JP2015053059A - データの安全ケース - Google Patents

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Abstract

【課題】簡単な構成のデータの安全ケースを提供する。【解決手段】セキュリティを要する電子部品Pを封入してデータの安全を確保するデータの安全ケース1を、電子部品Pを収容する収容エリアを囲む側壁部20と、側壁部20の上下に固定した上壁部10および下壁部30とから構成する。側壁部20は、厚み方向に複数のフレーム(インナフレーム、センタフレーム、アウタフレーム)を並べた多層構造で形成し、フレームのうちの少なくとも1つを金属材料で構成し、破壊検知用の配線パターンが形成された基材を、上壁部10と下壁部30と側壁部20とに設けると共に、側壁部20に設けた基材を、可撓性を有するリボン状のフレキシブル基材構成する。フレキシブル基材を、側壁部20の厚み方向で隣接するフレームの間で、周方向の全周に亘って設けた。【選択図】図1

Description

本発明は、例えば電子取引装置などのセキュリティを要する電子部品を収容する安全ケースへの不法なアクセスを検知して、電子部品が保持するデータの漏洩を防止可能とした安全ケースに関する。
電子取引装置などでは、内部に保持する顧客の暗証番号やその他の情報が外部から不正にアクセスされて盗用されることを防止するために、セキュリティを要するメモリや回路部を特設のケースに収容するとともに、不正なアクセス時における当該ケースの破壊を検知するパターン板が提案されている。この種の破壊検知用パターン板として、例えば特許文献1に開示されたものがある。特許文献1のものはセキュリティの必要な電子部品を収容した安全ケースの内面に張り付けられたプリントパターン配線フィルムである。
プリントパターン配線フィルムにおける配線パターンは1本の電源線をジグザグに配したもので、電源と電子部品である情報メモリ間に介挿することにより、ドリルなどで安全ケースに孔が開けられたときに断線し、断線したことを検知して情報メモリに記憶されている情報を消去し、情報メモリに記憶されている情報を引き出せないようにしている。配線パターンは情報メモリの電源系統に挿入して用いるほか、破壊検知回路に接続してその断線により安全ケースの破壊検知に用いることができる。
特開平11−353237号公報
しかしながら、上記の従来例のように、破壊検知用パターン板を複数組み合わせて安全ケースを組み立てる場合においては、各パターン板の接合部における安全が確保できず、また各基板に設けた配線を電気的に接続する必要があり配線が複雑になるという問題があった。
したがって、本発明は、上記の問題点に鑑み、簡単な構成のデータの安全ケースを提供することを目的とする。
本発明は、セキュリティを要する電子部品を封入してデータの安全を確保するデータの安全ケースであって、安全ケースを、電子部品を収容する収容エリアを囲む側壁部と、側壁部の上下に固定した上壁部および下壁部と、から構成し、側壁部は、厚み方向に複数の筒状のフレームを並べた多層構造で形成し、フレームの少なくともひとつを、金属材料より構成し、破壊検知用の配線パターンが形成された基材を、上壁部と下壁部と側壁部とに設けると共に、側壁部に設けた基材をリボン状のフレキシブル基材から構成し、側壁部においてフレキシブル基材を、側壁部の厚み方向で隣接するフレームの間で、周方向の全周に亘って設けたことを特徴とするデータの安全ケースとした。
破壊検知用の配線パターンが形成された基材のうち、安全ケースの側壁部に設けた基材をリボン状のフレキシブル基材から構成して、このリボン状のフレキシブル基材を側壁部の全周に亘って設けたので、収容エリアを囲む側壁部の側壁毎に配線パターンが形成された基材を設けた場合に比べて、データの安全性が確保でき、さらに配線が複雑にならない。
特に、フレームの少なくともひとつを、金属材料で構成して、側壁部を簡単に貫通できないようにしたので、収容エリアへのアクセスをより確実に防止でき、収容エリア内に配置した電子部品の安全性がより向上することになる。
実施の形態にかかる安全ケースの分解斜視図である。 実施の形態にかかる安全ケースを説明する図である。 安全ケースの下壁部を説明する図である。 安全ケースの上壁部を説明する図である。 基材表面の配線パターンを示す部分拡大図である。 基材裏面の配線パターンを示す部分拡大図である。 安全ケースの側壁部を説明する図である。 安全ケースの側壁部を説明する図である。 側壁部のアウタフレームを説明する図である。 側壁部のセンタフレームを説明する図である。 側壁部のフレキシブル基材を説明する図である。 側壁部のインナフレームを説明する図である。 センタフレームにフレキシブル基材を取り付けた状態を示す図である。 渦巻きの簡略化の過程を示す説明図である。 簡略化した渦巻きを有するフレキシブル基材を説明する図である。 変形例にかかる側壁部を説明する図である。 変形例にかかる側壁部の分解斜視図である。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。図1は、実施の形態にかかる安全ケース1の分解斜視図であり、図2の(a)は、安全ケース1の平面図であり、(b)は(a)におけるA−A線断面図であり、(c)は(a)におけるB−B線断面図であり、(d)は、(b)における矢印Xで囲んだ領域を拡大して模式的に示した図である。
図1および図2に示すように、実施の形態にかかるデータの安全ケース1は、平板状の上壁部10と、筒状の側壁部20と、平板状の下壁部30と、を備えて構成される。上壁部10と下壁部30とは、側壁部20の上部と下部にそれぞれネジN1、N2により固定されて、安全ケース1の内部に、セキュリティを要する電子部品Pを収容(封入)する収容エリア40を形成している。
ここで、セキュリティを要する電子部品とは、例えば、データの暗号化・復号化に用いられる暗号化キーや復号化キー、そして顧客の暗証番号などの、外部から不正にアクセスされて盗用されるおそれのある情報を保持するメモリなどである。
上壁部10、側壁部20、そして下壁部30は、それぞれ多層構造を有しており、安全ケース1の破壊を検知するための配線パターンが形成された基材を内部に有している。
図3の(a)は、下壁部30を上壁部10側の上方から見た平面図であり、(b)は(a)におけるA−A線断面であり、(c)は、(b)における矢印Xで囲んだ領域を拡大して模式的に示した図である。
図3の(c)に示すように、下壁部30は、安全ケース1の外側から順に、外壁層31、破壊検知層32、基板層33を並べた多層構造を有している。
外壁層31は、安全ケース1の外側に露出する層であり、セキュリティを要しない部品が実装される回路基板として用いられる。
