JP2015061466A - 回転電機のロータ - Google Patents

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Abstract

【課題】その目的は、生産効率を維持しながら、ロータの偏心、及び応力の集中を防止することが可能な回転電機のロータを提供する。
【解決手段】それぞれの鋼板1は、第一の円周方向毎に形成される磁石挿入孔片3aと、第二の円周方向間隔毎に形成される貫通孔片9aと、を有し、第一の円周方向間隔と第二の円周方向間隔は互いに異なる大きさであり、ロータコア10は、複数の鋼板1が所定の枚数おきに第一の円周方向間隔で回転されて積層される。
【選択図】図3

Description

本発明は、回転電機のロータに関する。
従来から、回転電機に使用されるロータとしては、複数の電磁鋼板を積層してなるロータコアを使用したものが知られている(例えば、図17及び図18や特許文献1参照)。
図17に示すような従来の回転電機のロータ100は、積層された複数の鋼板101によって構成され、第一の円周方向間隔(45°間隔)毎に形成された複数の磁石挿入孔103を有するロータコア105と、磁石挿入孔103に挿入される不図示の永久磁石と、ロータコア105の中央部に形成されたシャフト孔107に挿入される不図示のロータシャフトと、を備えている。
図18に示すように、ロータコア105を構成する鋼板101は、円周方向に第一の円周方向間隔(45°間隔)毎に形成された磁石挿入孔片103aと、磁石挿入孔片103aの内周側において、第二の円周方向間隔(45°間隔)毎に鋼板101を軸方向に貫通する複数の貫通孔片109aと、を有する。
鋼板101において、貫通孔片109aの内周側に形成された内周側円環部111aと、貫通孔片109aの外周側に形成された外周側円環部113aと、は複数の貫通孔片109a同士の間に形成された複数のリブ115によって連結される。
ロータコア105は、このような複数の同一形状の鋼板101を軸方向に積層することによって構成されており、複数の鋼板101の磁石挿入孔片103aによって形成される磁石挿入孔103と、複数の鋼板101の貫通孔片109aによって形成される貫通孔109と、複数の鋼板101の内周側円環部111a及び外周側円環部113aによって形成される内周側ロータコア111及び外周側ロータコア113と、を有する。すなわち、ロータコア105は、鋼板101を積層方向(軸方向)に延長した形状となる。
また、鋼板101の積層時における積厚の偏りを抑制するために、第一の円周方向間隔(45°間隔)ずつ、軸方向に隣接する鋼板101同士を円周方向に回転させて積層することによって、ロータコア105を構成することがある。この場合であっても、第一及び第二の円周方向間隔は、どちらも45°間隔であって同一とされているので、軸方向に隣接する鋼板101の貫通孔片109aが軸方向から見たときに重なり、ロータコア105は鋼板101を積層方向(軸方向)に延長した形状となる。
しかしながら、このようなロータコア105においては、積層された鋼板101のリブ115が軸方向から見たときに重なるので、リブ115と内周側円環部111a(内周側ロータコア111)との内周側接続部117に応力が集中する。したがって、ロータコア105の強度を維持するために、内周側接続部117と円周方向にオーバーラップする部分において、内周側円環部111a(内周側ロータコア111)の肉厚を局所的に増加させ、且つシャフト孔107に挿入されるロータシャフトの肉厚を局所的に増加させる必要がある。現実的には、内周側円環部111a(内周側ロータコア111)全体の肉厚を増加させ、ロータシャフト全体の肉厚を増加させることが必要となる。
また、貫通孔109は貫通孔片109aを軸方向に延長した形状となるので、油中(液冷)環境下において、積層された鋼板101同士の隙間等から貫通孔109に油が浸入した場合、複数の貫通孔109の内の特定の貫通孔109に油が集中して溜まってしまう虞がある。このような特定の貫通孔109への油の集中は、ロータ100の偏心(アンバランス)の原因となり、回転時の振動や音が増加し、商品性が低下してしまう。
そこで、これらの問題を解決するために、特許文献1に記載の回転電機のロータを用いることが考えられる。特許文献1に記載の回転電機のロータは、ロータシャフトに固設され、冷媒通路を有するロータコアを備える。ロータコアは、第1及び第2板状部材を軸方向に積層して構成される。
第1板状部材は、冷媒通路を構成する第1孔部と、ロータシャフトに嵌合し、該ロータシャフトに対する第1板状部材の回転を抑制する第1回転抑制部と、を有する。第2板状部材は、第1孔部に対して円周方向にずれた位置に形成されるとともに、冷媒通路を構成する第2孔部と、ロータシャフトに嵌合し該ロータシャフトに対する第2板状部材の回転を抑制する第2回転抑制部と、を有する。
そして、第1及び第2板状部材を軸方向に積層することで、円周方向にずれた位置に形成された第1及び第2孔部が連通するとともに、第1及び第2孔部を重ねると、全体としてロータシャフトを全周にわたって取り囲むように孔部が形成される。このように構成することにより、ロータコアの円周方向に満遍なく冷却媒体が供給される。また、円周方向に隣り合う第1孔部同士の間のリブと、円周方向に隣り合う第2孔部同士の間のリブと、が円周方向にずれた位置に形成されるので、リブの根元に応力が集中することを抑制できる。
特許第5118920号公報
しかしながら、特許文献1において、第1及び第2板状部材は、互いに裏返して積層されたものであるので、生産効率が低下してしまう虞がある。また、第1及び第2孔部は、一つの冷媒通路のみを構成していることから、冷却媒体が必ずしも円周方向に満遍なく供給されるとは限らなかった。
本発明は上述した課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、生産効率を維持しながら、ロータの偏心、及び応力の集中を防止することが可能な回転電機のロータを提供することにある。
前述した目的を達成するために、請求項1に係る発明は、
積層された複数の鋼板(例えば後述の実施形態の鋼板1)によって構成され、且つ第一の円周方向間隔毎に形成された複数の磁石挿入孔(例えば後述の実施形態の磁石挿入孔3)を有するロータコア(例えば後述の実施形態のロータコア5)と、
前記磁石挿入孔に挿入される永久磁石と、
を備えた回転電機のロータ(例えば後述の実施形態の回転電機のロータ10)において、
