JP2015053877A - 麦由来の風味改良剤を含有する飲料 - Google Patents

麦由来の風味改良剤を含有する飲料 Download PDF

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Abstract

【課題】原材料の食品表示種に制約のあるビール、発泡酒等発泡性アルコールやノンアルコールビール等の原材料に係る食品表示種を増やすことなく、先味の厚み、濃厚な麦芽の焙煎香をもった風味豊かな飲料を製造するための、飲料用風味改良剤及びその製法を提供すること。【解決手段】麦由来原料を加熱処理して得られ、フルフラール、2−アセチルフラン及びフルフリルアルコールの合計量が90ppm以上、且つ5−メチルフルフラールが7ppm以下である飲料用風味改良剤を作製し、ビール、発泡酒等発泡性アルコールやノンアルコールビール等、その他の飲料に添加することで、先味の厚み、濃厚な麦芽の焙煎香をもった風味豊かな飲料を提供することができる。【選択図】なし

Description

本発明は、飲料の風味改良技術に関し、さらに詳しくは、麦由来の風味改良剤及びその製法並びに麦由来の風味改良剤を含有する飲料に関する。
発酵アルコール飲料であるビールや発泡酒は、主原料として麦芽を、副原料としてホップ、米、コーン、こうりゃん、ばれいしょ、デンプン、糖質、カラメル、そして水を用いて製造されている。これら副原料を添加することで、主原料の麦芽のみでは出すことのできない風味を生成させ、発酵アルコール飲料の風味を改善している。このように、現状は限られた原料を用いて香味の多様性を出しているが、近年、消費者の嗜好が多様化しており、限られた原料の中で新たな香味をもたらす素材が求められている。また、麦芽、果糖ぶどう糖液糖,グルコオリゴ糖,水あめなどの糖類、ホップ、酸味料、調味料(アミノ酸)、香料などを原料とするノンアルコールビールの需要が近年急増しているが、ノンアルコールビールは、ビールに比べ香味が乏しく、風味のバリエーションが少ないと言った課題がある。
これらの課題を改善するために、ビールや発泡酒といった発泡性アルコール飲料、ノンアルコールビール等の飲料の風味改良剤または改善方法として、例えば、特許文献1には、大麦麦芽抽出液を120〜150℃で処理し、分子量6000〜6400相当の化合物群を生成させることによって味の厚みや香ばしさを改善した飲料が開示されている。また、特許文献2には、発酵原液の少なくとも一部を加熱処理することによって、飲料中のマルトール濃度を1.3ppm以上、フラネオール濃度を0.5ppm以上にし、味の厚みと香ばしさを付与した発泡性アルコール飲料が開示されている。
しかしながら、これらの技術により得られる発泡性アルコール飲料等の飲料は、香ばしさや味の厚みなど、風味の改善において一定の効果はあるものの、必ずしも満足できるものではない。また、風味の改善効果を高めるために、前記の大麦麦芽抽出液や発酵原液を150℃以上に加熱すると、コゲ臭等の好ましくない成分が発生し、発泡性アルコール飲料やノンアルコール飲料の風味が大きく低下してしまう場合があり、加熱の温度は実質140℃程度までに制限する必要がある。
また、特許文献3、4には、ビール酵母を用いた発酵アルコール飲料の製造方法において、糖とタンパク分解物とのメイラード反応物及びその調製物を用いて発酵アルコール飲料の液色及び風味を調整して発酵アルコール飲料を製造する方法や、発酵アルコール飲料の製造工程において、発酵工程前に、反応温度105℃以上、121℃以下を用いた原料中の糖とタンパク分解物とのメイラード反応物生成工程を挿入して発酵アルコール飲料を製造する方法が開示されている。これらの方法により得られる発酵アルコール飲料は、麦芽や麦類の使用等、制限された発酵原料の使用のために発酵アルコール飲料の色度や風味の補強が必要な発泡酒やその他の雑酒のような発酵アルコール飲料の製造においても、ビール様の自然な色度や風味を付与した発酵アルコール飲料を製造することができ、ビールにある風味やボディ感のある液色及び風味に優れた発酵アルコール飲料の製造において一定の効果が得られている。しかし、ここでは比較的低温でのメイラード反応生成物を用いていることから、先味の厚み、濃厚な麦芽の焙煎香をもった豊かな風味といった点では、更なる改善が求められていた。
更に、メイラード反応生成物を用いた食品の風味改良剤としては、特許文献5、6には、フルフラール、5-メチルフルフラール、フルフリルアルコール、2−アセチルフランといったメイラード反応生成物を多く含んだタマネギエキスを食品に添加することによって、コクを増加させる風味改良剤が開示されている。しかし、使用している素材はタマネギであり、カレー、ドレッシング等の加工食品にてコクを増強するものであって、飲料における風味改善については一切言及されていない。また、ビール様風味を実現するため、発泡性アルコール飲料等に用いる素材には、できるだけビールに使用可能な素材を用いて風味の改善を行うことが必要とされており、食品表示種の観点から、前記タマネギを素材とする風味改良剤は、ビールなどの発泡性アルコール飲料、とりわけ麦を原料とする飲料における好ましい素材とはいえない。