破壊検知層32は、ガラスエポキシ材からなる絶縁性の基材の両面に銅箔からなる配線パターンが設けられて形成されており、下壁部30の破壊を検知するために設けられている。ここで、破壊検知層32の基材の板厚は、例えば0.2mm、銅箔の厚さは、0.018mmである。
基板層33は、セキュリティを要する電子部品が実装される回路基板であり、図示しない基板配線が形成されている。
図3の(a)に示すように、下壁部30(基板層33)の上壁部10との対向面には、安全ケース1内の収容エリア40に露出する載置部34と、載置部34を囲むリング状の凹溝35とが設けられている。
載置部34には、セキュリティを要する電子部品Pの他に、コネクタ端子C1、C2が表面に露出して設けられている。コネクタ端子C1、C2は、側壁部20に設けられた後記する破壊検知用の各配線パターンの接続に用いられる。
図3の(a)、(c)に示すように、凹溝35は、基板層33を厚み方向に貫通しない深さh1で形成されており、互いに平行な第1溝部35a、35bと、第1溝部35a、35bの端部同士を接続する互いに平行な第2溝部35c、35dと、から構成される。載置部34から見て、第1溝部35a、35bの外側には、下壁部30を側壁部20に固定するネジN2(図1参照)の挿通孔36が、下壁部30を厚み方向に貫通して設けられている。
挿通孔36は、第1溝部35a、35bの長手方向において所定間隔で二つ設けられており、第1溝部35aと第1溝部35bの中間を第1溝部35a、35bに対して平行に延びる仮想線IM1を挟んで対称に位置している。
図4の(a)は、上壁部10を下壁部30側の下方から見た平面図であり、(b)は(a)におけるA−A線断面であり、(c)は、(b)における矢印Xで囲んだ領域を拡大して模式的に示した図である。
図4の(c)に示すように、上壁部10は、安全ケース1の外側から順に、外壁層11、破壊検知層12、基板層13を並べた多層構造を有している。
外壁層11は、安全ケース1の外側に露出する層であり、前記した外壁層31と同様に、セキュリティを要しない部品が実装される回路基板として用いられる。破壊検知層12は、ガラスエポキシ材からなる絶縁性の基材の両面に銅箔からなる配線パターンが設けられて形成されており、前記した破壊検知層32と同様に、上壁部10の破壊を検知するために設けられている。
基板層13は、前記した基板層33と同様に、セキュリティを要する電子部品が実装される回路基板である。上壁部10(基板層13)の下壁部30との対向面には、安全ケース1内の収容エリア40に露出する載置部14と、載置部14を囲むリング状の凹溝15とが設けられている。
載置部14には、セキュリティを要する電子部品の他に、コネクタ(図示せず)が設けられており、上壁部10と下壁部30の内部に設けられた後記する破壊検知用の配線パターン同士が、このコネクタを介して互いに接続されるようになっている。
凹溝15は、下壁部30の凹溝35(図3参照)と整合する形状で形成されており、安全ケース1を組み付けた状態で、後記する側壁部20を挟んで凹溝35に対向する位置に形成されている(図2の(d)参照)。
凹溝15は、凹溝35と同様に、基板層13を厚み方向に貫通しない深さh1で形成されており、互いに平行な第1溝部15a、15bと、第1溝部15a、15bの端部同士を接続する互いに平行な第2溝部15c、15dと、から構成される。
図4の(a)に示すように、載置部14から見て、第1溝部15a、15bの外側には、上壁部10を側壁部20に固定するネジN1(図1参照)の挿通孔16が、上壁部10を厚み方向に貫通して設けられている。
挿通孔16は、第1溝部15a、15bの長手方向において所定間隔で二つ設けられており、図中上側に位置する挿通孔16は、第1溝部15aと第1溝部15bの中間を、第1溝部15a、15bに対して平行に延びる仮想線IM1を挟んで対称に位置している。
図2の(c)に示すように、上壁部10の挿通孔16と、下壁部30の挿通孔36とは、上壁部10および下壁部30の幅方向(仮想線IM1の方向)において互いにオフセットしており、上壁部10と側壁部20、そして下壁部30と側壁部20が、それぞれ異なるネジN1、N2で連結されるようになっている。
挿通孔16と挿通孔36とが同軸に設けられて、上壁部10と側壁部20と下壁部30とが共通のネジを使用して互いに連結されるようになっていると、共通のネジを外すだけで、安全ケース1が簡単に分解されてしまうからである。
なお、実施の形態では、安全ケース1の収容エリア40内に、図示しないマイクロスイッチが設けられている。このマイクロスイッチは、上壁部10と下壁部30のうちの少なくとも一方が側壁部20から取り外されたことを検知するために設けられており、安全ケース1では、取り外されたことが検知されると、情報メモリに記憶されている情報が消去されるようになっている。このマイクロスイッチの詳細は、例えば特開昭62−239251号公報に開示されている。
以下、破壊検知層12、32の配線パターンを説明する。
配線パターンは、1本線(一筆書き)の検知ラインの両側をグランドラインで挟んで構成され、パターンは渦巻きを基本単位として、これを繰り返して基材の表面全域を覆っている。
図5は、破壊検知層32の部分拡大図で、基材50の一方の面における複数個の渦巻きを含む配線パターン60の一部を示す。実線が検知ライン71で、破線がグランドライン72である。なお、グランドライン72は、1本線とする必要はなく、また検知ライン71の両側のグランドライン72、72間は絶縁しなくてよい。
ここでは、基本単位の渦巻き70(70a、70b、70c、・・・)はそれぞれ角型で、検知ライン71は外周から右巻き(時計回り)に中心ヘ向かい、中心で折り返して左巻き(反時計回り)で外周へ戻ってくる。
検知ライン71とグランドライン72の各線幅は0.15mm以下、検知ライン71とグランドライン72の間の間隙も0.15mm以下に設定されている。渦巻き中心部において折り返した検知ライン71間にグランドライン72を配置する余地がない場合には、当該検知ライン間の間隙を0.15mm以下とするのが好ましい。
渦巻き70の形状や巻き数は配線パターン60を配置する基材50の平面形状に収まるように調整されるが、検知ライン71の直線部分Dが10mm以下となるように設定される。
各線幅および間隔を0.15mm以下、検知ライン71の直線部を10mm以下としたのは、ドリルやナイフ等での作業時間を含めた物理的攻撃が極めて困難になるためである。
つぎに、以上のように設定された渦巻き70は検知ライン71が1本線となるようにつなげながら接続されている。
すなわち、下中央の右下角から始まった第1の渦巻き70aの検知ラインの最終辺71abは、左方の第2の渦巻き70bの開始辺を兼ねている。
