JP2015090753A - 絶縁電線 - Google Patents

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【課題】架橋シリコーンゴムを含む絶縁層を有する絶縁電線において、耐摩耗性および耐熱性に優れる絶縁電線を提供すること。【解決手段】導体の周囲が架橋シリコーンゴムを含む絶縁層で被覆されている絶縁電線において、絶縁層が、JIS K6253に準拠して測定されるショアA硬度50以上であり、遷移金属の酸化物を含有している。遷移金属の酸化物としては、酸化セリウム、酸化チタンなどが挙げられる。絶縁層には、さらに炭酸カルシウム粉末、酸化マグネシウム粉末、水酸化マグネシウム粉末などが含まれていてもよい。【選択図】なし

Description

本発明は絶縁電線に関し、さらに詳しくは、自動車等の車両に好適に用いられる絶縁電線に関するものである。
自動車等の車両に使用される絶縁電線の絶縁材料には、塩化ビニル樹脂やハロゲン系難燃剤を配合したコンパウンドなどのハロゲンを含むものが用いられている。ハロゲンを含む絶縁材料は、焼却廃棄した場合に腐食性ガスを発生することがある。そこで、環境保護などの観点から、ハロゲンを含まない絶縁材料を用いる試みがある。
例えば特許文献1には、絶縁電線の絶縁材料として、未架橋のシリコーンゴムに水酸化アルミニウムを配合したノンハロゲン系の絶縁材料を用いることが記載されている。
特許第3555101号公報
絶縁電線の絶縁材料としてゴム材料(シリコーンゴム)を用いると、例えば塩化ビニル樹脂を用いた場合などに比べ、絶縁層が軟らかく、摩耗しやすいという問題がある。これに対し、フィラーを添加すると、絶縁層の耐熱性が低下するという問題がある。
本発明の解決しようとする課題は、架橋シリコーンゴムを含む絶縁層を有する絶縁電線において、耐摩耗性および耐熱性に優れる絶縁電線を提供することにある。
上記課題を解決するため本発明に係る絶縁電線は、導体の周囲が架橋シリコーンゴムを含む絶縁層で被覆されている絶縁電線において、前記絶縁層が、JIS K6253に準拠して測定されるショアA硬度50以上であり、遷移金属の酸化物を含有していることを要旨とするものである。
前記遷移金属の酸化物は、酸化セリウム、酸化チタンのうち少なくとも1種以上であることが好ましい。
前記絶縁層は、前記架橋シリコーンゴム100質量部に対し、炭酸カルシウム粉末、酸化マグネシウム粉末、水酸化マグネシウム粉末の少なくとも1種以上を0.1〜20質量部含有してもよい。あるいは、炭酸カルシウム粉末、酸化マグネシウム粉末、水酸化マグネシウム粉末のいずれも含有していなくてもよい。
本発明に係る絶縁電線によれば、架橋シリコーンゴムを含む絶縁層がJIS K6253に準拠して測定されるショアA硬度50以上であり、遷移金属の酸化物を含有していることにより、耐摩耗性および耐熱性に優れる。
そして、前記遷移金属の酸化物が、酸化セリウム、酸化チタンのうち少なくとも1種以上であると、耐摩耗性および耐熱性に優れる。また、これらの金属酸化物は、酸化鉄と異なり、無色であるため、絶縁電線の外観にも優れる。
そして、前記絶縁層が、炭酸カルシウム粉末、酸化マグネシウム粉末、水酸化マグネシウム粉末の少なくとも1種以上を特定量含有する場合には、耐熱性の低下を抑えつつ、耐摩耗性および耐ガソリン性を向上することができる。
一方、前記絶縁層が炭酸カルシウム粉末、酸化マグネシウム粉末、水酸化マグネシウム粉末のいずれも含有していない場合には、これによる耐熱性の低下が抑えられる。
次に、本発明の実施形態について詳細に説明する。
本発明に係る絶縁電線は、導体とこの導体の周囲を被覆する絶縁層とを有している。絶縁層は、架橋シリコーンゴムと遷移金属の酸化物とを含有している。