国際公開第09/078359号 国際公開第09/078360号 特開2006−191910号公報 特開2006−217928号公報 特開2010−142148号公報 特開2010−142147号公報
本発明は、上記のような従来における飲料の風味改善技術に関する状況に鑑み、たとえ原材料の食品表示種に制約のあるビール、発泡酒等、発泡性アルコールやノンアルコールビール等の麦を原料とする飲料であっても、原材料に係る食品表示種を増やすことなく、その限られた原料の範囲内で、先味の厚み、濃厚な麦芽の焙煎香をもった風味豊かな飲料を製造するための風味改良剤及びその製法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記の課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、麦由来の原料を特定の条件で加熱・冷却処理することにより、たとえ原材料の食品表示種に制約のある飲料であっても、原材料に係る食品表示種を増やすことなく、その限られた原料の範囲内で、濃厚な麦芽の焙煎香や香味を発泡性アルコール等の飲料に付与可能な風味改良剤が得られることを見出し、本発明を完成させるに至った。
即ち、本発明の第一は、麦由来原料を加熱処理して得られ、フルフラール、2−アセチルフラン及びフルフリルアルコールの合計量が90ppm以上、且つ5−メチルフルフラールが7ppm以下である、飲料用風味改良剤に関する。好ましい実施態様は、麦由来原料が、麦抽出液及び麦抽出液を濃縮した麦エキスの少なくとも一方を含むことを特徴とする前記記載の飲料用風味改良剤に関する。より好ましくは、加熱処理が、原料を加熱装置の加熱容器に設けた加熱面に強制的に接触させ、略均一な薄膜状に広げた状態で該加熱面に沿って流動させながら加熱することを特徴とする前記記載の飲料用風味改良剤、更に好ましくは、加熱後に密閉状態で品温が80〜5℃になるまで冷却して得られる前記記載の飲料用風味改良剤、特に好ましくは、麦を原料とする飲料用である前記記載の飲料用風味改良剤に関する。本発明の第二は、前記記載の飲料用風味改良剤を、飲料全体中0.01〜2.0重量%含有する、飲料に関する。より好ましくは、麦を原料とする前記記載の飲料に関する。本発明の第三は、麦由来原料を、加熱装置の加熱容器に設けられた170〜220℃の加熱面に強制的に接触させ、品温が150〜170℃になるようにコントロールしながら、略均一な薄膜状に広げた状態で該加熱面に沿って流動させながら加熱することを特徴とする、フルフラール、2−アセチルフラン及びフルフリルアルコールの合計量が90ppm以上且つ5−メチルフルフラールが7ppm以下である、飲料用の風味改良剤の製造方法に関する。好ましい実施態様は、加熱後に、密閉状態で品温が80〜5℃になるまで冷却することを特徴とする前記記載の飲料用の風味改良剤の製造方法、より好ましくは、麦由来原料が、麦抽出液及び麦抽出液を濃縮した麦エキスの少なくとも一方を含むことを特徴とする前記記載の飲料用の風味改良剤の製造方法、に関する。
本発明に従えば、原材料の食品表示種に制約のあるビール、発泡酒等、発泡性アルコールやノンアルコールビール等の麦を原料とする飲料であっても、原材料に係る食品表示種を増やすことなく、その限られた原料の範囲内で、先味の厚み、濃厚な麦芽の焙煎香をもった風味豊かな飲料を製造するための風味改良剤及びその製法を提供することができる。また、本発明に従えば、上記のような麦を原料とする飲料以外の飲料においても、先味の厚み、濃厚な麦芽の焙煎香をもった風味豊かな飲料を提供することができる。
本発明に使用する二重筒加熱装置の1実施形態の概略を示し、(a)は側断面図、(b)は図1(a)におけるI−I線断面図である。
以下、本発明につき、さらに詳細に説明する。本発明の風味改良剤は、麦由来原料を特定の条件下で加熱することにより得ることができ、特定量以上の特定成分を含み、逆に別の特定成分は特定量以下しか含まないことを特徴とする。
本発明の風味改良剤に用いる麦由来原料とは、小麦、大麦、ライ麦、エンバクなどの、外見の類似したイネ科穀物の総称を言い、具体的には禾穀類としてのイネ科植物の種子を指す。本発明で麦由来原料として使用する麦の種類や麦の産地、収穫時期については特に限定されないが、食物アレルギーの面から大麦が好ましい。
前記麦由来原料は、そのまま、もしくは粉砕した後、熱水を加え抽出し、濾過した麦抽出液を濃縮した麦エキスを使用すれば良く、また発芽処理、各種酵素処理等、当業者に周知の処理等を適宜行ってもよい。加熱処理によって、好ましい風味成分であるメイラード反応生成物を量も種類もより多く生成させるためには、発芽や酵素処理によって麦中のタンパク質や糖質を分解し、メイラード反応の基質となるアミノ酸、ペプチド、単糖類等の含有量を多くすることが好ましい。酵素処理する場合は、プロテアーゼ、アミラーゼ、グルコアミラーゼ、セルラーゼ等の酵素を用いることができる。
