JP6255859B2 - 硬化性組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、硬化性組成物に関し、より詳しくは、本発明は、アンチブロッキング性に優れ、塗布後の表面に微細な凹凸を形成すること、さらにその凹凸の高さを制御することができる硬化性組成物に関する。
ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムに代表される熱可塑性樹脂フィルムは、その表面にハードコーティングが施される場合があり、また嵩張らないようにロール状に巻回して保存することがある。しかしながら、ハードコーティングされたフィルムをロール状に巻回すると、ハードコート面同士やハードコート面と他のフィルム面が接触し、予期せぬブロッキングが生じる場合があった。
このようなブロッキングを防止する方法として、例えばハードコート層に無機微粒子を添加して、層表面を特定の粗さに設定することが提案されている(特許文献1参照)。また、樹脂及び炭素数2〜4のアルキレンオキシド単位を含む特定の不飽和二重結合基を有するモノマーを含む硬化性樹脂組成物を用いることによって、塗布後に樹脂が相分離により析出し、表面に微細な凹凸が形成してブロッキングを防止することができることが報告されている(特許文献2参照)。一方、アクリル樹脂の溶解性パラメータ(SP値)に着目した紫外線硬化型の塗料の発明が報告されており、低SP値のアクリル樹脂をハードコート層の表面に偏析することで、ポリプロピレン、ポリカーボネート等の種々のプラスチックとの親和性(接着性)を向上させることができることが記載されている(特許文献3参照)。
特開2004−42653号公報 特開2010−163535号公報 特開2002−348498号公報
特許文献2に記載されているような塗布後の相分離によって表面に微細な凹凸を形成することができる硬化性樹脂組成物は、ブロッキングを防止することができるハードコート層として好適であるが、さらにこの凹凸の高さを制御することができれば、ハードコート層の摩擦係数等を調節することに繋がり、硬化性組成物のさらなる応用性を広げる重要な技術となり得る。特に、この凹凸をより高くすることができれば、ハードコート層の摩擦係数を下げることが可能となり、ハードコート層表面の滑り性を向上させることができる。
本発明者らの検討により、例えば、(メタ)アクリル系重合体等の樹脂とジペンタエリスリトールヘキサアクリレート等の多官能(メタ)アクリレートとを含む硬化性組成物は、これを硬化させた際に硬化物表面に微細な凹凸を形成することが可能であり、この凹凸によりブロッキングを防止することが可能であることを見出した。しかしながら、このようなジペンタエリスリトールヘキサアクリレート等の多官能(メタ)アクリレートを含む硬化性組成物においては凹凸の表面粗さ(凹凸の高さ)に制限があり、凹凸の高さを制御するためにはより大きな凹凸を形成する必要があるという問題点があることがわかった。
即ち、本発明は、得られる硬化物がアンチブロッキング性に優れ、塗布後の表面に微細な凹凸を形成すること、さらにその凹凸の高さを制御することができる硬化性組成物を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、(メタ)アクリル系重合体とデンドリマー(メタ)アクリレートとを含む硬化性組成物が、アンチブロッキング性に優れた硬化物を与えることができ、また、塗布後の表面に微細な凹凸を形成すること、さらにその凹凸の高さを制御することができる硬化性組成物となることを見出し、本発明を完成させた。即ち、本発明の要旨は以下の通りである。
[1] 下記成分(A)と下記成分(B)とを含む硬化性組成物。
成分(A):重量平均分子量(Mw)が5,000超過である(メタ)アクリル系重合体成分(B):重量平均分子量(Mw)が5,000以下であるデンドリマー(メタ)アクリレート
[2] 成分(A)のSP値と成分(B)のSP値がSP値{成分(A)}>SP値{成分(B)}である、[1]に記載の硬化性組成物。
[3] 成分(A)のSP値が14.5≦SP値{成分(A)}≦20.0であり、かつ成分(B)のSP値が9.0≦SP値{成分(B)}≦16.0である、[1]又は[2]に記載の硬化性組成物。
[4] 成分(B)の含有量が、成分(A)及び成分(B)の合計量に対し、25.0〜99.5重量%である、[1]〜[3]の何れかに記載の硬化性組成物。
[5] 前記(メタ)アクリル重合体が、水素結合性基と(メタ)アクリロイル基を有する樹脂である、[1]〜[4]の何れかに記載の硬化性組成物。
[6] 前記水素結合性基が水酸基である、[5]に記載の硬化性組成物。
[7] 更に下記成分(C)を含む、[1]〜[6]の何れかに記載の硬化性組成物。
成分(C):平均一次粒子径が1μm以下の無機粒子
[8] 成分(C)の含有量が、成分(A)、成分(B)及び成分(C)の合計100重量部に対し、0.05〜30重量部である、[7]に記載の硬化性組成物。
[9] 前記(メタ)アクリル系重合体が、オキシラン構造を有する化合物の開環・付加反応によるものである、[1]〜[8]の何れかに記載の硬化性組成物。
[10] [1]〜[9]の何れかに記載の硬化性組成物を硬化させてなる硬化物。
[11] [1]〜[9]の何れかに記載の硬化性組成物を硬化させてなるハードコート層を基材上に形成してなる積層体。
[12] [1]〜[9]の何れかに記載の硬化性組成物を硬化させてなるハードコートフィルム。
[13] [12]に記載のハードコートフィルムを他の樹脂フィルムと積層させてなるフィルム積層体。
本発明によれば、硬化物としたときにアンチブロッキング性に優れ、塗布後の表面に微細な凹凸を形成すること、さらにその凹凸の高さを制御することができる硬化性樹脂組成物を提供することができる。また、本発明によれば、硬化物としたときに塗布後の表面の滑り性に優れた硬化性樹脂組成物を提供することができる。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明するが、以下の説明は本発明の実施態様の代表例であり、本発明はこれらの内容に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
なお、本発明において「〜」とは、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含むことを意味する。また、本発明において「重合」とは、特に断わらない限り、いわゆる「共重合」も含む広義の重合である。従って、本発明において、「重合体」には、「共重合体」も含まれる。また、本発明において「室温」とは、その実験等を行っている場所の温度をいい、例えば、15〜30℃の温度、より好ましくは20〜25℃を意味する。また、本発明において「(メタ)アクリレート」は、アクリレート及びメタクリレートの総称であり、いずれか一方又は両方を意味する。なお、「(メタ)アクリル酸」、「(メタ)アクリロイル基」等も同様である。
<硬化性組成物>
本発明の一態様である硬化性組成物(以下、「本発明の硬化性組成物」と略す場合がある。)は、下記成分(A)と成分(B)とを含む。
成分(A):重量平均分子量(Mw)が5,000超過である(メタ)アクリル系重合体成分(B):重量平均分子量(Mw)が5,000以下であるデンドリマー(メタ)アクリレート
本発明者らは、成分(A)及び成分(B)を含む硬化性組成物により、塗布後の表面に微細な凹凸を形成すること、さらにその凹凸の高さを制御することができる硬化性組成物となることを見出した。本発明の硬化性組成物が凹凸の高さを制御することができる理由は十分に明らかとなっていないが、成分(A)の(メタ)アクリル系重合体と成分(B)のデンドリマー(メタ)アクリレートが混合されると、硬化性組成物中で相分離を起こし、塗布後の表面に微細な凹凸が形成することができるが、特に、成分(B)がデンドリマー(メタ)アクリレートであることにより、例えば、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート等のデンドリマー(メタ)アクリレート以外の多官能(メタ)アクリレートを用いた場合よりもこの相分離が促進されて、形成される凹凸がより高くなるものと考えられる。
なお、SP値はSolubility Parameter(溶解性パラメータ)の略称であり、溶解性の尺度となるものである。SP値の数値が大きいほど極性が高く、逆に数値が小さいほど極性が低いことを意味する。
