JP6111679B2 - 界磁極用磁石体とその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、回転電機のロータコアに配設される界磁極用磁石体とその製造方法に関するものである。
従来から回転電機のロータコアに配設される界磁極用磁石体として、平面視矩形の磁石体を割断分割して複数の磁石片とし、この複数の磁石片同士を絶縁状態として接着することによって形成した界磁極用磁石体が知られている。このように、界磁極用磁石体を複数の磁石片で形成して、個々の磁石片の体積を小さくすることにより、作用する磁界の変動により発生する渦電流を低減させるようにしている。これにより、渦電流に伴う界磁極用磁石体の発熱を抑制し、不可逆な熱減磁を防止するようにしている(特許文献1参照)。
特許文献1では、ロータスロットと略同寸法および同形状の磁石体に予め割断の目安となる磁石体幅方向に延びる切欠き溝を設け、磁石体に当接する当接部を有する上型と下型とで磁石体を挟み込むことによって、磁石体を磁石片に割断分割している。
特許4497198号公報
ところで、上記従来例のように、割断の目安となる切欠き溝を磁石体に設ける場合に、切欠き溝の深さが深いほど、また、切欠き溝の先端の尖りが鋭いほど、割断面の平面度がよくなることから、レーザ光による溝加工が望ましい。しかしながら、パルス状レーザ光を高いピーク出力で繰り返し照射する溝加工は、その高いピーク出力のために溝加工部の溶融金属の温度が非常に高くなる。このため、このようなパルス状レーザ光による溝加工では、溝周囲への熱の拡がりが大きく、磁石体の熱的影響によりその材料組織を変質させる等磁石体の性能を低下させ、回転電機の出力性能が低下させる虞があった。
そこで本発明は、上記問題点に鑑みてなされたもので、切欠き溝を形成するにあたって磁石体への熱的影響を抑制するに好適な界磁極用磁石体とその製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、板状の磁石体の切欠き溝を形成する予定部位に沿って、照射するレーザ光を走査することにより切欠き溝を形成する工程を備える界磁極用磁石体の製造方法である。そして、切欠き溝を形成する工程は、磁石体に照射するレーザ光の走査方向前方の溝加工部の温度が、磁石体の主相を構成する結晶粒の融点未満であり且つ結晶粒間の粒界相の融点以上となるようにレーザ光を照射して切欠き溝を形成する。
したがって、本発明では、粒界相の融点以上で結晶粒の融点未満となる温度で連続波レーザ光を照射し走査することで、レーザ走査方向前方で、結晶粒を溶かさずに粒界を溶かす。そして、その後に通過するレーザ光の中心部分あるいは後方で、結晶粒を溶かすことなく、粒界を突沸、飛散させることができる。このため、加工エネルギの最小化が可能であり、また、加工部周囲への熱の影響を小さくできる。
本発明の実施形態の界磁極用磁石体を配設する回転電機のロータの断面図である。 本発明の実施形態の界磁極用磁石体の構成を示す説明図である。 本発明の実施形態の界磁極用磁石体の製造工程を示す図である。 磁石体に対して分割起点を形成するレーザ加工装置を示す説明図である。 磁石体へ照射するレーザ光の走査状態を説明する図である。 連続波レーザ光の出力状態を説明する図である。 レーザ光による溝加工状態を説明する説明図である。 連続波レーザ光による溝加工結果を示す断面図である。 連続波レーザ光により溝加工された切欠き溝の溝底を拡大して示す断面図である。 連続波レーザ光による溝加工時における走査軌跡の一例を示す説明図である。 連続波レーザ光による溝加工時におけるレーザ照射領域を示す説明図である。 連続波レーザ光の複数回(A)〜(D)の走査による加工結果を説明する断面図である。 連続波レーザ光の複数回(A)〜(C)の走査状態を説明する説明図である。 連続波レーザ光の走査速度を4000[mm/sec]として、集光径とレーザ出力とを変化させた場合の溝加工成立範囲を示す特性図である。 連続波レーザ光の走査速度を4000[mm/sec]として、集光径とレーザ出力とを変化させた場合の溝加工成立範囲を示す特性図である。 連続波レーザ光の走査速度を2000[mm/sec]として、集光径とレーザ出力とを変化させた場合の溝加工成立範囲を示す特性図である。 磁石体を分割するクラッキング方法を示す説明図である。 複数の磁石片の積層接着工程を説明する説明図である。 本実施形態における磁石片同士の接着状態を説明する図である。 連続波レーザ光により一方の面に複数本の溝を形成した磁石体の断面図である。 連続波レーザ光により両方の面に複数本の溝を形成した磁石体の断面図である。 比較例のパルスレーザ光の出力状態を説明する図である。 比較例のパルスレーザ光による溝加工結果を示す断面図である。 比較例のパルスレーザ光による走査速度の上昇時における加工状態を説明する説明図である。 比較例のパルスレーザ光により加工された切欠き溝のクラッキングされた磁石片の割断面を示す断面図である。
以下に、本発明の界磁極用磁石体とその製造方法を実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、本発明の界磁極用磁石体を配設した回転電機のロータコアの断面図である。図1(A)はロータ50の縦断面図であり、図1(B)は、図1(A)のA−A断面図である。回転電機は、ロータ50の周囲にステータが配置され、ステータにU相、V相、W層からなる三相交流を印加することによって回転磁界を発生させ、ステータの内側に回転可能に支持されるロータ50を回転させるものである。なお、この回転電機は、例えば電動自動車を駆動するモータ・ジェネレータとして用いることができる。
