JP2015063758A - 銅合金線材 - Google Patents

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Abstract

【課題】引張強さの高い銅合金線材を提供する。【解決手段】本発明の銅合金線材10は、合金組成におけるZrが3.0at%以上7.0at%以下であり、銅母相30と、銅−Zr化合物相22と銅相21とからなる複合相20とを備えている。図1に示すように、銅母相30と複合相20とが母相−複合相繊維状組織を構成し、軸方向に対して平行で中心軸を含む断面を見たときに銅母相30と複合相20とが軸方向に平行に交互に配列している。さらに、複合相20は、銅−Zr化合物相22と銅相21とが複合相内繊維状組織を構成し、上述した断面を見たときに銅−Zr化合物相22と銅相21とが50nm以下の相間隔で軸方向に平行に交互に配列している。このように、二重の繊維状組織を有し、これらが緻密な繊維状となすことで、あたかも繊維強化複合材における複合則が成立するがごとくの強化機構が生まれるものと考えられる。【選択図】図1

Description

本発明は、銅合金線材およびその製造方法に関する。
従来、線材用の銅合金として、Cu−Zr系のものが知られている。例えば、特許文献1では、0.01〜0.50重量%のZrを含むものにおいて溶体化処理を行って最終線径まで伸線加工を行った後に所定の時効処理をすることによって導電率と引張強さとを向上させた銅合金線材が提案されている。この銅合金線材では、Cu母相内にCu3Zrを析出させて730MPaまで高強度化を図っている。また、特許文献2において、本発明者らは、0.05〜8.0at%のZrを含み、Cu母相と、CuとCu−Zr化合物との共晶相と、が互いに層状となる組織で構成され、隣り合うCu母相結晶粒同士が断続的に接する2相組織を呈する銅合金とすることで、1250MPaまで高強度化を図ることを提案している。
特開2000−160311号公報 特開2005−281757号公報
しかしながら、特許文献1,2に記載の銅合金線材では、細線化した場合などに十分な引張強さが得られないことがあり、更なる高強度化が望まれていた。
本発明はこのような課題を解決するためになされたものであり、引張強さをより高めることができる銅合金線材を提供することを主目的とする。
上述の目的を達成するために鋭意研究したところ、本発明者らは、Zrを3.0at%以上7.0at%以下の範囲で含む銅合金について純銅鋳型で直径が3mm〜10mmの棒状のインゴットを鋳造し、このインゴットを断面減少率が99.00%以上となるように伸線したところ、高強度の銅合金線材が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明の銅合金線材は、
銅母相と、
銅−Zr化合物相と銅相とからなる複合相と、
を備え、
合金組成におけるZrが3.0at%以上7.0at%以下であり、
前記銅母相と前記複合相とが母相−複合相繊維状組織を構成し、軸方向に対して平行で中心軸を含む断面を見たときに前記銅母相と前記複合相とが軸方向に平行に交互に配列しており、
さらに、前記複合相は、前記銅−Zr化合物相と前記銅相とが複合相内繊維状組織を構成し、前記断面を見たときに前記銅−Zr化合物相と前記銅相とが50nm以下の相間隔で軸方向に平行に交互に配列しているものである。
あるいは、本発明の銅合金線材は、
銅母相と、
銅−Zr化合物相と銅相とからなる複合相と、
を備え、
合金組成におけるZrが3.0at%以上7.0at%以下であり、
前記複合相は、軸方向に対して平行で中心軸を含む断面を見たときに面積率で5%以上25%以下のアモルファス相を含むものである。
また、本発明の銅合金線材の製造方法は、
(1)Zrを3.0at%以上7.0at%以下の範囲で含む銅合金となるように原料を溶解する溶解工程と、
(2)2次デンドライトアーム間隔(2次DAS)が10.0μm以下となるようにインゴットを鋳造する鋳造工程と、
(3)前記インゴットを断面減少率が99.00%以上となるように冷間で伸線する伸線工程と、
を含むものである。
あるいは、本発明の銅合金線材の製造方法は、
(1)Zrを3.0at%以上7.0at%以下の範囲で含む銅合金となるように原料を溶解する溶解工程と、
(2)銅鋳型で直径が3mm以上10mm以下の棒状のインゴットを鋳造する鋳造工程と、
(3)前記インゴットを断面減少率が99.00%以上となるように冷間で伸線する伸線工程と、
を含むものである。
この銅合金線材では、引張強さを高めることができる。このような効果が得られる理由は定かではないが、母相−複合相繊維状組織と、複合相内繊維状組織という、二重の繊維状組織を有し、これらが緻密な繊維状となることで、あたかも繊維強化複合材における複合則が成立するがごとくの強化機構が生まれるものと推察される。若しくは、複合相中に存在するアモルファス相が、何らかの強化機構を発現しているものと推察される。
本発明の銅合金線材10の一例を表す説明図である。 本発明の銅合金線材10の軸方向に対して平行で中心軸を含む断面の一例を表す説明図である。 本発明の銅合金線材10の軸方向に対して平行で中心軸を含む断面の一例を表す説明図である。 Cu−Zr二元系合金の平衡状態図である。 本発明の銅合金線材の製造方法の各工程における銅合金を模式的に表した説明図である。 鋳型と直径3mmの丸棒インゴットの写真である。 伸線加工に用いたダイヤモンド・ダイスの写真である。 Zr4.0at%を含む、直径5mmのインゴットの軸方向に対して垂直な断面での鋳造組織のSEM写真である。 実施例6の銅合金線材の軸方向に対して垂直な断面でのSEM写真である。 実施例6の銅合金線材の軸方向に対して平行で中心軸を含む断面でのSEM写真である。 実施例6の共晶相のSTEM写真である。 共晶相内のアモルファス相を模式的に示した図である。 Zr3.0〜5.0at%を含むインゴットの鋳造組織の光学顕微鏡写真である。 Zr3.0at%を含むインゴットの鋳造組織のSEM写真である。 実施例28の銅合金線材の断面のSEM写真である。 実施例36の銅合金線材の表面のSEM写真である。 実施例31の銅合金線材の共晶相のSTEM写真である。 実施例31の銅合金線材の共晶相のSTEM写真である。 加工度η=5.9の銅合金線材における共晶相比率とEC,UTS,σ0.2との関係を示すグラフである。 Zr4.0at%を含む銅合金線材における加工度ηとEC,UTS,σ0.2との関係を示すグラフである。 Zr4.0at%を含む銅合金線材の縦断面のSEM写真である。 実施例28の銅合金線材を焼鈍した焼鈍材について、焼鈍温度とEC,UTSとの関係を示すグラフである。 実施例36の銅合金線材の公称S−S曲線を示すグラフである。 実施例36の銅合金線材の引張試験後の破断面のSEM写真である。 実施例33の銅合金線材の縦断面の複合相のSTEM写真である。 実施例33の銅合金線材の共晶相のEDX分析結果である。 実施例33の銅合金線材の銅母相のEDX分析結果である。 実施例33の銅合金線材のSTEM−BF像である。 加工度η=8.6の銅合金線材における、η=5.9時の共晶相比率と、UTS,σ0.2,ヤング率,EC,伸びとの関係示すグラフである。 Zr4.0at%を含む銅合金線材について、加工度とUTS,σ0.2,組織,ECとの関係を示すグラフである。 Zr量,加工度ηと、組織・性質の変化との関係を考察した結果をまとめた図である。 実施例28〜36及び比較例6の銅合金線材のUTSとECとの関係を示したグラフである。
本発明の銅合金線材を図面を用いて説明する。図1は、本発明の銅合金線材10の一例を表す説明図であり、図2,3は、本発明の銅合金線材10の軸方向に対して平行で中心軸を含む断面の一例を表す説明図である。本発明の銅合金線材10は、銅母相30と、銅−Zr化合物相22と銅相21とからなる複合相20と、を備えている。本発明の銅合金線材10は、銅母相30と複合相20とが母相−複合相繊維状組織を構成し、軸方向に対して平行で中心軸を含む断面を見たときに銅母相30と複合相20とが軸方向に平行に交互に配列している。
銅母相30は、初晶銅により構成され、複合相20とともに母相−複合相繊維状組織を構成している。この銅母相30によって、導電率を高くすることができる。
複合相20は、銅−Zr化合物相22と銅相21とにより構成され、銅母相30とともに母相−複合相繊維状組織を構成している。さらにこの複合相20は、銅−Zr化合物相22と銅相21とが複合相内繊維状組織を構成し、軸方向に対して平行で中心軸を含む断面を見たときに銅−Zr化合物相22と銅相21とが50nm以下の相間隔で軸方向に平行に交互に配列している。銅−Zr化合物相22は一般式Cu9Zr2で表される化合物からなるものである。この相間隔は、50nm以下であればよいが、40nm以下であることが好ましく、30nm以下であることがより好ましい。50nm以下であれば引張強さをより高めることができるからである。なお、この相間隔は7nmより大きいことが好ましく、製造を容易にする観点から、10nm以上がより好ましく、20nm以上がさらに好ましい。ここで、相間隔は、以下のようにして求めることができる。まず、STEM観察の試料として、Arイオン・ミリング法を用いて細くした線材を用意する。次に、代表的となる中心部分のうち共晶相が確認できる部分を50万倍以上の倍率、例えば50万倍や250万倍などで観察し、50万倍では例えば300nm×300nmの視野の3ヶ所について、250万倍では例えば50nm×50nmの視野の10箇所について、STEM−HAADF像(走査型電子顕微鏡の高角度環状暗視像)を撮影する。そして、STEM−HAADF像上で幅を確認できるすべての銅−Zr化合物相22と銅相21の幅を測定してこれらを合計し、幅を測定した銅−Zr化合物相22の数と銅相21の数との合計の数で除して平均値を求め、これを相間隔とする。ここで、引張強さを高める観点からは、銅−Zr化合物相22と銅相21とはほぼ等間隔で交互に配列していることが好ましい。
この複合相20は、軸方向に対して平行で中心軸を含む断面を見たときに面積率で5%以上35%以下のアモルファス相を含むことが好ましく、5%以上25%以下のアモルファス相を含むことがより好ましい。すなわち、複合相20に対して面積率で5%以上35%以下のアモルファス相を含むものであることが好ましく、5%以上25%以下のアモルファス相を含むものであることがより好ましい。このうち10%以上であることがより好ましく、15%以上であることがさらに好ましい。アモルファス相が5%以上であれば引張強さをより高めることができるからである。また、35%以上のアモルファス相を含むものは製造しにくいからである。なお、図3に示すように、アモルファス相25は、主に銅−Zr化合物相22と銅相21との界面に形成され、これが引張強さを保持する役割の一端を担っていると考えられる。ここで、アモルファス相の面積率は、以下のようにして求めることができる。まず、STEM観察の試料として、Arイオン・ミリング法を用いて細くした線材を用意する。次に、代表的となる中心部分のうち共晶相が確認できる部分について50万倍以上の倍率、例えば50万倍や250万倍などで観察し、50万倍では300nm×300nmの視野での格子像を3ヶ所、250万倍では例えば50nm×50nmの視野での格子像を10箇所撮影する。そして、得られたSTEMの格子像上でアモルファスと思われる原子の無配列な領域の面積率を測定して平均値を求め、これをアモルファス相の面積率(以下、アモルファス比率とも称する)とする。
