JP2015030384A - 車両 - Google Patents
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Abstract
【課題】衝突時に冷却ユニットの機能が損なわれるような損傷が生じることを抑制することのできる車両を提供する。【解決手段】車両10のエンジンルーム10a内には、エンジン41の冷却水が循環する冷却ユニット20と、吸気レゾネータ30とが隣接して固定されている。冷却ユニット20には、吸気レゾネータ30に向かって突出しており、その突出方向における衝突時に最初に吸気レゾネータ30と当接する突出部25が設けられている。【選択図】図6
Description
この発明は、エンジンルームにエンジンが収容されている車両に関する。
特許文献1には、エンジンルームに収容されたエアクリーナの下部を覆う遮熱部材が開示されている。この遮熱部材はエアクリーナの前方に配設されたラジエータからエアクリーナに立ち上る熱気を遮断する。遮熱部材には、車両の前後方向に延びる長孔状の締結孔が形成されている。遮熱部材は、この締結孔に挿通された止め具によってクロスメンバに固定されている。長孔状の締結孔に止め具が挿通されているため、車両前方からの衝突により車両前部が変形するときには、止め具の位置が締結孔内で変位し、遮熱部材は後方に移動する。
このように特許文献1の車両では、遮熱部材が後方に移動可能に固定されている。したがって、衝突時に車両前部が変形するとき、遮熱部材やこの遮熱部材に固定されたエンジンルーム内の部材が後方に移動する。このように、エンジンルーム内に固定された部材が後方に移動することにより、車両前部を円滑に変形させることができるため、衝突時の衝撃を適正に吸収することができる。
ところで、エンジンルームには、エンジンの冷却水が循環する冷却ユニットが搭載されている。冷却ユニットは、冷却フィンの設けられたチューブを備えたラジエータや、ラジエータに空気を送り込み熱交換を促進するファン等を組み合わせて構成されている。エンジンルーム内に配設された冷却ユニットが衝突時に他の部材に衝突すると、次のような問題が生じるおそれがある。
例えばラジエータのチューブが損傷して同チューブから冷却水が漏れ出ると冷却水を循環させることができなくなるおそれがある。また、ファンが変形してファンが正常に動作しなくなると熱交換を促進させることができなくなるおそれがある。すなわち、こうした状態になると、エンジンを冷却する能力が低下し、エンジンの運転を継続することが困難になるため、例えば修理工場まで自走することができなくなってしまう。
この発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、その目的は衝突時に冷却ユニットの機能が損なわれるような損傷が生じることを抑制することのできる車両を提供することにある。
上記課題を解決するための車両は、エンジンルーム内に、エンジンの冷却水が循環する冷却ユニットと、他の部材とが隣接して固定されている車両である。そして、冷却ユニットと同冷却ユニットに隣接した状態で固定されている部材とのうち、少なくとも一方の部材に、他方の部材に向かって突出しており、その突出方向における衝突時に最初に他方の部材と当接する突出部が設けられている。
上記構成によれば、冷却ユニットに隣接した状態で固定されている部材と冷却ユニットとが突出部の突出方向における衝突時に突出部を介して当接するようになる。このため、突出部以外の部分では、隣接する他の部材と冷却ユニットとの間に隙間が生じるようになる。すなわち、ラジエータやファンのように冷却ユニットにおける冷却機能を担う部位が、隣接している他の部材に衝突してしまうことを抑制することができる。したがって、衝突時に冷却ユニットの機能が損なわれるような損傷が生じることを抑制することができる。
前記他方の部材には、突出部に向かって突出しており、突出部の突出方向における衝突時に突出部が当接する受圧部を設けることが好ましい。
