JP2004314154A - レーザスキャニング加工方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】レーザスキャン条件の設定に要する時間及びスキャン条件確認のための試験用加工材料の低減を図ることが可能で、かつ高精度なレーザスキャニング加工を行うことが可能なレーザスキャニング加工方法を提供する。
【解決手段】レーザスキャニング加工において、予め、所定のビームラップ率ごとの重ね合せエネルギー密度分布を算出し、その結果から、各ビームラップ率における重ね合せエネルギー密度分布の最大値Pmaxと最小値Pminの差(ΔP):Pmax−Pminを求めるとともに、各ビームラップ率における(Pmax−Pmin)×Pmaxの値を求め、(Pmax−Pmin)×Pmaxの値が最小又はその近傍となる点におけるビームラップ率の値をレーザスキャニング加工における適正なビームラップ率として、最適な加工面粗さが得られるようにレーザスキャン条件を設定する。
【選択図】 図4

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本願発明は、レーザスキャンニング加工方法に関し、詳しくは、レーザスキャン条件を速やかに決定して、効率よく加工精度の高いレーザスキャニング加工を行うことが可能なレーザスキャニング加工方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
[従来例1]
レーザビームとレーザビームが照射されるワークとを、レーザ照射光軸に対して略直交する方向に、所定のピッチで相対的にスキャンさせることにより、ワークに所定の深さの掘り込み加工を行うレーザスキャニング加工に用いられるレーザ加工装置としては、例えば、図10に示すようなレーザスキャニング加工装置が提案されている。
【0003】
このレーザスキャニング加工装置においては、レーザビームが2枚のガルバノミラー12a,12bにより反射して図示の光路を経てワークに照射される構成とされている。なお、各ガルバノミラー12a,12bは、駆動装置13a,13bにより回転駆動され、ガルバノミラー12a,12bとワークWとの間には集光レンズ14が配設されている。
【0004】
このレーザスキャンニング加工装置においては、レーザビームはガルバノミラー12a,12bの回転により、X方向に走査された後、X方向に垂直のY方向に所定のピッチで移動した後、X方向に走査し、さらにY方向に所定のピッチだけ移動するというようにスキャンされる。
【0005】
そして、このレーザスキャニング加工装置を用いて加工を行うにあたっては、所定エリアを繰り返しスキャニングすることにより加工を行う。このとき、ビーム径D、スキャンピッチp、スキャン速度v、周波数f、バイトサイズb(スキャン速度v/周波数f)などを変化させることにより、下記の数式1で定義されるビームラップ率Lx,Lyを変化させて加工するとともに、加工面状態を評価する作業を繰り返して行ない、トライ&エラーで加工面粗さを低減するために最適なレーザスキャン条件が設定されることになる。
【0006】
【数1】
Figure 2004314154
【0007】
[従来例2]
また、従来の他のレーザスキャニング加工装置としては、図11、図12に示すような、X−Yテーブルを使用したレーザスキャニング加工装置がある(例えば、特許文献1参照)。
【0008】
このレーザスキャニング加工装置は、ワークWが載置される略水平なワーク載置面21aを有するワーク載置台21を、そのワーク載置面21aをX−Y方向に移動させることができるX−Yテーブル22上に配設するとともに、エキシマレーザ27から発生されるレーザビーム27aのエネルギー密度を、該レーザビームのY方向の中心部を最大値として、該中心部からY方向の周辺部に向けて減衰させる曲率を有するシリンドリカルレンズ41、ミラー29、アパーチャー30、集光レンズ31等を介して、ワークWの加工面に照射されるレーザビーム27bのビーム形状を、一辺が約2mm程度の矩形状になるように絞り込むことができるように構成されている。
【0009】
