JP2015091279A - 生体管腔用グラフトの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】十分な強度を有する薄膜化生体管腔用グラフトを提供する。【解決手段】ポリエステル(B−1)を溶媒(B−2)に溶解してポリエステル(B)溶液を調製し、ポリエステル(A)織布に前記ポリエステル(B)溶液が到着する直後に溶媒(B−2)が蒸発するような条件下で、前記ポリエステル(B)溶液を前記ポリエステル(A)織布の少なくとも一方の面にスプレー噴霧して、前記ポリエステル(A)織布を目止めすることを有する生体管腔用グラフトの製造方法であって、スプレー噴霧前後の前記ポリエステル(A)織布の厚みの増加が3μm以下である、生体管腔用グラフトの製造方法。【選択図】なし
Description
本発明は、生体管腔用グラフトおよび生体管腔用グラフトの製造方法に関する。
大動脈瘤とは、大動脈の一部が「瘤」のように膨らんだ状態のことであり、瘤が形成する部位によって、主に腹部大動脈瘤及び胸部大動脈瘤に分かれる。また、大動脈の壁は通常、内膜、中膜、外膜の3層構造をとり、大動脈瘤が形成した部位の血管壁の構造によって、瘤の壁に通常の大動脈の壁構造が確認される真性瘤、大動脈壁の解離によって形成される解離性瘤、および瘤の壁に大動脈の壁構造が確認されない仮性瘤に分かれる。このうち、真性瘤や仮性瘤は、通常、破裂しない限り顕著な症状が現れないため、早期治療が困難である。一方、解離性瘤(大動脈解離)は、胸部や背部の激しい痛みを伴うため発見は容易であるものの、臓器の血流障害により、解離の部位により様々な臓器の合併症が引き起こされることがあり、多彩な症状(心不全、心筋梗塞、意識障害、腹痛、下肢痛等)が現れるため、大動脈解離の診療が困難である。加えて、上記いずれの大動脈瘤の場合であっても、治療せずに放置しておくと瘤が破裂して、致命的な大出血を引き起こす危険性があるため、治療が必要である。
大動脈瘤の主要な治療方法としては、瘤を人工血管で置き換える外科バイパス手術があったが、開腹または開胸手術が必要であり、患者への侵襲が大きい。また、体外循環(人工心肺)、低体温、臓器冷却などを適宜組み合わせて行うが、これらの方法は複雑で専門領域に入り、脳(脳障害)及び脊髄(下半身の麻痺)に関わる合併症を引き起こす可能性がある。
このため、近年では、大動脈瘤の治療を、外科バイパス手術による人工血管置換術の代わりに、ステントグラフト(ステント付人工血管)を小さく折りたたみ、これをカテーテルに通して患部に挿入・留置する手法(ステントグラフト治療)が普及してきている。ステントグラフトは、人工血管にステントといわれるバネ状の金属を取り付けた人工血管であり、これを圧縮して細いカテーテルの中に収納したまま使用する。このカテーテルを動脈瘤のある部位まで進め、収納してあったステントグラフトをカテーテルから放出・拡張させて、動脈瘤のある部位に留置する。このため、ステントグラフトによる治療では手術による切開部を小さくすることができ、患者さんの身体にかかる負担は極めて少ない、患者への侵襲の小さい治療方法である。また、この方法によると、瘤はステントグラフトにより蓋がされ、瘤内の血流が無くなって、次第に小さくなる、あるいは瘤が小さくならない場合でも、瘤の拡大を防止して破裂の危険性を低減できる。
このようなステントグラフトによる治療をさらに低侵襲で行うためには、カテーテルを細くすることが望ましいが、そのためには内挿するステントグラフトの嵩張りを減らすことが必要となる。このため、5〜50デニールの糸でステントグラフトの人工血管部分を構成することで、厚みを低減させ、小径の血管への移植が可能となる技術が報告されている(特許文献1)。
しかしながら、特許文献1に記載されるように細繊度の糸を用いて作製されたステントグラフトは、厚みは薄いものの、強度が不十分である上、織密度を維持すると織り目の開口部面積が大きくなり、ステントグラフト基材(人工血管部分)からの血液漏れを引き起こすという問題があった。
したがって、本発明は、上記事情を鑑みてなされたものであり、十分な強度を有する薄膜化生体管腔用グラフトを提供することを目的とする。
本発明の他の目的は、低い透水性を有する薄膜化生体管腔用グラフトを提供することである。
本発明者らは、上記の問題を解決すべく、鋭意研究を行った結果、基材にポリエステル溶液が到着する直後に溶媒が蒸発するような特定の条件下で、基材にポリエステル溶液を塗布することによって、上記課題が解決することを見出し、本発明を完成した。
すなわち、上記諸目的は、ポリエステル(B−1)を溶媒(B−2)に溶解してポリエステル(B)溶液を調製し、ポリエステル(A)織布に前記ポリエステル(B)溶液が到着する直後に溶媒(B−2)が蒸発するような条件下で、前記ポリエステル(B)溶液を前記ポリエステル(A)織布の少なくとも一方の面にスプレー噴霧して、前記ポリエステル(A)織布を目止めすることを有する生体管腔用グラフトの製造方法であって、スプレー噴霧前後の前記ポリエステル(A)織布の厚みの増加が3μm以下である、生体管腔用グラフトの製造方法によって達成される。
また、上記諸目的は、ポリエステル(A)織布および前記ポリエステル(A)織布表面上に融着して形成されるポリエステル(B−1)膜を有し、前記ポリエステル(B−1)膜は前記ポリエステル(A)織布を目止めする、生体管腔用グラフトによっても達成される。
本発明の生体管腔用グラフトは、薄くとも、十分な強度及び低い透水性を有する。このため、本発明の生体管腔用グラフトは、細いカテーテルに挿入可能であり、ステントグラフトによる治療をさらに低侵襲で行うことができる。
本発明の生体管腔用グラフトの製造方法は、(i)ポリエステル(B−1)を溶媒(B−2)に溶解してポリエステル(B)溶液を調製し(塗布液の調製工程(i));(ii)ポリエステル(A)織布に前記ポリエステル(B)溶液が到着する直後に溶媒(B−2)が蒸発するような条件下で、前記ポリエステル(B)溶液を前記ポリエステル(A)織布の少なくとも一方の面にスプレー噴霧して、前記ポリエステル(A)織布を目止めする(塗布工程(ii))ことを有し、スプレー噴霧前後の前記ポリエステル(A)織布の厚みの増加が3μm以下である。本発明の方法は、基材としてのポリエステル(A)織布にポリエステル溶液が到着する直後に溶媒が蒸発するような特定の条件下で、基材にポリエステル溶液を塗布することを特徴とする。
また、本発明の生体管腔用グラフトは、ポリエステル(A)織布および前記ポリエステル(A)織布表面上に融着して形成されるポリエステル(B−1)膜を有し、前記ポリエステル(B−1)膜は前記ポリエステル(A)織布を目止めする、生体管腔用グラフトである。
