JP6547933B2 - 繊維強化複合材料のレーザー加工方法及びそのレーザー加工装置 - Google Patents

繊維強化複合材料のレーザー加工方法及びそのレーザー加工装置 Download PDF

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本発明は、繊維強化複合材料のレーザー加工方法およびそのレーザー加工装置に関する。更に詳しくは、パワーレーザービームの多重線掃引技術を用いた繊維強化複合材料の厚物部材に対する高速かつ高品位な切断または穴あけ等のレーザー加工方法およびその装置に関する。
炭素繊維強化樹脂材料(CFRP)に代表される繊維強化複合材料は、自動車や航空機などの輸送機器に使用することによりその躯体重量を大幅に軽量化することが可能になることから、燃費改善および環境負荷軽減が期待される材料である。旅客航空機用途のCFRP部材の加工工程では超硬工具による機械加工、または、研磨材微粒子を混入させたウォータージェット加工が実用技術として用いられている。しかし、両加工法では毎分1mを超える加工速度を得ることが容易でないため、メートル級サイズの量産型普通自動車用の部品加工等に積極適用が難しい状況にある。
レーザーは光としての単色性、集光性、指向性、および、干渉性等の特性に優れており、とくに集光状態ではパワー密度が極めて高いエネルギー源となることから、広範な材料に対して加熱、溶融、蒸発・蒸散処理を行うことができる。さらに、光は制御性や伝送性が良いために、光源装置の主要特性パラメータである、波長、平均出力、ビーム品位等を最適に設定し、目的に応じた照射光学系を設置することで、加工領域に作用するレーザーの時間幅や空間範囲を精密に制御することができる。結果として、加工品の精度や品質が高く、付加価値の高い製品製造方法に適用することができる。
高出力型のレーザー装置を用いることで、CFRP材料等の切断・穴あけ・トリミングといった材料加工を、上記の機械加工やウォータージェット加工よりも高速に行うことが可能になる。炭素繊維強化複合材料の炭素繊維(CF)は5〜10ミクロン直径の高耐熱性かつ高伝熱性の繊維材料である。一方、炭素繊維強化複合材料の樹脂部は対照的に低耐熱性・低伝熱性のマトリックス材料が用いられ、エポキシ樹脂に代表される熱硬化型樹脂、または、ポリアミド樹脂やポリカーボネート樹脂に代表される熱可塑型樹脂が使用されている(非特許文献1および非特許文献2)。
CFRPは両材料を複合化(積層化)した構造なので、高出力レーザー照射時に頻発する過剰入熱が発生した場合に、樹脂部で熱損傷や層間剥離が発生し易い傾向が認められる。とくに、炭素繊維が加工時の伝熱経路として作用するので、加工部位の樹脂領域に熱損傷が拡散する懸念がある。これらの熱損傷によって、繊維表面と樹脂部界面の密着度が低下すれば、構造材としての力学強度特性が劣化するので、加工部位周囲への熱損傷拡散は極力回避する必要がある(非特許文献2)。
そこで、CFRP材料等の繊維強化複合材料のレーザー加工に対して、発振波長またはパルス時間幅の異なる複数のレーザー装置を使用し、第一レーザー照射で切断面に発生した炭化層および熱影響層を、第二レーザー照射で除去する方法が開発されている(特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4)。また、レーザー照射によって発生する分解副生成物をレーザー照射部へガス等を噴射させて除去するレーザー加工方法(特許文献5)、複合材料部材の熱伝導方程式等に基づいたレーザー出力や加工速度の最適設定する加工方法(特許文献6、特許文献7)、特異形状に整形したレーザービーム照射法(特許文献7)が開発されている。
特開平06−142961号公報 特開2010−247206号公報 特開2011−56583号公報 特開2006−247665号公報 特開2012−192420号公報 特開2012−11409号公報 特開平08−10970号公報 特開2007−21528号公報
H.Niinoら、JLMN-Journal of Laser Micro/Nanoengineering誌、 Vol. 9、No. 2、PP.180-186(2014). Y.Haradaら、Materials Science Forum誌、Vols. 783-786、pp 1518-1523(2014).
