以下、本発明に係る実施形態について詳しく説明する。なお、以下に説明する実施形態は、本発明を実施するにあたって好ましい具体例であるから、技術的に種々の限定がなされているが、本発明は、以下の説明において特に本発明を限定する旨明記されていない限り、これらの形態に限定されるものではない。
図1は、本発明に係る眼鏡レンズの保持構造を備えた眼鏡に関する平面図(図1(a))及び正面図(図1(b))である。眼鏡1は、左右一対の眼鏡レンズ2と、眼鏡レンズ2の間に配置されて眼鏡レンズ2を保持するブリッジ3と、ブリッジ3に取り付けられた左右一対の鼻パッド4と、眼鏡レンズ2のブリッジ3とは反対側に配置されて眼鏡レンズ2を保持する左右一対のヨロイ5と、ヨロイ5にそれぞれ取り付けられるテンプル6と、テンプル6に挿着されたモダン7とを備えている。なお、本明細書では、眼鏡1の正面側を前側とし、背面側を後側とする。
眼鏡レンズ2を保持する保持部材であるブリッジ3及びヨロイ5は、後述するように、それぞれ眼鏡レンズ2に形成された係合穴に係合部を挿着して取り付けられている。ブリッジ3及びヨロイ5は、形状記憶合金、超弾性合金等の金属材料からなり、眼鏡レンズの保持部材としては、例えば、こうした特性を示すニッケルチタン合金材料が好ましい。この例では、金属製薄板をレーザ加工等により切断加工したものを用いており、ブリッジ3及びヨロイ5を簡単に精度よく成形加工することができる。ブリッジ3及びヨロイ5を薄板により成形加工することで、眼鏡を前側から見た場合、ブリッジ3及びヨロイ5が同じ厚さで左右方向に直線状にデザインされるようになり、眼鏡のデザイン性を高めることができる。
図2は、ブリッジ部分に関する一部拡大平面図(図2(a))及びヨロイ部分に関する一部拡大平面図(図2(b))である。ヨロイ部分については、左右のヨロイ5は、左右対称に配置された同一形状に形成されているため、右側のヨロイ5のみ図示し、左側のヨロイ5については省略した。
ブリッジ3は、前側に膨らむように湾曲形成された接続部30の両端部30a及び30bにおいて、後側に折り返し部31a及び31bが形成されている。折り返し部31a及び31bの後側には、それぞれ逆U字状の係合部32a及び32bが突設されている。
折り返し部31a及び31bは、それぞれ接続部30の両端部30a及び30bから中央部に向かって折り返すように形成されており、折り返した部分の幅は、接続部30とほぼ同じ幅に形成されている。そして、両端部30a及び30bの幅は、接続部30並びに折り返し部31a及び31bよりも幅広に形成されている。折り返し部31a及び31bの後側の側端は、係合部32a及び32bを眼鏡レンズ2の係合穴20a及び20bに挿着した場合に、それぞれ左右の眼鏡レンズ2の前側に当接するように設定されている。
係合部32a及び32bは、逆U字状に形成されており、接続部30の端部側に位置する一端部分33a及び33bがそれぞれ折り返し部31a及び31bの根元部分に接続されて一体形成されている。一端部分33a及び33bは、外側の側端が鋸歯状にギザギザに形成されており、各尖端が折り返し部31a及び31bに向かって傾斜するように形成されている。そのため、係合部32a及び32bを係合穴20a及び20bに挿入する場合には一端部分33a及び33bに形成された鋸歯状の尖端が引っ掛かることなくスムーズに挿入することができるが、係合部32a及び32bを係合穴20a及び20bから引き抜く場合には、鋸歯状の尖端が引っ掛かりやすくなり、引き抜きにくくなるように設定されている。
