JP2015068916A - 熱履歴表示材 - Google Patents

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惠一朗 戸川
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光生 西田
春彦 成澤
Haruhiko Narisawa
春彦 成澤
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Yasuto Tsujii
康人 辻井
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Abstract

【課題】高温条件に長時間あるいは多くの回数曝された場合でも、色相変化によって物品の熱履歴(温度−時間経歴)を正確に表示することのできる熱履歴表示材の提供。
【解決手段】エキシマー状態とモノマー状態とで異なる蛍光波長を有する会合性の蛍光染料が特定の分子分散状態で固定されている熱履歴表示層と、前記熱履歴表示層の少なくとも一方の面側に保護樹脂層とを備える積層体から構成され、前記熱履歴表示層と接する全ての層が接着性樹脂を含まないことを特徴とする、熱履歴表示材。
【選択図】図1

Description

本発明は、ある物品が経験する熱履歴を表示するための熱履歴表示材に関し、より詳しくは、所定の染料を含有する熱履歴表示層を備えており、その熱履歴表示層の色相変化によって物品が経験する熱履歴を表示することができる熱履歴表示材に関する。
各種製品や食品等の物品の保存状態、品質または安全性を管理することなどを目的として、温度変化によって色相が変化する示温材を物品に貼着し、当該物品が経験する温度変化を、示温材の色相変化から把握する技術が従来公知である(例えば、特許文献1)。
しかし従来の示温材は、その構成が極めて複雑であった。また、経験した温度変化を表示することはできても、熱履歴を表示するものではなく、すなわち、経験した温度およびその温度下に置かれる時間の経歴(温度−時間経歴)に基づいて色相変化するものではなかった。
上記従来の問題を解決可能な示温材として、例えば、特許文献2〜4には、高分子と、該高分子中に特定の分子分散状態で固定された染料とからなるポリマー組成物を含む温度時間経歴表示体等が記載されている。この温度時間経歴表示体は、特定温度以上の温度で一定時間以上保持されると、初期の色相とは異なる色相に変色する。
特開平07−049656号公報 特開2009−299013号公報 特開2009−300986号公報 特開2009−298470号公報
上述した温度時間経歴表示体のような熱履歴表示材は、ある物品に貼着等して、当該物品の熱履歴(温度−時間経歴)を色相変化によって表示する用途に好適に適用できるものであるところ、当該物品の熱履歴を正確に表示できることが求められる。
しかしながら、本発明者らは、上記の温度時間経歴表示体において、熱履歴表示層に粘着剤層を介して他の保護層等が積層されている場合、高温条件に長時間あるいは多くの回数曝されると、熱履歴表示材の色相変化に異常が生じ、熱履歴表示剤として正常に機能しなくなる恐れがあることを見出した。特に、一度使用した熱履歴表示材を再度加熱および急冷して再利用することを繰り返すと、使用前の色相に戻すことができなくなるという問題があった。
そこで本発明は、高温条件に長時間あるいは多くの回数曝された場合でも、色相変化によって物品の熱履歴(温度−時間経歴)を正確に表示することのできる熱履歴表示材の提供を目的とする。
[1] エキシマー状態とモノマー状態とで異なる蛍光波長を有する会合性の蛍光染料が特定の分子分散状態で固定されている熱履歴表示層と、
前記熱履歴表示層の少なくとも一方の面側に保護樹脂層とを備える積層体から構成され、
前記熱履歴表示層と接する全ての層が接着性樹脂を含まないことを特徴とする、熱履歴表示材。
[2] 接着性樹脂を含む接着性樹脂層を備えていないか、あるいは、前記接着性樹脂層を備える場合は、前記接着性樹脂層が前記熱履歴表示層と接していない、[1]に記載の熱履歴表示材。
[3] 前記熱履歴表示層は、バインダー樹脂と、該バインダー樹脂中に分散される前記蛍光染料とを含有する、[1]または[2]に記載の熱履歴表示材。
[4] さらに、基材を含む、[1]〜[3]のいずれかに記載の熱履歴表示材。
[5] 前記基材は、厚み方向に貫通する貫通口を有し、
前記熱履歴表示層は、前記貫通口内に埋設されている、[4]に記載の熱履歴表示材。
[6] 前記熱履歴表示層において、前記蛍光染料の分子がモノマー状態で固定されている、[1]〜[5]のいずれかに記載の熱履歴表示材。
[7] 前記蛍光染料は、下記式:
Figure 2015068916
(式中、Rは各々独立に、水素、炭素数1〜36のアルキル基、炭素数1〜36のアルコキシ基、ヒドロキシル基、ヒドロキシアルキル基、ハロゲン基、フェニレンビニレン基またはシアノ基を示し、
1は各々独立に、水素、炭素数1〜36のアルキル基、炭素数1〜36のアルコキシ基、ヒドロキシル基、ヒドロキシアルキル基、ハロゲン基、フェニレンビニレン基またはシアノ基を示し、
2は各々独立に、水素、炭素数1〜36のアルキル基、炭素数1〜36のアルコキシ基、ヒドロキシル基、ヒドロキシアルキル基、ハロゲン基、フェニレンビニレン基またはシアノ基を示す。)
で表わされるオリゴフェニレンビニレン化合物である、[1]〜[6]のいずれかに記載の熱履歴表示材。