本発明において、SP値は次の方法により求めることができる。サンプル0.5gを100mL三角フラスコに秤量し、プロピレングリコールモノメチルエーテル10mLを加えて樹脂を溶解させる。ここにマグネテックスターラーで攪拌しながら、ヘキサンを滴下していき、溶液に濁りが生じた点(濁点)のヘキサンの滴下量(vh)を求める。次に、ヘキサンの代わりに脱イオン水を使用したときの、濁点における脱イオン水の滴下量(vd)を求める。vh、vdより、SP値は参考文献:SUH、CLARKE、J.P.S.A−1、5、1671〜1681(1967)により示された式を用いて求めることが
できる。また、サンプルがプロピレングリコールモノメチルエーテルに溶解しないなど、溶解性パラメーターが上記の方法により求めることができない場合には、Fedorsらが提案した方法(以下、「フェドアーズ法」と称することがある。)によって算出して求めることができる。具体的には「POLYMER ENGINEERING AND SCIENCE,FEBRUARY,1974,Vol.14,No.2,ROBERT F.FEDORS.(147〜154頁)」を参照して求めることができる。
本発明の硬化性組成物は、成分(A)のSP値(SP値{成分(A)})と成分(B)のSP値(SP値{成分(B)})とが、SP値{成分(A)}>SP値{成分(B)}の関係であることが、成分(A)と成分(B)との相分離が促進されるために好ましい。
SP値{成分(A)}の具体的な値については特に限定されないが、好ましくはSP値{成分(A)}≧14.5、より好ましくはSP値{成分(A)}≧15.5、さらに好ましくはSP値{成分(A)}≧16.5であり、また、好ましくはSP値{成分(A)}≦22.0以下であり、より好ましくは20.0以下である。SP値{成分(A)}が上記下限値以上であると、塗布後の表面に微細な凹凸を形成し易くなる傾向にあり、また、上記上限値以下であると、硬化性組成物の透明性の観点から好ましい。なお、本発明の硬化性組成物が2種類以上の(メタ)アクリル系重合体を含む場合、SP値{成分(A)}は、成分(A)の(メタ)アクリル系重合体のそれぞれのSP値を求め、これらの値の重量平均値として計算するものとする。
成分(B)のSP値(SP値{成分(B)})の具体的な値については特に限定されないが、好ましくはSP値{成分(B)}≦16.0であり、より好ましくはSP値{成分(B)}≦15.5であり、更に好ましくはSP値{成分(B)}≦15.0であり、一方、好ましくはSP値{成分(B)}≧9.0であり、より好ましくはSP値{成分(B)}≧9.5であり、更に好ましくはSP値{成分(B)}≧10.0であり、特に好ましくはSP値{成分(B)}≧10.5である。SP値{成分(B)}が上記下限値以上であると、硬化性組成物の透明性の観点から好ましく、また、上記上限値以下であると、塗布後の表面に微細な凹凸を形成し易くなる傾向にあるために好ましい。なお、本発明の硬化性組成物が2種類以上のデンドリマー(メタ)アクリレートを含む場合、SP値{成分(B)}は、成分(B)のデンドリマー(メタ)アクリレートのそれぞれのSP値を求め、これらの値の重量平均値として計算するものとする。
(成分(A))
本発明の硬化性組成物は、成分(A)の(メタ)アクリル系重合体を含む。本発明において、「(メタ)アクリル系重合体」とは、(メタ)アクリル酸及び/又は(メタ)アクリル酸誘導体を含む原料から合成される重合体を意味し、この重合体を更に変性した重合体も含む意味で用いられる。(メタ)アクリル酸若しくは(メタ)アクリル酸誘導体のうち少なくとも1種の原料((メタ)アクリレートモノマー)を使用した重合体であれば、その他については特に限定されない(例えば、(メタ)アクリレートモノマー以外の、ビニル基を有する炭化水素系モノマー等の公知の重合性モノマーを使用した共重合体であってもよい。また、「(メタ)アクリル酸誘導体」とは、(メタ)アクリル酸の金属塩、(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸アミド等の(メタ)アクリル酸と類似した構造を有する化合物を意味するものとする。)。
(メタ)アクリル系重合体の重量平均分子量(Mw)は5,000以上であり、好ましくは7,000以上であり、より好ましくは9,000以上であり、通常100,000以下であり、好ましくは70,000以下であり、より好ましくは50,000以下であり、更に好ましくは30.000以下である。(メタ)アクリル系重合体の重量平均分子量(Mw)が上記範囲内であると、塗布後の表面に微細な凹凸を形成し易くなる。なお、
(メタ)アクリル系重合体の重量平均分子量(Mw)は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)を用いて、ポリスチレン標準による換算値として決定することができる。
(メタ)アクリル系重合体の好ましいものとして、例えば、下記式(1)で表される化合物に由来する構造を少なくとも有する重合体が挙げられる。
CH2=C(−R)−C(=O)−O−R’ (1)
式(1)中、Rは水素原子又はメチル基を表し、R’は窒素原子、酸素原子、硫黄原子、リン原子、及びハロゲン原子からなる群より選ばれる少なくとも1つの原子を含んでいてもよい炭素数1〜24の有機基を表す。なお、「窒素原子、酸素原子、硫黄原子、リン原子、及びハロゲン原子からなる群より選ばれる少なくとも1つの原子を含んでいてもよい」とは、炭素原子及び水素原子のみから構成される有機基のみならず、炭素骨格の一部がこれらの原子に置換されている有機基、及びこれらの原子を含んだ、水酸基、アミノ基、チオール基、カルボキシル基、エステル基、スルホニル基、アミド基、リン酸エステル基、エーテル基、グリシジル基等の官能基を有する有機基が含まれることを意味するものとする。
成分(A)の(メタ)アクリル系重合体は、式(1)で表される構造として、2種類以上の構造を有する重合体であることが好ましい。2種類以上の構造を有すると、例えばSP値を制御することが容易であり、また、硬度を高める作用のある構造等、所望の物性を得るために必要な構造をそれぞれ導入することができ、本発明の硬化性組成物や該硬化性組成物から形成されるハードコート層等の物性を調節し易くなる。
(メタ)アクリル系重合体に含まれる構造としては、例えば以下の(1−1)、(1−2)の構造が挙げられる。
(1−1)式(1)においてR’が水素結合性基を有する炭素数1〜24の有機基である構造
式(1)においてR’が水素結合性基を有する炭素数1〜24の有機基である構造(以下、「(1−1)の構造」と略す場合がある。)は、(メタ)アクリル系重合体のSP値を高める作用があり、例えば(メタ)アクリル系重合体における(1−1)の構造の構成比率や有機基の水素結合性基の数によって、成分(A)の(メタ)アクリル系重合体のSP値を調節することができる。有機基の水素結合性基の数は、好ましくは1以上であり、好ましくは4以下、より好ましくは2以下である。また、有機基の炭素数は、好ましくは1以上、より好ましくは3以上であり、好ましくは22以下、より好ましくは18以下である。なお、水素結合性基とは、他の官能基と水素結合を形成し得る官能基を意味し、具体的には水酸基、アミノ基、チオール基、カルボキシル基、エステル基、スルホニル基、アミド基、リン酸エステル基、エーテル基、グリシジル基等が挙げられ、水酸基、アミノ基、アミド基、カルボキシル基、グリシジル基が好ましい。
(1−2)式(1)においてR’が炭素−炭素不飽和結合を有する炭素数1〜24の有機基である構造
式(1)においてR’が炭素−炭素不飽和結合を有する炭素数1〜24の有機基である構造(以下、「(1−2)の構造」と略す場合がある。)は、形成するハードコート層等の硬度を高める作用があり、例えば(メタ)アクリル系重合体における(1−2)の構造の構成比率によって、形成するハードコート層等の硬度を調節することができる。有機基の炭素−炭素不飽和結合の数は、通常1である。また、有機基の炭素数は、好ましくは1以上、より好ましくは3以上であり、好ましくは22以下、より好ましくは18以下である。なお、炭素−炭素不飽和結合とは、炭素−炭素二重結合又は炭素−炭素三重結合を意
味し、炭素−炭素二重結合であることが好ましく、また、炭素−炭素二重結合が(メタ)アクリロイル基であることがより好ましい。