接続部30の中央側に位置する係合部32a及び32bの他端部分34a及び34bは、折り返し部31a及び31bの先端部分との間に間隔を空けて対向配置されており、外側の角部が鋭角状に形成されている。そのため、係合部32a及び32bを係合穴20a及び20bに挿入する場合には他端部分34a及び34bに形成された外側の角部が引っ掛かることなくスムーズに挿入することができるが、係合部32a及び32bを係合穴20a及び20bから引き抜く場合には、外側の角部が引っ掛かりやすくなり、引き抜きにくくなるように設定されている。係合部32a及び32bは、一端部分33a及び33bから後側に延設されて折り返すように形成された湾曲部分までが次第に幅が狭くなるようにテーパ状に設定されて湾曲部分で最も幅が狭くなり、湾曲部分から他端部分34a及び34bにかけて次第に幅が広くなるように設定されている。そして、係合部32a及び32bの一端部分33a及び33b並びに他端部分34a及び34bの内側の間の間隔は、湾曲部分から次第に拡がるように形成されている。
眼鏡レンズ2の係合穴20a及び20bは、それぞれ眼鏡レンズ2の前側表面に対してほぼ垂直方向に貫通しており、左右方向に細長く矩形状に形成されている。係合穴20a及び20bの上下方向の幅は、ほぼ均一でブリッジ3の厚さよりもわずかに広くなるように設定されている。係合穴20a及び20bの左右方向の幅は、係合部32a及び32bにおける一端部分33a及び33bの外側から他端部分34a及び34bの外側までの最も幅広の部分よりも狭くなるように設定されている。また、左右方向の幅は、眼鏡レンズ2の前側から後側に行くに従い次第に拡大するように形成されている。
眼鏡レンズ2の度数は、後側表面の曲率を変化させることで調整されるようになる。そのため、係合穴20a及び20bを眼鏡レンズ2の前側表面に対してほぼ垂直方向に形成することで、異なる度数の場合でも前側表面に対して所定の方向に係合穴を形成することができる。そして、折り返し部31a及び31bを眼鏡レンズ2の前側に当接させてブリッジ3を取り付けるため、眼鏡レンズ2の度数の影響を受けることなく取り付けることができる。また、係合部32a及び32bは、係合穴20a及び20bの内面に係合し裏側に係合することがないので、度数の変化に伴う眼鏡レンズ2の裏側表面の曲率の変更に伴って形状を変更する必要がなく、眼鏡レンズ2の度数が変更した場合でも同じ形状のブリッジ3を使用することが可能となる。
ブリッジ3を一対の眼鏡レンズ2にそれぞれ取り付けて接続する場合には、係合部32a及び32bをそれぞれ眼鏡レンズ2の係合穴20a及び20bの前側から挿着して取り付ける。係合部32a及び32bをその後側に突出した先端部となる湾曲部分から係合穴20a及び20bに挿入していき、湾曲部分が係合穴20a及び20bを突き抜けて眼鏡レンズ2の前側に折り返し部31a及び31bが当接した状態に設定することで、挿着される。
ブリッジ3が形状記憶合金材料から形成されている場合には、係合部32a及び32bを係合穴20a及び20bに挿入しやすくするために、他端部分34a及び34bが一端部分33a及び33bに近接するように湾曲部分をさらに湾曲変形させておき、係合部32a及び32bを挿着した後に、元の形状に戻すことで、係合部32a及び32bの一端部分33a及び33b並びに他端部分34a及び34bが係合穴20a及び20bの内面に圧接して係合状態となって固定される。
また、ブリッジ3が超弾性合金材料から形成されている場合には、係合部32a及び32bの湾曲部分をそれぞれ眼鏡レンズ2の係合穴20a及び20bに挿入していく。その際に、係合穴20a及び20bの左右方向の幅は、係合部32a及び32bにおける一端部分33a及び33bの外側から他端部分34a及び34bの外側までの最も幅広の部分よりも狭くなるように設定されているので、係合部32a及び32bは、他端部分34a及び34bが一端部分33a及び33bに近接するように湾曲部分がさらに湾曲変形しながら挿入されていくようになる。そして、湾曲部分が係合穴20a及び20bを突き抜けて眼鏡レンズ2の前側に折り返し部31a及び31bが当接した状態に設定すると、係合穴20a及び20bの左右方向の幅は、眼鏡レンズ2の前側から後側に行くに従い次第に拡大するように形成されているので、係合部32a及び32bの他端部分34a及び34bと一端部分33a及び33bとの間が挿入開始時に比べて若干拡がるように湾曲変形する。そのため、係合部32a及び32bを挿入方向とは反対側に引き抜く力に対しては、係合部32a及び32bの他端部分34a及び34b並びに一端部分33a及び33bが係合穴20a及び20bの内面に圧接して係合状態となって固定される。