前記ロータコアを構成する前記鋼板は、
前記第一の円周方向間隔毎に形成され、前記複数の鋼板が積層されることによって複数の前記磁石挿入孔を構成する複数の磁石挿入孔片(例えば後述の実施形態の磁石挿入孔片3a)と、
前記磁石挿入孔片の内周側において、第二の円周方向間隔毎に前記鋼板を軸方向に貫通する複数の貫通孔片(例えば後述の実施形態の貫通孔片9a)と、
を有し、
前記鋼板において、前記貫通孔片の内周側に形成された内周側円環部(例えば後述の実施形態の内周側円環部11a)と、前記貫通孔片の外周側に形成された外周側円環部(例えば後述の実施形態の外周側円環部13a)とは、複数の前記貫通孔片同士の間に形成された複数のリブ(例えば後述の実施形態のリブ15)によって連結され、
前記第一の円周方向間隔と前記第二の円周方向間隔は互いに異なる大きさであり、
前記ロータコアは、複数の前記鋼板が、所定の枚数おきに前記第一の円周方向間隔で回転されて積層されている
ことを特徴とする。
請求項2に係る発明は、請求項1の構成に加えて、
前記第二の円周方向間隔は、前記第一の円周方向間隔よりも大きい
ことを特徴とする。
請求項3に係る発明は、請求項2の構成に加えて、
前記第二の円周方向間隔は、前記第一の円周方向間隔の整数倍である
ことを特徴とする。
請求項4に係る発明は、請求項2の構成に加えて、
前記第二の円周方向間隔は、前記第一の円周方向間隔の整数倍ではない
ことを特徴とする。
請求項5に係る発明は、請求項1の構成に加えて、
前記第一の円周方向間隔は、前記第二の円周方向間隔よりも大きく、且つ、前記第二の円周方向間隔の整数倍ではない
ことを特徴とする。
請求項6に係る発明は、請求項1〜5の何れか1項の構成に加えて、
前記ロータコアは、複数の前記鋼板を前記第一の円周方向間隔で転積することによって構成されている
ことを特徴とする。
請求項7に係る発明は、請求項1〜5の何れか1項の構成に加えて、
前記ロータコアは、ロータシャフト(例えば後述の実施形態のロータシャフト8)に組付ける際に複数の前記鋼板を前記第一の円周方向間隔で回転させて積層することによって構成されている
ことを特徴とする。
請求項8に係る発明は、
積層された複数の鋼板(例えば後述の実施形態の鋼板1)によって構成され、且つ第一の円周方向間隔毎に形成された複数の磁石挿入孔(例えば後述の実施形態の磁石挿入孔3)を有するロータコア(例えば後述の実施形態のロータコア5)と、
前記磁石挿入孔に挿入される永久磁石と、
を備えた回転電機のロータ(例えば後述の実施形態の回転電機のロータ10)において、
前記ロータコアを構成する前記鋼板は、
前記第一の円周方向間隔毎に形成され、前記複数の鋼板が積層されることによって複数の前記磁石挿入孔を構成する複数の磁石挿入孔片(例えば後述の実施形態の磁石挿入孔片3a)と、
前記磁石挿入孔片の内周側において、第二の円周方向間隔毎に前記鋼板を軸方向に貫通する複数の貫通孔片(例えば後述の実施形態の貫通孔片9a)と、
を有し、
前記鋼板において、前記貫通孔片の内周側に形成された内周側円環部(例えば後述の実施形態の内周側円環部11a)と、前記貫通孔片の外周側に形成された外周側円環部(例えば後述の実施形態の外周側円環部13a)とは、複数の前記貫通孔片同士の間に形成された複数のリブ(例えば後述の実施形態のリブ15)によって連結され、
前記リブは、外周側に向かうに従って円周方向の一方側に向かって延びるように形成され
前記ロータコアは、所定の枚数の前記鋼板を所定の向きに積層した第一コア(例えば後述の実施形態の第一コア17)と、所定の枚数の前記鋼板を前記第一コアとは反対向きに積層した第二コア(例えば後述の実施形態の第二コア19)と、を備えて構成される
ことを特徴とする。
請求項9に係る発明は、
積層された複数の鋼板(例えば後述の実施形態の鋼板1)によって構成され、且つ第一の円周方向間隔毎に形成された複数の磁石挿入孔(例えば後述の実施形態の磁石挿入孔3)を有するロータコア(例えば後述の実施形態のロータコア5)と、
前記磁石挿入孔に挿入される永久磁石と、
を備えた回転電機のロータ(例えば後述の実施形態の回転電機のロータ10)において、
前記ロータコアを構成する前記鋼板は、
前記第一の円周方向間隔毎に形成され、前記複数の鋼板が積層されることによって複数の前記磁石挿入孔を構成する複数の磁石挿入孔片(例えば後述の実施形態の磁石挿入孔片3a)と、
前記磁石挿入孔片の内周側において、第二の円周方向間隔毎に前記鋼板を軸方向に貫通する複数の貫通孔片(例えば後述の実施形態の貫通孔片9a)と、
を有し、
前記鋼板において、前記貫通孔片の内周側に形成された内周側円環部(例えば後述の実施形態の内周側円環部11a)と、前記貫通孔片の外周側に形成された外周側円環部(例えば後述の実施形態の外周側円環部13a)とは、複数の前記貫通孔片同士の間に形成された複数のリブ(例えば後述の実施形態のリブ15)によって連結され、
前記第一の円周方向間隔と前記第二の円周方向間隔は互いに異なる大きさであり、
前記ロータコアは、複数の前記鋼板が、所定の枚数おきに前記第一の円周方向間隔で回転されて積層されており、
軸方向から見たときに、軸方向において隣接し、且つ周方向にずれた前記鋼板のリブ同士の一部が、前記内周側円環部との接続部から前記外周側円環部との接続部までに亘って重なる
ことを特徴とする。
請求項10に係る発明は、請求項9の構成に加えて、
前記ロータコアは、複数の前記鋼板が、所定の枚数おきに前記第一の円周方向間隔で回転されて積層された場合に、軸方向一方側端における前記鋼板の所定の貫通孔片から、軸方向他方側端における前記鋼板の前記所定の貫通孔片までに亘って螺旋状に連通する所定の貫通孔(例えば後述の実施形態の貫通孔9)を有し、
前記所定の貫通孔は、前記ロータコアの内部において、軸方向一方側端から軸方向他方側端に向かって少なくとも360度以上回転するように形成される
ことを特徴とする。
請求項11に係る発明は、請求項9又は10の構成に加えて、
前記ロータコアは、複数の前記鋼板を転積することによって構成されている
ことを特徴とする。
請求項12に係る発明は、請求項9又は10の構成に加えて、
前記ロータコアは、ロータシャフトに組付ける際に複数の前記鋼板を前記第一の円周方向間隔で回転させて積層することによって構成されている
ことを特徴とする。
油中(液冷)環境下においては、積層された鋼板同士の隙間等から貫通孔片に油が浸入してしまう恐れがあり、特定の貫通孔片に油が集中して溜まってしまうと、偏心(アンバランス)の原因となってしまう。偏心した場合には、回転時の振動や音が大きくなってしまい、商品性が低下してしまう。
