JP2015065788A - 車両用回転電機 - Google Patents

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Abstract

【課題】ロードダンプ保護動作中の出力電圧変動を小さくすることができる車両用回転電機を提供すること。【解決手段】ロードダンプ保護制御部140は、出力電圧VBを監視し、出力電圧VBが第1のしきい値電圧V1を超えたときに、下アームのMOSトランジスタ51をオンした後に出力電圧VBが第1のしきい値電圧V1から第2のしきい値電圧V2まで低下する第1の時間tdと、出力電圧VBが第2のしきい値電圧V2よりも低くなったときに、MOSトランジスタ51をオフした後に出力電圧VBが再び第1のしきい値電圧V1を超えるまでの第2の時間tuとを測定し、第1の時間tdで定まる第3の時間TdでMOSトランジスタ51をオンする指示と、第2の時間tuで定まる第4の時間TuでMOSトランジスタ51をオフする指示を制御部100に対して行う。【選択図】図5

Description

本発明は、乗用車やトラック等に搭載される車両用回転電機に関する。
車両用発電機は、出力端子に接続された充電線を介してバッテリや各種の電気負荷に充電電力や動作電力を供給している。この車両用発電機の発電動作時に出力端子やバッテリ端子が外れると、ロードダンプと称される過渡的な高電圧が発生する。このとき発生する電圧は、出力電流等にもよるが場合によっては100V以上に達することがある。このようにして発生する高電圧は、電気負荷や車両用発電機内の各種素子の破損の原因になるため、何らかの対策(ロードダンプ保護)が必要になる。このような対策を行う従来技術としては、例えば車両用発電装置のブリッジ回路のローサイド素子をMOSトランジスタで構成し、ロードダンプ発生時に車両用発電装置の出力電圧が基準電圧を超えたときにこれらのMOSトランジスタをオンすることにより、高電圧の発生を抑制する保護動作を行うようにした車両用発電装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)。この車両用発電装置では、ブリッジ回路のローサイド素子としての各MOSトランジスタをオンすることで出力電圧が再び基準電圧以下になると、各MOSトランジスタは再びオフされ、ブリッジ回路による通常の整流動作が再開されるようになっている。
特開平9−219938号公報
ところで、特許文献1に開示された車両用発電装置では、固定子に蓄積されたエネルギーが消滅するまでこのロードダンプ保護と解除が繰り返されるが、ロードダンプ発生時に車両用発電装置の出力端子に接続されている電気負荷の大きさや種類によっては、ロードダンプ保護動作中の出力電圧の変動が過大になるという問題があった。例えば、車両用発電装置に内蔵されたノイズ除去用のコンデンサの容量が小さい場合に、出力端子に近い位置で充電ケーブルが外れてロードダンプが発生すると(接続される電気負荷が小さい場合)、ロードダンプ保護が解除された後出力電圧が急激に上昇することになる。このため、出力電圧が基準電圧を越えて再びロードダンプ保護を開始するまでの期間が長くなり、望ましくない。一方、出力端子から遠い位置で充電ケーブルが外れてロードダンプが発生すると(接続される電気負荷が大きい場合)、ロードダンプ保護時に出力電圧が急激に低下してしまう。
本発明は、このような点に鑑みて創作されたものであり、その目的は、ロードダンプ保護動作中の出力電圧変動を小さくすることができる車両用回転電機を提供することにある。
上述した課題を解決するために、本発明の車両用回転電機は、界磁巻線、固定子、スイッチング部、スイッチング制御部、ロードダンプ保護制御部を備えている。界磁巻線は、回転子の界磁極を磁化させる。固定子は、界磁極によって発生する回転磁界によって交流電圧を発生する多相巻線としての電機子巻線を有する。スイッチング部は、スイッチング素子によって複数の上アームおよび下アームを有するブリッジ回路が構成され、電機子巻線の誘起電圧を整流する。スイッチング制御部は、スイッチング素子のオンオフを制御する。ロードダンプ保護制御部は、スイッチング部の出力電圧を監視し、出力電圧が第1のしきい値電圧を超えたときに、上アームおよび下アームのいずれか一方を構成するスイッチング素子をオンした後に出力電圧が第1のしきい値電圧から第1のしきい値電圧よりも低い第2のしきい値電圧まで低下する第1の時間を測定する。