本発明の一実施形態を図1〜図11を参照して説明する。
本実施形態の回転電機は、ロータ1の周囲に配置される大略筒状のステータ11と、ステータ11に装着される磁束生成用のコイル21とを備える。
ステータ11には、図1に示すように、複数のスロット12が、ステータ11の周方向(ステータ11の軸心周り方向)に一定間隔のピッチで並ぶように形成されている。各スロット12は、ステータ11をその軸方向に貫通するように設けられている。
コイル21は、図2に示すように、U相コイル21U、V相コイル21V、及びW相コイル21Wの3相のコイルにより構成される。本実施形態では、各相のコイル21U,21V,21Wは、それぞれ2つのコイル(21U1,21U2),(21V1,21V2),(21W1,21W2)を並列に接続して構成される。そして、U相、V相、W相のコイル21U,21V,21Wのそれぞれの一端が中性点22にて相互に接続される。
なお、U相コイル21U、V相コイル21V、W相コイル21Wはそれぞれ、本発明における第1相のコイル、第2相のコイル、第3相のコイルに相当するものである。
また、コイル21U,21V,21Wのそれぞれの他端は、コイル21U,21V,21Wに流す電流の入出部となる電流入出端子23U,23V,23Wにそれぞれ接続される。
以降の説明では、各相のコイル21U,21V,21Wを区別する必要が無いときは、任意の1つの相のコイルをコイル21Xと表記する。この場合、「X」は、U、V、Wのいずれか1つを意味する。また、1つの相のコイル21Xを構成する2つのコイルを第1コイル21X1、第2コイル21X2と表記し、該コイル21Xの電流入出端子を電流入出端子23Xと表記する。
各相の第1コイル21X1及び第2コイル21X2のそれぞれは、その構成要素として、図3及び図4に示すようにスロット12にそれぞれ挿入される所定数の線状の要素導体31を備えている。各要素導体31は、ステータ11の軸方向に延在して、スロット12を貫通するように該スロット12に挿入される。
そして、各相の第1コイル21X1及び第2コイル21X2のそれぞれは、上記所定数の要素導体31を、順番に導通させていくように(換言すれば、連続した電流路を形成するように)、直列に接続することにより構成される。
図3及び図4では、ステータ11の軸方向を紙面に垂直な方向、ステータ11の周方向を横方向、ステータ11の径方向を縦方向とし、各要素導体31を、ステータ11の軸方向で見た形態で記載している。この場合、第1コイル21X1の要素導体31を白色で示し、第2コイル21X2の要素導体31をグレー色で示している。
また、図3及び図4において、第1コイル21X1及び第2コイル21X2のそれぞれの各要素導体31に付記した符号(17u,80w等)における数字は、電流入出端子23X側から中性点22側への要素導体31の接続順番(導通順番)を表し、該符号中のu,v,wは、当該要素導体31がU相、V相、W相のいずれの相に属するものであるかを表している。
なお、図3及び図4に示す要素導体31の配置及び接続順番は、ステータ11の軸方向の一端側(後述の第1端側)から見た場合の配置及び接続順番を示している。
ここで、本実施形態では、回転電機の磁極の極対数(N極及びS極の対の個数)は、一例として、例えば6極対(全12極)とされている。そして、前記したように、コイル21の相数は3相であり、各相のコイル21Xは、並列接続される第1コイル21X1及び第2コイル21X2の2つのコイルにより構成される。
このため、本実施形態では、図3及び図4に示すように、1極当たりのスロット数NがN=3×2=6個とされている。そして、総計72(=6×12)個のスロット12がステータ11に形成されている。また、各スロット12には、8個の要素導体31が、ステータ11の径方向に一列に整列する(8層に整列する)ようにして挿入される。
