JP2015044230A - レーザ切断方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】所定のスポット径で照射するレーザ光を、被切断材の切断予定線に沿って走査させて、走査方向に延びる切断溝を形成し、該切断溝上で、この走査を複数回繰返すことで被切断材を切断するレーザ切断方法で、切断時間の短縮と、平滑度の高い切断面を得る。
【解決手段】被切断材100における切断予定線に沿って、スポット径Sの範囲内で、ずらして複数の走査用仮想線L1,L2を設定しておく。スポット径の中心が走査用仮想線L1,L2を通るレーザ光の走査を、各走査用仮想線L1,L2について交互に行い、走査方向に延びる切断溝111,112を形成する。この交互に行う一巡の走査の行程を、複数回繰返すことで被切断材100を切断する。一方の切断溝の走査過程で、他方の切断溝の切断面寄りの溝壁面の冷却を交互に行わせることができるので、溶融過多が防止されるため、切断時間の長時間化を招かず、平滑度の高い切断面を得られる。
【選択図】 図2

Description

本発明は、金属材等の被切断材をレーザ加工により切断するレーザ切断方法に関する。
CO2レーザやYAGレーザを用いる、例えば、金属材のレーザ切断(レーザカット)においては、集光したレーザ光を所定のスポット径(集光径)で金属材に照射し、その照射を、金属材の切断予定線に沿って所定の速度で走査(移動)させ、照射による発熱によって溶融、蒸発する金属をアシストガスで飛散させ(吹き飛ばし)ながら、その切断が行われる。このようなレーザ切断においては、照射スポット径と略同一の幅で切断できるために精度の高い切断が得られるし、レーザ出力を増大することにより切断速度も容易に高めることができる。一方、レーザ出力を高めて、例えば1回の走査で切断する場合には、パルスレーザで切断する場合でも、切断部は相対的に入熱過大(熱の集中)による溶融過多となり易いので、切断面に溶損が発生しやすく、平滑度(平滑性ないし面粗度)の高い切断面は得られ難い。このため、平滑度の高い高精度の切断面を得るには、レーザ出力を小さく設定して走査させることによって、被切断材(ワーク)の表面に走査方向に延びる切断溝を形成し、この切断溝上での走査を複数回、繰り返すことで、その切断を行うという方法が採られることがある(例えば、特許文献1(図4)、特許文献2(第2頁)参照、)。このような場合において、例えば、被切断材が貴金属材であるときは、蒸発、吹き飛ばしによる材料消失量(材料ロス)を減らしたいため、できるだけレーザ出力を小さくし、かつ、照射スポット径を小さくして切断幅(切断溝幅)を小さくしたい。特に、被切断材が貴金属材の小物(例えば、φ1mm程度又はそれ以下の細い線材)であるような場合には、十μm〜十数μm程度以下といった極めて小さい切断幅で切断したいという強い要請がある。このため、このような切断では、1回の走査により得られる切断溝の深さも、例えば数μm単位と小さくなる。したがって、このような切断では、被切断材の厚み(又は太さ)が1mmとすると、走査回数は百回程度、或いは数百回となることがあり、必然的に、切断完了までに長時間を要する。
ところで、例えば、線材を、レーザ光の照射によるその照射スポットの複数回の走査の繰り返しで切断する場合において、切断効率ないし切断速度を高めたい場合には、その走査を、往路と復路の繰返しとし、かつ、停止時間を設けることなく連続してその走査を繰返し行うことになる。しかし、このような走査の繰り返しを行うとすると、パルスレーザによる場合でさえも、直前の走査において形成された切断溝(表面)に残存するレーザ光の入熱による熱エネルギの放熱、冷却が行われていない段階で、次に続く走査による熱エネルギの付与が行われることになる。このため、往路行程及び復路行程における走査の終端で、その走査による放熱、冷却をまって(時間待ちして)、次の走査に入る場合に比べると、レーザ光の照射による入熱が過大となりがちとなる。