[8] 前記熱履歴表示層の両面側に保護樹脂層を備え、さらに、一方の最表面に接着性樹脂層を含む、[1]〜[7]のいずれかに記載の熱履歴表示材。
[9] [8]に記載の熱履歴表示材と、前記接着性樹脂層の前記保護樹脂層と反対側の表面に積層された剥離層とを含む、剥離層付き熱履歴表示材。
本発明の熱履歴表示材は、特定温度以上の温度で一定時間以上保持されたときに、初期の色相とは異なる色相に不可逆的に変色する熱履歴表示層を備えており、自身が経験した熱履歴(温度−時間経歴)を、熱履歴表示層の色相変化によって正確に表示することができる。特に、本発明の熱履歴表示材は、高温条件に長時間あるいは多くの回数曝された場合でも、色相変化によって物品の熱履歴(温度−時間経歴)を正確に表示することができ、繰り返し再使用することができる。
例えば、このような熱履歴表示材(ラベル等)を物品に貼着等しておくことにより、当該物品の熱履歴、すなわち、特定温度以上での経過時間の経歴(特定温度以上の温度で一定時間以上保持されたか否か)を、熱履歴表示層の色相変化によって正確にかつ容易に判別することができる。
本発明に係る熱履歴表示材の一実施形態を示す断模式面図である。 図1に示される熱履歴表示材に用いる基材を示す上面模式図である。 比較例1の熱履歴表示材を示す断面模式図である。
以下、実施の形態を示して、本発明に係る熱履歴表示材について詳細に説明する。
図1は、本発明に係る熱履歴表示材の一実施形態を模式的に示す断面図である。図1に示される熱履歴表示材1は、第1の保護樹脂層10;蛍光染料を含有し、特定温度以上の温度で一定時間以上保持されたときに、初期の色相とは異なる色相に不可逆的に変色する熱履歴表示層20;第2の保護樹脂層40をこの順に含む。また、熱履歴表示層20の側面を被覆するように基材30が配置されており、第2の保護樹脂層40における熱履歴表示層20とは反対側の面に積層される接着性樹脂層50をさらに備えている。
(1)熱履歴表示層
熱履歴表示層20は、所定の蛍光染料が特定の分子分散状態で固定されている層であり、特定温度以上の温度で一定時間以上保持されたときに、初期の色相とは異なる色相に不可逆的に変色する性質を有している。このような性質を発現させるため、本発明では、上記蛍光染料としてエキシマー状態とモノマー状態とで異なる蛍光波長を有する会合性の蛍光染料を用いる。
上記会合性の蛍光染料は、その分子分散状態によって異なる色相を呈するものであり、また、特定の分子分散状態にある該蛍光染料を用いて熱履歴表示層20を形成したときでも、熱履歴表示層20内でその特定の分子分散状態を保持できるものである。このような蛍光染料を含む熱履歴表示材が、特定温度以上で所定時間以上保持されると、熱履歴表示層20内に含まれる蛍光染料分子の分子分散状態が変化し、その結果、蛍光染料(従って熱履歴表示層20)の色相が変化する。
エキシマー状態とモノマー状態とで異なる蛍光波長を有する会合性の蛍光染料は、通常、蛍光染料分子が互いに近接するとき、一方が光を吸収して励起状態となると、他方の基底状態の分子とエキシマー(励起会合体)を形成し、モノマー発光よりも長波長側のエキシマー発光を示す。
「エキシマー状態」とは、複数の蛍光染料分子同士が互いに会合または近接した状態であって、複数の蛍光染料分子同士が会合または近接することにより、分子間のエネルギー転移により蛍光染料分子単独による発光(モノマー発光)よりも長波長での発光(エキシマー発光)を起こす状態を意味する。一方、「モノマー状態」とは、蛍光染料分子同士がエキシマー状態よりも離間した状態にあるために蛍光染料分子間のエネルギー授受が起こらず、その時の蛍光染料分子の発光(モノマー発光)が、単一の励起分子が基底状態に戻る際の発光に相当している状態を意味する。
モノマー状態とエキシマー状態の遷移の境界は連続的なものである。従って、モノマー状態からエキシマー状態への移行またはエキシマー状態からエキシマーモノマー状態への移行において、蛍光染料分子は部分的にモノマー状態とエキシマー状態が混合された状態を経るため、熱履歴表示層20の発光光の色相は連続的(または段階的)に変化するように見える。熱履歴表示層20の色相が熱履歴(温度−時間経歴)に応じて連続的(または段階的)に変色することは、熱履歴表示材が貼着された物品のより詳細な熱履歴を知ることができる点で好ましい。
本発明で用いる蛍光染料は、エキシマー発光およびモノマー発光がともに可視領域にある。これにより、特定温度以上の温度で一定時間以上保持したときに、初期の色相とは異なる色相に変色する性質を熱履歴表示層20に付与することができる。
蛍光染料が示すエキシマー発光とモノマー発光との極大蛍光波長の差は、100nmよりも大きいことが好ましい。さらに好ましくは120nm以上、最も好ましくは150nm以上である。極大蛍光波長の差が100nm以下であると、特定温度以上の温度で一定時間以上保持されたときの色相変化が小さく、色相変化を目視で識別するのが難しいことがある。
熱履歴表示層20の色相を目視にて容易に確認できることから、蛍光染料は、可視領域の光によって励起され、蛍光を発し得るものであることが好ましい。これにより、物品が置かれる通常の環境下(照明下や太陽光下)で熱履歴表示層20の色相を目視にて容易に識別することができる。モノマー状態の蛍光染料が吸収できる可視光の波長およびその波長での吸光度と、エキシマー状態の蛍光染料が吸収できる可視光の波長およびその波長での吸光度とは、同じであってもよいし、少なくとも一部が異なっていてもよい。