しかしながら、特許文献1〜4記載の方法では、加工工程を実施するためには、複数台数のレーザー装置が必要であり、製造装置構築のための設備投資が過大になる欠点がある。
また、特許文献5記載の方法では、レーザー照射部へ噴射するガス流体の存在が必須であることから、的確な気体または液体を別途準備する必要があり、ランニングコスト増加の原因になるなどの点に課題を残していた。特許文献6記載の方法は、レーザー光の強集光空間ポジションを加工部位に一致させることを特徴としており、レーザー出力を樹脂部の熱特性に合わせて最適値に低減可変することから、常に光源装置の最高出力では加工できない方法である。特許文献7記載の方法は、多層薄膜状の複合材料を加工対象としており、CFRP材料等の繊維強化複合材料では繊維と樹脂部がミクロに混在化しているので、本手法を適用することが出来ない。特許文献8記載の方法は、無機ガラス材料等の脆性複合材料を対象にレーザー光を楕円状または矩形状に整形して基材に照射する方法で、繊維強化複合材料を対象としていない。
このような状況において、上記発明よりもより簡便、かつ、高速・高品位にCFRP材料等の繊維強化複合材料を加工するレーザー加工法が期待されている。
本発明の目的は、高出力パワーレーザーによる繊維強化複合材料の切断、穴あけ、または、トリミング等の加工を行うにあたり、高速かつ高品位な加工特性を得るためにレーザー照射を精密に最適化する、繊維強化複合材料の高速レーザー加工方法およびその高速レーザー加工装置を提供することにある。
本発明者らは、単重線または多重線状にレーザービームを高速掃引する高出力パワーレーザー照射による繊維強化複合材料の加工挙動を精密解析したところ、加工速度には高速加工領域と低速加工領域の2領域が、多重線度(レーザービーム本数の度合い)や加工深さに依存して存在すること見出した。さらに、多重線状レーザービーム照射の異なる多重線度のレーザービームの併用切替工程を鋭意検討した結果、厚物部材の高速加工処理効果を発見し、本発明をなすに至った。
上述の目的は、以下の第(1)項〜第()項によって達成される。
(1)
レーザー発振器から発振されたパワーレーザービームを伝送して繊維強化複合材料部材の加工部位へ照射し、加工する方法であって、
前記パワーレーザービームを加工部位上で設計上の加工ラインを中心に一定の間隔を有した多重線状に掃引し複数パス照射する第一工程と、
前記第一工程の進展に従い、加工深さが順次深くなってきた際に多重線度を低減させる第二工程と、
からなり、
前記第一工程から第二工程に移行するタイミングを、前記多重線度での加工領域の加工深さを基準に設定することを特徴とする繊維強化複合材料のレーザー加工方法。
(2)
前記繊維強化複合材料部材の厚みを、0.5mm以上とすることを特徴とする(1)に記載の繊維強化複合材料のレーザー加工方法。
(3)
前記繊維強化複合材料部材の繊維種を、炭素繊維、ポリアミド繊維、ならびに、ナノセルロースファイバの内から選ばれるいずれか1種とすることを特徴とする(1)に記載の繊維強化複合材料のレーザー加工方法。
(4)
前記レーザー発振器を、平均出力100W以上の1台のファイバレーザー装置とすることを特徴とする(1)に記載の繊維強化複合材料のレーザー加工方法。
(5)
前記パワーレーザービームの掃引を、5cm/秒以上の速度とすることを特徴とする(1)に記載の繊維強化複合材料のレーザー加工方法。
(6)
前記加工領域の加工深さの前記基準を、同一レーザー強度における加工領域と、前記加工領域より1パス当たりの平均加工深さが浅い低速加工領域の境界である屈曲点としたことを特徴とする(1)に記載の繊維強化複合材料のレーザー加工方法。
(7)
レーザー発振器から発振されたパワーレーザービームを伝送して繊維強化複合材料部材の加工部位へ照射し、加工する装置であって、
前記パワーレーザービームを加工部位上で設計上の加工ラインを中心に一定の間隔を有した多重線状に掃引し複数パス照射する第一加工手段と、
前記第一加工手段の進展に従い、加工深さが順次深くなってきた際に多重線度を低減させる第二加工手段を備えてなり、