(メタ)アクリル系重合体は、(1−1)の構造を有することが好ましく、(1−1)及び(1−2)の構造を有することがより好ましい。更に、成分(A)の(メタ)アクリル系重合体には、上記(1−1)、(1−2)の構造に加え、これらの構造以外の(メタ)アクレートモノマーや(メタ)アクリルアミドモノマー等が共重合されたものであってもよい。
(メタ)アクリル系重合体を製造するために使用する原料及びその調製方法は特に限定されず、公知の方法を適宜選択することができる。
例えば、使用する原料として、アクリル酸、メタクリル酸のほか、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシエチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレートモノマー;
グリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート等のオキシラン構造を有する(メタ)アクリレートモノマー;
パーフルオロヘキシルエチル(メタ)アクリレート、1H,1H,7H−ドデカフルオロヘプチル(メタ)アクリレート、1H,1H,9H−ヘキサデカフルオロノニル(メタ)アクリレート等のフルオロアルキル基を有する(メタ)アクリレートモノマー;
N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のアミノ基を有する(メタ)アクリレートモノマー;
2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールモノ(メタ)アクリレート等の水酸基を有する(メタ)アクリレートモノマー;
また、(メタ)アクリル酸誘導体以外の原料として、スチレン、p−クロロスチレン、p−メトキシスチレン、ジビニルベンゼン、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム、アクリロニトリル、エチレングリコールジビニルエーテル、ペンタエリスリトールジビニルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジビニルエーテル、トリメチロールプロパンジビニルエーテル、エチレンオキサイド変性ヒドロキノンジビニルエーテル、エチレンオキサイド変性ビスフェノールAジビニルエーテル、ペンタエリスリトールトリビニルエーテル、ジペンタエリスリトールヘキサビニルエーテル、ジトリメチロールプロパンポリビニルエーテル等のビニル基を有する炭化水素系モノマーが挙げられる。
なお、使用する原料は1種類に限られず、2種類以上を併用して(メタ)アクリル系重合体を調製してもよく、2種類以上を併用して(メタ)アクリル系重合体を調製することが好ましい。
これらの中でも、オキシラン構造を有する(メタ)アクリレートモノマーを使用することが好ましく、グリシジル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート及びエチル(メタ)アクリレートを使用することがより好ましい。オキシラン構造を有する(メタ)アクリレートモノマーを使用すると、得られた重合体を変性し易くなり、多種多様な構造を(メタ)アクリル系重合体に導入し易くなる。後述するが、例えば(1−1)の構造及び(1−2)の構造等は、導入されたオキシラン構造を容易に形成することができる。
(メタ)アクリル系重合体を製造するための重合条件は特に限定されず、公知の方法を適宜選択することができる。通常、(メタ)アクリル系重合体を得る反応はラジカル重合反応であり、有機溶媒中でラジカル重合開始剤の存在下、原料モノマーを重合させることにより、(メタ)アクリル系重合体を得ることができる。
例えば有機溶媒は、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン(MIBK)等のケトン系溶媒;エタノール、メタノール、イソプロピルアルコール(IPA)、イソブタノール等のアルコール系溶媒;エチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のエーテル系溶媒;酢酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、2−エトキシエチルアセタート等のエステル系溶媒;トルエン等の芳香族炭化水素溶媒等が挙げられる。これらの有機溶媒は1種のみを用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ラジカル重合開始剤は、ベンゾイルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキシド等の有機過酸化物、2,2’−アゾビスブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)等のアゾ化合物が挙げられる。これらのラジカル重合開始剤は1種のみを用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
重合温度は、通常20〜150℃、好ましくは50〜100℃である。また、重合時間は、通常1〜72時間、好ましくは3〜36時間である。
成分(A)の(メタ)アクリル重合体の原料として、オキシラン構造を有する(メタ)アクリレートモノマーを使用すると、得られた重合体を変性し易くなることを前述したが、以下、(メタ)アクリレートモノマーを使用して得られた重合体から、(1−1)の構造及び(1−2)の構造を形成する方法を説明する。
例えば、オキシラン構造を有する(メタ)アクリレートモノマーとしてグリシジルメタクリレートを使用して得られた重合体に、例えば乳酸等のヒドロキシカルボン酸を反応させると、下記式(2)で表されるように、(1−1)の構造を形成することができる(水素結合基として2つの水酸基を有する。)。
Figure 0006255859
また、例えば、オキシラン構造を有する(メタ)アクリレートモノマーとしてグリシジルメタクリレートを使用して得られた重合体に、アクリル酸等の(メタ)アクリロイル基を有するカルボン酸を反応させると、下記式(3)で表されるように、(1−2)の構造を形成することもできる。
Figure 0006255859
本発明に用いる成分(A)の(メタ)アクリル系重合体は、アンチブロッキング性向上の点から、2級水酸基当量(2級水酸基の導入量)が1.0mmol/g以上であることが好ましく、2.0mmol/g以上であることがより好ましく、3.0mmol/g以上であることが特に好ましい。また、成分(B)のデンドリマー(メタ)アクリレートとの相溶性の点から、2級水酸基当量は10.0mmol/g以下であることが好ましく、8.0mmol/g以下であることがより好ましく、6.0mmol/g以下であることが特に好ましい。2級水酸基当量は用いる原料に基づいて算出されるものとし、2級水酸基当量が上記範囲となるように上記式(2)や式(3)等を適宜組み合わせて原料モノマーを反応させることが好ましい。
本発明に用いる成分(A)の(メタ)アクリル系重合体は、形成される硬化物の耐傷付き性向上の点から、(メタ)アクリロイル当量((メタ)アクリロイル基の導入量)が1.0mmol/g以上であることが好ましく、2.0mmol/g以上であることがより好ましく、3.0mmol/g以上であることが特に好ましい。また、ゲル化防止の点から、(メタ)アクリロイル当量は10.0mmol/g以下であることが好ましく、8.0mmol/g以下であることがより好ましく、6.0mmol/g以下であることが特に好ましい。(メタ)アクリロイル当量は用いる原料に基づいて算出されるものとし、(メタ)アクリロイル当量が上記範囲となるように式(3)等の反応を選択することが好ましい。
なお、重合体のオキシラン構造とカルボン酸類(ヒドロキシカルボン酸及び/又はカルボン酸)との反応は、2種類以上の構造を形成するために使用することができる。例えばまず重合体のオキシラン構造とヒドロキシカルボン酸を反応させて(1−1)の構造を形成した後、さらに残存したオキシラン構造と炭素−炭素不飽和結合を有するカルボン酸を反応させ、(1−2)の構造を形成することもできる。
上記式(2)及び(3)に示すような重合体のオキシラン構造とカルボン酸類との反応条件は特に限定されず、公知の方法を適宜選択することができる。