上記したように、ステントグラフトによる治療をさらに低侵襲で行うためには、カテーテルを細くすることが望ましいが、そのためには内挿するステントグラフトの嵩張りを減らすことが必要となる。また、ステントグラフトは超弾性金属などを用いたステント骨格をポリエステル織布やePTFEなどの人工血管に取り付けたものであるが、特に人工血管部分の嵩張りを減らすことがカテーテルを細くするには効果的である。加えて、ポリエステル織布などの人工血管の嵩張りを減らすには布の厚みを低減させるだけでなく、織布の柔らかさを維持させる事も重要である。
ここで、ステントグラフト基材(人工血管部分)の嵩張りを低減させる方法としては、織布を構成する糸を細くすることがある。しかしながら、織密度を維持したままで構成する糸を細くすると織り目の開口部面積が大きくなりステントグラフト基材(人工血管部)からの血液漏れを引き起こす。このため、ステントグラフト基材からの血液漏れを引き起こさない程度に密に織る必要がある。一方で、織密度を上げるためには糸の本数を増加させる必要があるが、目的の織幅まで縦糸を収束させる事が困難である。また、糸が細くなると糸自体の強度が低下することから、織工程における糸と織機との摩擦や糸同士の摩擦により糸が破断しやすく、この観点からも織密度を上げる事は困難である。
上記課題を解決するためには、織り目の開口部が大きな薄いステントグラフト基材(例えば、ポリエステル織布)の少なくとも一方の面を、薄い高分子材料などのフィルムや多孔膜、不織布でコーティングすることで目止めする方法もまた考えられる。しかしながら、コーティング厚が厚くなると嵩張りが増すだけでなく、ステントグラフト基材が硬くなることで小さく折りたたむ事が困難となり、適用するカテーテルの細径化が困難になる。また、この方法では、コート材が剥がれてしまうとステントグラフト基材の織り目の開口部から血液が漏出し、ステントグラフトとしての機能が維持できなくなってしまう危険性もある。このため、コート材をステントグラフト基材にしっかりと接着する必要がある。
これを解決するためには、コート材と基材の間に接着剤を用いる方法も考えられるが、ステントグラフトは人工血管と同様、体内に長期間(場合によっては永久的に)留置されるものであることから、その安全性(毒性)の観点や長期埋植での安定性の観点から、接着剤を基材と同じポリエステルとし、ポリエステルを溶解する事ができる溶媒を用いて溶着させる方法が好ましいと、考えられる。しかしながら、基材も同じポリエステル基材であるため、溶着させる条件によっては基材自体を溶解させ、強度低下などを招く恐れがある。
また、基材上にフィルムを形成させる方法や別に作製したフィルムを張り合わせる方法等のコーティング方法も考えられる。しかしながら、基材に厚さが一様なフィルムや多孔膜を張り合わせる方法では、厚さ1μm程度のフィルムは非常に薄く取り扱いにくいため、基材上を一様にカバーする事は困難である。また、基材の目開きにはフィルムが入らないため、基材とフィルムの接触面積が小さくなり、カーテル内腔との接触/こすれにより剥離しやすいという問題がある。
したがって、従来では、十分な強度及び柔軟性ならびに低透水性を具備する薄膜化したステントグラフト基材に対する要望は強かったものの、実現できていないのが現状であった。
これに対して、本発明の方法は、グラフトの基材をポリエステル織布とし、基材にポリエステル溶液が到着する直後にポリエステル溶液の溶媒が蒸発するような特定の条件で、スプレー噴霧前後のポリエステル(A)織布の厚みの増加が3μm以下となるように、基材(ポリエステル(A)織布)にポリエステル溶液を塗布して、生体管腔用グラフトを作製することを特徴とする。この方法によると、塗布液(塗膜)に基材と同様のポリエステルを使用することで、塗膜が基材に強固に形成し、剥離しにくい。このため、細い糸で織り目の開口部面積(目開き寸法)の大きいグラフト基材(人工血管部)であっても、この開口部をしっかりと被覆する(目止めする)ことができる。このため、生体管腔用グラフトの透水性を低減できる。また、基材と塗膜との接着性が良好であるため、開口部を被覆する(目止めする)程度に薄い塗膜を基材に形成しても、剥離が起こりにくい。ゆえに、スプレー噴霧前後のポリエステル(A)織布の厚みの増加が3μm以下とすることができ、強度及び柔軟性は維持したまま、生体管腔用グラフトを薄膜化することが可能である。したがって、本発明に係る生体管腔用グラフトは、小径のカテーテルに収納でき、また、透水性が低く、グラフトからの血液漏れを抑制・防止できる。また、長期間埋植した場合であっても、塗膜が基材と一体化(接着)しているため、塗膜の一部が血管に逸脱することがなく、安定性が高い。また、ポリエステル溶液を構成する溶媒は、グラフト基材に到着する直後に蒸発するため、この溶媒がポリエステル基材を溶解することがほとんどあるいは全くない。ゆえに、グラフト基材は本来もっている強度を維持できるため、本発明に係るグラフトは高い強度及び柔軟性を有する。
以下、本発明の実施の形態を説明する。
(i)塗布液の調製工程
本工程では、ポリエステル(B−1)を溶媒(B−2)に溶解してポリエステル(B)溶液を調製する。
本工程では、ポリエステル(B−1)を溶媒(B−2)に溶解してポリエステル(B)溶液を調製する。
ここで、ポリエステル(B−1)としては、特に制限されず、公知の医療用具に使用されるポリエステルを同様にして使用できる。具体的には、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)などが挙げられる。なお、ポリエチレンテレフタレートは、ダクロン(Dacron)(登録商標)としても知られている。
また、溶媒(B−2)は、ポリエステル(B−1)を溶解できるものであれば特に制限されない。具体的には、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロイソプロパノール(HFIP)、トリフルオロ酢酸(TFA)などが挙げられる。これらのうち、HFIPが好ましい。
ポリエステル(B)溶液中のポリエステル(B−1)の濃度は、次工程(ii)でポリエステル(A)織布の開口部(目開き)を十分被覆する(目止めする)ことができる濃度であれば特に制限されない。具体的には、ポリエステル(B)溶液中のポリエステル(B−1)の濃度が、0.5〜20重量%であることが好ましく、3.0〜10重量%であることがより好ましい。このような濃度であれば、ポリエステル(A)織布の開口部(目開き)を十分被覆する(目止めする)ことができる。また、次工程で、ポリエステル(A)織布に前記ポリエステル(B)溶液が到着する直後に、溶媒(B−2)が速やかに蒸発できる。