絶縁層は、未架橋のシリコーンゴムを含む絶縁層用のゴム組成物を用いて形成される。未架橋のシリコーンゴムは、架橋剤を混練した後、加熱架橋させることで弾性体となるミラブル型(加熱架橋型)、或いは架橋前は液状である液状ゴム型のいずれを用いてもよい。液状ゴム型シリコーンゴムは、室温付近で架橋が可能な室温架橋型(RTV)と、混合後100℃付近で加熱すると架橋する低温架橋型(LTV)がある。
未架橋のシリコーンゴムとしては、ミラブル型シリコーンゴムが好ましい。ミラブル型シリコーンゴムは、架橋温度が180℃以上と比較的高温であり安定性が良いので、混練の際の混合がし易く、作業性に優れるという利点がある。これに対し、液状ゴム型シリコーンゴムは、架橋温度が通常120℃程度と低温であるため、安定性が低く混練の際の発熱を低く抑制する必要があり、温度管理などの面から作業性にやや劣る。ミラブル型シリコーンゴムは、直鎖状のオルガノポリシロキサンを主原料(生ゴム)として、補強剤、充填剤(増量剤)、分散促進剤、その他添加剤などを配合したゴムコンパウンドとして市販されているものを用いてもよい。
絶縁層は、上記架橋シリコーンゴムとともに、遷移金属の酸化物を含有している。遷移金属(遷移元素)とは、周期表の第3族から第11族に位置する元素の総称である。これらは、d軌道あるいはf軌道が閉殻になっていないことから、シリコーンゴムのシロキサン構造の酸素と相互作用することが可能であり、シロキサン構造が熱により切断されるのを抑える働きを有するものと推察される。そして、これにより、シリコーンゴムの耐熱性を向上させるものと推察される。
遷移金属の酸化物としては、酸化セリウム、酸化チタン、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化モリブデンなどが好ましいものとして挙げられる。酸化鉄には、価数の異なるFeO、Fe、Feなどがあるが、いずれであってもよい。これらのうちでは、無色であり、絶縁電線の外観に優れるなどの観点から、酸化セリウム、酸化チタンが特に好ましいものとして挙げられる。
遷移金属の酸化物の含有量は、特に限定されるものではないが、架橋シリコーンゴム100質量部に対し、0.1〜20質量部の範囲内であることが好ましい。より好ましくは0.1〜15質量部の範囲内、さらに好ましくは0.2〜10質量部の範囲内である。
絶縁層は、上記架橋シリコーンゴム、上記遷移金属の酸化物とともに、炭酸カルシウム粉末、酸化マグネシウム粉末、水酸化マグネシウム粉末の少なくとも1種以上を含有していてもよい。あるいは、炭酸カルシウム粉末、酸化マグネシウム粉末、水酸化マグネシウム粉末のいずれも含有していなくてもよい。
絶縁層が、炭酸カルシウム粉末、酸化マグネシウム粉末、水酸化マグネシウム粉末の少なくとも1種以上を含有する場合、耐摩耗性を向上することができる。これらの粉末は、架橋シリコーンゴムを含む絶縁層の強度向上に効果がある。絶縁層の強度を向上させることにより、耐摩耗性を向上させることができる。つまり、架橋シリコーンゴムよりも削れにくいこれらの粉末を配合することにより、絶縁層の強度が向上し、耐摩耗性が高められる。このとき、絶縁層の摩耗は、これらの粉末が絶縁層から脱落することによって起こると推察される。
また、これらの粉末は、架橋シリコーンゴムを含む絶縁層の耐ガソリン性の向上に効果がある。シリコーンゴムはガソリンに接触すると膨潤しやすく、耐ガソリン性に劣るが、これらの粉末を用いることで、耐ガソリン性を向上することができる。これは、これらの粉末によりシリコーンゴム中にガソリンが浸透するのを抑え、ガソリンによるシリコーンゴムの膨潤が抑えられるためと推察される。