モノマー状態およびエキシマー状態のいずれもが可視光によって励起され、可視領域の蛍光を発し得る、好ましく用いられる蛍光染料は、オリゴフェニレンビニレン化合物類である。なかでも、色相変化が比較的顕著であり、目視確認しやすいオリゴフェニレンビニレン化合物類として、下記式:
Figure 2015068916
で表わされる化合物を挙げることができる。上記式中、Rは各々独立に、水素、炭素数1〜36のアルキル基、炭素数1〜36のアルコキシ基、ヒドロキシル基、ヒドロキシアルキル基、ハロゲン基、フェニレンビニレン基またはシアノ基を示し、R1は各々独立に、水素、炭素数1〜36のアルキル基、炭素数1〜36のアルコキシ基、ヒドロキシル基、ヒドロキシアルキル基、ハロゲン基、フェニレンビニレン基またはシアノ基を示し、R2は各々独立に、水素、炭素数1〜36のアルキル基、炭素数1〜36のアルコキシ基、ヒドロキシル基、ヒドロキシアルキル基、ハロゲン基、フェニレンビニレン基またはシアノ基を示す。
上記式において、Rは、好ましくは水素はヒドロキシル基であり、さらに好ましくは水素である。R1は、好ましくは炭素数1〜36のアルコキシ基であり、さらに好ましくは炭素数15〜36のアルコキシ基である。またR2は、好ましくは炭素数1〜36のアルコキシ基であり、さらに好ましくは炭素数1〜3のアルコキシ基である。
熱履歴表示層20は、蛍光染料とともにバインダー樹脂を含有する層であることが好ましい。この場合、熱履歴表示層20において蛍光染料は、バインダー樹脂中に分散・固定される。
バインダー樹脂は、透光性を有し、蛍光染料を均一に溶解分散し得るものが選択される。また、バインダー樹脂は、加熱、冷却に対して物性が可逆的に変化する樹脂であることが好ましく、加工性等の観点からは、溶剤可溶性樹脂または熱可塑性樹脂であることが好ましい。また、バインダー樹脂のガラス転移温度は、加工性等の観点から、好ましくは20℃以上、更に好ましくは25℃以上である。
好ましく用いられるバインダー樹脂の具体例は、ポリオレフィン系樹脂(ポリエチレン、ポリプロピレン等);シクロオレフィン系樹脂;ポリエステル系樹脂(ポリエチレンテレフタレート(PET)、PETと1,4−シクロヘキサンジメタノールとの共重合体(PETG)、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等);ポリカーボネート系樹脂;ポリイミド系樹脂;ポリアミドイミド系樹脂;ポリエーテルイミド系樹脂;ポリウレタン系樹脂;ポリビニル系樹脂(ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルフルオライド、ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリビニルアセテート、ポリビニルアルコール、ポリ2−ビニルピリジン、ポリビニルブチラル等);ポリスチレン系樹脂;ポリアミド系樹脂(ナイロン6、ナイロン6.6、ナイロン12、ナイロン4.6等);ポリアクリロニトリル樹脂;アクリル系樹脂(ポリアクリル酸樹脂の他、ポリメチルメタクリレート、ポリメタクリレート、ポリブチルアクリレート等のポリアクリレート樹脂など);ポリアセタール系樹脂;ポリアクリルアミド系樹脂;ポリグリコール系樹脂;共重合樹脂(アクリロニトリルブタジエンスチレン、エチレンビニルアセテート等);ポリアリルスルホン系樹脂;ポリフェニレンオキサイド系樹脂;熱硬化性樹脂;再生セルロース系樹脂(セロファン、セルロースアセテート、セルロールアセテートブチレート等);天然繊維(羊毛、絹、綿等);また、エラストマー類として、スチレンブタジエン共重合体、ポリブタジエン、エチレンプロピレン共重合体、ポリクロロプレン、ポリイソプレン、ニトリルゴム、シリコーンゴム、熱可塑性エラストマー、などのような合成ポリマーの単独重合体または共重合体を含む。また、ゼラチン、セルロース、ポリ乳酸、ポリカプロラクトン、変性ポリビニルアルコール、カゼインのような生分解性高分子や、パラフィンのような炭化水素化合物も使用し得る。これらのなかでも、ポリエステル類を用いることが好ましく、特にPET、PETGを用いることが好ましい。
熱履歴表示層20において、バインダー樹脂と蛍光染料とは、適度な相溶性(親和性)を有することが好ましい。「適度な相溶性(親和性)」とは、バインダー樹脂および該バインダー樹脂中に特定の分子分散状態で固定された蛍光染料が、特定温度以上の温度で一定時間以上保持されたときに、初期の色相とは異なる色相に不可逆的に変色する程度の相溶性である。ただし、ここでいう「不可逆的」とは、熱履歴の表示対象となる物品の通常の保管温度等において不可逆的であることを意味し、例えば、熱履歴表示層が初期の色相から異なる色相に変化した後に再度高温に加熱することで、色相が初期の色相に戻ってもよい。バインダー樹脂と蛍光染料との相溶性が低すぎる場合には、作製された熱履歴表示層20において両者は分離したままの状態であり、また、特定温度以上の温度で一定時間以上保持してもこの状態が維持される。この場合、蛍光染料分子は常に近接した状態にあるので、特定温度以上の温度で一定時間以上保持する前後のいずれにおいても、モノマー状態を発現させることができない。
一方、バインダー樹脂と蛍光染料との相溶性が高すぎる場合には、蛍光染料が完全にバインダー樹脂に溶解した状態となるため、熱履歴表示層20における蛍光染料の含有量によっては、特定温度以上の温度で一定時間以上保持する前後のいずれにおいても、蛍光染料分子が離間して分散された状態となり、エキシマー状態を発現させることができない。