結果として、切断途中の切断溝における溶融が過多となりやすく、最終的な切断面の平滑度の低下を招きやすい。このように、従来のレーザ切断方法におけるように、走査を多数回繰り返して、次第にその切断溝の深さを深くしていき、最終的に切断する、ということで得られる切断面は、平滑度(面粗度)が低下しがちであり、切断面の周縁にはバリやスパッタが発生しやすい。また、その切断裏面側の周縁には溶融物(溶融金属の固化塊)の付着が発生するという問題もあった。そして、この問題は、走査行程が小さい(切断予定線が短い)例えば細い線材の切断において顕在化しやすい。
特開2012−11409号公報 特開2002−103067号公報
このような問題は、上記したことからも明らかであるが、直前のレーザ光の走査により形成された切断溝に残存する熱エネルギが吸収され、或いは、その放熱により冷却が行われるようにしてから、次の走査を行うことで改善できる。例えば、往路行程と復路行程の走査の繰り返しによって多数回のレーザ光の走査を行う場合には、その各行程の終端で、アイドルタイム(停止時間)を設けて、直前の熱エネルギーの放熱、冷却を行わせてから、次の走査を行うというものである。しかしながら、このようにすると、アイドルタイムが、例えば、0.1秒であるとしても、切断までに百回の走査を要する場合には、その1切断に10秒のロスタイムが発生する。これにより、切断加工時間の長時間化、ひいては加工コストの増大を招いてしまうという問題があり、多量の切断加工には適さないといえる。しかも、このような問題は、特に、細い線材を切断する場合のように、1回の走査時間に対し、アイドルタイムが相対的に長くなる場合には大きな問題となる。しかも、高精度の平滑度の切断面となるように、多数回の走査を要する場合ほど、その影響は大きい。
このような場合、切断効率ないし切断速度を高める(加工時間短縮化)ため、レーザ出力を大きくして、比較的粗い切断面として切断し、後処理で、例えば、切断面(切断端面)を研削、又は研磨することで、最終的に平滑度の高い切断面にする、ということも考えられる。しかし、レーザ出力を大きくして切断する場合には、後処理の必要性に止まらず、上記もしたように、金属の溶融、蒸発(切断幅、切断溝幅)による問題(材料ロス)が大きい。したがって、特に、貴金属の小物の切断加工に、このような手法を採用するとなると、トータルとしてみると、大きなコストアップを招いてしまうことになる。
本発明は、レーザ切断(加工)において、複数回の走査で切断する場合に、冷却のためのアイドルタイムの設定に起因するような切断加工時間の長時間化を招くことなく、しかも、平滑度の高い綺麗な切断面が得られるレーザ切断方法を提供することをその目的とする。
請求項1に記載の本発明は、所定のスポット径で照射するレーザ光を、被切断材の切断予定線に沿って走査させることによって、被切断材の表面に、その走査方向に延びる切断溝を形成し、該切断溝上において前記走査を複数回繰返すことで被切断材を切断するレーザ切断方法において、
被切断材における前記切断予定線に沿って、前記スポット径の範囲内において、ずらして複数の走査用仮想線を設定しておき、
前記スポット径の中心が該走査用仮想線を通るレーザ光の走査を、複数の各走査用仮想線について順繰りに行うことによって、その各走査用仮想線において走査方向に延びる切断溝を形成し、この順繰りに行う一巡の走査の行程を、複数回繰返すレーザ加工工程を含めることで被切断材を切断することを特徴とする。
請求項2に記載の本発明は、前記複数の走査用仮想線は、前記スポット径の10%〜90%の範囲内において、ずらして設定されていることを特徴とする請求項1に記載のレーザ切断方法である。
請求項3に記載の本発明は、前記走査用仮想線は、その数が2であり、互いに平行に又は等間隔で延びているものであることを特徴とする請求項1又は2のいずれか1項に記載のレーザ切断方法である。