しかし、これらの粉末は、絶縁層の耐熱性を低下させる。したがって、耐熱性を維持する観点からいえば、絶縁層はこれらの粉末を含有しないほうが好ましい。含有する場合でも、その含有量を低く抑えることが好ましい。具体的には、架橋シリコーンゴム100質量部に対し20質量部以下であることが好ましい。より好ましくは15質量部以下、さらに好ましくは10質量部以下である。一方、耐熱性の低下を抑えつつ、耐摩耗性および耐ガソリン性を向上することができるなどの観点から、架橋シリコーンゴム100質量部に対し0.1質量部以上であることが好ましい。より好ましくは0.2質量部以上、さらに好ましくは0.5質量部以上である。
炭酸カルシウム粉末、酸化マグネシウム粉末、あるいは水酸化マグネシウム粉末の平均粒径は、ハンドリング性向上およびシリコーンゴムへの混合の際の時間短縮などの観点から、0.01μm以上であることが好ましい。より好ましくは0.05μm以上である。また、耐寒性および耐摩耗性を良好にしやすいなどの観点から、これらの粉末の平均粒径は、5.0μm以下であることが好ましい。より好ましくは4.0μm以下である。平均粒径が小さいと、絶縁層が表面平滑性に優れ、摩擦力を受けたときに脱落しにくく、これによって耐摩耗性が向上する。また、平均粒径が小さいと、分散性が高まり、これによって耐摩耗性および耐寒性が向上する。なお、平均粒径は、レーザー光回折法などによる粒度分布測定装置を用いて累積重量平均値D50(またはメジアン径)として求めることができる。
炭酸カルシウム粉末、酸化マグネシウム粉末、水酸化マグネシウム粉末は、凝集を抑える、シリコーンゴムとの親和性を高めるなどの観点から、表面処理されていてもよい。表面処理剤としては、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセンなどのα−オレフィンの単独重合体、もしくは相互共重合体、或いはそれらの混合物、脂肪酸、ロジン酸、シランカップリング剤などが挙げられる。
上記表面処理剤は、変性されていてもよい。変性剤としては、不飽和カルボン酸やその誘導体を用いることができる。具体的には不飽和カルボン酸としては、マレイン酸、フマル酸などが挙げられる。不飽和カルボン酸の誘導体としては、無水マレイン酸(MAH)、マレイン酸モノエステル、マレイン酸ジエステルなどが挙げられる。このうちで好ましいのは、マレイン酸、無水マレイン酸などである。なお、これらの表面処理剤の変性剤は1種単独で使用しても、2種以上を併用してもいずれでもよい。
表面処理剤に酸を導入する方法としては、グラフト法や直接法などが挙げられる。また酸変性量としては、表面処理剤の0.1〜20質量%、好ましくは0.2〜10質量%、さらに好ましくは0.2〜5質量%である。
表面処理剤による表面処理方法としては、特に限定されるものではない。例えば、上記粉末に表面処理してもよいし、上記粉末の合成時に同時に処理してもよい。また処理方法としては、溶媒を用いた湿式処理でもよいし、溶媒を用いない乾式処理でもよい。湿式処理の際、好適な溶媒としては、ペンタン、ヘキサン、ヘプタンなどの脂肪族系溶媒、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族系溶媒などを用いることができる。また、絶縁層の組成物を調製する際に、表面処理剤を他のゴム原料などの材料と同時に混練してもよい。
炭酸カルシウム粉末には、化学反応によって作られる合成炭酸カルシウムと、石灰石を粉砕して作られる重質炭酸カルシウムとがある。合成炭酸カルシウムは、脂肪酸やロジン酸やシランカップリング剤などの表面処理剤で表面処理を行うことによりサブミクロン以下(数十nm程度)の一次粒子径の微粒子として用いることができる。表面処理された微粒子の平均粒径は一次粒子径で表される。一次粒子径は、電子顕微鏡観察により測定することができる。重質炭酸カルシウムは粉砕品であり、特段、脂肪酸などで表面処理を行わなくてもよく、数百nm〜1μm程度の平均粒径の粒子として用いることができる。炭酸カルシウム粉末としては、合成炭酸カルシウムおよび重質炭酸カルシウムのいずれを用いることもできる。