本発明の銅合金線材10は、軸方向に対して垂直な断面を観察したときに、複合相が面積率で40%以上60%以下の範囲を占めるものであることが好ましく、45%以上60%以下であることがより好ましく、50%以上60%以下であることがさらに好ましい。40%以上であればより強度を高めることができ、60%以下であれば複合相が多くなりすぎないから伸線加工中に硬い銅−Zr化合物が起点となって生じることのある断線を抑制することができる。なお、本発明の組成範囲では複合相の面積率は60%を超えないものと推察される。また、この銅合金線材を導線として使用する場合には、複合相20が面積率で40%以上50%以下であることが好ましい。銅母相30が自由電子の導体の役割を果たして導電性を保ち、銅−Zr化合物を含む複合相20が機械強度を保っているものと推察され、複合相20の割合が40%以上50%以下であればより導電率を高めることができるからである。なお、ここでいう導電率は、焼き鈍した純銅の導電率を100%としたときの相対比で導電率を表したものであり、単位として%IACSを用いる(以下同じ)。ここで、複合相20の面積率は以下のようにして求めることができる。まず、伸線後の銅合金線材について、軸方向に対して垂直な円形断面でSEM観察を行う。次に、複合相(白く見える部分)と、銅母相(黒く見える部分)とを白黒コントラストを二値化して断面全体における複合相の比率を求める。そして、得られた値を複合相の面積率(以下複合相比率とも称する)とする。
本発明の銅合金線材10は、合金組成におけるZrが3.0at%以上7.0at%以下である。残部は、銅以外の元素を含んでもよいが、銅と不可避的不純物からなるものであることが好ましく、不可避的不純物が可能な限り少ないことが好ましい。すなわち、Cu−Zr二元系合金であり、組成式Cu100-xZrxで表され式中のxが3.0以上7.0以下であることが好ましい。Zrの割合は3.0at%以上7.0at%以下であればよいが、4.0at%以上6.8at%以下が好ましく、5.0at%以上6.8at%以下がより好ましい。図4は、Cu−Zr二元系合金の平衡状態図である。これによると、本発明の銅合金線材の組成はCuとCu9Zr2との亜共晶組成であり、複合相20は、CuとCu9Zr2との共晶相となっているものと考えられる。そして、Zrが3.0at%以上であれば、共晶相が少な過ぎず、引張強さをより高めることができる。また、Zrが7.0at%以下であれば、共晶相が多くなりすぎず、硬いCu9Zr2を起点とする伸線加工中の断線等を抑制できると考えられる。特に、組成式Cu100-xZrxで表される二元系合金組成とすれば、適量な共晶相をより容易に得ることができる点で好ましい。また、二元系合金組成であれば、製造途中で派生した製品外の素材屑や、耐用年数を過ぎてスクラップ処理される部品屑を再溶解原料として再利用する際の管理を容易に行うことができる点で好ましい。
本発明の銅合金線材10は、軸方向の引張強さが1300MPa以上であり導電率が20%IACS以上となる。さらに、合金組成や組織制御によっては引張強さを1500MPa以上や1700MPa以上とすることができる。例えば、Zrの比率(at%)を高くしたり、共晶相比率を高くしたり、相間隔を狭くしたり、アモルファス比率を高くしたりすると、より高い引張強さを得ることができる。このように高い引張強さが得られる理由は、母相−複合相繊維状組織と、複合相内繊維状組織という、二重の繊維状組織を有し、これらが緻密な繊維状となすことで、あたかも繊維強化複合材における複合則が成立するがごとくの強化機構が生まれるためと考えられる。
本発明の銅合金線材10は、線径が0.100mm以下であることが好ましい。このうち、0.040mm以下であることがより好ましく、0.010mm以下であることがさらに好ましい。このような極細径の線材では、素線の引張強さが不足して伸線加工や撚り線加工する際に断線するなどして製造歩留りが悪いことがあり、本発明の適用の意義が高いと考えられるからである。なお、線径は0.003mmより大きいことが好ましく、加工を容易にする観点から0.005mm以上がより好ましく、0.008mm以上であることがさらに好ましい。
本発明の銅合金線材10は、以下のような用途が考えられる。例えば、ステッピングモーターのステーター巻き線を高密度化することで、小型でも高トルクを発生する高性能なモーター部品の設計を可能にすることが期待される。また同軸ケーブルの外部シールド線や中央導体撚り線の径を小さくすることでケーブルの外径を小さくしながら内部の芯線数を増やすことができる。このことは電子機器や医療機器などの高性能化に繋がる。より薄く断線しにくい高性能なFFC(Flexible Flat Cable)への応用も考えられ、ワイヤー放電加工の電極線に用いれば加工しろが極小になるので寸法精度の高い加工が可能となる。さらには携帯電子機器の内部に据え付けられるアンテナ線や高周波シールド線に用いる場合も据え付け場所の制限を小さくすることができ、高周波回路設計の自由度を拡げることが可能であり、さらには部品の形状や設置場所の制限までも小さくすることができる。別の用途では小型電子機器内部の非接触充電モジュールに検討されているコイルでも超薄型化でき、また、単位体積当たりの巻き線密度を上げることができるので充電性能を向上させることができる。
次に、銅合金線材10の製造方法について説明する。本発明の銅合金線材の製造方法は、(1)原料を溶解する溶解工程、(2)インゴットを鋳造する鋳造工程、(3)インゴットを冷間で伸線する伸線工程、を含むものとしてもよい。以下、これら各工程について順を追って説明する。図5は、本発明の銅合金線材の製造方法の各工程における銅合金を模式的に表した説明図である。図5(a)は溶解工程において溶解された溶湯50を示す説明図であり、図5(b)は鋳造工程で得られるインゴット60を示す説明図であり、図5(c)は伸線工程で得られる銅合金線材10を示す説明図である。
(1)溶解工程
この溶解工程では、図5(a)に示すように、原料を溶解して溶湯50を得る処理を行う。原料としては、Zrを3.0at%以上7.0at%以下の範囲で含む銅合金を得ることができるものであればよく、合金を用いても、純金属を用いてもよい。Zrを3.0at%以上7.0at%以下の範囲で含む銅合金であれば、冷間での加工に適している。また、共晶に近い合金組成のため溶湯粘性が低くなり、湯流れが良好となる点でも好ましい。この原料は、銅とZr以外を含まないものであることが好ましい。こうすれば、適量な共晶相をより容易に得ることができる。溶解方法は特に限定されるものではなく、通常の高周波誘導溶解法、低周波誘導溶解法、アーク溶解法、電子ビーム溶解法などとしてもよいし、レビテーション溶解法などとしてもよい。このうち、高周波誘導溶解法およびレビテーション溶解法を用いることが好ましい。高周波誘導溶解法では、大きな量を一度に溶解できるので好ましく、レビテーション溶解法では、溶融金属を浮揚させて溶解するから、るつぼなどからの不純物の混入をより抑制することができ、好ましい。溶解雰囲気は真空雰囲気又は不活性雰囲気であることが好ましい。不活性雰囲気は、合金組成に影響を与えないガス雰囲気であればよく、例えば窒素雰囲気、He雰囲気、Ar雰囲気などとしてもよい。このうち、Ar雰囲気を用いることが好ましい。
(2)鋳造工程
この工程では、溶湯50を鋳型に注湯し、鋳造する処理を行う。図5(b)に示すように、インゴット60は、複数のデンドライト65を含むデンドライト組織を有している。デンドライト65は初晶銅単相からなるものであり、主幹である1次デンドライトアーム66と、1次デンドライトアーム66から伸びた側枝である複数の2次デンドライトアーム67を有している。この2次デンドライトアーム67は1次デンドライトアーム66からほぼ垂直な方向に伸びている。
この工程では、2次デンドライトアーム間隔(2次DAS)が10.0μm以下となるようにインゴットを鋳造する。2次DASは10.0μm以下であればよいが、9.4μm以下が好ましく、4.1μm以下であることがより好ましい。この2次DASが10.0μm以下であれば、後の伸線工程において銅母相30と複合相20とで形成される一方向へ延びる繊維状組織が緻密になり、引張強さをより高めることができる。なお、2次DASは1.0μmより大きいことが好ましく、インゴット作製の観点から、1.6μm以上であることがより好ましい。ここで、2次DASは以下のように求めることができる。まず、インゴット60の軸方向に対して垂直な断面において、4本以上の2次デンドライトアーム67が連続しているデンドライト65を3本選択する。次に、各々について連続した4本の2次デンドライトアーム67の間隔68をそれぞれ測定する。そして、合計9つの間隔68の平均値を求め、これを2次DASとする。
鋳造方法は特に限定されるものではないが、例えば、金型鋳造法や、低圧鋳造法などとしてもよいし、普通ダイカスト法や、スクイズキャスティング法、真空ダイカスト法などのダイカスト法としてもよい。また、連続鋳造法としてもよい。鋳造に使用する鋳型は、熱伝導率が高いものであることが好ましく、例えば、銅鋳型であることが好ましい。熱伝導率が高い銅鋳型を用いれば、鋳造時の冷却速度をより速くすることができ、2次DASをより小さくできるからである。銅鋳型としては、純銅鋳型であることが好ましいが、純銅鋳型と同程度の熱伝導率を有するもの(例えば、25℃で350〜450W/(m・K)程度)であればよい。鋳型の構造は特に限定されるものではないが、鋳型内部に水冷パイプを設置して冷却速度を調整できるものとしてもよい。得られるインゴット60の形状は特に限定されるものではないが、細長い棒状のものであることが好ましい。冷却速度をより速くすることができるからである。なかでも、丸棒状であることが好ましい。より均一な鋳造組織を得ることができるからである。以上、インゴット60を得ることのできる鋳造方法について説明したが、銅鋳型を使用して直径が3mm以上10mm以下の棒状インゴットを鋳造することが特に適している。3mm以上であれば湯流れがより良好であり、10mm以下であれば、2次DASをより小さくすることができるからである。注湯温度は1100℃以上1300℃以下であることが好ましく、1150℃以上1250℃以下であることがより好ましい。1100℃以上であれば湯流れが良好であり、1300℃以下であれば、鋳型を変質させにくいからである。