ポリエステル(B)溶液の調製は、通常、ポリエステル(B−1)を溶媒(B−2)に所定の濃度となるように溶解させればよいが、この際、必要であれば加熱処理、撹拌処理を行ってもよい。
(ii)塗布工程
本工程では、上記工程(i)で調整されたポリエステル(B)溶液をポリエステル(A)織布の少なくとも一方の面にスプレー噴霧して、ポリエステル(A)織布を目止め(被覆)するが、上記スプレー噴霧は、ポリエステル(A)織布にポリエステル(B)溶液が到着する直後に溶媒(B−2)が蒸発するような条件下で行われる。このような操作により、溶媒(B−2)によるポリエステル(A)織布の溶解を抑制・防止できるため、得られる生体管腔用グラフトは、ポリエステル(A)織布が本来有する高い強度及び柔軟性を発揮できる。また、ポリエステル(B)溶液のスプレー噴霧により、ポリエステル(A)織布の開口部(目開き)には十分量のポリエステル(B−1)が塗布されるため、ポリエステル(A)織布は実質的に完全に目止め(被覆)されうる。ここで、「ポリエステル(A)織布は実質的に完全に目止め(被覆)される」とは、ポリエステル(A)織布の開口部(目開き)が実質的に完全にポリエステル(B−1)で埋められた状態を意味する。具体的には、ポリエステル(A)織布表面の90〜100%がポリエステル(B−1)で目止め(被覆)されることが好ましく、ポリエステル(A)織布表面の95〜100%がポリエステル(B−1)で目止め(被覆)されることがより好ましい。このような目止め率(被覆率)であれば、透水性を抑えて、グラフトからの血液漏れを抑制・防止できる。
本工程では、上記工程(i)で調整されたポリエステル(B)溶液をポリエステル(A)織布の少なくとも一方の面にスプレー噴霧して、ポリエステル(A)織布を目止め(被覆)するが、上記スプレー噴霧は、ポリエステル(A)織布にポリエステル(B)溶液が到着する直後に溶媒(B−2)が蒸発するような条件下で行われる。このような操作により、溶媒(B−2)によるポリエステル(A)織布の溶解を抑制・防止できるため、得られる生体管腔用グラフトは、ポリエステル(A)織布が本来有する高い強度及び柔軟性を発揮できる。また、ポリエステル(B)溶液のスプレー噴霧により、ポリエステル(A)織布の開口部(目開き)には十分量のポリエステル(B−1)が塗布されるため、ポリエステル(A)織布は実質的に完全に目止め(被覆)されうる。ここで、「ポリエステル(A)織布は実質的に完全に目止め(被覆)される」とは、ポリエステル(A)織布の開口部(目開き)が実質的に完全にポリエステル(B−1)で埋められた状態を意味する。具体的には、ポリエステル(A)織布表面の90〜100%がポリエステル(B−1)で目止め(被覆)されることが好ましく、ポリエステル(A)織布表面の95〜100%がポリエステル(B−1)で目止め(被覆)されることがより好ましい。このような目止め率(被覆率)であれば、透水性を抑えて、グラフトからの血液漏れを抑制・防止できる。
これに対して、ポリエステル(A)織布にポリエステル(B)溶液を塗布した後に塗膜を形成する(即ち、ポリエステル(A)織布にポリエステル(B)溶液が到着した後に溶媒(B−2)を蒸発させる)場合には、多量の溶媒(B−2)がポリエステル(A)織布と接触してポリエステル(A)織布を溶解するため、生体管腔用グラフトの強度が低下してしまう。一方、ポリエステル(A)織布にポリエステル(B)溶液が到着する前に溶媒(B−2)が蒸発する場合には、ポリエステル(B−1)塗膜表面が粗くなり、ポリエステル(B−1)が十分ポリエステル(A)織布を目止め(被覆)できない。このため、得られる生体管腔用グラフトの透水性を十分低減できず、グラフトからの血液漏れを防げない。加えて、ポリエステル(A)織布の開口部(目開き)に十分量のポリエステル(B−1)が侵入しないため、ポリエステル(B−1)塗膜がポリエステル(A)織布から剥離しやすくなるため、安全上好ましくない。
また、本工程(ii)において、スプレー噴霧前後のポリエステル(A)織布の厚みの増加は、3μm以下である。このような厚みの増加であれば、得られる生体管腔用グラフトは十分薄く、柔軟性にも富むため、小さく折り畳んで小径(例えば、内径11Fr以下)のカテーテルに容易に収納し、また、細い血管からでも挿入できる。このため、本発明に係る生体管腔用グラフトは、血管の細い患者(例えば、小児や老人)などに対しても、適用が可能である。スプレー噴霧前後のポリエステル(A)織布の厚みの増加は、好ましくは0〜3μmであり、より好ましくは0〜2μmである。なお、「スプレー噴霧前後のポリエステル(A)織布の厚みの増加」は、スプレー噴霧後のポリエステル(A)織布の厚みとスプレー噴霧前のポリエステル(A)織布の厚みとの差[=(スプレー噴霧後のポリエステル(A)織布の厚み)−(スプレー噴霧前のポリエステル(A)織布の厚み)]の最大値を意味する。なお、スプレー噴霧前後のポリエステル(A)織布の厚みは、下記実施例に記載される方法によって測定される。
ここで、ポリエステル(A)織布は、本発明の生体管腔用グラフトの基材を構成し、ポリエステル繊維の織物で構成される布帛である。布帛構造としては、特に制限されず、編物、不織布等など、通常グラフトの基材として使用されるのと同様の構造が同様にして適用できる。また、織物の組織としても、特に制限されず、通常グラフトの基材として使用される組織が同様にして適用できる。具体的には、平織、綾織、朱子織、二重織等が挙げられる。これらのうち、強度及び薄さの点で平織が好ましい。布帛の形態についても、特に制限されず、一般的な平面上の織物以外に筒状に織り上げた形態であってもよい。また、ポリエステル(A)織布の表面は、起毛されてもあるいは起毛されていなくてもよいが、織布の厚みや強度の点から、起毛されていないことが好ましい。このようにポリエステル(A)織布を平滑なものとすることによって、ポリエステル(A)織布を小さく畳んで、カテーテル内腔に挿入するのが容易にできる。
ポリエステル(A)織布は、ポリエステル(A)フィラメント(繊維)からなる糸を経糸及び緯糸として織り交ぜることによって形成される。ここで、糸は、モノフィラメントであってもあるいはマルチフィラメントであってもよいが、マルチフィラメントであることが好ましい。マルチフィラメントで作製されたポリエステル(A)織布は、外部からの力に柔軟に対応でき、また、各モノフィラメント(単糸)がズレ動くことによって柔らかさや耐摩耗性を発現できる。ゆえに、マルチフィラメントから作製されるポリエステル(A)織布は、耐摩耗性や柔軟性に優れる。なお、マルチフィラメントは、無撚糸または実撚糸のいずれでもよく、また、捲縮が付与された仮撚糸でもよい。