このレーザスキャニング加工装置を用いて加工を行う場合、図11,図12(a),(b),(c),(d)に示すように、X−Yテーブル22をX−Y方向に移動させて、レーザビーム27aに対してワークWを往復スキャン(X方向)させるとともに、その往復方向に対して略直交する方向(Y方向)に所定のピッチp(図12(a))で相対移動させながら、レーザビーム27bをワークWに照射して、ワークWに所定の深さの掘り込み加工を行う。
【0010】
このとき、ワークWに照射されるレーザビーム27bとして、Y方向の幅を、ビームラップ率が50%となるよう上記の所定のピッチの約2倍にするとともに、エネルギー密度を、レーザビーム27bのY方向の中心部を最大値として、中心部からY方向の周辺部に向けて減衰させたレーザビーム27bを用い、これをワークWに照射することによりその加工を行う。
【0011】
この加工方法においては、ワークWに対するレーザビーム27bの照射範囲が重なった部位における、ワークWに照射されるレーザビーム27bの重ね合わせエネルギー密度が略均等化された値になるように構成されているので(図12(c))、ワークWの加工面に凸凹部が生じることを抑制、防止することが可能になる(図12(d))。
【0012】
【特許文献1】
特開平11−320156号公報
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記従来例1の方法では、トライ&エラーによるレーザスキャン条件最適化のため、スキャン条件の決定までに多大な時間を要するとともに、スキャン条件確認のための試験用加工材料が必要となるため、生産性の低下やコストの増大を招くという問題点がある。
また、上記従来例2(特許文献1)の方法では、ある特定のビームラップ率(50%)における場合の、エネルギー密度分布の凸凹のみを考慮したものであり、汎用性が少なく、また、重ね合わせエネルギー密度分布となるようガウス分布レーザを三角分布レーザに整形する必要があり、構成が複雑になるという問題点がある。
【0014】
本願発明は、上記問題点を解決するものであり、レーザスキャン条件の設定に要する時間及びスキャン条件確認のための試験用加工材料の低減を図ることが可能で、かつ高精度なレーザスキャニング加工を行うことが可能なレーザスキャニング加工方法を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本願発明(請求項1)のレーザスキャニング加工方法は、
レーザビームとレーザビームが照射されるワークとを、レーザ照射光軸に対して略直交する方向に、所定のピッチで相対的にスキャンさせることにより、ワークに所定の深さの掘り込み加工を行うレーザスキャニング加工において、
予め、所定のビームラップ率ごとの重ね合せエネルギー密度分布を算出し、その結果から、各ビームラップ率における重ね合せエネルギー密度分布の最大値Pmaxと最小値Pminの差:Pmax−Pminを求める工程と、
ビームラップ率の上昇に伴ってPmax−Pminの値が低下し始めた後、Pmax−Pminの値の低下傾向が終了した点又はその近傍のビームラップ率の値をレーザスキャニング加工における適正なビームラップ率として、最適な加工面粗さが得られるようにレーザスキャン条件を設定する工程と
を具備することを特徴としている。
【0016】
予め、所定のビームラップ率ごとの重ね合せエネルギー密度分布を算出し、その結果から、各ビームラップ率における重ね合せエネルギー密度分布の最大値Pmaxと最小値Pminの差(ΔP):Pmax−Pminを求め、ビームラップ率の上昇に伴ってPmax−Pminの値が低下し始めた後、Pmax−Pminの値の低下傾向が終了した点又はその近傍のビームラップ率の値をレーザスキャニング加工における適正なビームラップ率としてレーザスキャン条件を設定することにより、加工面粗さが良好な、高精度のレーザスキャニング加工を行うことが可能になる。
【0017】
また、本願発明(請求項2)のレーザスキャニング加工方法は、
レーザビームとレーザビームが照射されるワークとを、レーザ照射光軸に対して略直交する方向に、所定のピッチで相対的にスキャンさせることにより、ワークに所定の深さの掘り込み加工を行うレーザスキャニング加工において、
予め、所定のビームラップ率ごとの重ね合せエネルギー密度分布を算出し、その結果から、各ビームラップ率における重ね合せエネルギー密度分布の最大値Pmaxと最小値Pminの差:Pmax−Pminと、各ビームラップ率における(Pmax−Pmin)×Pmaxの値を求める工程と、
