JP2015067689A - 硬化性樹脂組成物、硬化物、積層体、ハードコートフィルム及びフィルム積層体 - Google Patents

硬化性樹脂組成物、硬化物、積層体、ハードコートフィルム及びフィルム積層体 Download PDF

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Abstract

【課題】シリカ等の無機充填剤を必須に用いることなく、優れたアンチブロッキング性を有するハードコート層を形成し得る硬化性樹脂組成物を提供する。【解決手段】下記成分(A)、(B)及び(C)を含み、かつ成分(A)の溶解性パラメーター(SPA)が前記成分(B)の溶解性パラメーター(SPB)より大きいものである硬化性樹脂組成物。成分(A):重量平均分子量(Mw)が8,000以上40,000以下であり、溶解性パラメーター(SPA)が13.0以上20.0以下である樹脂成分(B):重量平均分子量(Mw)が8,000未満であり、溶解性パラメーター(SPB)が9.5以上14.0以下であり、かつ1個以上の(メタ)アクリロイル基を有するモノマー及び/又はオリゴマー成分(C):重量平均分子量(Mw)が40,000超過150,000以下である(メタ)アクリル樹脂【選択図】なし

Description

本発明は、良好なアンチブロッキング性を有する硬化物を提供することができる硬化性樹脂組成物に関する。本発明はまた、この硬化性樹脂組成物を硬化させてなる、硬化物、硬化層を有する積層体、及びハードコートフィルム、並びに該ハードコートフィルムを他の樹脂フィルムと積層させてなるフィルム積層体に関する。
ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムに代表される熱可塑性樹脂フィルムの表面には、硬度や滑り性に優れたハードコーティングが施されている。このようなハードコーティングが行われたフィルムは、保存場所の確保、成形時の操作性、汚れ防止等の目的のために、保存に際してロール状に巻回される場合がある。
このブロッキングを防ぐ方法として、表面のハードコート層に無機微粒子を混入させることでハードコーティング面を特定の表面粗さとして、ブロッキングを防ぐ方法が開示されている(特許文献1参照)。
特開2004−42653号公報
上記特許文献1に開示されている技術では、ハードコート層に混入させた粒子によりハードコート層表面に凹凸を形成させるために、ハードコート層の膜厚を薄くする必要がある。このため、ハードコート層の硬度が低下し、耐擦傷性が十分ではなくなる傾向がある。また、シリカ等の無機粒子を用いる場合、組成物中で無機粒子が凝集し、得られるハードコート層の外観が悪化することがある。
本発明は、このような従来技術が有する問題を解決するものであり、シリカ等の無機粒子を必須に用いることなく、十分なアンチブロッキング性能を有するハードコート層を形成し得る硬化性樹脂組成物を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、硬化性樹脂組成物中に特定の化合物を添加することで、上記課題を解決できることを見出した。即ち、本発明は以下の[1]〜[15]を要旨とする。
[1] 下記成分(A)、成分(B)及び成分(C)を含み、かつ成分(A)の溶解性パラメーター(SPA)が成分(B)の溶解性パラメーター(SPB)より大きいものである硬化性樹脂組成物。
成分(A):重量平均分子量(Mw)が8,000以上40,000以下であり、溶解性パラメーター(SPA)が13.0以上20.0以下である樹脂
成分(B):重量平均分子量(Mw)が8,000未満であり、溶解性パラメーター(SPB)が9.5以上14.0以下であり、かつ1個以上の(メタ)アクリロイル基を有
するモノマー及び/又はオリゴマー
成分(C):重量平均分子量(Mw)が40,000超過150,000以下である(
メタ)アクリル樹脂
[2] 成分(A)、成分(B)及び成分(C)の合計量に対し、成分(A)を0.1〜30.0重量%、成分(B)を50.0〜99.8重量%、成分(C)を0.1〜40.0重量%含む、[1]に記載の硬化性樹脂組成物。
[3] 成分(A)の溶解性パラメーター(SPA)が成分(C)の溶解性パラメーター
(SPC)よりも大きく、かつ成分(C)の溶解性パラメーター(SPC)が9.5以上14.0以下である、[1]又は[2]に記載の硬化性樹脂組成物。
[4] 成分(A)の溶解性パラメーター(SPA)、成分(B)の溶解性パラメーター
(SPB)及び成分(C)の溶解性パラメーター(SPC)が下記条件1及び条件2を満たす、[1]乃至[3]のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物。
条件1:SPA−SPB>4.0
条件2:|SPA−SPC|−|SPB−SPC|>0
[5] 成分(A)が、水素結合性基と(メタ)アクリロイル基とを有する樹脂である、[1]乃至[4]のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物。
[6] 前記水素結合性基が水酸基である、[5]に記載の硬化性樹脂組成物。
[7] 成分(C)のメルトフローレート(230℃、37.3N)が、0.1〜30g/10分である、[1]乃至[6]のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物。
[8] 成分(A)の(メタ)アクリロイル当量が1.0mmol/g以上10.0mmol/g以下である、[1]乃至[6]のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物。
[9] 成分(B)が、一分子中に2個以上の不飽和二重結合を有する多官能(メタ)アクリレートである、[1]乃至[7]のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物。
[10] 前記多官能(メタ)アクリレートとして、1分子中に3つ以上の(メタ)アクリロイル基を有する多官能(メタ)アクリレートを含む、[9]に記載の硬化性樹脂組成物。
[11] 成分(A)が、オキシラン構造を有する化合物の開環・付加反応によるものである、[1]乃至[10]のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物。
[12] [1]乃至[11]のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物を硬化させてなる硬化物。
[13] [1]乃至[11]のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物を硬化させてなる硬化層を基材上に形成してなる積層体。
[14] [1]乃至[11]のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物を硬化させてなるハードコートフィルム。
[15] [14]に記載のハードコートフィルムを他の樹脂フィルムと積層させてなるフィルム積層体。
本発明によれば、シリカ等の無機粒子を必須に用いなくても、十分なアンチブロッキング性能を有するハードコート層を形成することのできる硬化性樹脂組成物が提供される。また、本発明によれば、この効果性樹脂組成物を用いて得られる硬化物、積層体、ハードコートフィルム及びフィルム積層体が提供される。
以下に本発明の実施の形態を詳細に説明するが、以下に記載する説明は、本発明の実施形態の一例であり、本発明はその要旨を超えない限り、以下の記載内容に限定されるものではない。なお、本明細書において「〜」という表現を用いる場合、その前後の数値又は物性値を含む表現として用いるものとする。
なお、本発明において、「(メタ)アクリレート」は、アクリレート及びメタクリレートの総称であり、いずれか一方又は両方を意味する。同様に「(メタ)アクリル酸」は、アクリル酸及びメタクリル酸の総称であり、いずれか一方又は両方を意味し、「(メタ)アクリロイル基」は、アクリロイル基及びメタクリロイル基の総称であり、いずれか一方又は両方を意味し、また、「(メタ)アクリル樹脂」は、アクリル樹脂及びメタクリル樹脂の総称であり、いずれか一方又は両方を意味する。「(メタ)アクリルモノマー」、「(メタ)アクリル樹脂」についても同様である。また、「(ポリ)プロピレングリコール」とは「プロピレングリコール」と「ポリプロピレングリコール」とのいずれか一方又は両方を意味する。「(ポリ)エチレングリコール」についても同様である。
[硬化性樹脂組成物]