しかし、請求項1の発明によれば、それぞれの鋼板は、第一の円周方向毎に形成される磁石挿入孔片と、第二の円周方向間隔毎に形成される貫通孔片と、を有し、第一の円周方向間隔と第二の円周方向間隔は互いに異なる大きさであり、ロータコアは、複数の鋼板が所定の枚数おきに第一の円周方向間隔で回転されて積層されている。
したがって、円周方向に回転されつつ軸方向に積層された鋼板の貫通孔片は、互いに円周方向に第一及び第二円周方向間隔の差だけずれながら、互いに軸方向に連通する。これにより、円周方向に隣接する貫通孔片同士を、円周方向に回転されつつ軸方向に積層された他の鋼板の貫通孔片を介して連通させることができる。そして、複数の貫通孔片同士が連通するような構成となるので、特定の貫通孔片に油が集中して溜まってしまうことを抑制でき、ロータの偏心を抑制することができる。
また、従来の特許文献1のように鋼板を裏返して積層していく工程が必要ないので、生産効率の低下を抑制することができる。
また、複数の鋼板が積層されてロータコアが構成される際に、複数の鋼板の内周側円環部及び外周側円環部によって内周側ロータコア及び外周側ロータコアが構成されるが、軸方向から見たとき、内周側ロータコアと外周側ロータコアとを連結するリブの本数は、一枚の鋼板において内周側円環部と外周側円環部とを連結するリブの本数に比べ、多くなる。
したがって、リブを介して、ロータコアに挿入されるロータシャフト又は内周側ロータコアに働く応力が分散されやすくなるため、ロータシャフト又は内周側ロータコアの大型化を抑制することができる。
また、仮に、第二の円周方向間隔が第一の円周方向間隔よりも小さい場合には、複数の貫通孔片同士の間に形成されるリブの本数が比較的多くなり、すなわち貫通孔片の面積に対するリブの面積が相対的に大きくなり、回転されて積層した場合に、軸方向に隣接する鋼板のリブ同士が軸方向から見たときにオーバーラップしやすくなってしまう虞がある。この場合、円周方向に隣接する貫通孔片同士を、円周方向に回転されつつ軸方向に積層された他の鋼板の貫通孔片を介して連通させ難くなってしまう。
しかし、請求項2に係る発明では、第二の円周方向間隔が第一の円周方向間隔よりも大きいことにより、複数の貫通孔片同士の間に形成されるリブの本数が比較的少なくなって、回転されて積層した場合に、軸方向に隣接する鋼板のリブ同士が軸方向から見たときにオーバーラップしにくくなり、円周方向に隣接する複数の貫通孔片同士をより連通させやすくすることができる。
請求項3の発明によれば、円周方向に隣接する複数の貫通孔片同士をより連通させやすくすることができる。したがって、特定の貫通孔片に油が集中して溜まってしまうことをさらに抑制でき、ロータの偏心をさらに抑制することができる。
請求項4の発明によれば、第二の円周方向間隔は、第一の円周方向間隔の整数倍となっていないため、第二の円周方向間隔と第一の円周方向間隔の最小公倍数の角度に対応する分だけの回数を回転されて積層した際に、鋼板の貫通孔片(リブ)が同じ位置に配置されることとなる。
したがって、軸方向から見たとき、内周側ロータコアと外周側ロータコアとを連結するリブの本数を多くすることができるため、リブを介してロータシャフト又は内周側ロータコアに働く応力をより分散しやすくすることができる。
請求項5の発明によれば、第一の円周方向間隔が第二の円周方向間隔よりも大きいので、複数の貫通孔片同士の間に形成されるリブの本数が比較的多くなる。さらに、第一の円周方向間隔が第二の円周方向間隔の整数倍ではないので、第二の円周方向間隔と第一の円周方向間隔の最小公倍数の角度に対応する分だけの回数を回転されて積層した際に、鋼板の貫通孔片(リブ)が同じ位置に配置されることとなる。したがって、軸方向から見たとき、内周側ロータコアと外周側ロータコアとを連結するリブの本数を多くすることができるので、リブを介してロータシャフト又は内周側ロータコアに働く応力をより分散しやすくすることができる。
請求項6の発明によれば、ロータコアは、複数の鋼板を第一の円周方向間隔で転積することによって構成されている。したがって、転積を行う一般的な製造装置によって、円周方向に隣接する貫通孔片同士を、円周方向に回転されつつ軸方向に積層された他の鋼板の貫通孔片を介して連通させることができる。したがって、円周方向に回転させる際の製造装置が複雑化してしまうこと抑制できる。
請求項7の発明によれば、ロータコアは、ロータシャフトに組付ける際に複数の鋼板を第一の円周方向間隔で回転させて積層することによって構成されている。したがって、例えば1枚ずつ転積を行ってロータコアを構成する場合に比べると、鋼板を複数枚積層したコアブロックを適宜の回数だけロータシャフトに組付ける際に回転させて積層すればよいため、回転させる回数の増加を抑制して製造効率の低下を抑制することができる。
請求項8の発明によれば、リブは、外周側に向かうに従って円周方向の一方側に向かって延びるように形成され、ロータコアは、所定の枚数の鋼板を所定の向きに積層した第一コアと、所定の枚数の鋼板を第一コアとは反対向きに積層した第二コアと、を備えて構成される。
したがって、円周方向に隣接する複数の貫通孔片同士を、反転させて積層された他の鋼板の貫通孔片を介して連通させることができる。そして、複数の貫通孔片同士が連通するような構成となるので、特定の貫通孔片に油が集中して溜まってしまうことを抑制でき、ロータの偏心を抑制することができる。
また、複数の鋼板が積層されてロータコアが構成される際に、複数の鋼板の内周側円環部及び外周側円環部によって内周側ロータコア及び外周側ロータコアが構成されるが、軸方向から見たとき、内周側ロータコアと外周側ロータコアとを連結するリブの本数は、一枚の鋼板において内周側円環部と外周側円環部とを連結するリブの本数に比べ、多くなる。
したがって、リブを介してロータシャフト又は内周側ロータコアに働く応力が分散されやすくなるため、ロータシャフト又は内周側ロータコアの大型化を抑制することができる。
また、第一コア(を構成する鋼板)のリブと第二コア(を構成する鋼板)のリブとが軸方向から見たときには互いに交差するように配置されるため、円周方向に隣接する貫通孔片同士の連通部分の面積を大きくすることができる。また、第一コアのリブと第二コアのリブの交差部分の内周側と外周側とで円周方向に隣接する貫通孔片同士を連通させることができるため、例えば車両に用いられて、該車両が旋回又は加減速時をした際等のように様々な方向に慣性力が作用する状況において、より油を拡散させやすくすることができる。