反応は、無触媒又は触媒存在下の何れでもよいが、触媒としては、トリエチルアミン、ベンジルジメチルアミン等の3級アミン類、テトラエチルアンムニウムクロライド、テトラブチルアンモニウムブロマイド等のアンモニウム塩、トリフェニルホスフィン、トリブチルホスフィン等のホスフィン類、テトラブチルホスホニウムブロマイド、テトラブチルホスホニウムアイオダイド等のホスホニウム塩類が挙げられる。なお、触媒の使用量は、重合体の重量に対して、通常0.5重量%以上、好ましくは1.0重量%以上であり、通常5.0重量%以下、好ましくは3.5重量%以下である。
反応温度は、通常20〜200℃、好ましくは50〜150℃である。また、反応時間は、通常1〜72時間、好ましくは3〜20時間である。
(メタ)アクリル系重合体は、(1−1)の構造を形成する方法として、上記反応(2)の方法を使用することが好ましく、即ち、(メタ)アクリル系重合体は、オキシラン構造を有する(メタ)アクリル系重合体とヒドロキシカルボン酸とを反応させて得られる重合体であることが成分(A)のSP値をより高いものとし、アンチブロッキング性が向上する傾向にあるために好ましい。
なお、ヒドロキシカルボン酸は、目的とする(メタ)アクリル系重合体に応じて適宜選択されるべきであるが、例えば炭素数は、通常2以上、好ましくは3以上であり、通常10以下、好ましくは9以下である。また、−OH基の数は、通常1以上、好ましくは2以上であり、通常10以下、好ましくは6以下、より好ましくは2以下である。具体的なヒドロキシカルボン酸としては、グリコール酸、乳酸、グリセリン酸、ジメチロールプロピオン酸、2−ヒドロキシ酪酸、3−ヒドロキシ酪酸、γ−ヒドロキシ酪酸等が挙げられる。これらの中でも、オキシラン構造との反応性、反応制御等の観点から乳酸が特に好ましい。
オキシラン構造を有する(メタ)アクリル系重合体とヒドロキシカルボン酸とを反応させる場合に使用するオキシラン構造を有する(メタ)アクリル系重合体とヒドロキシカルボン酸の比率(重量比)は、好ましくは95.0:5.0〜50.0:50.0、より好ましくは93.0:7.0〜60.0:40.0、さらに好ましくは90.0:10.0〜70.0:30.0である。
(メタ)アクリル系重合体は、(1−2)の構造を形成する方法として、上記反応(3)の方法を使用することが好ましく、即ち、(メタ)アクリル系重合体は、オキシラン構造を有する(メタ)アクリル系重合体と炭素−炭素不飽和結合を有するカルボン酸とを反応させて得られる重合体であることが好ましい。
なお、アクリル酸等の(メタ)アクリロイル基を有するカルボン酸は、目的とする(メタ)アクリル系重合体に応じて適宜選択されるべきであるが、例えば炭素数は通常2以上、好ましくは3以上であり、通常10以下、好ましくは9以下である。具体的には、(メタ)アクリル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルコハク酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートと無水コハク酸、無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸などの酸無水物の付加体、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートと無水コハク酸、無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸などの酸無水物の付加体等が挙げられる。これらの中でも、アクリル酸が特に好ましい。
オキシラン構造を有する(メタ)アクリル系重合体と炭素−炭素不飽和結合を有するカルボン酸とを反応させる場合に使用するオキシラン構造を有する(メタ)アクリル系重合体と炭素−炭素不飽和結合を有するカルボン酸の比率(重量比)は、好ましくは95.0:5.0〜50.0:50.0、より好ましくは93.0:7.0〜60.0:40.0、さらに好ましくは90.0:10.0〜70.0:30.0である。
本発明の硬化性組成物に含まれる成分(A)の(メタ)アクリル系重合体は、1種類に限られず、2種類以上が含まれていてもよい。
本発明の硬化性組成物における成分(A)の含有量(2種類以上の場合は総含有量)は、硬化性組成物の用途に応じて適宜選択されるべきであるが、成分(A)及び成分(B)の合計量に対し、通常1重量%以上、好ましくは3重量%以上、より好ましくは5重量%以上であり、通常20重量%以下、好ましくは15重量%以下、より好ましくは10重量%以下である。
(成分(B))
本発明の硬化性組成物は、成分(B)の重量平均分子量(Mw)が5,000以下であるデンドリマー(メタ)アクリレートを含む。本発明において、「デンドリマー(メタ)アクリレート」とは、分岐した構造がさらに分岐して多重の分岐構造を形成し、該分岐構造が放射状に広がった構造を有する多官能(メタ)アクリレート(本発明において、「多官能(メタ)アクリレート」とは、(メタ)アクリロイル基を複数有する化合物を意味する。)を意味するものであり、通常、「ハイパーブランチポリマー」と呼ばれるものも含む概念で用いられる。
成分(B)のデンドリマー(メタ)アクリレートの製造方法は特に制限されないが、例えば下記式(4)で表されるような反応を繰り返すことによって多重の分岐構造を形成し、そして下記式(5)で表される反応のように、コアとなる化合物と反応させてデンドリマー構造を形成した後、デンドリマーの枝先の構造と(メタ)アクリル酸及び/又は(メタ)アクリル酸誘導体と反応させることによって製造することができる。
Figure 0006255859
Figure 0006255859
また、上記の製造方法の他に、成分(B)のデンドリマー(メタ)アクリレートの製造方法は、次のような製造方法により得ることもできる。
まず、アルコールに対し、少なくとも2個以上の水酸基を有するヒドロキシ酸を逐次反応させることにより、多分岐構造を有し、かつ末端に複数の水酸基を有する化合物を得る
。この逐次反応における反応時間は通常、3〜60時間、好ましくは5〜40時間であり、また、反応温度は通常50〜200℃、好ましくは60〜150℃である。なお、この反応は通常、有機溶媒中、酸触媒の存在下で実施することができる。
上記の方法において用いることのできるアルコールとしては、特に制限されないが、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、エチレングリコール、グリセロール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール等が挙げられる。これらのアルコールは1種のみを用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよいが、規則正しい構造を有するデンドリマー(メタ)アクリレートを得る観点からは1種のアルコールを用いることが好ましい。
また、2個以上の水酸基を有するヒドロキシ酸としては、特に制限されないが、例えば、ジメチロールプロピオン酸、グリセリン酸、メバロン酸、パントイン酸等が挙げられる。これらのヒドロキシ酸は1種のみを用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよいが、規則正しいデンドリマー(メタ)アクリレートを得る観点からは1種のヒドロキシ酸を用いることが好ましい。
更に、この反応で用いることのできる有機溶媒としては特に制限されないが、シクロヘキサン、n−ヘキサン、ヘプタン、メチルシクロヘキサン、トルエン等が挙げられる。また、酸触媒としては特に制限されないが、p−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸等の有機酸;硫酸、硝酸、塩酸、リン酸、ホウ酸等の無機酸が挙げられる。
なお、以上の反応をより厳密に制御する方法として、特開2008−81725号公報に開示されているように、多分岐構造を有し、かつ末端に複数の水酸基を有する化合物の水酸基を、ベンジリデン等により保護する方法が挙げられる。なお、この方法を次工程のために脱保護するためには、塩酸等の酸により洗浄する方法が挙げられる。
上記の反応により得られた多分岐構造を有し、かつ末端に複数の水酸基を有する化合物に対し、水酸基に反応することの可能な官能基を有する(メタ)アクリレートを反応させ、末端に複数の(メタ)アクリロイル基を導入することにより、デンドリマー(メタ)アクリレートを得ることができる。この反応において反応時間は、通常1〜12時間、好ましくは3〜8時間であり、また、反応温度は通常50〜200℃、好ましくは60〜150℃である。なお、この反応は先の工程における逐次反応と同様の有機溶媒中、同様の酸触媒の存在下で実施することができる。