また、ロードダンプ保護制御部は、出力電圧が第2のしきい値電圧よりも低くなったときに、上アームおよび下アームのいずれか一方を構成するスイッチング素子をオフした後に出力電圧が再び第1のしきい値電圧を超えるまでの第2の時間とを測定する。そして、ロードダンプ保護制御部は、第1の時間によって定まる第3の時間で上アームおよび下アームのいずれか一方を構成するスイッチング素子をオンする指示と、第2の時間によって定まる第4の時間で上アームおよび下アームのいずれか一方を構成するスイッチング素子をオフする指示をスイッチング制御部に対して行う。
ロードダンプ保護動作を開始した直後に出力電圧が第1のしきい値電圧から第2のしきい値電圧まで低下する時間と、反対に第2のしきい値電圧から第1のしきい値電圧まで上昇する時間とを実際に測定し、それ以後のオンオフ時間を実際に測定された時間よりも短くしている。このため、ロードダンプ発生時の電気負荷の大きさに関係なく、ロードダンプ保護動作中の出力電圧変動を小さくすることが可能となる。
一実施形態の車両用発電機の構成を示す図である。 発電制御装置の詳細構成を示す図である。 整流器モジュールの構成を示す図である。 制御回路の詳細構成を示す図である。 ロードダンプ保護制御部の詳細構成を示す図である。 ロードダンプ発生時に保護動作に移行し、その後、再度通常の同期整流動作に復帰するまでの遷移状態を示す図である。 車両用発電機の相電圧を示す図である。 ロードダンプ発生時の保護動作のタイミング図である。
以下、本発明の車両用回転電機を適用した一実施形態の車両用発電機について、図面を参照しながら説明する。図1に示すように、本実施形態の車両用発電機1は、2つの固定子巻線(電機子巻線)2、3、界磁巻線4、2つの整流器モジュール群5、6、発電制御装置7、ツェナーダイオード20、コンデンサ22を含んで構成されている。2つの整流器モジュール群5、6がスイッチング部に対応する。
一方の固定子巻線2は、多相巻線(例えばX相巻線、Y相巻線、Z相巻線からなる三相巻線)であって、固定子鉄心(図示せず)に巻装されている。同様に、他方の固定子巻線3は、多相巻線(例えばU相巻線、V相巻線、W相巻線からなる三相巻線)であって、上述した固定子鉄心に、固定子巻線2に対して電気角で30度ずらした位置に巻装されている。本実施形態では、これら2つの固定子巻線2、3と固定子鉄心によって固定子が構成されている。
界磁巻線4は、固定子鉄心の内周側に対向配置された界磁極(図示せず)に巻装されて回転子を構成している。界磁電流を流すことにより、界磁極が磁化される。界磁極が磁化されたときに発生する回転磁界によって固定子巻線2、3が交流電圧を発生する。
一方の整流器モジュール群5は、一方の固定子巻線2に接続されており、全体で三相全波整流回路(ブリッジ回路)が構成され、固定子巻線2に誘起される交流電流を直流電流に変換する。この整流器モジュール群5は、固定子巻線2の相数に対応する数(三相巻線の場合には3個)の整流器モジュール5X、5Y、5Zを備えている。整流器モジュール5Xは、固定子巻線2に含まれるX相巻線に接続されている。整流器モジュール5Yは、固定子巻線2に含まれるY相巻線に接続されている。整流器モジュール5Zは、固定子巻線2に含まれるZ相巻線に接続されている。
他方の整流器モジュール群6は、一方の固定子巻線3に接続されており、全体で三相全波整流回路(ブリッジ回路)が構成され、固定子巻線3に誘起される交流電流を直流電流に変換する。この整流器モジュール群6は、固定子巻線3の相数に対応する数(三相巻線の場合には3個)の整流器モジュール6U、6V、6Wを備えている。整流器モジュール6Uは、固定子巻線3に含まれるU相巻線に接続されている。整流器モジュール6Vは、固定子巻線3に含まれるV相巻線に接続されている。整流器モジュール6Wは、固定子巻線3に含まれるW相巻線に接続されている。
整流器モジュール群5、6は、互いにC端子で接続されており、必要となる情報を通信する。