本発明の風味改良剤は、基本的には麦由来原料を用いるが、本発明の効果を阻害しない限り、加熱処理する原料中に麦由来以外の素材を加えることも可能である。麦由来以外の素材としては、例えば、野菜類、果実類、畜肉類やそのエキス類、また、上記以外の穀粉類、乳製品類、各種の調味料類、香辛料類、油脂等の食品素材を挙げることができる。但し、麦由来以外の素材は、該素材を含む原料を加熱処理して得られる風味改良剤が添加される各飲料の製品に従来用いている原材料の表示に適する原料を選択することが好ましい。
前記麦由来以外の素材は、液体状であればそのまま麦由来原料に混合すれば良く、粉末状であれば、麦由来原料としての麦抽出液や麦抽出液を濃縮した麦エキスなどに溶解または分散して使用できるが、固形状である場合は3mm程度以下に破砕してから麦由来原料に混合する必要がある。また、これらの素材は、麦由来原料を加熱処理して得られた本発明の飲料用風味改良剤に添加することも可能である。
麦抽出液を濃縮して麦エキスを得る方法については、特に限定されるものではなく、常圧下で加熱しながら煮詰めて濃縮しても良いし、また減圧下で水分を留去しながら濃縮しても良い。濃縮度の指標としては、Brix値で55〜85%が好ましく、60〜80%がより好ましく、65〜75%が更に好ましい。Brix値が55%より低いと香気成分が発現しにくい場合がある。またBrix値が85%を超えると粘度が高く、コゲが発生しやすくなる場合があり、また製造時のポンプの移送の際に負荷や時間がかかるため、生産効率が落ちる場合がある。
本発明の風味改良剤全体中のフルフラール、フルフリルアルコール、2−アセチルフランの合計量は、90ppm以上であることが好ましく、130ppm以上であることがより好ましく、190ppm以上であることが更に好ましい。フルフラール、フルフリルアルコール、2−アセチルフランの合計量が90ppmより少ないと、麦芽を焙乾させた際に発生するような麦芽風味や焙煎香といった香味が得られない場合がある。
なお、フルフラール、フルフリルアルコール、2−アセチルフランは、いずれも加熱条件下で糖とアミノ酸がメイラード反応を起こすことによって生成する物質であり、麦由来原料としての麦抽出液や麦抽出液を濃縮した麦エキスなどを加熱した時に生成する焙煎香に関与するものであると考えられる。
また、本発明の風味改良剤全体中、5−メチルフルフラールの含有量は、7ppm以下であることが好ましい。5−メチルフルフラールは焦げ臭に関与する成分と考えられ、5−メチルフルフラールの含有量が7ppmより多くなると、焦げた飴を連想するような焦げ臭の印象を飲料に付与してしまう場合がある。
風味改良剤中のフルフラール、フルフリルアルコール、2-アセチルフラン及び5-メチルフルフラールの含有量は、ガスクロマトグラフ質量分析法によって測定できる。具体的な測定条件は以下の通りである。
ガスクロマトグラフ装置:Agilent Technologies社製「7890A」
分析手法:昇温分析法
カラム:DB−WAX
カラムサイズ:10m×0.18mm×0.18μM(LTM)
キャリアーガス:ヘリウム
検出器(MS):Agilent Technologies社製「5975C」
(ガスクロマトグラフ条件)
イニシャル温度:40℃
イニシャル温度保持時間:2分間
昇温スピード:145℃まで毎分6℃、その後250℃まで毎分20℃
最終温度:250℃
最終温度保持時間:9分
キャリアーガス圧:339.65kPa
キャリアーガス流量:0.92ml/min
MS(検出器条件):イオン源温度 230℃、四重極温度 150℃
(インジェクション条件)
インジェクション装置:GERSTEL社製「TDU」
Cold trap material:ガラスウール
Sample Tube Material:Monotrap
(TDS条件)
イニシャル温度:40℃
イニシャル温度保持時間:0.2分間
昇温スピード:毎分720℃
最終温度240℃
最終温度保持時間:5分間
(CIS条件)
イニシャル温度:−100℃
イニシャル温度保持時間:0.2分
昇温スピード:毎秒12℃
最終温度:250℃
最終温度保持時間:15分間
(香気吸着剤へのヘッドスペースガス吸着条件)
香気吸着剤:Monotrap
品温:10℃
吸着時間:2時間
(測定手順)
10℃に調整した風味改良剤2gを容積20mlの吸着バイアル(商品名:Twisterスペースバイアル20ml)に量りとり、Monotrap(ジーエルサイエンス株式会社製)を入れたツイスター保持体(商品名:Twisterスペースバイアル20ml用インサート)を吸着バイアルにセットし、パッキングする。10℃にて2時間静置し、ヘッドスペースガスをMonotrapに吸着させる。その後、Monotrapを回収、インサートライナーの容器に入れてガスクロマトグラフ質量分析法にて分析を実施し、フルフラール、2−アセチルフラン、フルフリルアルコール、5―メチルフルフラールのピーク面積を算出する。(分析例1とする)。