ロータ50は、薄板状の電磁鋼板51aを多数積層して構成されたロータコア51と、ロータコア51に挿入された複数の界磁極用磁石体80と、から構成される。ロータコア51は、あらかじめ所定の形状にプレス成形された電磁鋼板51aを複数積層し、積層された電磁鋼板51aを、接着やかしめ等によって一体に形成する。ロータコア51は、界磁極用磁石体80を収容する磁石挿入孔52と、回転軸を固定する軸用孔53と、ロータ50の冷却のための通気孔54と、が形成されている。これら磁石挿入孔52と通気孔54とは、軸用孔53の中心に対して点対称に複数形成されている。なお、本実施形態の磁石挿入孔52は、ロータコア51の周方向に等間隔に配置されるとともに、これら配置された磁石挿入孔52のそれぞれに対して、径方向内側に、ハの字状に二つの磁石挿入孔52が配置されている。
界磁極用磁石体80は、図2に示すように、磁石挿入孔52に挿入可能な所定の形状の磁石体30に形成された後、ロータコア51の軸方向に複数の磁石片31に割断分割する。界磁極用磁石体80は、これら複数の磁石片31を割断面同士を樹脂32により接着して、一列に整列した磁石片31の集合体として元の所定の形状に再構成される。使用される樹脂32は、例えば200℃程度の耐熱性能を備えるものが使用され、隣接する磁石片31同士を電気的に絶縁する。このため、作用する磁界の変動により発生する渦電流を個々の磁石片31内に留めることにより低減させ、渦電流に伴う界磁極用磁石体80の発熱を抑制し、不可逆な熱減磁を防止する。以下では、割断分割前の磁石体に対しては磁石体30とし、磁石片31同士を樹脂32により接着して、一列に整列した磁石片31の集合体とした磁石体に対しては磁石体80として、両者を符号により区別する。
磁石体30を複数の磁石片31に分割する方法として、研削による方法や、磁石体30に分割起点となる切欠き溝33を形成してこれを割断するクラッキングによる方法がある。一般的に、クラッキングによる分割が費用面で有利であるので広く用いられており、本実施形態でも、クラッキングにより磁石片31を形成している。
次に、磁石体80の製造方法について、その概略を説明する。図3は、磁石体80の製造工程を示す図である。なお、各工程は、主に作業者が人手により行うか又は産業用ロボット等により自動的に実行される。まず、酸化鉄や希土類、各種元素からなる磁性体の粉末を矩形の型枠に挿入し、これに磁場を印加しながらプレス等によって押し固め、押し固められた材料を真空焼結炉に投入して、所定温度を加えて所定時間焼結し、次いで、薄板状の所望の大きさに切断し、表面を研磨して、薄板状の磁石体30が製造される。
次に、製造された磁石体30をクラッキングし、再接合を行う。まず、製造された磁石体30を、所望の大きさの磁石片31に分割するために、割断予定部位ごとの切欠き溝33を形成する(割断起点形成工程)。本実施形態においては、後述するように、割断予定部位にレーザ加工により磁石体30の幅方向に切欠き溝33を形成する。
次に、形成された切欠き溝33により磁石体30を複数の磁石片31に分割する(クラッキング工程)。クラッキングは、例えば、磁石体30の長手方向において、切欠き溝33を挟んでその前後位置を支点で支持し、切欠き溝33がある面とは逆側の面からブレードで曲げ力を加えることにより、切欠き溝33部分から亀裂を発生させて割断して、磁石片31に分割する(3点曲げ)。
次に、分割されたそれぞれの磁石片31を割断面同士を対面させて積層して、絶縁性の樹脂32により接合する。接合したのち、磁石体80を加熱して樹脂を硬化させる(積層接着・加熱硬化工程)。次に、接合された磁石体80に所定の磁力を印加して、磁石体80に着磁する(着磁工程)。以上のような工程によって、磁石体80が製造される。
以下に本実施形態における界磁極用磁石体とその製造方法を詳細に説明する。先ず、本実施形態における磁石体30への切欠き溝33の形成装置および形成方法を説明する。
図4は、切欠き溝33を形成するレーザ加工装置を示すものである。レーザ加工装置は、図示しないレーザ源としてのレーザ発振機からのレーザ光を伝送用ファイバ11及びコリメートレンズ12を介して導入し、磁石体30の切欠き溝33を形成する予定部位に沿って走査しつつ照射するスキャナヘッド10を備える。コリメートレンズ12を通過したレーザ光は平行光に変換されてスキャナヘッド10に導入される。
スキャナヘッド10は、レーザ光をX方向にスキャンするガルバノミラー13とY方向にスキャンするガルバノミラー14との2枚で1組のガルバノミラーを備え、これらのミラー13、14は図示しない制御用のモータにより駆動される。レーザ光は、2つのガルバノミラー13、14を経由してそれぞれX−Y方向にスキャンされてf−θレンズ15を通り、磁石体30の切欠き溝33を形成する予定部位に沿って走査される。f−θレンズ15は、ガルバノミラー13,14のスキャナーで偏向されたビームをワークとしての磁石体30の平らな像面に集光し、スキャナーの等角運動を等速運動に変換してスキャンさせる。このため、照射されたレーザ光60は、磁石体30の表面に対して、X方向に所定ピッチで位置決めされてY方向に走査される。