また、各相の第1コイル21X1及び第2コイル21X2は、本実施形態では、それぞれ96個の要素導体31(1番目〜96番目の要素導体31)を有する。そして、各相の第1コイル21X1及び第2コイル21X2のそれぞれは、スロット12にそれぞれ挿入した96個の要素導体31を、図3及び図4に示した番号順に導通させるように、直列に接続することで構成される。
以下に、各相の第1コイル21X1及び第2コイル21X2のより具体的な構造を詳説する。
まず、各相の第1コイル21X1について図3〜図8を参照して説明する。なお、以降の説明では、各スロット12に挿入される8個の要素導体31のそれぞれの、ステータ11の径方向での配置位置を、ステータ11の径方向の内側(内周側)から外側(外周側)に向かって、第1層、第2層、……、第8層という。
また、ステータ11の周方向における時計周り方向及び反時計周り方向の2方向のうちの所定の一方向を周方向正側、該一方向と逆方向を周方向負側という。本実施形態の説明では、便宜上、周方向正側は図3〜図8における右向きの方向、周方向負側は図3〜図8における左向きの方向と定義する。
本実施形態では、各相の第1コイル21X1は、1番目〜24番目の要素導体31を直列に接続してなる部分コイル(以降、1−24部分コイルという)と、25番目〜48番目の要素導体31を直列に接続してなる部分コイル(以降、25−48部分コイルという)と、49番目〜72番目の要素導体31を直列に接続してなる部分コイル(以降、49−72部分コイルという)と、73番目〜96番目の要素導体31を直列に接続してなる部分コイル(以降、73−96部分コイルという)とを直列に接続したものとして構成される。
そして、第1コイル21X1の要素導体31の配置及び接続の形態は、1−24部分コイルにおける形態、25−48部分コイルにおける形態、49−72部分コイルにおける形態、及び73−98部分コイルにおける形態とに大別される。
さらに、第1コイル21X1の上記各部分コイルを構成する要素導体31(24個の要素導体31)は、ステータ11の周方向に第1の所定間隔のピッチで並ぶ複数のスロット12にそれぞれ挿入される複数の要素導体により構成される第1要素導体群と、第1要素導体群の要素導体31が挿入されるスロット12に対してステータ11の周方向に位相がずれた状態で該周方向に前記第1の所定間隔のピッチで並ぶ複数のスロット12にそれぞれ挿入される複数の要素導体31により構成される第2要素導体群とに分類される。
この場合、第1コイル21X1の1−24部分コイル、25−48部分コイル、49−72部分コイル、及び73−96部分コイルのそれぞれにおいて、第2要素導体群の要素導体31(以降、第2要素導体31ということがある)が挿入されるスロット12は、第1要素導体群の要素導体31(以降、第1要素導体31ということがある)が挿入されるスロット12に対して、第1の所定間隔よりも小さい第2の所定間隔だけステータ11の周方向正側に位相がずれたスロットである。
そして、本実施形態では、上記各第1要素導体31は、ステータ11の径方向外側寄りの層(第5層〜第8層のいずれかの層)に配置される。また、上記各第2要素導体31は、ステータ11の径方向内側寄りの層(第1層〜第4層のいずれかの層)に配置される。
ここで、本明細書において、上記第1の所定間隔、第2の所定間隔等、ステータ11の周方向における任意の2つのスロット12,12の間の「間隔」は、ステータ11の軸心周りにおけるスロット12,12の角度位置(位相)の差に相当するものである。
そして、上記第1の所定間隔は、回転電機の1極当たりのスロット数(本実施形態では6個)を、スロット12の単位ピッチ(ステータ11の周方向に隣り合う2つのスロット12,12の間の間隔)に乗じてなる間隔(=6×単位ピッチ)とされている。
以降、スロット12の単位ピッチのk倍の間隔をkスロットピッチという。本実施形態では、上記第1の所定間隔は6スロットピッチである。
