JP2015049339A5 - - Google Patents
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Description
蒸着装置内で、面内で膜厚を変化させるべき蒸着膜を形成する際に、レンズ基材の被蒸着面と蒸着源との間の、装用時に上方に位置する部分または下方に位置する部分の上方に遮蔽部材を配置する(図1(a))。ここで遮蔽部材は、レンズ基材の被蒸着面に密着させず、空間を設けて配置する。この状態で下方から蒸着材料が蒸発すると、レンズ基材の被蒸着面では、上方に遮蔽部材のない部分に多量の蒸着材料が堆積し、上方に遮蔽部材のある部分では、上方に遮蔽部材のない部分との境界付近には若干量の蒸着材料が堆積し、境界から離れるほど堆積量が少なくなる(図1(b))。こうして、例えば装用時に下方に位置する部分の上方に遮蔽部材を配置していた場合には、装用時に上方に位置する部分から下方に位置する部分に向かって連続的ないし段階的に膜厚が減少する蒸着膜を形成することができる。その後、遮蔽部材を取り除き(図1(c))、蒸着工程を繰り返すことにより、レンズ基材の被蒸着面上に多層膜を形成することができる(図1(d)、(e))。なお面内で膜厚が異なる蒸着膜は、多層膜に少なくとも一層設けることができ、二層以上設けることも可能である。例えば、一態様では、低屈折率層の膜厚を薄くするほど特定波長域の光に対する反射率は低下し、高屈折率層の膜厚を厚くするほど上記反射率は高まる。この場合には、低屈折率層の膜厚を装用時下方に位置する部分おいて上方よりも厚くすることにより、または、高屈折率層の膜厚を装用時下方に位置する部分において上方よりも薄くすることにより、下方に位置する部分の反射率を、上方よりも高めることができる。また逆に、低屈折率層の膜厚を薄くするほど特定波長域の光に対する反射率が高まり、高屈折率層の膜厚を厚くするほど上記反射率が低下する態様については、上記と逆にすることにより、下方に位置する部分の反射率を、上方よりも高めることができる。
なお、多層膜を形成するための複数回の蒸着工程の中間工程において、遮蔽部材の配置および取り外しを行うことは、製造工程が煩雑になる。したがって、工程の簡略化の観点からは、遮蔽部材を配置して行う蒸着工程は、複数回の蒸着工程の最初の工程または最後の工程とすること、即ち多層膜の第一層または最上層を形成する工程とすることが、好ましい。
なお、多層膜を形成するための複数回の蒸着工程の中間工程において、遮蔽部材の配置および取り外しを行うことは、製造工程が煩雑になる。したがって、工程の簡略化の観点からは、遮蔽部材を配置して行う蒸着工程は、複数回の蒸着工程の最初の工程または最後の工程とすること、即ち多層膜の第一層または最上層を形成する工程とすることが、好ましい。
ところで、前述の通り眼鏡レンズ(レンズ基材)の形状は、中心部肉厚が周辺部肉厚より薄いマイナスレンズと、中心部肉厚が周辺部肉厚より厚いプラスレンズに大別される。本発明の眼鏡レンズにおいて、レンズ基材がマイナスレンズの場合の反射率勾配を有する被膜の配置の態様としては、前述の態様A、Bを挙げることができ、プラスレンズの場合には、態様C、Dを挙げることができる。以下、これら態様について、更に詳細に説明する。
態様A−1〜A−3にかかる眼鏡レンズはいずれも、物体側表面に、上方領域が低反射率領域となる反射率勾配を有する反射膜を有する眼鏡レンズである。本態様によれば、装用者の後方の上方から眼鏡レンズ眼球側表面に入射する光が、眼球側表面を透過し物体側表面で反射し戻り光として装用者の眼に入射する光の量を低減することができる。装用者の後方から入射する光は、照明光や太陽光などの多くの光の光源は上方にあるため、後方の上方から入射する光の量が多い。