発電制御装置7は、F端子を介して接続された界磁巻線4に流す界磁電流を整流器モジュール群5、6の出力電圧に応じて制御しており、界磁電流を調整することにより車両用発電機1の出力電圧(各整流器モジュールの出力電圧)VB が調整電圧Vreg になるように制御する。例えば、発電制御装置7は、出力電圧VB が調整電圧Vreg よりも高くなったときに界磁巻線4への界磁電流の供給を停止し、出力電圧VB が調整電圧Vreg よりも低くなったときに界磁巻線4に界磁電流の供給を行うことにより、出力電圧VB が調整電圧Vreg になるように制御する。また、発電制御装置7は、P端子に印加される固定子巻線のいずれかの相電圧(例えばX相)に基づいて回転子の回転数を検出し、回転停止を検出したときに界磁巻線4へ供給する界磁電流を低減する。具体的には、初期励磁状態に対応した値(例えば2A前後の値)に設定される。さらに、発電制御装置7は、通信端子LINおよび通信線を介してECU8(外部制御装置)と接続されており、ECU8との間で双方向のシリアル通信(例えば、LIN(Local Interconnect Network)プロトコルを用いたLIN通信)を行い、通信メッセージを送信あるいは受信する。
ツェナーダイオード20は、2つの整流器モジュール群5、6の出力に並列接続されている。具体的には、車両用発電機1の出力端子側がカソード、アース側がアノードとなるようにツェナーダイオード20が配置されている。本実施形態の車両用発電機1では、出力端子外れ等によるロードダンプが発生したときに過大な出力電圧の発生を終息させるロードダンプ保護動作が行われるが、瞬間的に発生する過大な出力電圧はツェナーダイオード20によって吸収される。コンデンサ22は、2つの整流器モジュール群5、6の出力に並列接続されており、車両用発電機1の出力端子に現れるノイズを吸収する。
図2に示すように、発電制御装置7は、MOSトランジスタ71、還流ダイオード72、抵抗73、74、電圧比較回路75、界磁電流制御回路76、回転検出回路77、通信回路78、電源回路79、コンデンサ80を有している。通信回路78は、ECU8や整流器モジュール5X等との間でシリアル通信を行う。これにより、ECU8から送られてくる調整電圧Vreg 等のデータや、整流器モジュール5X等から送られてくる界磁電流の供給停止/抑制を指示するデータなどを受信することができる。
抵抗73、74は、分圧回路を構成し、車両用発電機1の発電電圧(出力電圧)を分圧した電圧を電圧比較回路75に入力する。電圧比較回路75は、抵抗73、74で分圧された発電電圧と、通信回路78によって受信した調整電圧Vreg に対応する基準電圧とを比較する。例えば、比較結果として、基準電圧の方が発電電圧よりも高い場合にはハイレベルの信号が出力され、反対に発電電圧の方が基準電圧よりも高い場合にはローレベルの信号が出力される。
界磁電流制御回路76は、電圧比較回路75の出力(電圧比較結果)に基づいて決定した駆動デューティを有するPWM信号でMOSトランジスタ71をオンオフ制御する。なお、出力電流の急激な変動を抑えるために、界磁電流を徐々に変化させる徐励制御等を界磁電流制御回路76によって行うようにしてもよい。
回転検出回路77は、P端子を介して一方の固定子巻線2のX相巻線が接続されており、X相巻線の端部に現れる相電圧VP に基づいて、具体的には、相電圧と回転検出用の基準電圧の大小関係が周期的に変化することを検出して回転検出を行っている。整流器モジュール5Xや固定子巻線2などに短絡故障が発生していない正常時には、発電時にP端子には所定の振幅を有する相電圧VP が現れるため、この相電圧VP に基づく回転検出が可能となる。
界磁電流制御回路76は、回転検出回路77による回転検出結果が入力されており、回転検出中は発電動作に必要な界磁電流を界磁巻線4に供給するために必要なPWM信号を出力するが、所定時間(あるいは周期)以上回転停止(回転検出不能)状態が継続すると、界磁電流を初期励磁状態に対応した値にするために必要なPWM信号を出力する。
電源回路79は、発電制御装置7に含まれる各回路に動作電圧を供給する。コンデンサ80は、整流器モジュール群5、6の出力端子から侵入するノイズを除去するためのものであり、例えば1μF程度の容量を有している。
