JPH07134201A - 反射防止性光学部品及びその製造方法 - Google Patents

反射防止性光学部品及びその製造方法

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JPH07134201A
JPH07134201A JP5279836A JP27983693A JPH07134201A JP H07134201 A JPH07134201 A JP H07134201A JP 5279836 A JP5279836 A JP 5279836A JP 27983693 A JP27983693 A JP 27983693A JP H07134201 A JPH07134201 A JP H07134201A
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refractive
low
antireflection
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Application number
JP5279836A
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English (en)
Inventor
Kiyoshi Kawabata
清 川畑
Kazuo Oguri
和雄 小栗
Naoyuki Ishii
直幸 石井
Yasuhiro Nakamura
康洋 中村
Yasunari Kizaki
康成 鬼崎
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Tokai Optical Co Ltd
Original Assignee
Tokai Optical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】反射防止膜と合成樹脂からなる基材との密着性
を良くし、かつ広範囲の波長帯域に亘って低反射率を得
て、反射像が映るゴースト・フレア現象を起きにくく
し、さらには経時変化による無数のしわ・くぼみ状の欠
陥の発生を極力防止する。 【構成】合成樹脂からなるレンズ基材L上に屈折率を有
する物質が薄膜にて複数層積層された反射防止性レンズ
である。基材L上の最下層に形成される酸化ケイ素(S
iO2 )からなる第1の低屈折層1を、酸化けい素の分
子間に隙間が生じるような密度に形成するとともに、そ
の第1の低屈折層1の光学的膜厚を0.025λ〜0.
075λ(λは設計波長)とした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は合成樹脂からなる基材上
に屈折率を持つ物質を薄膜にて複数層に亘って積層した
多層反射防止膜により、例えば可視領域等における反射
を防止するようにした反射防止性光学部品及びその製造
方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、例えば眼鏡レンズ等の光学部品に
おいて可視光領域での有効な反射防止効果を得るため
に、その表面に屈折率を持つ物質を薄膜にて複数層に亘
って積層して多層反射防止膜を形成することが広く行わ
れている。この多層反射防止膜の膜構成としては、3層
膜の場合、各層の膜厚をそれぞれ1/4λ(λ=設計波
長)としたり、第1層,第3層を1/4λ、第2層のみ
を1/2λとする構成が良く用いられている。そして、
光学部品の基材を合成樹脂とした場合の反射防止膜を構
成する物質としては、反射防止効果が十分に得られるよ
うな適当な屈折率を有するとともに、形成した膜の品質
(硬度・透明度)が得られるような物質を選択すること
が必要となる。
【0003】このような物質として、低屈折率層にはS
iO2 ,SiOx等の酸化ケイ素が用いられ、高屈折率
層にはZrO2 (酸化ジルコニウム),Ta2 5 (酸
化タンタル),TiO2 (酸化チタン)等が用いられて
いる。又、中屈折率層にはAl2 3 (酸化アルミニウ
ム),SiOx等あるいは低屈折率物質のSiO2 ,S
iOx等と、高屈折率物質のZrO2 ,Ta2 5 ,T
