JP2012217348A - 容器詰麦茶飲料 - Google Patents

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Abstract

【課題】低温時に加え、生ぬるさが感じられる常温で飲用しても、適度な香味と甘味を備え、塩類による厚みのある味わいが感じられ、心地よい濃度感のある容器詰麦茶飲料を提供する。
【解決手段】本発明の容器詰麦茶飲料は、デンプン量とβグルカン量との合計量(mg/100mL)が60〜200であり、マルトース量(mg/L)が0.90〜4.00であり、麦由来可溶性固形分(%)が0.30〜0.80であり、ピラジン系化合物群量に対するフラン系化合物群量の比が1.65〜9.50であることを特徴とし、さらには、麦由来可溶性固形分に対するナトリウム量とカリウム量との合計量の比が33〜57あることが好ましい。
【選択図】なし

Description

本発明は、原料麦から抽出された抽出液を主成分とする麦茶飲料であって、これをプラスチックボトルや缶などの密閉容器に充填した容器詰麦茶飲料に関する。
麦茶飲料は、香りが高く、ミネラル分を含むものであり、嗜好品として飲用するのみではなく、喉の渇きを潤すために水分補給としても飲用されることが多い。特に夏場は、ミネラル分の補給や熱中症対策として継続的に麦茶飲料を飲用することは推奨できる。
例えば、特許文献1には、浸出液中のカリウム、ナトリウム、カルシウム及びマグネシウムイオンの濃度が、カリウムイオンの濃度を1としたとき、ナトリウムイオン0.1〜30、カルシウムイオン0.05〜1及びマグネシウムイオン0.02〜0.5の範囲内になるようにこれらのイオンを含む可食性塩類又はこれらの塩類を含む食品が添加されていることを特徴とし、バランスの取れたミネラル補給機能を与えた麦茶などの茶飲料が開示されている。
特許文献2には、塩分を取り除いた海洋深層水を麦茶飲料に混合及び攪拌して、マグネシウムを麦茶飲料1リットルあたり2.5mg〜20mg、カリウムを麦茶飲料1リットルあたり100mg〜350mgになるように調整した、呈味を改善させた血流改善作用を有する麦茶飲料が開示されている。
特開昭62−83847号公報 特開2005−151981号公報
従来、麦茶は家庭等においてホール状態やティーバッグ形態から、熱湯で抽出、あるいは水浸出させた後、適当な容器に詰めて冷蔵保管し、家庭内において適宜飲用に供されるのが主であった。一方、近年では、ペットボトルや缶などの密閉容器に充填された容器詰麦茶飲料が普及したため、麦茶飲料は家庭外のあらゆる所で時と場所を問わず飲用できるようになった。特にペットボトルに充填した容器詰麦茶飲料は、携帯性があるばかりでなく、何度も栓(リキャップ)ができ、少量ずつ繰り返し飲めるなど利便性が高いものである。
この結果、特にリキャップが可能な容器詰麦茶飲料は、水分補給のような健康機能上の目的や、食事までの空腹のつなぎとして、あるいは嗜好品として気分転換のために、いわゆる「ちびだら飲み[亀井肇、新語探検(ジャパンナレッジ 株式会社ネットアドバンス)平成14年6月15日]」と呼ばれる、長時間かけた少量ずつの飲用が可能になった。それらの目的においては少量ずつ複数回に分けて飲用するため鞄などに携帯することや、室温環境に保たれたオフィス等においては机上、さらにスポーツ時に飲用するために屋外に放置することがある。この場合、常温に長時間さらされる結果、内容液は常温に近い液温になる。
しかし、麦茶飲料を、常温で飲用した場合は、生ぬるく感じられ、特に濃度の高い麦茶においては冷えた場合に比べて香味や甘味、さらに濃度感とのバランスが大きく崩れてしまい、味わいのあるものではなかった。
そこで、本発明の目的は、低温時に加え、生ぬるさが感じられる常温で飲用しても、適度な香味と甘味を備え、塩類による厚みのある味わいが感じられ、心地よい濃度感と飲後感のある容器詰麦茶飲料を提供せんとするものである。
本発明の容器詰麦茶飲料は、デンプン量とβグルカン量との合計量(mg/100mL)が60〜200であり、マルトース量(mg/L)が0.90〜4.00であり、麦由来可溶性固形分(%)が0.30〜0.80であり、ピラジン系化合物群量に対するフラン系化合物群量の比が1.65〜9.50であることを特徴とする。
本発明は、デンプン量やβグルカン量などの多糖類量及び麦由来可溶性固形分によりコク、濃度感等を調整し、マルトース量の二糖類量により甘味等を調整し、フラン系化合物群量やピラジン系化合物群量などの香気成分量により香り等を調整することにより、低温時に加え、生ぬるさが感じられる常温で飲用しても、適度な香味と甘味を備え、塩類による厚みのある味わいが感じられ、心地よい濃度感と飲後感が感じられる、好適な容器詰麦茶飲料になる。