第2の渦巻き70bの検知ラインの最終辺71bcは上方の第3の渦巻き70cの開始辺を兼ね、第3の渦巻き70cの検知ラインの最終辺71cdはその右方の第4の渦巻き70dの開始辺を兼ねている。
同様に、第4の渦巻き70dの検知ラインの最終辺71deはその右方の第5の渦巻き70eの開始辺を兼ね、さらに第5の渦巻き70eの検知ラインの最終辺71efはその下方の第6の渦巻き70fの開始辺を兼ねている。
すなわち、基本単位の渦巻き70は任意の位置からその上下左右のいずれの方向にも連続的につなげてゆくことができるので、多数個の渦巻き70が基材50の壁面全体を覆うように配置される。
図5には基材50の一方の面(表面)に形成された配線パターンを示したが、基材50の他方の面(裏面)にも表面側から透視したとき表面の配線パターンと同一形状の配線パターンが形成されている。図6は、基材50の裏面に形成された配線パターン60’を、裏面側から見たものであり、検知ライン71’およびグランドライン72’ともに、配線パターン60と左右対称になっている。
裏面の配線パターン60’は、表面の配線パターン60に対して例えば図5において斜め45°方向にずらしてあり、透視したとき裏面の配線パターン60’の検知ライン71’が表面の配線パターン60における対応検知ライン71と当該検知ラインを挟む一方のグランドライン72間の間隙に位置するようになっている。したがって図6の配置は基材上辺およびA線に対して近づいている。
表裏面の配線パターン60、60’の検知ライン71、71’は直列に接続されて、表裏面を通じて1本線をなしている。この際、透視した両面の配線パターン60、60’が同一であるため、検知ライン71、71’の端が同部位にあり、基材50を貫通するスルーホールまたはコネクタで容易に接続することができる。
配線パターンの検知ライン71、71’およびグランドライン72、72’は、セキュリティ確保が要求される電子部品の電源系統に挿入し、あるいは断線や短絡を検知する回路に接続される。
なお、渦巻き70は、上壁部10と側壁部20と下壁部30との間に形成される収容エリア40に対応する範囲内に、電子部品を取り付けるスルーホールや基板の表裏面を接続するコネクタ部分を避ける形状で形成されている。
図5における符号73はグランドラインのコネクタ端子部、符号74はスルーホール部である。
破壊検知層12については、破壊検知層32と同様なので説明を省略する。
図7の(a)は、側壁部20の平面図であり、フレキシブル基材230、240を強調して示した図であり、(b)は(a)におけるA−A線断面であり、(c)は、(a)におけるB−B線断面を拡大して模式的に示した図であり、(d)は(a)におけるC−C線断を拡大して模式的に示した図であり、(e)は(a)におけるD−D線断面を拡大して模式的に示した図である。
図8の(a)は、図7の(b)における矢印Xで囲んだ領域を拡大して模式的に示した図であり、(b)は、図7の(a)におけるE−E線断面を拡大して模式的に示した図であり、(c)は、図7の(a)におけるF−F線断面を拡大して模式的に示した図である。
側壁部20は、軸方向から見て筒形状を有しており、センタフレーム200と、センタフレーム200の内周側に設けられたインナフレーム210と、外周側に設けられたアウタフレーム220と、を備えて構成される。
図8の(a)に示すように、側壁部20は、厚み方向に複数のフレーム(インナフレーム210、センタフレーム200、アウタフレーム220)を並べて形成された多層構造を有しており、センタフレーム200とインナフレーム210との間と、センタフレーム200とアウタフレーム220との間には、それぞれフレキシブル基材230、240が設けられている。
実施の形態では、インナフレーム210とアウタフレーム220は、ABSなどの樹脂材料から構成され、センタフレーム200は、アルミなどの金属から構成される。
センタフレーム200と、インナフレーム210およびアウタフレーム220とは、モールド成形により一体に形成される。
以下、側壁部20を構成する各フレームを説明する。
図9の(a)はアウタフレーム220の平面図であり、(b)は、(a)におけるA−A線断面であり、(c)は、(a)におけるB−B線断面であり、(d)は、(b)における矢印Xで囲んだ領域を拡大して模式的に示した図である。
アウタフレーム220は、軸方向から見て筒形状を有しており、互いに平行な第1フレーム部220a、220bと、これら第1フレーム部220a、220bの端部同士を接続する互いに平行な第2フレーム部220c、220dと、を有している。
このアウタフレーム220では、第1フレーム部220a、220bと第2フレーム部220c、220dとの接続部となる四隅が、曲率の大きなR形状とされている
第1フレーム部220a、220bの外周には、ネジ孔222、223を有する取付部221a〜221dが、それぞれ同じ突出長さL1で設けられている。
取付部221aおよび取付部221cは、第1フレーム部220a、220bに直交する仮想線IM2上で互いに離れる方向にオフセットして設けられており、取付部221bと取付部221dは、第1フレーム部220a、220bの中間を、第1フレーム部220a、220bに対して平行に延びる仮想線IM1を挟んで対称に設けられている。
アウタフレーム220の外周側は、全周に亘って、取付部221a〜221dと同じ高さh2で形成されている(図9の(d)参照)。
アウタフレーム220の内周側は、全周に亘って、外周側よりも上下方向にそれぞれh1ずつ突出しており、アウタフレーム220の内周側は、断面視において略リング状の凸部224、225が上下に形成されて、全体として高さh3を有している。
凸部224、225は、安全ケース1を組み付けた際に、上壁部10の凹溝15と、下壁部30の凹溝35とに、それぞれ内嵌するようになっている。
上壁部10と下壁部30の間における側壁部20の位置決めを容易に行えるようにすると共に、側壁部20の周方向から見て、側壁部20と、上壁部10および下壁部30との間に隙間を生じさせないようにするためである。
よって、実施の形態では、凸部224、225の高さh1は、凹溝15、35の深さh1と同じに設定されている。
図10の(a)はセンタフレーム200の平面図であり、(b)は(a)におけるA−A断面図であり、(c)は(a)におけるB−B断面図であり、(d)は(a)におけるC−C断面図である。
センタフレーム200は、互いに平行に配置された第1フレーム部200a、200bと、第1フレーム部200a、200bの端部同士を接続する互いに平行な第2フレーム部200c、200dと、を有している。