iO2 等とから構成された等価膜層が用いられている。
合成樹脂基材に反射防止膜を形成する場合には、基材と
の密着性の向上のため、特に基材上の第1層(最下層)
をSiO2 膜とすることにより接着層としての役割をも
たせるようにしている。このとき、SiO2 の膜厚は密
着性を得るために1/4λあるいは1/2λ程度必要と
なってくる。又、基材が合成樹脂(プラスチック)レン
ズである場合、耐擦傷性に弱くキズがつき易いため基材
上にハードコート層を設け、その上に反射防止膜を形成
するようにしている。このような場合にもハードコート
層上の第1層にSiO2 膜を設けて密着性を得るように
している。
【0004】反射防止膜を形成する方法としては、真空
中にて反射防止膜を構成する物質をEB(電子銃)で加
熱・溶融して基材上に積層していく真空蒸着法が良く行
われている。この真空蒸着法では合成樹脂レンズに反射
防止膜を形成したときに、密着不良によるしわ状の欠陥
が発生することがある。そこで、このしわ状の欠陥を解
消する方法として、基材上に反射防止膜を構成する物質
を加熱・溶融して積層していく際に、イオンビームを照
射しながら膜を形成するという方法も行われている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところが、第1層がS
iO2 膜である反射防止膜が施された合成樹脂レンズ等
の光学部品においては、基材との密着性の向上を図るこ
とができても、反射防止特性が悪くなるという問題があ
る。
【0006】この反射防止特性は反射率を測定すること
により示すことができるが、例えば合成樹脂レンズに反
射防止膜を形成したときの反射率は400nm〜750
nmの波長帯域で片面平均1〜2%程度である。このよ
うな反射率を示すのは、SiO2 の膜厚が1/4λある
いは1/2λ程度と比較的厚いので、膜厚の微妙な変化
に対して反射率変化が大きくなり、反射率が不安定とな
るためである。このため、反射防止膜が施された眼鏡レ
ンズのうち、特にその凹面に表面・裏面の反射像が映る
ゴースト・フレアという現象が起きて使用に際して若干
の支障がある。近年、さらに低反射の反射防止膜を施し
た合成樹脂レンズが求められているが、第1層のSiO
2 膜の膜厚が厚くなると、反射防止することが可能な波
長帯域が狭くなってしまい、それゆえ、多層反射防止膜
の膜厚設計の自由度が低くなるという問題もある。
【0007】更に、反射防止膜を施した合成樹脂レンズ
においては、経時変化により大気中の水分・熱等の影響
により、その表面に無数のしわ・くぼみ状の欠陥が発生
して外観上好ましくないという問題が発生する場合があ
る。
【0008】本発明は上記問題点を解決するためになさ
れたものであって、その目的は反射防止膜と合成樹脂か
らなる基材との密着性を良くし、かつ広範囲の波長帯域
に亘って低反射率を得ることができ、さらには経時変化
による無数のしわ・くぼみ状の欠陥の発生を極力防止す
ることができる反射防止性光学部品及びその製造方法を
提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に本発明は、合成樹脂からなる光学部品基材上に屈折率
を有する物質を薄膜にて複数層積層した反射防止性光学
部品であって、前記基材上の少なくとも最下層に形成さ
れる前記屈折率を有する物質からなる薄膜を、同屈折率
を有する物質の分子間に隙間が生じるような密度にする
とともに、その薄膜の光学的膜厚を0.025λ〜0.
075λ(λは設計波長)とした。この場合、前記屈折
率を有する物質を酸化ケイ素としてもよい。又、前記基
材上に積層される薄膜を5層から構成し、その基材上に
光学的膜厚が0.025λ〜0.075λ(λは設計波
長)である屈折率1.43〜1.47の第1の低屈折層
を形成し、前記第1の低屈折層上に光学的膜厚が0.0
75λ〜0.125λである屈折率1.80〜2.20
の第2の高屈折層を形成し、前記第2の高屈折層上に光
学的膜厚が0.025λ〜0.075λである屈折率
1.43〜1.47の第3の低屈折層を形成し、前記第
3の低屈折層に光学的膜厚が0.475λ〜0.525