一方、マイナスレンズでは、そのレンズの形状により、装用者の後方の上方から入射する光の中で、眼鏡レンズ眼球側で反射した光は装用者の眼に入射しづらく、他方、眼鏡レンズ眼球側を透過し物体側表面に達した光は、物体側表面で反射し戻り光として装用者の眼に入射しやすい傾向がある。したがって、物体側表面の、装用者の後方の上方から入射した光を反射し戻り光をもたらす部分の反射率を低くした態様A−1〜A−3によれば、戻り光が装用者の眼に入射する量を低減することができる。なお態様A−1は、眼球側表面の反射膜においても、上方領域が低反射率領域である。上記理由から、装用者の後方の上方から入射した光が、眼球側表面で反射して装用者の眼に入射する光の量は多くはないが、多少の入射は起こり得る。態様A−1は、この眼球側表面で反射して装用者の眼に入射する光の量を低減することもできる点で、有利である。これに対し態様A−2は、眼球側表面の反射膜では、物体側表面の反射膜とは逆の反射率勾配を有するため、眼球側表面の反射膜では、下方領域が低反射率領域である。このようにレンズ両面の反射膜に異なる反射率勾配を持たせることにより、反射率勾配が存在することにより眼鏡レンズの外観や装用感が変化することを、両面の反射膜の反射率勾配の違いにより打ち消すことができる点で、態様A−2は有利である。一方、態様A−3では、眼球側表面の反射膜は、反射率勾配なしの被膜である。反射率勾配なしの被膜は、成膜が容易であるため、製造適性の観点から、態様A−3は有利である。態様A−3の眼球側表面の反射率は、眼球側表面で反射して装用者の眼に入射する戻り光の量を低減する観点からは低いことが好ましい。この点から、態様A−3において、眼球側表面の被膜の上記特定波長域の光に対する反射率は、物体側表面の低反射率領域の反射率と同じであるか、またはそれより低いことが好ましい。より詳しくは、眼球側表面の被膜の上記特定波長域における直入射平均反射率は、物体側表面の被膜の上方領域(低反射率領域)の該直入射平均反射率以下であることが、好ましい。
態様C(レンズ基材がプラスレンズ)は、少なくとも、レンズ基材の眼球側表面に、反射率勾配を有する被膜を有する態様であり、下記態様C−1〜C−3が含まれる。図4は、態様C−1〜C−3における反射膜の配置を示す模式図である。
<態様C−1>
眼球側表面に、特定波長域の光に対する反射率が、装用時に下方に位置する部分から上方に位置する部分に向かって連続的ないし段階的に減少する反射率勾配を有する被膜を有し、物体側表面には、上記光に対する反射率が、装用時に下方に位置する部分から上方に位置する部分に向かって、連続的ないし段階的に減少する反射率勾配を有する被膜を有する眼鏡レンズ。
<態様C−2>
眼球側表面に、特定波長域の光に対する反射率が、装用時に下方に位置する部分から上方に位置する部分に向かって連続的ないし段階的に減少する反射率勾配を有する被膜を有し、物体側表面には、上記光に対する反射率が、装用時に上方に位置する部分から下方に位置する部分に向かって、連続的ないし段階的に減少する反射率勾配を有する被膜を有する眼鏡レンズ。
<態様C−3>
眼球側表面に、特定波長域の光に対する反射率が、装用時に下方に位置する部分から上方に位置する部分に向かって連続的ないし段階的に減少する反射率勾配を有する被膜を有し、物体側表面には、反射率勾配なしの被膜を有する眼鏡レンズ。
<態様C−1>
眼球側表面に、特定波長域の光に対する反射率が、装用時に下方に位置する部分から上方に位置する部分に向かって連続的ないし段階的に減少する反射率勾配を有する被膜を有し、物体側表面には、上記光に対する反射率が、装用時に下方に位置する部分から上方に位置する部分に向かって、連続的ないし段階的に減少する反射率勾配を有する被膜を有する眼鏡レンズ。
<態様C−2>
眼球側表面に、特定波長域の光に対する反射率が、装用時に下方に位置する部分から上方に位置する部分に向かって連続的ないし段階的に減少する反射率勾配を有する被膜を有し、物体側表面には、上記光に対する反射率が、装用時に上方に位置する部分から下方に位置する部分に向かって、連続的ないし段階的に減少する反射率勾配を有する被膜を有する眼鏡レンズ。