以下、本発明の容器詰麦茶飲料の実施形態を説明する。但し、本発明は、この実施形態に限定されるものではない。
本発明の容器詰麦茶飲料(以下、「本容器詰麦茶飲料」という。)は、デンプン量とβグルカン量との合計量(mg/100mL)が60〜200であり、マルトース量(mg/L)が0.90〜4.00であり、麦由来可溶性固形分(%)が0.30〜0.80であり、ピラジン系化合物群量に対するフラン系化合物群量の比が1.65〜9.50であることを特徴とする。
本発明において「麦茶飲料」とは、大麦(二条、四条、六条の各皮麦、裸麦などの原料麦)や、水浸漬や酵素加工による加工麦、あるいはβグルカン高含有麦やアミロースフリー麦、低ポリフェノール麦のような改良種大麦を、熱風焙煎、砂炒焙煎、遠赤外線焙煎、開放釜焙煎、回転ドラム式焙煎、媒体焙煎などの焙煎処理をしたものを原料麦として、抽出、加工された飲料を意味する。なお、βグルカン高含有麦は、βグルカンを多く含む麦であり、例えば、“CDC Fiber”,“CDC Alamo”,“Pronghorn”,“Salute”,“BG006”,“BG012”,“ビューファイバー”などの品種を挙げることができ、具体的な商品としては“BGバーレイ”などを挙げることができる。
また、原料麦としては、水に浸漬させて乾燥させた後、焙煎したもの、例えば麦芽などを適宜用いることもできる。これは、マルトース、スクロースなどの二糖類を多く含むものである。
麦茶飲料は、原料となる原料麦の他に、茶樹(Camellia sinensis var. sinensisやCamellia sinensis var. assamica、またはこれらの雑種)の葉や茎から製造された茶葉、玄米、ハト麦、とうもろこし、アマランサス、キヌア、ナンバンキビ、モズク、甘草、ハス、シソ、マツ、オオバコ、ローズマリー、桑、ギムネマ、ケツメイシ、大豆、昆布、霊芝、熊笹、柿、ゴマ、紅花、アシタバ、陳皮、グァバ、アロエ、ギムネマ、杜仲、ドクダミ、チコリー、月見草、ビワ等の各種植物の葉、茎、根等を併用して得られるものであってもよい。
麦茶飲料を調製する際の原料麦の抽出条件は、原料麦の種類、抽出機の種類、最終製品の形態等により適宜選択されるものであるが、例えば、抽出液温は、50〜100℃が好ましく、80〜99℃がより好ましい。また、抽出時間は、1〜90分が好ましく、30〜60分がより好ましい。抽出水は、例えば、天然水、水道水、蒸留水、海洋深層水などを挙げることができるが、これに限定されるものではない。
また、抽出時の原料麦の形態は、特に限定するものではなく、例えば、ホール(丸粒)、引き割などの形態を挙げることができる。また抽出に際しては、種類、形態、焙煎法や処理法等、異なる原料麦を各々単独で抽出した抽出液を混合して飲料を製造するほか、あらかじめ目的に資する混合量で原料麦を混ぜた状態で抽出したものを飲料としてもよい。
抽出液量は、特に限定するものではないが、原料麦に対して3〜50重量倍量が好ましい。原料麦抽出液は、以上のような条件で原料麦を抽出した後、原料麦浸出液をカートリッジフィルター、ネル濾布、濾過板、濾紙、濾過助剤を併用したフィルタープレス等の濾過法や遠心分離法によって固液分離し、原料麦や粒子を除去して得ることができる。
得られた原料麦抽出液は、適宜濃度調整して調合液とし、これを単独で、或いは複数を混合し、これを容器に充填して容器詰麦茶飲料として製品化される。
本容器詰麦茶飲料は、デンプン量とβグルカン量との合計量(mg/100mL)を60〜200に調整し、マルトース量(mg/L)を0.90〜4.00に調整し、麦由来可溶性固形分(%)を0.30〜0.80に調整し、ピラジン系化合物群量に対するフラン系化合物群量の比を1.65〜9.50に調製して製造することができる。
本容器詰麦茶飲料は、pHが20℃で5〜8であることが好ましく、5〜7であるのがより好ましく、6〜7であるのがさらに好ましく、L値が70〜98であることが好ましく、75〜95であるのがより好ましく、80〜90であるのがさらに好ましい。
い。
この際、所望する組成の麦調合液を容易に得るために麦抽出物を添加してもよい。ここで「麦抽出物」とは、麦を熱水、含水有機溶媒、有機溶媒、高温水蒸気などにより抽出したものであり、市販品を用いることもできる。
また、麦調合液には、長期保存しても沈殿物が発生しない限りにおいて、必要に応じて、アスコルビン酸やアスコルビン酸ナトリウム等の酸化防止剤、香料、炭酸水素ナトリウム等のpH調整剤、乳化剤、保存料、甘味料、着色料、増粘安定剤、調味料、強化剤等の添加剤を単独又は組み合わせて配合することもできる。海洋深層水を混合してもよい。