また、ポリエステル(A)フィラメント(繊維)を構成するポリエステル(A)は、特に制限されず、公知の医療用具に使用されるポリエステルを同様にして使用できる。具体的には、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)などが挙げられる。ここで、ポリエステル(A)織布を構成するポリエステルと、ポリエステル(B−1)は、同じであってもあるいは異なるものであってもよいが、ポリエステル(A)とポリエステル(B−1)とは同じであることが好ましい。これにより、ポリエステル(A)織布とポリエステル(B−1)による目止め(塗膜)との接着性を高めることができ、ポリエステル(B−1)膜がポリエステル(A)織布から剥離するのを有効に抑制・防止できる。ゆえに、織り目の開口部が大きな薄いポリエステル(A)織布をグラフトの基材として使用でき、グラフトを薄膜化できる。ゆえに、本発明に係る生体管腔用グラフトは、小径のカテーテルに収納でき、また、透水性が低く、グラフトからの血液漏れを抑制・防止できる。また、長期間埋植した場合であっても、塗膜が基材と一体化(接着)しているため、塗膜の一部が血管に剥離することがなく、安定性が高い。
ポリエステル(A)織布にモノフィラメント繊維を使用する場合、フィラメント(繊維)[ポリエステル(A)繊維]の直径は、特に制限されないが、好ましくは10〜50μmであり、より好ましくは20〜40μmである。このような直径であれば、十分な薄さ、柔軟性及び強度を達成できる。また、ポリエステル(A)織布に使用するフィラメント(繊維)を構成するモノフィラメント(単糸)の断面は、特に制限されず、円形断面、三角形断面、扁平形断面、中空断面等のいずれであってもよいが、柔軟性や低透水性の観点から、円形断面、扁平形断面が好ましい。
ポリエステル(A)織布にマルチフィラメント繊維を使用する場合、フィラメント(繊維)の総繊度は、特に制限されないが、好ましくは20〜100デシテックス、より好ましくは30〜50デシテックスである。このような総繊度であれば、十分な薄さ、強度及び柔軟性を達成できる。
また、ポリエステル(A)繊維の作製(紡糸)方法は、特に制限されず、直接紡糸で得ても、または海島型若しくは分割割繊型の複合口金を用いて複合紡糸し、織物とした後に極細化して得てもよい。
ポリエステル(A)織布の目開き寸法は、特に制限されないが、好ましくは5〜150μm、より好ましくは5〜30μmである。または、ポリエステル(A)織布の目開き寸法は糸密度によって規定されてもよい。ここで、糸密度は、特に制限されないが、好ましくは70〜700本/inch、より好ましくは400〜600本/inchである。このような目開き寸法または糸密度であれば、ポリエステル(A)織布を十分薄くできる。ポリエステル(A)織布の厚みは、特に制限されないが、薄いことが好ましい。具体的には、ポリエステル(A)織布の厚みは、20〜80μmであることが好ましく、30〜60μmであることがより好ましい。このような厚みであれば、例えば、ポリエステル(B−1)をポリエステル(A)織布に塗布後の生体管腔用グラフトであっても、小さく畳んで内径11Fr以下の細いカテーテルに挿入することが容易である。また、この生体管腔用グラフトは、十分な強度及び柔軟性を有し、また、ポリエステル(B−1)もしっかりとポリエステル(A)織布(基材)を目止め(被覆)しているため、カテーテル内腔と生体管腔用グラフトとがこすれても、ポリエステル(B−1)膜がグラフトから剥がれることもない。
ポリエステル(A)織布の作製方法は特に制限されず、公知の方法が使用できる。例えば、ポリエステル(A)繊維を、経糸1本に対して、緯糸を1〜4本置きに配置するよう平織する方法が使用できる。ポリエステル(A)織布の作製に使用される装置もまた、特に制限されず、公知の装置が同様にして使用できる。例えば、ウォータージェット織機、エアジェット織機、ニードル織機等のシャトルレス織機、フライシャトル織機、タペット織機、ドビー織機、ジャカード織機等が使用できる。製織した生地には必要に応じて精練、リラックス処理を施し、テンター等でヒートセットを行ってもよい。また、得られたポリエステル(A)織布を、さらにカレンダー等でプレス処理してもよい。この際、カレンダー等の表面は繊維を構成するポリマーのガラス転移点または軟化点以上の温度で加熱することが好ましい。このような加熱処理によって、カレンダー等に接した表面の繊維の断面形状をその表面に対して略平行に変形させることができる。ここで、加熱温度は、特に制限されないが、例えば、カレンダー等の温度を120〜180℃程度に加熱して処理することが好ましい。
上記したようなポリエステル(A)織布に、ポリエステル(B)溶液をスプレー噴霧する。ここで、ポリエステル(B)溶液は、ポリエステル(A)織布の少なくとも一方の面にスプレー噴霧すればよい。ここで、スプレー噴霧は、ポリエステル(A)織布にポリエステル(B)溶液が到着する直後に溶媒(B−2)が蒸発するような条件下で行われる。なお、本明細書において、「ポリエステル(A)織布にポリエステル(B)溶液が到着する直後に溶媒(B−2)が蒸発する」とは、溶媒(B−2)でポリエステル(A)織布が溶解する前には溶媒(B−2)が蒸発することを意味し、具体的には、ポリエステル(A)織布にポリエステル(B)溶液が到着してから1〜15秒で溶媒(B−2)が蒸発するような条件であることが好ましい。より好ましくは、ポリエステル(A)織布にポリエステル(B)溶液が到着してから2〜10秒で溶媒(B−2)が蒸発するような条件で、ポリエステル(A)織布にポリエステル(B)溶液をスプレー噴霧する。また、「溶媒(B−2)が蒸発する」とは、実質的に溶媒(B−2)全量が蒸発することを意味し、具体的には、スプレー噴霧したポリエステル(B)溶液に含まれる溶媒(B−2)の90〜100体積%が蒸発することを好ましい。ここで、ポリエステル(A)織布にポリエステル(B)溶液が到着する直後に溶媒(B−2)が蒸発したか否かの確認は、いずれの方法によって行われてもよいが、例えば、スプレー噴霧後のポリエステル(A)織布を光源下にかざし、残留溶媒による光の屈折により変化する色調を目視で観察することによって確認できる。