<態様C−3>
眼球側表面に、特定波長域の光に対する反射率が、装用時に下方に位置する部分から上方に位置する部分に向かって連続的ないし段階的に減少する反射率勾配を有する被膜を有し、物体側表面には、反射率勾配なしの被膜を有する眼鏡レンズ。
態様C−1〜C−3にかかる眼鏡レンズはいずれも、眼球側表面に、上方領域が低反射率領域となる反射率勾配を有する反射膜を有する眼鏡レンズである。本態様によれば、装用者の後方の上方から眼鏡レンズ眼球側表面に入射する光が、眼球側表面で反射し装用者の眼に入射する光の量を低減することができる。プラスレンズでは、そのレンズの形状により、装用者の後方の上方から入射する光の中で、眼鏡レンズの眼球側表面で反射した光が装用者の眼に入射しやすく、他方、眼鏡レンズの物体側表面の戻り光は装用者の眼に入射しづらい傾向がある。したがって、眼球側表面の、装用者の後方の上方から入射した光を反射する部分の反射率を低くした態様C−1〜C−3によれば、反射光が装用者の眼に入射する量を低減することができる。なお態様C−1は、物体側表面の反射膜においても、上方領域が低反射率領域である。上記理由から、装用者の後方の上方から入射した光が、物体側表面で反射して戻り光として装用者の眼に入射する光の量は多くはないが、多少の入射は起こり得る。態様C−1は、この物体側表面で反射して装用者の眼に入射する光の量を低減することもできる点で、有利である。これに対し態様C−2は、物体側表面の反射膜では、眼球側表面の反射膜とは逆の反射率勾配を有するため、物体側表面の反射膜では、下方領域が低反射率領域である。このようにレンズ両面の反射膜に異なる反射率勾配を持たせることにより、反射率勾配が存在することにより眼鏡レンズの外観や装用感が変化することを、両面の反射膜の反射率勾配の違いにより打ち消すことができる点で、態様C−2は有利である。一方、態様C−3では、物体側表面の反射膜は、反射率勾配なしの被膜である。反射率勾配なしの被膜は、成膜が容易であるため、製造適性の観点から、態様C−3は有利である。態様C−3の物体側表面の反射率は、眼球側から入射した光が物体側表面で反射して装用者の眼に入射する戻り光の量を低減する観点からは低いことが好ましい。この点から、態様C−3において、眼球側表面の被膜の上記特定波長域の光に対する反射率は、眼球側表面の低反射率領域の反射率と同じであるか、またはそれより低いことが好ましい。より詳しくは、物体側表面の被膜の上記特定波長域における直入射平均反射率は、眼球側表面の被膜の上方領域(低反射率領域)の該直入射平均反射率以下であることが、好ましい。
一方、態様D(レンズ基材がプラスレンズ)は、レンズ基材の物体側表面のみに反射率勾配を有する被膜を有する態様であり、下記態様D−1、D−2が含まれる。図5は、態様D−1、D−2における反射膜の配置を示す模式図である。
<態様D−1>
物体側表面は、特定波長域の光に対する反射率が、装用時に下方に位置する部分から上方に位置する部分に向かって、連続的ないし段階的に減少する反射率勾配を有する被膜を有し、眼球側表面には、上記光を反射する性質を有する、反射率勾配なしの被膜を有する眼鏡レンズ。
<態様D−2>
物体側表面は、特定波長域の光に対する反射率が、装用時に上方に位置する部分から下方に位置する部分に向かって、連続的ないし段階的に減少する反射率勾配を有する被膜を有し、眼球側表面には、上記光を反射する性質を有する、反射率勾配なしの被膜を有する眼鏡レンズ。
<態様D−1>
物体側表面は、特定波長域の光に対する反射率が、装用時に下方に位置する部分から上方に位置する部分に向かって、連続的ないし段階的に減少する反射率勾配を有する被膜を有し、眼球側表面には、上記光を反射する性質を有する、反射率勾配なしの被膜を有する眼鏡レンズ。