本実施形態では、図5に示すように、焼結体からなる磁石体30の切欠き溝33を形成する線に沿って、図6に示す連続波レーザ光60を走査しながら照射するものである。連続波レーザ光60としては、例えば、波長900〜1100[nm]のレーザ光60を使用する。そして、連続波レーザ光60の走査方向前方の主要部分の温度が、磁石体30を構成する焼結体の粒界相の融点以上であり且つ主相である結晶粒の融点未満になるように照射する。連続波レーザ光60の走査方向前方の主要部分の温度は、レーザ光60の照射面積当たりの出力値(パワー密度=加工点集光径・加工点出力)および走査速度を選定することにより、調整することができる。例えば、ネオジム磁石では、磁石体30を構成する焼結体の粒界相の融点が、665[℃]であり、主相である結晶粒の融点が、1155[℃]である。このネオジム磁石の場合には、連続波レーザ光60の走査方向前方の主要部分の温度を、665[℃]以上、1155[℃]未満の範囲となるように、レーザ光60の照射面積当たりの出力値(パワー密度=加工点集光径・加工点出力)および走査速度を選定する。
連続波レーザ光60は、一定のエネルギが連続的に出力されるため、磁石体30表面に照射して形成する溶融池の温度変化を小さくでき、温度コントロールが容易である。従って、連続波レーザ光60を磁石体30表面に照射し高速で走査することにより、レーザ光60の移動に伴って、溝加工部61の溶融池を高速で移動させることができる。従って、ピーク出力が高いパルスレーザ光を用いることなく、溝加工部61から周囲への熱が伝わる前に、溝加工部61を加熱でき、溝加工部61の溶融、突沸(沸騰)、飛散のアブレーション現象が生じて、磁石体30表面に溝加工が可能になる。
特に、主相と粒界相の融点の温度差が大きな焼結体であるネオジム磁石等の磁石体30に対しては、粒界相の融点以上で結晶粒の融点未満となる温度で連続波レーザ光60を照射し走査することで、加工エネルギを最小化しつつ、磁石体30表面への溝加工ができる。即ち、図7に示すように、レーザ走査方向前方で、結晶粒62を溶かさずに粒界を溶かし、その後に通過するレーザ光60の中心部分あるいは後方で、結晶粒62を溶かすことなく、粒界を突沸、飛散させることができる。なお、符号63は飛散した溶滴である。このため、加工エネルギの最小化が可能であり、また、加工部61周囲への熱の影響を小さくできる。
なお、比較例としてのパルスレーザ光では、図22に示すように、レーザ照射がON,OFFと間欠的であり、照射ONで加熱された加工部は照射OFFで冷却される。このため、この冷却を考慮して加工部をより一層加熱する必要があり、得られる溶融池の温度のコントロールが難しい。例えば、加工速度を得ようと、溶融池の温度を高く維持するためにレーザ照射ONのピーク出力を上げる方法が用いられるが、溶融池の温度は高い温度域で乱高下させることとなる。さらに、パルスレーザ光の場合は、1パルスのレーザ照射時間こそ短いものの、実際は複数パルスの繰り返し照射で、溝を形成するものであるため、複数パルスの照射が完了するまでの時間は、連続波レーザ光60の場合よりも長くなる。このため、パルスレーザ光の場合は、加工部の温度上昇が大きく且つ温度上昇されている時間が長くなり、周囲へ熱が伝わる時間が長くなり、加工部周囲への熱の影響が大きい。
また、連続波のレーザ光60を溝加工に適用した場合は、レーザ照射による加熱が連続であるので、加工部61での突沸(沸騰)を連続的に発生させることができる。このように、加工部61での突沸を連続的に発生させることができるため、少量ずつ小刻みに、加工部61での材料を溶融、突沸、飛散させることができる。このため、突沸した材料をより遠くに飛散させることができ、図8に示すように、形成した溝が溶融金属により埋め戻されることを防止でき、図9に示すように、溝底に溶融層を形成されることもなく、溝加工が可能である。よって、連続波レーザ光60の場合は、溝内部の埋め戻しのない加工が可能になる。
なお、比較例としてのパルスレーザ光の場合には、間欠的なレーザ照射であるため、材料の突沸は連続的には起こせず、パルスの周期に合わせて不連続になる。従って、高いピーク出力のパルスレーザ光であっても、加工部での材料を、溶融、突沸、飛散させるアブレーション加工においては、加工部での溶融池の一部が突沸した場合に、アブレーションが成立してしまうので、1回の突沸エネルギを大きくすることはできない。そのため、パルスレーザ光での溝加工の場合には、パルスの周期に合わせた少ない回数の突沸で、周囲の多くの溶融物を飛散させることになり、溶融物を遠くまで飛散させることができず、図23に示すように、加工した溝内部に埋め戻してしまうことになりやすい。
さらに、連続波レーザ光60の場合は、パルスレーザ光のようなレーザ光の停止時間がないので、適正なレーザ出力を選定することで、高速での溝加工が可能である。即ち、連続波レーザ光60の場合は、レーザ出力が適正であれば、5000[mm/sec]や10000[mm/sec]であっても、ミシン目状にならずに溝加工が可能であり、事実上は加工速度の制約を受けずに、高速の溝加工が可能である。