ポリエステル(A)織布にポリエステル(B)溶液が到着する直後に、溶媒(B−2)を蒸発させる方法は、特に制限されない。例えば、(a)スプレー噴霧速度を調節する方法;(b)スプレー噴霧圧力を調節する方法;(c)ポリエステル(A)織布をあらかじめ加温した後、ポリエステル(B)溶液をスプレー噴霧する方法;(d)スプレー噴霧距離を調節する方法などがありうる。このうち、上記(a)において、スプレー噴霧速度は、ポリエステル(A)織布にポリエステル(B)溶液が到着する直後に、溶媒(B−2)が蒸発するような速度であれば特に制限されない。具体的には、ポリエステル(B)溶液を、好ましくは0.005〜0.3mL/cm2、より好ましくは0.007〜0.015mL/cm2の量でスプレー噴霧する。このような量でポリエステル(B)溶液をスプレー噴霧すれば、ポリエステル(B)溶液中の溶媒(B−2)は、ポリエステル(A)織布に到着するまでにまたは到着した後速やかに蒸発して、ポリエステル(A)織布をポリエステル(B)で目止め(被覆)する。また、溶媒(B−2)がポリエステル(A)織布を溶解するのを有効に抑制・防止できる。上記(b)において、スプレー噴霧圧力は、ポリエステル(A)織布にポリエステル(B)溶液が到着する直後に、溶媒(B−2)が蒸発するような圧力であれば特に制限されない。具体的には、ポリエステル(B)溶液を、10〜80kPa、より好ましくは30〜60kPaのエア圧力でスプレー噴霧する。このようなエア圧力でポリエステル(B)溶液をスプレー噴霧すれば、ポリエステル(B)溶液中の溶媒(B−2)は、ポリエステル(A)織布に到着するまでにまたは到着した後速やかに蒸発して、ポリエステル(A)織布をポリエステル(B−1)で目止め(被覆)する。また、溶媒(B−2)がポリエステル(A)織布を溶解するのを有効に抑制・防止できる。上記(c)において、ポリエステル(A)織布の加温条件は、ポリエステル(A)織布にポリエステル(B)溶液が到着する直後に、溶媒(B−2)が蒸発するような条件であれば特に制限されない。具体的には、ポリエステル(A)織布の加温温度は、好ましくは20〜80℃であり、より好ましくは50〜70℃である。また、ポリエステル(A)織布の加温時間は、上記したような好ましい温度になればよいので、特に制限されないが、通常、好ましくは1分以上であり、より好ましくは2〜3分程度である。このような温度のポリエステル(A)織布にポリエステル(B)溶液をスプレー噴霧すれば、ポリエステル(B)溶液中の溶媒(B−2)は、ポリエステル(A)織布に到着した後速やかに蒸発して、ポリエステル(A)織布をポリエステル(B−1)で目止め(被覆)する。また、溶媒(B−2)がポリエステル(A)織布を溶解するのを有効に抑制・防止できる。上記(d)において、スプレー噴霧距離は、ポリエステル(A)織布にポリエステル(B)溶液が到着する直後に、溶媒(B−2)が蒸発するような距離であれば特に制限されない。具体的には、ポリエステル(B)溶液を噴霧するノズルとポリエステル(A)織布との距離を、50〜130mm、より好ましくは100〜130mmとしてスプレー噴霧する。このような距離からポリエステル(B)溶液をスプレー噴霧すれば、ポリエステル(B)溶液中の溶媒(B−2)は、ポリエステル(A)織布に到着するまでにまたは到着した後速やかに蒸発して、ポリエステル(A)織布をポリエステル(B−1)で目止め(被覆)する。また、溶媒(B−2)がポリエステル(A)織布を溶解するのを有効に抑制・防止できる。このうち、上記(a)、(b)、(c)、(d)の方法が好ましく使用される。なお、上記方法は、単独で使用されてもあるいは2種以上を適宜組み合わせて使用されてもよい。
また、ポリエステル(A)織布へのポリエステル(B−1)の塗布(目止め)条件は、スプレー噴霧前後のポリエステル(A)織布の厚みの増加が3μm以下となるような条件であれば特に制限されない。具体的には、上記(a)〜(d)の操作の少なくとも一つを用いて、ポリエステル(B)溶液をポリエステル(A)織布表面にスプレー噴霧する。なお、上記工程(ii)は、1回行われてもあるいは2回以上行われてもよい。また、後者の場合には、各操作における塗布条件は、同一であってもあるいは異なるものであってもよい。グラフトの柔軟性、操作の簡便さなどと考慮すると、上記工程(ii)は1回行われることが好ましい。
このようにして得られた生体管腔用グラフトは、ポリエステル(A)織布およびポリエステル(A)織布表面上に融着して形成されるポリエステル(B−1)膜を有し、ポリエステル(B−1)膜はポリエステル(A)織布を目止めする構造を有する。本発明の生体管腔用グラフトは、ポリエステル(B−1)がポリエステル(A)織布を構成するポリエステル(A)繊維表面に加えて、ポリエステル(A)織布の開口部(目開き)を被覆(目止め)してなる織布−膜複合体構造を有する。
本発明の生体管腔用グラフトは、強度及び柔軟性は確保したまま、薄膜化されている。具体的には、生体管腔用グラフトの厚みは、ポリエステル(A)繊維の直径(μm)の2倍+3μm以下であることが好ましく、ポリエステル(A)繊維の直径(μm)の2倍+0〜2μmであることがより好ましく、ポリエステル(A)繊維の直径(μm)の2倍+0〜1μmであることが特に好ましい。このような薄い生体管腔用グラフトは、柔軟性にも富むため、小さく折り畳んで小径(例えば、内径11Fr以下)のカテーテルに容易に収納し、また、細い血管からでも挿入できる。このため、本発明に係る生体管腔用グラフトは、血管の細い患者(例えば、小児や老人)などに対しても、適用が可能である。
また、本発明の生体管腔用グラフトは、低い透水性を有する。具体的には、本発明の生体管腔用グラフトは、好ましくは0〜300mL/min/cm2、より好ましくは0〜200mL/min/cm2、より好ましくは0〜10mL/min/cm2、特に好ましくは0〜5mL/min/cm2の透水率を有する。このような透水率であれば、グラフト基材からの血液漏れを有効に抑制・防止できる。なお、本明細書中の「透水率」は、下記実施例によって規定される値を意味する。
本発明の生体管腔用グラフトは、高い強度を有する。具体的には、本発明の生体管腔用グラフトは、好ましくは50〜250N、より好ましくは70〜200Nのバースト強度を有する。このような強度であれば、動脈瘤内に留置(固定)後、生体管腔用グラフトは、動脈瘤を十分密閉し、動脈瘤内への血行圧力を低減し、その結果、動脈瘤の大きさを小さくすることができる。なお、本明細書中の「バースト強度」は、下記実施例によって規定される値を意味する。
本発明の生体管腔用グラフトは、例えば、ステントグラフトのグラフト基材(人工血管部分)、人工血管、人工気管、人工気管支、人工食道などに使用でき、ステントグラフトのグラフト基材(人工血管部分)、人工血管に好適に使用できる。なお、本発明の生体管腔用グラフトは、上記以外の医療用途にも使用できる。上記用途のうち、人工血管には、本発明の生体管腔用グラフトがそのまま適用できる。また、以下に、本発明の生体管腔用グラフトをステントグラフトのグラフト基材(人工血管部分)に適用する場合の好ましい実施形態を説明するが、本発明は下記に限定されるものではない。