(3)伸線工程
この工程では、インゴット60を伸線処理して、図5(c)や図1に示す銅合金線材10を得るための処理を行う。この工程では、インゴット60を断面減少率が99.00%以上となるように冷間で伸線する。ここで、冷間とは、加熱しないことをいい、常温で加工することを示す。このように冷間で伸線加工するから、再結晶することを抑制することができ、母相−複合相繊維状組織と複合相内繊維状組織という二重の繊維状組織を有し、これらが緻密な繊維状となった銅合金線材10を容易に得られると考えられる。また、インゴット60から銅合金線材10へ加工する途中に焼き鈍したりあるいは加工後に時効処理したりする必要もなく、冷間伸線加工のみで製造することが可能となるので製造工程が簡略化され、生産性を高めることもできる。伸線方法は特に限定されるものではないが、穴ダイス引き抜きやローラーダイス引き抜きなどとすることができ、軸に平行な方向にせん断力が加わることによって素材にせん断すべり変形が生じるものであることがより好ましい。このような伸線加工を、本明細書では、せん断伸線加工とも称する。せん断伸線加工のように、せん断すべり変形が生じたものであれば、より均一な繊維状組織が得られ、より引張強さを高めることができると考えられるからである。せん断すべり変形は、ダイスとの接触面で摩擦を受けながらダイス中に材料を引き通す単純せん断変形をすることなどによって与えることができる。この伸線工程では、サイズの異なる複数のダイスを用いて、断面減少率が99.00%以上となるまで引き抜き加工するものとしてもよい。こうすれば、伸線途中で断線しにくいからである。伸線ダイスの孔は円形に限る必要はなく、角線用ダイス、異形用ダイス、チューブ用ダイスなどを用いてもよい。断面減少率は99.00%以上であればよいが、99.50%以上であることが好ましく、99.80%以上であることがより好ましい。断面減少率を大きくすると引張強さをより高めることができるからである。この理由は定かではないが、加工度が高まるにつれて、複合相20の結晶構造が変化し複合相20の断面から見た占有面積比が増加する、あるいは銅母相30が優先的に変形し銅母相30の断面から見た占有面積比が減るなどして結晶構造に歪みが生じ、それによって引張強さが大きくなることなどが考えられる。また、CuおよびCu9Zr2はそれぞれfcc構造および超格子であるといわれているが、強加工されたことによりその一部がアモルファス化することなどが一因と考えられる。本発明者らは、同一条件で作製したインゴットについて、伸線加工を行い、断面減少率(加工度)を変化させたところ、断面減少率が高いほど複合相20の体積が増加することを確認している。この断面減少率は、100.00%未満であればよいが、加工の観点から99.9999%以下であることが好ましい。なお、ここで、断面減少率は以下のようにして求めることができる。まず、伸線前のインゴット60について軸方向に対して垂直な断面の断面積を求める。伸線後、銅合金線材10について軸方向に対して垂直な断面の断面積を求める。そして、{(伸線前の断面積−伸線後の断面積)×100}÷(伸線前の断面積)を計算し、得られた値を断面減少率(%)とする。伸線速度は特に限定されるものではないが、10m/min以上200m/min以下であることが好ましく、20m/min以上100m/min以下であることがより好ましい。10m/min以上であれば効率よく伸線加工が行えるし、200m/min以下であれば伸線途中での断線等をより抑制することができるからである。
この伸線工程では、線径が0.100mm以下となるように伸線することが好ましく、0.040mm以下となるように伸線することがより好ましく、0.010mm以下となるように伸線することが更に好ましい。このような極細径の線材では、素線の引張強さが不足して伸線加工や撚り線加工する際に断線するなど、製造歩留りが悪いことがあり、本発明の適用の意義が高いと考えられるからである。なお、線径は0.003mmより大きいことが好ましく、加工を容易にする観点から0.005mm以上がより好ましく、0.008mm以上であることがさらに好ましい。
この伸線工程では、銅合金線材10が得られる。この銅合金線材10は、銅−Zr化合物相22と銅相21とからなる複合相20と、銅母相30と、を備えている。そして、銅母相30と複合相20とが母相−複合相繊維状組織を構成し、軸方向に対して平行で中心軸を含む断面を見たときには、図2に示すように銅母相30と複合相20とが軸方向に平行に交互に配列している。さらに、複合相20は、銅相21と銅−Zr化合物相22とが複合相内で複合相内繊維状組織を構成し、軸方向に対して平行で中心軸を含む断面を見たときに銅−Zr化合物相22と銅相21とが50nm以下の相間隔で軸方向に平行に交互に配列している。このように、母相−複合相繊維状組織と、複合相内繊維状組織という、二重の繊維状組織を有し、これらが緻密な繊維状となることで、あたかも繊維強化複合材における複合則が成立するがごとくの強化機構が生まれるものと考えられる。
なお、本発明は上述した実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
例えば上述した実施形態では、銅合金線材10は、母相−複合相繊維状組織と、複合相内繊維状組織を構成し、複合相内繊維状組織は軸方向に対して平行で中心軸を含む断面を見たときに銅−Zr化合物相と銅相とが50nm以下の相間隔で軸方向に平行に交互に配列しているものとしたが、これに代えて、銅母相と、銅−Zr化合物相と銅相とからなる複合相と、を備え、合金組成におけるZrが3.0at%以上7.0at%以下であり、複合相は、軸方向に対して平行で中心軸を含む断面を見たときに面積率で5%以上25%以下のアモルファス相を含むものとしてもよい。このように複合相中に面積率で5%以上25%以下のアモルファス相を含むものであれば、高い引張強さを得ることができるからである。このとき、上述した複合相は、銅−Zr化合物相と銅相とが複合相内繊維状組織を構成し、軸方向に対して平行で中心軸を含む断面を見たときに銅−Zr化合物相と銅相とが軸方向に平行に交互に配列していることがより好ましい。より引張強さを高めることができるからである。
上述した実施形態では、銅合金線材10の製造方法は、2次DASが10.0μm以下となるようにインゴットを鋳造する鋳造工程を含むものとしたが、これに代えて、銅鋳型で直径が3mm以上10mm以下の棒状のインゴットを鋳造する鋳造工程を含むものとしてもよい。こうすれば、引張強さの高い銅合金線材10が得られるからである。
上述した実施形態では、銅合金線材10の製造方法は、溶解工程,鋳造工程,伸線工程を含むものとしたが、このほかの工程を含むものとしてもよい。例えば、溶解工程と鋳造工程との間に、溶湯を保持する工程である保持工程を含むものとしてもよい。保持工程を含むものとすれば、溶解工程で溶解したすべての溶湯の鋳造完了を待つことなく、保持炉に溶湯を移動してすぐに溶解炉での溶解を開始でき、溶解炉の稼働率をより高めることができる。また、保持工程で成分調整を行えば、微調整をより容易に行うことができる。また、鋳造工程と伸線工程との間に、インゴットを冷却する冷却工程を含むものとしてもよい。こうすれば、鋳造から伸線までの時間を短縮することができる。
上述した実施形態では、銅合金線材10の製造方法は、溶解工程,鋳造工程,伸線工程を別個の工程として記載したが、銅線などの一貫製法として用いられる連続鋳造伸線加工のように、各工程の境界が明確でなく連続的なものとしてもよい。より効率よく銅合金線材10を得ることができるからである。
上述した本発明の銅合金線材および銅合金線材の製造方法についての説明は、合金組成におけるZrが3.0at%以上7.0at%以下であり、残部は銅であり、その他の元素をできるだけ含まないようにしたもの(以下では、他元素非含有材とも称する)について記載した。本発明者らは、さらなる研究の結果、銅及びZr以外の成分を含むもの(以下では、他元素含有材とも称する)とした場合に、強度をさらに高めることができることを見いだした。以下では、他元素含有材の好ましい形態について説明する。なお、他元素含有材であっても、基本的な構成および製造方法は他元素非含有材と共通するため、共通する内容については、上述の他元素非含有材に関する説明をもって他元素含有材に関する説明とし、その説明を省略する。
本発明の銅合金線材において、銅母相は、さらに複数の銅相として繊維状(断面で観察した場合には層状であるため、以下層状とも称する)に分割されていてもよい。すなわち、銅母相30は、複数の銅相が銅母相内繊維状組織を構成し、軸方向に対して平行で中心軸を含む断面を見たときに前記複数の銅相が軸方向に平行に配列していてもよい。この場合、複数の銅相の幅の平均値は150nm以下であることが好ましく、100nm以下であることがより好ましく、50nm以下であることがさらに好ましい。このように銅母相30内でも銅母相内繊維状組織が形成されることにより、粒径が小さくなるほど引張強さが高まるホールペッチ則のような効果が得られ、引張強さをより高めることができると考えられる。また、このとき、銅母相は、変形双晶を有することが好ましい。このように、変形双晶を有するものであれば、双晶変形によって、導電率を大きく減らすことなく引張強さを高めることができると考えられる。この変形双晶は、軸方向に対して平行で中心軸を含む断面を見たときに隣り合う銅相の境界をまたがないように軸方向に対して20°以上40°以下の角度で存在することが好ましい。また、銅母相は、このような変形双晶を0.1%以上5%以下の範囲で有することが好ましい。また、α−Cu相内やCu−Zr化合物相内少なくとも縦断面では転位がほとんど確認されないことが好ましい。特に、良導電体であるα−Cu相中の転位が少なければ、導電率をより高めることができると考えられるからである。なお、他元素非含有材であっても、銅母相が複数の銅相に分割されたものや、変形双晶を有するものとしてもよいし、転位が少ないものとしてもよい。こうしても引張強さや導電率をより高めることができると考えられる。
本発明の銅合金線材において、銅−Zr化合物相は、軸方向に対して平行で中心軸を含む断面を見たときに、銅−Zr化合物相の幅の平均値が20nm以下であることが好ましく、10nm以下であることがより好ましく、9nm以下であることがさらに好ましく、7nm以下であることが一層好ましい。20nm以下であれば、引張強さをより高めることができると考えられる。また、銅−Zr化合物相は、一般式Cu9Zr2で表されるものであることが好ましく、その一部又は全部がアモルファス相であることがより好ましい。アモルファス相は、Cu9Zr2相中に形成されやすいと考えられるからである。なお、他元素非含有材であっても、銅−Zr化合物相の幅の平均値は20nm以下であることで引張強さをより高めることができると考えられる。また、他元素非含有材であっても、Cu9Zr2相の一部又は全部がアモルファス相であってもよい。
