電極10に対して抵抗溶接により接合されていたが、抵抗溶接に代えて、レーザー溶接や電子ビーム溶接により接合されてもよい。また、上記実施形態では、中心電極20には、中心電極チップ70が接合(溶接)されていたが、中心電極チップ70に代えて、複合チップ60と同様な複合チップが接合された構成を採用してもよい。この構成では、複合チップを構成する中間チップは、請求項における電極チップに相当する。また、上記実施形態では、接地電極10の端部11には、複合チップ60が接合(溶接)されていたが、複合チップ60に代えて、貴金属チップ61が直接接合された構成を採用してもよい。この構成では、貴金属チップ61は請求項における電極チップに相当する。
B3.変形例3:
上記実施形態において、中心電極チップ70に用いられる材料はIr合金あり、貴金属チップ61に用いられる材料はPt合金であったが、本発明は、これに限定されるものではない。中心電極チップ70に用いられる材料をPt合金とし、貴金属チップ61に用いられる材料をIr合金とすることもできる。
B4.変形例4:
上記実施形態において、押さえ冶具100,100a,100b,100c,100dは、同一材料による均一な組成を有していたが、本発明はこれに限定されない。例えば、縮径部111と胴部112とを、互いに異なる材料により形成してもよい。また、例えば、縮径部111のうち押面S1に近い部分を、他の部分の材料とは異ならせることもできる。これらの構成では、縮径部111全体または縮径部111のうち押面S1に近い部分を、電極材料の硬度よりも高い硬度を持つ材料により形成することが好ましい。
B5.変形例5:
上記実施形態において、押面S1の中心位置と反対面S2の中心位置とは一致していたが、本発明はこれに限定されない。押面S1の中心位置と反対面S2の中心位置とが一致しない構成であってもよい。このような構成であっても、押面S1の直径が反対面S2の直径よりも小さいので、押面S1のうち、反対面S2の内側に位置しない領域(換言すると、反対面S2からはみ出た領域)を、押面S1の直径が反対面S2の直径以上である構成に比べて小さくすることができる。したがって、レーザー光の照射により生じた塵spの、押面S1への付着を抑制することができる。
B6.変形例6:
上記実施形態では、「直径」とは、縮径部111の端面または電極材料の任意の位置における直径を意味していたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、「直径」として、縮径部111の端面または電極材料の平均径(任意の位置で測定した直径の平均値)を採用してもよい。この構成では、縮径部111の端面の平均径は、電極材料(貴金属チップ61または中心電極チップ70)の平均径よりも小さい。
また、上記実施形態では、押さえ冶具100において、貴金属チップ61の反対面S2の直径R2および中心電極チップ70の上端面S5の直径よりも小さく構成されていたのは、押面S1の直径R1であったが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、押さえ冶具100の先端径を、貴金属チップ61の反対面S2の直径R2および中心電極チップ70の上端面S5の直径よりも小さく構成してもよい。ここで、「先端径」とは、押さえ冶具100の端面(押面S1)から軸線OLに沿った距離が、塵(スパッタ)の飛翔が想定される所定の長さ以内の領域の任意の位置における直径を意味する。かかる領域における直径を、貴金属チップ61の反対面S2の直径R2および中心電極チップ70の上端面S5の直径よりも小さくすることにより、押さえ冶具100の先端部への塵の付着を抑制できる。なお、上述した所定の長さとしては、例えば、5mmとすることができる。但し、5mmよりも大きな値または小さな値に設定してもよい。
B7.変形例7:
上記実施形態において、押さえ冶具100,100a,100b,100c,100dの押面S1、貴金属チップ61の反対面S2、中心電極チップ70の上端面S5の平面形状は、いずれも略円形に限定されない。例えば、多角形や、弧と直線を混合させた形状でも良い。なお、多角形や、弧と直線を混合させた形状など、略円形とは異なる形状とする場合、「直径」とは、中心軸に垂直な方向で最大の幅を意味する。また、上記実施形態において、押さえ冶具100,100a,100b,100c,100dの押面S1、貴金属チップ61の反対面S2、中心電極チップ70の上端面S5の平面形状は、いずれも略中央に窪みが設けられた略円形等でも良い。
B8.変形例8:
上記実施形態では、主体金具50に接地電極10を接合した後(ステップS115の後)に、接地電極10と複合チップ60とを接合していたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、接地電極10と複合チップ60とを溶接した後に、主体金具50に接地電極10を接合してもよい。この構成では、接地電極10と複合チップ60との接合部分にレーザー光を照射する際に、レーザー光が主体金具50によって遮られることがない。したがって、この構成では、接地電極10と複合チップ60との接合に容易にレーザー溶接を採用できる。
本発明は、上述の本実施形態や変形例に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば、発明の概要の欄に記載した各形態中の技術的特徴に対応する本実施形態、変形例中の技術的特徴は、上述の課題の一部又は全部を解決するために、あるいは、上述の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