このセンタフレーム200では、第1フレーム部200a、200bと、第2フレーム部200c、200dとの接続部となる四隅の近傍領域が、センタフレーム200の内側に膨出しており、この膨出した部分は、後記するインナフレーム210との係合部205とされている。
第2フレーム部200cでは、上壁部10側の上面に、切欠き201が設けられている。切欠き201は、第2フレーム部200cの厚み方向において、内周203から外周204までの範囲に、深さdで形成されている。
実施の形態では、図7に示すように、センタフレーム200の外周204にフレキシブル基材240が取り付けられており、切欠き201は、フレキシブル基材240の接続部242に対応する位置に設けられている。
センタフレーム200とインナフレーム210とアウタフレーム220とを組み付けて形成された側壁部20において、フレキシブル基材240の接続部242を内側に折り曲げて、先端のコネクタ端子部242aを、側壁部20の内側に形成される収容エリア40内に配置させるためである。
そのため、切欠き201の幅方向長さL2は、接続部242の幅寸法L3(図11の(b)参照)よりも大きい幅寸法に設定されている。また、切欠き201の深さdも、接続部242の厚みよりも大きい深さ寸法とされており、側壁部20と上壁部10とを組み付けた際に、側壁部20と上壁部10との間に、接続部242に起因する隙間が生じないようにされている。
図10の(d)に示すように、係合部205は、センタフレーム200の四隅の内周203に沿って設けられており、断面視においてT字形状を有している。係合部205は、センタフレーム200の高さh3よりも低い高さh4で上下方向に延びる係止部205aと、係止部205aの上下方向における中央とセンタフレーム200とを接続する接続部205bとを備えている。
これにより、モールド成形で形成された側壁部20において、後記するインナフレーム210の嵌合部210eが係止部205aを上下方向から挟み込むように設けられるので、センタフレーム200とインナフレーム210との接続形状が複雑になって、インナフレーム210とセンタフレーム200との接合強度が高められる。
センタフレーム200の内周203には、後記するフレキシブル基材230の挿通孔234、234aを挿通させる円筒形状の突起207、207aが、内側に突出して設けられている。
また、センタフレーム200の外周204には、後記するフレキシブル基材240の挿通孔244、244aを挿通させる円筒形状の突起208、208aが、外側に突出して設けられている。
なお、以下の説明において、突起207と突起207a、突起208と突起208aを特に区別しない場合には、単に突起207、208と標記する。
突起207、208は、センタフレーム200の第1フレーム部200a、200bと、第2フレーム部200c、200dの各々に、2つずつ設けられている。
第1フレーム部200a、200bの突起207、208は、第1フレーム部200a、200bの中間を、第1フレーム部200a、200bに対して平行に延びる仮想線IM1を挟んで対称に設けられている。
第2フレーム部200c、200dの突起207、208は、第2フレーム部200c、200dの中間を通り、かつ仮想線IM1に直交する仮想線IM2を挟んで対称に設けられている。
実施の形態では、突起207は、係合部205を避けて、第1フレーム部200a、200b、第2フレーム部200c、200dの長手方向の中央寄りに位置し、突起208は、突起207よりも端部寄りに位置している。
すなわち、突起207と突起208は、センタフレーム200の周方向において、互いにオフセットした位置に設けられており、センタフレーム200を周方向から見た場合において、突起207と突起208とが同軸上に配置されないようになっている。
センタフレーム200の内周203側と、外周204側に設けられるフレキシブル基材230、240を説明する。
図11の(a)は、フレキシブル基材230の平面図であり、(b)は、フレキシブル基材240の平面図であり、(c)は、(a)におけるA−A線断面を模式的に示した図であり、(d)は、(b)におけるB−B線断面を模式的に示した図である。
図11の(c)、(d)に示すように、フレキシブル基材230、240は、破壊検知層230a、240aの両面に、ポリイミドなどの樹脂層230b、240bを設けた多層構造を有しており、破壊検知層230a、240aは、可撓性の基材に銅箔からなる配線パターンを設けた構成を有している。
実施の形態では、上記した樹脂層230b、240bは、可撓性の樹脂材料で形成されており、フレキシブル基材230、240は、内部に形成された図示しない配線を断線することなく曲げることができるようにされている。
フレキシブル基材230、240は、リボン状の本体部231、241と、接続部232、242とから構成される。
接続部232、242は、本体部231、241の一端側の側面から本体部231、241に直交する方向に延出して設けられている。
接続部232、242の先端側の一方の面には、コネクタ端子部232a、242aが露出して設けられている。コネクタ端子部232a、242aは、フレキシブル基材230、240に形成された配線と、下壁部30内の配線(配線パターン)との接続に用いられる。
実施の形態では、接続部232、242は、側壁部20の内側(収容エリア40側)に折り曲げられた状態で安全ケース1内に設けられている。そのため、本体部231、241と接続部232、242との接続部分の両側には、折り曲げに起因する接続部分からの破断を防止するための略半円形の切欠き233、243が設けられている。
実施の形態では、フレキシブル基材240は、リボン状の本体部241を、センタフレーム200の外周204に巻き回して取り付けられる。
そのため、本体部241では、センタフレーム200の突起208に対応する位置に、突起208が挿入される挿通孔244が厚み方向に貫通して設けられている。
本体部241は、センタフレーム200の外周204に巻き回された状態において、先端側が、接続部242が設けられた基端側に重なる長さ寸法で形成されている。
そのため、本体部241の先端側では、接続部242との干渉を避けるための矩形形状の切欠き245が接続部242側の側面に設けられている。
フレキシブル基材230の本体部231にも、フレキシブル基材240と同様に、センタフレーム200の突起207に対応する位置に、突起207が挿入される挿通孔234が厚み方向に貫通して設けられている。
本体部231は、センタフレーム200の内周203に巻き回された状態において、先端側が、接続部232が設けられた基端側に重なる長さ寸法で形成されている。
そのため、本体部231の先端には、接続部232との干渉を避けるための切欠き235が、接続部232側の側面に設けられている。