<態様D−2>
物体側表面は、特定波長域の光に対する反射率が、装用時に上方に位置する部分から下方に位置する部分に向かって、連続的ないし段階的に減少する反射率勾配を有する被膜を有し、眼球側表面には、上記光を反射する性質を有する、反射率勾配なしの被膜を有する眼鏡レンズ。
態様D−1、D−2にかかる眼鏡レンズはいずれも、眼球側表面に、反射率勾配なしの被膜を有する眼鏡レンズであって、態様D−1では物体側表面の被膜の上方領域、態様D−2では物体側表面の被膜の下方領域が、低反射率領域である。上述のように、プラスレンズでは、装用者の後方の上方から入射した光が、眼球側表面の上方で反射し装用者の眼に入射することを防ぐことが好ましい。この点から、態様D−1、D−2にかかる眼鏡レンズの眼球側被膜の上記特定波長域の光に対する反射率は低いことが好ましい。この点から、態様D−1、D−2では、眼球側表面の被膜の上記特定波長域の光に対する反射率は、物体側表面の低反射率領域の反射率と同じであるか、またはそれより低いことが好ましい。より詳しくは、物体側表面の被膜は下方領域の上記特定波長域における直入射平均反射率が、該領域よりも上方に位置する上方領域の上記特定波長域における直入射平均反射率よりも大きいか、または小さく、眼球側表面の被膜の上記特定波長域における直入射平均反射率は、物体側表面の被膜の上方領域または下方領域の、前記直入射平均反射率が低い領域(低反射率領域)の該直入射平均反射率以下であることが、好ましい。
次に、上記前処理を施した物体側表面への多層膜の形成方法について説明する。
ここで形成した多層膜の構成(設計値)を、図8に示す。物体側表面(凸面)はマル1〜マル7、眼球側表面(凹面)はマル1の構成となっている。マル1〜3は装用時に上方領域、マル4は装用時にフィッティングポイントとなる位置、マル5〜7は装用時に下方領域に位置する箇所である。図8に示すように、第一層の高屈折率層は、装用時に上方に位置する部分から下方に位置する部分に向かって徐々に膜厚が増加している。
真空容器110の内部を十分に真空排気した後、電子ビーム真空蒸着法により、レンズサンプル10の物体側表面に高屈折率層および低屈折率層を交互に積層する蒸着工程を繰り返し、合計6層からなる多層膜を成膜した。低屈折率層であるSiO2層は、イオンアシストは行わずに形成した。具体的には電子ビームでの加熱条件は、電圧を6kV、電流を100mAとした。この際、真空容器(チャンバー)110内に、アルゴンガスを5sccmで導入した。一方、高屈折率層であるZrO2層は、イオンアシストを行って形成した(イオンアシスト蒸着)。具体的には電子ビームでの加熱条件は、電圧を6kV、電流を280mAとした。この際、イオンアシストとして、アルゴンガスと酸素ガスとの混合ガスを用い、イオン加速電圧を600V、イオンビーム電流を150mAとして、アルゴンと酸素の混合ビームを照射した。真空容器(チャンバー)110内へのガスの導入は行わなかった。
また、ここで第一層の高屈折率層(ZrO2層)の蒸着工程は、装用時にフィッティングポイントより上方に位置する領域となる遠用部領域の上方に、図1(a)に図示するようにメカニカルマスク(遮蔽部材)を配置して行った。遮蔽部材は、図示しないホルダーを用いて、レンズ上に空間を設けて配置した。このようにレンズ上に空間を設けて遮蔽部材を配置することにより、上方領域と下方領域の境界が目立たなくなり、また、連続的に膜厚が変化する蒸着膜を成膜することも可能となる。ここで使用したメカニカルマスクの概略平面図を、図7に示す。被蒸着面の上方領域と下方領域の境界に対向する部分の形状が直線ではなく櫛形であるため、直線である場合に比べて蒸着膜において上方領域と下方領域の境界は不鮮明になる。この点は、外観良好な眼鏡レンズを得る上で好ましい。同様の作用は、被蒸着面の上方領域と下方領域の境界に対向する部分の形状が、波形等の曲線を含む形状である遮蔽部材によっても得ることができる。