また、本発明において「容器詰」とは、金属、ガラス、プラスチック、金属やプラスチックフィルムと複合された紙容器等に対象物が充填、密封されてなる状態を意味する。上記のようにして調製された麦茶飲料を充填、密封するための容器として、透明なガラス瓶、ポリエチレンテレフタレートを主成分とする成形容器(いわゆるPETボトル)、多層成形容器等の透明プラスチック容器を使用することができる。
本容器詰麦茶飲料は、液中の溶存酸素量(mg/L)が、1〜20であることが好ましく、2〜20であるのがより好ましく、3〜20であるのがさらに好ましい。これにより、保管中に麦茶飲料と酸素が反応し、甘みが出てくる。
なお溶存酸素量は、Doメーター等と呼ばれる市販の溶存酸素計を用いて測定することができる。
容器としてプラスチック容器を用いた場合は、25℃、湿度55%RHにおける容器の酸素透過量(cc/Day/ボトル500mL)が、0.01〜0.1であるのが好ましく、0.015〜0.08がより好ましく、0.02〜0.06がさらに好ましい。これにより、上述したように、保管中に麦茶飲料と酸素が反応し、甘みが出てくる。
同様の理由から、麦茶飲料を容器に充填する際には、常温で充填するのが好ましく、また、窒素を充填しない方が好ましい。さらには、本容器詰麦茶飲料の容器の口部と容器内の飲料の液面との間の空間(「ヘッドスペース」とも言う。)の酸素量(mL)が、内容液1mLに対して、0.0008〜0.008があるのが好ましく、0.0028〜0.0068であるのがより好ましく、0.004〜0.006であるのがさらに好ましい。
本容器詰麦茶飲料は、必要に応じて製造工程のいずれかの段階で殺菌を行って製造される。殺菌の条件は食品衛生法に定められた条件と同等の効果が得られる方法を選択すればよいが、例えば、容器として耐熱容器を使用する場合にはレトルト殺菌を行えばよい。また、容器として非耐熱性容器を用いる場合、本容器詰麦茶飲料は、例えば、茶調合液を予めプレート式熱交換機等で高温短時間殺菌後、所定温度まで冷却し、熱時充填するか低温、たとえば10〜50℃で無菌充填を行うことで製造することができる。
より詳細に説明すると、本容器詰麦茶飲料は、デンプン量とβグルカン量との合計量(mg/100mL)が60〜200である。
この範囲であることにより、コクのある麦茶飲料になる。
かかる観点から、デンプン量とβグルカン量との合計量(mg/100mL)は、好ましくは65〜190、特に好ましくは85〜175である。
本容器詰麦茶飲料は、デンプン量(mg/100mL)が65〜190であるのが好ましい。
この範囲であることにより、デンプン由来の飲料の香味に対し厚みが付与され、空腹時の飲用に好適な麦茶飲料になる。
かかる観点から、デンプン量(mg/100mL)は、より好ましくは75〜185、特に好ましくは84〜170である。
本容器詰麦茶飲料は、βグルカン量(mg/100mL)が1.0〜10.0であるのが好ましい。
この範囲であることにより、コクをもちながら香りが保たれた麦茶飲料になる。
かかる観点から、βグルカン量(mg/100mL)は、より好ましくは1.0〜7.5、特に好ましくは1.5〜5.0である。
本容器詰麦茶飲料は、マルトース量(mg/L)が0.90〜4.00である。
この範囲であることにより、適度な甘味を有し、後切れ・だれが抑えられて長時間の飲用に適した麦茶飲料になる。
かかる観点から、マルトース量(mg/L)は、好ましくは0.90〜3.50、特に好ましくは1.00〜2.80である。
本容器詰麦茶飲料は、麦由来可溶性固形分(%)が0.30〜0.80である。
この範囲であることにより、長時間の飲用に際し、好適な濃度感が感じられる麦茶飲料になる。
かかる観点から、麦由来可溶性固形分(%)は、好ましくは0.30〜0.72、特に好ましくは0.32〜0.70である。
なお、麦由来可溶性固形分とは、原料麦から抽出して得られた可溶性固形分をショ糖換算したときの値をいう。
本容器詰麦茶飲料は、ピラジン系化合物群量に対するフラン系化合物群量の比(フラン系化合物群量/ピラジン系化合物群量)が1.65〜9.50である。
この範囲であることにより、腹もち感と香ばしさを兼ね備え、かつ様々な温度帯、特に常温でも香りの豊かな麦茶飲料になる。
かかる観点から、ピラジン系化合物群量に対するフラン系化合物群量の比は、好ましくは1.65〜7.60、特に好ましくは1.65〜6.00である。
なお、本発明では、フラン系化合物群は、フルフラール、5−メチルフルフラール、及び2−フルフリルアルコールを示し、ピラジン系化合物群は、ジメチルピラジン類、すなわち2,3−ジメチルピラジン、2,5−ジメチルピラジン、及び2,6−ジメチルピラジンを示す。
本容器詰麦茶飲料は、フラン系化合物群量が香気成分全量に対し60〜75%であるのが好ましい。