また、本体部231では、センタフレーム200の係合部205との干渉を避けるための切欠き237、238が、接続部232側の側面と反対側の側面に、それぞれ設けられており、さらに、フレキシブル基材240の接続部242との干渉を避けるための切欠き236が、接続部232側の側面に設けられている。
破壊検知層230a、240aの配線パターンは、1本線(一筆書き)の検知ラインの両側をグランドラインで挟んで構成され、パターンは渦巻きを基本単位として、これを繰り返して基材の表面全域を覆っている。
なお、配線パターンの詳細は、前記した下壁部30の配線パターン60、60’と同じなので、ここでは、その説明を省略する。
図12の(a)はインナフレーム210の平面図であり、(b)は(a)におけるA−A断面図であり、(c)は、(a)におけるB−B断面図であり、(d)は、(a)におけるC−C断面図であり、(e)は、(a)におけるD−D断面図である。
インナフレーム210は、前記したセンタフレーム200およびアウタフレーム220の高さh3と同じ高さh3で形成されている。
インナフレーム210は、互いに平行な第1フレーム部210a、210bと、第1フレーム部210a、210bに直交する方向で互いに平行な第2フレーム部210c、210dと、第1フレーム部210a、210bと第2フレーム部210c、210dの端部同士を接続すると共に、センタフレーム200に嵌合する嵌合部210eを有している。このインナフレーム210において同じ対角線上に位置する嵌合部210eは、互いに平行に設けられている。
図12の(a)、(c)、(e)に示すように、第2フレーム部210c、210dでは、上壁部10側の上面に、切欠き211、212が設けられている。
切欠き211、212は、第2フレーム部210c、210dの内周214から外周215までの範囲に、深さdで形成されている。
図7に示すように、実施の形態では、インナフレーム210の外周215側にセンタフレーム200が位置しており、切欠き211は、センタフレーム200の切欠き201に対応する位置に設けられている。
センタフレーム200とインナフレーム210とアウタフレーム220とを組み付けて形成された側壁部20において、フレキシブル基材230、240の接続部232、242を内側に折り曲げて、先端のコネクタ端子部232a、242aを、切欠き211、212により干渉することなく、側壁部20の内側に形成される収容エリア40内に配置させることができる。
図12の(d)に示すように、嵌合部210eは、断面視においてC字形状を有しており、モールド成形で形成された側壁部20において、センタフレーム200の係合部205(係止部205a)が、嵌合部210eにより、上下方向から挟み込まれるようになっている(図7の(d)参照)。
実施の形態にかかる安全ケース1の作製を説明する。始めに、側壁部20の作製を図7から図13を参照しながら説明する。なお、図13は、センタフレーム200の内周203と外周204にフレキシブル基材230、240を取り付けた状態を示す図である。
センタフレーム200の突起207a(図10参照)にフレキシブル基材230の挿通孔234a(図11の(a)参照)を挿通させて、フレキシブル基材230を取り付け開始位置に位置決めする。
そして、センタフレーム200の突起207を、フレキシブル基材230の挿通孔234に順次挿入しながら、フレキシブル基材230を、センタフレーム200の内周203に沿って設けたのち、フレキシブル基材230の先端側の挿通孔234b(図7参照)に突起207aを挿通して、センタフレーム200の内周にフレキシブル基材230を接着保持させる。
続いて、センタフレーム200の突起208a(図10参照)にフレキシブル基材240の先端側の挿通孔244bを挿通させて、フレキシブル基材240を、取付開始位置に位置決めする。
そして、センタフレーム200の突起208を、フレキシブル基材240の挿通孔244に順次挿入しながら、フレキシブル基材240を、センタフレーム200の外周204に設けたのち、フレキシブル基材240の基端側の挿通孔244aに突起208aを挿通して、センタフレーム200の外周にフレキシブル基材240を接着保持させる。
この状態で、フレキシブル基材230、240の接続部232、242をセンタフレーム200の内側に折り曲げて、先端のコネクタ端子部232a、242aを、図2の収容エリア40内に配置させものが、図13である。
ここで、フレキシブル基材230の本体部231は、接続部232が設けられた基端側と、反対側の先端側とが、そしてフレキシブル基材240の本体部241は、接続部242が設けられた基端側と、反対側の先端側とが、それぞれ重なるように設けられており、センタフレーム200の全周に亘って、フレキシブル基材230、240が切れ目なく設けられる。
なお、フレキシブル基材230、240の各々において重なる部分は、接着剤で互いに接着される。
ここで、フレキシブル基材230、240とセンタフレーム200との接着は、接着剤を用いて行うが、フレキシブル基材230、240のセンタフレーム200側の面に接着層を設けて行うようにしても良い。
また、フレキシブル基材230、240は、センタフレーム200の内周203および外周204において、それぞれ多重に設けられていても良い。
続いて、フレキシブル基材230、240が巻き付けられたセンタフレーム200を、金型にセットし、インナフレーム210と、アウタフレーム220とを、モールド成形により形成して、インナフレーム210とセンタフレーム200との間と、アウタフレーム220とセンタフレーム200との間に、それぞれフレキシブル基材230、240が挟み込まれた側壁部20を形成する。この状態が図7である。
このようにして形成した側壁部20では、フレキシブル基材230の接続部232の位置に、インナフレーム210の切欠き212が位置するので、接続部232を切欠き212側に折り曲げて、先端のコネクタ端子部232aを、収容エリア40となる側壁部20の内側に位置させることができる。
また、フレキシブル基材240の接続部242の位置に、インナフレーム210の切欠き211と、センタフレーム200の切欠き201が、側壁部20を周方向から見て直線状に位置するので、接続部242をこの切欠き211、201側に折り曲げて、先端のコネクタ端子部242aを、収容エリア40となる側壁部20の内側に位置させることができる。
また、図8に示すように、側壁部20では、センタフレーム200の突起207、208が、フレキシブル基材230、240の挿通孔234、244に挿通されているので、フレキシブル基材230、240の位置ズレを、好適に防止できる。