(Pmax−Pmin)×Pmaxの値が最小又はその近傍となる点におけるビームラップ率の値をレーザスキャニング加工における適正なビームラップ率として、最適な加工面粗さが得られるようにレーザスキャン条件を設定する工程と
具備することを特徴としている。
【0018】
予め、所定のビームラップ率ごとの重ね合せエネルギー密度分布を算出し、その結果から、各ビームラップ率における重ね合せエネルギー密度分布の最大値Pmaxと最小値Pminの差(ΔP):Pmax−Pminを求めるとともに、各ビームラップ率における(Pmax−Pmin)×Pmaxの値を求め、(Pmax−Pmin)×Pmaxの値が最小又はその近傍となる点におけるビームラップ率の値をレーザスキャニング加工における適正なビームラップ率として、レーザスキャン条件を設定することにより、加工面粗さが良好な、高精度のレーザスキャニング加工をより確実に行うことが可能になる。
【0019】
すなわち、ビームラップ率の変化による加工面状態の変化を、予め予測してレーザスキャン条件を設定することにより、従来のトライ&エラーの方法による場合のように、最適なレーザスキャン条件を決定するために多大な時間を要したり、スキャン条件確認のために多量の試験用加工材料を必要としたりすることをなくすことが可能になるとともに、エネルギー密度分布の凹凸(Pmax−Pmin)だけではなく、入熱量の影響(Pmax)を考慮し、その積((Pmax−Pmin)×Pmax)で評価することにより、さらに高精度に最適なレーザスキャン条件を設定することが可能になる。
【0020】
なお、本願発明のレーザスキャニング加工方法において用いることが可能なレーザの種類には特別の制約はなく、YAG基本波、THG−YAGレーザ、SHG−YAGレーザ、COレーザ、半導体レーザなどの種々のレーザを用いることが可能である。また、そのエネルギー分布としては、ガウス分布、三角分布、円形分布など種々の態様のものを用いることが可能である。
【0021】
また、レーザスキャニングの手段としては、例えばX−Yテーブルなどを用いて、ワークを移動させることにより行ってもよく、また、ガルバノスキャンミラーを用い、その角度を変えることによってレーザスキャニングを行う方法を採用することも可能である。
【0022】
また、本願発明のレーザスキャニング加工方法による加工形状には特別の制約はなく、平面形状が方形や円形の所定エリアの面加工を行うことも可能であり、また、一方向のみのレーザスキャンにより線(溝)を形成する加工を行うことも可能である。
なお、本願発明は、センサやフィルタなどの電子部品の製造時において、電子部品に用いられている基板に、ダイヤフラムなどの矩形凹部を形成するのに用いた場合に特に有意義である。
【0023】
【実施例】
以下、本願発明の実施例を示してその特徴とするところをさらに詳しく説明する。
なお、この実施例では、THG−YAGレーザビーム(ガウス分布のパルスビーム)を用いて、ワークであるセラミック基板に1mm×1mmの穴加工を行う場合を例にとって説明する。
【0024】
図1はこの実施例で用いたレーザスキャニング加工装置の概略構成を模式的に示す図である。
このレーザスキャニング加工装置は、レーザビーム(THG−YAGレーザビーム)を発生するレーザビーム発生手段1と、レーザビームを反射させて方向を変えるガルバノミラー2a及び2bと、ガルバノミラー2a,2bを回転駆動するガルバノミラー駆動手段3a,3bと、ガルバノミラー2bとワークWの間に配設され、ガルバノミラー2bで反射されたレーザビームを集光してワークWに照射する集光レンズ4とを備えている。
【0025】
このレーザビームのスキャニング装置を用いて加工を行うにあたっては、THG−YAGレーザビームが、ガルバノミラー2a,2bの回転により、図2に示すように、X方向に走査された後、X方向と直交するY方向に所定のピッチで移動し、さらに、X方向に走査された後、再びY方向に所定のピッチだけ移動することにより、所定の領域S全体についてレーザスキャニングが行われる。
このとき、ワークWの所定の領域S(1mm×1mmの領域)がレーザビームの照射を受け、1mm×1mmの領域Sが所定の深さ分だけ除去される。そして、このレーザスキャニング操作が繰り返されることにより、領域Sの穴深さが所定の深さになるまで加工が行われる。なお、加工は、ビーム径D、スキャンピッチp、レーザビームのX方向の重なり長さx、Y方向の重なり長さy、スキャン速度v、周波数f、バイトサイズb(スキャン速度v/周波数f)などを所定の条件に設定して実施される。