請求項4に記載の本発明は、前記レーザ光の一巡の走査の行程を、2つの前記走査用仮想線のうち、一方を往路行程とし、他方を復路行程とし、前記ずらし分の移動を含めて周回状のものとしたことを特徴とする請求項3に記載のレーザ切断方法である。
請求項5に記載の発明は、前記被切断材は貴金属製の線材である請求項1〜4のいずれか1項に記載のレーザ切断方法である。
本発明のレーザ切断方法では、上記した構成に基づき、例えば、走査用仮想線を2つ設定するとしたとき、その2つの走査用仮想線について、スポット径の中心が順繰りに(交互に)通るレーザ光の走査(一巡の走査)を行った後では、各走査用仮想線上において延びる形で、2つの切断溝が、少なくとも一部が重なる形をなし、被切断材の表面において凹状をなすように形成される。そして、その後の一巡の走査の複数回の繰返しにより、その各切断溝は溝深さが次第に深くなり、最終的に切断に至る。ところで、このようなレーザ光の一巡の走査の繰返しの過程において、一方の切断溝を深くするレーザ光の走査が行われているときは、他方の切断溝側の、切断面となる側寄りの溝壁面(切断溝の重なり状態によっては溝底を含む溝壁面)にはレーザ光は照射されない。したがって、その一方の切断溝における走査行程中は、その他方の切断溝のうち、切断面となる側寄りの溝壁面には、前回のレーザ光の照射により残存する熱エネルギーの放熱のための時間が付与されることになる。よって、一方の切断溝における走査行程中は、その時間が付与された当該溝壁面については放熱、冷却が行われることになる。そして、一巡の走査の繰返しの過程においては、交互の走査が行われるのであるから、次に行われる、この他方の切断溝上においてレーザ光の走査が行われるときは、その放熱、冷却の後の走査となるから、その走査において、その切断面をなす側寄り部位の溝壁面における入熱過大による溶融過多が防止される。
このように、本発明によれば、例えば2つの切断溝について、レーザ光の走査が交互に、繰返し行われる。よって、その走査が繰返し行われる間、次に、切断溝上においてレーザ光の走査が行われるときは、その前に、切断溝上においてレーザ光の走査が行われることで要した時間が、放熱、冷却の時間として与えられることになる。これにより、当該切断溝上においてレーザ光の走査が行われるときは、常に、与えられた所定の時間における放熱、冷却の後の走査となるので、その走査が行われている切断溝のうち、切断面をなす側寄り部位の溝壁面における入熱過大による溶融過多が防止される。このため、最終的に切断されるときにおいて、各切断溝のうち、それぞれ切断面をなす側寄り部位の溝壁面であった、対向する両切断面には、溶損の発生が防止される。これにより、切断面には高い平滑度が得られる。
すなわち、従来のように、1つの同じ切断溝の上を、最終的に切断されるまで、連続して繰返し走査する場合には、直前のレーザ光の走査による熱エネルギーが、放熱、冷却されること無く残存している切断溝(表面)の上を、同じスポット径で照射するレーザ光を繰返し走査することになる。このため、入熱過大となり、溶融過多を発生させがちとなり、最終的な切断面の平滑度の低下を招き易いという問題があった。これに対して本発明では、上記したように、同一切断溝を続けて走査することにはならないので、例えば、2つの走査用仮想線とする場合には、1回の走査時間が自動的に、走査していない他方の切断溝のうちの、切断面をなす側の溝壁面に残存している熱エネルギーの放出(冷却)のための冷却時間となる。よって、こうした問題の発生を防止する効果が得られる。