本実施形態の車両用発電機1はこのような構成を有しており、次に、整流器モジュール5X等の詳細について説明する。整流器モジュール5Xと他の整流器モジュール5Y、5Z、6U、6V、6Wは同じ構成を有している。以下では、整流器モジュール5Xについて詳細を説明する。図3に示すように、整流器モジュール5Xは、2つのMOSトランジスタ50、51、制御回路54を備えている。MOSトランジスタ50は、ソースが固定子巻線2のX相巻線に接続され、ドレインが充電線12を介して電気負荷10やバッテリ9の正極端子に接続された上アーム(ハイサイド側)のスイッチング素子である。MOSトランジスタ51は、ドレインがX相巻線に接続され、ソースがバッテリ9の負極端子(アース)に接続された下アーム(ローサイド側)のスイッチング素子である。また、MOSトランジスタ50、51のそれぞれのソース・ドレイン間にはダイオードが並列接続されている。このダイオードはMOSトランジスタ50、51の寄生ダイオード(ボディダイオード)によって実現されるが、別部品としてのダイオードをさらに並列接続するようにしてもよい。なお、上アームおよび下アームの少なくとも一方を、MOSトランジスタ以外のスイッチング素子を用いて構成するようにしてもよい。
図4に示すように、制御回路54は、制御部100、電源102、動作検出部120、130、ロードダンプ保護制御部140、温度検出部150、ドライバ170、172、通信回路180を備えている。
電源102は、エンジン始動に伴って固定子巻線2のX相巻線に所定の相電圧が発生したときに動作を開始し、制御回路54に含まれる各素子に動作電圧を供給する。この動作自体は、発電制御装置7において従来から行われている動作と同じであり、同じ技術を用いて実現することができる。
ドライバ170は、出力端子(G1)がハイサイド側のMOSトランジスタ50のゲートに接続されており、MOSトランジスタ50をオンオフする駆動信号を生成する。同様に、ドライバ172は、出力端子(G2)がローサイド側のMOSトランジスタ51のゲートに接続されており、MOSトランジスタ51をオンオフする駆動信号を生成する。
動作検出部120は、差動増幅器とその出力をデジタルデータに変換するアナログ−デジタル変換器(AD)によって構成されており、ハイサイド側のMOSトランジスタ50のソース・ドレイン間電圧(図3、図4のB−P端子間電圧)に対応するデータを出力する。制御部100は、このデータに基づいて、ドライバ170の駆動状態に対応するMOSトランジスタ50の動作状態を監視し、適宜MOSトランジスタ50の制御や故障検知を行う。
動作検出部130は、差動増幅器とその出力をデジタルデータに変換するアナログ−デジタル変換器(AD)によって構成されており、ローサイド側のMOSトランジスタ51のソース・ドレイン間電圧(図3、図4のP−GND端子間電圧)に対応するデータを出力する。制御部100は、このデータに基づいて、ドライバ172の駆動状態に対応するMOSトランジスタ51の動作状態を監視し、適宜MOSトランジスタ51の制御や故障検知を行う。
ロードダンプ保護制御部140は、車両用発電機1(整流器モジュール群5、6)の出力電圧(B端子電圧)を監視し、B端子電圧がロードダンプ発生を判定する第1のしきい値電圧V1(例えば24V)を超えたときに保護動作を開始し、その後、B端子電圧がこの保護動作によって低下して第1のしきい値電圧V1よりも低い第2のしきい値電圧V2(例えば12V)を一定時間以上継続して下回ったり、保護動作の継続時間が所定時間に達したときに保護動作を停止する。制御部100は、ロードダンプ保護制御部140による保護開始/保護停止指示等に応じて保護動作や保護動作解除後の整流動作を実行する。ロードダンプ保護制御部140の詳細構成および保護動作の詳細については後述する。
温度検出部150は、定電流源、ダイオード、差動増幅器とその出力をデジタルデータに変換するアナログ−デジタル変換器(AD)によって構成されており、温度によって変化するダイオードの順方向電圧降下に対応するデータを出力する。制御部100は、このデータに基づいて整流器モジュール5Xの温度を検出する。
通信回路180は、発電制御装置7の通信回路78に通信メッセージを送信する。
次に、ロードダンプ保護制御部140によるロードダンプ保護動作について説明する。図5に示すように、ロードダンプ保護制御部140は、B電圧判定部141、MOSオン・オフタイミング決定部142、MOS制御信号出力部143、Td・Tu測定部144、Td・Tu修正判定部145、保護動作継続判定部146、レギュ通知部147を備えている。