λである屈折率1.80〜2.20の第4の高屈折層を
形成し、前記第4の高屈折層に光学的膜厚が0.225
λ〜0.275λである屈折率1.43〜1.47の第
5の低屈折層を形成してもよい。
【0010】又、請求項4に記載の製造方法では、屈折
率を有する物質を槽内において分子レベルで飛散させて
合成樹脂からなる光学部品基材上に薄膜を複数層積層す
るようにした反射防止性光学部品の製造方法において、
前記基材上に少なくとも最下層の薄膜を槽内の圧力が1
×10-4torr〜1×10-3torrの状態で、0.025λ
〜0.075λ(λは設計波長)の光学的膜厚に形成す
るようにした。この場合、前記少なくとも最下層の薄膜
形成工程を、酸素、窒素、アルゴン、空気、フロンから
選択される少なくとも1種のガス雰囲気中で行うように
してもよい。
【0011】
【作用】本発明によると、基材上の少なくとも最下層に
形成される薄膜を屈折率を有する物質の分子間に隙間が
生じるような密度にしたことにより、合成樹脂からなる
基材との密着性が良くなる。この理由としては、薄膜が
屈折率を有する物質の分子間に隙間が生じるような状態
にあると、基材の収縮又は膨張によりその基材に応力が
発生しても、前記薄膜がその応力を吸収して緩和する役
割を果たすものと考えられる。この結果、基材に対する
薄膜の追従性が向上して密着性が良くなる。又、経時変
化による無数のしわ・くぼみ状の欠陥は、大気中の水分
・熱等の影響により基材が収縮又は膨張して発生するも
のと考えられるが、前記と同様の理由から薄膜の応力吸
収作用によりその発生が極力防止される。
【0012】更に、少なくとも最下層の薄膜の光学的膜
厚を0.025λ〜0.075λとしたことにより、比
較的薄い膜厚となる。従って、例えば、薄膜を3層から
なる等価膜層として構成するときに、基材側から第1層
(最下層)を低屈折層、第2層を高屈折層、第3層を低
屈折層としてそれぞれ適切な膜厚とすることで、低反射
の反射防止膜が広範囲の波長帯域に亘って得られる。し
かも、膜厚が多少ずれても反射特性が変わらない安定し
た低反射の反射防止膜が得られる。光学的膜厚を0.0
25λ〜0.075λの範囲としたのは、その膜厚が
0.025λより薄いと反射防止のための適切な屈折率
を得ることができなくなり、0.075λより厚いと広
範囲の波長帯域に亘って低反射率が得られなくなるため
である。
【0013】又、屈折率を有する物質を酸化ケイ素とし
たことにより、特に合成樹脂からなる基材との密着性が
良く、低屈折層として用いることにより低反射の反射防
止膜が得られる。なお、例えば、最下層にSiO2 (酸
化ケイ素)膜を形成した場合の上層には、高屈折層とし
てZr O2 (酸化ジルコニウム)、Ta2 5 (酸化タ
ンタル)、TiO2 (酸化チタン)等が用いられる。
【0014】又、前記基材上に積層される薄膜を全5層
とし、第1の低屈折層(最下層)の光学的膜厚を0.0
25λ〜0.075λとしたことにより、密着性が良
く、より低反射の反射防止膜が得えられる。例えば、設
計波長を470〜600nmに設定したときには、40
0nm〜750nmの波長帯域での反射率が片面平均1
%以下となる。なお、本発明において光学部品基材は、
合成樹脂、表面にハードコートを施した合成樹脂等を用
いてもよい。又、光学部品としては眼鏡レンズ、カメラ
レンズ等の光学レンズ、反射防止フィルター等が挙げら
れる。
【0015】請求項4に記載の製造方法によると、合成
樹脂からなる基材上に少なくとも最下層の薄膜が圧力1
×10-4torr〜1×10-3torrの状態で、0.025λ
〜0.075λの光学的膜厚に形成される。この圧力下
では屈折率を有する物質が分子レベルで飛散したとき
に、その分子が基材上へ到達するまでの距離が長くなっ
て、基材上に屈折率を有する物質の分子間に隙間が生じ
るような密度の薄膜が形成される。そして、このように
形成された薄膜は基材との密着性が良くなり、経時変化
によるしわ・くぼみ状の欠陥の発生が極力防止されると
ともに、広範囲の波長帯域に亘って低反射率が得られ
る。薄膜形成時の圧力を1×10-4torr〜1×10-3to