係合部32a及び32bが係合穴20a及び20bの内面に圧接した状態では、一端部分33a及び33bの外側に形成された鋸歯状の尖端並びに他端部分34a及び34bが係合穴20a及び20bの内面に圧接して係合部32a及び32bが引き抜かれることなくしっかりと固定されるようになる。
このように、係合部の一端部分及び他端部分の外側が係合穴の内面に係止して眼鏡レンズが保持されるため、係合部と係合穴との間の2点支持により眼鏡レンズが係合部分でガタツクことなく保持される。また、逆U字状に形成された係合部を、係合部の厚さよりもわずかに広い幅の係合穴に挿着しているので、係合穴の内部で係合部が回動することはなく、眼鏡レンズをしっかりと保持することができる。
また、係合部32a及び32bの他端部分34a及び34bと係合穴20a及び20bとの間には、隙間が形成されているので、この隙間に工具を挿し込み、他端部分34a及び34bを一端部分33a及び33bに近接するように変形させることで、係合部32a及び32bの係合状態を解除して眼鏡レンズ2からブリッジ3を取り外すこともできる。
そして、係合部32a及び32bが眼鏡レンズ2の係合穴20a及び20bに固定された状態では、眼鏡レンズ2を突き抜けた係合部32a及び32bの湾曲部分は丸みを帯びた形状に形成されているため、不用意に接触しても引っ掛かることはない。また、接続部30の両端部30a及び30bについても丸みを帯びた形状に形成されているので、不用意に接触しても引っ掛かることはない。折り返し部31a及び31bの先端部は、接続部30と眼鏡レンズ2との間に配置されるため、外側から不用意に接触することが防止される。
ヨロイ5は、後側に延設されてテンプル6に接続する細幅に形成された接続部50を備えている。接続部50は、中央部分が湾曲形成されており、前側の端部50aには、後側に折り返し部51が延設されており、後側に延設された端部50bは、幅広に形成されてテンプル6と接続する取付穴が50cが形成されている。接続部50の両端部以外の中央部分の幅はほぼ均一に形成されており、ブリッジ3の接続部30の幅よりもわずかに狭くなるように設定されている。折り返し部51の後側には、それぞれ逆U字状の係合部52が突設されている。
折り返し部51は、接続部50の端部50aから中央部分に向かって折り返すように形成されており、折り返した部分の幅は、接続部50とほぼ同じ幅に形成されている。そして、端部50aの幅は、接続部50及び折り返し部51よりも幅広に形成されている。折り返し部51の後側の側端は、係合部52を眼鏡レンズ2の係合穴21に挿着した場合に、眼鏡レンズ2の前側に当接するように設定されている。
係合部52は、逆U字状に形成されており、接続部50の端部側に位置する一端部分53が折り返し部51の根元部分に接続されて一体形成されている。一端部分53は、外側の側端が鋸歯状にギザギザに形成されており、各尖端が折り返し部51に向かって傾斜するように形成されている。そのため、係合部52を係合穴21に挿入する場合には一端部分53に形成された鋸歯状の尖端が引っ掛かることなくスムーズに挿入することができるが、係合部52を係合穴21から引き抜く場合には、鋸歯状の尖端が引っ掛かりやすくなり、引き抜きにくくなるように設定されている。