請求項9の発明によれば、それぞれの鋼板は、第一の円周方向毎に形成される磁石挿入孔片と、第二の円周方向間隔毎に形成される貫通孔片と、を有し、第一の円周方向間隔と第二の円周方向間隔は互いに異なる大きさであり、ロータコアは、複数の鋼板が所定の枚数おきに第一の円周方向間隔で回転されて積層されて構成される。
したがって、円周方向に回転されつつ軸方向に積層された鋼板の貫通孔片は、互いに円周方向に第一及び第二円周方向間隔の差だけずれながら、互いに軸方向に連通することになる。そして、軸方向から見たときに、軸方向において隣接し、且つ周方向にずれた鋼板のリブ同士の一部が、内周側円環部との接続部から外周側円環部との接続部までに亘って重なるので、軸方向において隣接する鋼板の貫通孔片が、円周方向にずれながら軸方向に延びて形成されることとなる。したがって、所定の貫通孔片に油が浸入した場合、又は所定の貫通孔片に意図的に油を流す場合であっても、油は円周方向に分散されて特定の円周方向位置に油が溜まってしまうことを抑制でき、ロータの偏心を抑制することができる。
また、従来の特許文献1のように鋼板を裏返して積層していく工程が必要ないので、生産効率の低下を抑制することができる。
また、複数の鋼板が積層されてロータコアが構成される際に、複数の鋼板の内周側円環部及び外周側円環部によって内周側ロータコア及び外周側ロータコアが構成されるが、軸方向から見たとき、内周側ロータコアと外周側ロータコアとを連結するリブの本数は、一枚の鋼板において内周側円環部と外周側円環部とを連結するリブの本数に比べ、多くなる。
したがって、リブを介してロータシャフト又は内周側ロータコアに働く応力が分散されやすくなるため、ロータシャフト又は内周側ロータコアの大型化を抑制することができる。
請求項10の発明によれば、所定の貫通孔が、円周方向に360度以上回転しながら(ずれながら)軸方向に延びて形成されることとなるため、所定の貫通孔の内部に入った油をロータコアの全周に分散することができ、より効果的にロータの偏心を抑制することができる。
また、所定の貫通孔に冷媒を流すことによってロータコアを冷却する場合には、所定の貫通孔を流れる冷媒によってロータコアを全周に亘って冷却する事ができるため、冷却効率を向上することができる。
請求項11の発明によれば、ロータコアは、複数の鋼板を第一の円周方向間隔で転積することによって構成されている。したがって、転積を行う一般的な製造装置によって、円周方向に隣接する貫通孔片同士を、円周方向に回転されつつ軸方向に積層された他の鋼板の貫通孔片を介して連通させることができる。したがって、円周方向に回転させる際の製造装置が複雑化してしまうこと抑制できる。
請求項12の発明によれば、ロータコアは、ロータシャフトに組付ける際に複数の鋼板を第一の円周方向間隔で回転させて積層することによって構成されている。したがって、例えば1枚ずつ転積を行ってロータコアを構成する場合に比べると、鋼板を複数枚積層したコアブロックを適宜の回数だけロータシャフトに組付ける際に回転させて積層すればよいため、回転させる回数の増加を抑制して製造効率の低下を抑制することができる。
第1実施形態に係る鋼板の正面図である。 鋼板を回転させて積層することによってロータを構成することを説明するための図である。 第1実施形態に係るロータの斜視図である。 第1実施形態に係るロータの正面図である。 第2実施形態に係る鋼板の正面図である。 第2実施形態に係るロータの斜視図である。 第2実施形態に係るロータの正面図である。 (a)は、第3実施形態に係る鋼板の正面図であり、(b)は、(a)の鋼板を反転させたものの正面図である。 第一コア及び第二コアの斜視図である。 第3実施形態に係るロータの斜視図である。 第3実施形態に係るロータの正面図である。 第4実施形態に係る鋼板の正面図である。 第4実施形態に係るロータの斜視図である。 第4実施形態に係るロータの正面図である。 変形例1に係るロータの斜視図である。 変形例2に係るロータの正面図である。 従来の鋼板の正面図である。 従来のロータの斜視図である。
以下、本発明の各実施形態に係る回転電機のロータを説明する。
(第1実施形態)
図3及び図4に示すように、本実施形態の回転電機のロータ10は、積層された複数の鋼板1によって構成され、且つ第一の円周方向間隔(45°間隔)毎に形成された複数(8個)の磁石挿入孔3を有するロータコア5と、磁石挿入孔3に挿入される不図示の永久磁石と、ロータコア5の中央部に形成されたシャフト孔7に挿入される不図示のロータシャフトと、を備えている。
図1に示すように、ロータコア5を構成する鋼板1は、円周方向に第一の円周方向間隔(45°間隔)毎に形成された複数(8個)の磁石挿入孔片3aと、磁石挿入孔片3aの内周側において、第二の円周方向間隔(60°間隔)毎に鋼板1を軸方向に貫通する複数(6個)の貫通孔片9aと、を有する。
鋼板1において、貫通孔片9aの内周側に形成された内周側円環部11aと、貫通孔片9aの外周側に形成された外周側円環部13aと、は複数の貫通孔片9a同士の間に形成された複数(6個)のリブ15によって連結される。ここで、複数のリブ15は、外周側に向かうに従って円周方向の一方(反時計回り)に向かって延びるように形成される。したがって、隣り合うリブ15の間に形成される貫通孔片9aは、断面形状が略翼型形状となり、それぞれの磁石挿入孔3の周方向中央を反径方向に沿って延びる仮想線Mに対して非対称形状となる。
図2に示すように、ロータコア5は、このような複数の同一形状の鋼板1を、一枚おきに第一の円周方向間隔(45°)ずつ、円周方向に回転させて積層することによって構成される。複数の鋼板1を円周方向に回転させて積層する方法としては、鋼板1の打ち抜きを行う工程で、打ち抜いた鋼板1を回転させながら積層していく方法(いわゆる「転積」と呼ばれる方法)が挙げられる。その他の方法としては、ロータシャフトに組み付ける(圧入する)段階等、打抜・積層の後工程において、複数の鋼板1を円周方向に回転させて積層する方法が挙げられる。なお、以下、複数の鋼板1が第一の円周方向間隔(45°)ずつ転積されることによって、ロータコア5が構成されたとして説明をする。
ここで、第二の円周方向間隔(60°間隔)は、第一の円周方向間隔(45°間隔)の整数倍となっていないため、第二の円周方向間隔(60°間隔)と第一の円周方向間隔(45°間隔)の最小公倍数の角度(180°)に対応する分だけの回数(4回)を転積した際に、鋼板1の貫通孔片9a(リブ15)が同じ位置に配置されることとなる。
