JP2015039900A - 自動車用皮革巻き把持部構造 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】縫い合わせラインSで対向する皮革材20の端辺部20a,20b同士を、棒状体2の断面周方向に所定距離離間させて、これらの間に、棒状体2の延在方向に合致して延びる線条装飾体L1を収容し、皮革材20の端辺部20a,20b同士を縫い合わせる縫合糸21,22のステッチ23が、線条装飾体L1の表面に接触して、これを押える態様で設けられたことを特徴とする。
【選択図】図4
Description
すなわち、一方の皮革材の端縁部を折り返して重合部を形成すると共に、他方の皮革材の端縁部も同様に折り返して重合部を形成し、一方の皮革材の重合部の端縁と、他方の皮革材の重合部の端縁とが、互いに接するように糸を用いて接合し、また一方の皮革材の重合部を糸で縫い合わせると共に、他方の皮革材の重合部も同様に糸で縫い合わせ、所謂ダブルステッチを構成する一方、縫製部の見栄えの向上を図るために、重合部の下部における基材に凹部や凸部を形成したものである。
この従来構造は、シフトノブ、パーキングブレーキノブやドアの取手等の把持部に適用することができるが、さらなる装飾性、意匠性の向上が要求されるものである。
また、ステアリングホイールのリム(把持部)を皮革材で被覆した自動車用皮革巻き把持部構造としては、特許文献2に開示されたものがある。
上述の把持部はステアリングホイールやパーキングブレーキレバーに設定してもよく、また、上述の皮革材は合成皮革材であってもよい。さらに、上述の線条装飾体(いわゆる加飾部材)としては、光沢のある金属材料や皮革材とは異なる色の皮革材、または合成樹脂材の表面に、金メッキ層、銀メッキ層などの貴金属メッキ層その他の光沢のある金属メッキ層を化学メッキにより形成したもの等を用いることができる。
また、皮革材の端辺部同士を縫い合わせる縫合糸のステッチにより、把持部のグリップ性向上を図ることができる。
さらに、上記ステッチが、線条装飾体の表面に接触して、これを押える態様で設けられているので、皮革材および線条装飾体の浮き上がりを防止することができる。
すなわち、上述の線条装飾体は、把持部の長さに対応して所定の長さを有すると共に、所定の高さを有するものであるが、当該線条装飾体の一部を溝部に収容するので、該線条装飾体の位置ずれを防止することができる。
しかも、上記装飾部は、ぶつ切り状に終止することなく、その端部に向けて細り、皮革材の端辺部が互いに合致して縫い合わされた位置で終止するので、意匠性のさらなる向上を図ることができる。
上述の第1係止糸および第2係止糸は、所謂下糸で形成してもよく、また、上述のステッチが互いに交差する位置関係は、X字状に交差するクロスステッチが好ましい。
図面は自動車用皮革巻き把持部構造を示し、図1は把持部としてのステアリングホイールと、線条装飾体としてのライナの分解図、図2の(a)は図1の要部拡大断面図、図2の(b)は図2の(a)のB−B線矢視断面図、図3は線条装飾体としてのライナの部分拡大斜視図、図4は皮革材巻付け後における図1の矢印A視正面図である。但し、図1,図2は皮革材巻付け前の状態を示している。
さらに、スポーク4,5間において右下側に位置するリム2の内周部には、非分割構造のライナL3の一部(埋込み基部)を収容する溝部12が凹設されると共に、この溝部12の両端部には、ライナL3の端部を突刺して埋める穴部13,14を、該溝部12と連続するように形成している。
上述の2つ割り構造のライナL1,L1は、分割面15で左右に2分割されており、左側のライナL1と右側のライナL1とは、左右対称に形成されている。
上述の縫い合わせラインSは、皮革材20の端辺部20a,20b同士が所定距離離間した部位と、皮革材20の端辺部20a,20b同士が互いに合致した部位と、の双方を含み、これら両部位の延びる方向に形成されるラインを意味する。
ここで、上述の止め縫いに用いる縫合糸24は、上述の縫合糸21または22と同一の糸であってもよく、または、別の糸であってもよい。
また、皮革材20の端辺部20a,20b同士を縫い合わせる縫合糸21,22のステッチ23により、把持部(ステアリングホイール1)のグリップ性向上を図ることができる。
さらに、上記ステッチ23が、線条装飾体(ライナL1)の表面に接触して、これを押える態様で設けられているので、皮革材20および線条装飾体(ライナL1)の浮き上がりを防止することができる。
すなわち、上述の線条装飾体(ライナL1)は、把持部(ステアリングホイール1、特に、そのリム2参照)の長さに対応して所定の長さを有すると共に、所定の高さを有するものであるが、当該線条装飾体(ライナL1)の一部(埋込み基部51)を溝部6に収容するので、該線条装飾体(ライナL1)の位置ずれを防止することができる。
しかも、上記装飾部52は、ぶつ切り状に終止することなく、その端部52a(図3参照)に向けて次第に細り、皮革材20の端辺部20a,20bが互いに合致して縫い合わされた位置(図4の部位20c参照)で終止するので、意匠性のさらなる向上を図ることができる。