接続部50の中央側に位置する係合部52の他端部分54は、折り返し部51の先端部分との間に間隔を空けて対向配置されており、外側の角部が鋭角状に形成されている。そのため、係合部52を係合穴21に挿入する場合には他端部分54に形成された外側の角部が引っ掛かることなくスムーズに挿入することができるが、係合部52を係合穴21から引き抜く場合には、外側の角部が引っ掛かりやすくなり、引き抜きにくくなるように設定されている。係合部52は、一端部分53から後側に延設されて折り返すように形成された湾曲部分までが次第に幅が狭くなるようにテーパ状に設定されて湾曲部分で最も幅が狭くなり、湾曲部分から他端部分54にかけて次第に幅が広くなるように設定されている。そして、係合部52の一端部分53及び他端部分54の内側の間の間隔は、湾曲部分から次第に拡がるように形成されている。
眼鏡レンズ2の係合穴21は、係合穴20a及び20bと同様に、それぞれ眼鏡レンズ2の前側表面に対してほぼ垂直方向に貫通しており、左右方向に細長く矩形状に形成されている。係合穴21の上下方向の幅は、ほぼ均一でヨロイ5の厚さよりもわずかに広くなるように設定されている。係合穴21の左右方向の幅は、係合部52における一端部分53の外側から他端部分54の外側までの最も幅広の部分よりも狭くなるように設定されている。また、左右方向の幅は、眼鏡レンズ2の前側から後側に行くに従い次第に拡大するように形成されている。
ヨロイ5を眼鏡レンズ2にそれぞれ取り付けて接続する場合には、ブリッジ3と同様に、係合部52を眼鏡レンズ2の係合穴21の前側から挿着して取り付ける。係合部52をその後側に突出した先端部となる湾曲部分から係合穴21に挿入していき、湾曲部分が係合穴21を突き抜けて眼鏡レンズ2の前側に折り返し部51が当接した状態に設定することで、挿着される。
ヨロイ5が形状記憶合金材料から形成されている場合には、係合部52を係合穴21に挿入しやすくするために、他端部分54が一端部分53に近接するように湾曲部分をさらに湾曲変形させておき、係合部52を挿着した後に、元の形状に戻すことで、係合部52の一端部分53及び他端部分54が係合穴21の内面に圧接して係合状態となって固定される。
また、ヨロイ5が超弾性合金材料から形成されている場合には、係合部52の湾曲部分をそれぞれ眼鏡レンズ2の係合穴21に挿入していく。その際に、係合穴21の左右方向の幅は、係合部52における一端部分53の外側から他端部分54の外側までの最も幅広の部分よりも狭くなるように設定されているので、係合部52は、他端部分54が一端部分53に近接するように湾曲部分がさらに湾曲変形しながら挿入されていくようになる。そして、湾曲部分が係合穴21を突き抜けて眼鏡レンズ2の前側に折り返し部51が当接した状態に設定すると、係合穴21の左右方向の幅は、眼鏡レンズ2の前側から後側に行くに従い次第に拡大するように形成されているので、係合部52の他端部分54と一端部分53との間が挿入開始時に比べて若干拡がるように湾曲変形する。そのため、係合部52を挿入方向とは反対側に引き抜く力に対しては、係合部52の他端部分54及び一端部分53が係合穴21の内面に圧接して係合状態となって固定される。
係合部52が係合穴21の内面に圧接した状態では、一端部分53の外側に形成された鋸歯状の尖端及び他端部分54が係合穴21の内面に圧接して係合部52が引き抜かれることなくしっかりと固定されるようになる。
係合部52を眼鏡レンズ2に固定した後、接続部50の端部50bにテンプル6の端部を取り付けて、ネジ等により取付穴50cに回動可能にテンプル6を接続する。
係合部52が眼鏡レンズ2の係合穴21に固定された状態では、眼鏡レンズ2を突き抜けた係合部52の湾曲部分は丸みを帯びた形状に形成されているため、不用意に接触しても引っ掛かることはない。また、接続部50の両端部50a及び50bについても丸みを帯びた形状に形成されているので、不用意に接触しても引っ掛かることはない。折り返し部51の先端部は、接続部50と眼鏡レンズ2との間に配置されるため、外側から不用意に接触することが防止される。