本発明の銅合金線材は、銅とZr以外に他の元素を含んでもよい。例えば、酸素やSi、Alなどを含んでいてもよい。特に、酸素を含むものとすれば、理由は不明であるが、アモルファス化、特に、Cu9Zr2相中のアモルファス化が促進され、好ましい。特に、加工度が高くなるほどアモルファス化が促進される。酸素量は特に限定されないが、原料組成における酸素量が質量比で700ppm以上2000ppm以下であることが好ましい。また、銅合金線材は、酸素を含んでいることが好ましく、特に、銅−Zr化合物相に酸素を含んでいることが好ましい。SiやAlを含んでいる場合にも、銅−Zr化合物がSiやAlを含んでいることが好ましい。このとき、銅−Zr化合物相は、EDX分析によるZAF法でO−K線、Si−K線、Cu−K線、Zr−L線を定量測定して得られた存在割合から算出した平均原子番号Zが20以上29未満であることが好ましい。特に、銅−Zr化合物相は、EDX分析によるZAF法でO−K線、Si−K線、Al−K線、Cu−K線、Zr−L線を定量測定して得られた存在割合から算出した平均原子番号ZAが20以上29未満であることがより好ましい。平均原子番号Zが20以上であれば、酸素やSiが多すぎず、引張強さや導電率をより高めることができると考えられる。また、平均原子番号Zが29未満であれば、銅の原子番号より小さく、酸素とSiと銅とZrとの割合が良好で、引張強さや導電率を高めることができるものと考えられる。また、銅合金線材に含まれるZrの割合は3.0at%以上6.0at%以下であることが好ましい。さらにこのとき、銅母相は、酸素を含まないことが好ましい。ここで酸素を含まないとは、例えば、上述したEDX分析によるZAF法で定量測定したときに、酸素が検出できない程度であることをいう。なお、平均原子番号Zは、酸素の原子番号8、Siの原子番号14、Cuの原子番号29、Zrの原子番号40を用いて、それぞれの原子番号にそれぞれの存在比率(at%)を乗じて100で除したものの和として求めた値とすることができる。
本発明の銅合金線材では、銅合金線材は、軸方向の引張強さが1300MPa以上であり、導電率が15%IACS以上となる。更に合金組成や組織制御によっては引張強さを1500MPa以上や1700MPa以上、2200MPa以上などとすることができる。また、合金組成や組織制御によっては、軸方向の導電率を例えば16%IACS以上や20%IACS以上とすることができる。また、合金組成や組織制御によって軸方向のヤング率を変化させることが可能である。例えば、軸方向のヤング率を60GPa以上90GPa以下とするなど、例えば特許文献1,2に記載のある一般的な銅合金の半分近くにまで特徴的に低くすることができる。なお、他元素非含有材であっても、アモルファス相の割合などを調整することにより、ヤング率を例えば60GPa以上90GPa以下などとすることができると考えられる。
次に、製造方法について説明する。本発明の銅合金線材の製造方法において、溶解工程で用いる原料は、銅とZrの他に、少なくとも酸素を含むものであってもよい。このとき、酸素の量としては、質量比で700ppm以上2000ppm以下であることが好ましく、800ppm以上1500ppm以下であることがより好ましい。このように、酸素を含むものとすることで、理由は明らかではないが、アモルファス化、特にCu9Zr2相のアモルファス化を促進することができ、好ましい。原料の溶解に用いる容器としては、るつぼを用いることが好ましい。また、原料の溶解に用いる容器は特に限定されるものではないが、Si又はAlを含む容器であることが好ましく、石英(SiO2)又はアルミナ(Al23)を含む容器であることがより好ましい。例えば、石英製又はアルミナ製の容器などを用いることができる。このうち、石英を含む容器を用いた場合には、合金中にSiが混入することがあり、特に、複合相、なかでもCu9Zr2相にSiが混入しやすい。この容器は、底面に出湯口を有するものであることが好ましい。こうすれば、後の鋳造工程で、この出湯口から溶湯を注湯でき、不活性ガスの吹き込みを継続したまま注湯し、より容易に合金中に酸素を残存させることができるからである。また、溶解雰囲気としては、不活性ガス雰囲気が好ましく、特に、合金表面から加圧するように不活性ガスを吹き込みながら溶解することが好ましい。こうすれば、原料に含まれる酸素を合金内に残すことが可能であり、アモルファス化をより促進することができると考えられるからである。このような不活性ガスの圧力としては、0.5MPa以上2.0MPa以下が好ましい。
本発明の銅合金線材の製造方法において、鋳造工程では、溶解工程に引き続いて合金表面から加圧するような不活性ガス雰囲気を維持することが好ましい。この場合においても、原料を0.5MPa以上2.0MPa以下で加圧するように不活性ガスを吹き込むことが好ましい。そして、不活性ガスを吹き込みながらるつぼ底面の出湯口から注湯することが好ましい。このようにすれば、溶湯が外気(大気)に接触しないように注湯することができる。この鋳造工程では、凝固後常温でのインゴットの銅母相に含まれるZr量がEDX−ZAF法による分析結果で0.3at%以上の過飽和となるように急冷凝固することが好ましい。このように急冷凝固することで、引張強さをより高めることができるからである。なお、Cu−Zr平衡状態図では、Zrの固溶限は0.12%である。また、鋳造工程では、鋳型は特に限定されるものではないが、銅鋳型やカーボンダイスに溶解工程で溶解した金属を注湯することが好ましい。これらであれば、より容易に急冷できるからである。なお、他元素非含有材を製造する場合であっても、EDX−ZAF法による分析結果で0.3at%以上の過飽和となるように急冷凝固することが好ましいと考えられる。また、他元素非含有材を製造する場合であっても、銅鋳型やカーボンダイスに溶解工程で溶解した金属を注湯してもよい。
本発明の銅合金線材の製造方法において、伸線工程では、1又は2以上の加工パスを経てインゴットを断面減少率が99.00%以上となるように冷間で伸線することが好ましい。このとき、前記加工パスの少なくとも1つは、断面減少率が15%以上であることが好ましい。こうすれば、引張強さをより高めることができると考えられるからである。また、伸線工程では、冷間での伸線加工の温度が、常温(例えば30℃など)よりも低いことが好ましく、25℃以下であることが好ましく、20℃以下であることがより好ましい。こうすれば、変形双晶が生じやすく、引張強さをより高めることができると考えられるからである。温度の制御は、例えば、材料および伸線加工を施す設備(伸線ダイスなど)の少なくとも一方を、常温よりも低い温度となるように冷却して用いることによって行うことができる。材料や設備を冷却する方法としては、例えば、液体を溜めた液槽内に材料や設備を浸したり、材料や設備に液体をシャワーなどで掛けたりする方法が挙げられる。このとき、用いる液体を冷却しておくことが好ましく、例えば、液体を溜めた液槽内に設けられた冷却パイプの中に冷媒を流すなどして冷却してもよいし、冷媒で冷却した液体を液槽内に戻すなどして冷却してもよい。液体は、例えば潤滑剤であることが好ましい。潤滑剤で材料を冷却すれば、伸線加工をより容易に行うことができるからである。また、設備を冷却する場合には、設備内部に設けられた配管などに冷媒を流すことで冷却してもよい。液体や設備を冷却する冷媒としては、例えば、ハイドロ・フルオロカーボンやアルコール、エチレングリコール液、ドライアイス等を用いることができる。なお、他元素非含有材を製造する場合であっても、このような伸線工程を有するものとしてもよいと考えられる。
[線材の作製]
(実施例1)
まず、Zr3.0at%と残部CuとからなるCu−Zr二元系合金をArガス雰囲気下でレビテーション溶解した。次に、直径3mmの丸棒状のキャビティを彫り込んだ純銅鋳型に塗型をし、約1200℃の溶湯を注湯して丸棒インゴットを鋳造した。このインゴットについて、マイクロメーターで直径を測定して、直径が3mmであることを確認した。図6は、この丸棒インゴットの写真である。次に、室温まで冷却した丸棒インゴットを常温で、順次孔径が小さくなる20〜40個のダイスに通して伸線後の線材の直径が0.300mmとなるように伸線加工を行って実施例1の線材を得た。このとき、伸線速度は20m/minとした。この銅合金線材について、マイクロメーターで直径を測定して、直径が0.300mmであることを確認した。図7は、このときの伸線加工に用いたダイヤモンド・ダイスの写真である。このダイヤモンドダイスは、中央にダイス孔を設けてあり、孔径の異なる複数のダイスを順に通すことでせん断による伸線加工をするものである。
(実施例2〜4)
伸線後の線材の直径が0.100mmとなるように伸線加工を行った以外は実施例1と同様にして実施例2の線材を得た。また、伸線後の線材の直径が0.040mmとなるように伸線加工を行った以外は実施例1と同様にして実施例3の線材を得た。また、伸線後の線材の直径が0.010mmとなるように伸線加工を行った以外は実施例1と同様にして実施例4の線材を得た。
(実施例5〜9)
Zr4.0at%と残部CuとからなるCu−Zr二元系合金を用いたこと以外は実施例1と同様にして実施例5の線材を得た。また、伸線後の線材の直径が0.100mmとなるように伸線加工を行った以外は実施例5と同様にして実施例6の線材を得た。また、伸線後の線材の直径が0.040mmとなるように伸線加工を行った以外は実施例5と同様にして実施例7の線材を得た。また、伸線後の線材の直径が0.010mmとなるように伸線加工を行った以外は実施例5と同様にして実施例8の線材を得た。また、伸線後の線材の直径が0.008mmとなるように伸線加工を行った以外は実施例5と同様にして実施例9の線材を得た。
(実施例10〜13)
直径5mmの純銅鋳型を用いたこと、および、伸線後の線材の直径が0.100mmとなるように伸線加工を行った以外は実施例5と同様にして実施例10の線材を得た。また、伸線後の線材の直径が0.040mmとなるように伸線加工を行った以外は実施例10と同様にして実施例11の線材を得た。また、伸線後の線材の直径が0.010mmとなるように伸線加工を行った以外は実施例10と同様にして実施例12の線材を得た。また、伸線後の線材の直径が0.008mmとなるように伸線加工を行った以外は実施例10と同様にして実施例13の線材を得た。
(実施例14〜16)