この範囲であることにより、腹もち感・飲後感が好適な麦茶飲料になる。
かかる観点から、フラン系化合物群量は、より好ましくは60〜72%、特に好ましくは61〜72%である。
本容器詰麦茶飲料は、ピラジン系化合物群量が香気成分全量に対し5〜30%であるのが好ましい。
この範囲であることにより、濃度によってマスキングされない好適な香ばしさを有する麦茶飲料になる。
かかる観点から、ピラジン系化合物群量は、より好ましくは5〜25%、特に好ましくは5〜15%である。
なお、ここでいう香気成分とは、容器詰麦茶飲料に含まれる揮発性の低分子有機化合物で、麦茶の香りに影響を与える代表的な化合物群を指す。麦茶の香りに影響を与える化合物群には、先述のフラン系化合物、ピラジン系化合物の他、アルデヒド系化合物群、ケトン系化合物群、硫黄化合物群、フェノール系化合物群、およびその他の化合物があり、より具体的には、アルデヒド系化合物群は2−メチルブタナール、3−メチルブタナール、ヘキサナール、ベンズアルデヒド等のアルデヒド基を有する化合物を指す。ケトン系化合物は、2−ブタノン、ジアセチル、2,3−ペンタジオン、6−メチル―5−ヘプテン―2―オン等のケトン基を有する化合物を指す。硫黄化合物群には4−メチルチアゾール、フルフリルメチルスルフィド等の硫黄原子を含む化合物を指す。フェノール系化合物とは、フェノールおよびグアヤコール等、構造上フェノール部を有する化合物を指す。その他の化合物としては、インドールやN−フルフリルピロール等があげられる。ここでいう香気成分の全量とは、ガスクロマトグラフィーによる定量分析において、上記に列挙した化合物の合計量を指す。
本容器詰麦茶飲料は、麦由来可溶性固形分に対するナトリウム量とカリウム量の合計量の比((ナトリウム量+カリウム量)/麦由来可溶性固形分)が33〜57であるのが好ましい。
この範囲であることにより、麦由来の旨味が増強され、濃度感と香味を備えた腹もち感のある麦茶飲料になる。
かかる観点から、麦由来可溶性固形分に対するナトリウム量とカリウム量の合計量の比は、より好ましくは35〜57である。
本容器詰麦茶飲料は、ナトリウム量(mg/100mL)が、2.0〜23.0、カリウム量(mg/100mL)が、2.5〜30.0であるのが好ましい。
この範囲であることにより、塩味が際立つことなく、固形分やデンプンによる厚み、およびフラン系化合物群による腹もち感にうま味の効果が付与された好適な麦茶飲料になる。
かかる観点から、ナトリウム量は、より好ましくは2.0〜18.0、特に好ましくは2.8〜18.0である。またカリウム量は、より好ましくは2.5〜25.0、特に好ましくは2.8〜20.0である。
本発明の容器詰麦茶飲料は、原料麦の焙煎条件や抽出条件を適宜調整して、上記各成分量及び麦由来可溶性固形分を所望の値にすることにより製造することができる。複数の焙煎麦やその浸出液を適宜ブレンドして麦茶飲料を調製して上記各成分量及び麦由来可溶性固形分を所望の値にすることもできる。
より具体的には、例えば、麦茶飲料のデンプン、βグルカン、マルトースの含量を多くしたい場合には、これらの含量が多い原料麦を使用麦量に占める割合を多くして調整することができる。また逆に、これらの成分を少なくしたい場合には、原料麦の焙煎条件を強くし、焙煎麦の抽出条件を弱くして調整することができる。
麦由来可溶性固形分については、焙煎麦の抽出条件等により調整することができる。
フラン系化合物群量やピラジン系化合物群量は、麦の品種の選定や、処理方法、焙煎条件、抽出条件により調整できる。例えば、タンパク含量の多い麦品種を選択することにより、ピラジン系化合物の含量を高めることができる。また原麦の状態で糖質を増加させる処理、例えば浸漬処理をした麦等を焙煎した場合は、フラン系化合物が主として生成する。焙煎条件においては、穀粒表面がよく焙焼される熱風あるいは直火焙煎のような高温短時間の焙煎ではピラジン系化合物の生成が促される。糖質の多い芯部がよく焙焼される焙煎法のような、長時間の焙煎方法では、ピラジン系化合物が揮発する一方、フラン系化合物の生成が促され比率が増大する。また焙煎のほか、抽出時間および温度、および抽出方式(ニーダー法、ドリップ法等)を適宜選択することにより、焙煎麦の穀粒における水分分布の状態を変化させることで、抽出される成分、すなわちフラン系化合物およびピラジン系化合物の比率を変えることが可能である。例えば穀粒内におけるピラジン系化合物とフラン系化合物の分布が異なると考えられ、麦との保持時間を短くする方法ではピラジン系化合物が浸出しやすくなる。その他、例えば麦を含む穀物等に必要に応じて適当な処理を行い、それを焙煎して得られた焙煎物から適当な方法により抽出してなるエキスを添加するなどの方法がある。