図6に示す状態遷移図において、「同期整流」はロードダンプが発生していない通常時において行われる同期整流動作を示している。バッテリ9の端子電圧をVbatt、MOSトランジスタ50、51のオン時のソース・ドレイン間電圧をαとすると、ロードダンプが発生していない通常時には、例えばX相巻線の相電圧VxがVbatt+αを超えたときにハイサイド側のMOSトランジスタ50がオンされ、相電圧Vxが−αよりも低下したときにローサイド側のMOSトランジスタ51がオンされる同期整流が行われる(図7、図6・S1)。この同期整流動作と並行して、B電圧判定部141は、出力電圧VBと第1のしきい値電圧V1とを比較する動作を行う(図6・S2)。
このような状態において、車両用発電機1の出力端子と充電線12との接続が外れたり、充電線12に接続されている大きな電気負荷10およびバッテリ9が外れると、車両用発電機1の固定子巻線2、3の各相電圧が一時的に高くなるロードダンプが発生する。このため、出力電圧VBが第1のしきい値電圧V1より高くなる。B電圧判定部141は、ロードダンプ保護動作の開始を指示する信号をMOSオン・オフタイミング決定部142、td・tu測定部144、Td・Tu修正判定部145、保護動作継続判定部146に送る。
MOSオン・オフタイミング決定部142は、保護動作の開始指示を受け取った時点を、片側アーム(例えば、下アームのMOSトランジスタ51)のオンタイミングとして決定し、MOS制御信号出力部143は、MOSトランジスタ51をオンする指示(オン指示)を制御部100に送る。制御部100は、MOS制御信号出力部143から送られてくるオン指示に応じて、ドライバ172を駆動してローサイド側(下アーム)のMOSトランジスタ51をオンする(図6・S3)。なお、MOSトランジスタ51をオンしている間、ドライバ170を駆動してハイサイド側(上アーム)のMOSトランジスタ50がオフされる。この点については、後述するS7等についても同様である。また、このようなMOSトランジスタ51のオン動作およびMOSトランジスタ50のオフ動作はすべてのMOSモジュール5X等で行われる。
また、td・tu測定部144は、保護動作の開始指示を受け取ってから次に出力電圧VBが第1のしきい値電圧V1より低くなってから第2のしきい値電圧V2に達するまでの時間td(第1の時間、図8)の測定を開始する(図6・S3)。
次に、B電圧判定部141は、出力電圧VBと第2のしきい値電圧V2とを比較する動作を行う(図6・S4)。出力電圧VBが第2のしきい値電圧V2よりも高い場合にはS3の動作が継続される。
出力電圧VBが第2のしきい値電圧V2よりも低くなると、次に、MOSオン・オフタイミング決定部142は、その時点を、片側アーム(例えば、下アームのMOSトランジスタ51)のオフタイミングとして決定し、MOS制御信号出力部143は、MOSトランジスタ51をオフする指示(オフ指示)を制御部100に送る。制御部100は、MOS制御信号出力部143から送られてくるオフ指示に応じて、ドライバ172を駆動してローサイド側(下アーム)のMOSトランジスタ51をオフする(図6・S5)。
また、td・tu測定部144は、次に出力電圧VBが第2のしきい値電圧V2より高くなってから第1のしきい値電圧V1に達するまでの時間tu(第2の時間、図8)の測定を開始する(図6・S5)。
次に、B電圧判定部141は、出力電圧VBと第1のしきい値電圧V1とを比較する動作を行う(図6・S6)。出力電圧VBが第1のしきい値電圧V1よりも低い場合にはS5の動作が継続される。
出力電圧VBが再び第1のしきい値電圧V1よりも高くなると、Td・Tu修正判定部145は、S3の測定で得られたtdとS5の測定で得られたtuのそれぞれに所定の係数k(1未満の値であって、例えば0.9)を乗算して片側アーム(例えば、下アームのMOSトランジスタ51)のオン時間を示すパラメータTd(=k・td)(第3の時間)と、片側アームのオフ時間を示すパラメータTu(=k・tu)(第4の時間)を決定する。MOSオン・オフタイミング決定部142は、Tdに対応する時間だけ片側アーム(例えば、下アームのMOSトランジスタ51)をオンする指示と、Tuに対応する時間だけ片側アームをオフする指示を制御部100に送る。制御部100は、これらの指示に応じて、ドライバ172を駆動してローサイド側(下アーム)のMOSトランジスタ51をTdに対応する時間オンする動作と、Tuに対応する時間オフする動作を交互に繰り返す(図6・S7)。