本発明の硬化性樹脂組成物は、下記成分(A)、成分(B)及び成分(C)を含み、かつ成分(A)の溶解性パラメーター(SPA)が成分(B)の溶解性パラメーター(SPB)より大きいものである。
成分(A):重量平均分子量(Mw)が8,000以上40,000以下であり、溶解性パラメーター(SPA)が13.0以上20.0以下である樹脂
成分(B):重量平均分子量(Mw)が8,000未満であり、溶解性パラメーター(SPB)が9.5以上14.0以下であり、かつ1個以上の(メタ)アクリロイル基を有
するモノマー及び/又はオリゴマー
成分(C):重量平均分子量(Mw)が40,000超過150,000以下であるである(メタ)アクリル樹脂
本発明の硬化性樹脂組成物は、シリカ等の無機粒子を必須に用いなくともアンチブロッキング性に優れたハードコート層を与えるという効果を奏する。その作用機構の詳細は明らかではないが、次のように推察される。すなわち、本発明の硬化性樹脂組成物を塗布し、乾燥させた際に、成分(A)、例えば、後述の側鎖に水素結合性基を有する(メタ)アクリロイル重合体等の樹脂が、成分(B)の1個以上の(メタ)アクリロイル基を有するモノマー及び/又はオリゴマーとの相分離により塗膜表面に析出して微細な凹凸を形成する。このとき、成分(A)及び成分(B)と共に用いる成分(C)の(メタ)アクリル樹脂が、成分(A)よりも大きな分子量を有するため、硬化性樹脂組成物中で成分(A)に対して立体的な斥力が生じる。これにより、成分(A)は成分(B)との間での硬化性樹脂組成物中での相分離が、成分(C)による立体的な斥力の影響により更に大きなものとなり、その結果として塗膜表面の凹凸が大きくなり、アンチブロッキング性が高められるものと推察される。
<SP値>
溶解性パラメーター(SP値)は、Solubility Parameterであり、溶解性の尺度となるものである。溶解性パラメーターは、その値が大きいほど極性が高く、逆に数値が小さいほど極性が低いことを示す。本発明において、成分(A)、成分(
B)及び成分(C)の溶解性パラメーターは、SPA、SPB及びSPCとそれぞれ表記す
るものとする。
本発明において、SPA及びSPBは次の方法により実測される値である。サンプル0.5gを100ml三角フラスコに秤量し、プロピレングリコールモノメチルエーテル10mlを加えて樹脂を溶解させる。ここへ、マグネチックスターラーで攪拌しながら、ヘキサンを滴下していき、溶液に濁りが生じた点(濁点)のヘキサンの滴下量(vh)を求める。次に、ヘキサンの代わりに脱イオン水を使用したときの、濁点における脱イオン水の滴下量(vd)を求める。vh、vdより、SP値は参考文献:SUH、CLARKE、J.P.S.A−1、5、1671〜1681(1967)により示された式を用いて求めることができる。また、SPCは、上記のSPA及びSPCの測定方法において、プロピ
レングリコールモノメチルエーテルの代わりにアセトンを使用して求めるものとする。なお、サンプルがプロピレングリコールモノメチルエーテルやアセトンに溶解しない等、溶解性パラメーターが上記の方法により求めることができない場合には、Fedorsらが提案した方法(以下、「フェドアーズ法」と表記する。)によって推算する。具体的には「POLYMER ENGINEERING AND SCIENCE,FEBRUARY,1974,Vol.14,No.2,ROBERT F.FEDORS.(147〜154頁)」を参照して求めることができる。
本発明の硬化性樹脂組成物は、成分(A)の溶解性パラメーター(SPA)が成分(B
)の溶解性パラメーター(SPB)より高いものである。また、成分(A)の溶解性パラ
メーター(SPA)は13.0以上20.0以下であり、成分(B)の溶解性パラメータ
ー(SPB)は9.5以上14.0以下である。SPAとSPBがこれらの条件を満たすこ
とにより、成分(A)と成分(B)がアンチブロッキング性を得るための相分離状態を形成することができる。
SPAをSPBより高くするためには、例えば、成分(A)の樹脂の側鎖に極性が高い官能基を多く含むように設計すればよく、より具体的には後述のように、(メタ)アクリル酸の付加によりオキシラン構造を持つモノマーを開環することで共重合体を調製する方法等が挙げられる。また、成分(B)の1個以上の(メタ)アクリロイル基を含有するモノマー及び/又はオリゴマーとしてSPBの低いものを選択すればよく、例えば成分(B)
として脂環骨格を有する二官能以上のアクリレートを用いる方法等が挙げられる。
成分(A)の溶解性パラメーター(SPA)は、より好ましくは13.5以上であり、
更に好ましくは14.0以上であり、特に好ましくは15.0以上であり、一方、より好ましくは19.5以下であり、更に好ましくは19.0以下である。また、成分(B)の溶解性パラメーター(SPB)は、より好ましくは10.0以上であり、更に好ましくは
10.5以上であり、一方、より好ましくは13.5以下であり、更に好ましくは13.0以下である。更に、成分(C)の溶解性パラメーターは(SPC)は、好ましくは9.
5以上であり、より好ましくは10.0以上であり、更に好ましくは10.5以上であり、一方、好ましくは14.0以下であり、より好ましくは13.5以下であり、更に好ましくは13.0以下である。成分(A)、成分(B)及び成分(C)の溶解性パラメーターがそれぞれ、上記範囲であると、塗膜の外観やアンチブロッキング性の向上の観点から好ましい。また、アンチブロッキング性の観点から、成分(A)の溶解性パラメーター(SPA)は、成分(C)の溶解性パラメーター(SPC)よりも大きいことが好ましい。
成分(A)、成分(B)及び成分(C)のそれぞれの溶解性パラメーターは下記条件1及び条件2を満たすことが好ましい。下記条件1を満たすことにより成分(A)と成分(B)とが相分離状態を形成するために好ましい。また、条件2は、成分(C)の溶解性パラメーターの値が成分(A)の値より成分(B)の値に近いことを示している。即ち、成
分(C)が成分(A)よりも成分(B)に親和性が高く、この条件2を満たしていると、硬化性樹脂組成物中で成分(C)は成分(B)のドメインに存在しながら成分(A)に対して排除体積効果(立体斥力)を有効に及ぼすことができるものと考えられるために好ましい。また、更に、条件3を満たすことが硬化性組成物の透明性を良好なものとする観点から好ましい。
条件1:SPA−SPB>4.0
条件2:|SPA−SPC|−|SPB−SPC|>0
条件3:SPA−SPB<2.0
<互いに反応する官能基>
本発明に含まれる成分(A)の樹脂と、成分(B)の1個以上の(メタ)アクリロイル基を含有するモノマー及び/又はオリゴマーは、それぞれ、互いに反応する官能基を有していることが好ましい。このような官能基を反応させることによって、本発明の硬化性樹脂組成物を硬化させて得られる硬化物の硬度、耐溶剤性等を高めることができる。このような官能基の組合せとして、例えば、活性水素を有する官能基(水酸基、アミノ基、チオール基、カルボキシル基等)とエポキシ基、活性水素を有する官能基とイソシアネート基、エチレン性不飽和基とエチレン性不飽和基(エチレン性不飽和基の重合が生じる)、シラノール基とシラノール基(シラノール基の縮重合が生じる)、シラノール基とエポキシ基、活性水素を有する官能基と活性水素を有する官能基、活性メチレンとアクリロイル基、オキサゾリン基とカルボキシル基等が挙げられる。
なお、ここにいう「互いに反応する官能基」としては、成分(A)の樹脂と成分(B)の1個以上の(メタ)アクリロイル基を含有するモノマー及び/又はオリゴマーのみを混合しただけでは反応は進行しないが、重合開始剤を併せて混合することによって互いに反応するものも含まれる。ここで使用することができる重合開始剤としては、光重合開始剤が挙げられ、詳細は後述する。
<成分(A)>
本発明に用いる成分(A)は、重量平均分子量(Mw)が8,000以上40,000以下であり、溶解性パラメーター(SPA)が13.0以上20.0以下である樹脂であ
る。成分(A)の樹脂としては、例えば、(メタ)アクリル樹脂、オレフィン樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリシロキサン樹脂、ポリシラン樹脂、ポリイミド樹脂、フッ素樹脂等の樹脂が挙げられる。これらのなかでも、SP値の点から、(メタ)アクリル構造、ポリエーテル構造、ポリエステル構造、ポリウレタン構造、ポリイミド構造を骨格構造に含む樹脂が好ましく、SP値を容易に制御することが可能であり、また、容易に重合することができるために(メタ)アクリル構造を骨格構造に含む樹脂が特に好ましい。ここで、「(メタ)アクリル構造を骨格構造に含む樹脂」とは少なくとも(メタ)アクリロイル基を有するモノマーを原料として重合して得られる樹脂、すなわち(メタ)アクリロイル基を有する樹脂(以下、「(メタ)アクリロイル重合体」と称する場合がある。)をさす。