炭酸カルシウム粉末としては、具体的には、例えば、白石カルシウム社製の白艶華CC(平均粒径=0.05μm)、白艶華CCR(平均粒径=0.08μm)、白艶華DD(平均粒径=0.05μm)、Vigot10(平均粒径=0.10μm)、Vigot15(平均粒径=0.15μm)、白艶華U(平均粒径=0.04μm)などが挙げられる。
酸化マグネシウムとしては、具体的には、例えば、宇部マテリアルズ社製のUC95S(平均粒径=3.1μm)、UC95M(平均粒径=3.0μm)、UC95H(平均粒径=3.3μm)などが挙げられる。
水酸化マグネシウムは、海水から結晶成長法で合成するもの、塩化マグネシウムと水酸化カルシウムの反応で合成するものなどの合成水酸化マグネシウム、或いは天然に産出する鉱物を粉砕した天然水酸化マグネシウムなどを用いることができる。上記フィラーとしての水酸化マグネシウムとしては、具体的には、例えば、宇部マテリアルズ社製のUD−650−1(平均粒径=3.5μm)、UD653(平均粒径=3.5μm)などが挙げられる。
絶縁層用のゴム組成物において、未架橋のシリコーンゴムは、加熱等により架橋することが可能であるが、架橋剤(加硫剤)を用いて架橋しても良い。
架橋剤は、未架橋のゴムの種類や架橋条件などに応じて適宜選択することができる。架橋剤としては、例えば、有機過酸化物などのラジカル発生剤、金属石けん、アミン、チオール、チオカルバミン酸塩、有機カルボン酸などの化合物を挙げることができる。架橋剤としては、有機過酸化物などが、架橋速度の向上の点から好ましい。
有機過酸化物としては、例えば、ジへキシルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキサンなどのジアルキルパーオキサイド、n−ブチル4,4−ジ(t―ブチルパーオキサイド)バレレートなどのパーオキシケタールなどを挙げることができる。
架橋剤の配合量は、適宜決定することができる。架橋剤の配合量は、例えば、未架橋のゴムと架橋剤の合計量に対し、0.01〜10質量%の範囲で配合するのが好ましい。
絶縁層は、架橋ゴムの他に、絶縁層の特性を損なわない範囲で、各種の添加剤を含有していても良いし、含有していなくてもよい。このような添加剤としては、絶縁電線の絶縁層に用いられる一般的な添加剤を挙げることができる。具体的には、難燃剤、架橋剤、充填剤、酸化防止剤、老化防止剤、顔料などを挙げることができる。
絶縁層は、JIS K6253に準拠して測定されるショアA硬度50以上とするものである。これにより、耐摩耗性に優れる。上記ショアA硬度は、より好ましくは55以上、さらに好ましくは60以上である。絶縁層の硬度は、絶縁層に含有される架橋シリコーンゴムの硬度を高くすることにより高くすることができる。架橋シリコーンゴムの硬度が比較的高いと、炭酸カルシウム粉末、酸化マグネシウム粉末、水酸化マグネシウム粉末を含有しないか、比較的少量含有している場合でも、優れた耐摩耗性を確保することができる。架橋シリコーンゴムの硬度を高くするためには、例えば未架橋シリコーンゴムとしてミラブル型のものを用いる、未架橋シリコーンゴムとして硬度の高いものを用いる、シリコーンゴムに補強剤を配合する、架橋密度を高くするなどの方法を採用することができる。補強剤としては、シリカなどが挙げられる。特に補強性シリカが好ましい。架橋密度を高くするには、架橋剤の配合量を多くすることなどが挙げられる。