このような片側アームの交互のオンオフ動作と並行して、B電圧判定部141は、出力電圧VBと第2のしきい値電圧V2とを比較する動作を行う(図6・S8)。出力電圧VBが第2のしきい値電圧V2よりも低くなると、保護動作継続判定部146は、VB<V2が一定時間継続しているか否かを判定する(図6・S9)。一定時間継続していない場合には、Td・Tu修正判定部145は、Tuの値を増加する(図6・S10)。例えば、k’・Tu(k’は1より大きい値であって、例えば1.1)が新たなTuとして設定される(図8)。その後、Tdと新たなTuを用いてS7の動作が繰り返される。なお、S10において、Tuの値を増加する代わりにTdの値を減少させたり(例えばk・Tdを新たなTdとする)、Tuの値の増加とTdの値の減少を同時に行うようにしてもよい。
また、上述したS7における片側アームの交互のオンオフ動作と並行して、B電圧判定部141は、出力電圧VBと第1のしきい値電圧V1とを比較する動作を行う(図6・S11)。出力電圧VBが第1のしきい値電圧V1よりも高くなると、Td・Tu修正判定部145は、Tdの値を増加する(図6・S12)。例えば、k’・Tdが新たなTdとして設定される。その後、Tuと新たなTdを用いてS7の動作が繰り返される。なお、S12において、Tdの値を増加する代わりにTuの値を減少させたり(例えばk・Tuを新たなTuとする)、Tdの値の増加とTuの値の減少を同時に行うようにしてもよい。
一方、出力電圧VBが第1のしきい値電圧V1を超えていない場合には、保護動作継続判定部146は、ロードダンプ保護動作開始後所定時間が経過しているか否かを判定する(図6・S13)。所定時間が経過していない場合には、それまでのTd、Tuを用いてS7の動作が繰り返される。
ところで、S13において、ロードダンプ保護動作開始後所定時間が経過していると判定された場合や、S9において、VB<V2が一定時間継続していると判定された場合とは、ロードダンプ発生時に界磁巻線4に流れる電流が減少し、固定子巻線に発生するエネルギーが消滅した場合である。これらの場合には、その旨の通知がMOSオン・オフタイミング決定部142や制御部100に送られる。その後、制御部100による通常の整流動作(同期整流)に復帰する。なお、S9においては、VB<V2の継続時間を判定対象としているが、第2のしきい値電圧V2の代わりに第2のしきい値電圧V2とは異なる第3のしきい値電圧V3を用い、VB<V3の継続時間を判定対象としてもよい。
このように、本実施形態の車両用発電機1では、ロードダンプ保護動作を開始した直後に出力電圧VBが第1のしきい値電圧V1から第2のしきい値電圧V2まで低下する時間tdと、次に第2のしきい値電圧V2から第1のしきい値電圧V1まで上昇する時間とを実際に測定し、それ以後のオンオフ時間Td、Tuを実際に測定されたこれらの時間td、tuよりも短くしている。このため、ロードダンプ発生時の電気負荷10あるいは電気負荷8の大きさに関係なく、ロードダンプ保護動作中の出力電圧VBの変動を小さくすることが可能となる。
また、出力電圧VBが再び第1のしきい値電圧V1を超えたときに、MOSトランジスタ51をオンする時間Tdを増加して新たな時間Tdとして設定している。あるいは、出力電圧VBが再び第1のしきい値電圧V1を超えたときに、MOSトランジスタ51をオフする時間Tuを減少して新たな時間Tuとして設定している。これにより、MOSトランジスタ51を一定のオンオフ時間Td、Tuで駆動した際に出力電圧VBが高くなった場合であっても、オンオフ時間Td、Tuを修正して確実に出力時間VBを下げることが可能となる。
反対に、出力電圧VBが再び第2のしきい値電圧V2よりも低くなったときに、MOSトランジスタ51をオフする時間Tuを増加して新たな時間Tuとして設定している。あるいは、出力電圧VBが再び第2のしきい値電圧V2よりも低くなったときに、MOSトランジスタ51をオンする時間Tdを減少して新たな時間Tdとして設定している。これにより、MOSトランジスタ51を一定のオンオフ時間Td、Tuで駆動した際に出力電圧VBが低くなりすぎた場合であっても、オンオフ時間Td、Tuを修正して確実に出力電圧VBを上げて、車両用回転電機1に接続されている電気負荷10の電圧低下による誤動作を防止することができる。