ステントグラフトは、人工血管にステントといわれるバネ状の金属(ステント部分)を取り付けた人工血管の一種で、圧縮して細いカテーテルの中に収納して使用する。本発明の生体管腔用グラフトは、ステントグラフトの人工血管部分(グラフト基材)に使用できる。また、上記ステント部分は、自己拡張型ステント若しくはバルーン拡張型ステントまたはこれらを組み合わせた(即ち、バルーン拡張可能な部分と自己拡張可能な部分とを組み合わせた)ハイブリッド型ステントであってもよい。ステント材料としては、特に制限されず、SUS304、SUS316L、SUS420J2、SUS630などのステンレス鋼、金、白金、銀、銅、ニッケル、コバルト、チタン、鉄、アルミニウム、スズおよびニッケル−チタン合金、コバルト−クロム合金、亜鉛−タングステン合金等のそれらの合金などの金属材料が好適に使用できる。本発明のステントグラフトは、少なくとも1つのステントが本発明の生体管腔用グラフトに縫合糸等により固定されている。
また、本発明の生体管腔用グラフトは、公知のステントグラフトのグラフト基材(人工血管部分)の代わりに適用できる。例えば、特表2008−505713号公報のグラフトファブリック、特表2008−514309号公報の環状薄膜/薄膜チューブ、特開2010−269161号公報の管状グラフト材料本体、特開2007−125415号公報の管腔状グラフトなどとして適用されてもよい。
また、本発明の生体管腔用グラフトをステントグラフトに使用する場合の、患者への適用方法もまた特に制限されず、公知方法が同様にして適用できる。例えば、ステントグラフトを小さく折り畳んでカテーテルに収納する。ここで、カテーテルの太さは、特に制限されないが、内径11Fr(3Fr=1mm)以下であることが好ましい。患者への侵襲を低減できる。次に、このカテーテルを、患者の脚の付け根を4〜5cm切開して大腿動脈を露出させ、大腿動脈内に挿入し、X線透視下で動脈瘤のある部位まで導入する。ステントグラフトが動脈瘤のある部位を挟むように存在したことを確認したら、カテーテルから収納してあったステントグラフトを放出・拡張させ、動脈瘤のある部位に留置(固定)する。ステントグラフトが動脈瘤のある部位にきちんと留置(固定)したことを確認したら、カテーテルを抜去し、大腿動脈の切開部を閉じる。この方法によって、瘤はステントグラフトで密閉され、動脈瘤内への血行圧力を低減して、その結果、動脈瘤の大きさを小さくすることができる。また、上記方法は、開腹/開胸手術を必要とせず、また、切開部も小さいため、患者さんの身体にかかる負担が非常に少ない低侵襲な処置である。
本発明の効果を、以下の実施例および比較例を用いて説明する。ただし、本発明の技術的範囲が以下の実施例のみに制限されるわけではない。
実施例1
テトロンメッシュ(東京スクリーン株式会社:T−No508T;厚さ=50μm;糸密度=508本/inch)をポリエステル(A)織布とした。なお、ポリエステル(A)織布は、直径27μmのポリエステル単繊維で形成されている。別途、ポリエステル(東レ株式会社:ルミラーS10 #188)をヘキサフルオロイソプロパノール(HFIP)に5重量%の濃度になるように溶解して、ポリエステル(B)溶液を調製した。また、噴霧装置(ノードソン株式会社:DR2404N)の被塗布部材に、上記ポリエステル(A)織布を設置し、装置周辺の温度を約25℃に設定した。
テトロンメッシュ(東京スクリーン株式会社:T−No508T;厚さ=50μm;糸密度=508本/inch)をポリエステル(A)織布とした。なお、ポリエステル(A)織布は、直径27μmのポリエステル単繊維で形成されている。別途、ポリエステル(東レ株式会社:ルミラーS10 #188)をヘキサフルオロイソプロパノール(HFIP)に5重量%の濃度になるように溶解して、ポリエステル(B)溶液を調製した。また、噴霧装置(ノードソン株式会社:DR2404N)の被塗布部材に、上記ポリエステル(A)織布を設置し、装置周辺の温度を約25℃に設定した。
次に、上記ポリエステル(A)織布の片面に、50kPaのエア圧力で、スプレーノズルから上記で調製したポリエステル(B)溶液をポリエステル(A)織布から噴霧ノズルの距離を120mmとし、さらに噴霧量が0.01mL/cm2となるようにスプレー噴霧を1回行い、ポリエステル(A)織布を目止めし、グラフト基材1を作製した。この際、得られたグラフト基材1のスプレー噴霧前後の前記ポリエステル(A)織布の厚みの増加を、下記<厚み測定>に記載の方法に従って、測定したところ、スプレー噴霧前後の前記ポリエステル(A)織布の厚みの増加は1μmであった。ここで、HFIPは、ポリエステル(B)溶液がポリエステル(A)織布に到着してから5〜10秒で蒸発した。また、スプレー噴霧後のポリエステル(A)織布断面を電子顕微鏡で1000倍に拡大して観察したところ、図1に示されるように、ポリエステル(B−1)塗膜がポリエステル(A)織布表面に融着して形成され、ポリエチレンテレフタレート繊維の溶解は認められなかった。
実施例2
実施例1のスプレー噴霧操作を3回繰り返して、グラフト基材2を作製した。この際、得られたグラフト基材2のスプレー噴霧前後の前記ポリエステル(A)織布の厚みの増加を、下記<厚み測定>に記載の方法に従って、測定したところ、スプレー噴霧前後の前記ポリエステル(A)織布の厚みの増加は3μmであった。また、スプレー噴霧後のポリエステル(A)織布断面を電子顕微鏡で1000倍に拡大して観察したところ、ポリエチレンテレフタレート繊維の溶解は認められなかった。
実施例1のスプレー噴霧操作を3回繰り返して、グラフト基材2を作製した。この際、得られたグラフト基材2のスプレー噴霧前後の前記ポリエステル(A)織布の厚みの増加を、下記<厚み測定>に記載の方法に従って、測定したところ、スプレー噴霧前後の前記ポリエステル(A)織布の厚みの増加は3μmであった。また、スプレー噴霧後のポリエステル(A)織布断面を電子顕微鏡で1000倍に拡大して観察したところ、ポリエチレンテレフタレート繊維の溶解は認められなかった。
比較例1
実施例1のスプレー噴霧操作を5回繰り返して、グラフト基材3を作製した。この際、得られたグラフト基材3のスプレー噴霧前後の前記ポリエステル(A)織布の厚みの増加を、下記<厚み測定>に記載の方法に従って、測定したところ、5μmであった。また、スプレー噴霧後のポリエステル(A)織布断面を電子顕微鏡で1000倍に拡大して観察したところ、ポリエチレンテレフタレート繊維の溶解は認められなかった。
実施例1のスプレー噴霧操作を5回繰り返して、グラフト基材3を作製した。この際、得られたグラフト基材3のスプレー噴霧前後の前記ポリエステル(A)織布の厚みの増加を、下記<厚み測定>に記載の方法に従って、測定したところ、5μmであった。また、スプレー噴霧後のポリエステル(A)織布断面を電子顕微鏡で1000倍に拡大して観察したところ、ポリエチレンテレフタレート繊維の溶解は認められなかった。