このように複数の鋼板1が転積されて構成されたロータコア5は、図3及び図4に示すように、複数の鋼板1の磁石挿入孔片3aによって形成される磁石挿入孔3と、複数の鋼板1の貫通孔片9aによって形成される貫通孔9と、複数の鋼板1の内周側円環部11a及び外周側円環部13aによって形成される内周側ロータコア11及び外周側ロータコア13と、を有する。
ここで、軸方向に転積された鋼板1の貫通孔片9aは、互いに円周方向に第一及び第二円周方向間隔の差(15°)だけずれながら互いに軸方向に連通する。これにより、一つの鋼板1において円周方向に隣接する貫通孔片9a同士を、軸方向に転積された他の鋼板1の貫通孔片9aを介して連通させることができる。これにより、全ての鋼板1の全ての貫通孔片9aが、互いに連通する構成となるので、油中(液冷)環境下において、特定の貫通孔片9aに油が集中して溜まってしまうことを抑制でき、ロータ10の偏心を抑制することができる。
また、ロータコア5を軸方向から見たとき(図4参照)、内周側ロータコア11と外周側ロータコア13とを連結するリブ15の本数は、{一枚の鋼板1において内周側円環部11aと外周側円環部13aとを連結するリブ15の本数(6本)×鋼板1のリブ15が同じ位置に配置されるための転積の回数(4回)=24本}となり、一枚の鋼板1におけるリブ15の本数(6本)に比べて多くなる。したがって、リブ15を介してロータシャフトや内周側ロータコア11に働く応力が分散されやすくなるため、ロータコア105の強度を維持するためにロータシャフトや内周側ロータコア11を大型化することを抑制することが可能である。
特に本実施形態では、第二の円周方向間隔(60°間隔)は、第一の円周方向間隔(45°間隔)の整数倍ではないため、軸方向から見たとき、内周側ロータコア11と外周側ロータコア13とを連結するリブ15の本数(本実施形態の場合、24本)を多くすることができる。
これに対して、例えば、第一の円周方向間隔を上記実施形態と同様に45°間隔に設定し、第二の円周方向間隔を90°間隔として第一の円周方向間隔の整数倍とした場合は、ロータコア5を軸方向から見たときのリブ15の本数は、{一枚の鋼板1におけるリブ15の本数(4本)×鋼板1のリブ15が同じ位置に配置されるための転積の回数(2回)=8本}となり、比較的少ない値となる。
また、他の例として、第一の円周方向間隔を上記実施形態と同様に45°間隔に設定し、第二の円周方向間隔を180°間隔として第一の円周方向間隔の整数倍とした場合は、ロータコア5を軸方向から見たときのリブ15の本数は、{一枚の鋼板1におけるリブ15の本数(2本)×鋼板1のリブ15が同じ位置に配置されるための転積の回数(4回)=8本}となり、比較的少ない値となる。
このように、第二の円周方向間隔を第一の円周方向間隔の整数倍に設定することにより、軸方向から見たときのロータコア5のリブ15の本数を多くして、ロータシャフト又は内周側ロータコア11に働く応力をより分散しやすくすることができる。
また、第二の円周方向間隔(60°間隔)を、第一の円周方向間隔(45°間隔)よりも大きくしたことにより、複数の貫通孔片9a同士の間に形成されるリブ15の本数が比較的少なくなるので、転積した場合に、軸方向に隣接するリブ15同士が軸方向から見たときにオーバーラップしにくくなり、円周方向に隣接する複数の貫通孔片9a同士をより連通させやすくすることができる。
なお、仮に、第二の円周方向間隔が第一の円周方向間隔よりも小さい場合には、複数の貫通孔片9a同士の間に形成されるリブ15の本数が比較的多くなり、転積した場合に、軸方向に隣接する鋼板1のリブ15同士が軸方向から見たときにオーバーラップしやすくなってしまう虞がある。この場合、円周方向に隣接する貫通孔片9a同士を、軸方向に転積された他の鋼板1の貫通孔片9aを介して連通させ難くなってしまう。
また、本実施形態によれば、特許文献1のように、鋼板1を裏返して積層していく工程が必要ないので、生産効率の低下を抑制することができる。
なお、本実施形態では、図4〜6において、ロータコア5が四枚の鋼板1を転積することによって構成された状態を示したが、ロータコア5は五枚以上の鋼板1を転積することによって構成しても構わない。
また、ロータコア5は、鋼板1を一枚おきに第一の円周方向間隔(45°間隔)ずつ転積することによってなる構成に限られず、鋼板1を複数枚おきに第一の円周方向間隔(45°間隔)で転積することによってなる構成としても構わない。すなわち、鋼板1を円周方向に回転させずに複数枚積層することによってコアブロックを形成し、軸方向に隣接するコアブロック同士を、第一の円周方向間隔で回転して積層することによってロータコア5を構成しても構わない。
また、ロータコア5が複数の鋼板1を第一の円周方向間隔で転積することによって構成される場合には、転積を行う一般的な製造装置によって、円周方向に隣接する貫通孔片9a同士を、円周方向に回転されつつ軸方向に積層された他の鋼板1の貫通孔片9aを介して連通させることができる。したがって、円周方向に回転させる際の製造装置が複雑化してしまうこと抑制できる。
また、ロータコア5がロータシャフトに組付ける際に複数の鋼板1を第一の円周方向間隔で回転させて積層することによって構成される場合には、例えば1枚ずつ転積を行ってロータコア5を構成する場合に比べ、鋼板1を複数枚積層したコアブロックを適宜の回数だけロータシャフトに組付ける際に回転させて積層すればよいため、回転させる回数の増加を抑制して製造効率の低下を抑制することができる。
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態に係る回転電機のロータについて説明する。図6及び図7に示される本実施形態のロータ10は、第1実施形態と基本的形態が同一であるので、同一部分には同一符号を付すことにより、その説明を省略する。
図5に示すように、本実施形態では、鋼板1における、第二の円周方向間隔(60°間隔)が、第一の円周方向間隔(30°間隔)の整数倍となるように、複数の貫通孔片9a及び磁石挿入孔片3aが形成されている。
図6及び図7に示すように、ロータコア5は、このような複数の同一形状の鋼板1を、一枚おきに第一の円周方向間隔(30°間隔)ずつ回転されて積層(例えば転積)することによって構成される。ここで、第二の円周方向間隔(60°間隔)が、第一の円周方向間隔(30°間隔)の整数倍となっているため、第二の円周方向間隔(60°間隔)に対応する分だけの回数(2回)を転積した際に、鋼板1の貫通孔片9a(リブ15)が同じ位置に配置されることとなる。