なお、比較例としてのパルスレーザ光の場合は、間欠的なレーザ照射であるため、レーザ走査速度を大きくしすぎると、図24に示すように、ミシン目状の加工になってしまい、溝加工にならない。よって、レーザ走査速度は、周波数の制約を受けることになる。例えば、Qスイッチ付きYAGレーザでは、集光径がφ50[μm]、パルス周波数が20[kHz]と仮定した場合、レーザ走査速度は、50〜100[mm/sec]程度に制約される。
本実施形態では、レーザ光60の走査軌跡は、直線状に限定されるものでなく、例えば、図10に示すように、曲線状(A)や破線状(B)にしてもよい。このようにすると、走査速度が得やすいため加工パターンであるため、形成された切欠き溝33の溝底に埋め戻し等による溶融金属の堆積を防止しつつ切欠き溝33の加工ができる。また、レーザ光60を溝加工部位に沿っての走査するにあたって、走査点が磁石体30上に移動した段階からレーザ光60を照射開始し、磁石体30上から外れる段階でレーザ光の照射を止めるようにしてもよい。しかし、図11に示すように、磁石体30上に移動する手前からレーザ光60を照射し始め、走査点が磁石体30上を通過した後にレーザ光60の照射を止めるようにすることが望ましい。このようにすると、レーザ光60の走査速度を上昇させやすくなり、切欠き溝33の溝底に埋め戻し等による溶融金属の堆積をさせることなく切欠き溝33の加工ができる。
また、連続波レーザ光6060による溝加工は、一本の溝加工において、レーザ光60の1回のみの走査でもよく、また、複数回の走査でもよい。複数回の繰り返し走査による溝加工では、その回数を選択することで、形成する溝の深さをコントロールすることが可能である。即ち、図12(A)は1回目の連続波レーザ光60の照射走査により得られた切欠き溝33、図12(B)は2回目の連続波レーザ光60の照射走査により得られた切欠き溝33、をそれぞれ示す。また、図12(C)は4回目の連続波レーザ光60の照射走査により得られた切欠き溝33、図12(D)は6回目の連続波レーザ光60の照射走査により得られた切欠き溝33、をそれぞれ示す。このようにレーザ光60を複数回走査しながら照射することにより、図13に示すように、磁石体30の表面の切欠き溝33の幅より内部が幅広とできる。図13中の各図は、左側から1回目、3回目、8回目の走査後の状態をそれぞれ示している。これにより、形成された切欠き溝33の内部でレーザ光60が反射し、レーザ光60による溝加工の加工効率を高くできる効果がある。
また、レーザ光60の複数回の走査は、溝の一方端から他方端への一方向に走査するよりも、一方端と他方端との間で往復させての走査が望ましい。このように、複数回の走査により、形成する切欠き溝33の深さ寸法を安定化させることができる。また、走査を往復で行う方が、溝の加工時間を短縮できて有利である。
また、レーザ光60の複数回の走査は、図13に示すように、1回から複数回走査して、溝を形成した後、或は、溝を形成中に、光学系のスキャナヘッド10と被加工物である磁石体30との距離を近づけながら、レーザ光60を照射するようにしてもよい。このようにすることで、レーザ光60の集光部分(焦点)を磁石体30の内部へ移動させることができ、深い切欠き溝33を形成することができる。
次に、連続波レーザ光60の照射条件について、説明する。レーザ光60の照射条件は、レーザ光60の照射面積当たりの出力値(入熱条件、即ち、パワー密度=加工点集光径・加工点出力)および走査速度を選定することにより、調整することができる。入熱条件として、例えば、加工点集光径を、φ50〜80[μm]、加工点出力を、800〜1000[W]とした場合、加工点に対して強い連続波レーザ光60が照射されるため、磁石体30の加工点における材料は瞬時に溶融させることができる。この入熱条件のもと、レーザ光60を8000〜10000[mm/sec]で走査すると、加工点の周囲へ熱が伝わる前に溝加工が完了できる。走査速度8000〜10000[mm/sec]は、高速であるが、スキャナヘッド10を用いてレーザ光60を走査することで、実現できる。
実際には、上記した加工条件よりも広い範囲で溝加工は成立するが、微細加工の実用的なサイズとしては、加工点の集光径φ200[μm]以下が望ましく、また、実用的なガルバノヘッドの走査速度の上限から、加工点の出力は、3000[W]以下が望ましい。本実施形態では、例えば、波長900〜1100[nm]、加工点の集光径φ200[nm]以下、出力3000[W]以下の連続波レーザ光60を加工速度4000[mm/s]にて複数回走査して実施する。
図14は、走査速度を4000[mm/sec]として、集光径とレーザ出力とを変化させた場合の溝加工成立範囲を示す特性図である。また、図15は、走査速度を4000[mm/sec]として、集光径とレーザ出力とを変化させた場合の溝加工成立範囲を示す特性図である。図中の、○は溝加工できた場合、△は溶融加工となった場合、×は溝加工及び溶融加工のいずれもできなかった場合をそれぞれ示すものである。以上から、溝加工を行なうためには、加工点の集光径をもとに定義される照射面積あたりの出力値、所謂、パワー密度が一定以上になるように、加工点の集光径が大きいほど、加工点出力を増す必要がある。このパワー密度が小さい(不足した)場合は、材料の表面に多少の変化を与えるものの、実質的には、溝加工も溶融加工も成立しない。