さらに、図8の(a)に示すように、インナフレーム210と、センタフレーム200と、アウタフレーム220の凸部224、225の部分の高さは、それぞれ同じ高さh3で形成されているので、側壁部20の上壁部10側の一端と、下壁部30側の他端には、上壁部10の凹溝15に嵌合する上側嵌合部21と、下壁部30の凹溝35に嵌合する下側嵌合部22が、凹溝15、35と略整合する幅W1で形成される。
次に、安全ケース1の組付けを説明する。
始めに、図2の(d)に示すように、側壁部20の下側嵌合部22を下壁部30の凹溝35に嵌合して、側壁部20を下壁部30に載置する。
この状態において、下壁部30の挿通孔36を貫通したネジN2を、取付部221a〜221d(図9参照)のネジ孔223に螺入して、下壁部30と側壁部20とを互いに連結する。
そして、側壁部20の収容エリア40内に位置するフレキシブル基材230、240のコネクタ端子部232a、242a(図11参照)を、下壁部30のコネクタ端子C1、C2に接続して、側壁部20内に形成された配線パターンと下壁部30内に形成された配線パターンとを接続する。これにより、これら配線パターンの検知ラインが、直列に接続されて一本線とされると共に、これと同時にグランドラインも接続される。
続いて、下壁部30の図示しないコネクタ端子と上壁部10の図示しないコネクタ端子とを図示しない接続ケーブルで接続して、上壁部10内に形成された配線パターンと、下壁部30内に形成された配線パターンとを接続する。これにより、これら配線パターンの検知ラインが、直列に接続されて一本線とされると共に、これと同時にグランドラインも接続される。
そして、図2の(d)に示すように、側壁部20の上側嵌合部21を、上壁部10の凹溝15に嵌合して、上壁部10を側壁部20に載置する。
この状態において、上壁部10の挿通孔16を貫通したネジN1を、取付部221a〜221d(図9参照)のネジ孔222に螺入して、上壁部10と側壁部20とを互いに連結することで、図1に示す安全ケース1が形成される。
以上の通り、実施の形態では、セキュリティを要する電子部品Pを封入してデータの安全を確保するデータの安全ケース1を、電子部品Pを収容する収容エリア40を囲む側壁部20と、側壁部20の上下に固定した上壁部10および下壁部30とから構成し、側壁部20は、厚み方向に複数のフレーム(インナフレーム210、センタフレーム200、アウタフレーム220)を並べた多層構造で形成し、フレームのうちの少なくとも1つを金属材料で構成し、破壊検知用の配線パターン60、60’が形成された基材を、上壁部10と下壁部30と側壁部20とに設けると共に、側壁部20に設けた基材を、可撓性を有するリボン状のフレキシブル基材230、240から構成し、フレキシブル基材230、240を、側壁部20の厚み方向で隣接するフレームの間(インナフレーム210とセンタフレーム200の間、センタフレーム200とアウタフレーム220の間)で、周方向の全周に亘って設けた構成とした。
このように構成すると、破壊検知用の配線パターンが形成された基材を側壁部の四方の壁の各々に設ける必要がないので、各壁部に設けた基板の配線パターン同士を繋ぐ配線を省略でき、配線が簡略化できる。さらに、側壁部に設ける破壊検知用の配線パターンが形成された基材を、リボン状のフレキシブル基材としたことで、基材同士のつなぎ目の数を減らすことができるので、収容エリア内に配置した電子部品の安全性が向上する。また、安全ケース内の基材の数を減らすことができるので、安全ケースの組み立てコストを低減できる。
さらに、フレームの少なくともひとつを、金属材料で構成して、側壁部を簡単に貫通することができないようにしたので、収容エリアへのアクセスをより確実に防止でき、収容エリア内に配置した電子部品の安全性がより向上する。
特に、フレキシブル基材230、240が、側壁部20の厚み方向で多重に配置されているので、収容エリア内に配置した電子部品の安全性がより向上する。
さらに、上壁部10と下壁部30には、側壁部20の高さ方向における一端の上側嵌合部21と、他端の下側嵌合部22が嵌合する凹溝15、35が設けられており、凹溝15、35に嵌合した側壁部20の上側嵌合部21と他端の下側嵌合部22では、フレキシブル基材230、240が、凹溝15、35内に位置している構成としたので、側壁部20と上壁部10または下壁部30と接合部から工具などを差し込めたとしても、フレキシブル基材230、240を貫通しないと収容エリア内に到達できないので、破壊検知用の配線パターン60、60’を断線させずに収容エリアへアクセスすることが、いっそう困難になる。
また、側壁部20は、センタフレーム200と、インナフレーム210と、アウタフレーム220と、を厚み方向に並べて配置した多層構造を有しており、フレキシブル基材230、240は、側壁部20の厚み方向で最も外側に位置するアウタフレーム220よりも内側のセンタフレーム200の内周と外周にそれぞれ設けられている構成とした。
これにより、フレキシブル基材が、側壁部の厚み方向で2重に設けられるので、側壁部からの収容エリアへのアクセスがいっそう難しくなり、収容エリア内に配置した電子部品の安全性がより向上する。
特に、モールド成形により、アルミからなるセンタフレーム200と、樹脂材料からなるインナフレーム210およびアウタフレーム220とを一体に形成したので、フレキシブル基材230、240が、センタフレーム200と、インナフレーム210およびアウタフレーム220との間に確実に封止される。よって、フレキシブル基材へのアクセスがより難しくなり、収容エリア内に配置した電子部品の安全性がいっそう向上する。
ここで、上壁部10と下壁部30のうちの少なくとも一方は、基板配線が形成された基材の少なくとも一部、例えばセキュリティを要する電子部品が実装される部位に、破壊検知用の配線パターンを設けて形成されるものとしたので、上壁部10と下壁部30のうちの少なくとも一方を、セキュリティを要する電子部品が実装される回路基板として用いることができる。
特に、側壁部20の全周に亘って設けたリボン状のフレキシブル基材230、240の周方向における一端側と他端側とが一部重なるようにしたので、側壁部20を周方向から見た場合に、破壊検知用の配線パターンを有するフレキシブル基材230、240が切れ目なく繋がった状態となる。よって、収容エリア40内に配置した電子部品の安全性がいっそう向上する。
また、上壁部10、下壁部30、そして側壁部20では、配線パターン60、60’が形成された基材が埋め込まれている構成とした。これにより、上壁部10、下壁部30、そして側壁部20の収容エリア40側の面を、電子部品Pの実装面とすることができ、電子部品Pを実装するための基板を収容エリア40内に別途設ける必要が無いので、安全ケース1のさらなる小型化が可能となる。