直径7mmの純銅鋳型を用いたこと、および、伸線後の線材の直径が0.100mmとなるように伸線加工を行った以外は実施例5と同様にして実施例14の線材を得た。また、伸線後の線材の直径が0.040mmとなるように伸線加工を行った以外は実施例14と同様にして実施例15の線材を得た。また、伸線後の線材の直径が0.010mmとなるように伸線加工を行った以外は実施例14と同様にして実施例16の線材を得た。
(実施例17〜19)
直径10mmの純銅鋳型を用いたこと、および、伸線後の線材の直径が0.100mmとなるように伸線加工を行った以外は実施例5と同様にして実施例17の線材を得た。また、伸線後の線材の直径が0.040mmとなるように伸線加工を行った以外は、実施例17と同様にして実施例18の線材を得た。また、伸線後の線材の直径が0.010mmとなるように伸線加工を行った以外は実施例17と同様にして実施例19の線材を得た。
(実施例20〜23)
Zr5.0at%と残部CuとからなるCu−Zr二元系合金を用いたこと以外は実施例1と同様にして実施例20の線材を得た。また、伸線後の線材の直径が0.100mmとなるように伸線加工を行った以外は実施例20と同様にして実施例21の線材を得た。また、伸線後の線材の直径が0.040mmとなるように伸線加工を行った以外は実施例20と同様にして実施例22の線材を得た。また、伸線後の線材の直径が0.010mmとなるように伸線加工を行った以外は実施例23と同様にして実施例23の線材を得た。
(実施例24〜27)
Zr6.8at%と残部CuとからなるCu−Zr二元系合金を用いたこと以外は実施例1と同様にして実施例24の線材を得た。また、伸線後の線材の直径が0.100mmとなるように伸線加工を行った以外は実施例24と同様にして実施例25の線材を得た。また、伸線後の線材の直径が0.040mmとなるように伸線加工を行った以外は実施例24と同様にして実施例26の線材を得た。また、伸線後の線材の直径が0.010mmとなるように伸線加工を行った以外は実施例24と同様にして実施例27の線材を得た。
(比較例1)
Zr2.5at%と残部CuとからなるCu−Zr二元系合金を用いたこと、および、伸線後の線材の直径が0.100mmとなるように伸線加工を行ったこと以外は実施例1と同様にして比較例1の線材を得た。
(比較例2)
Zr7.4at%と残部CuとからなるCu−Zr二元系合金を用いたこと、および、伸線後の線材の直径が0.100mmとなるように伸線加工を行ったこと以外は実施例1と同様にして比較例2の伸線加工を行ったが、伸線途中に断線した。
(比較例3)
Zr8.7at%と残部CuとからなるCu−Zr二元系合金をレビテーション溶解した後、直径7mmの純銅鋳型に注湯して丸棒インゴットを鋳造したが、鋳造割れを起こし、その後の伸線加工を行うことができなかった。
(比較例4)
直径12mmの純銅鋳型を用いたこと、および、伸線後の線材の直径が0.600mmとなるように伸線加工を行ったこと以外は実施例5と同様にして比較例4の線材を得た。
(比較例5)
直径7mmの純銅鋳型を用いたこと、および、伸線後の線材の直径が0.800mmとなるように伸線加工を行ったこと以外は実施例5と同様にして比較例5の線材を得た。
[鋳造組織の観察]
伸線加工前のインゴットについて、軸方向に対して垂直な円形断面で切断し、鏡面研磨した後、SEM観察(日立製作所製、SU−70)を行った。図8は、Zr4.0at%を含む、直径5mmのインゴットの鋳造組織のSEM写真である。白く見える部分はCuおよびCu9Zr2からなる共晶相であり、黒く見える部分は初晶の銅母相である。このSEM写真を用いて、2次DASを測定した。表1には、実施例1〜27、比較例1〜5の2次DASの値を示した。表1には2次DASや上述した合金組成,鋳造径,伸線径の他に、後述する断面減少率,共晶相比率,相間隔,アモルファス比率,引張強さ,導電率を示した。
[断面減少率の導出]
まず、インゴットの直径から伸線前の断面積を求め、銅合金線材の直径から伸線後の断面積を求めた。次に、これらの値から伸線前の断面積と伸線後の断面積を求め、断面減少率を求めた。断面減少率(%)は{(伸線前の断面積−伸線後の断面積)×100}÷(伸線前の断面積)で表される値である。
[伸線後組織の観察]
伸線後の銅合金線材について、軸方向に対して垂直な円形断面で切断し、鏡面研磨したあと、SEM観察を行った。図9は、実施例6の銅合金線材の軸方向に対して垂直な断面でのSEM写真である。図9(b)は図9(a)の中央の四角で囲まれた領域を拡大したものである。白く見える部分が共晶相、黒く見える部分が銅母相である。共晶相比率はこのSEM写真の白黒コントラストを二値化して銅母相と共晶相とに二分し、その面積比率を求めた。図10は、実施例6の銅合金線材の軸方向に対して平行で中心軸を含む断面でのSEM写真である。図10(b)は図10(a)の中央の四角で囲まれた領域を拡大したものである。白く見える部分が共晶相、黒く見える部分が銅母相であり、互い違いに配列されて一方向へ延びる繊維状組織が構成されている。この点、図10の視野について、エネルギー分散型X線分光法(EDX)で分析すると、黒く見える部分はCuのみの母相、白く見える部分はCuとZrとを含む共晶相となっていることが確認できた。次にSTEMを用いてCuとCu9Zr2との相間隔を以下のように測定した。まず、STEM観察の試料として、Arイオン・ミリング法を用いて細くした線材を用意した。そして、代表的となる中心部分を50万倍で観察し、300nm×300nmの視野を3ヶ所撮影したSTEM−HAADF像(走査型電子顕微鏡の高角度環状暗視像)上でそれぞれの幅を測定して平均したものを相間隔の測定値とした。図11は、図9の白く見える部分(共晶相)内をSTEM(日本電子製、JEM−2300F)で観察したSTEM写真である。EDX分析により、白い部分がCuで黒い部分がCu9Zr2であると推定された。さらに、制限視野回折法を用いて回折像を解析し、複数の回折面の格子定数を測定することでCu9Zr2の存在を確認した。このように図11の共晶相内では、CuとCu9Zr2とが約20nmのほぼ等間隔で交互に配列する二重の繊維状組織を持つことがわかった。なお、相間隔は共晶相のSTEM観察により交互に配列したCuとCu9Zr2との間隔を測定したものである。ここで図11に示した共晶相の格子像を250万倍の倍率、50nm×50nmの視野でSTEM観察すると、視野内(共晶相内)の面積比で約15%のアモルファス相が観測された。図12は共晶相内のアモルファス相を模式的に示した図である。アモルファス相は主に銅母相とCu9Zr2化合物相との界面に形成され、これが機械強度を保持する役割の一端を担っていると推察された。このアモルファス比率は、格子像上でアモルファスと思われる原子の無配列な領域の面積率を測定して求めた。また図11の白く見えるCuの組織についてSTEM観察すると、隣り合う微結晶の方位差は1〜2°程度と極めて僅かであった。このことから、転位の集積も起こらず、Cuを中心とする大きなせん断すべり変形が伸線方向に起こっているものと推察された。このため、冷間で断線することなく高加工度の伸線が可能となるものと推察された。
[引張強さの測定]
引張強さは、万能試験機(島津製作所製、オートグラフAG−1kN)を用いてJISZ2201に準じて測定した。そして、最大荷重を銅合金線材の初期の断面積で除した値である引張強さを求めた。
[導電率の測定]
導電率はJISH0505に準じて四端子法電気抵抗測定装置を用いて常温での線材の電気抵抗(体積抵抗)を測定し、焼き鈍した純銅(20℃で1.7241μΩcmの電気抵抗を持つ標準軟銅)の抵抗値(1.7241μΩcm)との比を計算して導電率(%IACS:International Annealed Copper Standard)に換算した。換算には、以下の式を用いた。導電率γ(%IACS)=1.7241÷体積抵抗ρ×100。
[実験結果]
表1から分かるように、Zrが3.0at%を下回ると、引張強さが低下した(比較例1)。この理由は、Zrが少ないと、強度を確保するのに十分な共晶相が得られないためと推察された。また、Zrが7.0at%を超えると伸線加工中に断線したり(比較例2)、鋳造割れを起こしたり(比較例3)して所定の線材を得ることができなかった。また、Zrが3.0at%以上7.0at%以下の範囲内であっても鋳造組織の2次DASが大きすぎたり(比較例4)断面減少率が99.00%を下回る加工であったりすると(比較例5)、引張強さが低下した。これは、強度を確保するのに十分な共晶相が得られないためと推察された。これに対して、実施例1〜27においては、製造時に鋳造割れや断線することなく引張強さが1300MPaを超える引張強さと20%IACSを超える導電率とすることができた。このことから、本発明の製造方法では熱処理をしなくても、冷間加工で所望の銅合金線材を得られることがわかった。また、所定の組成で鋳造径と2次DASおよび断面減少率を適切なものとすることで、所望の共晶相比率、共晶相内におけるCuとCu9Zr2との相間隔、アモルファス比率とすることができ、その結果1300MPaあるいは1500MPaさらには1700MPaを超える引張強さと20%IACSを超える導電率を得ることができることがわかった。特に、Zrが多いほど引張強さが大きく、共晶相比率が大きいほど引張強さが大きく、アモルファス比率が大きいほど引張強さが大きいことがわかった。以上のことから、銅母相が自由電子の走路となって導電性を確保し、共晶相が引張強さを確保しているものと推察された。さらに、共晶相内において、Cuが自由電子の走路となって導電性を確保し、共晶相が引張強さを確保しているものと推察された。またこのような線材特性を有する0.100mmあるいは0.040mmさらには0.010mm以下の線径となる伸線加工したままの高強度銅合金線材を得られることがわかった。
以上では、銅とZr以外にできるだけ他の元素を含まないように作製した他元素非含有材の特性を調べた。さらに、銅とZr以外に他の元素を含むように作製した他元素含有材の特性を調べるため、以下の実験を行った。
(実施例28)
まず、Zr3.0at%と残部Cuと、質量比で700ppm以上2000ppm以下の酸素とを含む合金を底面に出湯口を有する石英製ノズルに入れ、5×10-2Paまで真空引きした後、Arガスで大気圧近くまで置換し、アーク溶解炉で液体金属にして液面から0.5MPaの圧力を加え、溶解した。次に、直径3mm、長さ60mmの丸棒状のキャビティを彫り込んだ純銅鋳型に塗型をし、約1200℃の溶湯を注湯して丸棒インゴットを鋳造した。注湯は、Arガスによる圧力を加えたまま、石英製ノズルの底面に形成された出湯口を開口させて行った。次に、室温まで冷却した丸棒インゴットを常温で、超硬ダイスを用いて直径が0.5mmとなるように冷間引き抜きを行い、さらに、ダイヤモンドダイスを用いて直径が0.160mmとなるように冷間の連続伸線加工を行って、実施例28の線材を得た。連続伸線加工では、水溶性潤滑液を溜めた液槽内に線材とダイヤモンドダイスとを沈めて加工を行った。このとき、エチレングリコール液を冷媒とした冷却パイプで液槽内の潤滑液を冷却した。なお、3mmの丸棒インゴットを0.5mmとしたときの断面減少率は、97.2%であり、3mmから0.160mmとしたときの断面減少率は99.7%であった。