この例では、ブリッジ3及びヨロイ5は、金属製薄板を切断加工して形成されているため、全体が均一な厚さに形成されている。そのため、幅の広い部分は狭い部分に比べて曲げや捩りに対する強度が高くなるように設定される。ブリッジ3の接続部30は、ヨロイ5の接続部50よりも幅が広くなるように設定されているため、左右のテンプル6が開く方向に拡げられた場合には、ヨロイ5の接続部50の方が開く方向に変形しやすくなり、ブリッジ3の接続部30は変形しにくくなる。また、接続部30及び50の両端部は、幅広に形成されているため、接続部30及び50の各端部に形成された折り返し部に変形した影響が及ぶことはほとんどなく、係合部と眼鏡レンズとの間の係合状態はずれ等が生じることなく固定した状態を維持することができる。着用者の頭部のサイズが異なっている場合に、左右のテンプル6の開き具合が異なってくるが、ヨロイ5の変形で主にサイズに対応した調整がなされてブリッジ3の変形が相対的に小さくなる。そのため、左右の鼻パッド4の間隔が変化することがなく、眼鏡1を安定した状態で着用することができる。
また、左右のテンプル6を上下に互いに反対方向に移動させて捻るようにした場合には、ブリッジ3の接続部30及びヨロイ5の接続部50が捩られるように変形するが、眼鏡レンズ2の左右方向に細幅に形成された係合穴20a、20b及び21に係合部32a、32b及び52が挿着されているため、各係合部が各係合穴で回動したり、ずれたりすることはほとんどなく、眼鏡レンズ2がブリッジ3及びヨロイ5にしっかりと保持されるようになる。
以上説明した例では、眼鏡レンズの係合穴に係合部を挿着する際に、係合穴の内面に係止する係止手段として、係合部の一端部分に鋸歯状に形成するとともに係合部の他端部分の角部を鋭角に形成するようにしているが、係合部を係合穴から引き抜く場合に係合穴の内面に係止可能であればこうした係止手段以外の手段を用いてもよく、特に限定されない。例えば、係合穴の内面に段差部を形成しておき、他端部分の角部が係止するように設定することもできる。
また、鋸歯状の形状をフック状の形状にすることも可能である。また、係合部の一端部分及び他端部分の外側が係合穴の内面に圧接するだけで係合部の引き抜きが防止できる場合には、他端部分を鋸歯状に形成しなくてもよい。
図3は、別の実施形態のブリッジ部分に関する一部拡大平面図(図3(a))及びヨロイ部分に関する一部拡大平面図(図3(b))である。ヨロイ部分については、左右のヨロイ5’は、左右対称に配置された同一形状に形成されているため、右側のヨロイ5’のみ図示し、左側のヨロイ5’については省略した。この例では、ブリッジ3’及びヨロイ5’は、ブリッジ3及びヨロイ5と同じ部位は同じ符号にダッシュを付して表示している。
ブリッジ3’の接続部30’は、接続部30に比べて中央部分の中心の幅を細長く形成して両端部に近い部分の幅を広く形成している。そして、接続部30’の両端部30a’及び30b’では、幅を狭くして略円形状に湾曲形成している。折り返し部31a’及び31b’は、折り返し部31a及び31bよりも若干幅を狭くし、係合部32a’及び係合部32b’は、一端部分33a’及び33b’の外側を一端部分33a及び33bのように鋸歯状に形成していない。そして、左右の眼鏡レンズ2には、それぞれ前側表面に対してほぼ垂直方向に貫通する取付穴22a及び22bが形成されており、取付穴22a及び22b内には、係合部材35a及び35bが挿入されて接着剤等により固着されている。係合部材35a及び35bは筒状に形成されて内部に係合穴が設けられており、係合部材35a及び35bの係合穴に係合部32a’及び32b’が挿着されるようになっている。係合部材35a及び35bの係合穴の内面には、段差部36a及び36bが他端部分34a’及び34b’に対向配置するように形成されており、他端部分34a’及び34b’に形成された外側の角部が段差部36a及び36bに係止して係合部32a’及び32b’が眼鏡レンズ2に固定されるようになっている。