さらに、各基材が有する配線パターン60、60’が、検知ライン71、71’とその両側に所定の間隙を置いて配置したグランドライン72、72’とからなり、検知ライン71、71’が外周から中心側ヘ向かい、中心側で折り返す渦巻き70を基本単位として、複数の基本単位を繰り返して基材の壁面を覆うとともに、全体として一本線をなすとともに、検知ライン71、71’の直線部分の長さDを10mm以下としている構成とした。これにより、孔開けによる検知ライン71、71’の断線で安全ケースの破壊を検知できるほか、ドリル等による孔開の部位によっては検知ライン71、71’とグランドライン72、72’との短絡によって安全ケースの破壊を検知できる。
さらに、カッターで検知ライン71、71’とグランドライン72、72’間の間隙に切り込みを入れてもその長さが10mm以下に制限されるため、セキュリティを要する電子部品の収容エリア内にアクセスできる程度まで切り込みを開くことはできない。
また、連続する渦巻きのうち第1の渦巻きの最終辺が第2の渦巻きの開始辺をなしているので、各渦巻き20のサイズを10mm以下とすれば、検知ライン71、71’の直線部分の長さは10mm以下に収まる。
さらに、検知ライン71、71’とグランドライン72、72’の各線幅がそれぞれ0.15mm以下、検知ラインとグランドライン間の所定の間隙が0.15mm以下としてあるので、とくに小径のドリルを用いても孔開け時に確実に断線または短絡を招き、破壊検知の精度が高い。
実施の形態では、図10に示すように、フレキシブル基材230の挿通孔234(図11参照)に挿通させる突起207と、フレキシブル基材240の挿通孔244(図11参照)に挿通させる突起208が、それぞれセンタフレーム200の内周203と外周204に設けられており、突起207と突起208は、センタフレーム200の周方向において、互いにオフセットした位置に設けられて、センタフレーム200を周方向から見た場合において、突起207と突起208とが同軸上に配置されないように構成した。フレキシブル基材230、240における挿通孔234、244の部分には、破壊検知用の配線パターン60、60’が位置していないので、突起207と突起208が同軸上に配置されていると、突起207、208の部分から側壁部20を貫通して収容エリア40へのアクセスが可能になるが、突起207と突起208とが同軸上に配置されないように設けることで、収容エリア40へのアクセスを好適に防止できる。
また、側壁部20にフレキシブル基材が一枚のみ設けられている場合には、突起の部分から収容エリア40へのアクセスが可能となるが、実施の形態では、側壁部20の厚み方向でフレキシブル基材が2枚設けられており、さらに突起207と突起208が側壁部20の周方向でオフセットした位置に設けられているので、側壁部20からの収容エリア40へのアクセスを確実に防止できる。
つぎに、配線パターンの変形例について説明する。これは、狭い面積の基材に適用するために渦巻きを簡略化したものである。
まず、図14は渦巻きの簡略化の過程を示す説明図である。
図14の(a)はスタート地点S1から右巻き(R)に11折れして中心に達し、それから左巻き(L)に折り返して11折れして終点T1に終わる複数巻き渦巻きを示す。(b)は巻き数を小さくして、スタート地点S2から右巻きに5折れして中心に達し、それから左巻きに折り返して5折れして終点T2に終わる渦巻きを示す。
図14の(c)はスタート地点S3から右巻きに中心側へ3折れしたあと、左巻きに折り返して3折れして終点T3に終わっており、実質1巻きの渦巻きをなしている。
このように折れ回数を減じてゆき、片側2折れとしたのが(d)に示される。すなわち、スタート地点S4から右巻きに中心側へ2折れしたあと、左巻きに折り返して2折れして終点T4に終わっており、実質半巻きの渦巻きとなる。
以上のように構成された変形例にかかる配線パターンを採用しても、前記した実施の形態と同じ効果を奏する。
ここで、図14に示した簡略化された渦巻きのうち、とくに(c)と(d)の渦巻きを組み合わせた配線パターンは、リボン状のフレキシブル基材のような細幅や小面積のものに特に好適に利用可能である。
図15は、図14の(c)と(d)の渦巻きを組み合わせた配線パターンを、リボン状のフレキシブル基材に適用した場合を示す図である。
図15に示すリボン状のフレキシブル基材250には、図14の(c)と(d)の渦巻きを組み合わせた配線パターン60Aが、壁面全体を覆うように配置されている。
この配線パターン60Aでは、検知ライン71Aの両側をグランドライン72Aで挟んで構成され、1面の配線パターン60Aにおいて検知ライン71Aは1本線となっている。そして、検知ライン71Aの直線部分の長さDが10mm以下となるように設定してある。
このような配線パターンとすることによっても、前記した実施の形態と同じ効果を奏する。そして、とくに細幅の基材に適用できるので、実施の形態のフレキシブル基材230、240と組み合わせることにより、電子部品を実装した基板を収容する扁平なケースの全壁面において、不正なアクセスを検知するのに有効である。
さらに、フレキシブル基材250の挿通孔255を適切に避けつつ、フレキシブル基材250の全体に亘って配線パターンを密に設けることができる。
次に、側壁部の変形例を説明する。
図16の(a)は変形例にかかる側壁部20Aの平面図であり、(b)は(a)におけるA−A線断面であり、(c)は(a)におけるB−B線断面図であり、図17は、変形例に係る側壁部20Aの分解斜視図である。
変形例にかかる側壁部20Aは、センタフレーム200AがABSなどの樹脂材料から構成され、インナフレーム210Aとアウタフレーム220Aとが、アルミなどの金属材料から構成されるという点において、前記実施の形態の側壁部20と相違している。
この側壁部20Aでは、側壁部20の場合と同様に、センタフレーム200Aとインナフレーム210Aとの間と、センタフレーム200Aとアウタフレーム220Aとの間には、それぞれフレキシブル基材230、240が設けられている。
そのため、前記の側壁部20のセンタフレーム200における突起207、208に相当するものは、インナフレーム210Aの外周と、アウタフレーム220Aの内周とに設けられており、インナフレーム210Aの突起219と、アウタフレーム220Aの突起229とが、突起207、208に相当する。
また、図17に示すように、変形例にかかる側壁部20Aでは、インナフレーム210Aの嵌合部210e’と、センタフレーム200Aの係合部205’の形状が、前記した実施の形態のインナフレーム210の嵌合部210e(図12参照)と、センタフレーム200の係合部205(図10参照)の形状と異なっている。