また、上記第2の所定間隔は、第1の所定間隔よりも小さい間隔とされている。該第2の所定間隔は、本実施形態では、スロット12の単位ピッチの5倍の間隔、すなわち、5スロットピッチとされている。
各相の第1コイル21X1の1−24部分コイル、25−48部分コイル、49−72部分コイル、及び73−96部分コイルのそれぞれの要素導体31の配置及び接続の形態をさらに具体的に説明する。
まず、第1コイル21X1の1−24部分コイルを構成する1番目〜24番目の要素導体31は、図3及び図4、あるいは図5(a)に示すように、4n+1番目(n=0,1,…,5)の要素導体31が1つのスロット12の第8層に位置し、その次の4n+2番目の要素導体31が、4n+1番目の要素導体31が配置されたスロット12から周方向正側に前記第2の所定間隔(5スロットピッチの間隔)を有するスロット12の第4層(4n+1番目の要素導体31よりも4層分、径方向内側の層)に位置し、その次の4n+3番目の要素導体31が、4n+2番目の要素導体31が配置されたスロット12から周方向正側に前記第1の所定間隔(6スロットピッチの間隔)を有するスロット12の第3層(4n+2番目の要素導体31よりも1層分、径方向内側の層)に位置し、その次の4n+4番目の要素導体31が、4n+3番目の要素導体31が配置されたスロット12から周方向負側に前記第2の所定間隔(5スロットピッチの間隔)を有するスロット12の第7層(4n+3番目の要素導体31よりも4層分、径方向外側の層)に位置するように配置される。
なお、図5(a)では、1番目〜5番目の要素導体31が、それぞれ、4n+1番目、4n+2番目、4n+3番目、4n+4番目、4(n+1)+1番目(ただし、n=0)の要素導体31の一例として示されている。
この場合、4n+1番目〜4n+4番目の要素導体31の上記の配置によって、4n+4番目の要素導体31が配置されるスロット12は、4n+2番目の要素導体31が配置されるスロット12に対して周方向正側に1スロットピッチの間隔(第1の所定間隔と第2の所定間隔との差分の間隔)を有し、且つ、4n+1番目の要素導体31が配置されるスロット12に対して周方向正側に第1の所定間隔(6スロットピッチの間隔)を有することとなる。
ここで、4n+1番目及び4n+4番目の要素導体31が第1要素導体群の要素導体(第1要素導体)であり、4n+2番目及び4n+3番目の要素導体31が第2要素導体群の要素導体(第2要素導体)である。従って、1−24部分コイルにおいては、第1要素導体31のそれぞれは、第7層又は第8層に配置され、第2要素導体31のそれぞれは、第3層又は第4層に配置される。
そして、1番目〜24番目の要素導体31において、ステータ11の周方向に第2の所定間隔(5スロットピッチの間隔)を有し、且つ、ステータ11の径方向に所定間隔(4層分の間隔)を有する要素導体31,31の対(具体的には、4n+1番目及び4n+2番目の要素導体31,31の対、並びに、4n+3番目及び4n+4番目の要素導体31,31対)が、接続対象の第1要素導体31及び第2要素導体31の対として、ステータ11の軸方向の一端側(以降、軸方向第1端側という)で、第1渡り部43(詳細は後述する)を介して接続される(図5(a)を参照)。
また、ステータ11の周方向に第1の所定間隔(6スロットピッチの間隔)を有し、且つ、ステータ11の径方向で隣り合う層の要素導体31,31の対(具体的には、4n+2番目及び4n+3番目の要素導体31,31の対、並びに、4n’+4番目及び4(n’+1)+1番目(ただし、n’=0,1,…,4)の要素導体31,31の対)が、接続対象の2つの第1要素導体31,31の対、又は2つの第2要素導体31,31の対として、ステータ11の軸方向の他端側(以降、軸方向第2端側という)で、第2渡り部44(詳細は後述する)を介して接続される(図5(a)を参照)。
なお、図5(a)では、図示の便宜上、第1渡り部43を実線で示し、第2渡り部44を破線で示している。