ここでいう水酸基に反応するこの可能な官能基としては、例えば、カルボキシル基、エポキシ基、イソシアナート基等が挙げられる。また、水酸基に反応することの可能な官能基を有する(メタ)アクリレートとしては、特に制限されないが、例えば、(メタ)アクリル酸、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートのコハク酸付加物等のカルボキシル基を有する(メタ)アクリレート;グリシジル(メタ)アクリレート等のエポキシ基を有する(メタ)アクリレート;イソシアナートエチル(メタ)アクリレート等のイソシアナート基を有する(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらは1種のみを用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
具体的なデンドリマー(メタ)アクリレートは、例えば大阪有機化学工業株式会社製のV#1000、SIRIUS−501、SUBARU−501等が挙げられる。また、成分(B)のデンドリマー(メタ)アクリレートの中でも、ハイパーブランチポリマーに該当するものとしては、巴工業株式会社製SARTOMER(登録商標)CN2302、CN2303、CN2304等が挙げられる。
本発明の硬化性組成物に含まれる成分(B)のデンドリマー(メタ)アクリレートは、1種類に限られず、2種類以上が含まれていてもよい。
成分(B)のデンドリマー(メタ)アクリレートの重量平均分子量(Mw)は、5,000以下である。硬化性組成物の重量平均分子量(Mw)が5,000以下であると、硬化させた際の架橋点間距離が適度な範囲となり、硬化後の硬度を良好なものとすることができる。また、この硬化をより良好なものとする観点から、重量平均分子量(Mw)は、好ましくは4,000以下、より好ましくは3,000以下である。一方、下限は通常、300以上であり、好ましくは500以上である。
デンドリマー(メタ)アクリレートは、通常、デンドリマー(メタ)アクリレート以外の多官能(メタ)アクリレートと比較し、重量平均分子量が同程度の場合、その粘度が低くくなる傾向にある。本発明の硬化性組成物において、成分(B)のデンドリマー(メタ)アクリレートは、25℃の粘度が、好ましくは100mPa・s以上、より好ましくは200mPa・s以上であり、また、好ましくは1,500mPa・s以下、より好ましくは1,000mPa・s以下である。なお、25℃の粘度はE型粘度計により測定することができる。
本発明において成分(A)の(メタ)アクリル系重合体と成分(B)のデンドリマー(メタ)アクリレ−トは、これらが互いに反応し合う官能基をそれぞれ有していることが好ましい。このような官能基を有することにより、形成したハードコート層等の耐性を高めることができる。このような官能基の組み合わせとしては、活性水素を有する官能基(水酸基、アミノ基、チオール基、カルボキシル基など)とエポキシ基、活性水素を有する官能基とイソシアネート基、エチレン性不飽和基とエチレン性不飽和基(エチレン性不飽和基の重合が生じる。)、シラノール基とシラノール基(シラノール基の縮重合が生じる。)、シラノール基とエポキシ基、活性水素を有する官能基と活性水素を有する官能基、活性メチレンとアクリロイル基、オキサゾリン基とカルボキシル基等が挙げられる。なお、「互いに反応し合う官能基」とは、成分(A)の(メタ)アクリル系重合体と成分(B)のデンドリマー(メタ)アクリルレートのみでは反応が進行しないが、重合開始剤を加えることによって反応が進行するものも含まれる。
本発明の硬化性組成物における成分(B)の含有量(2種類以上の場合は総含有量)は、硬化性組成物の用途に応じて適宜選択されるが、成分(A)及び成分(B)の合計量に対し、好ましくは25.0重量%以上、より好ましくは35.0重量%以上、更に好ましくは45.0重量%以上であり、また、好ましくは99.5重量%以下、より好ましくは98.5重量%以下、更に好ましくは97.5重量%以下である。
(多官能(メタ)アクリレート)
本発明の硬化性組成物は、成分(A)及び成分(b)に加え、多官能(メタ)アクリレート(ただし、ここでいう「多官能(メタ)アクリレート」には成分(A)及び成分(B)に該当するものを除くものとする。)を含むことにより、形成される凹凸の高さを調節することができる。本発明の硬化性組成物は、多官能(メタ)アクリレートとして、成分(A)及び成分(B)以外の多官能(メタ)アクリレートを含むことができる。本発明の硬化性組成物が成分(A)、成分(B)及び多官能(メタ)アクリレートを含むことによって、形成される凹凸の高さを調節することができる。
多官能(メタ)アクリレートは、成分(A)及び成分(B)に該当せず、2以上の(メタ)アクリロイル基を有するものであれば特に制限されないが、(メタ)アクリロイル基の数は、好ましくは3以上である。また、多官能(メタ)アクリーレートについても、成
分(A)及び成分(B)に対し、反応する官能基を有していることが好ましい。このような官能基としては、成分(B)のデンドリマー(メタ)アクリレートの説明において挙げたものと同様である。
多官能(メタ)アクリレートの分子量(重量平均分子量(Mw))は、通常100以上、好ましくは200以上、より好ましくは300以上であり、また、通常8,000以下であり、好ましくは6,000以下、より好ましくは4,000以下である。上記範囲内であると、架橋点間距離を適度な範囲とし、十分な硬度を有する塗膜とすることができる。
多官能(メタ)アクリレートとしては、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ナノエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート等が挙げられる。なお、多官能(メタ)アクリレートは、エチレンオキシド(EO)構造を含まないものが好ましい。このような多官能(メタ)アクリレートであると、形成するハードコート層等の硬度を確保し易くなる。また、本発明の硬化性組成物に含むことのできる多官能(メタ)アクリレートは、1種類に限られず、2種類以上が含まれていてもよい。
多官能(メタ)アクリレートのSP値(SP値{多官能(メタ)アクリレート})の具体的な値については特に限定されないが、好ましくはSP値{多官能(メタ)アクリレート}≦16.0であり、より好ましくはSP値{多官能(メタ)アクリレート}≦15.5であり、更に好ましくはSP値{多官能(メタ)アクリレート}≦15.0であり、一方、好ましくはSP値{多官能(メタ)アクリレート}≧9.0であり、より好ましくはSP値{多官能(メタ)アクリレート}≧9.5であり、更に好ましくはSP値{多官能(メタ)アクリレート}≧10.0であり、特に好ましくはSP値{多官能(メタ)アクリレート}≧10.5である。SP値{多官能(メタ)アクリレート}が上記下限値以上であると、硬化性組成物の透明性の観点から好ましく、また、上記上限値以下であると、塗布後の表面に微細な凹凸を形成し易くなる傾向にあるために好ましい。なお、本発明の硬化性組成物が2種類以上のデンドリマー(メタ)アクリレートを含む場合、SP値{多官能(メタ)アクリレート}は、多官能(メタ)アクリレートのそれぞれのSP値を求め、これらの値の重量平均値として計算するものとする。
本発明の硬化性組成物に多官能(メタ)アクリレートを用いる場合、その含有量は、成分(A)、成分(B)及び多官能(メタ)アクリレートの合計量に対し、好ましくは5重量%以上であり、より好ましくは10重量%以上であり、一方、好ましくは90重量%以下であり、より好ましくは70重量%以下であり、更に好ましくは50重量%以下であり、特に好ましくは30重量%以下である。上記範囲において、成分(A)及び成分(B)以外の多官能(メタ)アクリレートを用いることにより、所望の硬化物表面の凹凸を制御することができる。
(成分(C))
本発明の硬化性組成物は、更に下記成分(C)を含むものであることが、アンチブロッキング性を更に向上させ、また、硬化物を高硬度とする観点から好ましい。
成分(C):平均一次粒子径が1μm以下の無機粒子
成分(C)の無機粒子としては、シリカ(オルガノシリカゾルを含む)、アルミナ、チ