具体的には、インナフレーム210の嵌合部210eが断面視においてC字形状を有しているのに対して(図7の(d)参照)、インナフレーム210Aの嵌合部210e’は、断面視においてコ字形状を有している(図16の(c)参照)。
そのため、変形例にかかる側壁部20Aでは、嵌合部210e’は、均一な高さ(厚み)で形成された係合部205’に、センタフレーム200Aの内側から外嵌して設けられている。
かかる構成の側壁部20Aは、フレキシブル基材230を外周面に取り付けたインナフレーム210Aと、フレキシブル基材240を内周面に取り付けたアウタフレーム220Aとを、金型にセットし、センタフレーム200Aをモールド成形により形成することで作成される。
このような構成の側壁部20Aとすることによっても、前記の実施の形態と同じ効果が奏されることになる。
特に、センタフレーム200AをABSなどの樹脂材料から構成し、インナフレーム210Aとアウタフレーム220Aとを、アルミなどの金属材料から構成したので、側壁部20Aを簡単に貫通することができないので、収容エリアへのアクセスを防止できると共に、収容エリア内に配置した電子部品の安全性がより向上する。
なお、実施の形態および変形例では、渦巻きの形状を直線の辺を有する4角形基本としたが、三角形その他の多角形を基本形状とすることもできる。さらには、直線の辺に限らず、凹または凸の湾曲線を辺とする角型でもよく、この場合には、凹の湾曲線の辺に隣接する渦巻きの対応する辺を凸の湾曲線とすることにより、隙間なく基材の壁面を覆うことができる。
さらに、前記した実施の形態では、上壁部10、側壁部20、そして下壁部30の各々に破壊検知用の配線パターンが形成された基材が埋め込まれた側壁部20を用いた安全ケース1を説明したが、破壊検知用の配線パターンが形成された基材は、上壁部10、側壁部20、そして下壁部30のうちの少なくともひとつに埋め込まれていればよい。この場合、基材が埋め込まれた壁部の収容エリア40側の表面を電子部品の実装面とすることで、前記した実施の形態と同じ効果を奏することができる。
この場合、基材が埋め込まれていない壁部の収容エリア40側の表面には、破壊検知用の配線パターンが形成された基材が接着剤などにより固定されて、壁部の破壊を検知できるようにすれば良い。
また、回路基板の一部に破壊検知用の配線パターンを形成して上壁部10や下壁部30とすることができるため、回路基板の任意の位置に安全ケースを設けることができる。
実施の形態では、基材の一方の面側から透視したとき同一の配線パターン60、60’を基材の両面に形成して、一方の面における検知ライン71’が他方の面における対応する検知ライン71の両側のいずれかのグランドライン72との間隙に位置するように互いにずらせてあるので、一方の面側から透視したとき検知ライン71、71’が基材の壁面の実質的に全領域を覆う。このため、孔開け時にはより一層確実に断線または短絡させることができる。さらに、基材の両面の配線パターン60、60’における検知ライン71、71’は直列に接続されて一本線をなしており、特に、上壁部10、側壁部20、そして下壁部30に設けた基材の配線パターンの検知ラインが直列に接続されて一本線をなすようにしているので、断線または短絡の検知回路が1系統で済み、回路構成も簡単になる。
なお、実施の形態、および変形例の側壁部20では、センタフレーム200と、このセンタフレーム200の両側のインナフレーム210およびアウタフレーム220とが、異なる材料で構成される場合を例示したが、これらフレームの総てが同一の材料、例えば樹脂材料から構成されていても良い。
さらに、実施の形態の側壁部20では、側壁構成部材(センタフレーム200、インナフレーム210、アウタフレーム220)が厚み方向に並べられて、側壁部20の厚み方向に、側壁構成部材の層が3つ設けられている場合を例示したが、側壁構成部材の層が4つ以上並べられた側壁部20としても良い。
かかる場合、フレキシブル基材は、厚み方向で最も外側に位置する側壁構成部材よりも内側の側壁構成部材の内周と外周にそれぞれ設けられている、または側壁部20を構成する側壁構成部材の間のうちの任意の2カ所以上に、フレキシブル基材が設けられていれば、前記の実施の形態と同じ効果が奏されることになる。
1 安全ケース
10 上壁部
20、20A 側壁部
30 下壁部
11、31 外壁層
12、32 破壊検知層
13、33 基板層
14、34 載置部
15、35 凹溝(嵌合溝)
16、36 挿通孔
40 収容エリア
50 基材
60、60’、60A 配線パターン
71、71’、71A 検知ライン
72、72’、72A グランドライン
200、200A センタフレーム(側壁構成部材)
205 係合部
207、207a、208、208a 突起
210、210A インナフレーム(側壁構成部材)
210e 嵌合部
219 突起
220、220A アウタフレーム(側壁構成部材)
221a〜221d 取付部
222、223 ネジ孔
224、225 嵌合凸部
229 突起
230、240、250 フレキシブル基材
230a、240a 破壊検知層
230b、240b 樹脂層
231、241 本体部
232、242 接続部
234、234a、234b、244、244a 挿通孔
C1、C2 コネクタ端子
N1、N2 ネジ
P 電子部品



Claims (3)

  1. セキュリティを要する電子部品を封入してデータの安全を確保するデータの安全ケースであって、
    前記安全ケースを、前記電子部品を収容する収容エリアを囲む側壁部と、前記側壁部の上下に固定した上壁部および下壁部と、から構成し、
    前記側壁部は、厚み方向に複数の筒状のフレームを並べた多層構造で形成し、
    前記フレームの少なくともひとつを、金属材料より構成し、
    破壊検知用の配線パターンが形成された基材を、前記上壁部と前記下壁部と前記側壁部とに設けると共に、前記側壁部に設けた基材をリボン状のフレキシブル基材から構成し、
    前記側壁部において前記フレキシブル基材を、前記側壁部の厚み方向で隣接するフレームの間で、周方向の全周に亘って設けたことを特徴とするデータの安全ケース。
  2. 前記側壁部では、外側から順番に、アウタフレームと、センタフレームと、インナフレームとが位置しており、
    前記センタフレームが前記金属材料で構成されていることを特徴とする請求項1に記載のデータの安全ケース。
  3. 前記金属材料は、アルミニウムであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のデータの安全ケース。
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