風味改良剤中に含まれるフルフラール、フルフリルアルコール、2−アセチルフラン、5−メチルフルフラールの濃度を定量するために、以下の試薬を用いる。
・フルフラール:和光純薬株式会社製(製品番号:063-04795)
・フルフリルアルコール:和光純薬株式会社製(製品番号:069-00696)
・2−アセチルフラン:和光純薬株式会社製(製品番号:068-00921)
・5−メチルフルフラール:和光純薬株式会社製(製品番号:133-11771)
上記試薬の内、フルフラール、フルフリルアルコールを各100μl、2−アセチルフラン、5−メチルフルフラールを各50μl量り、エタノールで10mlにメスアップした後、転倒混和する。この溶液100μlを10℃に調整した10gの風味改良剤と十分に混合する。この試薬入り風味改良剤2gを容積20mlの吸着バイアル(商品名:Twisterスペースバイアル20ml)に量りとり、Monotrap(ジーエルサイエンス株式会社製)を入れたツイスター保持体(商品名:Twisterスペースバイアル20ml用インサート)を吸着バイアルにセットし、パッキングする。10℃にて2時間静置し、ヘッドスペースガスをMonotrapに吸着させる。その後、Monotrapを回収、インサートライナーの容器に入れてガスクロマトグラフ質量分析法にて分析を実施し、フルフラール、2−アセチルフラン、フルフリルアルコール、5−メチルフルフラールのピーク面積を算出する。(分析例2とする)。尚、添加した試薬の風味改良剤中の最終濃度については、フルフラール、フルフリルアルコールは100ppm、2−アセチルフラン、5−メチルフルフラールは50ppmの濃度となる。
分析例2と分析例1におけるフルフラール、フルフリルアルコール、2−アセチルフラン、5−メチルフルフラールのピーク面積の差分が、フルフラール100ppm、フルフリルアルコール100ppm、2−アセチルフラン50ppm、5−メチルフルフラール50ppmに相当することから、分析例1のフルフラール、フルフリルアルコール、2−アセチルフラン、5−メチルフルフラールの濃度を各ピーク面積からそれぞれ算出する。
上記に示したような、フルフラール、2−アセチルフラン及びフルフリルアルコールの合計量が90ppm以上、且つ5−メチルフルフラールが7ppm以下である本発明の飲料用風味付与剤を得るためには、以下のような製造方法に従えばよい。
(加熱処理)
麦由来原料を加熱処理するが、その際、麦由来原料としての麦抽出液や麦抽出液を濃縮した麦エキスなどを均一に加熱することが好ましい。麦由来原料に対して均一な加熱処理を施す手段としては、仕込み量が20kg以下のような少量であれば、撹拌効率さえ良ければ、焦げを生じないように注意して加熱すればよく、例えばポータブルリアクターのような装置で実施できる。
しかし、仕込み量が20kgを超えるような大量になれば、均一な加熱処理を施す手段としては、麦由来原料である麦抽出液や麦抽出液を濃縮した麦エキスなどを加熱装置の加熱容器内に導入し、該容器に設けた加熱面に強制的に接触させ、略均一な厚さの薄い膜状に拡げた状態で該加熱面に沿って流動させながら、所定の品温に到達するまで加熱処理することが好ましく、従来公知の加熱装置を用いることができる。
上記加熱装置の例を挙げれば、例えば図1に示すような二重筒加熱装置10を用いることができる。図1(a)は、二重筒加熱装置10の側断面図、図1(b)は、図1(a)におけるI―I線断面図である。この二重筒加熱装置10は、それぞれ加熱用のジャケットを有する内筒12および外筒13の内外二本の円筒から加熱容器11を構成し、内筒12の外壁面12aと外筒13の内壁面13aとの二つの壁面間に、被加熱処理物である麦由来原料の流路となる円筒状の間隙14を形成するとともに、間隙14に連通して、麦由来原料の供給口14aと、加熱容器11内で加熱された麦由来原料の排出口14bとが、それぞれ設けられている。この二重筒加熱装置10では、内筒12と外筒13とを相対的に回転させてもよい。その場合は、内筒12または外筒13の一方のみを回転させて他方は固定しておいても良いし、内筒12、外筒13の両方を互いに反対方向に回転させても良い。
また、加熱については、内筒12、外筒13の両方に加熱ジャケットを設けた両面加熱式でも良いし、いずれか一方のみに加熱ジャケットを設けて片面加熱としても良い。この二重筒加熱装置10では、内筒12および外筒13の内外二本の円筒のいずれか一方のジャケットまたは両方のジャケットに蒸気を導入、もしくは、内筒12および外筒13の内外二本の円筒のいずれか一方、または両方にIH加熱コイルを設置し、誘導加熱を行い、供給口14aから加熱容器11内にポンプなどを用いて麦由来原料を圧入すると、麦由来原料は内筒12および/または外筒13からの加熱を受けながら、内筒12と外筒13との間の間隙14内を薄膜状に広がった状態で加熱面に沿って排出口14bに向かって流動し、排出される。この時、内外二本の円筒12、13を相対的に回転させると、加熱容器11内に導入された麦由来原料は、相対的に回転する内筒12と外筒13との間の間隙14内を、内筒12の外壁面と外筒13の内壁面との相対的移動方向(回転方向)に対して直交する方向(回転軸方向)に流動し、排出口14bから排出される。この装置では、内筒12の外径寸法と外筒13の内径寸法により間隙14の幅dを調整し、加熱容器11の間隙14内を流動する麦由来原料の膜厚を調整することができる。また、加熱具合は、内筒12及び/または外筒13のジャケットに導入する蒸気圧と、前記膜厚(間隙14の幅d)に加えて、加熱容器11への麦由来原料の単位時間当たりの圧入量(流量)で調整することができる。
更に、複数の二重筒加熱装置10を連設する、または二重筒加熱装置10の排出口14bから排出された麦由来原料を再度供給口14aに圧入することを繰り返して循環させることにより、麦由来原料が所定の品温および時間に到達して目的とする特定量のフルフラール、フルフリルアルコール、2−アセチルフランが生成する加工状態になるまで、加熱処理を繰り返し行うこともできる。
加熱面に沿って薄膜状に流動する麦由来原料の膜厚は、通常は0.5〜125mmの範囲内となることが好ましい。前記膜厚が、125mmを超えると、薄膜状で流動する麦由来原料の内部まで均一に加熱ができない場合があり、加熱面から遠いところではメイラード反応が進行しにくくなるめ、フルフラール、フルフリルアルコール、2−アセチルフランの生成量は少なく、目的とする風味改良剤を得ることができない。また、0.5mm未満では過熱により焦げ付き等が発生し、得られる風味改良剤の品質は著しく低下する場合がある。使用する加熱装置の構造にもよるが、麦芽エキスなどの麦由来原料に対する加熱制御の容易さを考慮すると、前記膜厚は1mmから30mmがより好ましく、更には2mmから10mmとするのが好ましい。
加熱温度は、麦由来原料の濃縮度、固形分の含量や加熱達温後の保持時間などにもよるが、上記のフルフラール、フルフリルアルコール、2−アセチルフラン、5−メチルフルフラールが所定の含有量となるように加熱すれば良く、品温が150〜170℃の範囲内になるように加熱することが好ましく、160〜170℃がより好ましい。加熱温度が150℃未満ではメイラード反応の進行が遅いためフルフラール、フルフリルアルコール、2−アセチルフランの生成量が少なく、目的とする香味に富んだ風味改良剤を得ることができない場合がある。また、170℃を超えると、得られる風味改良剤に過熱により焦げ付き等が発生したり、5−メチルフルフラールの生成量が増大し、風味改良剤を添加した飲料の品質が著しく低下したりする場合がある。
(冷却処理)
本発明の飲料用風味改良剤の製造においては、加熱後に冷却することが好ましく、冷却は密閉状態で行うことが好ましく、この冷却は品温が5〜80℃の範囲内になるまで実施することが好ましい。5℃よりも低い温度では風味改良剤の粘性が高くなりすぎて生産性が劣る場合がある。大気開放下で品温80℃を超えると、先味の厚みが物足りなくなる場合がある。これはメイラード反応で生成した先味の厚みに関与する低沸点成分が揮発してしまうことが原因であると推定される。このような低沸点成分として、2−Methyl−3−propanone、3−Methylbutanal、2−Methylpropanal、1,3-Diazine、Dihydro−2−methyl−3(2H)−Furanone、1−Hydroxy−2−Propanone等が挙げられ、風味の先味を厚くする重要な成分であると推定される。
本発明の飲料用風味改良剤は、原材料に係る食品表示種を増やすことなく、その限られた原料の範囲内で、濃厚な麦芽の焙煎香や香味を飲料に付与可能であることから、特に麦由来原料を少なくとも原料とした飲料に使用することが好ましく、例えばビール、発泡酒等の発泡性アルコール飲料、およびノンアルコールビールに用いることがより好ましく、風味改良効果の大きさの観点から、ノンアルコールビールがさらに好ましい。また、前記のような麦を原料とする飲料に限らず前記と同様の呈味改良効果を発揮することから、飲料の種類に限定されることなく適用することができる。
本発明の飲料用風味改良剤の添加量は、飲料全体中0.01〜2重量%が好ましく、0.02〜1.5重量%がより好ましい。0.01重量%より少ないと風味改良効果が発揮されない場合がある。2重量%より多いと、効果が頭打ちになったり、風味改良剤の風味が飲料本来の好ましい風味を損なったりする場合がある。本風味改良剤は、飲料の製造工程において適宜添加すればよく、製造工程の麦芽を煮沸する前もしくは後の段階で投入しても、アルコール発酵後の段階で添加しても構わない。
以下に実施例を示し、本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。なお、実施例において「部」や「%」は、特にことわらなり限り、重量基準である。
<官能評価方法>
実施例・比較例で得られた風味改良剤を添加した飲料の官能評価は、訓練された10名(男性5人、女性5人)のパネラーにより、以下の基準により実施し、それらの合計点を評価値とした。