前記第一加工手段から第二加工手段に移行するタイミングを、前記多重線度での加工領域の加工深さを基準に設定することを特徴とする繊維強化複合材料のレーザー加工装置。
とした。
本発明に従うと、繊維強化複合材料の厚物部材に対するレーザー加工において、1台の高出力パワーレーザー装置の利用で、繊維強化複合材料部材の切断、穴あけ、または、トリミング等に関して、第二工程の移行タイミングを設定する照射方式の精密化で、高速・短時間にかつ高品位な加工特性を得ることができる。具体的な応用例としては、量産型普通乗用車製造に用いることでその効果を最大限に発揮することができる。
多重線加工の説明図である。 単重線照射におけるパス数と加工深さの関係図である。 二重線照射におけるパス数と加工深さの関係図である。 二重線および単重線レーザービームの併用切替照射におけるパス数と加工深さの関係図である。1パス〜20パスまでは二重線、21パス〜36パスまでは単重線照射とした。
本発明の繊維強化複合材料の高速・高品位加工方法の好ましい実施の態様について詳細に説明する。
本発明では、第一段階として高出力パワーレーザービームを加工基材上で設計上の加工ラインを中心に一定の間隔を有した多重線状に高速掃引で、繊維強化複合材料部材に複数パス照射する(図1)。さらに、第二段階として多重線加工工程の進展に従い、加工深さが順次深くなってきた際に多重線度を低減させる。このとき、多重線(ここでは、二重線)状に複数パス照射する多重線照射(図1右部(B))すると、単重線照射時(図1左部(A))よりも切り幅(カーフ幅)の広い加工ができる特徴がある。
但し、多重線状照射において単重線照射時と同じ加工深さを得るには、カーフ幅が広がっている分だけ照射パス数が余分に必要になることから、部材の上部から下部まで完全に切断するためには多重線状照射は長時間かかる効率の悪い加工になる。したがって、短時間の加工処理を行うには、単重線または多重度の低い多重線状照射を行うことが加工指針となる。
ここで本発明の前提となる実験結果について説明する。厚物の複合材料部材(CFRP連続繊維材料、厚さ:3mm)に単重線レーザー加工(平均出力:3kWに固定して照射)を行った結果を図2に示す。
1パス〜15パス照射までは、1パスあたり約0.13mmの深さで加工が深くなっているが、それ以降50パスまでは約0.016mm/パスに加工速度が1/8に低下していることが、マイクロX線CT分析による加工深さの精密測定から判明した(CT、Computed Tomography:コンピュータ断層撮影)。
この結果は、照射15パスまでの高速加工領域とそれ以降の低速加工領域の2領域が、積算照射パス数に対応して存在する重要事象を示している。図2の場合、2領域の境界(屈曲点)は照射15パス近傍に存在する。
屈曲点は、事前検討において、横軸を照射パス数、縦軸を加工深さとしたときの高速加工領域の1次関数グラフの傾きと、低速加工領域の1次関数グラフの傾きとの交点の照射パス値(近傍の整数値)として求めることができる(図2)。また、照射パス時の加工深さを、高速加工領域の平均加工深さと、リアルタイムで比較し、加工深さの差の大小を基準に多重線度を低減させる変更(第一工程と第二工程の移行タイミングに設定)する制御をすることもできる。
これまで、部材の厚みが増すに従い加工処理時間が厚みの増加に線形比例せずに飛躍的に時間がかかる現象が経験的に広く知られていた。しかし、その詳細は不明であった。今回のマイクロX線CT分析による加工深さの精密測定からメカニズムを正確に把握することができた。なお、この単重線レーザー加工での入射口カーフ幅は、0.18mm〜0.20mmで、厚み中央でのカーフ幅は約0.05mmであった。
また、同様の基材に二重線でレーザー加工を行った結果では、レーザー照射線を設計上の加工ラインから±0.05mm離した場合(図3)、1パス〜25パス照射までは、1パスあたり約0.10mmの深さで加工が深くなっているが、それ以降50パスまで約0.020mm/パスの加工速度である。図3の場合、2領域の境界(屈曲点)は照射25パス近傍に存在する。なお、この二重線レーザー加工での入射口カーフ幅は、0.30mmで、厚み中央でのカーフ幅は約0.1mmであった。
これらの単重線ならびに二重線の加工実験結果から導き出せる結論として、
1.CFRP連続繊維材料を加工対象にした際に、同一レーザー強度において、
高速加工領域と、高速加工領域より1パス当たりの平均加工深さが浅い低速加工領域の
2領域が存在する。その境界が屈曲点である。
2.高速加工領域では多重線度の低い照射の方が加工速度は速く、
低速加工領域では多重線度の高い照射の方が加工速度は速い。
3.高速および低速加工の2領域間境界のパス数は、多重線度に依存し、
多重線度の低い照射の方が少ないパス数で領域間境界に早く到達する。
が挙げられる。
そこで、上記結論から容易に導き出せる加工方法として、厚物部材を加工する際は多重線度の高い照射を活用することで、より高速な加工が実現する。これは、多重線度の高い照射の方がカーフ幅を広くすることができるためで、部材深内部を加工する際にレーザー光が加工先端底部に到達できることを意味する。逆にカーフ幅が狭いと入射レーザー光が側壁面に吸収されてしまい、加工に必要な光量が十分に到達できず、加工速度が低下することになる。
本発明では、さらなる高速加工を実現するために、レーザービームの多重度を加工進展に従って暫時低減する多重度併用照射を大きな特徴とする。低多重度に移行する最適タイミングとして、該多重線度の高速加工領域の加工深さを基準に設定することで、高効率に高速加工を促進させる。つまり、上記図2および図3の加工を例にとると、第一段階として二重線加工を20パスまで実施し、以降、単重線加工での照射を行うものである。これにより、3mm厚さのCFRP基材に対して、合計36パスで貫通溝加工ができることを実証した(図4)。これら第二段階への移行により、繊維強化複合材料の厚物部材に対するレーザー加工において、高品位な加工表面を維持しつつ、部材加工を高速・短時間に効率よく実施する加工方法を提供する。また、これらのレーザービームの多重度併用照射は、線形計画法の手法を用いて照射回数を最小化することができる。
本発明でのレーザービームの走査方法は、必要とする加工精度が保証される試料移動ステージ(自動ステージ)を用いて試料を固定し、ガルバノミラーとfθレンズを組み合わせてレーザービームを走査する方法、または、多軸加工ノズルによる照射が有効である。
本発明で重要なポイントは、高速掃引のレーザー光を加工に用いることである。低速掃引ではレーザー照射部位の周囲に照射損傷が現れ易いので、平均出力100W以上のレーザー光を1cm/秒以下の掃引速度で照射するのは全く適さない。平均出力1kW以上の場合には少なくとも5cm/秒以上掃引速度は必要である。速度がさらに、熱損傷領域を0.1mm以内に抑制する高品位加工を1kW照射の高速処理として実施するには、1m/秒以上の掃引速度が好ましい。
使用するレーザー装置は、ファイバーレーザー、YAGレーザー、半導体レーザー(LDレーザー)、YLFレーザー、YVOレーザー、ディスクレーザー、半導体ダイオード励起固体レーザー、色素レーザー、炭酸ガスレーザー、Krイオンレーザー、Arイオンレーザー、銅蒸気レーザー、エキシマレーザー、チタンサファイヤレーザー、スラブレーザー等の基本発振波長光、およびその基本発振波長光を非線形光学素子などにより高調波に変換したものを用いることもできる。
本発明では、レーザー照射雰囲気は、大気中で問題なく加工を行うことができる。この他に、真空雰囲気や各種のガス雰囲気や液体中でも可能である。しかし、ガス雰囲気や液体の場合には当該ガス・液体でレーザー波長に吸収がないことが重要である。
本発明に用いられる繊維強化複合材料としては、繊維種を炭素繊維、ポリアミド繊維、ならびに、ナノセルロースファイバ、スーパー繊維が挙げられる。樹脂部は対照的に低耐熱性・低伝熱性のマトリックス材料が用いられ、エポキシ樹脂に代表される熱硬化型樹脂、または、ポリアミド樹脂ポリプロピレン樹脂、ナイロン樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、ABS樹脂、ポリカーボネート樹脂に代表される熱可塑型樹脂が使用されている。複合材料の形態は基板状、容器状、管状など任意の形状で良い。
本発明における加工方法に用いることができるシステム装置は、ガルバノミラーとfθレンズを組み合わせてレーザービームを走査する方法、ポリゴンミラー走査方法、または、多軸加工ノズルが搭載されている装置が有効で、必要とする加工精度が保証される試料移動ステージ(自動ステージ)を用いて試料を固定したものを用いることもできる。
本発明方法では、特許文献1〜4の他手法が複数台のレーザー装置が必要であることに比べて、一台のレーザー処理で加工を完了することができる。さらに、加工設計パターンを再現性の高く実現できることから、本発明は高速化、精密化、高品質化できる方法であると共に、本発明は非常に低コストであり、量産性に富む方法を提供する。
なお、本発明によって提供可能な成型品としては、例えば、自動車用部材、飛行機用部材、船舶用部材、エンジン用部材、発電用部材、住宅・建物用建材、ロボット用部材、制震材、コンピュータ用部材などのメートル級〜センチメートル級サイズの産業応用材料などで、オートクレーブ成形品、射出成型品、プレス成型品が挙げられる。
なお、本発明は、上述の実施形態に制限されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
次に、本発明を実施例に基づいて、さらに詳細に説明する。
[実施例1]
厚物の複合材料部材(PAN系CFRP連続繊維材料エポシキ樹脂、厚さ:3mm)に第一段階として二重線加工(平均出力:3kWに固定して照射、レーザー照射線を設計の加工ラインから±0.05mm分離、レーザー光掃引速度は3.6m/秒に設定)を20パスまで実施した。その後、設計上の加工ラインと同一線上の単重線加工での照射を16パス行った。
これにより、3mm厚さのCFRP基材に対して貫通溝加工ができた(図4)。加工速度は6.0m/分と算出された。また、マイクロX線CT分析による内部構造の精密測定から、熱損傷領域は0.10mm以下であることが判明した。なお、このレーザー加工での入射口カーフ幅は、0.40mmで、厚み中央でのカーフ幅は約0.10mmであった。
[実施例2]
厚物の複合材料部材(ピッチ系CFRP連続繊維材料エポシキ樹脂、厚さ:3mm)に第一段階として二重線加工(平均出力:3kWに固定して照射、レーザー照射線を設計の加工ラインから±0.05mm分離、レーザー光掃引速度は3.6m/秒に設定)を20パスまで実施した。その後、設計の加工ラインと同一線上の単重線加工での照射を20パス行った。
これにより、3mm厚さのCFRP基材に対して貫通溝加工ができ、加工速度は5.4m/分と算出された。また、マイクロX線CT分析による内部構造の精密測定から、熱損傷領域は0.15mm以下であることが判明した。なお、このレーザー加工での入射口カーフ幅は、0.40mmで、厚み中央でのカーフ幅は約0.10mmであった。
[比較例1]
厚物の複合材料部材(CFRP連続繊維材料、厚さ:3mm)に単重線レーザー加工(平均出力:3kWに固定して照射、レーザー光掃引速度は3.6m/秒に設定)を行った。1パス〜15パス照射までは、1パスあたり約0.13mmの深さで加工が深くなっているが、それ以降50パスまでは約0.016mm/パスに加工速度が1/8に低下していることが、マイクロX線CT分析による加工深さの精密測定から判明した(図2)。貫通加工には至らなかった。
この結果は、照射15パスまでの高速加工領域とそれ以降の低速加工領域の2領域が積算照射パス数に対応して存在している。なお、この単重線レーザー加工での入射口カーフ幅は、0.18mm〜0.20mmで、厚み中央でのカーフ幅は約0.05mmであった。
[比較例2]