適度な相溶性を有するバインダー樹脂と蛍光染料の組み合わせとしては、例えば、バインダー樹脂がポリエステル樹脂(特に、PET、PETG)またはポリスチレン類である場合には、蛍光染料としてR1またはRが炭素数15〜36のアルコキシ基である上記式で表わされるオリゴフェニレンビニレン化合物が挙げられる。これらの組み合わせを用いることにより、高分子と染料との相溶性が適度なものとなり、高分子中の染料が特定温度以上の温度で一定時間以上保持されたときに、初期の色相とは異なる色相に変色するものとなる。
熱履歴表示層20における蛍光染料の含有量は、バインダー樹脂100重量%に対して0.01〜10重量%であることが好ましく、さらに好ましくは0.5〜5重量%である。染料の含有量はこのような範囲において、ポリマー組成物中の染料が、特定温度以上の温度で一定時間以上保持されたときに、初期の色相とは異なる色相に変色するように、高分子と染料の相溶性に応じて調整されることが望ましい。
熱履歴表示層20中の蛍光染料の分子は、初期においてモノマー状態で分散・固定されていることが好ましい。この場合、熱履歴表示材が特定温度以上に所定時間以上曝されることにより、蛍光染料分子の分散状態がエキシマー状態に移行し、蛍光染料の色相が変化する。
「特定温度」は、熱履歴表示層20のガラス転移温度以上の温度であることが好ましい。ガラス転移温度未満では、バインダー樹脂によって蛍光染料分子同士が十分離間・分散した状態で拘束され、その分散状態は変化しないが、ガラス転移温度以上になることによって、バインダー樹脂の高分子鎖の絡み合いが緩くなるとともに高分子鎖中の低分子鎖の運動が大きくなり、この拘束が解かれ、蛍光染料分子が移動可能となり、エキシマー(励起会合体)を形成して色相が変化(レッドシフト)し始める。特定温度以上の温度に曝される時間が一定時間以上継続すると、エキシマー(励起会合体)の濃度が、モノマー状態の色相と明確に区別できるような色相に変化する程度にまで高くなる。拘束が解かれた蛍光染料分子は、より高い温度では移動量が大きくなるため、特定温度が高いほど、エキシマー(励起会合体)の濃度が、モノマー状態の色相と明確に区別できるような色相に変化する程度に高くなるまでの時間は短くなる。
使用する蛍光染料およびバインダー樹脂の種類、並びにそれらの配合割合等を調整することによって、熱履歴表示材の設計(すなわち、どの程度の熱履歴によって色相変化を生じさせるか)を所望のものとすることができる。
蛍光染料がモノマー状態でバインダー樹脂中に分散・固定された熱履歴表示層20を得る方法としては、例えば、溶融したバインダー樹脂に蛍光染料を混ぜて分散させ、成形時に水等を使って通常よりも急速に冷却することで分散したまま固める方法が挙げられる。バインダー樹脂に蛍光染料を混合、分散させるときの温度は、通常、バインダー樹脂のガラス転移温度以上の温度であり、好ましくは、ガラス転移温度(K)からガラス転移温度(K)×2.0の間、さらに好ましくは、ガラス転移温度(K)×1.1からガラス転移温度(K)×1.7の間である。
熱履歴表示層20は、上記のような、溶融ブレンドにより蛍光染料をバインダー樹脂中にモノマー状態で分散・固定させたものに限られず、他の製造方法により蛍光染料をバインダー樹脂中にモノマー状態で分散・固定させたものであってもよく、例えば、蛍光染料とバインダー樹脂とを溶媒に溶解させる溶液ブレンドにより、蛍光染料とバインダー樹脂との均一混合を行ってもよい。
また、蛍光染料をバインダー樹脂に化学結合(共有結合)させたもので熱履歴表示層20を構成してもよい。このような化学結合タイプの熱履歴表示層20によれば、色相変化速度の遅延化が可能であるとともに、使用中に蛍光染料が熱履歴表示層20からブリードアウトする可能性を排除することができる。ただし、化学結合タイプの熱履歴表示層20が色相変化を起こすには溶融ブレンドによる熱履歴表示層20よりも多量の蛍光染料を必要とする傾向にあるため、上述の範囲内で、蛍光染料の含有量を増やすことが望ましい。
蛍光染料をバインダー樹脂に化学結合(共有結合)させる場合には、蛍光染料に、バインダー樹脂と反応し得る反応性置換基を導入する。反応性の置換基の具体例は、ヒドロキシル基、アミノ基、カルボキシル基、アクリル酸基、アクリレート基、イソシアネート基、エポキシ基、シアネートエステル類、ベンゾオキサジン類を含み、好ましくはヒドロキシル基である。
例えば蛍光染料が上記式で表わされるオリゴフェニレンビニレン化合物である場合、R、R1、R2のいずれか1以上の置換基に反応性の官能基を導入するか、または、R、R1、R2のいずれか1以上を反応性置換基とすればよい。
バインダー樹脂における蛍光染料の結合位置は特に制限されず、バインダー樹脂の高分子主鎖に蛍光染料を結合させてもよいし、あるいは、蛍光染料の会合性を制御するために高分子側鎖に蛍光染料を結合させてもよい。
化学結合タイプにおけるバインダー樹脂の種類は、蛍光染料と化学結合可能な置換基を有する限り特に制限されず、上で例示した中から選択することができる。また、バインダー樹脂として分岐高分子、ハイパーブランチ、デンドリマー、架橋高分子等を使用すれば、化学結合された蛍光染料のモビリティーが増すため、色相変化の閾値が明確にすることができる。
熱履歴表示層20は、蛍光染料やバインダー樹脂の他、添加剤等を含むことができる。添加剤の具体例は、有機系、無機系または有機金属系のトナー、蛍光増白剤を含む。これらの1種または2種以上を含有させることによって、熱履歴表示層20の色相変化をさらに明確にすることができる。他の添加剤の具体例は、バインダー樹脂以外の重合体、制電剤、消泡剤、染色性改良剤、上記蛍光染料以外の染料、顔料、艶消し剤、安定剤、酸化防止剤を含む。酸化防止剤としては、芳香族アミン系、フェノール系等の酸化防止剤が使用可能であり、安定剤としては、リン酸やリン酸エステル系等のリン系の他、イオウ系、アミン系等の安定剤が使用可能である。