(メタ)アクリル構造を骨格構造に含む樹脂として、(メタ)アクリルモノマーを重合又は共重合した樹脂、(メタ)アクリルモノマーと他のエチレン性不飽和二重結合を有するモノマーとを共重合した樹脂等が挙げられる。
オレフィン構造を骨格構造に含む樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン系アイオノマー、エチレン・ビニルアルコール共重合体、エチレン・塩化ビニル共重合体等が挙げられる。これらの中でも、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン系アイオノマー、エチレン・ビニルアルコール共重合体、エチレン・塩化ビニル共重合体等が好ましい。
ポリエーテル構造を骨格構造に含む樹脂は、分子鎖中にエーテル結合を含む樹脂であり、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等が挙げられる。
ポリエステル構造を骨格構造に含む樹脂は、分子鎖中にエステル結合を含む樹脂であり、例えば不飽和ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、ポリエチレンテレフタレート等が挙げられる。
ポリウレタン構造を骨格構造に含む樹脂は、分子鎖中にウレタン結合を含む樹脂である。
ポリシロキサン構造を骨格構造に含む樹脂は、分子鎖中にシロキサン結合を含む樹脂である。
ポリシラン構造を骨格構造に含む樹脂は、分子鎖中にシラン結合を含む樹脂である。
ポリイミド構造を骨格構造に含む樹脂は、分子鎖中にイミド結合を含む樹脂である。
フッ素構造を骨格構造に含む樹脂は、ポリエチレンの水素原子の一部又は全部をフッ素原子で置き換えた構造を含む樹脂である。
成分(A)の樹脂は、上記骨格構造の2種以上を含む共重合体であってもよく、上記骨格構造とそれ以外の骨格構造とからなる共重合体であってもよい。
また、上述の樹脂のうち、(メタ)アクリロイル基を有する樹脂が、SP値の制御が容易に可能であり、かつ容易に重合することができる観点から好ましい。更には、水素結合性基と(メタ)アクリロイル基とを有する樹脂が、SP値を成分(B)として好適な後述の多官能(メタ)アクリレートより高くすることが容易であることから好ましい。
ここで、水素結合性基とは、他の官能基と水素結合し得る官能基を意味し、具体的には水酸基、アミノ基、チオール基、カルボキシル基、スルホン酸基、アミド基、リン酸基等が挙げられ、相分離しやすい(アンチブロッキング性が発現しやすい)ために、好ましくは水酸基、アミノ基、アミド基、カルボキシル基であり、より好ましくは水酸基、特に好ましくは2級水酸基である。(メタ)アクリロイル重合体が有する水素結合性基量は特に限定されないが、1.0mmol/g以上であることが好ましい。
水素結合性基として、水酸基を導入する方法は特に限定されないが、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコール−(ポリ)エチレングリコールモノ(メタ)アクリレート 、(ポリ)ブチレングリコール−(ポリ)
エチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコール−(ポリ)ブチレングリコールモノ(メタ)アクリレート等の水酸基を含有する(メタ)アクリレートを原料として用いて重合する方法や、オキシラン構造を有するモノマーを重合したポリマーを製造し、これを開環・付加反応させる方法、オキシラン構造を有するモノマーを重合したポリマーを製造し、これに乳酸等の水酸基を有するモノマーを開環・付加反応させる方法、カルボキシル基、アミノ基等のオキシラン構造と開環・付加反応する反応性基を有するモノマーを重合してポリマーを製造し、これにオキシラン構造を有するモノマーを開環・付加反応させる方法等が挙げられる。
また、(メタ)アクリロイル重合体は、不飽和二重結合を有することが、得られる硬化物の硬度が高くなるため、好ましい。このような不飽和二重結合を有する(メタ)アクリロイル重合体は、例えば(メタ)アクリロイルモノマーを共重合した樹脂、(メタ)アクリロイルモノマーと他のエチレン性不飽和二重結合を有するモノマーとを共重合した樹脂、(メタ)アクリロイルモノマーと他のエチレン性不飽和二重結合及びエポキシ基を有するモノマーとを反応させた樹脂、(メタ)アクリロイルモノマーと他のエチレン性不飽和二重結合及びイソシアネート基を有するモノマーとを反応させた樹脂、等が挙げられる。
(メタ)アクリロイル重合体が水素結合性基として水酸基を有する場合、該水酸基の由来が、オキシラン構造を有するモノマーの開環・付加反応によるものであることが、不飽和二重結合等の結合性の官能基を有し、硬化物の硬度を向上させることができ、また、ブリードアウトを防止することができる点から好ましい。オキシラン構造を有するモノマーとしては、下記式(1)〜(3)で表されるものが挙げられる。
Figure 2015067689
(式(1)において、R1は水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基を示し、R2は水素原子又は炭素数1〜2のアルキル基を示し、pは1〜8の整数を示す。)
式(1)において、R1及びR2として好ましいのは、それぞれ独立に水素原子又はメチル基である。式(1)で表されるモノマーとしては、具体的には、グリシジル(メタ)アクリレート、β−メチルグルシジル(メタ)アクリレートを例示することができ、その中ではグリシジルメタクリレート(GMA)が入手性の面等から好ましい。
Figure 2015067689
(式(2)において、R3は水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基を示し、R4は−CH2O−基又は−CH2−基を示し、R5は水素原子又は炭素数1〜2のアルキル基を示し、
qは0〜7の整数を示す。)
式(2)において、R3及びR5として好ましいのは、それぞれ独立に水素原子又はメチル基であり、R4として好ましいのは−CH2O−基である。式(2)で表されるモノマーとしては、具体的には、o−ビニルベンジルグリシジルエーテル、m−ビニルベンジルグリシジルエーテル、p−ビニルベンジルグリシジルエーテル、α−メチル−o−ビニルベンジルグリシジルエーテル、α−メチル−m−ビニルベンジルグリシジルエーテル、α−メチル−p−ビニルベンジルグリシジルエーテルを例示することができ、その中ではo−ビニルベンジルグリシジルエーテル、m−ビニルベンジルグリシジルエーテル、p−ビニルベンジルグリシジルエーテルが入手性の面等から好ましい。
Figure 2015067689
(式(3)において、R6は水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基を示し、rは1〜8
の整数を示す。)
式(3)において、R6として好ましいのは、水素原子又はメチル基である。式(3)
で表されるモノマーとしては3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレートを例示することができる。その中で3,4−エポキシシクロヘキシルメチルメタクリレートが硬度等、硬化性樹脂組成物の硬化物の物性の面から好ましい。
(メタ)アクリロイル重合体の製造に用いるオキシラン構造を有するモノマーは、(メタ)アクリロイル重合体を構成するモノマー全量のうち、30重量%以上であることが好ましく、50重量%以上であることがより好ましく、90重量%以上であることが更に好ましい。(メタ)アクリロイル重合体を構成するモノマー全量におけるオキシラン構造を有するモノマーの構成比率が大きいと、導入可能な水酸基量と不飽和二重結合量が多くなり好ましい。
また、オキシラン構造を有するモノマーの開環・付加反応は、カルボンキシル基の付加反応であることが好ましく、特にアクリル酸の付加反応であることが好ましい。アクリル酸の付加反応であることにより、水酸基の導入による高SP値の樹脂を得ることができ、また、不飽和二重結合を導入することができるため、硬化性樹脂組成物の硬化性も高めることができるために好ましい。