(実施例29)
伸線後の線材の直径が0.040mmとなるように伸線加工を行った以外は実施例28と同様にして実施例29の線材を得た。
(実施例30〜34)
Zr4.0at%と残部Cuと、質量比で700ppm以上2000ppm以下の酸素とを含む合金を用いたこと、および、伸線後の線材の直径が0.200mmとなるように伸線加工を行った以外は実施例28と同様にして実施例30の線材を得た。また、伸線後の線材の直径が0.160mmとなるように伸線加工を行った以外は実施例30と同様にして実施例31の線材を得た。また、伸線後の線材の直径が0.070mmとなるように伸線加工を行った以外は実施例30と同様にして実施例32の線材を得た。また、伸線後の線材の直径が0.040mmとなるように伸線加工を行った以外は実施例30と同様にして実施例33の線材を得た。また、伸線後の線材の直径が0.027mmとなるように伸線加工を行った以外は実施例30と同様にして実施例34の線材を得た。
(実施例35,36)
Zr5.0at%と残部Cuと、質量比で700ppm以上2000ppm以下の酸素とを含む合金を用いたこと、および、伸線後の線材の直径が0.160mmとなるように伸線加工を行ったこと以外は実施例28と同様にして実施例35の線材を得た。また、伸線後の線材の直径が0.040mmとなるように伸線加工を行った以外は実施例35と同様にして実施例36の線材を得た。
(比較例6)
伸線後の線材の直径が0.500mmとなるように伸線加工を行ったこと以外は実施例30と同様にして比較例6の線材を得た。
[伸線加工度の導出]
まず、インゴットの直径から伸線前の断面積A0を求め、銅合金線材の直径から伸線後の断面積A1を求めた。次にこれらの値から、η=ln(A0/A1)の式で表される伸線加工度ηを求めた。
[鋳造組織の観察]
伸線加工前のインゴットについて、軸方向に対して垂直な円形断面(以下横断面とも称する)で切断し、鏡面研磨した後、光学顕微鏡観察を行った。図13はZr3.0〜5.0at%を含むインゴットの鋳造組織の光学顕微鏡写真である。図13(a)はZr3.0at%を含む実施例28,29のインゴット、図13(b)はZr4.0at%を含む実施例30〜34のインゴット、図13(c)はZr5.0at%を含む実施例35,36のインゴットについてのものである。明るい部分が初晶のα−Cu相(銅母相)、暗い部分が共晶相(複合相)である。図13より、Zr量が増加するに従って共晶相の量が増加することが分かった。この光学顕微鏡写真を用いて2次DASを測定した。図13(a)では、2次DASは2.7μmであった。しかし、Zr量が増加するに従ってα−Cu相の量が減少し、デンドライトアームが不均一となり、図13(b)(c)からは2次DASを求めることができなかった。
また、伸線加工前のインゴットについて、軸方向に対して垂直な円形断面で切断し、鏡面研磨した後、SEM観察を行った。図14はZr3.0at%を含む実施例28,29のインゴットの鋳造組織のSEM写真(組成像)である。組織中の明るい部分と暗い部分についてEDXで分析すると、明るい部分ではCuが93.1at%でZrが6.9at%であり、暗い部分ではCuが99.7at%でZrが0.3at%であった。これらのことから、明るい部分が共晶相(複合相)、暗い部分がα−Cu相(銅母相)であることが分かった。ここで、Cu−Zr合金の平衡状態図ではCu相中へのZrの固溶限は0.12at%であるから、Cu−3at%Zr合金のインゴットのCu相中にZrが0.3at%固溶していたことは、急冷凝固することによってCu相中へのZrの固溶限が拡大したものと推察された。
[伸線後組織の観察]
伸線後の銅合金線材について、軸方向に対して垂直な円形断面(以下横断面とも称する)または軸方向に対して平行で中心軸を含む断面(以下縦断面とも称する)で切断し、鏡面研磨したあとSEM観察を行った。図15は、実施例28(Cu−3at%Zr,η=5.9)の銅合金線材の断面のSEM写真(組成像)である。なお、横断面はほぼ真円で、側面には加工でできる擦り傷以外に割れなどの損傷は観察されなかった。このことから、熱処理なしで強歪み伸線加工ができることが分かった。図16は、実施例36(Cu−5at%Zr,η=8.6)の銅合金線材の表面のSEM写真である。線材表面は、若干の擦り傷があるものの滑らかであり、焼鈍しないで冷間での連続伸線加工が可能であることが分かった。また、例えば、表2に示すように、少なくとも、加工度η=8.6で、最小径40μmまで熱処理なしの伸線加工が可能であることが分かった。さらに、加工度η=9.4で、最小径27μmまで熱処理なしの伸線加工が可能であることが分かった。図15(a)に示す縦断面では、α−Cu相と共晶相とが互い違いに配列されて一方向へ延びる繊維状組織が構成されてることが分かった。また、図15(b)に示す横断面では、インゴットのα−Cu相と共晶相の鋳造組織が壊された組織になることが観察された。また、α−Cu相中には黒色斑点状に微細な粒子が散在することが観察された。この粒子をEDX分析するとCuやZrとともに共晶相中の量に比べて4.7倍多い酸素が検出され、酸化物の存在が示唆された。図15(b)の横断面の組織から、明るい部分(共晶相)と暗い部分(α−Cu相)を二値化してその面積率を求めると、共晶相の面積率は43%であった。なお、η=5.9としたものにおいて、実施例31(Cu−4at%Zr)では共晶相の面積率は49%であり、実施例35(Cu−5at%Zr)では共晶相の面積率は55%であった。このことから、共晶相の面積率はZr量とともに増加することが分かった。
図17は、実施例31(Cu−4at%Zr,η=5.9)の銅合金線材の共晶相のSTEM写真である。図17(a)は明視野(BF:Bright Field)像、図17(b)は高角度環状暗視野(HAADF:High Angle Annular Dark Field)像、図17(c)はCu−Kαの元素マップ、図17(d)はZr−Lαの元素マップ、図17(e)は図17(b)において明るい部分のA点の元素分析結果、図17(f)は図17(b)において暗い部分のB点の元素分析結果である。BF像中の矢印は、伸線軸(DA:Drawing Axis)の方向を示す。HAADF像は明るい部分と暗い部分とが層状組織を示し、これらの間隔は約20nmであった。この明るい部分と暗い部分は、明るい部分がα−Cu相で暗い部分がCuとZrとを含む化合物相であることが分かった。ここで観察されたα−Cu相と、CuとZrとを含む化合物相との層の比率は60:40〜50:50程度と測定され、共晶相内でも複合則が成り立つものと推察された。図18は、実施例31(Cu−4at%Zr,η=5.9)の銅合金線材の共晶相のSTEM写真である。図18(a)はSTEM−BF像、図18(b)は図18(a)に示した円内から得られた制限視野電子線回折(SAD:Selected Area Diffraction)像である。図18(b)のSAD像には、Cu相を示す回折斑点以外のリング・パターンが観察された。図中に示す3つの回折リングの格子定数を求めると、それぞれ、d1=0.2427nm、d2=0.1493nm、d3=0.1255nmであった。これに対し、Glimoisらが求めたCu9Zr2化合物の(202)、(421)、(215)面の格子定数を比較したものが表3である。上述した格子定数と表3の値は誤差範囲で同一とみなすことができ、図18(a)で観察されたCuとZrとを含む化合物はCu9Zr2化合物相であると推察された。
[引張強さ及び導電率の測定]
図19は、加工度η=5.9の、実施例28(Cu−3at%Zr)と実施例31(Cu−4at%Zr)と実施例35(Cu−5at%Zr)について、共晶相の面積率(共晶相比率)と導電率(EC:Electrical Conductivity),引張強さ(UTS:Ultimate Tensile Strength),0.2%耐力(σ0.2)との関係を示すグラフである。ECは共晶相の面積率の増加とともに減少した。逆にUTSとσ0.2は、両者とも共晶層の面積率の増加とともに増加した。ECの減少は、共晶相の面積率増加によって相対的にα−Cu相が減少したこと、UTSとσ0.2の増加は共晶相の面積率増加によって共晶相内のCu9Zr2化合物相が増加したことに関連があると推察された。
図20は、Zr4.0at%を含む銅合金線材である実施例30〜34についての加工度ηとEC,UTS,σ0.2との関係を示すグラフである。インゴットのとき、すなわちas−cast時のECは28%IACSであったが、伸線後の銅合金線材のECはインゴットに比べて一旦高くなり、η=3.6付近で最高になった後、それ以上の加工度では減少した。一方UTSとσ0.2は、加工度の増加とともに直線的に増加した。
図21は、Zr4.0at%を含む銅合金線材の縦断面のSEM写真であり、図21(a)は実施例31(η=5.9)、図21(b)は実施例32(η=7.5)、図21(c)は実施例33(η=8.6)のものである。加工度ηが増すとともにα−Cu相と共晶相との層状組織は各層の厚さが薄くなり、緻密な組織に変化していくことがわかった。図20で見られた加工度ηとEC,UTS,σ0.2との関係には、このような層状組織の変化と関連があるものと推察された。さらには共晶相中で形成されているCu相とCu9Zr2化合物相との層状組織も加工度ηによって変化し、電気的・機械的性質に影響を与えているものと推察された。
図22は、実施例28(Cu−3at%Zr,η=5.9)の銅合金線材を焼鈍した焼鈍材について、焼鈍温度とEC,UTSとの関係を示すグラフである。焼鈍は、300℃〜650℃の各温度で900s保持し、その後炉冷することによって行った。ECは常温から300℃まではほとんど変わらないないが、それ以上の温度では緩やかに増加した。UTSは350℃で最高値を示した後、緩やかに減少し、475℃以上では急激に減少した。これは、α−Cu相中へ固溶していたZrの析出が一因と推察された。組織に影響を受けると考えられる伸線加工材の電気的・機械的性質は475℃まで比較的安定していたが、それ以上の温度は組織に変化が生じると推察された。このことから、本発明の銅合金線材は475℃までは、安定して使用できるものと推察された。