rrとしたのは、その圧力が1×10-4torrよりも低圧で
あると分子間が密になって良好な密着性あるいはしわ・
くぼみ状の欠陥の発生防止効果を発揮することができな
くなり、1×10-3torrよりも高圧であると薄膜形成に
支障をきたすためである。なお、屈折率を有する物質の
分子レベルでの飛散は、真空蒸着方法、スパッタリング
法、イオンプレーティング法等の種々の方法により行っ
てもよい。
【0016】又、少なくとも最下層の薄膜形成工程が、
酸素、窒素、アルゴン、空気、フロンから選択される少
なくとも1種のガス雰囲気中で行われるようにすると、
ガスが飛散分子の進路を妨げるので前記と同様の密度の
薄膜が形成される。ガスを導入する場合、物質の加熱量
を通常よりも多くして薄膜を形成するようにしてもよ
い。このようにするとガスを導入しない場合とほぼ同じ
時間で薄膜が形成される。又、ガスの導入は最下層の薄
膜形成工程に限らず他の上層の薄膜形成工程で行っても
よい。
【0017】
【実施例】以下、本発明を実施例及び比較例により説明
する。 (実施例1)ウレタン系の合成樹脂レンズを連続式3槽
自動蒸着機の蒸着槽内に配置して排気する。第2槽へ移
動後、第2の槽内を130℃まで加熱した状態で真空圧
を1×10-3torrにAr(アルゴン)ガスを導入して調
整し、SiO2 (酸化ケイ素)を加熱・溶融して、レン
ズ基材L上に光学的膜厚が0.055λ(設計波長λは
470nm)で屈折率1.45の第1の低屈折層1を形
成した(図1)。次いで、第1の低屈折層1上に真空圧
1×10-5torrの状態でZrO2 (酸化ジルコニウム)
を加熱・溶融して光学的膜厚が0.098λで屈折率
2.00の第2の高屈折層2を形成した(図1)。更
に、第2の高屈折層2上に同じ真空圧でSiO2 を加熱
・溶融して光学的膜厚が0.05λで屈折率1.45の
第3の低屈折層3を形成した(図1)。次に、第3の低
屈折層3上にZrO2 を加熱・溶融して光学的膜厚が
0.5λで屈折率2.00の第4の高屈折層4を形成し
た(図1)。次いで、第4の高屈折層4上に同じ真空圧
でSiO2 を加熱・溶融して光学的膜厚が0.258λ
で屈折率1.45の第5の低屈折層5を形成した(図
1)。そして、全5層からなる反射防止膜Bを得た。
【0018】このようにして反射防止膜が形成された合
成樹脂レンズの片面の反射率特性(分光曲線)を測定し
た。測定結果を図2に示す。図2に示すように、400
nm〜750nmの波長帯域での反射率が片面平均1%
以下で、広範囲の波長帯域に亘って低反射率となってい
る。又、設計波長λが470nm付近の反射率ピークが
0.7%となっており、低反射率となっている。
【0019】又、反射防止膜が形成された合成樹脂レン
ズ30枚のサンプルについて、蒸着後1時間以上水中に
浸漬した後、超高圧水銀灯にて合成樹脂レンズのしわ・
くぼみ状欠陥の発生有無を目視にて確認した。サンプル
30枚のうち1枚でもしわ状欠陥を確認した場合、「発
生有」、レンズの一部分にしわ状欠陥を確認した場合、
「若干有」とする。このテスト結果を表1に示す。表1
に示すように、しわ・くぼみ状の欠陥は1枚も発生しな
かった。
【0020】更に、反射防止膜が形成された合成樹脂レ
ンズ30枚のサンプルについて、密着性試験を行った。
試験はカッターナイフで試料に1mm方眼を1cm2
内に100個形成した後、セロテープを全ての方眼上に
貼付けて引き剥がし、これを5回行ったのち、反射防止
膜の残っている部分を数えて、100/100であれば
「良」とする。このテスト結果を表1に示す。表1に示
すように、膜はがれは全くなかった。
【0021】(実施例2,3)実施例1と同様の方法
で、実施例2ではSiO2 からなる第1の低屈折層を光
学的膜厚が0.075λ(設計波長λは470nm)と
なるように形成した。このようにして反射防止膜が形成
された合成樹脂レンズの反射率特性を図3の破線にて示
す(実線は実施例1の反射率特性である)。図3に示す
ように、第1の低屈折層の膜厚が微妙に変化しても光学
的膜厚が0.025λ〜0.075λの範囲内であれ
ば、広範囲の波長帯域に亘って低反射率となり、反射率
特性及び干渉色(緑)が安定した反射防止膜が得られ