本発明に用いられる成分(A)の樹脂は、重量平均分子量(Mw)が8,000以上である。重量平均分子量(Mw)が8,000以上であることで、高分子としての物理的性質が顕著に表れ、相分離がしやすくなるためである。成分(A)の重量平均分子量(Mw)は、10,000以上であることが好ましく、15,000以上であることがより好ましい。また、40,000以下であり、30,000以下であることが好ましく、25,000以下であることがより好ましい。成分(A)の樹脂の重量平均分子量がこの範囲にあると、アンチブロッキング性が良好となる傾向にある。なお、樹脂の重量平均分子量(Mw)は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)を用いて、ポリスチレン標準による換算値として決定することができる。成分(A)の重量平均分子量の具体的な測定方法は後掲の実施例の項に示す。
本発明に用いられる成分(A)の樹脂は、形成される硬化物の耐傷付き性向上の点から、(メタ)アクリロイル当量((メタ)アクリロイル基の導入量)が1.0mmol/g以上であることが好ましく、2.0mmol/g以上であることがより好ましく、3.0mmol/g以上であることが特に好ましい。また、ゲル化防止の点から、(メタ)アクリロイル当量は10.0mmol/g以下であることが好ましく、8.0mmol/g以下であることがより好ましく、6.0mmol/g以下であることが特に好ましい。成分(A)の(メタ)アクリロイル当量は、用いる原料に基づいて算出することができる。
また、本発明に用いられる成分(A)の樹脂は、アンチブロッキング性向上の点から、2級水酸基当量(2級水酸基の導入量)が1.0mmol/g以上であることが好ましく、2.0mmol/g以上であることがより好ましく、3.0mmol/g以上であることが特に好ましい。また、成分(B)として好適に用いられる後述の多官能(メタ)アクリレートとの相溶性の点から、2級水酸基当量は10.0mmol/g以下であることが好ましく、8.0mmol/g以下であることがより好ましく、6.0mmol/g以下であることが特に好ましい。
本発明の硬化性樹脂組成物は、成分(A)の樹脂として、1種の樹脂を単独で含むもの
であってもよく、樹脂種の異なるものや、官能基当量等の異なるものの2種以上を含むものであってもよい。
本発明の硬化性樹脂組成物の成分(A)の樹脂の含有量は、本発明の硬化性樹脂組成物中の当該成分(A)、後述する成分(B)及び後述する成分(C)の合計量に対し、0.1重量%以上であることが好ましく、1.0重量%以上であることがより好ましく、3.0重量%以上であることが更に好ましい。また、30.0重量%以下であることが好ましく、20.0重量%以下であることがより好ましく、10.0重量%以下であることが更に好ましい。成分(A)の樹脂の含有量が上記下限値以上であるとアンチブロッキング性を発現させる観点で好ましい。また、上記上限値以下であると塗液又は塗膜の透明性やアンチブロッキング性を良好なものとする観点から好ましい。
<成分(B)>
本発明に用いる成分(B)は、重量平均分子量(Mw)が8,000未満であり、溶解性パラメーター(SPB)が9.5以上14.0以下であり、かつ1個以上の(メタ)ア
クリロイル基を有するモノマー及び/又はオリゴマーである。成分(B)のモノマー及び/又はオリゴマーとしては、多官能性モノマー、例えば多価アルコールと(メタ)アクリレートとの脱アルコール反応物等を用いることができる。オリゴマーとしては、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー、ポリエステル(メタ)アクリレートオリゴマーや上記成分(A)で挙げられた樹脂の低分子量物等が挙げられる。これらの中でも得られる硬化物の硬度が高い又は硬化性が良好な点から、多官能性モノマー、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー、ポリエステル(メタ)アクリレートオリゴマーが好ましく、特に多官能(メタ)アクリレートが好ましい。
成分(B)は、硬化性樹脂組成物のハンドリング性、塗工性を良好とする観点から、重量平均分子量(Mw)が8,000未満である。この効果をより良好なものとする観点から、成分(B)は、重量平均分子量が6,000以下のものであることが好ましく、4,000以下のものであることがより好ましく、2,000以下のものであることが更に好ましく、1,000以下のものであることが特に好ましい。一方、成分(B)の重量平均分子量は通常、100以上である。
成分(B)は硬化性樹脂組成物の硬化性を高める観点から、多官能(メタ)アクリレートであることが好ましい。ここで、「多官能(メタ)アクリレート」とは、(メタ)アクリロイル基を有し、一分子中に2つ以上の不飽和二重結合を有する化合物である。このような多官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、多価アルコールと(メタ)アクリレートとの脱アルコール反応物である、一分子中に2つ以上の不飽和二重結合を有する多官能(メタ)アクリレートが挙げられる。多官能(メタ)アクリレートのうち好ましくは、得られる硬化物の硬度や硬化性樹脂組成物の硬化性を良好なものとする観点から、1分子中に3つ以上の(メタ)アクリロイル基を有する多官能(メタ)アクリレートであることが好ましく、具体的には、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの中でも、得られる硬化物の硬度や硬化性樹脂組成物の硬化性を良好なものとする観点から、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートが好ましく、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートが特に好ましい。
また、本発明に用いられる成分(B)の1個以上の(メタ)アクリロイル基を含有するモノマー及び/又はオリゴマーは、エチレンオキシド(EO)単位を分子中に含むモノマ
ーをほとんど含有しないことが好ましく、実質的に含有しないことがより好ましい。エチレンオキシド(EO)単位を分子中に含むモノマーを含有しないことで、硬化物とした際の十分な硬度を確保できる。なお、ここでいう「実質的に含有しない」とは成分(B)全体100重量部に対し3重量部未満であることをいう。
本発明の硬化性樹脂組成物は、成分(B)として、上記のような1個以上の(メタ)アクリロイル基を含有するモノマー及び/又はオリゴマーの1種のみを含むものであってもよく、また2種以上を含むものであってもよい。
本発明の硬化性樹脂組成物の成分(B)である1個以上の(メタ)アクリロイル基を含有するモノマー及び/又はオリゴマーの含有量は、本発明の硬化性樹脂組成物中の前記成分(A)、当該成分(B)及び後述する成分(C)との合計量に対し、50.0重量%以上であることが好ましく、65重量%以上であることがより好ましく、80.0重量%以上であることが更に好ましい。また、99.8重量%以下であることが好ましく、97.0重量%以下であることがより好ましく、94.0重量%以下であることが更に好ましい。成分(B)の含有量が上記下限値以上であると硬度やアンチブロッキング性等の性能が向上する傾向にあり、上記上限値以下であるとアンチブロッキング性が向上する傾向にある。
<成分(C)>
成分(C)は、重量平均分子量(Mw)が40,000超過150,000以下である(メタ)アクリル樹脂である。
成分(C)の重量平均分子量が40,000超過であることにより、成分(C)の分子量が成分(A)の分子量よりも大きく、成分(A)に対して成分(C)による立体的斥力が及ぼされるものと考えられる。この効果を高める観点から、成分(C)の重量平均分子量は、好ましくは55,000以上であり、より好ましくは70,000以上である。また、成分(C)の分子量が大き過ぎると、硬化性樹脂組成物における他の成分との相溶性や塗膜の外観等が悪化するため、成分(C)の重量平均分子量は150,000以下である。他の成分との相溶性、塗膜の外観等を良好なものとする観点から好ましくは135,000以下であり、より好ましくは120,000以下である。
