JP5814988B2 - 鋳造用金型の表面改質方法 - Google Patents
鋳造用金型の表面改質方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP5814988B2 JP5814988B2 JP2013154908A JP2013154908A JP5814988B2 JP 5814988 B2 JP5814988 B2 JP 5814988B2 JP 2013154908 A JP2013154908 A JP 2013154908A JP 2013154908 A JP2013154908 A JP 2013154908A JP 5814988 B2 JP5814988 B2 JP 5814988B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- pulse
- groove
- irradiation
- casting mold
- pulse laser
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Active
Links
Landscapes
- Molds, Cores, And Manufacturing Methods Thereof (AREA)
- Laser Beam Processing (AREA)
Description
たとえば、下記特許文献1に開示される表面改質方法では、パルス幅が10nsecで発振できるパルスレーザ装置を用い、1パルスの単位面積あたりのエネルギー(以下、単に「パルスフルーエンス」という。)を5〜12J/cm2に設定し、パルスレーザをワーク表面に照射している。
そのため、上記特許文献1に開示される照射条件で溝を形成した場合、パルスレーザの照射域の周り(以下、単に「照射域外」という。)に、圧縮応力が解放された融解部が発生し、鋳造用金型の表面にクラックが生じ易くなるという問題がある。
また、パルスフルーエンスが0.2J/cm2〜10J/cm2の範囲内、かつ、パルスラップ率が95%以下の範囲内という照射条件であるので、溶融部を発生させることなく、より深い溝を形成できるため、鋳造用金型の表面を走査させる回数を低減できる。
鋳造用金型の表面改質方法は、パルスレーザ装置から鋳造用金型の表面にパルスレーザを照射し、鋳造用金型の表面に微細溝を形成するための方法である。
なお、鋳造用金型の表面に形成される微細溝とは、通常、幅が数μm〜数十μmのものを指すが、本発明は、その幅の微細溝に限定されない。
また、微細溝が形成された鋳造用金型は、流動性と断熱性とが向上して高品質の鋳造物を製造できるようになる。
さらに、鋳造用金型は、型合わせすることでキャビティが形成される可動型と固定型とから構成されるが、この可動型と固定型とには、SKD11やSKD61などのSKD材(ダイス鋼)が用いられる。以下、鋳造用金型、可動型、固定型のことを併せて、単にSKD材をいう。
また、照射工程におけるパルスレーザの照射条件は、パルスレーザの照射域外への熱拡散を抑えるため、パルスフルーエンスが0.2J/cm2〜10J/cm2の範囲内であり、かつ、パルスラップ率が95%以下となっている(図1の○、△1、△2に示される範囲を参照。)。
なお、パルスラップ率とは、走査方向に断続的に照射されるパルスレーザの照射域に関し、前のパルスレーザが照射された照射域に対し、その次のパルスレーザが照射された照射域が重畳する割合である。よって、パルスラップ率が50%の場合とは、前のパルスレーザの照射域の50%が後のパルスレーザの照射域と重畳していることを指す。
パルスラップ率に関して、95%以下の範囲内において大きい値を選択した場合には、照射域で重畳する部分が多くなり、溝が深くなる。
一方で、パルスフルーエンスが5.0J/cm2〜10J/cm2の範囲内でかつパルスラップ率が95%以下の範囲内の場合、及び、パルスフルーエンスが0.5J/cm2〜10.0J/cm2の範囲内の場合は、一回の走査により溝の深さを深くできるものの、大きい凹凸が形成された溝面となる。
よって、本実施形態に係る鋳造用金型の表面改質方法では、照射工程を複数行うことで、言い換えれば、鋳造用金型の表面を複数回走査してレーザビームの照射を繰り返すことで、溝の深さを所定の深さとする必要がある。
なお、鋳造用金型では、たとえば、溝内にSKD材の表面を被覆する被覆物を埋設させる場合があり、溝の底面が凸状となっていることにより、その被覆物との接触面積の増加を図れる。そのため、溝の底面が凸状となっていても、鋳造用金型として有用な場合がある。
本実施例では、照射工程を複数回行い、SKD材(SKD61)に与えた単位面積当たりの積算エネルギーと、その積算エネルギーに対応する溝の深さとの関係を試験した。
本実施例における照射条件は、パルス幅が10psec、パルスフルーエンスが0.5〜3.0J/cm2、パルスラップ率が70〜85%である。
使用したパルスレーザ装置は、TruMicro5250(trumpf製 波長:515nm 下記で説明する実施例2,3においても同じ。)である。
また、溝の深さの測定方法は、レーザ顕微鏡により測定した。測定結果を図2示す。
図2に示すように、単位面積当たりの積算エネルギーが増加した場合、つまり、照射工程数が増加した場合に、形成された溝の深さが深くなることを確認できた。
本実施例では、試材1、試材2、試材3を用意し、それぞれに異なる照射条件1〜3で複数の溝を形成し、照射条件1〜3のそれぞれで溶融部が発生していないことの確認と、溝の深さの測定を行った。
また、比較例として、試材4を用意し、照射条件4で複数の溝を形成した。なお、試材1〜試材4は、SKD61を使用した。