る。
【0022】又、実施例3ではSiO2 からなる第3の
低屈折層を光学的膜厚が0.075λとなるように形成
した。このときの反射率特性を図4の破線にて示す(実
線は実施例1の反射率特性である)。図4に示すよう
に、第1の低屈折層以外の膜厚が変化しても広範囲の波
長帯域に亘って低反射率となり、同様に反射率特性及び
干渉色が安定した反射防止膜が得られる。
【0023】実施例2,3にて得られた合成樹脂レンズ
30枚のサンプルについて、同様にしわ・くぼみ状欠陥
の確認と密着性試験を行った。このテスト結果を表1に
示す。表1に示すように、しわ・くぼみ状の欠陥は1枚
も発生せず、膜はがれは全くなかった。
【0024】(実施例4〜8)実施例4ではウレタン系
の合成樹脂レンズの表面にシリコーン系のハードコート
をディッピングにより塗布したものを基材として、実施
例1と同様の方法で反射防止膜を形成した。実施例5で
は第1の低屈折層を真空圧が5×10-4torrの状態で形
成した。実施例6では第1の低屈折層を真空圧が1×1
-4torrの状態で形成した。実施例7では第1の低屈折
層を真空圧が5×10-5torrの状態で形成した。実施例
8では第1の低屈折層を真空圧が1×10-5torrの状態
で形成した。これら実施例4〜8の反射率特性における
ピーク値、しわ・くぼみ状欠陥の確認と密着性試験の結
果を表1に示す。表1に示すように、反射率ピークは全
て0.7%で低反射率となっている。又、膜はがれもな
くハードコートを施したレンズに対する密着性は良好で
あった。しわ状欠陥については、実施例7,8のレンズ
について一部分に確認された。
【0025】(実施例9,10)実施例9ではハードコ
ートが塗布されたウレタン系の合成樹脂レンズに、第1
の低屈折層を真空圧が1×10-4torrの状態で、蒸着槽
内にO2 (酸素)ガスを導入して形成し、第2の高屈折
層の形成時にもO2 ガスを導入した。実施例10ではハ
ードコート付きレンズの第1の低屈折層の形成時のみ
に、真空圧が5×10-4torrの状態で、蒸着槽内にO2
ガスを導入した。これら実施例9,10の反射率特性に
おけるピーク値、しわ・くぼみ状欠陥の確認と密着性試
験の結果を表1に示す。表1に示すように、反射率ピー
クは0.7%で低反射率となっており、膜はがれもな
く、しわ状欠陥についても確認されなかった。
【0026】(実施例11,12)実施例11では実施
例9と同様の方法で第1の低屈折層及び第2の高屈折層
の形成時に、Ar(アルゴン)ガスを導入した。実施例
12では実施例10と同様の方法で第1の低屈折層の形
成時に、Arガスを導入した。これら実施例11,12
の反射率特性におけるピーク値、しわ・くぼみ状欠陥の
確認と密着性試験の結果を表1に示す。表1に示すよう
に、反射率ピークは0.7%で低反射率となっており、
膜はがれもなく、しわ状欠陥についても確認されなかっ
た。
【0027】(比較例1,2)実施例1と同様の方法
で、比較例1ではSiO2 からなる第1の低屈折層を光
学的膜厚が0.25λ(設計波長λは470nm)とな
るように形成した。このようにして反射防止膜が形成さ
れた合成樹脂レンズの反射率特性を図4に示す。図2に
示すように、第1の低屈折層の膜厚を厚くすると、反射
率が高くなり、広範囲の波長帯域に亘って低反射率が得
られなくなる。
【0028】又、比較例2ではSiO2 からなる第3の
低屈折層を光学的膜厚が0.275λとなるように形成
した。このときの反射率特性を図6の破線にて示す(実
線は比較例1の反射率特性である。)。図6に示すよう
に、比較例2と同様に広範囲の波長帯域に亘って低反射
率が得られなくなる。
【0029】(比較例3〜5)実施例4〜8と同様に、
比較例3では第1の低屈折層を真空圧が5×10-6torr
の状態で形成した。比較例4では第1の低屈折層を真空
圧が1×10-6torrの状態で形成した。比較例5では第
1の低屈折層を真空圧が5×10-7torrの状態で形成し
た。これら比較例3〜5の反射率特性におけるピーク
値、しわ・くぼみ状欠陥の確認と密着性試験の結果を表
1に示す。表1に示すように、反射率ピークは全て0.