成分(C)のメルトフローレートが30g/10分以下であると、成分(C)の分子量が成分(A)の分子量よりも十分に大きく、排除体積効果をより有効に及ぼすことができるものと考えられるために好ましい。また、成分(C)の分子量が大きすぎると、硬化性樹脂組成物における他の成分との相溶性、外観等が悪化することがあるため、成分(C)のメルトフローレートは0.1g/10分以上であることが好ましい。これらの成分(C)によるアンチブロッキング性の向上効果をより良好なものとする観点から、成分(C)のメルトフローレートは、好ましくは0.1g/10分以上であり、より好ましくは0.5g/10分以上であり、一方、他の成分との相溶性、塗膜の外観を良好なものとする観点から、成分(C)のメルトフローレートは、好ましくは30g/10分以下であり、より好ましくは25g/10分以下であり、更に好ましくは20g/10分以下であり、特に好ましくは15g/10分以下であり、最も好ましいのは10g/10分以下である。成分(C)のメルトフローレートについては、ISO 1133に準じ、測定温度230℃、荷重37.3Nで測定を行うものとする。
成分(C)において、アクリル樹脂とはアクリロイル基を有するモノマーを重合して得られる樹脂である。また、メタクリル樹脂とはメタクリル基を有するモノマーを重合して得られる樹脂である。成分(C)は、好ましくはメタクリル樹脂であり、その中でも少なくともメチルメタクリレートモノマーを原料として用い、重合して得られるポリメチルメ
タクリレート(PMMA)系樹脂が特に好ましい。
本発明において、成分(C)の重量平均分子量及びメルトフローレートはその増減に相間があり、例えば、重量平均分子量を増加させ、メルトフローレートを減少させる場合には、重合開始剤の量を少量とする、重合時のモノマー濃度を希薄にする、反応温度を低くする、等の手段を適宜組み合わせて用いることができる。
成分(C)の原料である(メタ)アクリルモノマーとしては特に制限されないが、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸フェニル等が挙げられる。これらは1種のみで単独重合されたものであっても、2種以上が共重合されたものであってもよいが、通常、2種以上が共重合されたものである。なお、この重合反応は通常、ラジカル重合反応である。
成分(C)は市販品として入手することができる。市販品としては例えば、クラレ社製パラペット(登録商標)シリーズの該当品を用いることができ、例えば、パラペット(登録商標) GF、パラペット(登録商標) G、パラペット(登録商標) EH、パラペット(登録商標) HR−L、パラペット(登録商標) HR−G、パラペット(登録商標) HR−F、パラペット(登録商標) HR−S、パラペット(登録商標) GH−S、パラペット(登録商標) GH−SN、パラペット(登録商標) GR04940、パラペット(登録商標) GR04970、パラペット(登録商標) 00100、パラペット(登録商標) GR01240、パラペット(登録商標) GR01270、パラペット(登録商標) GR1000H24、パラペット(登録商標) GR1000H42、パラペット(登録商標) GR1000H60等が挙げられる。また、三菱レイヨン社製アクリペット(登録商標)等からも該当品を選択して用いることができる。
なお、成分(C)のSPCは、例えば、用いるモノマーを適宜変更することで調整でき
る。例えば、SPCを高くする場合は、側鎖に極性が高い官能基を多く有するように設計
すればよい。
本発明の硬化性樹脂組成物の成分(C)の含有量は、本発明の硬化性樹脂組成物中の前記成分(A)、前記成分(B)及び当該成分(C)との合計量に対し、0.1重量%以上であることが好ましく、0.5重量%以上であることがより好ましく、1.5重量%以上であることが更に好ましい。また、40.0重量%以下であることが好ましく、25.0重量%以下であることがより好ましく、15.0重量%以下であることが更に好ましい。成分(C)の含有量が上記範囲であるとアンチブロッキング性が向上する傾向にある。
<レベリング剤>
本発明の硬化性樹脂組成物は、アンチブロッキング性を向上させるため、レベリング剤を含有することが好ましい。レベリング剤としては成分(A)〜(C)に該当せず、かつ硬化性樹脂組成物の表面エネルギーを低下させ、アンチブロッキング性を向上させうるものであれば特に制限されない。
本発明の硬化性樹脂組成物において、レベリング剤の含有量は、前記成分(A)、成分(B)及び成分(C)の合計100重量部に対して、好ましくは0.01重量部以上であり、好ましくは0.1重量部以上であり、より好ましくは0.5重量部以上であり、一方、好ましくは10.0重量部以下であり、より好ましくは5.0重量部以下である。レベリング剤の含有量が上記範囲であるとアンチブロッキング性を向上させる観点から好ましい。
レベリング剤の具体例を挙げると、アクリル系レベリング剤、シリコーン系レベリング剤、フッ素系レベリング剤等が挙げられる。また、レベリング剤は1種のみで用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。レベリング剤は以下に例示するように市販品として入手することができる。
アクリル系レベリング剤としては、共栄社化学社製ポリフローシリーズ等から該当品を選択して使用することができる。
シリコーン系レベリング剤としては、共栄社化学社製ポリフローシリーズ、BYK Chemie社製BYKシリーズ、日信化学工業社製シルフェイスSAGシリーズ、東レダウコーニング社製FGシリーズ、Lシリーズ、SHシリーズ、SFシリーズ、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン社製SILWETL等から該当品を選択して使用することができる。
フッ素系レベリング剤としては、DIC社製メガファックシリーズ、共栄社化学社製フローレンシリーズ、ネオス社製フタージェントシリーズ、ダイキン社製DSN−403N、NS−9013等から該当品を選択して使用することができる。
<無機粒子>
本発明の硬化性樹脂組成物は、無機粒子を必須に用いなくともアンチブロッキング性を得るという効果を奏するが、更に、平均一次粒子径が1μm以下の無機粒子を含有することによりアンチブロッキング性を更に向上させることができる。
無機粒子の例としては、シリカ(オルガノシリカゾルを含む)、アルミナ、チタニア、ゼオライト、雲母、合成雲母、酸化カルシウム、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、フッ化マグネシウム、スメクタイト、合成スメクタイト、バーミキュライト、ITO(酸化インジウム/酸化錫)、ATO(酸化アンチモン/酸化錫)、酸化錫、酸化インジウム、酸化アンチモン等が挙げられ、これらの中でもシリカが好ましい。また、以上に挙げた無機粒子は1種のみを用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
無機粒子の平均一次粒子径は通常、1μm以下であるが、200nm以下であることが好ましく、100nm以下であることがより好ましい。無機粒子の平均一次粒子径の下限値は特段限定されないが、通常5nm以上、好ましくは10nm以上である。平均一次粒子径が1μmを超える無機粒子を使用すると、粒子の自重により沈降が生じ硬化性樹脂組成物の塗液の貯蔵安定性が低下しやすくなる。
一方、平均一次粒子径が上記範囲である無機粒子の硬化性樹脂組成物の塗液中での運動は、重力による沈降よりも熱拡散が支配するため、無機粒子は硬化性樹脂組成物の塗液中に安定に分散可能となり、さらにハードコート層を形成した際に効果的に表面に存在するようになる。また、無機粒子の平均一次粒子径が小さいほど、光学特性が良好になる傾向がある。
なお、本発明における無機粒子の平均一次粒子径は、例えば、TEM等の電子顕微鏡により観察される粒子の大きさを平均した値をいう。
無機粒子は、アンチブロッキング性や硬度を向上させる点において、後述の実施例に示されるように、成分(A)の樹脂で表面修飾された無機粒子として本発明の硬化性樹脂組成物に配合されることが好ましい。このような樹脂で表面修飾された無機粒子を製造するには、例えば、樹脂と無機粒子とを酸や塩基、アセチルアセトンアルミニウム等のシラン
カップリング反応触媒の存在下に25〜120℃で1〜24時間程度反応させる方法が挙げられる。
本発明の硬化性樹脂組成物における無機粒子の含有量は、本発明の硬化性樹脂組成物中の前記成分(A)と前記成分(B)との合計100重量部に対し、0.05重量部以上であることが好ましく、0.5重量部以上であることがより好ましく、0.7重量部以上であることが更に好ましく、1重量部以上であることが特に好ましい。また、30重量部以下であることが好ましく、20重量部以下であることがより好ましく、5重量部以下であることが更に好ましく、3重量部以下であることが特に好ましく、2重量部以下であることがとりわけ好ましい。無機粒子の含有量が上記下限値以上であると無機粒子を用いることによる効果を十分に得ることができるために好ましく、また、上記上限値以下であると透明性の観点から好ましい。