また、出力電圧VBが最初に第1のしきい値電圧V1を超えてロードダンプ保護動作を開始してから所定時間が経過したときにロードダンプ保護動作を終了させている。これにより、確実にロードダンプ保護動作を終了させることができる。あるいは、第3のしきい値電圧V3(V2と同じであってもよい)よりも出力電圧VBが低い状態が一定時間継続したときにロードダンプ保護動作を終了させている。これにより、固定子に蓄積されたエネルギーが消滅した時点で早期にロードダンプ保護動作を終了させることができる。
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内において種々の変形実施が可能である。例えば、上述した実施形態では、ロードダンプ保護動作と発電制御装置7による界磁電流の供給動作とは別々に行っていたが、これらを連携させるようにしてもよい。例えば、ロードダンプ保護制御部140内のレギュ通知部147は、ロードダンプ保護動作を開始してから終了するまでの間、界磁電流の供給停止あるいは供給抑制を要求する通知を制御部100経由で発電制御装置7に送る(図8「RP端子」)。発電制御装置7は、この通知を受け取ると、界磁電流の供給を停止し、あるいは供給を抑制する。例えば、電圧比較回路75は、調整電圧Vregに対応する基準電圧を下げることにより、界磁電流の供給停止や供給抑制を行う。これにより、ロードダンプ保護動作中に新たに界磁巻線4にエネルギーが蓄積されることを防止し、早期にロードダンプ保護動作を終了させることができる。
あるいは、ロードダンプ保護動作を開始した整流器モジュール(整流器モジュール群5、6の一つ)がMOSトランジスタ50、51のオン/オフタイミングを決定し、整流器モジュール間で互いに接続されたC端子を使ってタイミング信号を送信し、同一のタイミングで他の整流器モジュールのオン/オフが行われるようにしてもよい。オン/オフタイミングは最も早くオン/オフタイミングを定めた整流器モジュールのタイミングに合わせるか、あるいは特定の整流器モジュールが代表してタイミングを決定してもよい。
また、上述した実施形態では、2つの固定子巻線2、3と2つの整流器モジュール群5、6を備えるようにしたが、一方の固定子巻線2と一方の整流器モジュール群5を備える車両用発電機についても本発明を適用することができる。
また、上述した実施形態では、各整流器モジュール5X等を用いて整流動作(発電動作)を行う場合について説明したが、MOSトランジスタ50、51のオン/オフタイミングを変更することにより、バッテリ9から印加される直流電流を交流電流に変換して固定子巻線2、3に供給することにより、車両用発電機1に電動動作を行わせるようにしてもよい。
また、上述した実施形態では、2つの整流器モジュール群5、6のそれぞれに3つの整流器モジュールを含ませるようにしたが、整流器モジュールの数は3以外であってもよい。
また、上述した実施形態では、下アームのMOSトランジスタ51をオンしてロードダンプ保護を行ったが、反対に上アームのMOSトランジスタ50をオン(この場合にはMOSトランジスタはオフ)するようにしてもよい。
また、上述した実施形態では、上アームと下アームの両方にMOSトランジスタを用いたが、下アームのみをMOSトランジスタ(MOSトランジスタ51をオンする場合)とし、上アームをダイオードで構成するようにしてもよい。あるいは、上アームのみをMOSトランジスタ(MOSトランジスタ50をオンする場合)とし、下アームをダイオードで構成するようにしてもよい。
上述したように、本発明によれば、ロードダンプ保護動作を開始した直後に出力電圧が第1のしきい値電圧から第2のしきい値電圧まで低下する時間と、反対に第2のしきい値電圧から第1のしきい値電圧まで上昇する時間とを実際に測定し、それ以後のオンオフ時間を実際に測定された時間よりも短くしている。このため、ロードダンプ発生時の電気負荷の大きさに関係なく、ロードダンプ保護動作中の出力電圧変動を小さくすることが可能となる。
1 車両用発電機
2、3 固定子巻線
4 界磁巻線
5、6 整流器モジュール群
50、51 MOSトランジスタ
100 制御部
140 ロードダンプ保護制御部

Claims (11)

  1. 回転子の界磁極を磁化させる界磁巻線(4)と、
    前記界磁極によって発生する回転磁界によって交流電圧を発生する多相巻線としての電機子巻線(2、3)を有する固定子と、
    スイッチング素子(50、51)によって複数の上アームおよび下アームを有するブリッジ回路が構成され、前記電機子巻線の誘起電圧を整流するスイッチング部(5、6)と、