一方、従来の切断方法のように、同一の切断溝上を繰り返し走査する場合において、放熱、冷却の時間を得るためには、例えば、レーザ光の走査を、往路行程と復路行程の繰返しで行う場合、各行程の終端(終点)で、走査を停止して所定の停止時間を設ける必要があることから切断の長時間化を招く。これに対し、本発明によれば、往路行程と復路行程の走査を、このような停止時間を設けることなく連続して繰返し行うとしても、異なる(ずれた)位置にある切断溝上において、その走査を行うことになることから、走査を行っていない他方の切断溝における切断面をなす側の溝壁面に残存している熱エネルギーの放出(冷却)のための冷却時間を自動的に確保することができる。よって、停止時間を設けることなく冷却時間を確保しながら、連続してその走査を繰り返すことができるため、長時間化を招くこともなく、平滑度の高い切断面の切断が得られる。なお、本発明では、3つ以上の走査用仮想線について、スポット径の中心が順繰りに通るようにレーザ光の走査を行って、この順繰りに行う一巡の走査の工程を繰り返して被切断材を切断するようにしてもよい。
前記複数の走査用仮想線は、請求項2に記載のように、前記スポット径の10%〜90%の範囲内において、ずらして(異ならせて)設定するのがよいといえるが、高い放熱、冷却効果を得たいのであれば、スポット径(切断溝)の重なりを小さくする(スポットの中心間隔を大きくする)方がよい。なお、上記したように、走査用仮想線の数の制限は無く、したがって、3以上の走査をなすものとしてもよいが、請求項3に記載のように、2とするのが走査回数も少なく、切断効率が高められる。なお、走査用仮想線の数を3以上とするとしても、切断後においては、切断面を挟んで2部材となり、その各部材が切断面を有することに変わりはない。このため、切断前における切断溝のうち、その切断面をなす側寄り部位の2つの切断溝についてみれば、上記したのと同様の作用、効果が得られることは明らかである。なお、前記走査用仮想線の数を2とする場合には、請求項3に記載の本発明のように、切断予定線が直線の場合には、互いに平行に設定するのがよく、直線でなければ、等間隔で延びるものとするのがよい。
なお、例えば、走査用仮想線の数を2とし、スポット径(切断溝)の重なりを小さくする(スポットの中心間隔を大きくする)と、切断溝全体の幅がその分大きくなる。また切断溝の重なりが減る分、切断溝全体の深さが浅くなるために切断までの走査回数の増加を招く。一方、走査用仮想線の数を2とし、スポット径の重なりを大きくすれば、これと逆のこととなる。したがって、その重なりは、これらを考慮し、要求される切断面の平滑度、被切断材の材質、切断面箇所の大きさ等の諸条件から、レーザ出力等のレーザ切断のための適切条件を見つけ出すこととすればよい。
また、走査用仮想線の数を2とする場合には、請求項4に記載のように、前記レーザ光の一巡の走査の行程を、2つの前記走査用仮想線のうち、一方を往路行程とし、他方を復路行程とし、前記ずらし分の移動を含めて周回状のものとするのがよい。というのは、走査方向(進行方向)を同じにして、2つの走査(一巡の走査)としてもよいが、このようにする場合には、走査の進行終端から進行始端に戻す行程がロスタイムとなるためである。すなわち、請求項4に記載のように、周回状にレーザを走査させる場合には、このようなロスタイムをなくすことができるので、切断効率が高められるため好ましいといえる。
なお、切断後の一方の部材が製品で、他方の部材が製品でなく残材(例えば、切り屑、又は端材)として処理(又は再生処理)されるものであるような場合ににおいては、平滑度の高い切断面が要求されるのは、製品となる側の切断面だけである。したがって、このような場合には、製品側の切断面に直接影響するレーザ光の走査と、これに直接影響しない残材の切断面側寄り部位に照射、走査されるレーザ光は、同じ条件でなくともよい。また、例えば、残材の切断面側寄り部位に照射されるレーザ光も走査は、切断予定線が直線であるとしても、直線でなくともよく、したがって、例えば、ジグザクでもよい。