上記構成によれば、突出部の突出方向における衝突時に受圧部によって突出部を受け止めることができる。したがって、この受圧部や受圧部が設けられている部分を突出部が当接するときの衝撃に耐え得るように補強すればよい。すなわち、突出部と当接する部位を特定することができるため、補強を効果的に行うことができるようになる。
上記構成によれば、突出部の突出方向における衝突時に受圧部によって突出部を受け止めることができる。したがって、この受圧部や受圧部が設けられている部分を突出部が当接するときの衝撃に耐え得るように補強すればよい。すなわち、突出部と当接する部位を特定することができるため、補強を効果的に行うことができるようになる。
受圧部としては、例えば格子状のリブからなるものが採用可能である。
上記構成のように格子状のリブによって受圧部を構成すれば、衝撃に強い受圧部を形成するとともに、受圧部を構成するリブに補強の役目を担わせることができる。
上記構成のように格子状のリブによって受圧部を構成すれば、衝撃に強い受圧部を形成するとともに、受圧部を構成するリブに補強の役目を担わせることができる。
また、突出部には、その先端に受圧部と対向する面からなる平面部を設けることが好ましい。
上記構成によれば、衝突時に平面部が受圧部に当接するようになるため、例えば突出部の先端が尖った形状である場合と比較して、受圧部との接触面積を広くすることができるようになる。したがって、荷重が集中することを抑制し、衝突時の損傷を効果的に抑制することができる。
上記構成によれば、衝突時に平面部が受圧部に当接するようになるため、例えば突出部の先端が尖った形状である場合と比較して、受圧部との接触面積を広くすることができるようになる。したがって、荷重が集中することを抑制し、衝突時の損傷を効果的に抑制することができる。
突出部は、冷却ユニットの上部に位置し、冷却水を貯留するタンクに設けることが好ましい。
冷却ユニットは、冷却機能を担う部位として、例えば冷却フィンの設けられたチューブを備えたラジエータや、ラジエータに空気を送り込み熱交換を促進するファン等を備えている。仮にラジエータのチューブが損傷して同チューブから冷却水が漏れ出ると冷却水を循環させることができなくなるおそれがある。また、ファンが変形してファンが正常に動作しなくなると熱交換を促進させることができなくなるおそれがある。一方、冷却ユニットの上部に設けられ、冷却水を貯留するタンクは、こうした冷却機能を担う部位よりも衝撃に強く、また仮にタンクに変形等が生じたとしても、冷却ユニットの冷却能力には影響は生じにくい。
冷却ユニットは、冷却機能を担う部位として、例えば冷却フィンの設けられたチューブを備えたラジエータや、ラジエータに空気を送り込み熱交換を促進するファン等を備えている。仮にラジエータのチューブが損傷して同チューブから冷却水が漏れ出ると冷却水を循環させることができなくなるおそれがある。また、ファンが変形してファンが正常に動作しなくなると熱交換を促進させることができなくなるおそれがある。一方、冷却ユニットの上部に設けられ、冷却水を貯留するタンクは、こうした冷却機能を担う部位よりも衝撃に強く、また仮にタンクに変形等が生じたとしても、冷却ユニットの冷却能力には影響は生じにくい。
上記構成によれば、こうしたタンクに突出部を設けるようにしているため、突出部が冷却ユニットに隣接する他の部材と当接することにより、冷却ユニットに衝撃が作用したとしても、冷却能力への影響は生じにくくなる。
前記冷却ユニットに隣接した状態で固定されている部材は、固定手段によって、冷却ユニットよりも車両後方側に、車両後方に移動可能に固定されていることが好ましい。また、固定手段は、前記冷却ユニットに隣接した状態で固定されている部材に設けられるとともに車両の前後方向に延びる長孔状の締結孔と、同締結孔に挿通された止め具とを備えるものが好ましい。