図5の(a)は皮革材端辺部同士の縫合構造の他の実施例を示す拡大説明図、図5の(b)は図5の(a)におけるC部の拡大断面図である。
また、皮革材20の端辺部20a,20b同士を縫い合わせる縫合糸27,28,29(上糸)は合計3本用いている。これらの各縫合糸27〜29は皮革材20の表面に位置する。
そして、縫合糸27の左側の各折返し部27dを、左側に位置する縫合糸28の各折返し部28bで係止すると共に、縫合糸27の右側の各折返し部27bを、右側に位置する縫合糸29の各折返し部29bで係止している。
この場合、皮革材20および各縫合糸27,28,29をそれぞれ黒色とし、下糸25,26を黒色に対して明るい色、例えば、赤色とすると、赤色の表出部25a,26aが周期的に視認できる高い意匠性を発揮することができ、下糸25,26が目立つ縫合構造を確保することができる。
図6の(a)は皮革材端辺部同士の縫合構造のさらに他の実施例を示す拡大説明図、図6の(b)は図6の(а)におけるD部の拡大断面図である。
図6において、縫い合わせラインSに沿って左右両側の皮革材20にそれぞれ縫われて各端辺部20a,20bと平行に延在する第1係止糸としての下糸25と、第2下糸としての下糸26とを有している。これからの各下糸25,26は左右両側の皮革材20の裏面に位置する。
また、皮革材20の端辺部20a,20b同士を縫い合わせる縫合糸31,32,33,34(上糸)は合計4本用いている。これらの各縫合糸31〜34は皮革材20の表面に位置する。
上述の各縫合糸31,32,33,34は撓むことなく張設されている。
つまり、上述の皮革材20の端辺部20a,20b間には、X字状に交差するクロスステッチ35が形成されると共に、当該クロスステッチ35が、ライナL1の表面に接触して、これを押えるように構成されたものである。
また図6に示す実施例において、皮革材20および各縫合糸31,32を黒色とし、左右の縫合糸33,34を黒色に対して明るい色、例えば、赤色とすると、左右の縫合糸33,34のジグザグ形状を意匠部として目立たせることができ、高い意匠性を発揮することができる。
図7は皮革材端辺部同士の縫合構造のさらに他の実施例を示す拡大説明図である。
図7において、縫い合わせラインSに沿って左右両側の皮革材20にそれぞれ縫われて各端辺部20a,20bと平行に延在する第1係止糸としての下糸25と第2係止糸としての下糸26とを有している。これらの各下糸25,26は左右両側の皮革材20の裏面に位置する。
また、皮革材20の端辺部20a,20b同士を縫い合わせる縫合糸36,37,38,39(上糸)は合計4本用いている。これらの各縫合糸36〜39は主に皮革材20の表面に位置する。
つまり、上述の皮革材20の端辺部20a,20b間には、X字状に交差するクロスステッチ40が形成されると共に、当該クロスステッチ40が形成されると共に、当該クロスステッチ40が、ライナL1の表面に接触してこれを押えるように構成されたものである。
図8は皮革材端辺部同士の縫合構造のさらに他の実施例を示す拡大説明図である。
図8においては、縫い合わせラインSに沿って皮革材20に縫われて左側の端辺部20aと平行に延在し、かつ皮革材20の裏面に位置する第1係止糸としての下糸25を有している。
また、皮革材20の端辺部20a,20b同士を縫い合わせる縫合糸41,42(上糸)は合計2本用いている。これらの縫合糸41,42は主に皮革材20の表面に位置する。
上述の各縫合糸41,42はそれぞれ撓むことなくジグザグ状に張設されている。
そして、縫合糸41の左側に位置する折返し部41dを、縫合糸42の右側に位置する折返し部42dで係止している。
つまり、上述の皮革材20の端辺部20a,20b間にはステッチ43が形成されると共に、当該ステッチ43が、ライナL1の表面に接触して、これを押えるように構成されたものである。
図9の(a)〜(d)、図10の(a)〜(d)は、それぞれ基材17と線条装飾体としてのライナの関連構造の他の実施例を示す断面図である。
これら各図で示すライナL4〜L11も、ステアリングホイール1のスポーク間で独立して設けられるものであり、また、これらの各ライナL4〜L11においても、装飾部52がその端部に向けて細るように形成されている。
そして、上述の基部51を溝部6に埋込み固定すると共に、これら両者51,6を接着剤にて接着固定したものである。
この場合、ライナL10を一体形成する基材17は、皮革材20とは異なる色で形成するか、または、合成樹脂製の基材17表面に、金メッキ層、銀メッキ層などの貴金属メッキ層、その他の光沢のある金属メッキ層を化学メッキにより形成したもの等を用いることができる。
図11は線条装飾体としてのライナの端部処理構造の他の実施例を示し、図11の(a)は皮革材巻き付け前の側面図、図11の(b)は図11の(a)のE−E線矢視断面図、図11の(c)は図11の(a)のF−F線矢視断面図、図11の(d)は皮革材巻き付け後の正面図、図11の(e)は図11の(d)のG−G線矢視断面図、図11の(f)は図11の(d)のH−H線矢視断面図である。