これらの集光径と加工点出力を満足する条件のもとでは、走査速度4000[mm/sec]以上であれば、加工点の周囲へ熱が伝わる前に、粒界相を急加熱、溶融、突沸させるアブレーション現象により、溝加工が可能である。また、加工点の周囲へ熱が伝わる前に溝加工のプロセスが完了するので、加工点周辺の材料への熱影響が小さい溝加工が可能である。
図16は、走査速度を2000[mm/sec]として、集光径とレーザ出力とを変化させた場合の溝加工成立範囲を示す特性図である。このように、走査速度が2000[mm/sec]以下では、溝加工が成立せず、実質的には、溶融のみの加工になる。低い走査速度では、溝を形成できない。特に、低速な、1200〜1500[mm/sec]の走査速度では、材料の突沸回数が少なくなり、これらの走査速度以下では、溶融加工になる。
また、上記した4000[mm/sec]以上の走査速度での溝加工では、形成された溝の内部に溶融金属を堆積させない加工が可能であり、この溝加工を複数回の繰り返し実行することにより、溝底に埋め戻し等による溶融金属の堆積がなく、深い溝を形成することができる。
使用するアシストエアーは、突沸して飛散するスパッタの飛散方向をコントロールするように作用する。このために、アシストエアーの流量を、30〜40[L/min]程度とする。アシストエアーの作用力自体は、上記したアブレーション現象における突沸時の材料体積の急膨張に比較すると、弱いものであるため、溝加工の効率には影響しない。
次に、磁石体30を複数の磁石片31に分割するクラッキング方法について説明する。本実施形態では、連続波レーザ光60の照射により加工形成した切欠き溝33の縁等の溝周囲に生じたバリをブラシなどにより除去した後、切欠き溝33を磁石体30の起点として折曲げて3点曲げによりクラッキングする。即ち、図17に示すように、切欠き溝33を下側に位置させた磁石体30を、切欠き溝33を挟んでその前後位置に配置した一対の支点16で支持する。そして、切欠き溝33がある面とは逆側の面からブレード17で曲げ力を加えることにより、磁石体30に折曲げ荷重を加える。磁石体30に折曲げ荷重が加えられると、磁石体30の下側表面に最大引張り応力が発生し、磁石体30の切欠き溝33の底部から生じる亀裂42が磁石体30の内部に進展し始め、図示するように、磁石体30の断面方向全体を割断することができる。
ところで、レーザ加工などで切欠き溝33を形成し、それを起点に割断分割する工法において、割断分割の重要なポイントは、破断応力を割断分割の予定位置に集中させることであり、また、破断応力をなるべく均一とすることである。しかし、割断予定部位に、不均一な溶融層やマイクロクラック等の脆化部があると、その位置だけ局所的に破断強度が変化し、そのために、割断予定位置全体の中で破断強度にムラが生じてしまう。破断強度のムラは、割断面の位置や平面度等の割断面精度に影響するため、なるべく溶融層やマイクロクラックのない切欠き溝33が求められる。
比較例のパルスレーザ光で切欠き溝33を形成した場合には、図23に示すように、溶融金属が堆積して厚く強固な溶融層Aが形成され、また、溶融層Aの内部及び溶融層Aと溝表面との境界部には、溶融層Aの凝固収縮に伴ってマイクロクラックBを生じさせる。このため、割断面精度が悪くなる恐れがある。パルスレーザ光で切欠き溝33を形成した場合は、切欠き溝33の底に強固な溶融層Aが形成されやすい。溝底に強固な溶融金属の堆積を伴う切欠き溝33は、割断分割後の磁石片31の割断面に、図25に示すように、溶融層Aによる突起Cが形成されることもある。この割断面の突起Cは、後述する積層接着工程において、接着相手となる磁石片31の割断面に直接接触して、磁石片31同士の電気的な絶縁を確保できない恐れがある。
しかし、本実施形態においては、連続波レーザ光60を高速で照射することで切欠き溝33を形成しているため、切欠き溝33の溝底には溶融金属の堆積がなく、溶融金属の凝固収縮に伴って生じるマイクロクラックも生じない。このため、破断応力を均一に発生させて割断を安定させることができ、割断面精度を確保できる。また、連続波レーザ光60は、切欠き溝33の溝底に溶融層が形成されないため、後述する積層接着工程において、磁石片31の割断面同士を接着して一体化させる場合に、磁石片31同士の間に電気的な絶縁を確保することができる。
なお、クランキング方法としては、上記3点曲げ以外の方法によるものであってもよい。例えば、先端側の磁石片31部分を切欠き溝33より突き出した状態で磁石体30をクランプし、その先端側磁石片31部分を、切欠き溝33から折り曲げたり、ブレード17による曲げ荷重を加えて、クランキングするものであってもよい。
次いで、本実施形態における複数の磁石片31の積層接着工程を説明する。図18に示すように、割断された複数の磁石片31を基準治具21上に間隔を開けて整列させる。次いで、磁石片31間に接着剤となる樹脂32を供給する。この樹脂32は、例えば、エポキシ系の熱硬化型の接着剤を用いる。樹脂32には、割断片間のクリアランスを確保するため、スペーサを配合する。また、スペーサとしては、例えば、ガラスビーズを用いる。供給された樹脂32は、磁石片31の対向する割断面31A間に充填される。