これにより、1−24部分コイルを構成する要素導体31が、図5(b)に例示するようなパターンで順次導通するように、直列に接続される。これにより、1−24部分コイルが構成される。この場合、1番目〜4番目の要素導体31,31,31,31を上記の如く直列に接続してなる組を1単位の要素導体群とみなした場合、1−24部分コイルは、6個の当該要素導体群を、ステータ11の周方向正側に向かって12スロットピッチの間隔(2×第1の所定間隔)で連接したものとして構成される。
補足すると、本実施形態では、ステータ11の軸方向第2端側が、本発明におけるステータの軸方向の一端側に相当するものである。
次に、第1コイル21X1の25−48部分コイルを構成する25番目〜48番目の要素導体31は、図3及び図4、あるいは図5(a)に示すように、4n+25番目(n=0,1,…,5)の要素導体31が1つのスロット12の第6層に位置し、その次の4n+26番目の要素導体31が、4n+25番目の要素導体31が配置されたスロット12から周方向正側に前記第2の所定間隔(5スロットピッチの間隔)を有するスロット12の第2層(4n+25番目の要素導体31よりも4層分、径方向内側の層)に位置し、その次の4n+27番目の要素導体31が、4n+26番目の要素導体31が配置されたスロット12から周方向正側に前記第1の所定間隔(6スロットピッチの間隔)を有するスロット12の第1層(4n+26番目の要素導体31よりも1層分、径方向内側の層)に位置し、その次の4n+28番目の要素導体31が、4n+27番目の要素導体31が配置されたスロット12から周方向負側に前記第2の所定間隔(5スロットピッチの間隔)を有するスロット12の第5層(4n+27番目の要素導体31よりも4層分、径方向外側の層)に位置するように配置されている。
なお、図5(a)では、25番目〜29番目の要素導体31が、それぞれ、4n+25番目、4n+26番目、4n+27番目、4n+28番目、4(n+1)+29番目(ただし、n=0)の要素導体31の一例として示されている。
この場合、4n+25番目〜4n+28番目の要素導体31がそれぞれ配置されるスロット12は、それぞれ、4n+1番目、4n+2番目、4n+3番目、4n+4番目の要素導体31が配置されるスロット12と同じである。
また、4n+25番目及び4n+28番目の要素導体31が第1要素導体群の要素導体(第1要素導体)であり、4n+26番目及び4n+27番目の要素導体31が第2要素導体群の要素導体(第2要素導体)である。従って、25−48部分コイルにおいては、第1要素導体31のそれぞれは、第5層又は第6層に配置され、第2要素導体31のそれぞれは、第1層又は第2層に配置される。
このため、25−48部分コイルにおける要素導体31の配置は、1−24部分コイルの要素導体31の全体を、ステータ11の径方向内側に2層分だけずらした配置となっている。
そして、1−24部分コイルの場合と同様に、25番目〜48番目の要素導体31において、ステータ11の周方向に第2の所定間隔(5スロットピッチの間隔)を有し、且つ、ステータ11の径方向に所定間隔(4層分の間隔)を有する要素導体31,31の対(具体的には、4n+25番目及び4n+26番目の要素導体31,31の対、並びに、4n+27番目及び4n+28番目の要素導体31,31の対)が、接続対象の第1要素導体31と第2要素導体31との対として、ステータ11の軸方向第1端側で第1渡り部43を介して接続される(図5(a)を参照)。
また、ステータ11の周方向に第1の所定間隔(6スロットピッチの間隔)を有し、且つ、ステータ11の径方向で隣り合う層の要素導体31,31の対(具体的には、4n+26番目及び4n+27番目の要素導体31,31の対、並びに、4n’+28番目及び4n’+29番目(ただし、n’=0,1,…,4)の要素導体31,31の対)が、接続対象の2つの第1要素導体31,31の対、又は、2つの第2要素導体31,31の対として、ステータ11の軸方向第2端側で第2渡り部44を介して接続される(図5(b)を参照)。