上記構成によれば、車両前方からの衝突時に、突出部を介して冷却ユニットが当接したときに、冷却ユニットよりも車両後方側に固定されている部材が車両後方に移動するようになる。したがって、この部材が移動不可能に固定されている場合と比較して、冷却ユニットに作用する衝撃を和らげることができる。したがって、衝突時に冷却ユニットの機能が損なわれるような損傷が生じることをより効果的に抑制することができる。
なお、上記各構成は、エンジンルーム内に駆動力源として、エンジンに加え、モータを備えるハイブリッド車両に適用することも可能である。
駆動力源として、エンジンに加え、モータを備えるハイブリッド車両は、駆動力源としてエンジンのみが搭載された車両と比較してエンジンルーム内に収容される部材の数が多いため、部材間のスペースを十分に確保しにくい。こうしたハイブリッド車両であっても、上記の各構成を採用すれば、衝突時に冷却ユニットの機能が損なわれるような損傷が生じることを抑制することができる。
駆動力源として、エンジンに加え、モータを備えるハイブリッド車両は、駆動力源としてエンジンのみが搭載された車両と比較してエンジンルーム内に収容される部材の数が多いため、部材間のスペースを十分に確保しにくい。こうしたハイブリッド車両であっても、上記の各構成を採用すれば、衝突時に冷却ユニットの機能が損なわれるような損傷が生じることを抑制することができる。
以下、エンジンルームにエンジンが収容されている車両の一実施形態について図1〜図7を参照して説明する。尚、本実施形態の車両は、駆動力源として、エンジンに加え、モータを備えるハイブリッド車両である。
図1に示すように、車両10のエンジンルーム10a内における車両右方R側の部分には、車両前方F側から車両後方B側に向かって順に、冷却ユニット20、吸気レゾネータ30、エンジン41がそれぞれ固定されている。吸気レゾネータ30は、ホース33を介してエアクリーナ34の上流側に接続されることにより、吸気通路で発生する吸気騒音を共鳴作用により低減する。エアクリーナ34は、エンジンルーム10a内における吸気レゾネータ30よりも車両左方L側且つ冷却ユニット20よりも車両後方B側の位置に固定されている。一方、エンジンルーム10a内の車両左方L側の部分には、モータ42の駆動に用いられるインバータ43が固定されている。尚、インバータ43及びモータ42は冷却ユニット20よりも車両後方B側に固定されている。
図1に示すように、この車両10では、冷却ユニット20とインバータ43との間のスペースは比較的広くなっている。一方で、冷却ユニット20と吸気レゾネータ30とは隣接した状態で固定されており、これらの間のスペースは比較的狭くなっている。
図2に示すように、冷却ユニット20は、ラジエータ22とファン23とを組み合わせて構成されている。ラジエータ22の内部には、空気が通過する冷却フィン22aと、エンジン41の冷却水が循環するチューブ22bとが設けられている。更に、冷却ユニット20の上下には、ラジエータ22のチューブ22bと連通するとともに内部に冷却水が貯留される上部タンク22c及び下部タンク22dが設けられている。また、ラジエータ22の車両後方B側にはファン23を備えたファンシュラウド24が取り付けられている。このファン23によって車両後方B側に向かって空気を送り出すことにより、ラジエータ22に車両前方F側から空気が送り込まれて熱交換が促進される。
冷却ユニット20における上部タンク22cの車両右方R側には、上部タンク22cから車両後方B側に向かって突出した突出部25が設けられている。突出部25の先端には、平面部25bが形成されている。尚、突出部25の突出長さは、冷却ユニット20が車両10のエンジンルーム10a内に搭載された状態のときに、冷却ユニット20のうちで、突出部25の平面部25bが最も吸気レゾネータ30に近接した部位になるように設定されている。