【0026】
そして、この実施形態では、上述のようなレーザスキャニングを行うにあたって、図3及び図4に示すように、予め、ビームラップ率毎の重ね合わせエネルギー密度分布(各距離における、各パルスビームの照射によるエネルギー密度の総和の分布)を計算し、最大値Pmax及び最小値Pminの値を求める。
そして、重ね合わせエネルギー密度分布の凹凸の最大差:(Pmax−Pmin)と、パルスビームの照射による入熱量を示すPmaxの積:(Pmax−Pmin)×Pmaxを求め、プロットする(図4参照)。
図4より、ビームラップ率が約40%のときに、(Pmax−Pmin)×Pmaxが最小となることがわかる。この結果から、ビームラップ率が40%となるよう、レーザスキャン条件を設定する。
【0027】
最適なレーザスキャン条件の設定は、具体的には、例えば以下に説明するような手順で行われる。
(1)まず、エネルギー密度分布(ビーム径R)を把握する。
(2)次に、ビームラップ率を変化させて(ビームラップ率の設定は,ピッチx’を変化させることにより行う)、各ビームラップ率におけるPmax、Pmax−Pmin(ΔP)を算出する。
Pmax、Pmax−Pmin(ΔP)を算出するにあたっては、まず、下記の数式2により一つのエネルギー密度分布P0.0を求める。
【0028】
【数2】
Figure 2004314154
【0029】
それから、下記の数式3により、各位置、すなわち、1パルス目、2パルス目、3パルス目、……nパルス目のエネルギー密度分布を求める。
【0030】
【数3】
Figure 2004314154
【0031】
次に、各位置のエネルギー密度分布を重ね合わせることによりPmax、Pmax−Pmin(ΔP)を求める。
そして、上記の計算処理を各ビームラップ率ごとに行い、ビームラップ率とエネルギー密度分布Pmax、Pmax−Pmin(ΔP)の関係を求める。このビームラップ率とエネルギー密度分布Pmax、Pmax−Pmin(ΔP)の関係は、図5のような関係となる。
(3)それから、Pmax、Pmax−Pmin(ΔP)を合成し、ビームラップ率と重ね合わせエネルギー密度分布の関係を求める(シミュレーション)。このビームラップ率と重ね合わせエネルギー密度分布の関係は、図4に示すような関係となる。
(4)そして、図4,図5に示す関係図から、加工面粗さが最小になるビームラップ率を選定する。
【0032】
そして、選定したビームラップ率の値をレーザスキャニング加工における適正なビームラップ率として、最適な加工面粗さが得られるようにレーザスキャン条件を設定し、かかる条件下にレーザスキャニングを実施して、ワークの加工を行う。
【0033】
なお、図6は、各ビームラップ率における加工面(穴底面)粗さを実際に測定して、各ビームラップ率と加工面(穴底面)粗さとの関係を調べた結果を示す図である。
図4及び図6より、(Pmax−Pmin)×Pmaxが最小となる、ビームラップ率約40%の条件で、加工面(穴底面)粗さが最少になっており、図4に示す計算結果と図6に示す実測結果とが定性的に一致していることがわかる。
【0034】
また、上述のビームラップ率とエネルギー密度分布Pmax、Pmax−Pmin(ΔP)の関係を示す図5より、ビームラップ率の上昇に伴ってPmax−Pminの値の低下が開始した後、Pmax−Pminの値が徐々に低下してその低下傾向が終了した点のビームラップ率が約40%となっていることがわかる。したがって、ビームラップ率の上昇に伴ってPmax−Pminの値が徐々に低下し、その低下傾向が終了した点のビームラップ率(この実施例では約40%)をレーザスキャニング加工における適正なビームラップ率として、レーザスキャン条件を設定することにより、加工面(穴底面)粗さの小さい、高精度の加工を行うことが可能になる。
【0035】