これにより、25−48部分コイルを構成する要素導体31が、図5(b)に例示するように、1−24部分コイルの場合と同じパターンで順次導通するように、直列に接続される。これにより、25−48部分コイルが構成される。
この場合、25番目〜28番目の要素導体31,31,31,31を上記の如く直列に接続してなる組を1単位の要素導体群とみなした場合、25−48部分コイルは、6個の当該要素導体群を、ステータ11の周方向正側に向かって12スロットピッチの間隔(2×第1の所定間隔)で連接したものとして構成される。
なお、図7(a)に示すように、1−24部分コイルの24番目の要素導体31と、25−48部分コイルの25番目の要素導体31とは、ステータ11の周方向に第1の所定間隔(6スロットピッチの間隔)を有するスロット12,12に配置されると共に、それぞれ、ステータ11の径方向で隣り合う層(第7層、第6層)に位置する。そして、これらの要素導体31,31は、ステータ11の軸方向第2端側において第2渡り部44を介して接続される。これにより、25−48部分コイルが、1−24部分コイルに直列に接続される。
次に、第1コイル21X1の49−72部分コイルを構成する49番目〜72番目の要素導体31は、図3及び図4、あるいは図6(a)に示すように、4n+49番目(n=0,1,…,5)の要素導体31が1つのスロット12の第5層に位置し、その次の4n+50番目の要素導体31が、4n+49番目の要素導体31が配置されたスロット12から周方向正側に前記第2の所定間隔(5スロットピッチの間隔)を有するスロット12の第1層(4n+49番目の要素導体31よりも4層分、径方向内側の層)に位置し、その次の4n+51番目の要素導体31が、4n+50番目の要素導体31が配置されたスロット12から周方向負側に前記第1の所定間隔(6スロットピッチの間隔)を有するスロット12の第2層(4n+50番目の要素導体31よりも1層分、径方向外側の層)に位置し、その次の4n+52番目の要素導体31が、4n+51番目の要素導体31が配置されたスロット12から周方向負側に前記第2の所定間隔(5スロットピッチの間隔)を有するスロット12の第6層(4n+51番目の要素導体31よりも4層分、径方向外側の層)に位置するように配置される。
なお、図6(a)では、49番目〜52番目の要素導体31が、それぞれ、4n+49番目、4n+50番目、4n+51番目、4n+52番目の要素導体31(ただし、n=0)の一例として示されている。
この場合、4n+49番目〜4n+52番目の要素導体31の上記の配置によって、4n+51番目の要素導体31が配置されるスロット12は、4n+49番目の要素導体31が配置されるスロット12に対して周方向負側に1スロットピッチの間隔(第1の所定間隔と第2の所定間隔との差分の間隔)を有することとなる。さらに、4n+52番目の要素導体31が配置されるスロット12は、4n+49番目の要素導体31が配置されるスロット12に対して周方向負側に第1の所定間隔(6スロットピッチの間隔)を有することとなる。
なお、第1コイル21X1の49番目の要素導体31は、図8を参照して判るように、白色で示す48番目の要素導体31と同じ層(第5層)で、この48番目の要素導体31から周方向負側に5スロットピッチの間隔(第2の所定間隔)を有するスロット12に配置される。
ここで、4n+49番目及び4n+52番目の要素導体31が第1要素導体群の要素導体(第1要素導体)であり、4n+50番目及び4n+51番目の要素導体31が第2要素導体群の要素導体(第2要素導体)である。従って、49−52部分コイルにおいては、第1要素導体31のそれぞれは、第5層又は第6層に配置され、第2要素導体31のそれぞれは、第1層又は第2層に配置される。