10…接地電極
11,12…端部
20…中心電極
21…端部
30…絶縁碍子
31…軸孔
32…中央胴部
33…後端側胴部
34…先端側胴部
35…脚長部
40…端子金具
50…主体金具
51…工具係合部
52…ネジ部
53…後端部
54…シール部
57…端面
59…ガスケット
60…複合チップ
61…貴金属チップ
62…柱状部
63…鍔状部
64…中間チップ
70…電極チップ
91,92…溶融部
100,100a,100b,100c,100d…押さえ冶具
111…縮径部
111a…端部
111b…小径部
112…胴部
200…レーザー溶接機
201…ネジ孔
210…第1支持装置
220…第2支持装置
231…第1駆動部
232…第2駆動部
300…スパークプラグ
400…接合装置
500…エンジンヘッド
900…押さえ治具
901…非接触部
G…火花ギャップ
S1…押面
r1…曲率半径
S2…反対面
S3…接合面
S5…上端面
S9…端面
LB…レーザー光
OL…軸線
sp…塵
S10,S11,S13,S14,S15…端面
dr1…重力方向

Claims (9)

  1. 中心電極と、前記中心電極の軸線方向に延びる軸孔を有し、前記軸孔内に前記中心電極を保持する筒状の絶縁体と、前記絶縁体を保持する主体金具と、前記中心電極よりも先端側に配置される接地電極と、前記中心電極と前記接地電極とのうちの一方の電極に接合された電極チップと、を有するスパークプラグの製造方法であって、
    (a)前記一方の電極と前記電極チップとを、互いに接して配置する工程と、
    (b)前記一方の電極と前記電極チップとのうち、少なくとも一方において、他方と接する接合面とは反対の反対面を、押さえ冶具を用いて前記反対面から前記接合面に向かう方向に押す工程と、
    (c)前記一方の電極と前記電極チップとを、前記接合面において溶接する工程と、
    を備え、
    前記工程(b)は、前記押さえ冶具として、前記反対面を押す平らな押面を有し、前記押面の第1直径が前記反対面の第2直径よりも小さい冶具を用いて実行され
    前記第1直径と前記第2直径との差は、0.1mm以上であり、
    前記押面の面積は、前記反対面の面積の50%以上である、ことを特徴とする、スパークプラグの製造方法。
  2. 請求項1に記載のスパークプラグの製造方法において、
    前記工程(b)は、
    (b1)前記押面のすべてが前記反対面の内側に位置するように、前記押さえ冶具を配置する工程、を含むことを特徴とするスパークプラグの製造方法。
  3. 請求項1または請求項2に記載のスパークプラグの製造方法において、
    前記押面が前記反対面を押す方向に沿った前記押さえ冶具の断面における、前記押面側の先端の隅の形状は、所定の曲率半径のR形状であり、
    前記所定の曲率半径は、0.03mm以上であり、かつ、0.1mm以下である、ことを特徴とするスパークプラグの製造方法。
  4. 請求項1から請求項までのいずれか一項に記載のスパークプラグの製造方法において、
    前記押さえ冶具のうち、少なくとも前記押面側の材料の硬度は、前記接合面及び前記反対面を有する前記一方の電極または前記電極チップの材料の硬度よりも高い、ことを特徴とするスパークプラグの製造方法。
  5. 請求項1から請求項までのいずれか一項に記載のスパークプラグの製造方法において、
    前記押さえ冶具のうち、少なくとも前記押面側を構成する材料の熱伝導率は、41W/(m・K)以上である、ことを特徴とするスパークプラグの製造方法。
  6. 請求項1から請求項までのいずれか一項に記載のスパークプラグの製造方法において、
    前記押さえ冶具は、長手方向を有する棒状の外観形状を有し、一端に前記押面を有し、他端に前記押面と同じ形状の面を有する、ことを特徴とするスパークプラグの製造方法。
  7. 請求項に記載のスパークプラグの製造方法において、
    前記押さえ冶具は、
    前記長手方向に沿った両端側にそれぞれ位置し前記押面を有する2つの端部と、
    前記長手方向に沿った中央側に位置し、前記2つの端部とそれぞれ接続され、前記第1直径よりも大きな直径を有する胴部と、
    を有する、ことを特徴とするスパークプラグの製造方法。
  8. 請求項1から請求項までのいずれか一項に記載のスパークプラグの製造方法において、
    前記電極チップが前記反対面を有することを特徴とするスパークプラグの製造方法。
  9. 請求項1から請求項までのいずれか一項に記載のスパークプラグの製造方法において、
    前記電極チップは、
    第1中心電極チップと第1中間チップとから成り、前記第1中間チップが前記中心電極と前記第1中心電極チップとの間に配置されると共に前記中心電極に接合された構造を有する第1複合チップと、
    前記中心電極に接合された第2中心電極チップと、
    第1接地電極チップと第2中間チップとから成り、前記第2中間チップが前記接地電極と前記第1接地電極チップとの間に配置されると共に前記接地電極に接合された構造を有する第2複合チップと、
    前記接地電極に接合された第2接地電極チップと、
    のうち、少なくとも1つである、スパークプラグの製造方法。
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