ヨロイ5’は、ヨロイ5とほぼ同様の形状に形成されており、係合部52’の一端部分53’の外側については、係合部52の一端部分53のように鋸歯状に形成していない。眼鏡レンズ2には、前側表面に対してほぼ垂直方向に貫通する取付穴23が形成されており、取付穴23内には、係合部材55が挿入されて接着剤等により固着されている。係合部材55は、係合部材35a及び35bと同様の形状に形成されて内部に係合穴が設けられており、係合部材55の係合穴に係合部52’が挿着されるようになっている。係合部材55の係合穴の内面には、段差部56が他端部分54’に対向配置するように形成されており、他端部分54’に形成された外側の角部が段差部56に係止して係合部52’が眼鏡レンズ2に固定されるようになっている。
図4は、係合部材に関する外観斜視図である。係合部材は、平面視楕円形状の外形に形成された本体部100を備えており、本体部100の一方の開口102側に平面視楕円形状のフランジ部101が形成されている。本体部100は、筒状に形成されて内部に係合穴が設けられており、係合穴の両側の開口102及び103は、本体部100の外形の楕円形状の長軸方向に細長く矩形状に形成されている。開口102の長軸方向の長さは、係合部における一端部分の外側から他端部分の外側までの最も幅広の部分よりも狭くなるように設定されている。開口102の短軸方向の幅は、ほぼ均一でブリッジ及びヨロイの厚さよりもわずかに広くなるように設定されている。開口103の長軸方向の長さは、開口102よりも長く形成されており、開口103の短軸方向の幅は、開口102と同じ幅に設定されている。そして、本体部100に設けられた係合穴の内面において、長軸方向の一方の側面には、開口102及び103の長軸方向の長さの差に対応して段差部104が形成されている。
係合部材の係合穴に係合部を挿入する場合には、係合部の他端部分が係合穴の開口102を通過可能となるように係合部を変形させた後、段差部104が形成されていない長軸方向の他方の側面に沿って係合部の一端部分の外側を当接しながら開口102に挿入すれば、スムーズに係合部を係合穴に挿入することができる。そして、係合部を挿入した後、他端部分が元の形状に戻ることで、係合穴の内面に係合部の一端部分及び他端部分の外側が圧接して固定される。また、他端部分の外側の角部が段差部104に係止することで、係合部が引き抜かれるのを確実に防止することができる。
以上のように眼鏡レンズに形成された取付穴に係合部材を固着して係合部を固定するようにしているので、係合部材に眼鏡レンズよりも高強度の材料を用いることで、ブリッジ及びヨロイと眼鏡レンズとの接続部分の強度を強化することができる。また、係合部材の内面に形成された段差部に係合部を係止することで、係合部を眼鏡レンズに対して回動やずれを生じることなくしっかりと固定することができ、係合部材から係合部が抜けて外れてしまうのを確実に防止することができる。
また、接続部30’の両端部30a’及び30b’の幅を狭くして略円形状に湾曲形成しているので、左右のテンプル6を開くように拡げると、主に両端部30a’及び30b’が湾曲変形して接続部30’から折り返し部31’が離間するように変形する。そのため、ヨロイ5’の接続部50’の変形が抑えられて係合部及び係合部材の接続部分へ応力が集中することがなくなり、ブリッジ及びヨロイにより眼鏡レンズを安定して保持することができる。また、左右のテンプル6を上下に移動させて捻るように変形させた場合でも主に両端部30a’及び30b’が捻るように変形して他の部位の変形が抑えられて眼鏡レンズを安定して保持することが可能となる。
以上説明した例では、接続部の端部側に位置する係合部の一端部分を折り返し部の根元部分に一体形成して、接続部の中央側に位置する係合部の他端部分を折り返し部の先端部分と間隔を空けて離間させているが、係合部の他端部分を折り返し部の先端部分に接続して一体形成し、係合部の一端部分を折り返し部の根元部分と間隔を空けて離間させるようにすることもでき、上述した例と同様の作用効果を奏することが可能となる。