本発明が適用できるレーザ切断方法は、上記したことからも明らかであるが、被切断材を直線に切断する場合に限定されるものではない。平板に円形孔をあけるため、又は平板から円形板を得るために、円形に切断する穴あけ加工においても本発明は適用できる。また、任意の曲線状に切断する場合や、直線と曲線が連なる任意の切断予定線で切断する場合であってもよい。また、これら一次元的な切断や二次元的な切断(切断予定線)に限られず、三次元的な切断にも適用できる。これより明らかなように、本願において、切断面について平滑度(平滑性)というのは、切断線が曲線の場合には、これを直線にした場合の切断面の平滑度の意味である。また、本発明の切断方法が適用できる切断材は金属に限定されものではなく、広くレーザ切断の対象とされ得る素材に適用できるが、特に貴金属の切断には好適である。貴金属は、それ自身の高コスト性より、蒸発等により消失することになる切断幅の最小化が要求され、このためには切断面の平滑度も高度に要求されるところ、本発明ではその要求に、切断の長時間化を招くことなく応じられるためである。
本発明のレーザ切断方法を具体化した実施形態を説明する、レーザ光の入射側から見た被切断材の切断箇所において設定した2つの走査用仮想線を説明する模式図。 図1において、スポット径の中心が、2つの走査用仮想線を通るレーザ光の走査を説明する模式図。 図2において、2つの走査用仮想線を通るレーザ光の走査により、切断溝が形成され、切断に至るまでの繰返し走査の過程を説明する、矢印X1方向から見た模式図。 図3のレーザ加工工程中、一方の切断溝の走査において他方の切断溝の切断面寄り部位の溝壁面の状態を説明する模式図。
本発明に係るレーザ切断方法を具体化した実施の形態例について、切断状態(レーザ加工工程)を説明する模式図(図1〜図4)を参照しながら詳細に説明する。図1に示したように、本例では、被切断材100における切断箇所を平面視したとき、その表面103に所定の間隔(ずらし量)K1で、平行な2本の走査用仮想線(直線)L1,L2が切断予定線(図示せず)を挟んで、ずらして設けられている。ただし、この間隔K1は、照射するレーザ(パルスレーザ)のスポット径(円の直径)の半分とされている。本例では、図2に示したように、この2本の走査用仮想線L1,L2のうち、図1の上方の走査用仮想線L1の上を、スポット径(図2中に示したパルスを想定した多数の円)Sの中心が通るようにして、その左端から右端に向けて、レーザ光を所定の速度で走査させる。続いて、図2に示したように、図1の下方の走査用仮想線L2の上を、スポット径Sの中心が通るようにして、その右端から左端に向けて、同レーザ光を所定の速度で走査させる。なお、この走査の行程(軌跡)は、走査用仮想線L1,L2の全長を確実に走査するように、走査の開始端、及び終端位置は、ともに被切断材100の外側に位置するように設定されている。また、本例では、2つの走査用仮想線L1、L2の相互の間隔(ずらし幅)K1分の移動行程を含む、矩形周回状(図2において右周り)にレーザ光を走査することで、2つの走査用仮想線L1,L2について、その走査を順繰りに(交互に)行うものとしている。すなわち、この矩形周回状の1行程を、レーザ光の一巡の走査の行程として、各切断線予定線L1、L2に沿って切断溝を形成し、このレーザ加工工程を複数回連続して繰返すこととしている。
図3に基づいてこのレーザ加工工程を説明する。本例では、図3のA−Dに示したように、被切断材100の表面103において、2つの切断線予定線(走査方向)L1,L2に沿って、交互にレーザ光Laを照射し、走査することにより、2つの切断溝111、112が形成される。このように形成される切断溝は、照射されるレーザ光Laのスポット径(直径)Sの約1/2の幅において重複した状態となる。そして、この各切断溝111,112の被切断材100の表面103からの深さは、図3のA−Cに示したように、次第に深くなり、両切断溝からなる1つの深い切断溝となり、最終的に図3のDに示したように被切断材100は切断される。このようにして切断された後の切断面121,122は、従来のように、1つの切断線予定線の上を、スポット径の中心が通るレーザ光の走査を、連続して複数回、繰返し行って切断溝を深くし、切断して得られる切断面よりも、平滑度の高い切断面となる。