ナトリウム量、カリウム量については、重曹(炭酸水素ナトリウム)、塩化ナトリウム、アスコルビン酸ナトリウム、クエン酸ナトリウムや塩化カリウム、リン酸カリウム、炭酸カリウムなど、適当な塩類を添加して調整することができ、また、海洋深層水(赤穂化成株式会社製「天海の水」など)を混合して調整することもできる。
また、麦茶飲料の可溶性固形分は、麦茶飲料を調製する際に上記「麦抽出物」を添加することで調整することもできるが、麦茶本来の香りの余韻の感じを失わないようにするために「麦抽出物」の使用は極力控えるべきであり、可能であれば使用しないのが好ましい。
なお、上記各成分量の測定及び可溶性固形分の測定は、後述の実施例で示す方法により測定することができる。
以下、本発明の実施例を説明する。但し、本発明は、この実施例に限定されるものではない。
≪官能評価試験1≫
以下の実施例1〜8及び比較例1〜10の容器詰麦茶飲料を作製し、官能評価試験を行った。
<原料麦の作製>
まず、以下の原料麦1〜8を作製した。なお、L値は日本電色工業(株)製の色差計(日本電色SE−2000)にて測定した。
(原料麦1)
六条大麦に蒸気噴霧処理を施して含有水分量が約25重量%になるように調整し、回転ドラム式媒体焙煎窯に投入し、焙煎温度255℃で90秒間の一次焙煎を行った。その後、焙煎温度を280℃で90秒間の二次焙煎を行った後、冷却装置のコンベアに移し、麦の品温が80〜140℃の温度域に47秒間滞留するように冷却ファン及びコンベアの速度を調整して緩慢冷却をし、原料麦1を製造した。この麦のL値は31であった。
(原料麦2)
六条大麦150gを排気温度185℃にて小型熱風焙煎機に投入し、18分後品温194℃にて排出し、原料麦2を製造した。この麦のL値は34であった。
(原料麦3)
六条大麦200gを排気温度180℃にて小型熱風焙煎機に投入し、13分後品温195℃にて排出し、原料麦3を製造した。この麦のL値は39であった。
(原料麦4)
六条大麦200gを排気温度190℃にて小型熱風焙煎機に投入し、12分後品温184℃にて排出し、原料麦4を製造した。この麦のL値は46であった。
(原料麦5)
六条大麦200gを排気温度263℃にて小型熱風焙煎機に投入し、9分後品温201.5℃にて排出し、原料麦5を製造した。この麦のL値は39であった。
(原料麦6)
アメリカ産六条大麦(βグルカン高含有品種)を蒸気噴霧処理を施して含有水分量が約20重量%になるように調整し、回転ドラム式媒体焙煎窯に投入し、焙煎温度255℃で90秒間の一次焙煎を行った。その後、焙煎温度を280℃で90秒間の二次焙煎を行った後、冷却装置のコンベアに移し、麦の品温が80〜140℃の温度域に120秒間滞留するように冷却ファン及びコンベアの速度を調整して緩慢冷却をし、原料麦6を製造した。この麦のL値は31であった。
(原料麦7)
二条大麦を約36時間、室温にて水浸漬後、さらに24時間程度湿潤環境下において十分に吸水させた後、約75℃の弱熱条件にて乾燥した。この乾燥麦300kgを排気温度380℃にて回転式熱風焙煎機に投入し、13分後品温227℃にて排出し、原料麦7を製造した。この麦のL値は32であった。
(原料麦8)
二条大麦を約24時間、室温にて水浸漬後、さらに24時間程度湿潤環境下において十分に吸水させた後、約75℃の弱熱条件にて乾燥した。これを再び室温にて18時間水浸漬し、余剰水分を除去御、引き続き蒸気雰囲気下にて90℃以下で30分加熱した。これを乾燥後、排気温度205℃にて120kgを回転式熱風焙煎機に投入し、5分後品温164℃にて排出し、原料麦8を製造した。この麦のL値は46であった。
<抽出液の作製>
(抽出液1〜7)
原料麦1〜8を、下記表1に示す1Lあたりの使用量(単位:g)および配合比にて、同表に示す加水倍率および温度の熱水を投入し、同温度・時間でニーダー抽出(一定時間保持)を行った。得られた抽出原液をステンレスメッシュ(20メッシュ、80メッシュ、235メッシュ)で濾過し、25℃に冷却後、イオン交換水を用いて定容し、抽出液1〜7を作製した。なお、原料麦1〜8は、ホールの状態で抽出した。
(抽出液8)
容器下部に流量制御が可能なコックを備えたステンレス製ドリップ抽出容器(内径150mm、円筒部高150mm、容積約3120cm)に80メッシュの金網(直径40mm)を設置した。熱湯を入れてあらかじめ全体を高温にした同容器に、ホール状態の麦3を200g投入し、高さを均一とした。これに98℃に加温した熱水2Lを注ぎ、15分保持後、内容液を引き抜いて抽出原液とした。これを235メッシュのステンレスメッシュで濾過し、25℃に冷却後、イオン交換水にて4Lに定容し抽出液8を作製した。
Figure 2012217348
<麦茶飲料の作製>