そして、49番目〜72番目の要素導体31において、ステータ11の周方向に第2の所定間隔(5スロットピッチの間隔)を有し、且つ、ステータ11の径方向に所定間隔(4層分の間隔)を有する要素導体31,31の対(具体的には、4n+49番目及び4n+50番目の要素導体31,31、並びに、4n+51番目及び4n+52番目の要素導体31,31の対)が、接続対象の第1要素導体31及び第2要素導体31の対として、ステータ11の軸方向第1端側で、第1渡り部43を介して接続される(図6(a)を参照)。
また、ステータ11の周方向に第1の所定間隔(6スロットピッチの間隔)を有し、且つ、ステータ11の径方向で隣り合う層の要素導体31,31の対(具体的には、4n+50番目及び4n+51番目の要素導体31,31の対、並びに、4n’+52番目及び4n’+53番目(ただし、n’=0,1,…,4)の要素導体31,31の対)が、接続対象の2つの第1要素導体31,31の対、又は、2つの第2要素導体31,31の対として、ステータ11の軸方向第2端側で、第2渡り部44を介して接続される(図6(a)を参照)。
なお、図6(a)では、図5(a)と同様に、第1渡り部44を実線で示し、第2渡り部44を破線で示している。
これにより、49−72部分コイルを構成する要素導体31が、図6(b)に例示するようなパターンで順次導通するように、直列に接続される。これにより、49−72部分コイルが構成される。この場合、49番目〜53番目の要素導体31,31,31,31を上記の如く直列に接続してなる組を1単位の要素導体群とみなした場合、49−72部分コイルは、6個の当該要素導体群を、ステータ11の周方向負側(1−48部分コイルの場合と逆向き)に向かって12スロットピッチの間隔(2×第1の所定間隔)で連接したものとして構成される。
なお、詳細は後述するが、第1コイル21X1の48番目の要素導体31と49番目の要素導体31とは、各相毎に、ステータ11の軸方向第2端側で、図8に示す如く、ブリッジ導体51X(51U又は51V又は51W)を介して接続される。これにより、49−72部分コイルが、25−48部分コイルに直列に接続される。
次に、第1コイル21X1の73−96部分コイルを構成する73番目〜96番目の要素導体31は、図3及び図4、あるいは図6(a)に示すように、4n+73番目(n=0,1,…,5)の要素導体31が1つのスロット12の第7層に位置し、その次の4n+74番目の要素導体31が、4n+73番目の要素導体31が配置されたスロット12から周方向正側に前記第2の所定間隔(5スロットピッチの間隔)を有するスロット12の第3層(4n+73番目の要素導体31よりも4層分、径方向内側の層)に位置し、その次の4n+75番目の要素導体31が、4n+74番目の要素導体31が配置されたスロット12から周方向負側に前記第1の所定間隔(6スロットピッチの間隔)を有するスロット12の第4層(4n+74番目の要素導体31よりも1層分、径方向外側の層)に位置し、その次の4n+76番目の要素導体31が、4n+75番目の要素導体31が配置されたスロット12から周方向負側に前記第2の所定間隔(5スロットピッチの間隔)を有するスロット12の第8層(4n+75番目の要素導体31よりも4層分、径方向外側の層)に位置するように配置される。
なお、図6(a)では、73番目〜76番目の要素導体31が、それぞれ、4n+73番目、4n+74番目、4n+75番目、4n+76番目(ただし、n=0)の要素導体31の一例として示されている。
この場合、4n+73番目〜4n+76番目の要素導体31がそれぞれ配置されるスロット12は、それぞれ、4n+49番目、4n+50番目、4n+51番目、4n+52番目の要素導体31が配置されるスロット12と同じである。
また、4n+73番目及び4n+76番目の要素導体31が第1要素導体群の要素導体(第1要素導体)であり、4n+74番目及び4n+75番目の要素導体31が第2要素導体群の要素導体(第2要素導体)である。従って、73−96部分コイルにおいては、第1要素導体31のそれぞれは、第7層又は第8層に配置され、第2要素導体31のそれぞれは、第3層又は第4層に配置される。