熱履歴表示層20は、フィルム状または繊維状であることができ、好ましくはフィルム状である。フィルム状の熱履歴表示層20の厚みは特に制限されないが、通常10〜200μm程度である。また、熱履歴表示層20は、粒子や細片のような微細物を固めて適切な大きさの成形体としたものであってもよい。
そして、熱履歴表示層と接する全ての層が接着性樹脂を含まないことにより、熱履歴表示材1が高温条件に曝された時間および回数に関わらず(またはおよそ関わらず)、熱履歴表示層20の色相変化によって当該物品の熱履歴を安定して正確に表示することができる。
(3)第1の保護樹脂層、第2の保護樹脂層
第1の保護樹脂層10は、熱履歴表示層20の一方の主面(図1における上面)上に配置される層である。また、第2の保護樹脂層40は、熱履歴表示層20の他方の主面(図1における下面)上に配置される層である。第1の保護樹脂層10および第2の保護樹脂層40を熱履歴表示層20の両面に配置することにより、熱履歴表示層20を外部から保護することができる。また、第2の保護樹脂層40は、熱により熱履歴表示層20の成分が一部溶出するという不具合が生じる事態に備えて、そのような溶出物から、熱履歴表示材を貼着等した物品を保護する役割も果たす。
熱履歴表示材1における第1の保護樹脂層10側の面は、熱履歴表示材1を物品に貼着等したときに、最表面となる側の面(貼着される面とは反対側の面)であり、熱履歴表示層20に色相変化が生じたか否かを視認する側の面となる。
第1の保護樹脂層10および第2の保護樹脂層40を構成する樹脂は特に限定されないが、例えば、熱可塑性樹脂を含む樹脂組成物を保護樹脂層10,40の構成材料として用いることができる。
熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエステル系樹脂(ポリエチレンテレフタレート(PET)、PETと1,4−シクロヘキサンジメタノールとの共重合体(PETG)、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等);アクリル系樹脂;ポリスチレン系樹脂;ポリアミド系樹脂(ナイロン6、ナイロン6.6、ナイロン12、ナイロン4.6等);ポリオレフィン系樹脂(ポリエチレン、ポリプロピレン等);ハロゲン化ビニル系樹脂(ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルフルオライド、ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン);セルロース系樹脂;ポリカーボネート系樹脂;ポリアクリロニトリル樹脂が挙げられる。このうち、好ましい樹脂としては、ポリエステル樹脂やセルロース系樹脂が挙げられ、特に好適な樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート等が挙げられる。保護樹脂層10,40は、これらの樹脂を1軸または2軸延伸することによって得られるフィルム状の部材であることが好ましい。
また、不透明である樹脂を用いることもできる。ただし、内部の熱履歴表示層の色変化が目視で外部から確認できるためには、保護樹脂層10,40(特に、第1の保護樹脂層10)は所定の透光性を有するものであることが好ましい。さらに、金属箔を保護樹脂層の一部として含むものでもよい。
保護樹脂層10,40の厚みは任意に設定することができるが、好ましくは10〜200μm程度である。保護樹脂層の厚みが10μmより薄い場合には、熱履歴表示層の保護性能が不十分となる。一方、200μmより厚い場合には、熱履歴を受けた染料の変色性が低下し、商品が受けた熱履歴及び時間の経過を正確に表示することが困難になる。
接着性樹脂層11を構成する接着性樹脂とは、いわゆる粘着剤や接着剤と呼ばれる樹脂材料である。例えば、熱履歴表示層がバインダー樹脂を含有する場合において、接着性樹脂とは、蛍光染料との相溶性が熱履歴表示層中のバインダー樹脂とは異なる樹脂材料であるり、好ましくは、ガラス転移温度(Tg)がバインダー樹脂とは異なる(Tgがバインダー樹脂よりも低い)樹脂材料である。多くの接着性樹脂は、バインダー樹脂よりもTgが低く、蛍光染料との相溶性が高いため、このような接着性樹脂が加熱により熱履歴表示材層中のバインダー樹脂に浸透することで、例えば、再度の加熱を行っても蛍光染料がエキシマー状態からモノマー状態に変化しなくなると考えられる。
具体的な接着性樹脂としては、例えば、アクリル系、シリコーン系、ウレタン系、ゴム系、フッ素ポリエステル系、エポキシ系の接着性樹脂が挙げられる。アクリル系の接着性樹脂としては、アクリル酸系、メチルメタアクリル系、シアノアクリレート系などの接着性樹脂が挙げられる。シリコーン系の接着性樹脂としては、シリコーンゴム系、エーテルシリコーン系などの接着性樹脂が挙げられる。ウレタン系の接着性樹脂としては、エーテルウレタン系、エステルウレタン系、脂肪族系などの接着性樹脂が挙げられる。ゴム系の接着性樹脂としては、ブタジエン系、プロピレン系などの接着性樹脂が挙げられる。