ここで図4を参照しながら、このような平滑度の高い切断面121,122が得られる過程について説明する。図4に示したように、その左(一方)の切断溝111に沿うレーザ光Laの走査行程では、その右(他方)の切断溝112のうち、切断後において切断面となる切断面(図4中の破線)122寄り部位に、ダブルハッチングで示した溝壁面112aの領域にはレーザ光Laの照射がされない。このため、この左(一方)の切断溝111に沿うレーザ光Laの走査行程では、右(他方)の切断溝112のうち、切断面122寄り部位の溝壁面112aにおいては、前回のレーザ光の照射で付与され、残存している熱の放熱、冷却をさせることができる。したがって、次に、この右(他方)の切断溝112に沿うレーザ光の走査で、その切断溝112を深くするレーザ加工時には、その切断面122寄り部位の溝壁面112aが入熱過多となったり、溶融過多となることを防止できる。
本例では、この左右2つの切断溝(走査用仮想線)111,112について、交互にレーザ光Laの走査を繰返し行うものであるから、このような作用効果が、左右2つの切断溝111,112において交互に繰り返され、最終的に切断に至る。このため、切断過程で切断面寄り部位の溝壁面であったところの切断面121,122の平滑度は、従来のように、同一の1つの切断溝(走査用仮想線)について、レーザ光の走査を繰返し行うことによって切断した場合に比べて高いものとなる。すなわち、従来のレーザ切断方法のように、同一の切断溝に沿って同じ走査を、連続して繰返して行う場合には、溝壁面に残存している熱エネルギーの放熱、冷却のための時間を積極的に付与できない。これに対し本発明を具体化した上記例では、レーザ光の走査を連続して繰り返して行うものでありながらも、その走査過程においては、上記したように、交互に切断面寄り部位の溝壁面に、放熱、冷却のための時間を自動的に付与できるため、最終的に切断された際の切断面の平滑度は、従来に比べて高いものとなる。
また、従来のレーザ切断方法においても、レーザ光の走査の往路行程と復路行程の終端で停止時間を設けることとすれば、積極的に冷却時間を付与することはできる。しかし、このようにすると、切断時間の長時間化を招いてしまう。そして、材料ロスの低減化と共に、超精密切断が要求される貴金属(例えばPt線、Pt合金線)の切断では、例えば、それがφ0.3mmといった細い線材で、その切断面(端面)において、事後的に他部材との突き合わせによる高度な位置決めを行うために要求される平滑度を確保するには、切断までに100回程度のレーザ光の走査が必要とされていた。こうしたことから、各走査行程の終端で、0.1秒のアイドルタイムを設けるとすると、1切断に10秒余計に時間がかかり、切断時間の長時間化を招いてしまう。これより理解されるが、このような貴金属材の精密切断においては、本発明によれば著しい効果が得られる。因みに、φ0.3mmのPt線を、従来のレーザ切断法により、100回の走査でレーザ切断したときの条件(レーザ出力等のパラメータ)の概要は次のようである。レーザは、波長532nmのパルスレーザで、出力は、12W、レーザ光の照射スポット径(照射集光径)10μm、走査速度200mm/sec。一方、本発明を具体化した、走査用仮想線が2本の上記例において、その走査用仮想線L1,L2相互のずらし量(間隔)K1を、5μmとしたことによる本例方法による場合においては、停止時間が無いだけでなく、約50回の走査回数(交互に行う1巡の走査が約25回)で切断に至ることも確認できた。これは、レーザ光の走査による切断箇所の放熱、冷却は、切断面の平滑度だけでなく、切断効率の向上にも大きく寄与することを意味するものと考えられる。