抽出液1〜8を、定容後の総量1重量部に対して以下の表2に示す割合で配合し、焙煎麦を水蒸気蒸留することにより得た、ピラジン系化合物、フラン系化合物などの香気成分を含有する抽出エキスを必要に応じて配合し、アスコルビン酸を300ppm添加した後、重曹を添加してpH6.3に調整し、イオン交換水を加えて全量を5000mlに調整し、この液を135℃、30秒のUHT殺菌の後、25℃に冷却し、ペットボトルに無菌環境で充填し、プラスチックキャップにて巻き締め、密封を行い、実施例1〜9及び比較例1〜10の容器詰麦茶飲料を作製した。
上記方法で作製した麦茶飲料の溶存酸素量は15mg/L、充填に使用したペットボトルの酸素透過量は、0.04cc/Day/ボトル500mL(25℃、55%RH)、ヘッドスペース中の酸素量は、麦茶飲料1mLあたり、0.006mLであった。
Figure 2012217348
(分析)
実施例1〜9及び比較例1〜10の容器詰麦茶飲料の成分を測定し、各値を算出した。また各配合液に使用された麦からの抽出効率を算出した。その結果を下記記表3に示す。なお、各成分の測定は以下のように行った。
Figure 2012217348
<デンプン>
試料溶液10gに対し、エタノールを10g加え、遠心分離(8000g〜10000g、20分)処理を行い、上澄を廃棄する。残渣に再び蒸留水を適宜加え、3分間加熱糊化を行う。
これに、グルコアミラーゼ(「AMYLOGLUCOSIDASE、Megazyme」日本バイオコン株式会社製)を加えて37℃にて2時間保温後、20mLに定容し、濾紙(「ADVANTEC No.5B」東洋濾紙株式会社製)にて濾過する。
この濾液について、市販のグルコース定量用キット(例えば、「グルコースCII−テストワコー」和光純薬株式会社製)を用いてグルコース量を求める。グルコース量から次の式により、試料に含まれるデンプン量が算出することができる。
(式) デンプン(g/100g)=グルコース量(g/100g)×0.9
<βグルカン>
βグルカン量は、βグルカン定量用キット(例えば、Megazyme社製「分析用キット」など)を用いて求めることができる。試料溶液5mLに2.5gの硫酸アンモニウムを加え、泡立たないように注意深く混和し、4℃で20時間静置する。この溶液を遠心分離(1000g、10分)し、上澄を除去する。残渣に1.0mLの50%エタノールを加えて激しく攪拌し、さらに10mLの50%エタノールを加えて混合し、これを遠心分離(1000g、5分)し、上澄を除去する。得られた残渣に対し再度同様の操作を繰り返し行ったのち、20mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH 6.5)4.8mLに溶解し、リケナーゼ(10U)を0.2mL加えて40℃で5分静置する。これを遠心分離(1000g、10分)し、得られた上澄を0.1mLずつ3本の試験管に移す。うち1本の試験管には50mM酢酸アンモニウム緩衝液(pH4.0)0.1mLを加える(ブランク用サンプル)。残りの2本にはβ−グルコシダーゼ・50mM酢酸アンモニウム緩衝液(pH4.0)溶液(0.2U)0.1mLを加える(反応用サンプル)。それぞれ40℃、15分間静置し、これにグルコース定量用試薬(GOPOD Reagent)をそれぞれ3.0mLずつ加えたのち、40℃,20分静置する。これらの溶液について、510nmにおける吸光度Aを測定し、次式により吸光度差ΔAを求める。
(式) ΔA=A(反応用サンプル)−A(ブランク)
さらに吸光度差ΔAより、次式により試料溶液に含まれるβグルカン量を算出することができる。
(式) βグルカン量(mg/L)=ΔA × F × 9
但し、F=100/A(グルコース標準液)
ここで、グルコース標準液は、50mM酢酸ナトリウム緩衝液(0.1mL)、1.0mg/mLグルコース水溶液(0.1mL)、グルコース定量用試薬GOPOD(3.0mL)を混合することにより得られる。サンプルは2本以上測定し、その平均値を以てβグルカン量とした。
<マルトース>
試料溶液100μLに、100ppmのラクト−ス水溶液を100μL、蒸留水を800μL加え分析用原液とした。分析用原液を、1mLのメタノールおよび蒸留水で洗浄した固層担体(「BOND Elut−SAX、1mL」VARIAN社製)に通液した。最初の100μLは廃棄し、次いで得られる300μLを分析用検体とした。検量線用検体には、マルトースおよびラクト−スの混合液を、各10ppmから1/2ずつの希釈で6点検量線となるように調整した原液を同様に処理したものを用いた。校正用検体にはラクトース10ppmとなるように調整した溶液を同様に処理したものを用いた。各検体はそれぞれ0.45μmカートリッジフィルターに通液した後、後述の機器・条件を用いてHPLC分析に供した。得られた結果は、校正用検体のラクト−ス値(L’)を各分析用検体のラクトース値(L)で除した補正係数k=(L’)/(L)を、各分析検体のマルトース分析値に乗じて分析用原液の濃度を求め、さらに希釈率を乗じて試料溶液中の含量とした。