なお、図1に示す実施形態では、第1の保護樹脂層10は熱履歴表示材1の最表面に設けられているが、保護樹脂層10は必ずしも最表面に設けられている必要はなく、保護樹脂層10のさらに外側に任意の層が設けられていてもよく、保護樹脂層10と熱履歴表示材1との間に任意の層が設けられていてもよい。また、第2の保護樹脂層40と熱履歴表示材1との間に任意の層が設けられていてもよい。
また、図1に示す実施形態では、熱履歴表示層20だけでなく基材30の一方の面も覆うように保護樹脂層10,40が設けられているが、保護樹脂層10,40は、少なくとも熱履歴表示層20を覆うように設けられていればよく、必ずしも基材30も覆うように設けられている必要はない。
(4)基材
図1に示される実施形態において基材30は、熱履歴表示層20の全側面を被覆し、保護するための層である。また、保護樹脂層10,40とともに、物品に貼着等するラベル用途としての熱履歴表示材1の適度な剛性を確保する役割も果たしている。図1に示される実施形態のように、複数の被覆層を用いて熱履歴表示層20のすべての表面を被覆(封止)しておくことは、熱履歴表示層20の経時安定性、とりわけ色相変化により物品の熱履歴を安定して正確に表示する機能を長期持続性を確保するうえで好ましい。なお、本発明においては、熱履歴表示層と接する全ての層(保護樹脂層10,40および基材30)が接着性樹脂を含まない。
図1に示される実施形態においては、図2を参照して、厚み方向に貫通し、熱履歴表示層20と同形状の貫通口32を略中央に有する層を基材30として用い、その貫通口32内に熱履歴表示層20を埋設することで、熱履歴表示層20の全側面を被覆している。貫通口32の形状は特に制限されず、熱履歴表示層20の外形形状に応じた形状とすればよい。
基材30を構成する材料は、例えば、保護樹脂層10,40について上で例示した熱可塑性樹脂の中から選択することができる。図1に示される実施形態において基材30の厚みは、熱履歴表示層20の厚みと同じか又は同程度である。
なお、本発明においては、基材30を省略することも可能である。この場合、熱履歴表示層20のすべての表面を被覆(封止)するために、第1の保護樹脂層10と第2の保護樹脂層40との全辺(すべての端部)同士を接合することが好ましい。この際、両者の接合は、接着性樹脂層を介さないものであることが好ましい。
(5)接着性樹脂層
接着性樹脂層50は、必要に応じて任意で設けられる層であり、熱履歴表示材1を物品に貼着するための層である。この接着性樹脂層50は、熱履歴表示層20の物品に貼着される側(保護樹脂層40側)の最表面に設けられている。接着性樹脂層50を設けることにより、熱履歴表示材1をシール形態のラベルとすることができる。
なお、接着性樹脂層50の構成材料としては、上記の接着性樹脂層の構成材料と同様のものを用いることができる。
(6)その他の構成部材
本発明の熱履歴表示材は、その剛性を高めるために、接着性樹脂層50の外面に積層される支持層を含むことができる。支持層の材料としては、例えば、保護樹脂層10,40を構成する材料として例示したような熱可塑性樹脂を用いることができる。支持層を含む場合、さらにその外面(第2の保護樹脂層40側の最表面)に、熱履歴表示材1を物品に貼着するための接着性樹脂層を積層することができる。
また、熱履歴表示材1における物品に貼着される側の最表面に接着性樹脂層が積層される場合、この接着性樹脂層の外面に、接着性樹脂層の表面を保護しておくための剥離可能な層(剥離層)を積層することが好ましい。この剥離層は、通常、物品への貼着時まで積層され、貼着時に剥離される。剥離層としては、ポリエステル系樹脂フィルムやポリオレフィン系樹脂フィルムの他、剥離紙等を用いることができる。
本発明の熱履歴表示材によれば、これを物品に貼着したりすることにより、当該物品または熱履歴表示材1が高温条件に曝された時間および回数に関わらず(またはおよそ関わらず)、当該物品が特定温度以上の温度で一定時間以上保持されたか否かを、熱履歴表示層の色相変化により正確にかつ容易に判別することができる。また、本発明の熱履歴表示材は、簡単な構成を有しているため、容易に製造することができ、製造コスト上有利である。
以下、実施例および比較例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、以下の実施例および比較例において、ポリエステル樹脂の溶液粘度(還元粘度ηsp/c(dl/g))、ポリエステル樹脂の組成比、および、ポリエステル樹脂のガラス転移温度の測定は、下記の方法に従った。
(1)ポリエステル樹脂の溶液粘度(還元粘度ηsp/c(dl/g))
ポリエステル樹脂0.1gを精秤し、25mLのフェノール/テトラクロロエタンの混合溶媒(質量比3/2)に溶解した後、オストワルド粘度計を用いて30℃で測定した。
(2)ポリエステル樹脂の組成比
ポリエステル樹脂約5mgを、0.7mLの重クロロホルムとトリフルオロ酢酸の混合溶媒(体積比9/1)に溶解し、H−NMR(varian製、UNITY50)を使用して求めた。
(3)ポリエステル樹脂のガラス転移温度
(株)日立ハイテクサイエンス社製高感度示差走査熱量計(DSC)(型式:EXSTAR DSC7020)にて窒素ガス雰囲気下で、昇温速度10℃/分にて測定した。
<実施例1>
次の手順に従って、図1に示されるような構成の熱履歴表示材を作製した。ただし、接着性樹脂層50は設けていない。
(1)熱履歴表示層20の作製
(熱履歴表示層A)