ただし、ビームラップ率が約40%以上になると、Pmax−Pminの値はほぼ一定となるため、ビームラップ率とPmax−Pminの値の関係だけから判断すれば、ビームラップ率が約40%以上の任意の条件を選択しても平坦な加工面が得られることになるが、実際には、ビームラップ率の増大により、入熱量が増大し、熱の拡散域が拡大するため、溶融した後、気化しきれずに加工面(穴底面など)に残存する溶融再凝固物の発生量が多くなり、この溶融再凝固物による凹凸で加工面(穴底面)粗さが悪化してしまうことになる。したがって、より高精度な最適レーザスキャン条件を設定するためには、入熱量を示すPmaxの影響を考慮して、(Pmax−Pmin)×Pmaxを求め、その値が最小又はその近傍となる点におけるビームラップ率の値をレーザスキャニング加工における適正なビームラップ率として、レーザスキャン条件を設定することが望ましい。
【0036】
なお、図7(a)は、平面形状が円形のビームを照射する場合において、ビームラップ率が適正である場合のビームラップ状態を示す平面図、図7(b)は、適正なビームラップ率でワークWを加工した場合の、加工面(穴底面)粗さが良好な状態を模式的に示す断面図である。
また、図8(a)は、平面形状が円形のビームを照射する場合において、ビームラップ率が適正でない場合(ピッチが大きすぎる場合)のビームラップ状態を示す平面図、図8(b)は、不適正なビームラップ率(ピッチが大きすぎる)でワークWを加工した場合の、加工面(穴底面)粗さが良好でない(粗い)状態を模式的に示す断面図である。
また、図9(a)は、平面形状が円形のビームを照射する場合において、ビームラップ率が適正でない場合(ピッチが小さすぎる場合)のビームラップ状態を示す平面図、図9(b)は、不適正なビームラップ率(ピッチが小さすぎる)でワークWを加工した場合の、溶融再凝固物による凹凸で加工面(穴底面)粗さが良好でない(粗い)状態を模式的に示す断面図である。
【0037】
上記実施例では、レーザとして、THG−YAGレーザを用いているが、その他にも、YAG基本波、SHG−YAGレーザ、COレーザ、半導体レーザなどを用いることも可能である。また、エネルギー分布の態様も、ガウス分布に限られるものではなく、三角分布、円形分布などであってもよい。
【0038】
また、上記実施例では、1mm×1mmの方形の領域Sを面加工する場合を例にとって説明したが、加工形状に特別の制約はなく、一方向のみのレーザスキャンにより線(溝)を形成する加工を行うことも可能である。
【0039】
なお、本願発明は、さらにその他の点においても上記実施例に限定されるものではなく、発明の範囲内において、種々の応用、変形を加えることが可能である。
【0040】
【発明の効果】
上述のように、本願発明(請求項1)のレーザスキャニング加工方法は、予め、所定のビームラップ率ごとの重ね合せエネルギー密度分布を算出し、その結果から、各ビームラップ率における重ね合せエネルギー密度分布の最大値Pmaxと最小値Pminの差:Pmax−Pminを求め、ビームラップ率の上昇に伴ってPmax−Pminの値が低下し始めた後、Pmax−Pminの値の低下傾向が終了した点又はその近傍のビームラップ率の値をレーザスキャニング加工における適正なビームラップ率としてレーザスキャン条件を設定するようにしているので、加工面の凹凸の少ない、高精度のレーザスキャニング加工を行うことが可能になる。
【0041】
また、本願発明(請求項2)のレーザスキャニング加工方法は、予め、所定のビームラップ率ごとの重ね合せエネルギー密度分布を算出し、その結果から、各ビームラップ率における重ね合せエネルギー密度分布の最大値Pmaxと最小値Pminの差:Pmax−Pminを求めるとともに、各ビームラップ率における(Pmax−Pmin)×Pmaxの値を求め、(Pmax−Pmin)×Pmaxの値が最小又はその近傍となる点におけるビームラップ率の値をレーザスキャニング加工における適正なビームラップ率として、レーザスキャン条件を設定するようにしているので、さらに高精度のレーザスキャニング加工を行うことが可能になる。
【0042】
すなわち、エネルギー密度分布の凹凸(Pmax−Pmin)だけでなく、入熱量の影響Pmaxを考慮し、その積((Pmax−Pmin)×Pmax)で評価することにより、さらに高精度に最適レーザスキャン条件の設定を行うことが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本願発明を実施するのに用いたレーザスキャニング加工装置の概略構成を模式的に示す図である。