比較例2
実施例1において、ポリエステル(A)織布の目止めを行わなかった。すなわち、実施例1で使用したポリエステル(A)織布(厚み:50μm)をグラフト基材4として使用した。グラフト基材4[ポリエステル(A)織布]の表面を電子顕微鏡で1000倍に拡大して観察したところ、図2に示されるように、ポリエステル(A)織布にはかなり大きな開口部(目開き)が存在していることが観察された。
実施例1において、ポリエステル(A)織布の目止めを行わなかった。すなわち、実施例1で使用したポリエステル(A)織布(厚み:50μm)をグラフト基材4として使用した。グラフト基材4[ポリエステル(A)織布]の表面を電子顕微鏡で1000倍に拡大して観察したところ、図2に示されるように、ポリエステル(A)織布にはかなり大きな開口部(目開き)が存在していることが観察された。
比較例3
ステントグラフトのグラフト基材として実績のあるポリエステル織布(厚み:120μm;糸密度=140本/inch)をグラフト基材5として使用した。なお、このポリエステル織布は、直径約12μmのポリエステル繊維を55本束ねた糸で形成されている。このグラフト基材5の表面を電子顕微鏡で1000倍に拡大して観察したところ、図3に示されるように、グラフトが多くの繊維から構成され、かなりの厚みとなっていることが観察された。
ステントグラフトのグラフト基材として実績のあるポリエステル織布(厚み:120μm;糸密度=140本/inch)をグラフト基材5として使用した。なお、このポリエステル織布は、直径約12μmのポリエステル繊維を55本束ねた糸で形成されている。このグラフト基材5の表面を電子顕微鏡で1000倍に拡大して観察したところ、図3に示されるように、グラフトが多くの繊維から構成され、かなりの厚みとなっていることが観察された。
[グラフトの性能評価]
上記で得られたグラフト基材1〜5について、下記評価を行い、結果を下記表1に示す。
上記で得られたグラフト基材1〜5について、下記評価を行い、結果を下記表1に示す。
<厚み測定>
ポリエステル(B)溶液の塗布前後の各グラフト基材の長手方向にわたる全厚みをシックネスゲージで測定し、塗布前の厚みの最大値(T0(μm))および塗布後の厚みの最大値(T1(μm))を記録する。これらの値の差(T1−T0(μm))を算出して、この差をスプレー噴霧前後の前記ポリエステル(A)織布の厚みの増加(μm)とする。
ポリエステル(B)溶液の塗布前後の各グラフト基材の長手方向にわたる全厚みをシックネスゲージで測定し、塗布前の厚みの最大値(T0(μm))および塗布後の厚みの最大値(T1(μm))を記録する。これらの値の差(T1−T0(μm))を算出して、この差をスプレー噴霧前後の前記ポリエステル(A)織布の厚みの増加(μm)とする。
<透水率>
グラフト基材の透水率を、ISO7198に従い、測定する。具体的には、各グラフト基材を約2cm×2cmの大きさにカットして、サンプルを作製する。次に、図6に示される透水率測定装置に、このサンプルをセットして、120mmHgの水圧をかけたときに1分間にこのサンプルから染み出してくる水の量を測定し、透水率(mL/min/cm2)として表す。
グラフト基材の透水率を、ISO7198に従い、測定する。具体的には、各グラフト基材を約2cm×2cmの大きさにカットして、サンプルを作製する。次に、図6に示される透水率測定装置に、このサンプルをセットして、120mmHgの水圧をかけたときに1分間にこのサンプルから染み出してくる水の量を測定し、透水率(mL/min/cm2)として表す。
<適応シースサイズ(適応シース径)>
下記方法に従って、グラフト基材の適応シースサイズを測定する。すなわち、図7Aに示されるように、各グラフト基材を円筒形(直径:26mm、長さ:32mm)に縫い合わせ、グラフト2を作製する。次に、このグラフト2に、φ28mmのリング状のニッケル−チタン製のステント3を5本、8mmの間隔で縫い付ける。また、この円筒形基材の末端にチューブ内をスライドさせるための糸4をとりつける(図7B)。直径1.5mmのSUS線5をシャフトとして、様々な径のPTFEチューブ(シース)6に入れ、スライディングフォースを測定する。ここで、スライディングフォースが40N以下となる最細のPTFEチューブ(シース)の直径を確認し、適応シースサイズとする。なお、本試験において、スライディングフォースは、引張試験機にPTFEチューブ(シース)をセットして、PTFEチューブ内で200mm/minの速度で、糸を介してグラフト基材を引張り、荷重を測定する。引張りはじめから、3〜5秒にかかる荷重の平均値を算出し、これをスライディングフォース(N)とする。
下記方法に従って、グラフト基材の適応シースサイズを測定する。すなわち、図7Aに示されるように、各グラフト基材を円筒形(直径:26mm、長さ:32mm)に縫い合わせ、グラフト2を作製する。次に、このグラフト2に、φ28mmのリング状のニッケル−チタン製のステント3を5本、8mmの間隔で縫い付ける。また、この円筒形基材の末端にチューブ内をスライドさせるための糸4をとりつける(図7B)。直径1.5mmのSUS線5をシャフトとして、様々な径のPTFEチューブ(シース)6に入れ、スライディングフォースを測定する。ここで、スライディングフォースが40N以下となる最細のPTFEチューブ(シース)の直径を確認し、適応シースサイズとする。なお、本試験において、スライディングフォースは、引張試験機にPTFEチューブ(シース)をセットして、PTFEチューブ内で200mm/minの速度で、糸を介してグラフト基材を引張り、荷重を測定する。引張りはじめから、3〜5秒にかかる荷重の平均値を算出し、これをスライディングフォース(N)とする。
<コーティングの剥がれ>
上記で得られた適応シースサイズを測定後、グラフトをPTFEチューブ(シース)から取り出し、このグラフトの皺が多い部分について電子顕微鏡で1000倍に拡大して観察する。
上記で得られた適応シースサイズを測定後、グラフトをPTFEチューブ(シース)から取り出し、このグラフトの皺が多い部分について電子顕微鏡で1000倍に拡大して観察する。
比較例4
実施例1において、ポリエステル(A)織布の片面に、0.5mL/cm2の量で、10kPaのエア圧力で、スプレーノズルから上記で調製したポリエステル(B)溶液をスプレー噴霧して、ポリエステル(A)織布を目止めする以外は、実施例1の操作を繰り返して、グラフト基材6を作製した。この際、得られたグラフト基材6のスプレー噴霧前後の前記ポリエステル(A)織布の厚みの増加を、上記<厚み測定>に記載の方法に従って、測定したところ、1μmであった。この際、HFIPは、ポリエステル(B)溶液がポリエステル(A)織布に到着した後も30秒〜1分間は蒸発せずに残存していた。また、スプレー噴霧後のポリエステル(A)織布断面を電子顕微鏡で1000倍に拡大し観察したところ、図4に示されるように、ポリエチレンテレフタレート繊維がかなり溶解していることが観察された。