図23は、実施例36(Cu−5at%Zr,η=8.6)の銅合金線材の公称S−S曲線を示すグラフである。引張強さは2234MPaであり、0.2%耐力は1873MPaであり、ヤング率は69GPaであり、伸びは0.8%であった。また、導電率は16%IACSであった。以上より、引張強さを2200MPa以上、導電率を15%AICS以上、ヤング率を60GPa以上90GPa以上とすることが可能なことが分かった。また、2GPaを超える引張強さを示すが、ヤング率は実用銅合金の1/2程度と小さく、破断伸びは概して大きいことが分かった。
図24は、実施例36(Cu−5at%Zr,η=8.6)の銅合金線材の引張試験後の破断面のSEM写真である。一部には非晶質の破断特性を示す脈状のベイン・パターンが観察された。
図25は、実施例33(Cu−4at%Zr,η=8.6)の銅合金線材の縦断面の複合相のSTEM写真である。図25(a)はBF像であり、図25(b)はHAADF像である。図25より、幅10nm以上70nm以下程度の層状となるCu相と、その両端にストリンガー状に伸びるCu9Zr2相が観察された。このストリンガー状に伸びるCu9Zr2相は、幅の平均値が10nm以下であり、加工度が高いものほど細い(微細化する)ことが分かった。このように、例えばCu9Zr2相などの銅−Zr化合物相が微細化することで、引張強さを高めることができ、特にその幅の平均値が10nm以下であれば引張強さをより高めることができるものと推察された。ここで、Cu相は図25(a)のBF像で確認しやすく、層状となっている部分である。Cu9Zr2相は図25(b)のHAADF像で確認しやすく、黒くストリンガー状に伸びた部分である。また、図25(a)のBF像から観察されるように、Cu相内にも伸線軸に対して20°以上40°以下程度の角度で変形双晶が現れることが分かった。
表4は、実施例33(Cu−4at%Zr,η=8.6)の銅合金線材の複合相中のCu9Zr2相やCu相、銅母相(α−Cu相)についてZAF法による定量分析結果を示すものである。表4より、Cu9Zr2には酸素が含まれていることが分かった。この酸素が、アモルファス化を促進するなどして、引張強さを高めることができるものと推察された。なお、このとき、銅母相や、複合相中の銅相には、酸素は含まれていなかった。また、複合相にはCu9Zr2相及びCu相のいずれにもSiが含まれることが分かった。このSiは石英製ノズルに起因するものであると推察された。なお、SiでなくAlが含まれていてもよいと推察された。例えば、アルミナ製ノズルなどを用いた場合には、Alが含まれると推察された。
図26は、実施例33(Cu−4at%Zr,η=8.6)の銅合金線材の共晶相(Point1〜4)のEDX分析結果である。また、図27は、実施例33の銅合金線材の銅母相(Point5,6)のEDX分析結果である。ここで、Point1〜6は表4に示したPoint1〜6に対応する。図26に示す写真は、図25の枠内の拡大写真であるSTEM−HAADF像であり、STEM−HAADF像中の点A,BがPoint3,4に対応する。このSTEM−HAADF像で黒く見えるCu9Zr2相内の点では、酸素と珪素を多く含み、ZAF法で定量した酸素、O,Si,Cu,Zrから計算した平均原子番号ZはZ=20.2で、CuのZ=29よりも見かけ上小さくなることが分かった。このため、Cu9Zr2相がCu相よりも暗く観察されるものと推察された。なお、Point1,2のEDX分析を行った視野のSTEM−HAADF像については省略した。また、図27に示す写真は、銅母相(α−Cu相)のSTEM−BF像であり、STEM−BF像中の点5,6がPoint5,6に対応する。このSTEM−BF像では、α−Cu相内でも層状組織となり、その一部に変形双晶が観察された。この層状組織は、各層の幅、すなわち、各銅相の幅の平均値は100nm以下であった。このように、α−Cu相内で層状組織となることで、ホールペッチ則のような効果によって引張強さを高めることができ、各銅相の幅の平均値が100nm以下であることによって引張強さをより高めることができるものと推察された。また、各銅相の境界を又がないように変形双晶が形成されていた。この変形双晶は、軸方向に対して20°以上40°以下の角度であり、銅母相において0.1%以上5%以下の範囲を占めていた。このような変形双晶を有するものでは、双晶変形によって導電率を大きく減らすことなく引張強さを高めることができるものと推察された。なお、これらは、イオンミーリングの加工痕ではないことは確認済である。また、銅母相ではO、Siが含まれていない、あるいはZAF法では定量することができないほど微量しか含まれていないことが分かった。また、α−Cu相内やCu−Zr化合物相内には明確な高転位密度となる転位下部組織が発達している様子は確認されず、少なくとも縦断面ではほとんど転位が存在しないことが分かった。一般に、加工度が高まるほど転位は増殖しやすいが、本願のものでは、各相の境界や変形双晶などで吸収され、あるいは消滅したためとに、ほとんど転位が増殖しなかったものと推察された。そして、軸方向には転位がほとんど存在しないため、導電率を良好に保つことができると推察された。これは、例えば5at%Zrを含むものなど、他の実施例でも同様であった。
図28は、実施例33(Cu−4at%Zr,η=8.6)の銅合金線材のSTEM−BF像であり、図26のSTEM−HAADF像の枠内を観察した結果である。図28(a)は図26の大枠、図28(b)は図26の小枠内のSTEM−BF像である。Cu相は、観察場所により影があるものの、格子縞が観察された。一方、実線で囲まれたCu9Zr2相内では、格子縞が観察されず、アモルファスの様相を呈していることが分かった。図28において、アモルファス相の面積率を求めると約31%であった。このように、アモルファス相はCu9Zr2相などの銅−Zr化合物相に形成されやすいことがわかった。ここで、Cu9Zr2相の一部だけでなく全部がアモルファス相であってもよいと推察された。
図29は、加工度η=8.6の、実施例29(Cu−3at%Zr)と実施例33(Cu−4at%Zr)と実施例36(Cu−5at%Zr)の銅合金線材における、η=5.9(中間線径160μm)時の横断面で測定した共晶相比率と、UTS,σ0.2,ヤング率,EC,伸びとの関係示すグラフである。UTS、σ0.2は共晶相比率が高くなるほど大きくなることが分かった。また、ヤング率は共晶相比率が高くなるほど小さくなることが分かった。また、ECや伸びは、共晶相比率が50%程度のときに最大となることが分かった。各々の性質は共晶相内のCu9Zr2化合物相の存在や構造変化(アモルファス化)と関係があるものと推察された。
図30は、Zr4.0at%を含む銅合金線材である実施例30〜34について、加工度とUTS,σ0.2,組織,ECとの関係を示すグラフである。強度、ヤング率は、加工度が増えるとともに増加することが分かった。また、α−Cu相やCu9Zr2化合物相の層の幅の平均値をη=5.9の場合とη=8.6の場合とで比較すると、加工度が増えるとそれぞれの幅もそれに応じて小さくなることが分かった。
図31は、Zr量,加工度ηと、層状組織・性質の変化との関係を考察した結果をまとめた図である。η=8.6で伸線加工したもののように、加工度が高いものほど、引張強さをより高めることができることが分かった。この理由としては、複合則による引張強さの向上のほかに、以下に示すような理由が推察された。例えば、銅母相がさらに層状となることによるホールペッチ則のような効果によって引張強さを高めたり、銅母相内で変形双晶が生じることによっても引張強さを高めることができると推察された。また、加工度を高めるほど、Cu9Zr2化合物相の幅がより小さく、離散化(ストリンガー分散化)するなどして、引張強さが向上するものと考えられた。さらに、加工度を高めるほど、アモルファス化が促進するが、特に、酸素が含まれ得ることに起因するアモルファス化の促進効果をさらに高めることができると推察された。また、Zrが増加するほど、Cu9Zr2相が増加し、アモルファス化しやすくなるため、ヤング率は低下しやすいものと推察された。
表5は、実施例28〜36、比較例6の試験結果を示すものである。表5には2次DASや合金組成,鋳造径,伸線径,断面減少率,加工度,引張強さ,導電率を示した。また、図32は、実施例28〜36及び比較例6の銅合金線材UTSとECとの関係を示したグラフであり、従来の代表的な銅合金の場合と比較したものである。実線上に示してあるのが実施例28〜36及び比較例6の銅合金線材の結果である。一方、従来の代表的な銅合金の結果は破線上に示した。ここで、一般にUTSとECとの間にはトレードオフの関係があることがよく知られており、破線で示したようにUTSが増加するとECは急激に減少する。しかし実線で示した亜共晶組成の本願実施例28〜36及び比較例6の銅合金線材では、従来の代表的な銅合金よりもこの関係が緩やかであることが分かった。これは、伸線加工の過程で層状組織が加工度(η)に関連して連続的に変化し得るため、このことがUTSとECとのトレードオフ関係の緩和に寄与しているものと推察された。なお、実施例28〜36では、石英ノズルを用いて原料を溶解したが、これに限らず石英を含む容器を用いてもよいと推察された。また、アルミナを含む容器を用いてもよいと推察された。また、実施例1〜36では、銅鋳型に溶解した金属を注湯したが、例えば、カーボンダイスなどに直接注湯してもよいと推察された。
本出願は、2009年9月14日に出願された日本国特許出願第2009−212053号および、2010年8月10日に出願された米国特許仮出願第61/372185号を優先権主張の基礎としており、引用によりその内容の全てが本明細書に含まれる。
本発明は、伸銅品の分野に利用可能である。
10 銅合金線材、20 複合相、21 銅相、22 銅−ジルコニウム化合物相、25 アモルファス相、30 銅母相、50 溶湯、60 インゴット、65 デンドライト、66 1次デンドライトアーム、67 2次デンドライトアーム、68 間隔。
即ち、本発明の銅合金線材は、
銅母相と、
銅−Zr化合物相と銅相とからなる複合相と、
を備え、
合金組成におけるZrが3.0at%以上7.0at%以下であり、
前記銅母相と前記複合相とが母相−複合相繊維状組織を構成し、軸方向に対して平行で中心軸を含む断面を見たときに前記銅母相と前記複合相とが軸方向に平行に交互に配列しており、
さらに、前記複合相は、前記銅−Zr化合物相と前記銅相とが複合相内繊維状組織を構成し、前記断面を見たときに前記銅−Zr化合物相と前記銅相とが50nm以下の相間隔(相の厚さ)で軸方向に平行に交互に配列しており
前記銅合金線材は、酸素を含んでいるものである。