(分析条件)
サンプル注入量:25μL
流量:1.0mL/min
溶離液A:0.2M水酸化ナトリウム水溶液
溶離液B:1M酢酸ナトリウム水溶液
溶離液C:蒸留水
カラム温度30℃。
(分析機器)
HPLC装置の構成ユニットの型番は次の通り(全て日本ダイオネクス社製)。
ディテクター:統合アンペロメトリ検出器EC50A
オーブン:TCC−100
ポンプ:GP50
オートサンプラー:AS50
解析用ソフトウェア:CHROMELEON
カラム:CarboPac PA1(ガードカラム:径φ4×長さ50mm,分離用カラム:径φ4×長さ250mm)
(濃度勾配条件)
時間(溶離液A/溶離液B/溶離液C 各%)
0〜5分(5/0/95)
20分(60/0/40)
30分(80/0/20)
31〜40分(0/100/0)
41〜55分(5/0/95)
<フラン系化合物及びピラジン系化合物>
フラン系化合物及びピラジン系化合物の含量比は、以下の装置を用い、SPME法(固層マイクロ抽出法)で測定した。
なお、本実施例で測定したフラン系化合物は、フルフラール、5−メチルフルフラール、および2−フルフリルアルコールである。
また、本実施例で測定したピラジン系化合物は、2,3−ジメチルピラジン、2,5−ジメチルピラジンおよび2,6−ジメチルピラジンである。
SPMEファイバー:スペルコ社製DVB/carboxen/PDMS
装置:アジレント社製5973N
GC-MSシステム
カラム:アジレント社製DB-WAX, 60mm×0.25mm×0.25μm
カラムオーブン:35〜240℃、6℃/min
<麦由来可溶性固形分>
麦由来可溶性固形分(%)は、アタゴ社製の測定機(DD-7)で測定した。
(評価試験)
実施例1〜9及び比較例1〜10の各容器詰麦茶飲料を、5℃で1週間保管したものと、25℃で1週間保管したものとの2グループに分けた。
上記各容器詰麦茶飲料を、熟練した審査官10人に、食事終了から5時間経過した後、4分おきに30mlずつ5杯試飲してもらい、後切れ、コク、味バランス、腹もち感、香ばしさ、香りバランスについて官能評価をしてもらった。
ここでいう後切れとは、嚥下後に口腔内に残る、だれ、後味の弱さを示す。コクとは、飲用時に感じられる重量感・固体感を示す。また、腹もち感とは、空腹感の解消に寄与する、飲用後に感じられる重量感、あるいは嚥下時に感じる服用感・充足感を示す。香ばしさとは、口に含んだ時から嚥下時までに口腔内および鼻腔内に感じられる焙煎香を示す。
(評価基準)
官能評価は、審査官10人に、下記に示す基準で評価してもらい、合議の上、評価点を決定した。この結果を下記表4に示す。
<後切れ>
後切れは、弱い場合を「0」点、強い場合を「3」点として4段階で評価した。
<コク>
コクは、弱い場合を「0」点、強い場合を「3」点として4段階で評価した。
<味バランス>
味バランスは、悪い場合を「0」点、良い場合を「3」点として4段階で評価した。
<腹もち感>
腹もち感は、弱い場合を「0」点、強い場合を「3」点として4段階で評価した。
<香ばしさ>
香ばしさは、弱い場合を「0」点、強い場合を「3」点として4段階で評価した。
<香りバランス>
香りのバランスは、悪い場合を「0」点、良い場合を「3」点として4段階で評価した。
<適度な濃度感>
適度な濃度感は、悪い場合を「0」点、良い場合を「1」点として2段階で評価した。
(総合評価)
総合点は、5℃での官能評価における、後切れ、コク、味バランス、腹もち感、香ばしさの点数を合計し、香味総合点を算出し、次に、味バランスと香りバランスの点数を合計し、香味バランス点を算出した。香味総合点に香味バランス点を乗じ、さらに適度な濃度感を乗じ5℃総合点を算出し、次に、25℃での官能評価における、25℃総合点を5℃の場合と同様に算出し、5℃総合点と25℃総合点との合計点を総合点として算出した。
なお、ここでいう適度な濃度感とは、口中に含んだ時から嚥下後まで感じられる呈味の濃さとテクスチャの総和をいう。
総合点が80点以上を「◎」、50〜79点を「○」、20〜49点を「△」、19点以下を「×」として判定した。
この結果を下記表4に示す。
Figure 2012217348
(結果)
実施例1〜9は、低温時、および常温時のいずれも好適な香味と呈味のバランスを保ち、また濃度感、腹もち感を有した結果「◎」又は「○」の判定であり、良好な結果であった。