温度計、撹拌機、還流式冷却管および蒸留管を具備した反応容器に、グリコール成分としてエチレングリコールおよびプロピレングリコール、ジカルボン酸成分としてテレフタル酸を、グリコール成分/ジカルボン酸成分のモル比が2.5となるように仕込み、さらに、モノマー成分(グリコール成分およびジカルボン酸成分の合計)200モル部に対してトリエチルアミンを0.3モル部を仕込み、窒素雰囲気、2気圧にて、5時間かけて250℃まで徐々に昇温し、留出する水を系外に除きつつエステル化反応を行った。続いて、常圧に戻した後、モノマー成分200モル部に対して二酸化ゲルマニウム0.05モル部を加え、5分間攪拌した後、30分かけて10mmHgまで減圧初期重合を行うとともに温度を250℃まで昇温し、さらに1mmHg以下で60分間後期重合を行い、共重合ポリエステル樹脂Aを得た。
共重合ポリエステル樹脂(バインダー樹脂)Aのガラス転移温度は78℃、還元粘度は0.7であった。また、組成比は、モル比でテレフタル酸/エチレングリコール/プロピレングリコール=100/40/60であった。
その後、得られた共重合ポリエステル樹脂Aを再溶融した後、上記式においてRが水素、Rがオクタデシルオキシ基(C1837O−)、Rがメトキシ基であるC18RG染料(オリゴフェニレンビニレン化合物)を、得られた共重合ポリエステル樹脂Aに対して、2重量%添加して10分間溶融ブレンドし、共重合ポリエステル樹脂中に上記染料が均一に分散されたポリマー組成物を得た。得られたポリマー組成物を230℃で加熱プレスした後、冷水で急冷して、厚さ50μm、直径約2cmの円柱形状の熱履歴表示層Aを得た。熱履歴表示層Aは黄色を呈するものであった。
(2)保護樹脂層10,40の作製
温度計、撹拌機、還流式冷却管および蒸留管を具備した反応容器に、テレフタル酸100モル部、エチレングリコール70モル部、および、ネオペンチルグリコール30モル部を仕込み、ジカルボン酸に対するグリコールのモル比が2.5となるようにした。さらに、添加剤として、トリエチルアミン0.3モル部を仕込み、窒素雰囲気、2気圧にて、5時間かけて250℃まで徐々に昇温し、留出する水を系外に除きつつ、エステル化反応を行った。
続いて、常圧に戻した後、二酸化ゲルマニウム0.05モル部を加え、5分間撹拌した後、30分かけて10mmHgまで減圧初期重合を行うと共に温度を250℃まで昇温し、さらに、1mmHg以下で60分間後期を行い、共重合ポリエステル樹脂Bを得た。共重合ポリエステル樹脂Bのガラス転移温度は74℃、還元粘度は0.75であった。その後、得られた共重合ポリエステル樹脂Bを230℃でプレスした後、冷水で冷却して、厚さ50μm、縦10cm×横10cmのシートを作製し、縦3cm×横3cmのサイズに切り出して、保護樹脂層10,40を作製した。
(3)基材30の作製
温度計、撹拌機、還流式冷却管および蒸留管を具備した反応容器に、テレフタル酸100モル部、エチレングリコール70モル部、および、ネオペンチルグリコール30モル部を仕込み、ジカルボン酸に対するグリコールのモル比が2.5となるようにした。さらに、酸化チタン(CR93、石原産業製)を出来上がりのポリマー100重量部に対して5重量部添加し、更に添加剤として、トリエチルアミン0.3モル部を仕込み、窒素雰囲気、2気圧にて、5時間かけて250℃まで徐々に昇温し、留出する水を系外に除きつつ、エステル化反応を行った。
続いて、常圧に戻した後、二酸化ゲルマニウム0.05モル%を加え、5分間撹拌した後、30分かけて10mmHgまで減圧初期重合を行うと共に温度を250℃まで昇温し、さらに、1mmHg以下で60分間後期を行い、共重合ポリエステル樹脂Cを得た。共重合ポリエステル樹脂Cのガラス転移温度は78℃、還元粘度は0.75であった。なお、共重合ポリエステル樹脂Cは、酸化チタンの配合により白色化している。
その後、得られた共重合ポリエステル樹脂Cを230℃でプレスした後、冷水で冷却して、厚さ50μm、縦10cm×横10cmのシートを作製し、縦3cm×横3cmのサイズに切り出し、厚み方向に貫通する直径約2cmの貫通口を中央に位置するように設けて、基材30を作製した。
(4)熱履歴表示材の作製
保護樹脂層40上に、四隅を合わせて基材30を置き、基材30の貫通口32に熱履歴表示層20(熱履歴表示層A)を埋め込んだ。さらに、保護樹脂層10を、基材30(および熱履歴表示層20)の上に四隅を合わせて重ねた後、熱履歴表示材20の周辺を200℃で10秒間プレス機で熱圧着した後、−5℃に冷却しておいた厚さ2mmの2枚の鉄板て挟んで急冷(クエンチ)して、熱履歴表示層Aの両面に保護樹脂層を備える熱履歴表示材(実施例1)を得た。
このように、保護樹脂層10,14および基材30の構成材料として、例えば、共重合ポリエステル樹脂などの比較的ガラス転移温度の低い熱可塑性樹脂を用いることで、接着性樹脂を用いずに、熱圧着により保護樹脂層10,14および基材30を接着することができる。
<比較例1>
比較例1の熱履歴表示材は、熱履歴表示層に粘着剤層(接着性樹脂層)を介して保護樹脂層が積層されている点で、実施例1とは大きく異なる。具体的には、次の手順に従って、図3に示されるような構成を有する熱履歴表示材を作製した。
(1)熱履歴表示層の作製
実施例1と同様にして、共重合ポリエステル樹脂(バインダー樹脂)A中にC18RG染料が均一に分散されたポリマー組成物からなる熱履歴表示層A(直径約2cmの円柱形状)を用意した。
(2)粘着剤層付き保護樹脂層の作製