次いで、磁石片31の幅方向の両側から整列治具22を図示しないばね力で押し当てると共に厚み方向からも整列治具23をばね力により基準治具21に押し付けた状態で整列させる。次いで、磁石片31の長手方向からばね力で付勢された整列治具24で加圧することにより、樹脂32が対面する割断面の全領域に浸透されて、各磁石片31の割断面同士が樹脂32により互いに接着される。各割断面は凹凸が少なく滑らかな面により形成され、溶融層による突起をもたないため、図19に示すように、接着剤による絶縁が良好とできる。
次いで、磁石体80を加熱して樹脂32を硬化させる加熱硬化工程が実施され、接合された磁石体80に所定の磁力を印加して、磁石体80に着磁する着磁工程が実行されて、磁石体80を製造することができる。
なお、上記実施形態において、連続波レーザ光60による溝加工方法を、磁石体30を分割するための起点となる切欠き溝33の形成に専ら適用したものについて説明した。しかし、連続波レーザ光60による溝加工方法は、上記した適用以外のために、磁石体30表面に複数の溝を形成するものにも適用することができる。即ち、耐熱材、例えば、ジスプロシウムを熱処理により磁石体30の表面から内部に浸透拡散させて磁石体30の耐熱性を向上させる方法がある。この耐熱性を向上させる方法においては、磁石体30表面から内部への耐熱材の浸透拡散によるものであるため、磁石体30の表面積を拡大させるように、磁石体30表面に複数の溝を形成することが、磁石体30内部への拡散領域を増加させるために有効である。
図20及び図21は磁石体30の表面に、連続波レーザ光60を照射して、複数本の溝35を形成し、表面積を拡大させたものである。複数本の溝35は、図20に示すように、磁石体30の一方の表面に平行に設けても、図21に示すように、磁石体30の両側の表面に平行に設けてもよい。また、磁石体30には、磁石体30を分割するための起点となる切欠き溝33も設ける必要がある。
この複数の溝35を磁石体30の幅方向に設ける場合には、これら複数の溝35は、磁石体30の幅方向に平行に同じ深さで設け、設けた溝35の内の一部の溝35を、磁石体30を分割するための起点、即ち切欠き溝33として利用するものであってもよい。また、分割起点となる切欠き溝33は深く形成し、その他の溝35は浅く形成してもよい。このように複数の溝35を磁石体30の幅方向に設ける場合には、磁石体30を分割基点となる切欠き溝33により分割する際に、磁石体30を保持する治具により分割起点以外の溝35に対して分割のための曲げ応力が作用しないように考慮する必要がある。
また、複数の溝35を磁石体30の長手方向に設ける場合には、磁石体30を分割するための起点となる切欠き溝33とは、直交する状態となる。このため、磁石体30を分割基点となる切欠き溝33により分割する際に、図17に示すような、一般的な分割方法を使用することができる。
複数の溝35が形成された磁石体30に対しては、耐熱材、例えば、ジスプロシウムを熱処理により磁石体30の表面から内部に浸透拡散させて磁石体30の耐熱性を向上させる。その後に、切欠き溝33による割断により複数の磁石片31に分割し、分割されたそれぞれの磁石片31を割断面同士を対面させて積層して、絶縁性の樹脂32により接合する。接合したのち、磁石体80を加熱して樹脂を硬化させ、接合された磁石体80に所定の磁力を印加して、磁石体80に着磁し、磁石体80を製造することができる。
上記した複数の溝35の加工においても、上記したレーザ加工法により、溝周囲への熱影響をほとんど与えることなく、磁石体30に幅が狭く深い溝を形成することができ、溝形成による磁石体30の熱劣化損失を最小化できる。
なお、複数の溝35の加工は、上記したレーザ加工法以外でも、例えば、機械加工を適用することで、溝加工は可能である。しかしながら、機械加工もドライ加工で行なった場合は、加工中の発熱により磁石体30への熱影響が大きく、またウエット加工とした場合は、加工油あるいは水分により、磁石体30が酸化あるいは変質することが避けられない。しかし、本実施形態のレーザ加工法は大気中で行なうことが可能であるため、加工油水等を使う必要はなく、磁石体30への熱影響を最小限にしながら、溝形成を効率的に行うことができる。
本実施形態においては、以下に記載する効果を奏することができる。
(ア)板状の磁石体30の切欠き溝33を形成する予定部位に沿って、照射するレーザ光60を走査することにより切欠き溝33を形成する工程を備える界磁極用磁石体80の製造方法である。そして、切欠き溝33を形成する工程は、磁石体30に照射するレーザ光60の走査方向前方の溝加工部61の温度が、磁石体30の主相を構成する結晶粒の融点未満であり且つ結晶粒間の粒界相の融点以上となるようにレーザ光60を照射して切欠き溝33を形成するものである。即ち、粒界相の融点以上で結晶粒の融点未満となる温度で連続波レーザ光60を照射し走査することで、レーザ走査方向前方で、結晶粒を溶かさずに粒界を溶かし、その後に通過するレーザ光60の中心部分あるいは後方で、結晶粒を溶かすことなく、粒界を突沸、飛散させることができる。このため、加工エネルギの最小化が可能であり、また、加工部61周囲への熱の影響を小さくできる。加工エネルギを最小化しつつ、磁石体30表面への溝加工ができる。
(イ)レーザ光60は、連続波レーザ光60であるため、一定のエネルギが連続的に出力され、磁石体30表面に照射して形成する溶融池の温度変化を小さくでき、温度コントロールが容易である。しかも、連続波レーザ光60は、パルスレーザ光のようなレーザ光の停止時間がなく、また周波数の制約を受けないため、レーザ走査速度を高速に走査して溝加工が可能になり、加工時間短縮することができる。結果として、レーザ加工機は、その設備台数最小化が可能であると共に、レーザ発振器等のパルス光を作り出すための機構が省けるので、設備が安価になる。