このように構成することで、軸方向に転積された鋼板1の貫通孔片9aは、互いに円周方向に第一及び第二円周方向間隔の差(30°)だけずれながら互いに軸方向に連通する。これにより、一つの鋼板1において円周方向に第一の円周方向間隔(60°間隔)で隣接する貫通孔片9aは、軸方向に転積された他の鋼板1の貫通孔片9aと均等に(約30°ずつ)連通する。したがって、円周方向に隣接する複数の貫通孔片9a同士をより連通させやすくすることができるので、特定の貫通孔片9aに油が集中して溜まってしまうことをさらに抑制でき、ロータ10の偏心をさらに抑制することができる。
なお、上述した第1及び第2実施形態においては、第一の円周方向間隔が第二の円周方向間隔よりも小さくなるように設定したが、本発明はこれに限られず、第一の円周方向間隔が第二の円周方向間隔よりも大きくなるように設定しても構わない。この場合、複数の貫通孔片9a同士の間に形成されるリブ15の本数を比較的多くすることができるので、リブ15を介してロータシャフト又は内周側ロータコア11に働く応力を分散しやすくすることが可能である。特に、第一の円周方向間隔が第二の円周方向間隔の整数倍ではないように設定すれば、第一の円周方向間隔と第二の円周方向間隔の最小公倍数の角度に対応する分だけの回数を回転されて積層した際に、鋼板1の貫通孔片9a(リブ15)が同じ位置に配置されることとなる。したがって、軸方向から見たとき、内周側ロータコア11と外周側ロータコア13とを連結するリブ15の本数を多くすることができるので、リブ15を介してロータシャフト又は内周側ロータコア11に働く応力をより分散しやすくすることができる。
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態に係る回転電機のロータについて説明する。図10及び図11に示される本実施形態のロータ10は、第1及び第2実施形態と基本的形態が同一であるので、同一部分には同一符号を付すことにより、その説明を省略する。
図8(a)に示すように、本実施形態の鋼板1は、第1実施形態の鋼板1(図1)と同一であり、以降、説明のために第一鋼板1Aと呼ぶことがある。図7(b)に示す鋼板1は、第一鋼板1Aを反転させた(裏返した)ものであり、以降、説明のために第二鋼板1Bと呼ぶことがある。
図9には、複数の第一鋼板1Aを所定の向きに積層した第一コア17、及び複数の第二鋼板1Bを所定の向きに積層した第二コア19が示されている。すなわち、第二コア19は、第一鋼板1Aを第一コア17とは反対向きに積層して構成されている、ともいうことができる。
そして、ロータコア5は、このような第一及び第二コア17、19を、磁石挿入孔片3aの位置が重なるように積層することによって構成される。
このように第一及び第二コア17、19が積層されて構成されたロータコア5は、図10及び図11に示すように、複数の鋼板1の磁石挿入孔片3aによって形成される磁石挿入孔3と、複数の鋼板1の貫通孔片9aによって形成される貫通孔9と、複数の鋼板1の内周側円環部11a及び外周側円環部13aによって形成される内周側ロータコア11及び外周側ロータコア13と、を有する。
ここで、第一コア17のリブ15は外周側に向かうに従って円周方向の一方側(反時計回り)に向かって延び、第二コア19のリブ15は外周側に向かう従って円周方向の他方側(時計回り)に向かって延びるので、軸方向から見たとき(図11参照)、第一コア17のリブ15と第二コア19のリブ15とが互いに交差する。
したがって、第一コア17(第二コア19)において円周方向に隣接する貫通孔片9a同士を、軸方向に積層された第二コア19(第一コア17)の貫通孔片9aを介して連通させることができる。これにより、全ての鋼板1の全ての貫通孔片9aが、互いに連通する構成となるので、油中(液冷)環境下において、特定の貫通孔片9aに油が集中して溜まってしまうことを抑制でき、ロータ10の偏心を抑制することができる。
また、ロータコア5を軸方向から見たとき(図11参照)、内周側ロータコア11と外周側ロータコア13とを連結するリブ15の本数は、一枚の鋼板1(第一コア17又は第二コア19)におけるリブ15の本数(6本)の二倍の本数(12本)となる。したがって、リブ15を介してロータシャフトや内周側ロータコア11に働く応力が分散されやすくなるため、ロータコア105の強度を維持するためにロータシャフトや内周側ロータコア11を大型化することを抑制することが可能である。
また、第一コア17のリブ15と第二コア19のリブ15とが軸方向から見たときに互いに交差するので、第一コア17(第二コア19)において円周方向に隣接する貫通孔片9a同士の連通部分の面積を大きくすることができる。また、第一コア17のリブ15と第二コア19のリブ15との交差部分21の内周側と外周側とで円周方向に隣接する貫通孔片9a同士を連通させることができる。したがって、本実施形態のロータ10が、例えば車両に用いられて、該車両が旋回或は又は加減速時をした際等のように様々な方向に慣性力が作用する状況において、より油を拡散させやすくすることができる。
なお、本実施形態においては、第一及び第二コア17、19は、それぞれ複数の第一及び第二鋼板1A、1Bを積層することによって構成されているが、所定の枚数の鋼板1から構成されていればよく、例えば、一枚の鋼板1からなる構成でも構わない。
また、ロータコア5は、複数の第一及び第二コア17、19を交互に積層することによってなる構成でも構わない。
(第4実施形態)
次に、本発明の第4実施形態に係る回転電機のロータについて説明する。図13及び図14に示される本実施形態のロータ10は、上述の実施形態と基本的形態が同一であるので、同一部分には同一符号を付すことにより、その説明を省略する。
図12に示すように、本実施形態の鋼板1においては、第一の円周方向間隔が45°間隔となるように複数(8個)の磁石挿入孔片3aが形成され、第二の円周方向間隔が40°間隔となるように複数(9個)の貫通孔片9aが形成されている。
図13及び図14に示すように、ロータコア5は、このような複数の同一形状の鋼板1を、一枚おきに第一の円周方向間隔(45°間隔)ずつ回転されて積層(例えば転積)することによって構成される。なお、図13には、鋼板1を8枚転積した状態が示されており、図14には鋼板1を4枚転積した状態が示されている。