図3に示すように、吸気レゾネータ30は、冷却ユニット20と対向する車両前方F側の側面30fに、側面30fから車両前方F側に突出した受圧部35を有している。受圧部35は、車両前方F側に、すなわち冷却ユニット20側に突出する複数のリブ35fによって構成されている。受圧部35では、上下方向(図3の上下方向)に延びる複数のリブ35fと、車両10の左右方向に延びる複数のリブ35fとが交差してこれら複数のリブ35fが格子状になっている。尚、この受圧部35の位置及び突出長さは、吸気レゾネータ30が車両10のエンジンルーム10a内に搭載された状態のときに、受圧部35が冷却ユニット20の突出部25と対向し、受圧部35の先端が吸気レゾネータ30のうちで、最も冷却ユニット20に近接した部位になるように設定されている。
図4に示すように、吸気レゾネータ30には、車両後方B側に延びる接続部35b,35cが形成されている。この接続部35b,35cのうち、車両左方L側に設けられた接続部35bには、車両10の前後方向に延びる長孔状の締結孔36が形成されている。一方、接続部35b,35cのうち、吸気レゾネータ30における車両右方R側に設けられた接続部35cには、円形状の締結孔37が形成されている。そして、締結孔36に止め具36aが挿通され、締結孔37に止め具37aが挿通されることにより、吸気レゾネータ30がエンジン41に固定されている。尚、吸気レゾネータ30は、締結孔36における車両後方B側の部分に止め具36aが挿通された状態でエンジン41に固定されている。したがって、吸気レゾネータ30は、固定手段としての締結孔36及び止め具36aによって、車両左方L側の部分が車両後方B側に移動可能にエンジン41に固定されていることになる。
こうして締結孔36,37及び止め具36a,37aによって吸気レゾネータ30がエンジン41に固定されることにより、上述したように吸気レゾネータ30は、エンジンルーム10a内における冷却ユニット20よりも車両後方B側に固定される。
図5に示すように、車両10のエンジンルーム10a内に冷却ユニット20及び吸気レゾネータ30が固定された状態では、冷却ユニット20の突出部25が吸気レゾネータ30に向かって突出している。また、突出部25の先端の平面部25bが吸気レゾネータ30の受圧部35と対向している。また、吸気レゾネータ30の受圧部35が、冷却ユニット20の突出部25に向かって突出している。したがって、本実施形態では、冷却ユニット20が突出部25の設けられた一方の部材に相当し、吸気レゾネータ30が受圧部35の設けられた他方の部材に相当する。
次に、車両10の作用について図6及び図7を参照して説明する。図6は、車両前部の右側が前方から衝突した場合の冷却ユニット20とその他の部材の位置関係を示している。
図6に示すように、車両前部の右側が突出部25の突出方向において衝突すると、すなわち車両前方F側から衝突すると、冷却ユニット20が車両左方L側の部分を中心に回転し、冷却ユニット20の車両右方R側の部分が車両後方B側に移動する。こうして冷却ユニット20が車両後方B側に移動すると、同冷却ユニット20の突出部25の平面部25bが、吸気レゾネータ30の受圧部35に当接するようになる。すなわち、冷却ユニット20の突出部25が最初に吸気レゾネータ30に当接し、冷却ユニット20と吸気レゾネータ30とが、突出部25及び受圧部35を介して当接することになる。このため、突出部25及び受圧部35以外の部分では、冷却ユニット20と吸気レゾネータ30との間に隙間が生じるようになる。
尚、冷却ユニット20が車両後方B側に移動する際に、冷却ユニット20に連結されるホースやコード等、同冷却ユニット20における突出部25以外の部分が、突出部25の平面部25bよりも先に吸気レゾネータ30に当接するおそれがある。しかしながら、仮にそれらホースやコード等のような比較的自由に変形する部材が吸気レゾネータ30に当接したとしても、冷却ユニット20の機能が損なわれるような損傷が同冷却ユニット20に生じるおそれはない。したがって、本実施形態では、衝突時において、これらホースやコード等の吸気レゾネータ30への当接は考慮せず、突出部25が吸気レゾネータ30に最初に当接するものとして取り扱う。
また、エンジンルーム10a内には、こうした冷却ユニット20に接続されたホースやコード以外にも、各種のホースやコードが配設されている。衝突時には、吸気レゾネータ30よりも先にエンジンルーム10a内に配設されたこれら各種のホースやコードが冷却ユニット20に当接することもある。しかし、こうしたホースやコードが冷却ユニット20に当接した場合にも、冷却ユニット20の機能が損なわれるような損傷が同冷却ユニット20に生じるおそれはない。
冷却ユニット20が更に車両後方B側に移動すると、同冷却ユニット20の突出部25の平面部25bが、吸気レゾネータ30の受圧部35を押圧するようになる。
図7に示すように、吸気レゾネータ30の受圧部35が突出部25を介して押圧を受けると、吸気レゾネータ30が車両後方B側に移動する。これは、吸気レゾネータ30の受圧部35が突出部25を介して押圧を受けると、図7に示すように、締結孔36内における止め具36aの位置が、締結孔36の車両後方B側の部分から車両前方F側の部分に移動するためである。尚、吸気レゾネータ30が移動するときには、締結孔37及び止め具37aによる固定部分(図4)を中心に吸気レゾネータ30が回転するように車両後方B側に移動する。そして、冷却ユニット20も、吸気レゾネータ30と共に車両後方B側に移動するようになる。
図7に示すように、吸気レゾネータ30の受圧部35が突出部25を介して押圧を受けると、吸気レゾネータ30が車両後方B側に移動する。これは、吸気レゾネータ30の受圧部35が突出部25を介して押圧を受けると、図7に示すように、締結孔36内における止め具36aの位置が、締結孔36の車両後方B側の部分から車両前方F側の部分に移動するためである。尚、吸気レゾネータ30が移動するときには、締結孔37及び止め具37aによる固定部分(図4)を中心に吸気レゾネータ30が回転するように車両後方B側に移動する。そして、冷却ユニット20も、吸気レゾネータ30と共に車両後方B側に移動するようになる。
ところで、車両前部の左側が車両前方F側から衝突する可能性もある。仮に車両前部の左側が車両前方F側から衝突すると、冷却ユニット20が車両右方R側の部分を中心に回転し、冷却ユニット20の車両左方L側の部分が車両後方B側に移動することとなる。しかしながら、本実施形態の車両10では、上述の通り、車両10の前後方向において冷却ユニット20とインバータ43との間のスペースが比較的大きくなっている。このため、仮に冷却ユニット20の車両左方L側の部分が車両後方B側に移動したとしても、冷却ユニット20とインバータ43との衝突は生じにくい。したがって、本実施形態の車両10では、冷却ユニット20の車両左方L側の部分やインバータ43に突出部25や受圧部35を設ける対策を講じなくとも、冷却ユニット20とインバータ43との衝突を回避することができる。
上述した車両10によれば以下の効果を奏することができる。
(1)衝突時でも、冷却ユニット20における突出部25以外の部分では吸気レゾネータ30との間に隙間が生じるようになる。すなわち、ラジエータ22やファン23のように冷却ユニット20における冷却機能を担う部位が、吸気レゾネータ30に衝突してしまうことを抑制することができる。したがって、衝突時に冷却ユニット20の機能が損なわれるような損傷が生じることを抑制することができる。
(1)衝突時でも、冷却ユニット20における突出部25以外の部分では吸気レゾネータ30との間に隙間が生じるようになる。すなわち、ラジエータ22やファン23のように冷却ユニット20における冷却機能を担う部位が、吸気レゾネータ30に衝突してしまうことを抑制することができる。したがって、衝突時に冷却ユニット20の機能が損なわれるような損傷が生じることを抑制することができる。
(2)衝突時に、吸気レゾネータ30の受圧部35によって冷却ユニット20の突出部25を受け止めることができる。したがって、吸気レゾネータ30を補強する場合には、この受圧部35や受圧部35が設けられている部分を突出部25が当接するときの衝撃に耐え得るように補強すればよい。すなわち、突出部25と当接する部位を特定することができるため、補強を効果的に行うことができる。
(3)吸気レゾネータ30の受圧部35が格子状のリブ35fによって構成されているため、衝撃に強い受圧部35を形成するとともに、受圧部35を構成するリブ35fに吸気レゾネータ30を補強する役目を担わせることができる。
(4)衝突時に冷却ユニット20における突出部25の平面部25bが吸気レゾネータ30の受圧部35に当接するようになるため、例えば突出部25の先端が尖った形状である場合と比較して、受圧部35との接触面積を広くすることができる。したがって、荷重が集中することを抑制し、衝突時の損傷を効果的に抑制することができる。
(5)冷却ユニット20においては、仮にラジエータ22のチューブ22bが損傷して同チューブ22bから冷却水が漏れ出ると冷却水を循環させることができなくなる。また、ファン23が変形してファン23が正常に動作しなくなると熱交換を促進させることができなくなる。一方、冷却ユニット20の上部に設けられ、冷却水を貯留する上部タンク22cは、こうした冷却機能を担う部位よりも衝撃に強く、また仮に上部タンク22cに変形等が生じたとしても、冷却ユニット20の冷却能力には影響は生じにくい。本実施形態では、こうした上部タンク22cに突出部25を設けるようにしているため、突出部25が吸気レゾネータ30と当接することにより、冷却ユニット20に衝撃が作用したとしても、冷却能力への影響は生じにくい。
(6)車両前方F側からの衝突時に、突出部25を介して冷却ユニット20が吸気レゾネータ30に当接したときに、吸気レゾネータ30が車両後方B側に移動する。したがって、吸気レゾネータ30が移動不可能に固定されている場合と比較して、冷却ユニット20に作用する衝撃を和らげることができる。したがって、衝突時に冷却ユニット20の機能が損なわれるような損傷が生じることを効果的に抑制することができる。
(7)駆動力源として、エンジン41に加え、モータ42を備えるハイブリッド車両である車両10は、駆動力源としてエンジン41のみが搭載された車両と比較してエンジンルーム10a内に収容される部材の数が多いため、部材間のスペースを十分に確保しにくい。こうしたハイブリッド車両である車両10であっても、衝突時に冷却ユニット20の機能が損なわれるような損傷が生じることを抑制することができる。
尚、上述の実施形態は以下のように変更して実施することもできる。
・吸気レゾネータ30を固定する場所はエンジン41に限られない。すなわち、吸気レゾネータ30を締結孔36,37及び止め具36a,37aによって、エンジン41以外の部分、例えば、車両10の車体を構成するクロスメンバ等に固定するようにしてもよい。
・吸気レゾネータ30を固定する場所はエンジン41に限られない。すなわち、吸気レゾネータ30を締結孔36,37及び止め具36a,37aによって、エンジン41以外の部分、例えば、車両10の車体を構成するクロスメンバ等に固定するようにしてもよい。
・吸気レゾネータ30の締結孔37を締結孔36と同様に長孔状に形成してもよい。こうした形態では、衝撃時に吸気レゾネータ30が移動する際に、締結孔36における止め具36aの位置と締結孔37における止め具37aの位置との両方が移動することとなる。
・吸気レゾネータ30を移動可能に固定する固定手段は、長孔状の締結孔36,37と、締結孔36,37に挿通された止め具36a,37aとを備えるものに限らない。例えば、車両前後方向に延びる溝部と同溝部に挿入されたロック機構とを備え、ロック機構が溝部に沿って移動可能となっているスライド装置を上記の固定手段として採用してもよい。
・吸気レゾネータ30の締結孔36,37を円形状に形成して、吸気レゾネータ30を移動不可能にエンジン41に固定するようにしてもよい。この場合には、上記(6)の効果は得られなくなるものの、(1)〜(5),(7)の効果は得ることができる。
・冷却ユニット20において、上部タンク22c以外の部分に突出部25を設けるようにしてもよい。但し、突出部25が吸気レゾネータ30に当接する際の衝撃を受けて冷却ユニット20の冷却能力が低下することを抑制するためには、ファンシュラウド24等、冷却機能を担わない部位に突出部25を設けることが望ましい。
・突出部25の平面部25bは、例えば突出部25の先端に板状の部材を接合する等、突出部25の先端の接触面積を広くすることのできる構成であれば、その形成方法は自由に選択可能である。
・突出部25の先端に平面部25bを設ける構成は省略可能である。但し、吸気レゾネータ30の受圧部35への荷重の集中を抑制するためには、突出部25の先端を緩やかに湾曲する面とする等、接触面積を広くすることのできる形状とすることが望ましい。
・受圧部35は、リブ35fが格子状になっているものに限らず、例えば、複数のリブが平行に延びている構成であってもよい。また、リブは直線状に延びているものに限定されない。例えば、波状に延びる複数のリブが平行に並んでいる構成であってもよい。
・受圧部35は、吸気レゾネータ30の側面30fに沿って延びるリブ35fからなるものに限らず、例えば、複数の点状の突部からなるものとしてもよい。
・突出部25の突出長さは、冷却ユニット20を構成する部材のうちで、突出部25が最も吸気レゾネータ30に近接するようになる長さに限らない。すなわち、エンジンルーム10a内に搭載された状態の冷却ユニット20において、仮に同冷却ユニット20を構成する突出部25以外の部材が同突出部25よりも吸気レゾネータ30に近接していたとしても、突出部25の突出方向における衝突時に最初に突出部25が吸気レゾネータ30に当接するように突出長さを設定すればよい。
・突出部25の突出長さは、冷却ユニット20を構成する部材のうちで、突出部25が最も吸気レゾネータ30に近接するようになる長さに限らない。すなわち、エンジンルーム10a内に搭載された状態の冷却ユニット20において、仮に同冷却ユニット20を構成する突出部25以外の部材が同突出部25よりも吸気レゾネータ30に近接していたとしても、突出部25の突出方向における衝突時に最初に突出部25が吸気レゾネータ30に当接するように突出長さを設定すればよい。
・受圧部35の突出長さは、吸気レゾネータ30を構成する部材のうちで、受圧部35が最も冷却ユニット20に近接するようになる長さに限らない。すなわち、エンジンルーム10a内に搭載された状態の吸気レゾネータ30において、仮に同吸気レゾネータ30を構成する受圧部35以外の部材が同受圧部35よりも冷却ユニット20に近接していたとしても、突出部25の突出方向における衝突時に最初に受圧部35が冷却ユニット20の突出部25に当接するように突出長さを設定すればよい。
・吸気レゾネータ30に突出部、冷却ユニット20に受圧部を設けるようにしてもよい。この形態において、吸気レゾネータ30における突出部の形状は、上記実施形態の突出部25と同様に平面部を備える形状であってもよいし、それ以外の形状であってもよい。また、冷却ユニット20における受圧部の形状は、上記実施形態の受圧部35と同様に格子状であってもよいし、それ以外の形状であってもよい。
・上記実施形態及び上記変形例において、冷却ユニット20や吸気レゾネータ30に設ける突出部25及び受圧部35の数は自由に設定可能である。例えば、上記実施形態では、冷却ユニット20の車両右方R側の部分にのみ、突出部25を設ける構成を例示したが、冷却ユニット20の中央や、車両左方L側の部分にも突出部を設けるようにしてもよい。
・冷却ユニット20及び吸気レゾネータ30の双方に、突出部と受圧部とをそれぞれ設け、一方の部材に設けた突出部が他方の部材に設けた受圧部にそれぞれ当接するようにしてもよい。
・突出部25よりも受圧部35の数が少なくてもよい。また、受圧部35を省略してもよい。すなわち、冷却ユニット20と吸気レゾネータ30とのうち、少なくとも一方の部材に突出部25を設けるようにすればよい。こうした構成であっても、上記(1),(5)〜(7)の効果を得ることはできる。この形態では、冷却ユニット20や吸気レゾネータ30において、突出部25が当接する部分について適切に補強することが望ましい。
・エンジンルーム10a内において、冷却ユニット20以外に配置される部材の種類及び位置は図1に示す態様に限定されず、吸気レゾネータ30以外の部材が冷却ユニット20と隣接した状態で固定されるようにしてもよい。この形態においても、冷却ユニット20と同冷却ユニット20と隣接した状態で固定されている部材とのうち、少なくとも一方の部材に突出部25を設けるようにすれば、衝突時に冷却ユニット20の機能が損なわれるような損傷が生じることを抑制することができる。
・上記実施形態及び上記各変形例では、車両前部の右側が車両前方F側から衝突する場合を考慮して、冷却ユニット20の車両右方R側の部分や、エンジンルーム10a内における車両右方R側に搭載される部材に、突出部25や受圧部35を設けるようにしていた。冷却ユニット20と同冷却ユニット20に隣接した状態で固定されている部材との間のスペースが比較的小さく、車両10の衝突時に冷却ユニット20が上記部材と衝突するおそれのある場合であれば、冷却ユニット20や上記部材に突出部25や受圧部35を適宜設けるようにしてもよい。例えば、図1に示す例において、エンジンルーム10a内の車両左方L側で冷却ユニット20とインバータ43との間のスペースが比較的小さい場合には、これら冷却ユニット20やインバータ43に突出部25や受圧部35を設けるようにしてもよい。また、冷却ユニット20のレイアウトによっては、車両前後方向に隣接した部材に限らず、上下方向や、左右方向に隣接した部材との間に、突出部、受圧部を設けるようにしてもよい。
・上記実施形態及び上記各変形例では、車両10の前部にエンジンルーム10aが設けられている構成を例示したが、車両前部にエンジンルーム10aが設けられている構成に限らない。例えば、車両の後方にエンジンルームを備える車両において、上記実施形態及び上記各変形例に例示したような冷却ユニットに突出部を設ける構成を採用することもできる。
・車両10は、駆動力源としてエンジン41のみが搭載された車両であってもよい。
10…車両、10a…エンジンルーム、20…冷却ユニット、22…ラジエータ、22c…上部タンク、22d…下部タンク、23…ファン、25…突出部、25b…平面部、30…吸気レゾネータ、30f…側面、35…受圧部、35f…リブ、36,37…締結孔、36a,37a…止め具、41…エンジン、42…モータ、43…インバータ。
Claims (8)
- エンジンルーム内に、エンジンの冷却水が循環する冷却ユニットと、他の部材とが隣接して固定されている車両であって、
前記冷却ユニットと同冷却ユニットに隣接した状態で固定されている部材とのうち、少なくとも一方の部材に、他方の部材に向かって突出しており、その突出方向における衝突時に最初に前記他方の部材と当接する突出部が設けられている
ことを特徴とする車両。 - 前記他方の部材に、前記突出部に向かって突出しており、前記突出部の突出方向における衝突時に前記突出部が当接する受圧部が設けられている
請求項1に記載の車両。 - 前記受圧部が格子状のリブからなる
請求項2に記載の車両。 - 前記突出部が、その先端に前記受圧部と対向する面からなる平面部を有している
請求項2又は3に記載の車両。 - 前記突出部が、前記冷却ユニットの上部に位置し、冷却水を貯留するタンクに設けられている
請求項1〜4のいずれか一項に記載の車両。 - 前記冷却ユニットに隣接した状態で固定されている部材が、固定手段によって、前記冷却ユニットよりも車両後方側に、車両後方に移動可能に固定されている
請求項1〜5のいずれか一項に記載の車両。 - 前記固定手段が、前記冷却ユニットに隣接した状態で固定されている部材に設けられるとともに前記車両の前後方向に延びる長孔状の締結孔と、同締結孔に挿通された止め具とを備える
請求項6に記載の車両。 - 前記エンジンルーム内に駆動力源として、前記エンジンに加え、モータを備える
請求項1〜7のいずれか一項に記載の車両。
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