ここで、図1に示されるパルスフルーエンスとパルスラップ率の関係図において、照射条件1は△1の範囲に属し、照射条件2は○の範囲に属し、照射条件3は△2の範囲に属し、照射条件4は×の範囲に属するものであり、具体的については、以下の表1に示す通りである。
溶融部が発生しているか否かの確認方法は、試材を切断しエッチングしたのち光学顕微鏡で溝の断面を観測し、溝面をSEMで観測して判断した。試材1〜試材4の溝の断面視した写真及び溝面を斜視した写真を図4〜図7に示す。
また、溝の深さの測定は、レーザ顕微鏡で測定した。そして、一回の走査で形成される溝の深さを算出した。測定した溝の深さと、一走査あたりの溝の深さを表1に示す。
一方で、図7に示すように、試材4に形成された溝は、熱拡散により溝の周辺に溶融部が生じていることが確認された。なお、図7に示すように、試材4に形成された複数の溝は、深さがそれぞれ異なっており、溝の深さを測定できなかった。
一方で、図4、図6に示すように、試材1、試材3の溝面を比較すると、試材4の溝面に凹凸が生じていることが確認でき、凹凸の少ない平な溝面を形成する場合には、パルスフルーエンス及びパルスラップ率が低い方が望ましいことを確認できた。
本実施例では、レンズ1(焦点距離F=163mm)と、レンズ2(焦点距離F=255mm)を用意した。そして、レンズ1とレンズ2とのそれぞれにおいて、軸ラップ率を10%以上100%未満の範囲で変化することで形成された溝全体の幅と、溝の底面に形成される凸部の幅を測定した。測定結果を図8に示す。
また、溝の底面が平面となっている場合の代表例として、レンズF255を用い、軸ラップ率20%で加工したSKD61の溝を斜視した写真を図9(a)に示す。
一方、溝の底面に凸部が形成された場合の代表例として、レンズF255を用い、軸ラップ率8%で加工したSKD61の溝を斜視した写真を図9(b)に示す。なお、図9(b)において、破線で囲まれた範囲が溝の底面に形成された凸部である。
また、レンズ1において軸ラップ率が20%以上から50%未満の場合と、レンズ2において軸ラップ率が20%以上から65%未満の場合とで、溝の底面に凸部が形成されなかったことが確認できた。また、レンズ1において軸ラップが50%以上100%未満の範囲と、レンズ2において軸ラップが65%以上100%未満の範囲とで、幅が5μm内の凸部を確認された。
一方で、レンズ1、レンズ2のそれぞれにおいて、軸ラップ率が20%未満の場合、10μmを越える凸部が形成されていることを確認した。
Claims (2)
- パルス幅が10psec以下のパルスレーザを照射するパルスレーザ装置を用い、鋳造用金型の表面に前記パルスレーザを照射して微細溝を形成する鋳造用金型の表面改質方法であって、
前記表面を走査しながら前記パルスレーザを照射させる照射工程と、
前記表面の水平方向であって前記走査した方向と直交する方向に前記パルスレーザの照射位置を移動させる移動工程と、を含み、
前記照射工程を複数回行った後に前記移動工程を行い、さらに前記照射工程を複数回行うことで所定の深さ及び所定の幅の前記微細溝を形成し、
前記照射工程は、パルスフルーエンスが0.2J/cm2〜10J/cm2の範囲内、かつ、パルスラップ率が95%以下となっており、
前記移動工程において、
前記パルスレーザ装置のレンズの焦点距離が163mmの場合、軸ラップ率が0%よりも大きく20%未満、又は50%以上100%未満となるように移動させ、
前記レンズの焦点距離が255mmの場合、前記軸ラップ率が0%よりも大きく20%未満、又は65%以上100%未満となるように移動させる
ことを特徴とする鋳造用金型の表面改質方法。 - 前記照射工程は、前記パルスフルーエンスが0.2J/cm2〜5.0J/cm2の範囲内、かつ、前記パルスラップ率が70%〜85%の範囲内である
ことを特徴とする請求項1に記載の鋳造用金型の表面改質方法。
Priority Applications (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2013154908A JP5814988B2 (ja) | 2013-07-25 | 2013-07-25 | 鋳造用金型の表面改質方法 |
CN201410357013.4A CN104338919B (zh) | 2013-07-25 | 2014-07-24 | 铸造用模具 |
US14/340,772 US9156080B2 (en) | 2013-07-25 | 2014-07-25 | Casting die |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2013154908A JP5814988B2 (ja) | 2013-07-25 | 2013-07-25 | 鋳造用金型の表面改質方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2015024422A JP2015024422A (ja) | 2015-02-05 |
JP5814988B2 true JP5814988B2 (ja) | 2015-11-17 |
Family
ID=52489534