タニア、ゼオライト、雲母、合成雲母、酸化カルシウム、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、フッ化マグネシウム、スメクタイト、合成スメクタイト、バーミキュライト、ITO(酸化インジウム/酸化錫)、ATO(酸化アンチモン/酸化錫)、酸化錫、酸化インジウム、酸化アンチモン等が挙げられる。なお、無機粒子は、1種類に限られず、2種類以上が含まれていてもよい。
成分(C)の無機粒子の平均一次粒子径は、通常、1μm以下であるが、好ましくは500nm以下、より好ましくは200nm以下であり、更に好ましくは100nm以下であり、一方、通常5nm以上、好ましくは10nm以上である。上記範囲内であれると、重力による沈降よりも熱拡散が支配するため、組成物中に安定に粒子を分散可能となり、さらにハードコート層を形成した際に効果的に表面に無機粒子を存在させることができる。また、無機粒子の平均一次粒子径が小さいほど、光学特性が良好になる傾向がある。なお、本発明における無機粒子の平均一次粒子径は、BET吸着法による比表面積測定値(JIS Z8830に準拠)を求め、以下の式から換算値として求められる値である。
[平均一次粒子径(nm)]=6,000/〔[比表面積(m2/g)]×[密度(g/cm3)]〕
本発明の硬化性組成物における成分(C)の含有量(2種類以上の場合は総含有量)は、成分(A)、成分(B)及び成分(C)の合計100重量部に対し、好ましくは0.05重量部以上、より好ましくは0.5重量部以上、更に好ましくは0.7重量部以上、特に好ましくは1重量部以上であり、一方、好ましくは30重量部以下、より好ましくは20重量部以下、更に好ましくは10重量部以下、特に好ましくは5重量部以下である。
(重合開始剤)
本発明の硬化性組成物は、成分(A)と成分(B)を含むものであれば、その他の成分については特に限定されないが、通常は重合開始剤を含むものである。
重合開始剤としては、成分(A)と成分(B)との間での硬化反応を促進させることができるものであれば特に制限はなく、公知のものを適宜選択することができる。例えば、アルキルフェノン型化合物(α−ヒドロキシアセトフェノン系、α−アミノアセトフェノン系、ベンジルケタール系など)、アシルホスフィンオキシド型化合物、オキシムエステル化合物、オキシフェニル酢酸エステル類、ベンゾインエ−テル類、フェニルギ酸エステル類、ケトン/アミン化合物等が挙げられる。具体的には、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインブチルエーテル、ジエトキシアセトフェノン、ベンジルジメチルケタール、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾインジフェニルホスフィンオキシド、2−メチル−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノ−1−プロパノン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン、メチルベンゾイルフォルメート、ミヒラーズケトン、N,N−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、2−クロロチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン等の光重合開始剤が挙げられる。重合開始剤は1種のみを用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明の硬化性組成物における重合開始剤の含有量(2種類以上の場合は総含有量)は、通常0.01重量%以上、好ましくは0.1重量%以上、より好ましくは1重量%以上であり、通常20重量%以下、好ましくは10重量%以下である。
(シリコーンオイル)
本発明の硬化性組成物は、成分(A)の(メタ)アクリロイル系重合体と成分(B)のデンドリマー(メタ)アクリレートとを含むことにより、(メタ)アクリロイル系重合体
とジペンタエリスリトールヘキサアクリレート等のデンドリマー(メタ)アクリレート以外の多官能(メタ)アクリレートを含むのもと比較して、後述する表面粗さ(Ra)のより大きな硬化物を得ることができる。この硬化性組成物に更にシリコーンオイルを含有することにより、表面粗さ(Ra)のより大きな硬化物は、その凹凸構造と相俟って、摩擦係数を下げられ、硬化物表面の滑り性を向上させることができるために好ましい。
本発明の硬化性組成物に含むことのできるシリコーンオイルとしては、特に制限されず、公知のものを使用することができる。具体的にはシリコーンオイルは、シロキサン結合からなる直鎖状ポリマーによって構成される。シロキサン結合からなる直鎖状ポリマーとしては、側鎖の一部がメチル基であるもの、側鎖の全てと両末端又は片末端がメチル基であるもの、側鎖の一部がフェニル基であるもの、側鎖の一部が水素結合性基であるもの、及び側鎖の一部が水素原子であるものが挙げられる。これらの中でも、側鎖の全てと両末端又は片末端がメチル基であるもの、側鎖の一部が水素結合性基であるもの、及び側鎖の一部が水素原子であるものが、アンチブロッキング性が良好でかつ光学特性が良好な点から好ましく、側鎖の全てと両末端又は片末端がメチル基であるものが表面偏析しやすい点から特に好ましい。また、シリコーンオイルは、さまざまな有機基を導入することでき、有機基の種類により性質が異なる。シリコーンオイルに導入することのできる有機基としては、アルキル基、アラルキル基、水酸基、アクリロイル基、カルボキシル基、カルボニル基、フルオロ基、アミノ基、エポキシ基などが挙げられる。これらの中でも、アンチブロッキング性が良好であるため、アルキル基、アラルキル基、水酸基、アクリロイル基、カルボキシル基、カルボニル基、エポキシ基が好ましく、アルキル基、アラルキル基、水酸基、アクリロイル基が特に好ましい。これらのシリコーンオイルは市販品として入手することが可能である。例えば、BYK Chemie社製BYKシリーズ、日信化学工業社製シルフェイスシリーズ等から該当品を選択することできる。
以上に挙げたシリコーンオイルは1種のみで用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、本発明の硬化性組成物がシリコーンオイルを含む場合、その含有量は、成分(A)及び成分(B)の合計100重量部に対し、0.001重量部以上であることが好ましく、0.05重量部以上であることがより好ましく、0.1重量部以上であることが更に好ましく、一方、20重量部以下であることが好ましく、10重量部以下であることがより好ましく、5.0重量部以下であることが更に好ましく、3.0重量部以下であることが特に好ましい。シリコーンオイルの含有量が上記範囲内であると、硬化物表面の滑り性、アンチブロッキング性の観点から好ましい。
(溶剤)
本発明の硬化性組成物は、PETフィルムのハードコート層等として利用するために、溶剤を含むものであることが好ましい。
溶剤としては、トルエン、キシレン等の芳香族系溶媒;メチルエチルケトン(MEK)、アセトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン系溶媒;ジエチルエーテル、イソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、アニソール、フェネトール等のエーテル系溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソプロピル、エチレングリコールジアセテート等のエステル系溶媒;ジメチルホルムアミド、ジエチルホルムアミド、N−メチルピロリドン等のアミド系溶媒;メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ等のセロソルブ系溶媒;メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール等のアルコール系溶媒;ジクロロメタン、クロロホルム等のハロゲン系溶媒等が挙げられる。なお、溶剤は、1種類に限られず、2種類以上が含まれていてもよい。
溶剤の使用量には特に制限はなく、調製される硬化性組成物の塗布性、液の粘度・固形分の相溶性等を考慮して適宜決定される。本発明の硬化性組成物は、通常、上述の溶剤を用いて固形分濃度が20〜99.9%、特に30〜80重量%の塗液として調製される。ここで、本発明の硬化性組成物における「固形分」とは、本発明の硬化性組成物に含まれる溶剤を除いた成分の合計を意味する。
(その他の任意の成分)