<重合開始剤>
本発明の硬化性樹脂組成物は、活性エネルギー線により硬化させるために、重合開始剤を含有することが好ましい。重合開始剤は、本発明の硬化性樹脂組成物中の前記成分(A)と前記成分(B)との合計100重量部に対して、通常0.01重量部以上、好ましくは0.1重量部以上、より好ましくは1重量部以上、また、通常20重量部以下、好ましくは10重量部以下加えることができる。
重合開始剤としては、光重合開始剤が好ましく、例えば、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタンノン−1等が挙げられる。これらの重合開始剤は1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
<その他の成分>
本発明の硬化性樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、前述の成分(A)〜(D)、重合開始剤、レベリング剤以外の他の成分を含有していてもよい。本発明の硬化性樹脂組成物が含有し得る他の成分としては、各成分を均一に混合するための溶媒や、帯電防止剤、可塑剤、界面活性剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤等の各種の常用の添加剤等が挙げられる。
溶媒としては、特に限定されるものではなく、成分(A)、成分(B)、成分(C)や下地となる基材の材質、組成物の塗布方法等を考慮して適宜選択される。用いることができる溶媒の具体例としては、例えば、トルエン、キシレン等の芳香族系溶媒;メチルエチルケトン、アセトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒;ジエチルエーテル、イソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、アニソール、フェネトール等のエーテル系溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソプロピル、エチレングリコールジアセテート等のエステル系溶媒;ジメチルホルムアミド、ジエチルホルムアミド、N−メチルピロリドン等のアミド系溶媒;メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ等のセロソルブ系溶媒;メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール等のアルコール系溶媒;ジクロロメタン、クロロホルム等のハロゲン系溶媒;等が挙げられる。
これらの溶媒は1種を単独で使用してもよく、また2種以上を併用してもよい。これら
の溶媒のうち、エステル系溶媒、エーテル系溶媒、アルコール系溶媒及びケトン系溶媒が好ましく使用される。
溶媒の使用量には特に制限はなく、調製される硬化性樹脂組成物の塗布性、液の粘度・表面張力、固形分の相溶性等を考慮して適宜決定される。通常、本発明の硬化性樹脂組成物は、上述の溶媒を用いて固形分濃度が20〜99.9重量%、特に30〜80重量%の塗液として調製される。なお、ここで、本発明の硬化性樹脂組成物中の固形分とは、本発明の硬化性樹脂組成物に含まれる溶媒以外の成分の合計をさす。
<硬化性樹脂組成物の調製方法>
本発明の硬化性樹脂組成物の調製方法は特に限定されず、例えば、成分(A)〜(C)、必要に応じて更にレベリング剤、無機粒子、溶媒、重合開始剤、添加剤等と併せて混合することにより調製することができる。前述の通り、無機粒子を用いる場合、無機粒子は成分(A)の樹脂で表面修飾した形態で用いることが好ましい。
[硬化物・積層体]
本発明の硬化性樹脂組成物を硬化させることにより、硬化物を得ることができる。特に、本発明の硬化性樹脂組成物を基材の上等に塗布して硬化させることにより、本発明の硬化性樹脂組成物を硬化させてなる硬化層を基材上に形成してなる本発明の積層体とすることができる。また、このように、本発明の硬化性樹脂組成物を基材の上等に塗布し、フィルム状に硬化させることで、本発明のハードコートフィルム(ハードコート層)を得ることができる。また、基材として他の樹脂フィルム上に本発明の硬化性樹脂組成物を塗布し、硬化させてハードコートフィルムを成形することで、他の樹脂フィルム上に本発明のハードコートフィルムを積層してなるフィルム積層体が得られる。
ハードコートフィルムを成形する基材としては、各種樹脂フィルム及び樹脂板等を使用することができる。樹脂フィルムとして、例えば、トリアセチルセルロース(TAC)フィルム、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、ジアセチレンセルロースフィルム、アセテートブチレートセルロースフィルム、ポリエーテルスルホンフィルム、ポリアクリル系樹脂フィルム、ポリウレタン系樹脂フィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリスルホンフィルム、ポリエーテルフィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリエーテルケトンフィルム、(メタ)アクリルニトリルフィルム、シクロオレフィンポリマー(COP)フィルム等が使用できる。また、樹脂板として、例えばアクリル板、トリアセチルセルロース板、ポリエチレンテレフタレート板、ジアセチレンセルロース板、アセテートブチレートセルロース板、ポリエーテルスルホン板、ポリウレタン板、ポリカーボネート板、ポリスルホン板、ポリエーテル板、ポリメチルペンテン板、ポリエーテルケトン板、(メタ)アクリルニトリル板等が挙げられる。また、必要に応じてガラス等を使用することもできる。これらの基材はいずれも透明性に優れ、後述の表示装置への適用にも好ましい。なお、基材の厚さは、用途に応じて適時選択することができるが、一般に25〜1000μm程度のものが用いられる。
本発明の硬化性樹脂組成物の塗布方法は特段限定されない。例えば、ディップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、スピンコート法、ローラーコート法、バーコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート法、エクストルージョンコート法(米国特許第2681294号明細書)等の方法により塗布することができる。
ハードコートフィルム(ハードコート層)の厚みは、特に制限されるものではなく、種々の要因を考慮して適宜設定することができ、通常乾燥後の膜厚が0.01〜20μmとなるように硬化性樹脂組成物を塗布することができる。
基材上に塗布、成膜された塗膜は、そのまま硬化させてもよいが、硬化させる前に予め加熱乾燥させることが好ましい。塗布された塗膜を硬化させる前に加熱乾燥する場合は、好ましくは30〜200℃、より好ましくは40〜150℃で、好ましくは0.01〜30分間、より好ましくは0.1〜10分間乾燥させることができる。このように、予め加熱乾燥させることにより、塗膜中の溶媒を効果的に除去することが可能であり、成分(A)と成分(B)との相分離を促進させることができるものと考えられる。
硬化させる前に相分離させる他の方法として、塗膜に活性エネルギー線を照射して相分離させる方法を用いることもできる。照射する活性エネルギー線として、例えば露光量0.1〜3.5J/cm2の光、好ましくは0.5〜1.5J/cm2の光を用いることができる。またこの照射光の波長は特に限定されるものではないが、例えば360nm以下の波長を有する照射光等を用いることができる。例えば重合開始剤として2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン等を用いる場合は、照射光は310nm付近或いは360nm付近の波長を有する光を照射するのが好ましく、360nm付近の波長を有する光を照射するのがより好ましい。このような光は、高圧水銀灯、超高圧水銀灯等を用いて得ることができる。このように光を照射することによって、相分離及び硬化が生じることとなる。光を照射して相分離させることによって、硬化性樹脂組成物に含まれる溶媒の乾燥ムラに起因する表面形状のムラを回避することができるために好ましい。
硬化性樹脂組成物の塗布により得られた塗膜、又は塗布後、乾燥させた塗膜を硬化させることによって、微細凹凸を有するハードコートフィルムが形成される。硬化は、必要に応じた波長の活性エネルギー線を発する光源を用いて塗膜に光を照射することによって行うことができる。なお、硬化のための光照射は、積算光量が100mJ/cm2以上20