つまり、ライナL12はその長手方向の一端側を埋込み基部51とし、その長手方向の他端側を装飾部52としたものであり、所定範囲αにおいて埋込み基部51は基材17表面と同じ高さになるよう埋込まれている。
また、ライナL12が、溝部6に合致する埋込み基部51と、縫い合わせラインSでステッチ30の間から露出する隆起した装飾部52とから成り、図11の(a)に示す所定範囲βにおいて、図11の(d)に示すように、装飾部52は見掛け上、その一端側に向けて細り、皮革材20の端辺部20a,20bが互いに合致して縫い合わされた位置で終止するように形成されている。
図11で示したこの実施例においても、その他の構成、作用、効果については、先の実施例とほぼ同様であるから、図11において、前図と同一の部分には、同一符号を付してその詳しい説明を省略する。
図12は、本発明の自動車用皮革巻き把持部構造を、パーキングブレーキレバーに適用した実施例を示す斜視図である。
パーキングブレーキを操作するパーキングブレーキレバー60を設け、該パーキングブレーキレバー60(つまり把持部)を被覆する皮革材20の合わせ目の縫い合わせラインSが当該パーキングブレーキレバー60の長手方向に延在するように配置されている。
図12で示したこの実施例においても、その他の構成、作用、効果については、先の実施例とほぼ同様であるから、図12において、前図と同一の部分には、同一符号を付して、その詳しい説明を省略する。
図13の(a)、(b)はライナの他の実施例を示す斜視図である。
図13の(a)に示すライナL14は、溝部に合致する埋込み基部51をその下部に有し、縫い合わせラインSでステッチの間から露出する隆起した装飾部52をその上部に有し、これら両者51,52を合成樹脂で一体形成すると共に、長手方向両端部にはその端部53aに向けて先細りとなるU字状の先細り部53,53を形成したものである。
この場合、基材17にはライナL14形状に合致した溝部が凹設される。
この場合、基材17にはライナL15形状に合致した溝部が凹設される。
この発明の把持部(棒状体)は、実施例のステアリングホイール1のリム2、またはパーキングブレーキレバー60に対応し、
以下同様に、
線条装飾体は、ライナL1〜L15に対応し、
第1係止糸は、下糸25に対応し、
第2係止糸は、下糸26に対応するも、
この発明は、上述の実施例の構成のみに限定されるものではない。
例えば、皮革材20の色、ライナL1〜L15の色、下糸25,26の色、縫合糸の色を、同色、異色、同系統の色に任意に選定し、目立つ部分と目立たない部分とに区分して所望の意匠性を確保するように構成することができる。また、上述の下糸25,26、縫合糸としては金糸や銀糸を用いてもよい。
2…リム(棒状体)
3,4,5…スポーク
6,9,12…溝部
20…皮革材
20a,20b…端辺部
21,22,27〜29,31〜34,36〜39,41,42…縫合糸
23,30,35,40,43…ステッチ
25…下糸(第1係止糸)
26…下糸(第2係止糸)
51…埋込み基部
52…装飾部
60…パーキングブレーキレバー(把持部)
L1〜L15…ライナ
S…縫い合わせライン
Claims (5)
- 把持部である棒状体を被覆する皮革材の合わせ目の縫い合わせラインが当該棒状体の長手方向に延在するよう配置された自動車用皮革巻き把持部構造であって、
上記縫い合わせラインで対向する皮革材の端辺部同士を、上記棒状体の断面周方向に所定距離離間させて、
これらの間に、上記棒状体の延在方向に合致して延びる線条装飾体を収容し、
上記皮革材の端辺部同士を縫い合わせる縫合糸のステッチが、当該線条装飾体の表面に接触して、これを押える態様で設けられた
自動車用皮革巻き把持部構造。 - 上記棒状体の長手方向に沿って、上記線条装飾体に合致して当該線条装飾体の一部を収容する溝部が凹設された
請求項1記載の自動車用皮革巻き把持部構造。 - 上記線条装飾体が、上記溝部に合致する埋込み基部と、上記縫い合わせラインでステッチの間から露出する隆起した装飾部とから成り、
当該装飾部はその端部に向けて細り、皮革材の端辺部が互いに合致して縫い合わされた位置で終止する
請求項2記載の自動車用皮革巻き把持部構造。 - 上記把持部がステアリングホイールであって、
上記縫い合わせラインがその内周面に設けられ、
上記線条装飾体がスポーク間で独立して設けられた
請求項3記載の自動車用皮革巻き把持部構造。 - 上記縫い合わせラインに沿って両側の皮革材にそれぞれ縫われて平行に延在する第1係止糸と第2係止糸とを有し、
上記皮革材の端辺部同士を縫い合わせる縫合糸は少なくとも2本あり、
該縫合糸がそれぞれ第1係止糸と第2係止糸とに千鳥状に架け渡されると共に、
上記線条装飾体の位置で縫合糸によるステッチが互いに交差する位置関係で縫って張られた
請求項1〜4の何れか1項に記載の自動車用皮革巻き把持部構造。
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