本発明に係る絶縁電線は、例えば次のようにして製造することができる。すなわち、まず、絶縁層を形成するための絶縁層用のゴム組成物を調製する。次いで、調製したゴム組成物を導体の周囲に押出して、導体の周囲に未架橋ゴムを含む被覆層を成形する。次いで、加熱などの架橋手段により、被覆層の未架橋ゴムを架橋する。これにより、導体の周囲が架橋ゴムを含む絶縁層により被覆された絶縁電線を製造することができる。また、本発明に係る絶縁電線は、導体の周囲に絶縁層用のゴム組成物を塗工して被覆層を形成し、加熱などの架橋手段により被覆層の未架橋ゴムを架橋することによっても製造することができる。
絶縁層用のゴム組成物は、未架橋のシリコーンゴムと、遷移金属の酸化物と、必要に応じて配合される炭酸カルシウム粉末、酸化マグネシウム粉末、水酸化マグネシウム粉末、架橋剤などとを混練することにより調製することができる。ゴム組成物の成分を混練する際には、例えば、バンバリーミキサー、加圧ニーダー、混練押出機、二軸混練押出機、ロールなどの通常の混練機を用いることができる。
絶縁層用のゴム組成物の押出成形には、通常の絶縁電線の製造に用いられる電線押出成形機などを用いることができる。導体は、通常の絶縁電線に使用されるものを利用できる。例えば、銅系材料やアルミニウム系材料よりなる単線の導体や撚線の導体を挙げることができる。また、導体の径や絶縁層の厚みなどは特に限定されず、絶縁電線の用途などに応じて適宜決めることができる。
以上、本発明の実施の形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。例えば、上記態様の絶縁電線は、単一層の絶縁層から構成したが、本発明の絶縁電線は、2層以上の絶縁層から構成してもよい。
本発明に係る絶縁電線は、自動車、電子・電気機器に使用される絶縁電線に利用することができる。
以下、本発明の実施例、比較例を示す。
〔実施例1〜8〕
表1に示す配合組成となるように各成分を混合することにより、未架橋のシリコーンゴムおよび遷移金属の酸化物を含む絶縁層用のゴム組成物を調製した。次いで、押出成形機を用いて、軟銅線を7本撚り合わせた軟銅撚線の導体(断面積0.5mm)の外周に絶縁層用のゴム組成物を0.2mm厚で押出することにより、未架橋のゴムを含む被覆層を形成した。次いで、200℃×4時間の条件で被覆層の熱処理を行うことにより、未架橋のゴムを架橋させた。これにより、実施例1〜8の絶縁電線を得た。
〔比較例1〜9〕
表2に示す配合組成となるように各成分を混合することにより、未架橋のシリコーンゴムを含む絶縁層用の組成物を調製した。次いで、実施例と同様にして、比較例1〜9の絶縁電線を得た。
実施例1〜8、比較例1〜9の絶縁電線について、耐寒性試験、耐摩耗性試験、耐熱性試験を行い、評価した。また、これらの絶縁電線の絶縁層のショアA硬度を測定した。その結果を表1及び表2に合わせて示す。尚、表1及び表2の各成分組成、試験方法及び評価は、下記の通りである。
〔表1及び表2の成分〕
・シリコーンゴム1:旭化成社製、R401−50(硬さ50、タイプAデュロメーター、以下同じ)
・シリコーンゴム2:旭化成社製、R401−60(硬さ60)
・シリコーンゴム3:旭化成社製、R401−70(硬さ70)
・シリコーンゴム4:旭化成社製、R401−80(硬さ80)
・シリコーンゴム5:旭化成社製、R401−40(硬さ40)
・シリコーンゴム6:旭化成社製、R401−30(硬さ30)
・シリコーンゴム7:旭化成社製、R401−20(硬さ20)
・シリコーンゴム8:KCC社製、SH0030U(硬さ30)
・シリコーンゴム9:信越化学社製、931
・酸化セリウム(試薬)
・酸化チタン(試薬)
・酸化鉄(Fe)(試薬)
・白艶華CC:白石カルシウム社製、炭酸カルシウム粉末(平均粒径=0.05μm)
・白艶華AA:白石カルシウム社製、炭酸カルシウム粉末(平均粒径=0.05μm)