(ウ)照射するレーザ光60は、波長が900〜1100[nm]のレーザ光60であり、加工点集光径をφ200[μm]以下とし、少なくとも粒界相を溶融させるのに必要な入熱以上且つ3000[W]以下の加工点出力として磁石体30に照射し、走査速度4000[mm/s]以上で走査するものである。このため、溝周囲へ熱が伝わる前に、粒界相を急加熱、突沸させることができ、アブレーション現象により溝加工が可能である。また、溝周囲へ熱が伝わる前に溝形成のプロセスが完了するので、溝周辺の材料への熱影響が小さい。
(エ)切欠き溝33は、一つの切欠き溝33を形成する予定部位に対するレーザ光60の走査を1回から複数回にわたって実行することにより形成するようにしている。即ち、レーザ光60の走査回数を調整することにより、形成する切欠き溝33の深さをコントロールすることができる。また、複数回の走査により、切欠き溝33の溝底への埋め戻し等による溶融金属の堆積をさせることなく切欠き溝33の加工ができる。
(オ)切欠き溝33は、一つの切欠き溝33を形成する予定部位に対するレーザ光60の走査を複数回実行し、磁石体30の表面寸法より内部寸法が幅広に形成するようにしている。即ち、レーザ光60が先に形成した切欠き溝33内でレーザ光60が反射するため、切欠き溝33の加工効率を高くすることができる。
(カ)切欠き溝33は、一つの切欠き溝33を形成する予定部位に対するレーザ光60の走査を一方から他方へと他方から一方へと往復させて複数回実行することにより形成するようにしている。即ち、切欠き溝33に対してレーザ光60の走査が往復されることにより、切欠き溝33の溝深さが切欠き溝33の全範囲にわたって安定させることができる。また、レーザ光60を照射せずに移動だけを行なう復路の時間を省略することができ、加工時間を短縮できる。
(キ)磁石体30へのレーザ光60の照射は、レーザ光60を加工面上の1軸方向若しくは直交した2軸方向に走査するミラー13,14と、磁石体30表面に集光させるレンズ15と、を備えるスキャナヘッド10を介して行う。即ち、スキャナヘッド10のミラー13,14によりレーザ光60を走査することにより、その走査速度を4000[mm/sec]以上とし、一本の切欠き溝33に対してレーザ光60を複数回照射して切欠き溝33を形成することが容易とできる。
(ク)切欠き溝33は、磁石体30の幅方向に直線状、曲線状、破線状のいずれかの溝により形成される。直線状、曲線状、破線状のいずれかの溝は、走査速度が得やすいため加工パターンであり、切欠き溝33の溝底に埋め戻し等による溶融金属の堆積をさせることなく切欠き溝33の加工が可能である。
(ケ)切欠き溝33を形成する予定部位に沿って走査されるレーザ光60は、走査点が磁石体30上に移動する手前から照射が開始され、走査点が磁石体30上を通過した後に照射が停止されるようにしている。磁石体30上に走査移動する手前でレーザ光60を照射するため、走査速度を上昇させやすくなり、切欠き溝33の溝底に埋め戻し等による溶融金属の堆積をさせることなく溝加工が可能である。
(コ)レーザ光60の複数回の走査は、1回から複数回走査して溝形成後或は溝形成中に、スキャナヘッドと被加工物である磁石体30との距離を漸次近づけつつレーザ光60を照射するようにしている。レーザ光60の焦点を切欠き溝33の形成に応じて前進させて、深い切欠き溝33の形成が可能になる。
(サ)切欠き溝33は磁石体30の分割予定部位に沿って幅方向に形成され、当該磁石体30を切欠き溝33を起点として割断分割して複数の磁石片31を形成し、これら磁石片31同士を互いに整列させて結合するものである。即ち、切欠き溝33の溝底には溶融金属の堆積がなく、溶融金属の凝固収縮に伴って生じるマイクロクラックも生じない。このため、破断応力を均一に発生させて割断を安定させることができ、割断面精度を確保できる。このため、割断された磁石片31の割断面は、凹凸が少なく滑らかな面により形成され、溶融層による突起をもたないため、接着剤による電気的な絶縁が良好とでき、且つ、形状精度のよい界磁極用磁石体80を製造することができる。
(シ)上記項目(ア)から項目(サ)のいずれか一つの界磁極用磁石体80の製造方法によって製造された幅方向の切欠き溝33を備える磁石体30を、切欠き溝33を起点として割断分割して複数の磁石片31に形成し、これら磁石片31同士を互いに整列させて結合して界磁極用磁石体80を形成する。即ち、切欠き溝33として、埋め戻し等による溶融金属の堆積した厚くて強固な溶融層がない溝底が形成可能なので、磁石体30を切欠き溝33の溝底から割断することができる。このため、磁石体30を割断分割したときに突起の少ない割断面が得られ、割断面同士を接着して一体化した磁石を製作した場合に、割断面間で絶縁が確保できる。また、溝底に溶融金属の堆積や、マイクロクラックのない切欠き溝33を加工が可能なので、割断分割の品質が安定し、形状精度のよい界磁極用磁石体80を製造することができる。