ここで、第一及び第二の円周方向間隔の差が5°と非常に小さく設定されているので、軸方向から見たときに、軸方向において隣接し且つ周方向に5°ずれた鋼板1のリブ15同士の一部が、内周側円環部11a(内周側ロータコア11)との接続部から外周側円環部13a(外周側ロータコア13)との接続部まで亘って重なる。このように、鋼板1のリブ15同士が重なるようにするためには、以下のように設定すればよい。すなわち、リブ15の円周方向幅Wが一定であり、ロータコア5の中心Oからリブ15及び外周側ロータコア13の接続部までの半径をRとすると、W≧2πR×{第一及び第二の円周方向間隔の差(5°)/360°}と設定すれば良い。
したがって、軸方向において隣接する鋼板1の貫通孔片9aが、円周方向にずれながら軸方向に延びて貫通孔9を形成することとなる。これにより、所定の貫通孔片9aに油が浸入した場合であっても、油は円周方向に分散されて特定の円周方向位置に油が溜まってしまうことが抑制できるので、ロータ10の偏心を抑制することができる。
また、特許文献1のように、鋼板1を裏返して積層していく工程が必要ないので、生産効率の低下を抑制することができる。
また、ロータコア5を軸方向から見たとき(図14参照)、内周側ロータコア11と外周側ロータコア13とを連結するリブ15の本数は、一枚の鋼板1におけるリブ15の本数(9本)に比べて多くなる。したがって、リブ15を介してロータシャフトや内周側ロータコア11に働く応力が分散されやすくなるため、ロータコア105の強度を維持するためにロータシャフトや内周側ロータコア11を大型化することを抑制することが可能である。
なお、本実施形態のロータコア5は、鋼板1を一枚おきに第一の円周方向間隔(45°間隔)ずつ回転して積層することによってなる構成に限られず、鋼板1を複数枚おきに第一の円周方向間隔(45°間隔)で回転して積層することによってなる構成としても構わない。すなわち、鋼板1を円周方向に回転させずに複数枚積層することによってコアブロックを形成し、軸方向に隣接するコアブロック同士を、第一の円周方向間隔(45°間隔)で回転して積層することによってロータコア5を構成しても構わない。
また、ロータコア5が複数の鋼板1を第一の円周方向間隔で転積することによって構成される場合には、転積を行う一般的な製造装置によって、円周方向に隣接する貫通孔片9a同士を、円周方向に回転されつつ軸方向に積層された他の鋼板1の貫通孔片9aを介して連通させることができる。したがって、円周方向に回転させる際の製造装置が複雑化してしまうこと抑制できる。
また、ロータコア5がロータシャフトに組付ける際に複数の鋼板1を第一の円周方向間隔で回転させて積層することによって構成される場合には、例えば1枚ずつ転積を行ってロータコア5を構成する場合に比べ、鋼板1を複数枚積層したコアブロックを適宜の回数だけロータシャフトに組付ける際に回転させて積層すればよいため、回転させる回数の増加を抑制して製造効率の低下を抑制することができる。
(変形例1)
上述の第4実施形態において、鋼板1が一枚おきに第一の円周方向間隔(45°間隔)で72枚以上転積された場合には、軸方向一方側端における鋼板1の所定の貫通孔片9aと、軸方向他方側端における鋼板1の所定の貫通孔片9aと、は円周方向に360°以上ずれることになる。したがって、複数の貫通孔片9aによって構成される貫通孔9は、ロータコア5の軸方向一方側端における鋼板1の所定の貫通孔片9aから、軸方向他方側端における鋼板1の所定の貫通孔片9aまでに亘って螺旋状に連通し、且つ、ロータコア5の内部において、軸方向一方側端から軸方向他方側端に向かって少なくとも360°以上回転する(ねじれる)ように形成される。
図15には、このような変形例に係るロータコア5を備えたロータ10が示されている。このロータ10は、ロータコア5のシャフト孔7(図13及び図14参照)に挿入されるロータシャフト8と、ロータコア5の軸方向両端面に配置されて、永久磁石の軸方向変位を規制する一対の端面板6と、を備える。ロータシャフト8の軸方向他方側(図15中、左側)には、ロータ10の動力を変速機や他の動力源等に伝達するギヤ8aが設けられている。
このようなロータ10では、ロータコア5の軸方向両端面に配置された端面板6により、貫通孔9の内部に油が浸入することが防止されるが、積層された鋼板1同士の隙間等から貫通孔片9aに油が浸入してしまう可能性がある。しかしながら、本変形例のロータコア5においては、貫通孔9がロータコア5の内部において、軸方向一方側端から軸方向他方側端に向かって少なくとも360°以上回転するように形成されるので、所定の貫通孔9の内部に入った油をロータコア5の全周に分散させ、ロータ10の偏心を抑制することが可能である。
(変形例2)
次に、変形例1において、所定の貫通孔9に冷媒を流してロータコア5を冷却するように構成した変形例2について説明する。図16には、図15のロータ10を軸方向一方側(図15中、右側)から見た状態に対応する図が示されている。本変形例では、端面板6には、当該端面板6を軸方向に貫通し、所定の貫通孔9と連通する油導入孔4が形成されている。なお、図16においては、簡単のため、鋼板1を4枚転積した状態が示されているが、実際は上述したように72枚以上の鋼板1が転積されている。
このように構成することによって、軸方向一方側から油導入孔4を介して所定の貫通孔9に油を供給した場合、当該貫通孔9はロータコア5の内部において軸方向一方側から他方側に向かって360°以上回転するので、ロータコア5内の冷却を周方向全体に亘って効率的に行うことができる。
また、貫通孔9がロータコア5の軸方向一方側から他方側まで螺旋状に連通するので、ロータ10を回転させることによって、油を貫通孔9内において軸方向一方側から他方側に案内し、さらにロータシャフト8のギヤ8aに給油することが可能である。
ここで、端面板6に設けられる油導入孔4は、一つに限られず、それぞれの貫通孔9に油を供給できるよう、複数としても構わない。この場合、ロータコア5内の冷却効率、及びロータシャフト8のギヤ8aへの給油効率を向上させることが可能である。
なお、仮に、図18に示すような従来のロータ100にこのような給油機構を設ける場合には、ロータコア105内の周方向全体に亘って油を供給するために、それぞれの貫通孔109に油を供給する必要があることから、端面板に設けられる油導入孔の数は、貫通孔109と同数にする必要がある。すなわち、本変形例のように、端面板に油導入孔を一つのみ設けた場合には、ロータコア105内の冷却が不足してしまう虞がある。