保護樹脂層10として、厚み50μmの2軸延伸PETフィルムを用意し、その一方の面にアクリル系粘着剤〔綜研化学(株)製「SKダイン701」〕を乾燥後の厚みが約1.5μmとなるようにグラビヤロールコーターにて塗布し、60℃で10秒間乾燥させて粘着剤層11を形成した。次いで、粘着剤層11の外面に剥離紙を貼り合わせた後、縦3cm×横3cmのサイズに切り出し、粘着剤層11を有する粘着剤層付き保護樹脂層10を作製した。なお、別途、粘着剤層のない実施例1と同様の保護樹脂層40も用意しておいた。
(3)粘着剤層付き基材の作製
基材30として、厚み50μmの空洞含有ポリエステルフィルム〔東洋紡製「クリスパーK7911」〕を用意し、その一方の面にアクリル系粘着剤〔綜研化学(株)製「SKダイン701」〕を乾燥後の厚みが約1.5μmとなるようにグラビヤロールコーターにて塗布し、60℃で10秒間乾燥させて粘着剤層31を形成した。次いで、粘着剤層31の外面に剥離紙を貼り合わせた後、基材30、粘着剤層31および剥離紙に対して厚み方向に貫通する直径約2cmの貫通口を設け、この貫通口が中央に位置するように、縦3cm×横3cmのサイズに切り出し、粘着剤層31を有する基材30を作製した。
(4)熱履歴表示材の作製
図3を参照して、粘着剤層のない保護樹脂層40を設置し、次いで、剥離紙を剥離した粘着剤層31付きの基材30を、粘着剤層31が下側となるように、保護樹脂層40の上に端を合わせて重ねることで、保護樹脂層40に貼り付けた。その後、基材30の貫通口32に熱履歴表示層20(熱履歴表示層A)を埋め込んだ。次いで、剥離紙を剥離した粘着剤層11付きの保護樹脂層10を、粘着剤層11が下側となるように、基材30(および熱履歴表示層20)の上に端を合わせて重ね、熱履歴表示層20および基材30に貼り付けた。このようにして、熱履歴表示材1(比較例1)を得た。
[評価試験]
実施例1および比較例1の熱履歴表示材に対して120℃1分間の加熱を行ったところ、熱履歴表示材(実施例1および比較例1)は黄色からオレンジ色に変化した。
次に、変色した熱履歴表示材に対して180℃3分間の加熱を行った後、熱履歴表示材を5℃の冷水で急冷(クエンチ)したところ、熱履歴表示材(実施例1および比較例1)はオレンジ色から黄色になった。黄色に変色した熱履歴表示材に対して再度120℃1分間の加熱を行ったところ、熱履歴表示材(実施例1および比較例1)は、黄色からオレンジ色に変化した。
さらに、変色した熱履歴表示材(実施例1および比較例1)に対して180℃3分間の加熱を行った後、熱履歴表示材を5℃の冷水で急冷したところ、実施例1(粘着剤層のない熱履歴表示材)はオレンジ色から黄色になったが、比較例1(粘着剤層がある熱履歴表示材)は、オレンジ色から黄色に変色しなかった。
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1 熱履歴表示材、10 (第1の)保護樹脂層、11,31,50 接着性樹脂層(粘着剤層)、20 熱履歴表示層、30 基材、32 貫通口、40 (第2の)保護樹脂層。

Claims (9)

  1. エキシマー状態とモノマー状態とで異なる蛍光波長を有する会合性の蛍光染料が特定の分子分散状態で固定されている熱履歴表示層と、
    前記熱履歴表示層の少なくとも一方の面側に保護樹脂層とを備える積層体から構成され、
    前記熱履歴表示層と接する全ての層が接着性樹脂を含まないことを特徴とする、熱履歴表示材。
  2. 接着性樹脂を含む接着性樹脂層を備えていないか、あるいは、前記接着性樹脂層を備える場合は、前記接着性樹脂層が前記熱履歴表示層と接していない、請求項1に記載の熱履歴表示材。
  3. 前記熱履歴表示層は、バインダー樹脂と、該バインダー樹脂中に分散される前記蛍光染料とを含有する、請求項1または2に記載の熱履歴表示材。
  4. さらに、基材を含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の熱履歴表示材。
  5. 前記基材は、厚み方向に貫通する貫通口を有し、
    前記熱履歴表示層は、前記貫通口内に埋設されている、請求項4に記載の熱履歴表示材。
  6. 前記熱履歴表示層において、前記蛍光染料の分子がモノマー状態で固定されている、請求項1〜5のいずれか1項に記載の熱履歴表示材。
  7. 前記蛍光染料は、下記式:
    Figure 2015068916
    (式中、Rは各々独立に、水素、炭素数1〜36のアルキル基、炭素数1〜36のアルコキシ基、ヒドロキシル基、ヒドロキシアルキル基、ハロゲン基、フェニレンビニレン基またはシアノ基を示し、
    1は各々独立に、水素、炭素数1〜36のアルキル基、炭素数1〜36のアルコキシ基、ヒドロキシル基、ヒドロキシアルキル基、ハロゲン基、フェニレンビニレン基またはシアノ基を示し、
    2は各々独立に、水素、炭素数1〜36のアルキル基、炭素数1〜36のアルコキシ基、ヒドロキシル基、ヒドロキシアルキル基、ハロゲン基、フェニレンビニレン基またはシアノ基を示す。)
    で表わされるオリゴフェニレンビニレン化合物である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の熱履歴表示材。
  8. 前記熱履歴表示層の両面側に保護樹脂層を備え、さらに、一方の最表面に接着性樹脂層を含む、請求項1〜7のいずれか1項に記載の熱履歴表示材。
  9. 請求項8に記載の熱履歴表示材と、前記接着性樹脂層の前記保護樹脂層と反対側の表面に積層された剥離層とを含む、剥離層付き熱履歴表示材。
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