    前記スイッチング素子のオンオフを制御するスイッチング制御部(100、170、172)と、
    前記スイッチング部の出力電圧を監視し、前記出力電圧が第1のしきい値電圧を超えたときに、前記上アームおよび前記下アームのいずれか一方を構成する前記スイッチング素子をオンした後に前記出力電圧が前記第1のしきい値電圧から前記第1のしきい値電圧よりも低い第2のしきい値電圧まで低下する第1の時間と、前記出力電圧が前記第2のしきい値電圧よりも低くなったときに、前記上アームおよび前記下アームのいずれか一方を構成する前記スイッチング素子をオフした後に前記出力電圧が再び前記第1のしきい値電圧を超えるまでの第2の時間とを測定し、前記第1の時間によって定まる短い第3の時間で前記上アームおよび前記下アームのいずれか一方を構成する前記スイッチング素子をオンする指示と、前記第2の時間によって定まる第4の時間で前記上アームおよび前記下アームのいずれか一方を構成する前記スイッチング素子をオフする指示を前記スイッチング制御部に対して行うロードダンプ保護制御部(140)と、
    を備えることを特徴とする車両用回転電機。
  2. 請求項1において、
    前記第3の時間は、前記第1の時間に1未満の値を乗算することにより設定されることを特徴とする車両用回転電機。
  3. 請求項1または2において、
    前記第4の時間は、前記第2の時間に1未満の値を乗算することにより設定されることを特徴とする車両用回転電機。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項において、
    前記ロードダンプ保護制御部は、前記出力電圧が再び前記第1のしきい値電圧を超えたときに、前記第3の時間を増加して新たな前記第3の時間として設定することを特徴とする車両用回転電機。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項において、
    前記ロードダンプ保護制御部は、前記出力電圧が再び前記第1のしきい値電圧を超えたときに、前記第4の時間を減少して新たな前記第4の時間として設定することを特徴とする車両用回転電機。
  6. 請求項1〜5のいずれか一項において、
    前記ロードダンプ保護制御部は、前記出力電圧が再び前記第2のしきい値電圧よりも低くなったときに、前記第4の時間を増加して新たな前記第4の時間として設定することを特徴とする車両用回転電機。
  7. 請求項1〜6のいずれか一項において、
    前記ロードダンプ保護制御部は、前記出力電圧が再び前記第2のしきい値電圧よりも低くなったときに、前記第3の時間を減少して新たな前記第3の時間として設定することを特徴とする車両用回転電機。
  8. 請求項1〜7のいずれか一項において、
    前記ロードダンプ保護制御部は、前記出力電圧が最初に前記第1のしきい値電圧を超えてから所定時間が経過したときに、前記上アームおよび前記下アームのいずれか一方を構成する前記スイッチング素子をオンするロードダンプ保護動作を終了することを特徴とする車両用回転電機。
  9. 請求項1〜8のいずれか一項において、
    前記ロードダンプ保護制御部は、前記第1のしきい値電圧よりも低い第3のしきい値電圧よりも前記出力電圧が低い状態が一定時間継続したときに、前記上アームおよび前記下アームのいずれか一方を構成する前記スイッチング素子をオンするロードダンプ保護動作を終了することを特徴とする車両用回転電機。
  10. 請求項8または9において、
    前記界磁巻線に供給する励磁電流を調整することにより出力電圧を制御する発電制御装置(7)と、
    前記ロードダンプ保護制御部は、前記ロードダンプ保護動作の期間に、前記発電制御装置に対して、界磁電流の供給を停止あるいは抑制する指示を送り、前記発電制御装置は、この指示に応じて界磁電流の供給を停止あるいは抑制することを特徴とする車両用回転電機。
  11. 請求項1〜10のいずれか一項において、
    前記ロードダンプ保護制御部は、前記多相巻線の各相に接続された各スイッチング部が通信線で接続され、同一のタイミングで前記スイッチング素子のオンオフを制御することを特徴とする車両用回転電機。
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