このため、73−96部分コイルにおける要素導体31の配置は、49−72部分コイルの要素導体31の全体を、ステータ11の径方向外側に2層分だけずらした配置となっている。
そして、49−72部分コイルの場合と同様に、73番目〜96番目の要素導体31において、ステータ11の周方向に第2の所定間隔(5スロットピッチの間隔)を有し、且つ、ステータ11の径方向に所定間隔(4層分の間隔)を有する要素導体31,31の対(具体的には、4n+73番目及び4n+74番目の要素導体31,31の対、並びに、4n+75番目及び4n+76番目の要素導体31,31の対)が、接続対象の第1要素導体31及び第2要素導体31の対として、ステータ11の軸方向第1端側で、第1渡り部43を介して接続される(図6(a)を参照)。
また、ステータ11の周方向に第1の所定間隔(6スロットピッチの間隔)を有し、且つ、ステータ11の径方向で隣り合う層の要素導体31,31の対(具体的には、4n+74番目及び4n+75番目の要素導体31,31の対、並びに、4n’+76番目及び4n’+77番目(ただし、n’=0,1,…,4)の要素導体31,31の対)が、接続対象の2つの第1要素導体31,31の対、又は、2つの第2要素導体31,31の対として、ステータ11の軸方向第2端側で、第2渡り部44を介して接続される(図6(a)を参照)。
これにより、73−96部分コイルを構成する要素導体31が、図6(b)に例示するように、49−72部分コイルの場合と同じパターンで順次導通するように、直列に接続される。これにより、73−96部分コイルが構成される。
この場合、73番目〜76番目の要素導体31,31,31,31を上記の如く直列に接続してなる組を1単位の要素導体群とみなした場合、73−96部分コイルは、6個の当該要素導体群を、ステータ11の周方向負側に向かって12スロットピッチの間隔(2×第1の所定間隔)で連接したものとして構成される。
なお、図7(b)に示すように、49−72部分コイルの72番目の要素導体31と、73−96部分コイルの73番目の要素導体31とは、ステータ11の周方向に第1の所定間隔(6スロットピッチの間隔)を有するスロット12,12に配置されると共に、それぞれ、ステータ11の径方向で隣り合う層(第6層、第7層)に位置する。そして、これらの要素導体31,31は、ステータ11の軸方向第2端側において第2渡り部44を介して接続される。これにより、73−96部分コイルが、49−72部分コイルに直列に接続される。
以上が各相の第1コイル21X1を構成する要素導体31の全体の配置及び接続の形態である。
また、U相、V相、W相のそれぞれの第1コイル21U1,21V1,21W1は、次のように配置される。すなわち、図3及び図4を参照して判るように、V相の第1コイル21V1のk番目(k=1,2,…,96)の要素導体31は、U相の第1コイル21U1のk番目の要素導体31が配置されたスロット12から、ステータ11の周方向正側に4スロットピッチの間隔を有するスロット12に配置される。
同様に、W相の第1コイル21W1のk番目(k=1,2,…,96)の要素導体31は、V相の第1コイル21V1のk番目の要素導体31が配置されたスロット12から、ステータ11の周方向正側に4スロットピッチの間隔を有するスロット12に配置される。
従って、U相、V相、W相のそれぞれの第1コイル21U1,21V1,21W1は、ステータ11の周方向で、4スロットピッチの間隔ずつ、順番にずれた位置になるように配置される。
次に、各相の第2コイル21X2について説明する。各相の第2コイル21X2は、第1コイル21X1の場合と同様に、1番目〜24番目の要素導体31を直列に接続してなる1−24部分コイルと、25番目〜48番目の要素導体31を直列に接続してなる25−48部分コイルと、49番目〜72番目の要素導体31を直列に接続してなる49−72部分コイルと、73番目〜96番目の要素導体31を直列に接続してなる73−96部分コイルとを直列に接続したものとして構成される。