,000mJ/cm2以下となるよう照射することが好ましい。光源としては、高圧水銀
灯、超高圧水銀灯等を用いることができる。
<物性>
本発明のハードコートフィルムは、良好なアンチブロッキング性を有する。本発明のハードコートフィルムの良好なアンチブロッキング性は、ハードコート層において成分(A)と成分(B)とが相分離することで、表面に良好な凹凸を付与することによるものである。
そのため、例えば本発明の硬化性樹脂組成物により乾燥後の塗膜厚さが2〜3μmとし、これを硬化させた場合のハードコートフィルムの表面粗さ(Ra)が1nm以上であることが好ましく、3nm以上であることがより好ましい。表面粗さ(Ra)の上限は特段限定されないが、通常200nm以下である。上記表面粗さ(Ra)は、算術平均粗さ(Ra)を意味し、JIS B−0601−2001において規定され、例えば小坂研究所社製の高精度微細形状測定器、又は(株)キーエンス製のカラー3Dレーザー顕微鏡等を用いて測定することができる。
また、本発明の硬化性樹脂組成物により得られるハードコートフィルムのSmは0.001μm以上、10μm以下であることが好ましく、0.005μm以上、5μm以下であることがより好ましく、0.01μm以上、3μm以下であることが特に好ましい。ここでSmとは、表面の粗さ曲線要素の平均長さであり、一般に粗さ曲線の山谷平均間隔又は凹凸の平均間隔と言われるものである。Smは、例えば小坂研究所社製の高精度微細形状測定器、又は(株)キーエンス製のカラー3Dレーザー顕微鏡等を用いて、JIS B−0633に準拠して測定することができる。
また、本発明の硬化性樹脂組成物により得られるハードコートフィルムは、良好な硬度
を有する。例えば、本発明の硬化性樹脂組成物により乾燥後の塗膜厚さが2〜3μmとし、これを硬化させた場合のハードコートフィルムについて、JIS K−5600に従って測定した鉛筆硬度は、H以上であることが好ましく、2H以上であることがより好ましい。
加えて、本発明の硬化性樹脂組成物により得られるハードコートフィルムは、良好な透明性を有する。例えば、本発明の硬化性樹脂組成物により、3μmの膜厚で形成されたハードコートフィルムの全光線透過率は、全光線透過率が85%以上、好ましくは90%以上であり、ヘーズは2.0%以下、好ましくは1.8%以下、より好ましくは1.5%以下、更に好ましくは1.0%未満、特に好ましくは0.5%未満である。
ハードコートフィルムの全光線透過率(Tt(%))は、ハードコートフィルムに対する入射光強度(T0)とハードコートフィルムを透過した全透過光強度(T1)とを測定し、下記式により算出される。
Tt(%)=(T1/T0)×100
なお、全光線透過率の測定は、例えば濁度計(日本電色工業株式会社製)を用いて測定することができる。
ハードコートフィルムのヘーズは、JIS K−7136(2000年)に準拠して、下記式より算出することができる。
H(%)=(Td/Tt)×100
H:ヘーズ(曇価)(%)
Td:拡散透光率(%)
Tt:全光線透過率(%)
なお、ヘーズは、例えば濁度計(日本電色工業株式会社製)を用いて測定することができる。
<ロール状フィルム積層体>
本発明のハードコートフィルムを他の樹脂フィルム上に形成してなる本発明のフィルム積層体は、巻回してロール状にした場合に、良好なアンチブロッキング性が発揮され、このような態様に好ましく適用される。このようなロール状フィルム積層体は、基材となる樹脂フィルム上に本発明の硬化性樹脂組成物を塗布、硬化させて本発明のハードコートフィルムを形成し、ロール状に巻き付けていくことにより製造される。
<表示装置>
本発明の硬化性樹脂組成物により基材上にハードコート層を形成してなる積層体は、これを光源と共に用いて表示装置に適用することができる。この場合、ハードコート層を形成する基材は透光性基材であることが好ましい。透光性基材としては、ハードコートフィルムを形成する基材として前述したものを用いることができる。また、光源は、好ましくは、基材の背面、すなわち基材のハードコート層形成面とは反対側の面に配置され、そこから基材に向けて光を照射する。
ハードコート層を形成した積層体と組み合わせることのできる光源としては、光を発することのできるものであれば特に限定はなく、例えば、発光ダイオード、冷陰極管、熱陰極管、EL素子等が挙げられるが、液晶モジュール、バックライトユニット等を使用してもよい。
液晶モジュールは、上記光源を含み、さらに、その上に偏光板/液晶セル/偏光板がこの順に配置された構成を有するものである。液晶セルは、一般に液晶表示装置に用いられているものであれば特に制限されない。例えば、TN(Twisted Nematic)型液晶セル、STN(Super Twisted Nematic)型液晶セル、H
AN(Hybrid Alignment Nematic)型液晶セル、IPS(In
Plane Switching)型液晶セル、VA(Vertical Alignment)型液晶セル、MVA(Multiple Vertical Alignment)型液晶セル、OCB(Optical Compensated Bend)型液晶セル等を挙げることができる。このような表示装置は、さらに、位相差板、輝度向上フィルム、導光板、光拡散板、光拡散シート、集光シート、反射板等を備えていてもよい。
本発明の積層体を用いた表示装置は、液晶表示装置(液晶ディスプレイ)、LED(発光ダイオードディスプレイ)、ELD(エレクトロルミネセンスディスプレイ)、VFD(蛍光ディスプレイ)、PDP(プラズマディスプレイパネル)等といった、フラットパネルディスプレイに適用することができる。また、表示装置の作製に使用される本発明の硬化性樹脂組成物は、アンチブロッキング性に加えて、耐候性をも有するので、これらの表示装置の屋外での使用が可能となる。例えば、広告等の情報掲示を目的としたパネルディスプレイとして屋外又は半屋外に設置することができる。
また、本発明の積層体を用いた表示装置の屋外又は半屋外での用途としては、タッチパネルが挙げられ、これは、画面上の表示を押さえることによって機器を操作する機構を有し、例えば、銀行ATM、自動販売機、携帯情報端末(PDA)、複写機、ファクシミリ、ゲーム機、博物館及びデパート等の施設に設置される案内表示装置、カーナビゲーション、マルチメディアステーション(コンビニエンスストアに設置される多機能端末機)、携帯電話、鉄道車両のモニタ装置等において有用である。
以下、本発明を実施例に基づいてより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例により何ら限定されるものではない。なお、以下の実施例における各種の製造条件や評価結果の値は、本発明の実施態様における上限又は下限の好ましい値としての意味をもつものであり、好ましい範囲は前記した上限又は下限の値と、下記実施例の値又は実施例同士の値との組み合わせで規定される範囲であってもよい。
[評価方法]
以下の実施例及び比較例で調製した塗液(硬化性樹脂組成物)を用いて製造した硬化膜(ハードコートフィルム)を用い、以下の方法によりアンチブロッキング性を評価した。
<アンチブロッキング性>
フィルム積層体を2枚用意し、23℃、相対湿度60%下で硬化膜面同士を重ね合わせ、指圧にて約1kgの荷重を負荷した後、硬化膜面同士が易滑性を有しているか否かを確認し、以下の基準でアンチブロッキング性の評価を行った。
○:滑らせることが可能であり、更に荷重をかけて滑らせることが可能であるもの
×:滑らせることは可能であるが、更に荷重をかけると滑らせにくくなるもの
[成分(A)]
以下の実施例及び比較例で用いた成分(A)は以下の方法で合成した。
A−1:
温度計、攪拌機及び還流冷却管を備えたフラスコに、プロピレングリコールモノメチルエーテル157.3g、グリシジルメタクリレート98.0g、メチルメタクリレート1.0g、エチルアクリレート1.0g、メルカプトプロピルトリメトキシシラン1.9g、及び2,2'−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)1.0gを入れ、65℃
で3時間反応させた。その後、さらに2,2'−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニト
リル)0.5gを加えて3時間反応させた後、プロピレングリコールモノメチルエーテル