また、上記例では、2つの走査用仮想線(切断溝)L1、L2の上を交互に行う一巡の走査を、ずらし量K1を含めて、その長方形の辺に沿う周回状のものとしたため、平滑度の高い切断面が得られるだけではなく、切断時間の短縮化も図られる。ただし、この2つの走査用仮想線L1、L2を通るレーザ光Laの走査は、例えば、往路行程(図2における右行き行程)の繰返しとしてもよい。被切断材が微小部材のように、その走査用仮想線の長さが短い場合や、切断面により高度の平滑度が要求される場合に適する。なお、レーザ光の走査の駆動制御は、公知手段により、レーザ光側、又は被切断材側のいずれか、又はその両方を移動する駆動制御によればよい。
上記例では、スポット径(円の直径)Sの半分、すなわち、半径分の寸法で、2本の走査用仮想線L1、L2をずらした平行配置としたが、このずらし量は、適宜に、すなわち、切断面に要求される平滑度(又は面粗度)が得られる範囲で、被切断材(例えばその厚さ)、及びレーザ出力等の切断条件を勘案して設定すればよい。ただし、このずらし量K1は、スポット径(直径)が、10μmでは、その10%〜90%の範囲とするのがよい。なお、被切断材によっては、走査用仮想線の数を3以上としてもよいのは上記した通りである。
なお、切断線を挟む一方の部材のみの切断面の平滑度(又は面粗度)の向上のみが要求され、切断線を挟む他方の部材の切断面にはそれが要求されない場合には、上記もしたように、この他方の部材の切断面側を走査するレーザ光の走査は直線でなく、ジグザグとしてもよい。また、走査速度も同じでなくともよいなど、レーザ条件を異ならせてもよい。
本発明は、CO2レーザ、YAGレーザ、その他の公知の各種のレーザを用いたレーザ切断方法(レーザ切断機の使用)において広く適用できる。上記例ではパルスレーザによる場合で説明したが、連続発信レーザでも本発明ては適用でき、従来のように同一の切断予定線(切断溝)上を繰返し走査する場合に比べると、平滑度の高い切断面が得られる。また、上記例では、直線で切断する場合で説明したが、曲線で切断する場合においても本発明が適用できることは上記したとおりである。
100 被切断材
103 被切断材の表面
111,112 切断溝
121,122 切断面
S スポット径
La レーザ光
L1,L2 走査用仮想線

Claims (5)

  1. 所定のスポット径で照射するレーザ光を、被切断材の切断予定線に沿って走査させることによって、被切断材の表面に、その走査方向に延びる切断溝を形成し、該切断溝上において前記走査を複数回繰返すことで被切断材を切断するレーザ切断方法において、
    被切断材における前記切断予定線に沿って、前記スポット径の範囲内において、ずらして複数の走査用仮想線を設定しておき、
    前記スポット径の中心が該走査用仮想線を通るレーザ光の走査を、複数の各走査用仮想線について順繰りに行うことによって、その各走査用仮想線において走査方向に延びる切断溝を形成し、この順繰りに行う一巡の走査の行程を、複数回繰返すレーザ加工工程を含めることで被切断材を切断することを特徴とするレーザ切断方法。
  2. 前記複数の走査用仮想線は、前記スポット径の10%〜90%の範囲内において、ずらして設定されていることを特徴とする請求項1に記載のレーザ切断方法。
  3. 前記走査用仮想線は、その数が2であり、互いに平行に又は等間隔で延びているものであることを特徴とする請求項1又は2のいずれか1項に記載のレーザ切断方法。
  4. 前記レーザ光の一巡の走査の行程を、2つの前記走査用仮想線のうち、一方を往路行程とし、他方を復路行程とし、前記ずらし分の移動を含めて周回状のものとしたことを特徴とする請求項3に記載のレーザ切断方法。
  5. 前記被切断材は貴金属製の線材である請求項1〜4のいずれか1項に記載のレーザ切断方法。
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