実施例1において、ポリエステル(A)織布の片面に、0.5mL/cm2の量で、10kPaのエア圧力で、スプレーノズルから上記で調製したポリエステル(B)溶液をスプレー噴霧して、ポリエステル(A)織布を目止めする以外は、実施例1の操作を繰り返して、グラフト基材6を作製した。この際、得られたグラフト基材6のスプレー噴霧前後の前記ポリエステル(A)織布の厚みの増加を、上記<厚み測定>に記載の方法に従って、測定したところ、1μmであった。この際、HFIPは、ポリエステル(B)溶液がポリエステル(A)織布に到着した後も30秒〜1分間は蒸発せずに残存していた。また、スプレー噴霧後のポリエステル(A)織布断面を電子顕微鏡で1000倍に拡大し観察したところ、図4に示されるように、ポリエチレンテレフタレート繊維がかなり溶解していることが観察された。
比較例5
実施例1において、ポリエステル(A)織布の片面に、100kPaのエア圧力で、0.01mL/cm2の量となるようにスプレーノズルから上記で調製したポリエステル(B)溶液をスプレー噴霧して、ポリエステル(A)織布を目止めする以外は、実施例1の操作を繰り返して、グラフト基材7を作製した。この際、得られたグラフト基材7のスプレー噴霧前後の前記ポリエステル(A)織布の厚みの増加を、上記<厚み測定>に記載の方法に従って、測定したところ、3μmであった。この際、HFIPは、ポリエステル(B)溶液がポリエステル(A)織布に到着する前に蒸発していた。また、スプレー噴霧後のポリエステル(A)織布断面を電子顕微鏡で1000倍に拡大して観察したところ、図5に示されるように、ポリエステル(B−1)の塗膜が不織布のようにポリエステル(A)織布表面を覆い、それらはポリエステル(A)織布と融着していないことが観察された。
実施例1において、ポリエステル(A)織布の片面に、100kPaのエア圧力で、0.01mL/cm2の量となるようにスプレーノズルから上記で調製したポリエステル(B)溶液をスプレー噴霧して、ポリエステル(A)織布を目止めする以外は、実施例1の操作を繰り返して、グラフト基材7を作製した。この際、得られたグラフト基材7のスプレー噴霧前後の前記ポリエステル(A)織布の厚みの増加を、上記<厚み測定>に記載の方法に従って、測定したところ、3μmであった。この際、HFIPは、ポリエステル(B)溶液がポリエステル(A)織布に到着する前に蒸発していた。また、スプレー噴霧後のポリエステル(A)織布断面を電子顕微鏡で1000倍に拡大して観察したところ、図5に示されるように、ポリエステル(B−1)の塗膜が不織布のようにポリエステル(A)織布表面を覆い、それらはポリエステル(A)織布と融着していないことが観察された。
[グラフトの性能評価]
上記で得られたグラフト基材6,7について、上記と同様にして透水率及びコーティングの剥がれを評価し、結果を下記表2に示す。
上記で得られたグラフト基材6,7について、上記と同様にして透水率及びコーティングの剥がれを評価し、結果を下記表2に示す。
また、上記で得られたグラフト基材1,4,6,7について、下記評価を行い、結果を下記表2に示す。
<バースト強度>
グラフト基材のバースト強度を、ISO7198に従い、測定する。具体的には、各グラフト基材を約3cm×3cmの大きさにカットして、サンプルを作製する。これを、図8に示されるように、測定装置の直径11.3mmの穴に各グラフト基材をセットする。このサンプルに、先端が球状の押し子(直径:11.3mm)を125mm/minの速度で押し込み、グラフト基材が破れる時の荷重(N)を測定し、これをバースト強度とする。
グラフト基材のバースト強度を、ISO7198に従い、測定する。具体的には、各グラフト基材を約3cm×3cmの大きさにカットして、サンプルを作製する。これを、図8に示されるように、測定装置の直径11.3mmの穴に各グラフト基材をセットする。このサンプルに、先端が球状の押し子(直径:11.3mm)を125mm/minの速度で押し込み、グラフト基材が破れる時の荷重(N)を測定し、これをバースト強度とする。
Claims (10)
- ポリエステル(B−1)を溶媒(B−2)に溶解してポリエステル(B)溶液を調製し、ポリエステル(A)織布に前記ポリエステル(B)溶液が到着する直後に溶媒(B−2)が蒸発するような条件下で、前記ポリエステル(B)溶液を前記ポリエステル(A)織布の少なくとも一方の面にスプレー噴霧して、前記ポリエステル(A)織布を目止めすることを有する生体管腔用グラフトの製造方法であって、スプレー噴霧前後の前記ポリエステル(A)織布の厚みの増加が3μm以下である、生体管腔用グラフトの製造方法。
- 前記ポリエステル(B)溶液中のポリエステル(B−1)の濃度が0.5〜20重量%である、請求項1に記載の方法。
- 前記ポリエステル(A)織布は、目開き寸法が5〜150μmまたは糸密度が70〜700本/inchである、請求項1または2に記載の方法。
- 前記ポリエステル(B)溶液を、0.005〜0.3mL/cm2の量でスプレー噴霧する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
- 前記ポリエステル(B)溶液を、10〜80kPaのエア圧力でスプレー噴霧する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
- 前記ポリエステル(A)織布をあらかじめ加温した後、ポリエステル(B)溶液をスプレー噴霧する、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
- ポリエステル(A)織布および前記ポリエステル(A)織布表面上に融着して形成されるポリエステル(B−1)膜を有し、前記ポリエステル(B−1)膜は前記ポリエステル(A)織布を目止めする、生体管腔用グラフト。
- 前記ポリエステル(A)織布は、直径10〜50μmのポリエステル(A)繊維で形成される、請求項7に記載の生体管腔用グラフト。
- 前記ポリエステル(A)織布は、目開き寸法が5〜150μmまたは糸密度が70〜700本/inchである、請求項7または8に記載の生体管腔用グラフト。
- 前記生体管腔用グラフトの厚みがポリエステル(A)繊維の直径(μm)の2倍+3μm以下である、請求項7〜9のいずれか1項に記載の生体管腔用グラフト。
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