本発明の硬化性組成物は、表面調整剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤等の添加剤が含まれていてもよく、その種類や含有量も特に限定されない。これらの添加剤の含有量は、成分(A)及び成分(B)の合計100重量部に対し、それぞれ通常、0.01重量%以上であり、好ましくは0.05重量%以上であり、一方、通常10重量%以下であり、好ましくは5重量%以下であり、より好ましくは2重量%以下である。
例えば、表面調整剤としては、共栄社化学株式会社製のポリフローNo.75、ポリフローNo.77等のポリマー系レベリング剤等が挙げられる。表面調整剤は1種のみを用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤、リン系酸化防止剤等が挙げられる。酸化防止剤は1種のみを用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
紫外線吸収剤としては、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、サリチル酸系紫外線吸収剤、シアノアクリレート系紫外線吸収剤、トリアジン系紫外線吸収剤等が挙げられる。紫外線吸収剤は1種のみを用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(硬化性組成物の調製方法)
本発明の硬化性組成物の調製方法は特に限定されず、例えば、成分(A)、成分(B)及び必要に応じて多官能(メタ)アクレート、成分(C)、シリコーンオイル、重合開始剤、溶剤、添加剤等を混合することにより調製することができる。なお、前述の通り、無機粒子を用いる場合、無機粒子は成分(A)の(メタ)アクリル系重合体で表面修飾した形態で用いることが好ましい。
<硬化物・積層体>
本発明の硬化性組成物を硬化させることにより、硬化物を得ることができる。特に、硬化性組成物を硬化させてなるハードコート層を基材上に形成してなる積層体(以下、「本発明の積層体」と略す場合がある。)もまた本発明の一態様である。また、このように、本発明の硬化性組成物を硬化させることによりハードコートフィルムを得ることができる。更に、基材として他の樹脂フィルム上にこのハードコートフィルムを積層することによりフィルム積層体を得ることができる。
本発明の積層体は、ハードコート層が前述の本発明の硬化性組成物を硬化させて形成された層であれば、基材の種類は特に限定されない。この基材としては例えば、各種樹脂フィルム及び樹脂板等が挙げられる。
樹脂フィルムとしては例えば、トリアセチルセルロース(TAC)フィルム、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、ジアセチレンセルロースフィルム、アセテートブチレートセルロースフィルム、ポリエーテルスルホンフィルム、ポリアクリル系樹脂フィルム、ポリウレタン系樹脂フィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリスルホンフィル
ム、ポリエーテルフィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリエーテルケトンフィルム、(メタ)アクリルニトリルフィルム、シクロオレフィンポリマー(COP)フィルム等が挙げられる。
また、樹脂板として、アクリル板、トリアセチルセルロース板、ポリエチレンテレフタレート板、ジアセチレンセルロース板、アセテートブチレートセルロース板、ポリエーテルサルホン板、ポリウレタン板、ポリカーボネート板、ポリスルホン板、ポリエーテル板、ポリメチルペンテン板、ポリエーテルケトン板、(メタ)アクリルニトリル板等が挙げられる。
本発明の硬化性組成物は、アンチブロッキング性に優れることから、ロール状に巻回される樹脂フィルムを基材とすることが好ましい。
なお、基材の厚さは、積層体の用途に応じて適宜選択されるべきであるが、通常25〜1000μmである。
本発明の積層体において、ハードコート層の厚みは特に限定されず、積層体の用途に応じて適宜選択することができるが、通常0.5μm以上、好ましくは1μm以上、より好ましくは1.5μm以上であり、通常10μm以下、好ましくは7μm以下、より好ましくは5μm以下である。
本発明の積層体において、硬化性組成物の塗布方法は特に限定されず、公知の方法を適宜選択することができる。例えば、ディップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、スピンコート法、ローラーコート法、バーコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート法やエクストルージョンコート法(米国特許2681294号明細書)等が挙げられる。
本発明の積層体において、硬化性組成物の硬化方法は特に限定されず、光硬化であっても、熱硬化であってもよいが、光硬化であることが好ましい。なお、硬化のための光照射は、通常、積算光量が100mJ/cm2以上20,000mJ/cm2以下となるよう照射する。光源としては、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、メタルはライド、キセノンフラッシュ、紫外線LED、電子線などを用いることができる。
本発明の積層体は、ハードコート層表面に微細な凹凸を形成することによって、アンチブロッキング性に優れるものであるが、ハードコート層表面の表面粗さ(Ra)が大きいことが好ましい。例えば、2μmの膜厚でハードコート層を形成した場合、表面粗さ(Ra)は、好ましくは20nm以上、好ましくは30nm以上、より好ましくは40nm以上である。上限は特に制限はないが、通常100nm以下である。なお、表面粗さ(Ra)は、算術平均粗さ(Ra)を意味し、高輝度非接触3次元表面形状粗さ計(VEECO社製 WYKO NT9100)により測定することができる。
本発明の硬化性組成物を基材上に塗布し、該硬化性組成物からなる層の乾燥後の膜厚を2μmとしたときの全光線透過率とヘーズは、全光線透過率が通常85%以上、好ましくは90%以上であり、ヘーズは通常2.0%以下、好ましくは1.8%以下、より好ましくは1.5%以下、さらに好ましくは1.0%未満である。なお、全光線透過率の測定は、例えば濁度計(日本電色工業株式会社製)を用いて測定することができ、全光線透過率(Tt(%))は、ハードコート層に対する入射光強度(T0)とハードコート層を透過した全透過光強度(T1)とを測定し、下記式により算出される値である。
Tt(%)=(T1/T0)×100
ヘーズは、JIS K7136に準拠して、例えば濁度計(日本電色工業株式会社製)を用いて測定することができる。ヘーズは下記式より算出することができる。
H(%)=(Td/Tt)×100
(H:ヘーズ(曇価)(%)、Td:拡散透光率(%)、Tt:全光線透過率(%)
本発明の硬化性組成物は上述した硬化物、積層体の形態とすることにより、各種用途に好適に用いることができる。本発明の硬化性組成物は、具体的には、液晶表示装置(液晶ディスプレイ)、LED(発光ダイオードディスプレイ)、ELD(エレクトロルミネセンスディスプレイ)、VFD(蛍光ディスプレイ)、PDP(プラズマディスプレイパネル)等のフラットパネルディスプレイとして利用することができる。特に画面上の表示を押さえることによって機器を操作するタッチパネル用のフィルムに好適であり、例えば、銀行ATM、自動販売機、携帯情報端末(PDA)、複写機、ファクシミリ、ゲーム機、博物館およびデパート等の施設に設置される案内表示装置、カーナビゲーション、マルチメディアステーション(コンビニエンスストアに設置される多機能端末機)、携帯電話、鉄道車両のモニタ装置等に有用である。
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。即ち、材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り、適宜変更することができる。
<評価方法>
以下の実施例、比較例においては以下の方法により各種評価を行った。
(アンチブロッキング性)
積層体を2枚用意し、23℃、相対湿度60%下で硬化膜面同士を重ね合わせ、指圧にて約1kgの荷重を負荷した後、硬化膜面同士が易滑性を有しているか否かを確認し、以下の基準でアンチブロッキング性の評価を行った。
◎:容易に滑らせることができるもの