(麦芽の焙煎香)
4点:麦芽の焙煎香が非常に強く、大変好ましい。
3点:麦芽の焙煎香が強く、好ましい。
2点:麦芽の焙煎香が弱く、もの足りない。
1点:麦芽の焙煎香が感じられない。
(全体的な厚みを底上げるコク)
4点:コクが非常に強く、大変好ましい。
3点:コクが強く、好ましい。
2点:コクが弱く、もの足りない。
1点:コクが感じられない。
(焦げ臭の少なさ)
4点:焦げ臭が感じられず、商品として全く問題ない。
3点:僅かに焦げ臭が感じられるが、商品としては問題ない。
2点:焦げ臭が感じられ、商品性が劣る。
1点:焦げ臭が強く感じられ、商品性に欠ける。
(先味の厚み)
4点:先味の厚みが非常に強く、大変好ましい。
3点:先味の厚みが強く、好ましい。
2点:先味の厚みが弱く、もの足りない。
1点:先味の厚みが感じられない。
(総合評価)
各4段階評価総点数(4項目)を乗じた値の累乗根(4乗根)を総合点数とし、以下の基準で各実施例・比較例の評価をした。
☆:飲料として、大変好ましい。(総合点数=30〜40点)。
◎:飲料として、好ましい。(総合点数=25〜30点未満)。
○:飲料として、そこそこ好ましい。(総合点数=20〜25点未満)。
△:飲料として、やや劣る。(総合点数=15〜20点未満)。
×:飲料として、劣る。(総合点数=15点未満)。
<Brixの測定法>
製造例で得られた麦芽エキス希釈物のBrixは、測定域によってBrix計(株式会社アズワン製「IPR−201α」、製造例1,2に使用)又はBrix計(株式会社アタゴ製「PR−3」、製造例3,4に使用)を用いて行った。
(製造例1)麦芽エキス希釈物の製造
Brix65%の麦芽エキスCB30(ピュアモルト社製)を蒸留水で希釈し、Brix25%の麦芽エキス希釈物1を得た。
(製造例2)麦芽エキス希釈物の製造
蒸留水の添加量を変えた以外は、製造例1と同様にしてBrix55%の麦芽エキス希釈物2を得た。
(製造例3)麦芽エキス濃縮物の製造
Brix65%の麦芽エキスCB30を鍋に3kg入れ、焦げ付かないように弱火で撹拌しながら加熱し、濃縮した。麦芽エキスがBrix75%になった時点で火を止め、麦芽エキス濃縮物3を得た。
(製造例4)麦芽エキス濃縮物の製造
加熱時間を変えた以外は、製造例3と同様にしてBrix80%の麦芽エキス濃縮物4を得た。
(実施例1)ポータブルリアクターを用いた風味改良剤
密閉式加熱処理装置(耐圧硝子工業株式会社製「ポータブルリアクターTPR1−VS2−500」、以下の表1〜3中では「PR」と表示する。)を用いて、麦芽エキスの加熱処理を行った。ポータブルリアクターは、加熱処理前に約60℃の温水350gを投入し、150℃まで加熱後、温水を容器外に取り出す操作を行うことで、容器を十分に温めた状態で使用した。Brix65%の麦芽エキス350gを、密閉式加熱処理装置に投入し、密閉状態で品温が60℃から150℃になるまで加熱した。品温が150℃に達温後、製品出口コックを開放し、加熱処理した麦芽エキスを1Lのステンレスビーカーに受け、直ちに氷水を入れたボールにステンレスビーカーをつけて、スパチュラで攪拌しながら75℃まで冷却し、風味改良剤を得た。このようにして得た風味改良剤の分析結果を表1に示した。
(実施例2及び3、比較例1及び2)ポータブルリアクターを用いた風味改良剤
表1に示す原料、加熱・充填条件に従い、加熱処理温度を変えた以外は、実施例1と同様にして、実施例2(160℃加熱)、実施例3(170℃加熱)、比較例1(140℃加熱)及び比較例2(180℃加熱)の風味改良剤を作製し、その分析結果を表1に示した。
(実施例4)二重筒加熱装置を用いた風味改良剤
図1で例示される二重筒加熱装置を用いて、麦芽エキスCB30(Brix65)の加熱処理を行った。二重筒加熱装置の供給口14aの上流に、仕込みタンク、モーノポンプ、プレート式熱交換器を設置し、加熱装置の排出口bの下流に、温度160℃で維持できる品温ホールド用二重配管および背圧弁、冷却用プレート式熱交換器を設置し、配管でつないだ。ポンプは流量60L/H、ジャケット温度は175℃に調節した。品温を60℃に調整した麦芽エキスCB30を40kgタンクに仕込み、プレート式熱交換器にて110℃まで加熱後、二重筒加熱装置で160℃まで加熱し、品温ホールド用二重配管にて品温160℃で90秒間ホールド、冷却用二重管にて品温75℃に密閉冷却し、常圧下に取り出して風味改良剤(実施例4)を作製し、その分析結果を表1に示した。尚、モーノポンプから背圧弁間の圧力は0.7MPaとなるように背圧弁で調整し、二重筒加熱装置は内筒を400rpmで回転させた。
Figure 2015053877
実施例1の風味改良剤は、焦げ臭がなく、甘味があり、香ばしい麦芽風味があった。実施例2の風味改良剤は、強い焙煎香や香ばしい麦芽風味が強かった。実施例3の風味改良剤は、ほとんど焦げ臭がなく、香ばしい麦芽風味が濃厚であった。実施例4の風味改良剤は、強い焙煎香を有し、麦芽風味が濃厚であったが、やや飴を焦がしたような焦げ臭を感じた。比較例1の風味改良剤は、焦げ臭はないものの、香ばしい風味はあまり感じられないものであった。比較例2の風味改良剤は強い焦げ臭、焦げ苦味を感じた。