138.1gとp−メトキシフェノール0.45gを加え100℃まで加熱した。次に、アクリル酸50.7g、及びトリフェニルホスフィン3.08gを添加して、110℃で6時間反応させることで、アクリロイル基とメトキシシリル基を有する、重量平均分子量(Mw)20,100でアクリロイル当量(アクリロイル基の導入量)4.47mmol/g、2級水酸基当量(2級水酸基の導入量)4.47mmol/gのアクリロイル共重合体を得た(固形分:30重量%)。このアクリロイル共重合体のSP値は17.8であった。以下、このアクリロイル共重合体を「A−1」と表記する。
上記A−1の重量平均分子量はGPC法により次の条件により測定した値である。
機器 :東ソー株式会社製「HLC−8120GPC」
カラム:東ソー株式会社製「TSKgel Super H3000+H4000+H6000」
検出器:示差屈折率検出器(RI検出器/内蔵)
溶媒 :テトラヒドロフラン
温度 :40℃
流速 :0.5ml/分
注入量:10μL
濃度 :0.2重量%
較正試料:単分散ポリスチレン
較正法:ポリスチレン換算
[成分(B)]
以下の実施例、比較例においては成分(B)としてジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(SP値12.4)を使用した。
[成分(C)]
以下の実施例、比較例においては成分(C)としてクラレ社製パラペット(登録商標)HR−L(メタクリル樹脂、ISO 1133に準拠したMFR(230℃、37. 3N):2g/10分(カタログ値)、重量平均分子量(Mw):80,700、SP値:13.7)をメチルエチルケトン(MEK)溶液(固形分:30重量%)として使用した。
<実施例1>
(硬化性樹脂組成物の製造)
四つ口フラスコに、成分(A)として、樹脂(A−1)を5.0重量部(固形分)、成分(B)として、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートを93.0重量部、成分(C)としてパラペット(登録商標) HR−Lを0.5重量部(固形分)、レベリング剤としてポリフローNo.77(共栄社化学社製、アクリルポリマー、フェドアーズ法に基づくSP値:10.3(カタログ値))を1.0重量部配合した後、重合開始剤として1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(BASF社製「イルガキュア(登録商標)184」)を5重量部加え、更にメチルエチルケトン142.7重量部を加えることで、硬化性樹脂組成物を得た。
(塗布工程)
得られた硬化性樹脂組成物を、厚さ188μmの透明な二軸延伸PETフィルム(ヘーズ値0.8%;三菱樹脂社製 商品名:ダイアホイル(登録商標)O321E)に、バーコーターを用いて、乾燥後の塗膜厚さが2〜3μmとなるように塗布し、80℃で1分間加熱乾燥した。
(硬化工程)
硬化性樹脂組成物の塗膜が形成されたPETフィルムを、出力密度120W/cmの高圧水銀灯を光源として、光源下15cmの位置で、アイグラフィック社製EYE UV METER UVPF−A1、PD365を使用して積算光量200mJ/cm2となる
ように紫外線を照射して、硬化膜を得た。
(評価)
調製した硬化性樹脂組成物(塗液)と形成された硬化膜(ハードコートフィルム)について、前述の評価を行って、結果を表−1に示した。
<実施例2〜8>
用いた原料の配合量を表−1、表−2に示すように変更した以外は実施例1と同様に実施して硬化性樹脂組成物を得た。これらの硬化性樹脂組成物を製造し、硬化膜を得た。また、それぞれ実施例1と同様の評価を行った。得られた結果を表−1、表−2に示す。
<比較例1、2>
成分(C)を用いずに表−1、表−2に示す配合に変更した以外は実施例1と同様に実施し、硬化性樹脂組成物を得た。これらの硬化性樹脂組成物を製造し、硬化膜を得た。また、それぞれ実施例1と同様の評価を行った。得られた結果を表−1、表−2に示す。
Figure 2015067689
Figure 2015067689
なお、実施例1〜8、比較例1、2で得られたフィルム積層体の硬化膜の塗膜外観を目視観察したところ、欠陥は殆どなく、非常に優れたものであった。
[評価結果]
表−1より、本発明に該当する実施例1〜4は、比較例1との対比から、良好なアンチブロッキング性を示すことがわかる。また、表−2より、実施例5〜8についても比較例2より良好なアンチブロッキング性を示していることがわかる。

Claims (15)

  1. 下記成分(A)、成分(B)及び成分(C)を含み、かつ成分(A)の溶解性パラメーター(SPA)が成分(B)の溶解性パラメーター(SPB)より大きいものである硬化性樹脂組成物。
    成分(A):重量平均分子量(Mw)が8,000以上40,000以下であり、溶解性パラメーター(SPA)が13.0以上20.0以下である樹脂
    成分(B):重量平均分子量(Mw)が8,000未満であり、溶解性パラメーター(SPB)が9.5以上14.0以下であり、かつ1個以上の(メタ)アクリロイル基を有
    するモノマー及び/又はオリゴマー
    成分(C):重量平均分子量(Mw)が40,000超過150,000以下である(メタ)アクリル樹脂
  2. 成分(A)、成分(B)及び成分(C)の合計量に対し、成分(A)を0.1〜30.0重量%、成分(B)を50.0〜99.8重量%、成分(C)を0.1〜40.0重量%含む、請求項1に記載の硬化性樹脂組成物。
  3. 成分(A)の溶解性パラメーター(SPA)が成分(C)の溶解性パラメーター(SPC)よりも大きく、かつ成分(C)の溶解性パラメーター(SPC)が9.5以上14.0
    以下である、請求項1又は2に記載の硬化性樹脂組成物。
  4. 成分(A)の溶解性パラメーター(SPA)、成分(B)の溶解性パラメーター(SPB)及び成分(C)の溶解性パラメーター(SPC)が下記条件1及び条件2を満たす、請
    求項1乃至3のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物。
    条件1:SPA−SPB>4.0
    条件2:|SPA−SPC|−|SPB−SPC|>0
  5. 成分(A)が、水素結合性基と(メタ)アクリロイル基とを有する樹脂である、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物。
  6. 前記水素結合性基が水酸基である、請求項5に記載の硬化性樹脂組成物。
  7. 成分(C)のメルトフローレート(230℃、37.3N)が、0.1〜30g/10分である、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物。
  8. 成分(A)の(メタ)アクリロイル当量が1.0mmol/g以上10.0mmol/g以下である、請求項1乃至7のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物。
  9. 成分(B)が、一分子中に2個以上の不飽和二重結合を有する多官能(メタ)アクリレートである、請求項1乃至8のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物。
  10. 前記多官能(メタ)アクリレートとして、1分子中に3つ以上の(メタ)アクリロイル基を有する多官能(メタ)アクリレートを含む、請求項9に記載の硬化性樹脂組成物。
  11. 成分(A)が、オキシラン構造を有する化合物の開環・付加反応によるものである、請求項1乃至10のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物。
  12. 請求項1乃至11のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物を硬化させてなる硬化物。
  13. 請求項1乃至11のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物を硬化させてなる硬化層を
    基材上に形成してなる積層体。
  14. 請求項1乃至11のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物を硬化させてなるハードコートフィルム。
  15. 請求項14に記載のハードコートフィルムを他の樹脂フィルムと積層させてなるフィルム積層体。
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