○:滑らせることができ、音が鳴ることもないもの
△:滑らせることは可能であるが、音が鳴るもの
×:硬化膜面同士が密着して滑らせることができないもの
(表面粗さ(Ra))
得られた積層体を23℃、相対湿度60%の恒温室に12時間放置した後、ハードコート層の表面粗さ(Ra)を高輝度非接触3次元表面形状粗さ計(VEECO社製 WYKO NT9100)により測定した。
<合成例1:(メタ)アクリル系重合体A、Bの合成>
(1)反応容器にプロピレングリコールモノメチルエーテル157.3g、グリシジルメタクリレート(GMA)98.0g、メチルメタクリレート(MMA)1.0g、エチルアクリレート(EA)1.0g、メルカプトプロピルトリメトキシシラン1.9g、及び2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)1.0gを加え、65℃で3時間反応させた。その後、さらに2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.5gを加えて3時間反応させた後、プロピレングリコールモノメチルエーテル138.1gとp−メトキシフェノール0.45gを加え100℃まで加熱した。次にアクリル酸50.7g、及びトリフェニルホスフィン3.1gを加えて110℃で6時間反応させることにより、アクリロイル基とメトキシシリル基を有する(メタ)アクリル系重合体を得た(固形分:30重量%)。以下、この得られた(メタ)アクリル系重合体を(メタ)アクリル系重合体Aと表記する。
(2)(メタ)アクリル系重合体Aは、アクリロイル基当量(アクリロイル基の導入量)4.47mmol/g、2級水酸基当量(2級水酸基の導入量)4.47mmol/gであった。これらの値は使用した原料の重量に基づいて算出した値である。
(3)(メタ)アクリル系重合体Aの重量平均分子量(Mw)は20,000であった。この値はGPC法により、次の条件で測定した値である。
機器 :東ソー株式会社製「HLC−8120GPC」
カラム :東ソー株式会社製「TSKgel Super H1000+H2000+H3000」
検出器 :示差屈折率検出器(RI検出器/内臓)
溶媒 :テトラヒドロフラン
温度 :40℃
流速 :0.5mL/分
注入量 :10μL
濃度 :0.2重量%
較正試料:単分散ポリスチレン
較正法 :ポリスチレン換算
(4)(メタ)アクリル系重合体AのSP値は17.8であった。このSP値は以下に示す濁度法に準拠する方法により測定した値である。
測定温度20℃で、(メタ)アクリル系重合体A0.5gを100mLビーカーに秤量し、良溶媒(プロピレングリコールモノメチルエーテル)10gを加え、マグネティックスターラーにより攪拌しながら溶解させた。次に、この希釈溶液に50mL滴下ロートを用いて低SP貧溶媒(n−ヘキサン)を徐々に滴下し、重合体溶液に濁りが生じた点を低SP貧溶媒の滴下量とした。また、別途、上記希釈溶液に高SP貧溶媒(イオン交換水)を徐々に滴下し、重合体溶液に濁りが生じた点を高SP貧溶媒の滴下量とした。(メタ)アクリル系重合体AのSP値は、上記各貧溶媒の濁点に至るまでの滴下量から算出した。
(5)反応容器に、(メタ)アクリル系重合体A3.75重量部とコロイダルシリカ(日産化学社製:MEK−ST(平均一次粒子径10〜15nm(カタログ値))1.25重量部を入れ、シランカップリング反応触媒としてアセチルアセトンアルミニウム0.005重量部を加え、70℃で4時間反応させ、(メタ)アクリル系重合体Aで表面修飾されたコロイダルシリカを調製した。以下、これを「(メタ)アクリル系重合体B」と表記する。
<実施例1>
合成例1で得られた(メタ)アクリル系重合体B、大阪有機化学株式会社製V#1000(デンドリマーアクリレート、SP値:14.3、重量平均分子量(Mw):1,900(SP値と重量平均分子量(Mw)はいずれも(メタ)アクリル系重合体Aと同様の方法により求めた値である。))、共栄社化学株式会社製ポリフローNo.77(ポリマー系表面調整剤、SP値:10.3(フェドアーズ法による算出値(カタログ値)))、及びBASF社製イルガキュア(登録商標)184(表−1中、「Irg184」と略記、重合開始剤)を混合し((メタ)アクリル系重合体B:V#1000:ポリフローNo.77:イルガキュア(登録商標)184=5.0:95.0:1.0:2.5(固形分の重量比))、さらにプロピレングリコール−メチルエチルケトン混合溶媒(PG:MEK=7:3(体積比))で希釈して、硬化性組成物を得た。表1において、(メタ)アクリル系重合体Bを(メタ)アクリル系重合体AとMEK−STとの混合物として、(メタ)アクリル系重合体AとV#1000との合計が100重量部基準となるように換算して硬化性組成物の配合を示す。
得られた硬化性組成物を、バーコーターにて乾燥後の膜厚が2μmとなるように二軸延伸PETフィルム(三菱樹脂製 商品名:ダイヤホイル(登録商標)O321E、125μm)に塗工し、80℃にて1分間乾燥させた。乾燥後、UV照射(条件:500mJ/cm2、450mW/cm2)によって硬化させ、ハードコート層を形成して積層体を得た。この積層体について、前記の方法により、アンチブロッキング性の評価及び表面粗さ(Ra)の測定を行った。その結果を表1に示す。
<比較例1>
大阪有機化学株式会社製V#1000の代わりにジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(表−1中、「DPHA」と略記、SP値:12.1、重量平均分子量(Mw):730(SP値と重量平均分子量(Mw)はいずれも(メタ)アクリル系重合体Aと同様の方法により求めた値である。))を用いた以外は実施例1と同様にして硬化性組成物を得た。また、実施例1と同様にしてハードコート層を形成して積層体を得た。この積層体について、実施例1と同様、アンチブロッキング性の評価及び表面粗さ(Ra)の測定を行った。
Figure 0006255859
<評価結果>
表1からわかるように、実施例1及び比較例1はいずれもアンチブロッキング性に優れたものであるが、実施例1は比較例1よりも表面粗さ(Ra)の大きな積層体が得られた。
本発明の硬化性組成物を硬化させて得られる硬化物は、液晶表示装置(液晶ディスプレイ)、LED(発光ダイオードディスプレイ)、ELD(エレクトロルミネセンスディスプレイ)、VFD(蛍光ディスプレイ)、PDP(プラズマディスプレイパネル)等のフラットパネルディスプレイとして利用することができる。特に画面上の表示を押さえることによって機器を操作するタッチパネル用のフィルムに好適であり、例えば、銀行ATM、自動販売機、携帯情報端末(PDA)、複写機、ファクシミリ、ゲーム機、博物館およびデパート等の施設に設置される案内表示装置、カーナビゲーション、マルチメディアステーション(コンビニエンスストアに設置される多機能端末機)、携帯電話、鉄道車両のモニタ装置等に有用である。

Claims (8)

  1. 下記成分(A)と下記成分(B)とを含み、成分(A)及び成分(B)の合計量に対し、成分(A)の含有量が20重量%以下である、硬化性組成物。
    成分(A):水酸基と(メタ)アクリロイル基を有し、重量平均分子量(Mw)が5,000超過であり、SP値{成分(A)}≧16.5である(メタ)アクリル系重合体
    成分(B):重量平均分子量(Mw)が5,000以下であり、SP値{成分(B)}≦15.0であるデンドリマー(メタ)アクリレート
  2. 成分(A)のSP値が16.5≦SP値{成分(A)}≦20.0であり、かつ成分(B)のSP値が9.0≦SP値{成分(B)}≦15.0である、請求項に記載の硬化性組成物。
  3. 更に下記成分(C)を含む、請求項1又は2の何れか1項に記載の硬化性組成物。
    成分(C):平均一次粒子径が1μm以下の無機粒子
  4. 成分(C)の含有量が、成分(A)、成分(B)及び成分(C)の合計100重量部に対し、0.05〜30重量部である、請求項に記載の硬化性組成物。
  5. 請求項1〜の何れか1項に記載の硬化性組成物硬化物。
  6. 請求項1〜の何れか1項に記載の硬化性組成物の硬化物であるハードコート層基材との積層体。
  7. 請求項に記載の硬化物からなるハードコートフィルム。
  8. 請求項に記載のハードコートフィルム樹脂フィルムとフィルム積層体。
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