(実施例5)
表2に示す原料、加熱・充填条件に従い、原料のBrixを65%から80%に変えた以外は、実施例1と同様にして風味改良剤を作製し、その分析結果を表2に示した。
(実施例6)
表2に示す原料、加熱・充填条件に従い、原料のBrixを65%から75%に変えた以外は、実施例2と同様にして風味改良剤を作製し、その分析結果を表2に示した。
(実施例7)
表2に示す原料、加熱・充填条件に従い、原料のBrixを65%から55%に変えた以外は、実施例3と同様にして風味改良剤を作製し、その分析結果を表2に示した。
(比較例3)
表2に示す原料、加熱・充填条件に従い、原料のBrixを55%から25%に変えた以外は、実施例7と同様にして風味改良剤を作製し、その分析結果を表2に示した。
(比較例4)
表2に示す原料、加熱・充填条件に従い、加熱処理温度を160℃から130℃に、達温後の保持時間を0分から60分に変えた以外は、実施例1と同様にして風味改良剤を作製し、その分析結果を表2に示した。
(比較例5)
表2に示す原料、加熱・充填条件に従い、加熱処理温度を170℃から140℃に、達温後の保持時間を0分から30分に変えた以外は、比較例3と同様にして風味改良剤を作製し、その分析結果を表2に示した。
(比較例6)
表2に示す原料、加熱・充填条件に従い、原料のBrixを25%から65%に変えた以外は、比較例5と同様にして風味改良剤を作製し、その分析結果を表2に示した。
Figure 2015053877
実施例5(Brix80%、加熱処理温度150℃)の風味改良剤は、焦げ臭をやや感じるものの、焙煎香を有し、麦芽風味が濃厚であった。また、原料の麦芽エキスの粘性が高く、ポンプによる移送や投入時間を要するため作業性がやや悪かった。実施例6(Brix75%、加熱処理温度160℃)の風味改良剤は、ベッコウ飴様の焦げ臭をやや感じるものの、強い焙煎香を有し、麦芽風味が濃厚であった。実施例7(Brix55%、加熱処理温度170℃)の風味改良剤は、焙煎香が若干弱く、少し収斂味を感じるものの、焦げ臭は少なく、コクは強いものであった。
一方、比較例3(Brix25%、加熱処理温度170℃)は焙煎香が弱く、嫌なムレ臭もあり、全体的な風味が薄かった。比較例4(Brix65%、加熱処理温度130℃、達温後の保持時間60分)は焦げ臭・焦げ苦味を感じた。比較例5の風味改良剤は、麦芽の焙煎香が弱く、嫌なムレ臭が感じられ、全体的な風味が薄かった。比較例6の風味改良剤は焦げ臭、焦げ苦味を強く感じ、好ましくなかった。このことから、130〜140℃程度の低温で30〜60分間保持するよりも、150〜170℃で短時間加熱した方が、香ばしい風味を持ち、全体的な風味が強い風味改良剤を得ることができることがわかった。
(実施例8)
表3に示す原料、加熱・充填条件に従い、加熱処理後の冷却を密閉系に変えた以外は、実施例2と同様にして風味改良剤を作製し、その分析結果を表3に示した。
なお、密閉系での冷却は、ポータブルリアクターの製品出口に所定の温度に温調した密閉容器を装着し、麦芽エキスが所定の品温に到達した後に製品取出コックを開き、風味改良剤を密閉状態で取り出して所定の品温まで冷却した後、常圧下に取り出し風味改良剤を得た。
(実施例9、10)
表3に示す原料、加熱・充填条件に従い、加熱処理後の冷却温度を45℃(実施例9)、5℃(実施例10)に変えた以外は、実施例8と同様にして風味改良剤を作製し、その分析結果を表3に示した。
Figure 2015053877
実施例2の風味改良剤と比較し、実施例8〜10の風味付与剤は先味の厚みが強くなっており、密閉状態で冷却温度が低いほど先味の厚みは強くなっていく傾向であった。密閉冷却によって低沸点のメイラード反応生成が風味改良剤中に留まったことにより、先味の厚みが強くなったと推定された。
また、ガスクロマトグラフによる香気成分分析により、加熱後開放冷却した実施例2の風味改良剤で含量が少なく、加熱後密閉5℃冷却した実施例10で含量が多かった成分は2−Methyl−3−propanone、3−Methylbutanal、2−Methylpropanal、1,3-Diazine、Dihydro−2−methyl−3(2H)−Furanone、1−Hydroxy−2−Propanoneであり、これらの成分が先味の厚みに影響を与えていると推定された。
(実施例11)発泡性アルコール飲料
風味改良剤の効果を評価するため、評価用発泡性アルコール飲料を製造した。2kLスケールの仕込設備を用いて、製造を行った。まず、仕込槽に麦芽の粉砕物、大麦、および仕込水を投入し、常法に従って糖化液を製造した。得られた糖化液を麦汁ろ過槽にてろ過し、得られた麦汁にホップを添加した後、煮沸した。次いで、麦汁を沈殿槽にて沈殿物を分離、除去した後、冷却した。発酵槽にてビール酵母と接触させ、発酵して得られた発酵液へ大麦スピリッツを添加し、エキス分、アルコール度を調整して、発泡性アルコール飲料を製造した。得られた飲料99.8重量部に対して、実施例1の風味改良剤0.2重量部を添加し、風味評価用の発泡性アルコール飲料を作製し、その評価結果を表4に示した。