・UC95S:宇部マテリアルズ社製、酸化マグネシウム粉末(平均粒径=3.1μm)
・架橋剤:日本油脂社製、パーへキシルD(ジ−t−へキシルパーオキサイド)
〔耐寒性試験方法〕
JIS C3005に準拠して行った。すなわち作製した絶縁電線を38mmの長さに切断し試験片とした。この試験片を耐寒性試験機に装着し、所定の温度まで冷却し、打撃具で打撃して、試験片の打撃後の状態を観察した。5本の試験片を用いて、5本の試験片が全て割れた温度を耐寒温度とした。
〔耐摩耗性試験方法〕
社団法人自動車技術規格「JASO D618」に準拠して、ブレード往復法により試験を行った。すなわち、実施例、比較例の絶縁電線を750mmの長さに切り出して試験片とした。そして、23±5℃の室温下で試験片の被覆材(絶縁層)に対し軸方向に10mm以上の長さでブレードを毎分50回の速さで往復させ、導体に接するまでの往復回数を測定した。この際、ブレードにかかる荷重は、7Nとした。回数については200回以上のものを合格「○」とし、200回未満のものを不合格「×」とした。また、回数が300回以上のものは特に優れる「◎」とした。
〔耐熱性試験方法〕
絶縁電線の導体を除去した絶縁層からなる円筒状サンプル(長さ100mm)で初期および250℃×10日後の伸びを測定した。伸びの残率が50%以上であるものを合格「○」、このうち伸びの残率が70%以上であるものを特に優れる「◎」とし、伸びの残率が50%未満であるものを不合格「×」とした。
〔絶縁層の硬さ〕
長さ10cmにカットした絶縁電線を固定し、絶縁層の外側から硬度計を押し付けて絶縁層の硬さを測定した。JIS K6253に準拠し、デュロメータタイプAスプリング式硬さ試験で測定されるショアA硬度を測定した。
Figure 2015090753
Figure 2015090753
実施例および比較例から、絶縁層のショアA硬度が50以上であることにより、耐摩耗性を満足できることがわかる。また、絶縁層に遷移金属の酸化物を含有することにより、耐熱性を満足できることがわかる。そして、実施例によれば、耐摩耗性と耐熱性を両立できることがわかる。また、実施例によれば、耐寒性にも優れることがわかる。なお、比較例9に示すように、炭酸カルシウム粉末を多く添加することにより、耐摩耗性は満足できるが、耐熱性が満足できない。
実施例5〜7から、炭酸カルシウム粉末や酸化マグネシウム粉末を添加することにより、耐摩耗性が向上することがわかる。また、実施例2,4,6,7から、遷移金属の酸化物の含有量が多くなると、耐熱性が向上することがわかる。
以上、本発明の実施の形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。

Claims (4)

  1. 導体の周囲が架橋シリコーンゴムを含む絶縁層で被覆されている絶縁電線において、
    前記絶縁層が、JIS K6253に準拠して測定されるショアA硬度50以上であり、遷移金属の酸化物を含有していることを特徴とする絶縁電線。
  2. 前記遷移金属の酸化物が、酸化セリウム、酸化チタンのうち少なくとも1種以上であることを特徴とする請求項1に記載の絶縁電線。
  3. 前記絶縁層が、前記架橋シリコーンゴム100質量部に対し、炭酸カルシウム粉末、酸化マグネシウム粉末、水酸化マグネシウム粉末の少なくとも1種以上を0.1〜20質量部含有することを特徴とする請求項1または2に記載の絶縁電線。
  4. 前記絶縁層が、炭酸カルシウム粉末、酸化マグネシウム粉末、水酸化マグネシウム粉末のいずれも含有していないことを特徴とする請求項1または2に記載の絶縁電線。
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