厚物の複合材料部材(CFRP連続繊維材料、厚さ:3mm)に二重線レーザー加工(平均出力:3kWに固定して照射、レーザー光掃引速度は3.6m/秒に設定)を行った。レーザー照射線を設計の加工ラインから±0.05mm離した場合(図3)、1パス〜25パス照射までは、1パスあたり約0.10mmの深さで加工が深くなっているが、それ以降50パスまで約0.020mm/パスの加工速度である。貫通加工には至らなかった。
図3の場合、2領域の境界(屈曲点)は照射25パス近傍に存在した。なお、この二重線レーザー加工での入射口カーフ幅は、0.30mmで、厚み中央でのカーフ幅は約0.1mmであった。
[比較例3]
樹脂層を難燃性ポリカーボネート樹脂および短繊維長型の炭素繊維を30%含有するCFRTP材料(熱可塑樹脂型炭素繊維強化複合材料、ペレット原料からのプレス成型平板試験片、厚さ3mm)に対して、単重線レーザー加工(平均出力:1kWに固定して照射)を行った(非特許文献1)。
レーザー光掃引速度を2.3m/秒に設定した時には42パス照射で貫通溝加工が達成し(加工速度:3.2m/分)、0.8m/秒に設定した時には14パス照射で貫通溝加工ができた(加工速度:3.4m/分)。マイクロX線CT分析による加工深さの精密測定からは、全ての照射パス数の領域において、パス数と加工深さの間に直線関係があることが判明した。また、内部構造の精密測定から、熱損傷領域は0.1mm以下であった。なお、この単重線レーザー加工での入射口カーフ幅は約0.3mmで、厚み方向中央部でのカーフ幅は約0.2mmであった。この結果は、短繊維長型炭素繊維強化複合材料では、カーフ幅が連続繊維型よりも大きいので、本発明の多重線加工を適用する必要がないことがわかった。

Claims (7)

  1. レーザー発振器から発振されたパワーレーザービームを伝送して繊維強化複合材料部材の加工部位へ照射し、加工する方法であって、
    前記パワーレーザービームを加工部位上で設計上の加工ラインを中心に一定の間隔を有した多重線状に掃引し複数パス照射する第一工程と、
    前記第一工程の進展に従い、加工深さが順次深くなってきた際に多重線度を低減させる第二工程と、
    からなり、
    前記第一工程から第二工程に移行するタイミングを、前記多重線度での加工領域の加工深さを基準に設定することを特徴とする繊維強化複合材料のレーザー加工方法。
  2. 前記繊維強化複合材料部材の厚みを、0.5mm以上とすることを特徴とする請求項1に記載の繊維強化複合材料のレーザー加工方法。
  3. 前記繊維強化複合材料部材の繊維種を、炭素繊維、ポリアミド繊維、ならびに、ナノセルロースファイバの内から選ばれるいずれか1種とすることを特徴とする請求項1に記載の繊維強化複合材料のレーザー加工方法。
  4. 前記レーザー発振器を、平均出力100W以上の1台のファイバレーザー装置とすることを特徴とする請求項1に記載の繊維強化複合材料のレーザー加工方法。
  5. 前記パワーレーザービームの掃引を、5cm/秒以上の速度とすることを特徴とする請求項1に記載の繊維強化複合材料のレーザー加工方法。
  6. 前記加工領域の加工深さの前記基準を、同一レーザー強度における加工領域と、前記加工領域より1パス当たりの平均加工深さが浅い低速加工領域の境界である屈曲点としたことを特徴とする請求項1に記載の繊維強化複合材料のレーザー加工方法。
  7. レーザー発振器から発振されたパワーレーザービームを伝送して繊維強化複合材料部材の加工部位へ照射し、加工する装置であって、
    前記パワーレーザービームを加工部位上で設計上の加工ラインを中心に一定の間隔を有した多重線状に掃引し複数パス照射する第一加工手段と、
    前記第一加工手段の進展に従い、加工深さが順次深くなってきた際に多重線度を低減させる第二加工手段を備えてなり、
    前記第一加工手段から第二加工手段に移行するタイミングを、前記多重線度での加工領域の加工深さを基準に設定することを特徴とする繊維強化複合材料のレーザー加工装置。
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