なお、本発明の回転電機のロータ10は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜な変形、改良などが可能である。
1 鋼板
3 磁石挿入孔
3a 磁石挿入孔片
4 油導入孔
5 ロータコア
6 端面板
7 シャフト孔
8 ロータシャフト
8a ギヤ
9 貫通孔
9a 貫通孔片
10 回転電機のロータ
11 内周側ロータコア
11a 内周側円環部
13 外周側ロータコア
13a 外周側円環部
15 リブ
17 第一コア
19 第二コア
21 交差部分
M 仮想線
O 中心
R 半径
W 円周方向幅

Claims (12)

  1. 積層された複数の鋼板によって構成され、且つ第一の円周方向間隔毎に形成された複数の磁石挿入孔を有するロータコアと、
    前記磁石挿入孔に挿入される永久磁石と、
    を備えた回転電機のロータにおいて、
    前記ロータコアを構成する前記鋼板は、
    前記第一の円周方向間隔毎に形成され、前記複数の鋼板が積層されることによって複数の前記磁石挿入孔を構成する複数の磁石挿入孔片と、
    前記磁石挿入孔片の内周側において、第二の円周方向間隔毎に前記鋼板を軸方向に貫通する複数の貫通孔片と、
    を有し、
    前記鋼板において、前記貫通孔片の内周側に形成された内周側円環部と、前記貫通孔片の外周側に形成された外周側円環部とは、複数の前記貫通孔片同士の間に形成された複数のリブによって連結され、
    前記第一の円周方向間隔と前記第二の円周方向間隔は互いに異なる大きさであり、
    前記ロータコアは、複数の前記鋼板が、所定の枚数おきに前記第一の円周方向間隔で回転されて積層されている
    ことを特徴とする回転電機のロータ。
  2. 前記第二の円周方向間隔は、前記第一の円周方向間隔よりも大きい
    ことを特徴とする請求項1に記載の回転電機のロータ。
  3. 前記第二の円周方向間隔は、前記第一の円周方向間隔の整数倍である
    ことを特徴とする請求項2に記載の回転電機のロータ。
  4. 前記第二の円周方向間隔は、前記第一の円周方向間隔の整数倍ではない
    ことを特徴とする請求項2に記載の回転電機のロータ。
  5. 前記第一の円周方向間隔は、前記第二の円周方向間隔よりも大きく、且つ、前記第二の円周方向間隔の整数倍ではない
    ことを特徴とする請求項1に記載の回転電機のロータ。
  6. 前記ロータコアは、複数の前記鋼板を前記第一の円周方向間隔で転積することによって構成されている
    ことを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載の回転電機のロータ。
  7. 前記ロータコアは、ロータシャフトに組付ける際に複数の前記鋼板を前記第一の円周方向間隔で回転させて積層することによって構成されている
    ことを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載の回転電機のロータ。
  8. 積層された鋼板によって構成され、且つ第一の円周方向間隔毎に形成された複数の磁石挿入孔を有するロータコアと、
    前記磁石挿入孔に挿入される永久磁石と、
    を備えた回転電機のロータにおいて、
    前記ロータコアを構成する前記鋼板は、
    前記第一の円周方向間隔毎に形成され、前記複数の鋼板が積層されることによって複数の前記磁石挿入孔を構成する複数の磁石挿入孔片と、
    前記磁石挿入孔片の内周側において、第二の円周方向間隔毎に前記鋼板を軸方向に貫通する複数の貫通孔片と、
    を有し、
    前記鋼板において、前記貫通孔片の内周側に形成された内周側円環部と、前記貫通孔片の外周側に形成された外周側円環部とは、複数の前記貫通孔片同士の間に形成された複数のリブによって連結され、
    前記リブは、外周側に向かうに従って円周方向の一方側に向かって延びるように形成され
    前記ロータコアは、所定の枚数の前記鋼板を所定の向きに積層した第一コアと、所定の枚数の前記鋼板を前記第一コアとは反対向きに積層した第二コアと、を備えて構成される
    ことを特徴とする回転電機のロータ。
  9. 積層された複数の鋼板によって構成され、且つ第一の円周方向間隔毎に形成された複数の磁石挿入孔を有するロータコアと、
    前記磁石挿入孔に挿入される永久磁石と、
    を備えた回転電機のロータにおいて、
    前記ロータコアを構成する前記鋼板は、
    前記第一の円周方向間隔毎に形成され、前記複数の鋼板が積層されることによって複数の前記磁石挿入孔を構成する複数の磁石挿入孔片と、
    前記磁石挿入孔片の内周側において、第二の円周方向間隔毎に前記鋼板を軸方向に貫通する複数の貫通孔片と、
    を有し、
    前記鋼板において、前記貫通孔片の内周側に形成された内周側円環部と、前記貫通孔片の外周側に形成された外周側円環部とは、複数の前記貫通孔片同士の間に形成された複数のリブによって連結され、
    前記第一の円周方向間隔と前記第二の円周方向間隔は互いに異なる大きさであり、
    前記ロータコアは、複数の前記鋼板が、所定の枚数おきに前記第一の円周方向間隔で回転されて積層されており、
    軸方向から見たときに、軸方向において隣接し、且つ周方向にずれた前記鋼板のリブ同士の一部が、前記内周側円環部との接続部から前記外周側円環部との接続部までに亘って重なる
    ことを特徴とする回転電機のロータ。
  10. 前記ロータコアは、複数の前記鋼板が、所定の枚数おきに前記第一の円周方向間隔で回転されて積層された場合に、軸方向一方側端における前記鋼板の所定の貫通孔片から、軸方向他方側端における前記鋼板の前記所定の貫通孔片までに亘って螺旋状に連通する所定の貫通孔を有し、
    前記所定の貫通孔は、前記ロータコアの内部において、軸方向一方側端から軸方向他方側端に向かって少なくとも360度以上回転するように形成される
    ことを特徴とする請求項9に記載の回転電機のロータ。
  11. 前記ロータコアは、複数の前記鋼板を転積することによって構成されている
    ことを特徴とする請求項9又は10に記載の回転電機のロータ。
  12. 前記ロータコアは、ロータシャフトに組付ける際に複数の前記鋼板を前記第一の円周方向間隔で回転させて積層することによって構成されている
    ことを特徴とする請求項9又は10に記載の回転電機のロータ。
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