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2013154908A Active JP5814988B2 (ja) | 2013-07-25 | 2013-07-25 | 鋳造用金型の表面改質方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP5814988B2 (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US10835950B2 (en) | 2017-01-25 | 2020-11-17 | Honda Motor Co., Ltd. | Casting mold, and production method thereof |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP6688113B2 (ja) * | 2016-03-18 | 2020-04-28 | 大豊工業株式会社 | すべり軸受の表面加工方法及びすべり軸受 |
-
2013
- 2013-07-25 JP JP2013154908A patent/JP5814988B2/ja active Active
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US10835950B2 (en) | 2017-01-25 | 2020-11-17 | Honda Motor Co., Ltd. | Casting mold, and production method thereof |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2015024422A (ja) | 2015-02-05 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP5432285B2 (ja) | 面取りした端部を有する形状にガラスをレーザ加工する方法 | |
Huang et al. | Micro-hole drilling and cutting using femtosecond fiber laser | |
JP7120576B2 (ja) | 金属表面の濡れ性の制御方法 | |
JP5414467B2 (ja) | レーザ加工方法 | |
JP5531261B2 (ja) | レーザー加工方法、円偏光光渦レーザービームを用いたレーザー加工方法、針状体を有する部材の製造方法、および針状体を有する部材 | |
JPWO2012014720A1 (ja) | レーザ加工方法 | |
CA3002315A1 (en) | Method of, and apparatus for, laser blackening of a surface, wherein the laser has a specific power density and/or a specific pulse duration | |
JP5642493B2 (ja) | レーザ切断装置及びレーザ切断方法 | |
JP2005306702A (ja) | テーパー形状を有する微小穴の形成方法 | |
KR20090079342A (ko) | 레이져빔을 이용한 유리기판 절단 방법 | |
JP2016016432A (ja) | 表面改質方法及び表面改質金属部材 | |
JP5814988B2 (ja) | 鋳造用金型の表面改質方法 | |
Liu et al. | Feasibility investigation of direct laser cutting process of metal foam with high pore density | |
CN114131208B (zh) | 激光诱导等离子体进行仿形加工装置及方法 | |
JP6039306B2 (ja) | レーザ加工方法 | |
Chung et al. | Ablation drilling of invar alloy using ultrashort pulsed laser | |
JP5560096B2 (ja) | レーザ加工方法 | |
Chen et al. | Fabrication of microstructures on glass by imprinting in conventional furnace for lab-on-chip application | |
CN218926554U (zh) | 非接触式加工装置 | |
WO2015136948A1 (ja) | レーザ加工方法 | |
JP2015062927A (ja) | 脆性材料基板の加工方法および加工装置 | |
US20210205931A1 (en) | Method for processing brittle-hard materials | |
TWM644719U (zh) | 非接觸式加工裝置 | |
JP2008248270A (ja) | レーザ衝撃硬化処理方法およびレーザ衝撃硬化処理装置 | |
Ner et al. | Pulsed laser grooving of silicon under different ambient media |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20150416 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20150512 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20150713 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20150901 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20150918 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 5814988 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |