JP2015027933A - 強化ガラス板のスクライブ方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】強化ガラス板から、湾曲したコーナー部を有する略矩形状の有効面部を切出す際に、当該有効面部の円滑な切り出しを可能とする強化ガラス板のスクライブ方法の提供。
【解決手段】湾曲したコーナー部を有する略矩形状の有効面部と、有効面部を囲う非有効面部との境界に沿って、スクライブホイールHを走行させることで、強化ガラス板を、有効面部と非有効面部とに切断するためのスクライブラインSを形成する強化ガラス板のスクライブ方法において、スクライブラインSの深さが、有効面部と非有効面部との境界のうち、コーナー部に沿った湾曲部位C1、C3で、直線部位T1よりも深くなるように形成する強化ガラス板のスクライブ法。
【選択図】図5
【解決手段】湾曲したコーナー部を有する略矩形状の有効面部と、有効面部を囲う非有効面部との境界に沿って、スクライブホイールHを走行させることで、強化ガラス板を、有効面部と非有効面部とに切断するためのスクライブラインSを形成する強化ガラス板のスクライブ方法において、スクライブラインSの深さが、有効面部と非有効面部との境界のうち、コーナー部に沿った湾曲部位C1、C3で、直線部位T1よりも深くなるように形成する強化ガラス板のスクライブ法。
【選択図】図5
Description
本発明は、スクライブ刃を移動させることによって、強化ガラス板を切断するためのスクライブラインを形成する強化ガラス板のスクライブ方法に関する。
周知のように、強化ガラス板は、イオン交換法や風冷強化法によって表層部が強化されており、その板厚方向における表面側、及び裏面側には、圧縮応力が印加された圧縮応力層が形成されている。さらに、両側の圧縮応力層の間には、引張応力が印加された引張応力層が形成されている。このような強化ガラス板は、通常のガラス板と比較して、表層部に作用する引張応力に対して、破壊強度が大幅に高められている。
この強化ガラス板を製品サイズに切出すような場合には、例えば、以下のような手法が広く用いられている。すなわち、スクライブホイールを走行させることで、強化ガラス板の表面を切断予定線に沿って押圧し、スクライブラインを形成する(特許文献1参照)。なお、このスクライブラインには、強化ガラス板の板厚方向に延び、当該強化ガラス板を切断するための起点となるメディアンクラックが含まれている。その後、スクライブラインの周辺に曲げモーメントを作用させ、強化ガラス板を折割ることで、製品サイズの強化ガラス板を得る手法である。
ところで、強化ガラス板は、例えば、近年急速に普及しているスマートフォンや、タブレットPC等におけるディスプレイのカバーガラスとして採用されるに至っている。ここで、これらの製品に採用される強化ガラス板は、従来から大量に製造されていた矩形の強化ガラス板とは異なり、その外周輪郭の一部、或いは、全てが曲線によって構成された形状を有する場合がある。
このような輪郭形状を有する強化ガラス板としては、図23に示すような、湾曲したコーナー部Cを有する略矩形状のものが代表的である(以下、この形状を代表的形状と称する)。このような形状を得る場合、従来においては、大面積の強化ガラス板から小面積の矩形の強化ガラス板Gを切出した後、そのコーナー部Cに対して研削を実施し、当該コーナー部CをR状に形成することで、代表的形状を得る手法が用いられてきた。
ところが、この従来の手法を用いた場合には、コーナー部Cの研削に多大な時間を要するため、生産性が悪化しやすくなる上、研削を実施する研削器にも大きな負担が掛かってしまう。さらには、引張応力層に印加された引張応力に起因して、研削の実施時に、強化ガラス板Gが割れてしまう場合がある。このため、代表的形状の強化ガラス板を得るための手法として、以下のような、新たな手法の採用が試みられている。
すなわち、この新たな手法は、図24に白抜き矢印で示すように、大面積の強化ガラス板から切出した矩形の小面積の強化ガラス板Gに対し、スクライブホイールHにより、切断後に廃棄される非有効面部Gbから予備スクライブラインRSを形成し始める。そして、当該予備スクライブラインRSを、切出しの対象となる有効面部Gaと、当該有効面部Gaを囲う非有効面部Gbとの境界となる閉ループ状の切断予定線CLに、点Jにて合流させる。その後、当該切断予定線CLに沿って、スクライブホイールHを走行させることで、予備スクライブラインRSに連ねてスクライブラインSを閉ループ状に形成する。
そして、形成が完了した予備スクライブラインRS、及びスクライブラインSの周辺に曲げモーメントを作用させ、強化ガラス板Gを有効面部Gaと、非有効面部Gbとに折割って切断することにより、代表的形状を有効面部Gaとして切出す手法である。この新たな手法によれば、上述した従来の手法における不具合の発生を、好適に回避することが可能である。
しかしながら、この新たな手法によっても、未だ解決すべき問題が残存している。すなわち、強化ガラス板Gへの形成が完了したスクライブラインSには、縦方向、及び横方向へと直線状に延びた直線部位に加えて、有効面部Gaにおける四箇所のコーナー部Cに沿って湾曲した湾曲部位が含まれている。
そのため、この強化ガラス板Gを折割って切断する際には、スクライブラインSのうち、直線部位に沿って折割りを実行するための曲げモーメントに加えて、四箇所の湾曲部位に沿って折割りを実行するための曲げモーメントを、各湾曲部位に対応した方向へと作用させる必要が生じる。このことに起因して、単純にスクライブラインSの周辺に曲げモーメントを作用させるのみでは、四箇所の湾曲部位において、有効面部Gaと非有効面部Gbとが好適に分離しない等、有効面部Gaの切出しを円滑に実施することができないという問題があった。
なお、このような問題は、上述のように、強化ガラス板から、代表的形状を有する有効面部を切出す場合のみならず、例えば、代表的形状の外周輪郭における直線の一部又は全てを、略直線とみなせる曲線に置き換えた形状等を切出すような場合にも、同様に生じている問題である。
上記事情に鑑みなされた本発明は、強化ガラス板から、湾曲したコーナー部を有する略矩形状の有効面部を切出す際に、当該有効面部の円滑な切り出しを可能とすることを技術的課題とする。
上記課題を解決するために創案された本発明は、湾曲したコーナー部を有する略矩形状の有効面部と、該有効面部を囲う非有効面部との境界に沿って、スクライブ刃を移動させることで、強化ガラス板を、前記有効面部と前記非有効面部とに切断するためのスクライブラインを形成する強化ガラス板のスクライブ方法において、前記スクライブラインの深さが、前記有効面部と前記非有効面部との境界のうち、前記コーナー部に沿った湾曲部位で、他の部位よりも深くなるように形成することに特徴付けられる。ここで、「湾曲したコーナー部を有する略矩形」とは、上述の代表的形状のみならず、代表的形状の外周輪郭における直線の一部又は全てを、略直線とみなせる曲線に置き換えた形状をも含む。
このような方法によれば、強化ガラス板へのスクライブラインの形成が完了した後、当該強化ガラス板を折割って切断する際に、有効面部と非有効面部との境界(形成が完了したスクライブライン)のうち、コーナー部に沿った湾曲部位では、他の部位よりも小さな曲げモーメントでもって、強化ガラス板を切断することが可能となる。これにより、湾曲部位では、他の部位と比較して、有効面部と非有効面部との分離を実行しやすくなるため、強化ガラス板からの有効面部の切出しを、円滑に実施することが可能となる。
上記の方法において、前記有効面部と前記非有効面部との境界のうち、前記他の部位に形成する前記スクライブラインの深さを、前記強化ガラス板に形成された圧縮応力層の厚みの3倍以上で、且つ前記強化ガラス板の板厚の60%未満とすることが好ましい。
このようにすれば、有効面部と非有効面部との境界のうち、他の部位では、スクライブライン(当該スクライブラインに含まれたメディアンクラック)から発生したクラック(以下、分断クラックという)が、強化ガラス板の板厚方向に自走することを回避しやすくなる。一方、有効面部と非有効面部との境界のうち、コーナー部に沿った湾曲部位では、他の部位よりも深くスクライブラインを形成するため、分断クラックの自走が誘発されやすくなる。そして、分断クラックの自走を生じた場合には、当該分断クラックが、引張応力層に印加された引張応力によって、その進展方向(板厚方向)における先端側の圧縮応力層まで進展して、強化ガラス板の略全厚み、或いは、全厚みが切断された状態となる。このため、スクライブラインの形成が完了した後、強化ガラス板を折割って切断する際に、湾曲部位については、有効面部と非有効面部との分離を極めて容易に実行できる。その結果、強化ガラス板からの有効面部の切出しを、より円滑に実施することが可能となる。さらに、湾曲部位では、分断クラックが自走して、略全厚み、或いは、全厚みが切断された状態となる一方、他の部位は、スクライブラインのみが形成された未切断の状態下にあるため、例えば、強化ガラス板を搬送している最中等、意図しないタイミングで有効面部と非有効面部とが完全に分離してしまい、これらの対向する切断面同士が擦れ合って、切断面の品質が低下するような事態の発生を防止することができる。
上記の方法において、前記コーナー部に沿った湾曲部位のうち、曲率半径が小さい湾曲部位ほど、前記スクライブラインを深く形成することが好ましい。
このようにすれば、曲率半径が小さい湾曲部位ほど、分断クラックの自走が誘発されやすくなり、強化ガラス板の略全厚み、或いは、全厚みが切断された状態としやすくなるため、湾曲部位における有効面部と非有効面部との分離を、より好適に実行することができる。
上記の方法において、前記スクライブラインを形成する際に、前記スクライブ刃が前記強化ガラス板を押圧する押圧力を、前記有効面部と前記非有効面部との境界のうち、前記コーナー部に沿った湾曲部位で、前記他の部位よりも大きくすることが好ましい。
このようにすれば、スクライブラインを形成する際に、有効面部と非有効面部との境界のうち、コーナー部に沿った湾曲部位では、他の部位と比較して、スクライブラインを深く形成することが可能となる。
上記の方法において、前記スクライブラインを形成する際に、前記スクライブ刃が移動する移動速度を、前記有効面部と前記非有効面部との境界のうち、前記コーナー部に沿った湾曲部位で、前記他の部位よりも遅くすることが好ましい。
このようにすれば、有効面部と非有効面部との境界のうち、コーナー部に沿った湾曲部位では、他の部位と比較して、スクライブ刃が強化ガラス板を押圧する押圧力を、確実に作用させることが可能となる。このため、湾曲部位において、よりスクライブラインを深く形成しやすく、ひいては、分断クラックの自走を促しやすくなる。
以上のように、本発明によれば、強化ガラス板から、湾曲したコーナー部を有する略矩形状の有効面部を切出す際に、当該有効面部の円滑な切り出しが可能となる。
以下、本発明の実施形態について添付の図面を参照して説明する。なお、以下に説明する各実施形態に係る強化ガラス板のスクライブ方法において、当該方法を実施する対象となる強化ガラス板は、その一構成例を示したものにすぎず、後述のように、本発明に係る強化ガラス板のスクライブ方法は、このような強化ガラス板のみを対象とするものではない。
図1は、本発明の第一実施形態に係る強化ガラス板のスクライブ方法において、当該方法を実施する対象となる強化ガラス板Gを示した平面図であり、図2は、当該強化ガラス板Gに形成された圧縮応力層Aと引張応力層Bとを示す図である。これらの図に示すように、強化ガラス板Gは、矩形の形状を有している。また、板厚方向における表面側、及び裏面側には、圧縮応力が作用した圧縮応力層Aが形成されると共に、両圧縮応力層Aの間には、引張応力が作用した引張応力層Bが形成されている。
ここで、本実施形態において、両圧縮応力層Aに作用した圧縮応力の大きさは、各710MPaであり、両圧縮応力層Aの厚みDOLは、各20.8μmである。また、引張応力層Bに作用した引張応力の大きさは、21.4MPaである。さらに、強化ガラス板Gの寸法(横×縦×厚み)は、150mm×90mm×0.7mmとなっている。なお、図2においては、強化ガラス板Gの板厚に占める圧縮応力層Aの厚みDOLを、実際の比率よりも拡大して図示している。
ここで、強化ガラス板G(強化ガラス板Gの元となるガラス板)は、ガラス組成として、質量%でSiO2:50〜80%、Al2O3:5〜25%、B2O3:0〜15%、Na2O:1〜20%、K2O:0〜10%を含有する組成であることが好ましい。このようにすれば、イオン交換性能と耐失透性との双方に優れた強化ガラス板Gを得ることが可能である。
さらに、強化ガラス板Gは、切出しの対象となり、且つ代表的形状を有する有効面部Gaと、当該有効面部Gaを囲い、且つ強化ガラス板Gの切断後に廃棄される非有効面部Gbとで構成されている。そして、閉ループ状の切断予定線CLが、有効面部Gaと非有効面部Gbとの境界となっている。すなわち、本実施形態においては、曲線を含んだ外周輪郭を有する有効面部Gaとして、代表的形状を切出しの対象としている。
有効面部Gaは、その寸法(横×縦×厚み)が、120mm×60mm×0.7mmとなっている。また、当該有効面部Gaと非有効面部Gbとの境界である切断予定線CL(後述するスクライブラインSの形成が完了した後においては、当該スクライブラインS)は、有効面部Gaにおける四箇所のコーナー部の各々に沿った湾曲部位C1〜C4と、これらの湾曲部位C1〜C4を相互に結ぶ四箇所の直線部位T1〜T4とで構成される。ここで、各湾曲部位C1〜C4の曲率半径は、C1及びC2については、10mmとなっており、C3及びC4については、5mmとなっている。すなわち、C3及びC4は、C1及びC2よりも曲率半径が小さくなっている。ここで、本実施形態においては、有効面部Gaと非有効面部Gbとの境界のうち、他の部位を直線部位T1〜T4が構成している。
以下、本発明の第一実施形態に係る強化ガラス板のスクライブ方法について、添付の図面を参照して説明する。なお、本実施形態、及び以降に説明する他の実施形態においては、予備スクライブラインRS、スクライブラインS、及び補助スクライブラインHSを形成するスクライブ回転刃(スクライブ刃)として、スクライブホイールHを用いている。
はじめに、図3(a),図3(b)に白抜き矢印で示すように、強化ガラス板Gにおけるエッジ部Eを始端として、非有効面部Gbから予備スクライブラインRSの形成を開始する。この予備スクライブラインRSの始端は、スクライブホイールHを、エッジ部Eに引っ掛けると共に、当該エッジ部Eに対して直交する方向に走行させることで形成する。
次に、スクライブホイールHの進行方向を漸次に転換させながら、予備スクライブラインRSを切断予定線CLへと接近させていく。そして、予備スクライブラインRSと切断予定線CLとが、直線部位T1上に位置する合流点Jで接するように、予備スクライブラインRSを、湾曲させつつ滑らかに切断予定線CLに合流させる。これにより、予備スクライブラインRSの形成が完了する。
ここで、予備スクライブラインRSの曲率半径は、5mm以上で、且つ20mm以下とする。本実施形態においては、予備スクライブラインRSの曲率半径を10mmとしている。また、本実施形態において、予備スクライブラインRSを形成する際のスクライブホイールHの走行速度は、15mm/sとし、スクライブホイールHが強化ガラス板Gの表面を押圧する押圧力は、9.4Nとしている。さらに、本実施形態においては、予備スクライブラインRSは、始端付近の直線部位と、終端付近の曲線部位との双方を含んだ構成となっている。また、終端付近の曲線部位は、一定の曲率半径でもって湾曲している。
予備スクライブラインRSの形成が完了すると、図4(a)に白抜き矢印で示すように、切断予定線CLに沿ってスクライブホイールHを走行させることで、予備スクライブラインRSに連ねて、強化ガラス板Gを有効面部Gaと非有効面部Gbとに切断するためのスクライブラインSの形成を開始する。すなわち、予備スクライブラインRSの終端(合流点J)が、スクライブラインSの形成を開始する始端となる。
そして、合流点JをスクライブラインSの始端として、閉ループ状にスクライブラインSを形成する。このとき、図4(b)に示すように、スクライブラインSの終端SEと、合流点Jとが離間するように、スクライブラインSを形成する。なお、合流点Jと、スクライブラインSの終端SEとが離間した距離D1は、0.05〜1mmとすることが好ましい。
ここで、閉ループ状のスクライブラインSを形成する際の形成態様について詳述する。なお、切断予定線CLのうち、各直線部位T1〜T4にスクライブラインSを形成する態様は、全て同一であるので、これらを代表して、直線部位T1にスクライブラインSを形成する態様についてのみ説明する。また、各湾曲部位C1〜C4のうち、C1とC2とについては、スクライブラインSを形成する態様が同一であり、同様にC3とC4とについても、スクライブラインSを形成する態様が同一であるので、これらを代表して、C1にスクライブラインSを形成する態様と、C3にスクライブラインSを形成する態様とについてのみ説明する。
図5(a)〜図5(c)は、それぞれスクライブホイールHが、切断予定線CLのうち、直線部位T1(T2,T3,T4)上、湾曲部位C1(C2)上、湾曲部位C3(C4)上を走行する態様を示した図である。これらの図に示すように、切断予定線CLのうち、湾曲部位C1上、C3上をスクライブホイールHが走行する走行速度V(移動速度)は同一であると共に、直線部位T1上を走行する走行速度Vよりも遅くしている。また、湾曲部位C1上、及びC3上をスクライブホイールHが走行する際に、当該スクライブホイールHが強化ガラス板Gを押圧する押圧力Fは同一であると共に、直線部位T1上を走行する際、当該スクライブホイールHが強化ガラス板Gを押圧する押圧力Fよりも大きくしている。
なお、本実施形態において、スクライブラインSを形成する際のスクライブホイールHの走行速度Vは、切断予定線CLのうち、直線部位T1〜T4上においては、100mm/sとし、湾曲部位C1〜C4上においては、20mm/sとしている。また、スクライブホイールHが強化ガラス板Gの表面を押圧する押圧力Fは、直線部位T1〜T4上においては、8.5Nとし、湾曲部位C1〜C4上においては、9.4Nとしている。
そして、スクライブラインSの形成が完了すると、スクライブホイールHにより、図6に示すように、強化ガラス板Gの非有効面部Gbにおけるエッジ部Eから、形成が完了したスクライブラインSの各直線部位T2〜T4に向かって、それぞれ補助スクライブラインHSを形成する(本実施形態においては、3本)。ここで、各直線部位T2〜T4に向かって補助スクライブラインHSを形成する態様は全て同一であるので、これらを代表して、直線部位T2に向かって補助スクライブラインHSを形成する態様についてのみ説明する。
図7に示すように、スクライブホイールHをエッジ部Eに引っ掛けると共に、当該エッジ部Eに対して直交する方向に走行させることで、補助スクライブラインHSの形成を開始する。そして、当該補助スクライブラインHSを、エッジ部Eに位置する始端HSSから終端HSEまでの全長が直線状に延びるように形成すると共に、その終端HSEが直線部位T2と合流しないように補助スクライブラインHSの形成を完了する。このとき、図7に示すように、補助スクライブラインHSの終端HSEと、スクライブラインSにおける直線部位T2との離間距離D2は、スクライブホイールHの径HDの0.5倍以上で、且つ3倍以下とする。また、補助スクライブラインHSは、直線部位T2に対して、垂直な方向に沿って形成する。
なお、本実施形態において、各直線部位T2〜T4に向かって、補助スクライブラインHSを形成する際のスクライブホイールHの走行速度は、15mm/sとし、スクライブホイールHが強化ガラス板Gの表面を押圧する押圧力は、10Nとしている。また、スクライブホイールHの径HDは、2mmであり、補助スクライブラインHSの終端HSEと、スクライブラインSにおける直線部位T2との離間距離D2は、2mmとしている。
以下、本発明の第一実施形態に係る強化ガラス板のスクライブ方法の作用・効果について説明する。
この第一実施形態に係る強化ガラス板のスクライブ方法では、予備スクライブラインRSが、切断予定線CLにおける直線部位T1に湾曲しつつ滑らかに合流すると共に、その曲率半径(=10mm)を5mm以上としている。このため、予備スクライブラインRSに連ねて、スクライブラインSの形成を開始する際に、スクライブホイールHにおける進行方向の急激な転換が好適に回避される。
これにより、合流点Jの近傍において、仮に亀裂が発生した場合であっても、この亀裂は、切断予定線CL(スクライブラインS)と平行に延びた状態に形成されやすい。その結果、強化ガラス板Gを折割って切断(割断)する際に、この亀裂に沿って当該強化ガラス板Gが切断されたとしても、有効面部Gaにおいて、切れ残りの発生を抑制することが可能となる。
また、予備スクライブラインRSの曲率半径(=10mm)が、20mm以下であることにより、予備スクライブラインRSとスクライブラインSとが、長距離に亘って近接した状態で形成されることを防止できる。これにより、強化ガラス板Gを切断する際に、本来スクライブラインSに沿って形成されるべき切断部(割断部)が、予備スクライブラインRSに沿って形成されたり、スクライブラインSと予備スクライブラインRSとの間を行き来しながら形成されたりするような事態の発生を好適に防止することが可能となる。
さらに、予備スクライブラインRSの始端が、強化ガラス板Gにおけるエッジ部Eに位置していることにより、予備スクライブラインRSの形成に伴い、強化ガラス板Gの板厚方向に形成されるメディアンクラックを、予備スクライブラインRSの始端となるエッジ部Eから、終端となる合流点Jまでの全長において、切断に適した深さに形成することができる。
このため、予備スクライブラインRSに連ねて、スクライブラインSを形成する際にも、同様に、強化ガラス板Gの切断に適した深さのメディアンクラックMCを形成することが可能となり、強化ガラス板Gを切断しやすくなる。加えて、スクライブホイールHを、エッジ部Eに対して直交する方向に走行させて、予備スクライブラインRSの始端を形成していることで、当該エッジ部Eに、スクライブホイールHを引っ掛けやすくなり、切断に適した深さのメディアンクラックMCを形成する上で、より有利となる。
また、スクライブラインSの終端SEと合流点Jとが離間していることにより、スクライブラインSの終端SEが形成される際に、合流点Jの近傍において、スクライブラインSとは異なる方向に延びた亀裂を発生させる恐れがなくなる。このため、有効面部Gaにおいて、切れ残りの発生を抑制する効果を、より高めることができる。
さらに、第一実施形態に係る強化ガラス板のスクライブ方法では、図5(a)〜図5(c)に示したように、有効面部Gaと非有効面部Gbとの境界(形成が完了したスクライブラインS)のうち、湾曲部位C1,C3においては、直線部位T1と比較して、スクライブラインSに含まれ、強化ガラス板Gの板厚方向に延びるメディアンクラックMCが深く形成される。なお、直線部位T1に形成されるメディアンクラックMCの深さXは、強化ガラス板Gに形成された圧縮応力層Aの厚みDOLの3倍以上で、且つ強化ガラス板Gの板厚の60%未満に形成される。
なお、このように湾曲部位C1,C3でメディアンクラックMCを、直線部位T1よりも深く形成できるのは、図5(a)〜図5(c)に示したとおり、(1)スクライブラインSを形成する際に、スクライブホイールHが強化ガラス板Gを押圧する押圧力Fを、コーナー部に沿った湾曲部位C1,C3において、直線部位T1よりも大きくしたこと、(2)湾曲部位C1,C3上をスクライブホイールHが走行する走行速度Vを、直線部位T1上を走行する走行速度Vよりも遅くしたことにより、押圧力Fを確実に作用させ得ることに起因している。
これにより、有効面部Gaと非有効面部Gbとの境界のうち、コーナー部に沿った湾曲部位C1〜C4では、直線部位T1〜T4よりも小さな曲げモーメントでもって、強化ガラス板Gを折割って切断することが可能となる。これにより、湾曲部位C1〜C4では、直線部位T1〜T4と比較して、有効面部Gaと非有効面部Gbとの分離を実行しやすくなる。そのため、強化ガラス板Gからの有効面部Gaの切出しを、円滑に実施することが可能となる。
ここで、図8(a)〜図8(c)は、それぞれ有効面部Gaと非有効面部Gbとの境界のうち、直線部位T1(T2,T3,T4)、湾曲部位C1(C2)、湾曲部位C3(C4)に形成されたメディアンクラックMCを示す図である。図8(a)に示すように、直線部位T1では、スクライブラインSを形成する際に、メディアンクラックMCから発生した分断クラックCRが、強化ガラス板Gの板厚方向に自走するような事態の発生を回避しやすくなる。一方、コーナー部に沿った湾曲部位C1,C3は、直線部位T1よりもスクライブホイールHによって強く押圧されて、より深くメディアンクラックMCが形成されているため、図8(b),図8(c)に白抜き矢印で示すように、分断クラックCRの自走が誘発されやすくなる。
そして、分断クラックCRの自走が生じた場合には、分断クラックCRが、引張応力層Bに作用した引張応力によって、その進展方向(板厚方向)における先端側の圧縮応力層Aまで進展して、強化ガラス板Gの略全厚み、或いは、全厚みが切断された状態となる。このため、スクライブラインSの形成が完了した後、強化ガラス板Gを折割って切断する際に、湾曲部位C1〜C4については、有効面部Gaと非有効面部Gbとの分離を、より容易に実行できる。
その結果、強化ガラス板Gからの有効面部Gaの切出しを、より円滑に実施することが可能となる。さらに、湾曲部位C1〜C4では、分断クラックCRが自走して、略全厚み、或いは、全厚みが切断された状態となる一方、直線部位T1〜T4は、メディアンクラックMCのみが形成された未切断の状態下にある。このため、例えば、強化ガラス板Gを搬送している最中等、意図しないタイミングで有効面部Gaと非有効面部Gbとが完全に分離してしまい、これらの対向する切断面同士が擦れ合って、切断面の品質が低下するような事態の発生を防止することができる。
また、この第一実施形態に係る強化ガラス板のスクライブ方法では、相対的に曲率半径(=5mm)が小さい湾曲部位C3及びC4では、相対的に曲率半径(=10mm)の大きい湾曲部位C1及びC2に対して、メディアンクラックMCを、より深く形成することが可能である。このことから、湾曲部位C3及びC4では、湾曲部位C1及びC2よりも分断クラックCRの自走が誘発されやすくなる。そのため、湾曲部位C3及びC4では、より強化ガラス板Gの略全厚み、或いは、全厚みが切断された状態としやすくなり、湾曲部位C1〜C4における有効面部Gaと非有効面部Gbとの分離を好適に実行することができる。
なお、本実施形態において、有効面部Gaと非有効面部Gbとの境界のうち、直線部位T1(T2,T3,T4)、湾曲部位C1(C2)、湾曲部位C3(C4)に形成されるメディアンクラックMCの深さ(図5(a)〜図5(c)及び図8(a)〜図8(c)に符号X,Y,Zで示した深さ)は、それぞれ直線部位T1(T2,T3,T4):X=120μm、湾曲部位C1(C2):Y=130μm、湾曲部位C3(C4):Z=150μmであった(強化ガラス板Gの切断後に測定)。
ここで、直線部位T1〜T4に形成されるメディアンクラックMCの深さXを、強化ガラス板Gに形成された圧縮応力層Aの厚みDOLの3倍以上で、且つ強化ガラス板Gの板厚の60%未満とするための条件は、(1)圧縮応力層Aの厚みDOLと、(2)圧縮応力層Aに作用した圧縮応力の大きさと、(3)引張応力層Bの厚みと、(4)引張応力層Bに作用した引張応力の大きさとによって異なってくるものであるため、これら(1)〜(4)の条件が変更された場合には、適宜スクライブホイールHの走行速度V、及びスクライブホイールHが強化ガラス板Gを押圧する押圧力F等の設定を行う。例えば、走行速度Vと、押圧力Fとを変更しながら試し切りを行うことで、最適な設定を割り出すことができる。
また、湾曲部位C1〜C4において、直線部位T1〜T4よりも深くメディアンクラックMCを形成するための条件は、スクライブホイールHが強化ガラス板Gを押圧する押圧力Fを、湾曲部位C1〜C4において、直線部位T1〜T4よりも大きくすることが条件となっている。なお、押圧力Fの大きさは、湾曲部位C1〜C4において、直線部位T1〜T4よりも5%以上増加させることが好ましく、より好ましくは10%以上増加させる。また、スクライブホイールHの走行速度Vは、湾曲部位C1〜C4において、直線部位T1〜T4に対して60%以下とするのが好ましく、より好ましくは40%以下とする。
さらに、湾曲部位C1〜C4においては、押圧力Fの大きさ、及び走行速度Vが同一であっても、相対的に曲率半径が小さい湾曲部位C3及びC4では、相対的に曲率半径が大きい湾曲部位C1及びC2に対して、自然にメディアンクラックMCが深く形成される。
また、この第一実施形態に係る強化ガラス板のスクライブ方法では、予備スクライブラインRS、スクライブラインS、及び補助スクライブラインHSの形成が完了した後、強化ガラス板Gの有効面部Gaを切出すにあたって、図9に示すように、スクライブラインSに沿った折割りを実行する前に、同図に白抜き矢印で示すように、補助スクライブラインHS、及び予備スクライブラインRSの周辺に、曲げモーメントを作用させ、これらに沿った折割りを実行すれば、以下のような作用・効果を得ることができる。
ここで、各補助スクライブラインHS、及び予備スクライブラインRSについて、その各々に沿った折割りの実行の態様は、全て同一である。そのため、これらを代表して、強化ガラス板Gのエッジ部Eから、スクライブラインSにおける直線部T1に向かって延びた補助スクライブラインHSに沿って、折割りを実行する態様についてのみ説明する。
補助スクライブラインHSに沿った折割りが実行されると、図10に示すように、これに伴って切断部CU(割断部)が補助スクライブラインHSに沿って形成される。このとき、同図に示すように、さらに切断部CUは、補助スクライブラインHSの終端HSE側では、スクライブラインSまで進展する。これにより、強化ガラス板Gの非有効面部Gbには、スクライブラインSからエッジ部Eまで連なる切断部CUが形成される。
加えて、スクライブラインSへと到達した切断部CUは、その後、当該スクライブラインSに沿って進展していく。これらのことから、補助スクライブラインHS、及び予備スクライブラインRSに沿った折割りの実行に続いて、図11に示すように、スクライブラインS(湾曲部位C1〜C4)に沿った折割りを実行する際、非有効面部Gbについては、切断部CUにより分断された各非有効面部Gb1〜Gb4を、白抜き矢印で示すように、その各々に対応する方向へと別々に独立して折り曲げることができる。
その上、スクライブラインSに沿って既に切断部CUが進展した部位については、当該部位に対応する方向へと強化ガラス板Gを折り曲げる必要自体がなくなる。すなわち、スクライブラインSに沿った折割りの実行に伴って、強化ガラス板Gを同時に多様な方向に折り曲げる必要がなくなり、折り曲げの方向を少なく限定することが可能となる。その結果、有効面部Gaと非有効面部Gbとの対向する切断面同士の接触を可及的に抑制することができる。
また、補助スクライブラインHSを形成する際、当該補助スクライブラインHSの終端HSEが、スクライブラインSと合流しないことから、強化ガラス板Gの引張応力層Aに作用した引張応力に起因して、補助スクライブラインHSから発生した亀裂が、有効面部Gaへと進展してしまうような事態の発生を回避することが可能となる。
なお、この効果は、補助スクライブラインHSの終端HSEと、スクライブラインSとの離間距離D2(=2mm)を、スクライブホイールHの径HD(=2mm)の0.5倍以上で、且つ3倍以下としたことで、より高められる。すなわち、このようにすれば、補助スクライブラインHSを形成する際、当該補助スクライブラインHSから発生した亀裂の有効面部Gaへの進展を、より好適に回避することが可能となる。また、補助スクライブラインHSの終端HSEと、スクライブラインSとの離間距離D2が長すぎるような場合、補助スクライブラインHSに沿った折割りの実行時に、当該補助スクライブラインHSの終端HSE側において、切断部CUがスクライブラインSに向かわず、意図しない方向へと進展してしまうことがある。しかしながら、離間距離D2が、スクライブホイールHの径HDの0.5倍以上で、且つ3倍以下である場合には、このような事態の発生を好適に防止することができる。
さらに、補助スクライブラインHSの始端HSSが、強化ガラス板Gの非有効面部Gbにおけるエッジ部Eに位置していることから、補助スクライブラインHSの始端HSSとなるエッジ部Eから終端HSEまでの全長に亘って、当該補助スクライブラインHSを、折割りによる切断に適した深さに形成することができる。このため、補助スクライブラインHSに沿った折割りを、確実に実行することが可能となる。
加えて、複数の補助スクライブライン、及び予備スクライブラインRSを形成したことにより、これらに沿った折割りを実行した後、非有効面部Gbは、当該非有効面部Gbに形成された切断部CUによって、4つに分断された状態となる。そのため、スクライブラインS(湾曲部位C1〜C4)に沿った折割りを実行した後、図12に示すように、各非有効面部Gb1〜Gb4を、有効面部Gaの対角線に沿う方向に移動させ、取り除く際においても、4つに分断された各非有効面部Gb1〜Gb4の各々における切断面と、有効面部Gaにおける切断面とを、接触させずに離間させやすくなる。
また、補助スクライブラインHSを、スクライブラインSにおける直線部位T2〜T4に向かって形成したこと、及び、補助スクライブラインHSを、強化ガラス板Gの非有効面部Gbのエッジ部Eから、その終端までの全長に亘って直線状に、且つスクライブラインSにおける直線部位T2〜T4に対して垂直な方向に沿って形成したことにより、以下のような効果も得ることができた。すなわち、スクライブラインSに沿って強化ガラス板Gが切断される際に、有効面部Gaに切れ残りが発生することを好適に回避することが可能であった。
以下、本発明の第二実施形態に係る強化ガラス板のスクライブ方法について、添付の図面を参照して説明する。なお、この第二実施形態、及び、以降に説明する第三〜第十実施形態に係る強化ガラス板のスクライブ方法の説明において、上記の第一実施形態に係る強化ガラス板のスクライブ方法で既に説明した要素については、各実施形態について説明するための図面に、同一の符号を付すことにより重複する説明を省略している。
図13は、本発明の第二実施形態に係る強化ガラス板のスクライブ方法において、予備スクライブラインの近傍を拡大した拡大図である。この第二実施形態に係る強化ガラス板のスクライブ方法が、上記の第一実施形態に係る強化ガラス板のスクライブ方法と相違している点は、当該方法を実施する対象となる強化ガラス板Gにおいて、有効面部Gaの形状が異なっている点である。有効面部Gaは、その外周輪郭が曲線のみで構成(一部のみを図示)されており、これに伴い切断予定線CLが曲線のみで構成されている。
以下、本発明の第二実施形態に係る強化ガラス板のスクライブ方法、及び、その作用・効果について説明する。なお、以下の説明においては、上記の第一実施形態に係る強化ガラス板のスクライブ方法と相違する点についてのみ説明する。
この第二実施形態に係る強化ガラス板のスクライブ方法においては、予備スクライブラインRSが、切断予定線CLのうち、曲率が最小となる位置(本実施形態においては、合流点J)にて当該切断予定線CLと接するように、当該予備スクライブラインRSを湾曲させつつ滑らかに合流させる。このような方法によっても、上記の第一実施形態に係る強化ガラス板のスクライブ方法と同様の作用・効果を得ることが可能である。
以下、本発明の第三実施形態に係る強化ガラス板のスクライブ方法、及び、その作用・効果について、添付の図面を参照して説明する。なお、以下の説明においては、上記の第一実施形態に係る強化ガラス板のスクライブ方法と相違する点についてのみ説明する。
図14は、本発明の第三実施形態に係る強化ガラス板のスクライブ方法において、予備スクライブラインの近傍を拡大した拡大図である。この第三実施形態に係る強化ガラス板のスクライブ方法が、上記の第一実施形態に係る強化ガラス板のスクライブ方法と相違している点は、予備スクライブラインRSと切断予定線CLとが、合流点Jにおいて、角度をなしている点である。
ここで、本実施形態においては、合流点Jにおいて、予備スクライブラインRSの接線TL1と切断予定線CLとは、角度αをなしており、αの大きさは、10°以下であることが好ましい。このような方法によっても、上記の第一実施形態に係る強化ガラス板のスクライブ方法と同様の作用・効果を得ることが可能である。
以下、本発明の第四実施形態に係る強化ガラス板のスクライブ方法、及び、その作用・効果について、添付の図面を参照して説明する。なお、以下の説明においては、上記の第一実施形態に係る強化ガラス板のスクライブ方法と相違する点についてのみ説明する。
図15は、本発明の第四実施形態に係る強化ガラス板のスクライブ方法において、予備スクライブラインの近傍を拡大した拡大図である。この第四実施形態に係る強化ガラス板のスクライブ方法が、上記の第一実施形態に係る強化ガラス板のスクライブ方法と相違している点は、当該方法を実施する対象となる強化ガラス板Gにおいて、有効面部Gaの形状が異なっている点と、予備スクライブラインRSと切断予定線CLとが、合流点Jにおいて、角度をなしている点である。
有効面部Gaは、その外周輪郭が曲線のみで構成(一部のみを図示)されており、これに伴い切断予定線CLが曲線のみで構成されている。この第四実施形態に係る強化ガラス板のスクライブ方法においては、予備スクライブラインRSを、切断予定線CLのうち、曲率が最小となる位置(本実施形態においては、合流点J)にて、湾曲させつつ滑らかに切断予定線CLに合流させる。
ここで、本実施形態においては、合流点Jにおいて、予備スクライブラインRSの接線TL1と切断予定線CLの接線TL2とは、角度βをなしており、βの大きさは、10°以下であることが好ましい。このような方法によっても、上記の第一実施形態に係る強化ガラス板のスクライブ方法と同様の作用・効果を得ることが可能である。
以下、本発明の第五実施形態に係る強化ガラス板のスクライブ方法、及び、その作用・効果について、添付の図面を参照して説明する。なお、以下の説明においては、上記の第一実施形態に係る強化ガラス板のスクライブ方法と相違する点についてのみ説明する。
図16は、本発明の第五実施形態に係る強化ガラス板のスクライブ方法において、予備スクライブラインの近傍を拡大した拡大図である。この第五実施形態に係る強化ガラス板のスクライブ方法が、上記の第一実施形態に係る強化ガラス板のスクライブ方法と相違している点は、スクライブホイールHを、エッジ部Eに対して直交する方向に走行させずに、予備スクライブラインRSの始端を形成している点である。
ここで、本実施形態においては、スクライブホイールHを、強化ガラス板Gのエッジ部Eに対して、角度θ1だけ傾斜した方向に走行させることで、予備スクライブラインRSの始端を形成している。なお、θ1の大きさとしては、90±45°の範囲内(45°≦θ1≦135°)であることが好ましい。このような方法によっても、上記の第一実施形態に係る強化ガラス板のスクライブ方法と同様の作用・効果を得ることが可能である。
以下、本発明の第六実施形態に係る強化ガラス板のスクライブ方法について、添付の図面を参照して説明する。なお、以下の説明においては、上記の第一実施形態に係る強化ガラス板のスクライブ方法と相違する点についてのみ説明する。
図17は、本発明の第六実施形態に係る強化ガラス板のスクライブ方法において、当該方法を実施する対象となる強化ガラス板Gを示す平面図である。なお、図17に示す強化ガラス板Gの寸法(横×縦×厚み)は、上記の第一実施形態における強化ガラス板Gと同一である。この第二実施形態に係る強化ガラス板のスクライブ方法が、上記の第一実施形態に係る強化ガラス板のスクライブ方法と相違している点は、有効面部Gaと非有効面部Gaとの境界となる切断予定線CLの構成が異なっている点である。
本実施形態においては、上記の第一実施形態とは異なり、切断予定線CLが、コーナー部に沿った湾曲部位C1〜C4と、これらを相互に結ぶと共に、曲率半径が極めて大きく略直線とみなせる略直線部位K1〜K4とで構成されている。略直線部位K1〜K4の各々は、一様な曲率で湾曲した円弧であって、当該円弧における弦から円弧上の最も突出した部位までの距離が1mm以下とされており(好ましくは、500μm以下とする)、略直線とみなすことができる。ここで、本実施形態においては、有効面部Gaと非有効面部Gbとの境界のうち、他の部位を略直線部位K1〜K4が構成している。これにより、切断予定線CLに囲われる有効面部Gaは、上記の第一実施形態と同様に、湾曲したコーナー部を有する略矩形の形状を備えている。
以下、本発明の第六実施形態に係る強化ガラス板のスクライブ方法、及びその作用・効果について説明する。
この第六実施形態に係る強化ガラス板のスクライブ方法において、略直線部位K1〜K4にスクライブラインSを形成する態様は、上記の第一実施形態において、直線部位T1〜T4にスクライブラインSを形成する態様と同一である。また、湾曲部位C1〜C4にスクライブラインSを形成する態様についても、上記の第一実施形態と同一である。そのため、この第六実施形態に係る強化ガラス板のスクライブ方法によっても、上記の第一実施形態に係る強化ガラス板のスクライブ方法と同様の作用・効果を得ることができる。
以下、本発明の第七〜第十実施形態に係る強化ガラス板のスクライブ方法、及びその作用・効果について、添付の図面を参照して説明する。なお、以下の説明においては、上記の第一実施形態に係る強化ガラス板のスクライブ方法と相違する点についてのみ説明する。
図18〜図21は、本発明の第七〜第十実施形態に係る強化ガラス板のスクライブ方法を示す平面図である。これら各実施形態に係る強化ガラス板のスクライブ方法が、上記の第一実施形態に係る強化ガラス板のスクライブ方法と、共通して相違している点は、予備スクライブラインRSに代えて、新たな補助スクライブラインHSが形成されている点である。なお、図18〜図21において、補助スクライブラインHSを形成するためのスクライブホイールHの図示は省略している。
図18に示す第七実施形態に係る強化ガラス板のスクライブ方法においては、新たな補助スクライブラインHSが、強化ガラス板Gの非有効面部Gbにおけるエッジ部Eから、スクライブラインSにおける直線部位T1に向かって形成されている。この新たな補助スクライブラインHSを形成する態様は、各直線部位T2〜T4に向かって形成される補助スクライブラインHSと同一である。
図19に示す第八実施形態に係る強化ガラス板のスクライブ方法においては、全ての補助スクライブラインHSが、強化ガラス板Gの非有効面部Gbにおけるエッジ部Eから、各直線部位T1〜T4に対して垂直な方向に沿って形成されるのではなく、当該補助スクライブラインHSと各直線部位T1〜T4とが、傾斜角θ2をなしている。また、直線部位T1及びT3に向かって形成された補助スクライブラインHSと、直線部位T2及びT4に向かって形成された補助スクライブラインHSとが、逆向きに傾斜している。ここで、この傾斜角θ2の値は、15°〜85°とすることができ、好ましくは30°〜70°である。
図20に示す第九実施形態に係る強化ガラス板のスクライブ方法においては、全ての補助スクライブラインHSが、強化ガラス板Gの非有効面部Gbにおけるエッジ部Eから、各直線部位T1〜T4ではなく、各湾曲部位C1〜C4に向かって形成されている。
図21に示す第十実施形態に係る強化ガラス板のスクライブ方法においては、各補助スクライブラインHSが、強化ガラス板Gの非有効面部Gbにおけるエッジ部Eから、直線部位T2における両端、或いは、直線部位T4における両端に向かって形成されている。
これら第七〜第十実施形態に係る強化ガラス板のスクライブ方法によっても、上記の第一実施形態に係る強化ガラス板のスクライブ方法と同様の作用・効果を得ることが可能である。なお、これらの実施形態においては、各補助スクライブラインHSを、強化ガラス板Gの面の中心を基準として点対称な位置に形成している。
ここで、第七、及び第八実施形態の場合、補助スクライブラインHSに沿った折割りを実行した際、切断部CUは、上記の第一実施形態の場合と同様に形成される。一方、第九実施形態の場合には、補助スクライブラインHSに沿った折割りを実行した際、切断部CUは、スクライブラインSへと到達した後、各湾曲部位C1〜C4に沿って進展する。また、第十実施形態の場合には、補助スクライブラインHSに沿った折割りを実行した際、切断部CUは、スクライブラインSへと到達した後、各湾曲部位C1〜C4、及び各直線部位T1〜T4に沿って進展する。
さらには、第七実施形態の場合には、スクライブラインSに沿った折割りを実行した後、切断部CUによって分断された各非有効面部Gbを取り除く際、第一実施形態と同様にして取り除かれる。また、第八実施形態の場合には、スクライブラインSに沿った折割りを実行した後、切断部CUによって分断された各非有効面部Gbを取り除く際、まず先に湾曲部位C2及びC4に沿う非有効面部Gbが、有効面部Gaの対角線(C2とC4とを結ぶ対角線)に沿う方向に取り除かれる。その後、湾曲部位C1及びC3に沿う非有効面部Gbが、有効面部Gaの対角線(C1とC3とを結ぶ対角線)に沿う方向に取り除かれる。加えて、第九、及び第十実施形態の場合には、スクライブラインSに沿った折割りを実行した後、切断部CUによって分断された各非有効面部Gbを取り除く際、有効面部Gaと非有効面部Gbとの対向する切断面のうち、直線状に延びた部位を相互に離間させるようにして、取り除かれる。
なお、本発明に係る強化ガラス板のスクライブ方法は、上記の各実施形態で説明した態様に限定されるものではない。例えば、上記の各実施形態においては、矩形の強化ガラス板から有効面部を切出す場合について説明したが、任意形状(矩形以外)の強化ガラス板から有効面部を切出す場合に本発明を適用してもよい。また、本発明に係る強化ガラス板のスクライブ方法において、当該方法を実施する対象となる強化ガラス板の寸法についても、上記の各実施形態で説明した限りではなく、任意の寸法を有する強化ガラス板に対して、本発明を適用することが可能である。
また、上記の各実施形態においては、予備スクライブラインの始端が、強化ガラス板のエッジ部に位置する態様となっているが、この限りではなく、非有効面部における任意の位置を予備スクライブラインの始端としてもよい。加えて、上記の各実施形態においては、スクライブラインの終端と、合流点とを離間させることが好ましいことを説明したが、必ずしも、このようにする必要はなく、スクライブラインの終端と、合流点とを一致させてもよい。
また、上記の各実施形態において、予備スクライブラインは、直線部位と曲線部位との双方を含む構成となっているが、曲線部位のみで構成してもよい。さらに、上記の各実施形態においては、予備スクライブラインは、一定の曲率半径でもって湾曲している。しかしながら、この限りではなく、例えば、予備スクライブラインの始端付近と比較して、終端付近の曲率半径が大きい等、曲率半径が途中で変化するように、予備スクライブラインを形成してもよい。
さらに、上記の各実施形態において、予備スクライブラインは、切断予定線が直線を含む場合には、当該直線にて合流する態様となっており、切断予定線が曲線のみで構成される場合には、当該曲線のうち、曲率が最小となる位置にて合流する態様となっている。しかしながら、この限りではなく、切断予定線が直線を含む場合でも、曲線にて合流させてもよいし、曲率が最小となる位置以外で合流させてもよい。
また、上記の第一、第三、第五、第七〜第十実施形態では、有効面部と非有効面部との境界となる切断予定線が、湾曲部位と、当該湾曲部位を相互に結ぶ直線部位とで構成されている。また、第六実施形態では、湾曲部位と、当該湾曲部位を相互に結ぶ略直線部位とで構成されている。しかしながら、これらの限りではなく、例えば、上記の第一、第三、第五、第七〜第十実施形態において、四箇所の直線部位の一部のみを略直線部位に置き換えて切断予定線を構成してもよい。
さらに、上記の各実施形態においては、有効面部と非有効面部との境界のうち、コーナー部に沿った湾曲部位では、分断クラックの自走を促しているが、必ずしも分断クラックを自走させる必要はない。例えば、湾曲部位において、他の部位(上記の実施形態においては、直線部位や略直線部位)よりもメディアンクラックを深く形成するのみで、分断クラックの自走が生じなかったとしても、強化ガラス板を折割って切断する際に必要な曲げモーメントは小さくなるため、湾曲部位における有効面部と非有効面部との分離を好適に実行することが可能である。
また、上記の各実施形態においては、補助スクライブラインの始端が強化ガラス板の非有効面部におけるエッジ部に位置する態様となっている。しかしながら、必ずしもエッジ部を始端とする必要はなく、非有効面部における任意の位置を始端とすることが可能である。なお、このようにする場合には、補助スクライブラインの始端を、エッジ部の近傍とすることが好ましい。
さらには、上記の第一〜第六実施形態においては、3本の補助スクライブラインが形成され、第七〜第十実施形態においては、4本の補助スクライブラインが形成されているが、さらに補助スクライブラインの本数を増やしてもよい。このとき、補助スクライブラインの本数が多いほど、当該補助スクライブラインに沿った折割りを実行した後、非有効面部は、当該非有効面部に形成された切断部によって、より多数に分断された状態となる。そのため、補助スクライブラインに沿った折割りの実行に続けて、スクライブラインに沿った折割りの実行する際には、切断部によって分断された各非有効面部の折り曲げ時に、折り曲げの方向を、より少なく限定することができる。
また、補助スクライブラインの本数については、上記の各実施形態と比較して、少ない本数のみを形成してもよい。しかしながら、有効面部と非有効面部との対向する切断面同士の接触を防止する観点から、補助スクライブラインは2本以上を形成することが好ましい。なお、補助スクライブラインを2本のみ形成する場合において、矩形の強化ガラス板から代表的形状を有する有効面部を切出す際には、当該矩形の強化ガラス板における平行な二辺のそれぞれに、1本ずつ補助スクライブラインを形成すると共に、これらが対向するように形成することが好ましい。
加えて、上記の各実施形態においては、補助スクライブラインが、その始端から終端までの全長に亘って直線状に形成されているが、略直線とみなせるような曲線として、補助スクライブラインを形成してもよい。
なお、本発明に係る強化ガラス板のスクライブ方法は、以下のような場合に応用することが可能であるものと想定されている。すなわち、強化ガラス板から、例えば、楕円形状を有する有効面部を切出すような場合である。このとき、有効面部と非有効面部との境界のうち、曲率が大きい部位ほど、メディアンクラックを深く形成するようにする。このようにすれば、曲率の大きい部位では、曲率の小さい部位と比較して、有効面部と非有効面部との分離が容易となり、強化ガラス板からの有効面部の切出しを、円滑に実行できるものと想定される。