1層目のZrO2は、図8中の膜厚マル7−マル1=45.0nm−16.3nm=28.7nmの厚さ分のみ蒸着した。
その後、蒸着装置を一旦開放し、メカニカルマスクを取り外した。再度、真空引きを行い蒸着を再開する。1層目の残り16.3nmの厚さ分を蒸着し、その上に2層目以降の層を蒸着した。
こうして形成された多層膜の各層のフィッティングポイントを通る直線上の7点における膜厚は、図8のマル1からマル7に示す値となる。
ここで形成した多層膜の構成(設計値)を、図8に示す。物体側表面(凸面)はマル1〜マル7、眼球側表面(凹面)はマル1の構成となっている。マル1〜3は装用時に上方領域、マル4は装用時にフィッティングポイントとなる位置、マル5〜7は装用時に下方領域に位置する箇所である。図8に示すように、第一層の高屈折率層は、装用時に上方に位置する部分から下方に位置する部分に向かって徐々に膜厚が増加している。
真空容器110の内部を十分に真空排気した後、電子ビーム真空蒸着法により、レンズサンプル10の物体側表面に高屈折率層および低屈折率層を交互に積層する蒸着工程を繰り返し、合計6層からなる多層膜を成膜した。低屈折率層であるSiO2層は、イオンアシストは行わずに形成した。具体的には電子ビームでの加熱条件は、電圧を6kV、電流を100mAとした。この際、真空容器(チャンバー)110内に、アルゴンガスを5sccmで導入した。一方、高屈折率層であるZrO2層は、イオンアシストを行って形成した(イオンアシスト蒸着)。具体的には電子ビームでの加熱条件は、電圧を6kV、電流を280mAとした。この際、イオンアシストとして、アルゴンガスと酸素ガスとの混合ガスを用い、イオン加速電圧を600V、イオンビーム電流を150mAとして、アルゴンと酸素の混合ビームを照射した。真空容器(チャンバー)110内へのガスの導入は行わなかった。
また、ここで第一層の高屈折率層(ZrO2層)の蒸着工程は、装用時にフィッティングポイントより上方に位置する領域となる遠用部領域の上方に、図1(a)に図示するようにメカニカルマスク(遮蔽部材)を配置して行った。遮蔽部材は、図示しないホルダーを用いて、レンズ上に空間を設けて配置した。このようにレンズ上に空間を設けて遮蔽部材を配置することにより、上方領域と下方領域の境界が目立たなくなり、また、連続的に膜厚が変化する蒸着膜を成膜することも可能となる。ここで使用したメカニカルマスクの概略平面図を、図7に示す。被蒸着面の上方領域と下方領域の境界に対向する部分の形状が直線ではなく櫛形であるため、直線である場合に比べて蒸着膜において上方領域と下方領域の境界は不鮮明になる。この点は、外観良好な眼鏡レンズを得る上で好ましい。同様の作用は、被蒸着面の上方領域と下方領域の境界に対向する部分の形状が、波形等の曲線を含む形状である遮蔽部材によっても得ることができる。
1層目のZrO2は、図8中の膜厚マル7−マル1=45.0nm−16.3nm=28.7nmの厚さ分のみ蒸着した。
その後、蒸着装置を一旦開放し、メカニカルマスクを取り外した。再度、真空引きを行い蒸着を再開する。1層目の残り16.3nmの厚さ分を蒸着し、その上に2層目以降の層を蒸着した。
こうして形成された多層膜の各層のフィッティングポイントを通る直線上の7点における膜厚は、図8のマル1からマル7に示す値となる。
次に、眼球側表面に多層膜を形成したレンズサンプルを裏返して蒸着装置に設置し、上記と同様に物体側表面(凹面)に多層膜を成膜した。この工程では、メカニカルマスクは使用せず、全面に均一な膜厚の蒸着を行った。具体的には、図8中のマル1の構成で、第一層から第6層まで連続で蒸着を行った。
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