【図2】本願発明のレーザスキャニング加工方法の実施例における、レーザビームのスキャン経路を示す図である。
【図3】本願発明のレーザスキャニング加工方法の実施例における、重ね合わせエネルギー密度分布(各距離における、各パルスビームの照射によるエネルギー密度の総和の分布)を示す図である。
【図4】本願発明のレーザスキャニング加工方法の実施例における、ビームラップ率と(Pmax−Pmin)×Pmaxの関係を示す図である。
【図5】本願発明のレーザスキャニング加工の実施例における、ビームラップ率とエネルギー密度分布Pmax、Pmax−Pmin(ΔP)の関係を示す図である。
【図6】本願発明のレーザスキャニング加工の実施例における、ビームラップ率と、加工面(穴底面)粗さとの関係を示す図である。
【図7】(a)は平面形状が円形のビームを照射する場合において、ビームラップ率が適正である場合のビームラップ状態を示す平面図、(b)は適正なビームラップ率でワークWを加工した場合の、加工面(穴底面)粗さが良好な状態を模式的に示す断面図である。
【図8】(a)は平面形状が円形のビームを照射する場合において、ビームラップ率が適正でない場合(ピッチが大きすぎる場合)のビームラップ状態を示す平面図、(b)は不適正なビームラップ率(ピッチが大きすぎる)でワークWを加工した場合の、加工面(穴底面)粗さが良好でない(粗い)状態を模式的に示す断面図である。
【図9】(a)は平面形状が円形のビームを照射する場合において、ビームラップ率が適正でない場合(ピッチが小さすぎる場合)のビームラップ状態を示す平面図、(b)は不適正なビームラップ率(ピッチが小さすぎる)でワークWを加工した場合の、加工面(穴底面)粗さが良好でない(粗い)状態を模式的に示す断面図である。
【図10】従来のレーザスキャニング加工装置(方法)を模式的に示す図である。
【図11】従来の他のレーザスキャニング加工装置を示す概略構成図である。
【図12】(a)〜(d)は、図11のレーザスキャニング加工装置を用いた加工方法におけるレーザビームとワークとの関係を説明する図である。
【符号の説明】
1 レーザビーム発生手段
2a,2b ガルバノミラー
3a,3b ガルバノミラー駆動手段
4 集光レンズ
W ワーク
D ビーム径
p スキャンピッチ
b バイトサイズ(スキャン速度v/周波数f)
x X方向の重なり長さ
y Y方向の重なり長さ
S 領域

Claims (2)

  1. レーザビームとレーザビームが照射されるワークとを、レーザ照射光軸に対して略直交する方向に、所定のピッチで相対的にスキャンさせることにより、ワークに所定の深さの掘り込み加工を行うレーザスキャニング加工において、
    予め、所定のビームラップ率ごとの重ね合せエネルギー密度分布を算出し、その結果から、各ビームラップ率における重ね合せエネルギー密度分布の最大値Pmaxと最小値Pminの差:Pmax−Pminを求める工程と、
    ビームラップ率の上昇に伴ってPmax−Pminの値が低下し始めた後、Pmax−Pminの値の低下傾向が終了した点又はその近傍のビームラップ率の値をレーザスキャニング加工における適正なビームラップ率として、最適な加工面粗さが得られるようにレーザスキャン条件を設定する工程と
    具備することを特徴とするレーザスキャニング加工方法。
  2. レーザビームとレーザビームが照射されるワークとを、レーザ照射光軸に対して略直交する方向に、所定のピッチで相対的にスキャンさせることにより、ワークに所定の深さの掘り込み加工を行うレーザスキャニング加工において、
    予め、所定のビームラップ率ごとの重ね合せエネルギー密度分布を算出し、その結果から、各ビームラップ率における重ね合せエネルギー密度分布の最大値Pmaxと最小値Pminの差:Pmax−Pminと、各ビームラップ率における(Pmax−Pmin)×Pmaxの値を求める工程と、
    (Pmax−Pmin)×Pmaxの値が最小又はその近傍となる点におけるビームラップ率の値をレーザスキャニング加工における適正なビームラップ率として、最適な加工面粗さが得られるようにレーザスキャン条件を設定する工程と
    具備することを特徴とするレーザスキャニング加工方法。
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