複合相20は、銅−Zr化合物相22と銅相21とにより構成され、銅母相30とともに母相−複合相繊維状組織を構成している。さらにこの複合相20は、銅−Zr化合物相22と銅相21とが複合相内繊維状組織を構成し、軸方向に対して平行で中心軸を含む断面を見たときに銅−Zr化合物相22と銅相21とが50nm以下の相間隔(層の厚さ)で軸方向に平行に交互に配列している。銅−Zr化合物相22は一般式Cu9Zr2で表される化合物からなるものである。この相間隔は、50nm以下であればよいが、40nm以下であることが好ましく、30nm以下であることがより好ましい。50nm以下であれば引張強さをより高めることができるからである。なお、この相間隔は7nmより大きいことが好ましく、製造を容易にする観点から、10nm以上がより好ましく、20nm以上がさらに好ましい。ここで、相間隔は、以下のようにして求めることができる。まず、STEM観察の試料として、Arイオン・ミリング法を用いて細くした線材を用意する。次に、代表的となる中心部分のうち共晶相が確認できる部分を50万倍以上の倍率、例えば50万倍や250万倍などで観察し、50万倍では例えば300nm×300nmの視野の3ヶ所について、250万倍では例えば50nm×50nmの視野の10箇所について、STEM−HAADF像(走査型電子顕微鏡の高角度環状暗視像)を撮影する。そして、STEM−HAADF像上で幅を確認できるすべての銅−Zr化合物相22と銅相21の幅を測定してこれらを合計し、幅を測定した銅−Zr化合物相22の数と銅相21の数との合計の数で除して平均値を求め、これを相間隔とする。ここで、引張強さを高める観点からは、銅−Zr化合物相22と銅相21とはほぼ等間隔で交互に配列していることが好ましい。
この複合相20は、軸方向に対して平行で中心軸を含む断面を見たときに面積率で5%以上35%以下のアモルファス相を含むことが好ましく、5%以上25%以下のアモルファス相を含むことがより好ましい。すなわち、複合相20に対して面積率で5%以上35%以下のアモルファス相を含むものであることが好ましく、5%以上25%以下のアモルファス相を含むものであることがより好ましい。このうち10%以上であることがより好ましく、15%以上であることがさらに好ましい。アモルファス相が5%以上であれば引張強さをより高めることができるからである。また、35%を超えるアモルファス相を含むものは製造しにくいからである。なお、図3に示すように、アモルファス相25は、主に銅−Zr化合物相22と銅相21との界面に形成され、これが引張強さを保持する役割の一端を担っていると考えられる。ここで、アモルファス相の面積率は、以下のようにして求めることができる。まず、STEM観察の試料として、Arイオン・ミリング法を用いて細くした線材を用意する。次に、代表的となる中心部分のうち共晶相が確認できる部分について50万倍以上の倍率、例えば50万倍や250万倍などで観察し、50万倍では300nm×300nmの視野での格子像を3ヶ所、250万倍では例えば50nm×50nmの視野での格子像を10箇所撮影する。そして、得られたSTEMの格子像上でアモルファスと思われる原子の無配列な領域の面積率を測定して平均値を求め、これをアモルファス相の面積率(以下、アモルファス比率とも称する)とする。
(実施例20〜23)
Zr5.0at%と残部CuとからなるCu−Zr二元系合金を用いたこと以外は実施例1と同様にして実施例20の線材を得た。また、伸線後の線材の直径が0.100mmとなるように伸線加工を行った以外は実施例20と同様にして実施例21の線材を得た。また、伸線後の線材の直径が0.040mmとなるように伸線加工を行った以外は実施例20と同様にして実施例22の線材を得た。また、伸線後の線材の直径が0.010mmとなるように伸線加工を行った以外は実施例20と同様にして実施例23の線材を得た。
図23は、実施例36(Cu−5at%Zr,η=8.6)の銅合金線材の公称S−S曲線を示すグラフである。引張強さは2234MPaであり、0.2%耐力は1873MPaであり、ヤング率は69GPaであり、伸びは0.8%であった。また、導電率は16%IACSであった。以上より、引張強さを2200MPa以上、導電率を15%IACS以上、ヤング率を60GPa以上90GPa以とすることが可能なことが分かった。また、2GPaを超える引張強さを示すが、ヤング率は実用銅合金の1/2程度と小さく、破断伸びは概して大きいことが分かった。
図30は、Zr4.0at%を含む銅合金線材である実施例30〜34について、加工度とUTS,ヤング率幅の平均値,ECとの関係を示すグラフである。強度、ヤング率は、加工度が増えるとともに増加することが分かった。また、α−Cu相やCu9Zr2化合物相の層の幅の平均値をη=5.9の場合とη=8.6の場合とで比較すると、加工度が増えるとそれぞれの幅もそれに応じて小さくなることが分かった。

Claims (23)

  1. 銅母相と、
    銅−Zr化合物相と銅相とからなる複合相と、
    を備え、
    合金組成におけるZrが3.0at%以上7.0at%以下であり、
    前記銅母相と前記複合相とが母相−複合相繊維状組織を構成し、軸方向に対して平行で中心軸を含む断面を見たときに前記銅母相と前記複合相とが軸方向に平行に交互に配列しており、
    さらに、前記複合相は、前記銅−Zr化合物相と前記銅相とが複合相内繊維状組織を構成し、前記断面を見たときに前記銅−Zr化合物相と前記銅相とが50nm以下の相間隔で軸方向に平行に交互に配列している、
    銅合金線材。
  2. 前記複合相は、前記断面を見たときに面積率で5%以上25%以下のアモルファス相を含む、請求項1に記載の銅合金線材。
  3. 銅母相と、
    銅−Zr化合物相と銅相とからなる複合相と、
    を備え、
    合金組成におけるZrが3.0at%以上7.0at%以下であり、
    前記複合相は、軸方向に対して平行で中心軸を含む断面を見たときに面積率で5%以上25%以下のアモルファス相を含む、
    銅合金線材。
  4. 前記銅合金線材は、軸方向に対して垂直な断面を観察したときに前記複合相が面積率で40%以上60%以下の範囲を占める、請求項1〜3のいずれか1項に記載の銅合金線材。
  5. 前記複合相は、軸方向に対して平行で中心軸を含む断面を見たときに、前記銅−Zr化合物相の幅の平均値が10nm以下である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の銅合金線材。
  6. 前記銅母相は、複数の銅相が銅母相内繊維状組織を構成し、軸方向に対して平行で中心軸を含む断面を見たときに、前記複数の銅相の幅の平均値が100nm以下であり、隣り合う銅相の境界をまたがないように軸方向に対して20°以上40°以下の角度で存在する変形双晶を0.1%以上5%以下の範囲で有する、請求項1〜5のいずれか1項に記載の銅合金線材。
  7. 前記銅−Zr化合物相は一般式Cu9Zr2で表され、その一部又は全部がアモルファス相である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の銅合金線材。
  8. 前記銅合金線材は、酸素を含んでいる、請求項1〜7のいずれか1項に記載の銅合金線材。
  9. 前記銅−Zr化合物相は、酸素及びSiを含んでおり、EDX分析によるZAF法でO−K線、Si−K線、Cu−K線、Zr−L線を定量測定して得られた存在割合から算出した平均原子番号Zが20以上29未満であり、
    前記銅母相は、酸素を含まない、
    請求項1〜8のいずれか1項に記載の銅合金線材。
  10. 軸方向の引張強さが1300MPa以上であり導電率が20%IACS以上である、請求項1〜9のいずれか1項に記載の銅合金線材。
  11. 軸方向の引張強さが2200MPa以上であり、導電率が15%IACS以上であり、ヤング率が60GPa以上90GPa以下である、請求項1〜9のいずれか1項に記載の銅合金線材。
  12. (1)Zrを3.0at%以上7.0at%以下の範囲で含む銅合金となるように原料を溶解する溶解工程と、
    (2)2次デンドライトアーム間隔(2次DAS)が10.0μm以下となるようにインゴットを鋳造する鋳造工程と、
    (3)前記インゴットを断面減少率が99.00%以上となるように冷間で伸線する伸線工程と、
    を含む、銅合金線材の製造方法。
  13. 前記鋳造工程では、銅鋳型を使用して直径が3mm以上10mm以下の棒状インゴットを鋳造する、請求項12に記載の銅合金線材の製造方法。
  14. (1)Zrを3.0at%以上7.0at%以下の範囲で含む銅合金となるように原料を溶解する溶解工程と、
    (2)銅鋳型で直径が3mm以上10mm以下の棒状のインゴットを鋳造する鋳造工程と、
    (3)前記インゴットを断面減少率が99.00%以上となるように冷間で伸線する伸線工程と、
    を含む、銅合金線材の製造方法。
  15. 前記伸線工程では、せん断伸線を行う、請求項12〜14のいずれか1項に記載の銅合金線材の製造方法。
  16. 前記溶解工程では、前記原料に質量比で700ppm以上2000ppm以下の酸素が含有されている、請求項12〜15のいずれか1項に記載の銅合金線材の製造方法。
  17. 前記溶解工程では、Si又はAlを含む容器を用いて前記原料を溶解する、請求項12〜16のいずれか1項に記載の銅合金線材の製造方法。
  18. 前記溶解工程では、前記原料を0.5MPa以上2.0MPa以下で加圧するように不活性ガスを吹き込みながら溶解する、
    前記鋳造工程では、前記溶解工程に引き続いて、前記原料を0.5MPa以上2.0MPa以下で加圧するように不活性ガスを吹き込みながら注湯する、
    請求項12〜17のいずれか1項に記載の銅合金線材の製造方法。
  19. 前記容器は、底面に出湯口を有するものである、請求項17又は18に記載の銅合金線材の製造方法。
  20. 前記鋳造工程では、銅鋳型又はカーボンダイスに前記溶解工程で溶解した金属を注湯する請求項12〜19のいずれか1項に記載の銅合金線材の製造方法。
  21. 前記鋳造工程では、凝固後常温での前記インゴットの銅母相に含まれるZr量がEDX−ZAF法による分析結果で0.3at%以上の過飽和となるように急冷凝固する、請求項12〜20のいずれか1項に記載の銅合金線材の製造方法。
  22. 前記伸線工程では、1又は2以上の加工パスを経て前記インゴットを断面減少率が99.00%以上となるように冷間で伸線し、前記加工パスの少なくとも1つは、断面減少率が15%以上である、請求項12〜21のいずれか1項に記載の銅合金線材の製造方法。
  23. 前記伸線工程では、材料および伸線加工を施す設備の少なくとも一方を、常温よりも低い温度となるように冷却して伸線加工を行う、請求項12〜22のいずれか1項に記載の銅合金線材の製造方法。
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