(実施例12〜14、比較例7及び8)発泡性アルコール飲料
表4に従って、風味改良剤の種類を変えた以外は、実施例11と同様にして評価用の発泡性アルコール飲料を作製し、その評価結果を表4に示した。
Figure 2015053877
実施例11〜14の発泡性アルコール飲料は、比較例7及び8の発泡性アルコール飲料と比較して、麦芽の焙煎香が豊かで、香味の厚みと持続性を十分に感じ、全体的な厚みを底上げされており、また、先味の厚みがあって、焦げ等の嫌な風味がしないバランスの良い発泡性アルコール飲料であった。特に実施例14は先味の厚みが強い発泡性アルコール類であった。
(実施例15)麦芽風味飲料
表5に従って、炭酸水99.8重量部に対して、実施例5の風味改良剤0.2重量部を添加し、風味評価用の麦芽風味飲料を作製し、その評価結果を表5に示した。
(実施例16及び17、比較例9〜12)麦芽風味飲料
表5に従って、風味改良剤の種類を変えた以外は、実施例15と同様にして評価用の麦芽風味飲料を作製し、その評価結果を表5に示した。
Figure 2015053877
実施例5〜7の風味改良剤を添加した麦芽風味飲料(実施例15〜17)は、麦芽の焙煎香が豊かで、香味の厚みと持続性を十分に感じ、全体的な厚みを底上げされており、また、先味の厚みが強く、焦げ等の嫌な風味がしない風味バランスが良い飲料であった。一方、比較例3、5の風味改良剤を添加した麦芽風味飲料(比較例9、11)は、麦芽の焙煎香が弱く、香味の厚みと持続性が不十分で全体的な厚みが底上げされていなかった。また、比較例4、6の風味改良剤を添加した麦芽風味飲料(比較例10、12)は、麦芽の焙煎香や先味の厚み、全体的な厚みがやや底上げされているものの、強い焦げ臭や焦げ苦味を感じてしまい全体的な風味のバランスが悪かった。
(実施例18〜20)発泡性アルコール飲料
表6に従って、風味改良剤の種類を変えた以外は、実施例11と同様にして評価用の発泡性アルコール飲料を作製し、その評価結果を表6に示した。
Figure 2015053877
表6に示すように、冷却方法が開放系であった実施例2の風味改良剤を添加した実施例12(表4)の発泡性アルコール飲料と比較し、実施例8〜10の風味付与剤を添加した実施例18〜20の発泡性アルコール飲料は先味の厚みが強くなっており、密閉状態での冷却温度が低いほど先味の厚みは強くなっていく傾向であった。このことから、密閉冷却によって低沸点のメイラード反応生成物が風味改良剤中に留まったことにより、先味の厚みが強くなったと推定された。
10 二重筒加熱装置
11 加熱容器
12 内筒
12a 外壁面
13 外筒
13a 内壁面
14 間隙
14a 供給口
14b 排出口

Claims (10)

  1. 麦由来原料を加熱処理して得られ、フルフラール、2−アセチルフラン及びフルフリルアルコールの合計量が90ppm以上、且つ5−メチルフルフラールが7ppm以下である、飲料用風味改良剤。
  2. 麦由来原料が、麦抽出液及び麦抽出液を濃縮した麦エキスの少なくとも一方を含むことを特徴とする請求項1記載の飲料用風味改良剤。
  3. 加熱処理が、原料を加熱装置の加熱容器に設けた加熱面に強制的に接触させ、略均一な薄膜状に広げた状態で該加熱面に沿って流動させながら加熱することを特徴とする請求項1または2に記載の飲料用風味改良剤。
  4. 加熱後に密閉状態で品温が80〜5℃になるまで冷却して得られる請求項1〜3のいずれか一項に記載の飲料用風味改良剤。
  5. 麦を原料とする飲料用である請求項1〜4のいずれか一項に記載の飲料用風味改良剤。
  6. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の飲料用風味改良剤を、飲料全体中0.01〜2.0重量%含有する、飲料。
  7. 麦を原料とする、請求項6に記載の飲料。
  8. 麦由来原料を、加熱装置の加熱容器に設けられた170〜220℃の加熱面に強制的に接触させ、品温が150〜170℃になるようにコントロールしながら、略均一な薄膜状に広げた状態で該加熱面に沿って流動させながら加熱することを特徴とする、フルフラール、2−アセチルフラン及びフルフリルアルコールの合計量が90ppm以上且つ5−メチルフルフラールが7ppm以下である、飲料用の風味改良剤の製造方法。
  9. 加熱後に、密閉状態で品温が80〜5℃になるまで冷却することを特徴とする請求項8に記載の飲料用の風味改良剤の製造方法。
  10. 麦由来原料が、麦抽出液及び麦抽出液を濃縮した麦エキスの少なくとも一方を含むことを特徴とする請求項8または9に記載の飲料用の風味改良剤の製造方法。
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