本発明の実施例として、上述した本発明の第一実施形態に係る強化ガラス板のスクライブ方法と、下記の比較例に係る強化ガラス板のスクライブ方法とにより、強化ガラス板に予備スクライブライン、及びスクライブラインを形成した。そして、形成された予備スクライブライン、及びスクライブラインの周辺に曲げモーメントを作用させて、強化ガラス板を有効面部と非有効面とに折割って切断(割断)した。その後、有効面部において、切り残りが発生するか否かを検証した。
以下、実施例の実施態様は、上記の第一実施形態に係る強化ガラス板のスクライブ方法と同一であるので、比較例の実施態様についてのみ説明する。なお、比較例の説明において、上記の第一実施形態に係る強化ガラス板のスクライブ方法で既に説明した要素については、比較例について説明するための図面に、同一の符号を付すことにより重複する説明を省略している。
比較例では、図22に示すように、スクライブホイールHを、切断予定線CLの直線部位T1に対して直交する方向に走行させることにより、予備スクライブラインRSを、切断予定線CL上の直線部位T1と湾曲部位C1との接続部に合流させた。その後、スクライブホイールHの進行方向を90°転換させると共に、予備スクライブラインRSに連ねて、切断予定線CLに沿ってスクライブラインSを閉ループ状に形成した。なお、予備スクライブラインRS、及びスクライブラインSを形成する際のスクライブホイールHの走行速度と、スクライブホイールHが強化ガラス板Gの表面を押圧する押圧力とは、全て上記の第一実施形態に係る強化ガラス板のスクライブ方法と同一である。
以下に検証の結果(有効面部における切れ残りの有無)を示す。実施例においては、有効面部Gaにおいて、切れ残りの発生を防止することが可能であった。一方、比較例においては、合流点Jの近傍において、角状に突き出した切れ残りが発生した。これは、比較例では、予備スクライブラインRSに連ねて、スクライブラインSの形成を開始する際に、スクライブホイールHの進行方向を急激に転換させているのに対し、実施例では、予備スクライブラインRSが、湾曲しつつ滑らかに切断予定線に合流するように、スクライブホイールHを走行させたことによるものと想定される。
以上のことから、本発明に係る強化ガラス板のスクライブ方法によれば、強化ガラス板から曲線を含んだ外周輪郭を有する有効面部を切出す際に、当該有効面部における切れ残りの発生を抑制することが可能となるものと推認される。
本発明の実施例として、上述した本発明の第一実施形態に係る強化ガラス板のスクライブ方法と、下記の比較例に係る強化ガラス板のスクライブ方法とにより、強化ガラス板にスクライブラインを形成した。その後、形成されたスクライブラインの周辺に曲げモーメントを作用させ、強化ガラス板の折割りを実行することで、有効面部と非有効面部との分離を試みた。そして、この際にコーナー部に沿った湾曲部位において、有効面部と非有効面部とを円滑に分離できるか否かを検証した。
以下、実施例の実施態様は、上記の第一実施形態に係る強化ガラス板のスクライブ方法と同一であるので、比較例の実施態様についてのみ説明する。比較例に係る強化ガラス板のスクライブ方法が、実施例に係る強化ガラス板のスクライブ方法と相違している点は、有効面部と非有効面部との境界において、湾曲部位と直線部位との双方で、スクライブホイールが強化ガラス板を押圧する押圧力が同一とされている点であり、いずれの部位においても、押圧力は5Nとした(実施例においては、湾曲部位:9.4N、直線部位:8.5N)。
以下に検証の結果を示す。実施例では、上記の第一実施形態で説明したように、湾曲部位において、有効面部と非有効面部とを円滑に分離することが可能であった。一方、比較例では、湾曲部位において、分断クラックが有効面部と非有効面部との境界を外れて進展し、これらの分離に失敗した。ここで、比較例において、強化ガラス板の切断後にメディアンクラックの深さを測定したところ、湾曲部位と直線部位との双方において、60μmであった。そして、比較例において有効面部と非有効面部との分離に失敗したのは、湾曲部位におけるメディアンクラックの深さが、直線部位と同じ深さであったためと想定される。
以上のことから、本発明に係る強化ガラス板のスクライブ方法によれば、強化ガラス板から、湾曲したコーナー部を有する略矩形状の有効面部を切出す際に、当該有効面部の円滑な切り出しが可能となるものと推認される。
G 強化ガラス板
Ga 有効面部
Gb 非有効面部
CL 切断予定線
A 圧縮応力層
DOL 圧縮応力層の厚み
T1〜T4 切断予定線(スクライブライン)の直線部位
C1〜C4 切断予定線(スクライブライン)の湾曲部位
K1〜K4 切断予定線における略直線部位
S スクライブライン
MC メディアンクラック
X 直線部位におけるメディアンクラックの深さ
Y 湾曲部位におけるメディアンクラックの深さ
Z 湾曲部位におけるメディアンクラックの深さ
H スクライブホイール
F 押圧力
V 走行速度
Ga 有効面部
Gb 非有効面部
CL 切断予定線
A 圧縮応力層
DOL 圧縮応力層の厚み
T1〜T4 切断予定線(スクライブライン)の直線部位
C1〜C4 切断予定線(スクライブライン)の湾曲部位
K1〜K4 切断予定線における略直線部位
S スクライブライン
MC メディアンクラック
X 直線部位におけるメディアンクラックの深さ
Y 湾曲部位におけるメディアンクラックの深さ
Z 湾曲部位におけるメディアンクラックの深さ
H スクライブホイール
F 押圧力
V 走行速度
Claims (5)
- 湾曲したコーナー部を有する略矩形状の有効面部と、該有効面部を囲う非有効面部との境界に沿って、スクライブ刃を移動させることで、強化ガラス板を、前記有効面部と前記非有効面部とに切断するためのスクライブラインを形成する強化ガラス板のスクライブ方法において、
前記スクライブラインの深さが、前記有効面部と前記非有効面部との境界のうち、前記コーナー部に沿った湾曲部位で、他の部位よりも深くなるように形成することを特徴とする強化ガラス板のスクライブ方法。 - 前記有効面部と前記非有効面部との境界のうち、前記他の部位に形成する前記スクライブラインの深さを、前記強化ガラス板に形成された圧縮応力層の厚みの3倍以上で、且つ前記強化ガラス板の板厚の60%未満とすることを特徴とする請求項1に記載の強化ガラス板のスクライブ方法。
- 前記コーナー部に沿った湾曲部位のうち、曲率半径が小さい湾曲部位ほど、前記スクライブラインを深く形成することを特徴とする請求項1又は2に記載の強化ガラス板のスクライブ方法。
- 前記スクライブラインを形成する際に、前記スクライブ刃が前記強化ガラス板を押圧する押圧力を、前記有効面部と前記非有効面部との境界のうち、前記コーナー部に沿った湾曲部位で、前記他の部位よりも大きくすることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の強化ガラス板のスクライブ方法。
- 前記スクライブラインを形成する際に、前記スクライブ刃が移動する移動速度を、前記有効面部と前記非有効面部との境界のうち、前記コーナー部に沿った湾曲部位で、前記他の部位よりも遅くすることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の強化ガラス板のスクライブ方法。
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