(ス)磁石体30は、幅方向の切欠き溝33以外に、切欠き溝33と同等の深さ若しくは切欠き溝33より浅い深さの複数の溝35を、切欠き溝33と平行若しくは直角に、磁石体30の一方の面若しくは両面に、切欠き溝33形成時に同時に形成されるようにしている。複数の溝35は、レーザ加工法により、溝周囲への熱影響をほとんど与えることなく、磁石体30に幅が狭く深い溝を形成することができ、溝形成による磁石体30の熱劣化損失を最小化できる。そして、複数の溝35は、幅が狭く深い溝を形成することが可能であるため、耐熱材、例えば、ジスプロシウムを熱処理により磁石体30の表面から内部に浸透拡散させて磁石体30の耐熱性を向上させることができる。
10 スキャナヘッド
13,14 ミラー
15 レンズ
16 支点
17 ブレード
30,80 磁石体
31 磁石片
32 樹脂
33 切欠き溝
35 複数の溝
42 亀裂
60 レーザ光
61 溝加工部

Claims (13)

  1. 板状の磁石体の切欠き溝を形成する予定部位に沿って、照射するレーザ光を走査することにより切欠き溝を形成する工程を備える界磁極用磁石体の製造方法であって、
    前記切欠き溝を形成する工程は、磁石体に照射するレーザ光の走査方向前方の溝加工部の温度が、磁石体の主相を構成する結晶粒の融点未満であり且つ結晶粒間の粒界相の融点以上となるようにレーザ光を照射して切欠き溝を形成することを特徴とする界磁極用磁石体の製造方法。
  2. 前記レーザ光は、連続波レーザ光であることを特徴とする請求項1に記載の界磁極用磁石体の製造方法。
  3. 前記照射するレーザ光は、波長が900〜1100[nm]のレーザ光であり、加工点集光径をφ200[μm]以下とし、少なくとも粒界相を溶融させるのに必要な入熱以上且つ3000[W]以下の加工点出力として磁石体に照射し、走査速度4000[mm/s]以上で走査することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の界磁極用磁石体の製造方法。
  4. 前記切欠き溝は、一つの切欠き溝を形成する予定部位に対するレーザ光の走査を1回から複数回にわたって実行することにより形成することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一つに記載の界磁極用磁石体の製造方法。
  5. 前記切欠き溝は、一つの切欠き溝を形成する予定部位に対するレーザ光の走査を複数回実行し、磁石体の表面寸法より内部寸法が幅広に形成することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一つに記載の界磁極用磁石体の製造方法。
  6. 前記切欠き溝は、一つの切欠き溝を形成する予定部位に対するレーザ光の走査を一方から他方へと他方から一方へと往復させて複数回実行することにより形成することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一つに記載の界磁極用磁石体の製造方法。
  7. 前記磁石体へのレーザ光の照射は、レーザ光を加工面上の1軸方向若しくは直交した2軸方向に走査するミラーと、磁石体表面に集光させるレンズと、を備えるスキャナヘッドを介して行うことを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか一つに記載の界磁極用磁石体の製造方法。
  8. 前記切欠き溝は、磁石体の幅方向に直線状、曲線状、破線状のいずれかの溝により形成されることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか一つに記載の界磁極用磁石体の製造方法。
  9. 前記切欠き溝を形成する予定部位に沿って走査されるレーザ光は、走査点が磁石体上に移動する手前から照射が開始され、走査点が磁石体上を通過した後に照射が停止されることを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか一つに記載の界磁極用磁石体の製造方法。
  10. 前記レーザ光の複数回の走査は、1回から複数回走査して溝形成後或は溝形成中に、スキャナヘッドと被加工物である磁石体との距離を漸次近づけつつレーザ光を照射するものであることを特徴とする請求項4から請求項9のいずれか一つに記載の界磁極用磁石体の製造方法。
  11. 前記切欠き溝は磁石体の分割予定部位に沿って幅方向に形成され、当該磁石体を切欠き溝を起点として割断分割して複数の磁石片を形成し、これら磁石片同士を互いに整列させて結合する請求項1から請求項10のいずれか一つに記載の界磁極用磁石体の製造方法。
  12. 請求項1から請求項11のいずれか一つに記載の界磁極用磁石体の製造方法によって製造された幅方向の切欠き溝を備える磁石体を、切欠き溝を起点として割断分割して複数の磁石片に形成し、これら磁石片同士を互いに整列させて結合したことを特徴とする界磁極用磁石体。
  13. 前記磁石体は、前記幅方向の切欠き溝以外に、前記切欠き溝と同等の深さ若しくは切欠き溝より浅い深さの複数の溝を、切欠き溝と平行若しくは直角に、磁石体の一方の面若しくは両面に、請求項1から請求項11のいずれか一つに記載の界磁極用磁石体の製造方法によって、切欠き溝形成時に同時に形成されることを特徴とする請求項12に記載の界磁極用磁石体。
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