7%で低反射率となっており、膜はがれもなかった。し
かしながら、真空圧を低くしたことによりしわ状欠陥の
発生が確認された。
【0030】(比較例6,7)比較例6ではハードコー
トが塗布されたウレタン系の合成樹脂レンズに、第1の
低屈折層を真空圧が1×10-6torrの状態で、イオンア
シストによりSiO2膜を形成した。比較例10では第
2の高屈折層を真空圧が1×10-6torrの状態で、イオ
ンアシストによりZrO2 膜を形成した。これら比較例
6,7の反射率特性におけるピーク値、しわ・くぼみ状
欠陥の確認と密着性試験の結果を表1に示す。表1に示
すように、反射率ピークは全て0.7%で低反射率とな
っており、膜はがれもなかった。しかしながら、真空圧
を低くし、かつイオンアシストを行ったことによりしわ
状欠陥の発生が確認された。
【0031】
【表1】
【0032】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明によれば、
反射防止膜と合成樹脂からなる基材との密着性を良く
し、かつ広範囲の波長帯域に亘って低反射率を得ること
ができ、それゆえ、反射像が映るゴースト・フレア現象
が起きにくくなり、さらには経時変化による無数のしわ
・くぼみ状の欠陥の発生を極力防止することができると
いう優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1における反射防止膜が形成さ
れた合成樹脂レンズを示す一部拡大断面図である。
【図2】本発明の実施例1における反射防止膜が形成さ
れた合成樹脂レンズの反射率特性を示す図である。
【図3】実施例1,2における反射防止膜が形成された
合成樹脂レンズの反射率特性を示す図である。
【図4】実施例1,3における反射防止膜が形成された
合成樹脂レンズの反射率特性を示す図である。
【図5】比較例1における反射防止膜が形成された合成
樹脂レンズの反射率特性を示す図である。
【図6】比較例1,2における反射防止膜が形成された
合成樹脂レンズの反射率特性を示す図である。
【符号の説明】
1…第1の低屈折層、2…第2の高屈折層2、3…第3
の低屈折層、4…第4の高屈折層、5…第5の低屈折層
5、L…レンズ基材、B…反射防止膜。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 中村 康洋 愛知県岡崎市恵田町字下田5番地26号 東 海光学株式会社内 (72)発明者 鬼崎 康成 愛知県岡崎市恵田町字下田5番地26号 東 海光学株式会社内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 合成樹脂からなる光学部品基材上に屈折
    率を有する物質を薄膜にて複数層積層した反射防止性光
    学部品であって、 前記基材上の少なくとも最下層に形成される前記屈折率
    を有する物質からなる薄膜を、同屈折率を有する物質の
    分子間に隙間が生じるような密度に形成するとともに、
    その薄膜の光学的膜厚を0.025λ〜0.075λ
    (λは設計波長)としたことを特徴とする反射防止性光
    学部品。
  2. 【請求項2】 前記屈折率を有する物質は酸化ケイ素で
    あることを特徴とする請求項1に記載の反射防止性光学
    部品。
  3. 【請求項3】 前記基材上に積層される薄膜を5層から
    構成し、その基材上に光学的膜厚が0.025λ〜0.
    075λ(λは設計波長)である屈折率1.43〜1.
    47の第1の低屈折層を形成し、 前記第1の低屈折層上に光学的膜厚が0.075λ〜
    0.125λである屈折率1.80〜2.20の第2の
    高屈折層を形成し、 前記第2の高屈折層上に光学的膜厚が0.025λ〜
    0.075λである屈折率1.43〜1.47の第3の
    低屈折層を形成し、 前記第3の低屈折層に光学的膜厚が0.475λ〜0.
    525λである屈折率1.80〜2.20の第4の高屈
    折層を形成し、 前記第4の高屈折層に光学的膜厚が0.225λ〜0.
    275λである屈折率1.43〜1.47の第5の低屈
    折層を形成したことを特徴とする請求項1又は2に記載
    の反射防止性光学部品。
  4. 【請求項4】 屈折率を有する物質を槽内において分子
    レベルで飛散させて合成樹脂からなる光学部品基材上に
    薄膜を複数層積層するようにした反射防止性光学部品の
    製造方法において、 前記基材上に少なくとも最下層の薄膜を槽内の圧力が1
    ×10-4torr〜1×10-3torrの状態で、0.025λ
    〜0.075λ(λは設計波長)の光学的膜厚に形成す
    るようにしたことを特徴とする反射防止性光学部品の製
    造方法。
  5. 【請求項5】 前記少なくとも最下層の薄膜形成工程
    は、酸素、窒素、アルゴン、空気、フロンから選択され
    る少なくとも1種のガス雰囲気中で行われることを特徴
    とする請求項4に記載の反射性光学部品の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN107643554A (zh) * 2017-11-01 2018-01-30 舜宇光学(中山)有限公司 减反膜镜片及其制备方法

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