一方、比較例は低温時、常温時のどちらかの場合において好適な香味、あるいは濃度感、腹もち感が維持されなかった。比較例5〜10は「△」の判定であり、比較例1〜4は「×」の判定であり、不良な結果であった。
比較例1〜4の結果から、ピラジン系化合物群量に対するフラン系化合物群量の比(フラン系化合物群量/ピラジン系化合物群量)が低いと腹もち感が弱く、高いと香ばしさが弱く感じられることが見出せた。
比較例5,7の結果から、デンプン量とβグルカン量との合計量が高いとコクが強すぎ、低いと濃度感が弱くなることが見出せた。
比較例6,8の結果から、マルトース量が高いと飲用後のだれ、後味が強すぎ、低いと甘さがなくなることが見出せた。
比較例9,10の結果から、長時間にわたり少量ずつ飲む場合にあたって麦由来可溶性固形分が高いと濃すぎ、低いと薄すぎることが見出せた。
これら結果から、デンプン量とβグルカン量との合計量(mg/100mL)が60〜200であり、マルトース量(mg/L)が0.90〜4.00であり、麦由来可溶性固形分(%)が0.30〜0.80であり、ピラジン系化合物群量に対するフラン系化合物群量の比が1.65〜9.50である容器詰麦茶飲料は、生ぬるさが感じられる常温で飲用しても、適度な香味と甘味を備え、塩類による厚みのある味わいが感じられ、濃度感のある容器詰麦茶飲料になることが見出せた。
≪官能評価試験2≫
官能評価試験1で作製した実施例2及び実施例4の容器詰麦茶飲料を用い、ナトリウム量及びカリウム量の変化が麦茶飲料にどのような影響を及ぼすか試験した。
(麦茶飲料の作製)
実施例2及び実施例4の容器詰麦茶飲料に対して、重曹、塩化ナトリウム、炭酸カリウムのいずれかを適宜配合して、ナトリウム量及びカリウム量を相違させた実施例2A〜2E及び実施例4A〜4Eの容器詰麦茶飲料を作製した。
(分析)
実施例2,2A〜2E及び実施例4,4A〜4Eの容器詰麦茶飲料のナトリウム量及びカリウム量の測定を行った。この結果を下記表5に示す。
これらの量は、原子吸光分析装置(VARIAN AA240FS)を用い、常法により測定した。
(評価試験)
各容器詰麦茶飲料を、低温保管室(5℃)中に1週間静置保管した後、さらに、25℃の恒温槽にて6時間静置した。
上記各容器詰麦茶飲料を、熟練した5人の審査官に、試飲してもらい、当該温度で感じられる旨味について官能評価をしてもらった。
(評価基準)
官能評価は、審査官に、下記に示す基準で評価してもらい、合議の上、評価点を決定した。この結果を下記表5に示す。
<旨味>
ある「◎」、ややある「○」、ややない「△」、ない「×」
Figure 2012217348
(結果)
実施例2,2C,4,4A,4C,4Dは旨味がややないものであった。
他の実施例については「◎」又は「○」の評価であった。
この結果から、麦由来可溶性固形分に対するナトリウム量とカリウム量との合計量の比が高くても低くても旨味がなくなることが見出せた。
この結果から、麦由来可溶性固形分に対するナトリウム量とカリウム量との合計量の比が33〜57である容器詰麦茶飲料は、麦由来の旨味が増し、足りなかった腹もち感が補われ、濃度感と香味が兼ね備わった容器詰麦茶飲料になることが見出せた。

Claims (6)

  1. デンプン量とβグルカン量との合計量(mg/100mL)が60〜200であり、マルトース量(mg/L)が0.90〜4.00であり、麦由来可溶性固形分(%)が0.30〜0.80であり、ピラジン系化合物群量に対するフラン系化合物群量の比が1.65〜9.50である容器詰麦茶飲料。
  2. 麦由来可溶性固形分に対するナトリウムと量とカリウム量との合計量の比が33〜57である請求項1に記載の容器詰麦茶飲料。
  3. デンプン量とβグルカン量との合計量(mg/100mL)を60〜200に調整し、マルトース量(mg/L)を0.90〜4.00に調整し、麦由来可溶性固形分(%)を0.30〜0.80に調整し、ピラジン系化合物群量に対するフラン系化合物群量の比を1.65〜9.50に調整する容器詰麦茶飲料の製造方法。
  4. 麦由来可溶性固形分に対するナトリウム量とカリウム量との合計量の比を33〜57に調整する請求項3に記載の容器詰麦茶飲料の製造方法。
  5. デンプン量とβグルカン量との合計量(mg/100mL)を60〜200に調整し、マルトース量(mg/L)を0.90〜4.00に調整し、麦由来可溶性固形分(%)を0.30〜0.80に調整し、ピラジン系化合物群量に対するフラン系化合物群量の比を1.65〜9.50に調整する容器詰麦茶飲料の香味改善方法。
  6. 麦由来可溶性固形分に対するナトリウム量とカリウム量との合計量の比を33〜57に調整する請求項5に記載の容器詰麦茶飲料の香味改善方法。
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