そして、第2コイル21X2の要素導体31の配置及び接続の形態は、第1コイル21X1の場合と同様に、1−24部分コイルにおける形態、25−48部分コイルにおける形態、49−72部分コイルにおける形態、及び73−96部分コイルにおける形態とに大別される。
さらに、第2コイル21X2の上記各部分コイルを構成する要素導体31(24個の要素導体31)は、第1コイル21X1の場合と同様に、ステータ11の周方向に前記第1の所定間隔のピッチ(6スロットピッチ)で並ぶ複数のスロット12にそれぞれ挿入される複数の要素導体31(第1要素導体)により構成される第1要素導体群と、第1要素導体群の要素導体31が挿入されるスロット12に対してステータ11の周方向に位相がずれた状態で該周方向に前記第1の所定間隔のピッチ(6スロットピッチ)で並ぶ複数のスロット12にそれぞれ挿入される複数の要素導体31(第2要素導体)により構成される第2要素導体群とから構成される。
この場合、第2コイル21X2の1番目〜48番目の要素導体31(1−24部分コイル及び25−48部分コイルを構成する要素導体31)の配置及び接続の形態と、49番目から96番目の要素導体31(49−72部分コイル及び73−96部分コイルを構成する要素導体31)の配置及び接続の形態とは、それぞれ、第1コイル21X1と同じである。
従って、第2コイル21X2においても、各部分コイルを構成する第2要素導体群の要素導体31が挿入されるスロット12(第2スロット)は、第1要素導体群の要素導体31が挿入されるスロット12(第1スロット)に対して、第1の所定間隔よりも小さい第2の所定間隔(5スロットピッチの間隔)だけステータ11の周方向正側に位相がずれたスロットである。
そして、第2コイル21X2の1−24部分コイル、25−48部分コイル、49−72部分コイル、及び73−96部分コイルのそれぞれにおいて、各第1要素導体31は、第1コイル21X1の場合と同様に、ステータ11の径方向外側寄りの層(第5層〜第8層のいずれかの層)に配置される。また、各第2要素導体31は、第1コイル21X1の場合と同様に、ステータ11の径方向内側寄りの層(第1層〜第4層のいずれかの層)に配置される。
ただし、第2コイル21X2では、48番目及び49番目の要素導体31,31の間の間隔(ステータ11の周方向での間隔)が第1コイル21X1と相違する。
具体的には、図3及び図4を参照して判るように、第2コイル21X2の1番目〜48番目の各要素導体31は、それぞれ、該第2コイル21X2と同相の第1コイル21X1の1番目〜48番目の各要素導体31がそれぞれ配置されたスロット12に対して周方向正側に隣り合うスロット12に配置される。
すなわち、第2コイル21X2の1番目〜48番目の要素導体31(1−24部分コイル及び25−48部分コイルを構成する要素導体31)は、その全体が、第1コイル21X1の1番目〜48番目の要素導体31の全体に対して周方向正側に1スロットピッチの間隔だけずらした位置に配置される。
一方、第2コイル21X2の49番目〜96番目の各要素導体31は、それぞれ、第1コイル21X1の49番目〜96番目の各要素導体31が配置されたスロット12に対して周方向負側に隣り合うスロット12に配置される。
すなわち、第2コイル21X2の49番目〜96番目の要素導体31(49−72部分コイル及び73−96部分コイルを構成する要素導体31)は、その全体が、第1コイル21X1の49番目〜96番目の要素導体31の全体に対して周方向負側に1スロットピッチの間隔だけずらした位置に配置される。
このため、図8を参照して判るように、48番目及び49番目の要素導体31,31の間の間隔(ステータ11の周方向での間隔)は、第1コイル21X1では5スロットピッチの間隔となっているのに対して、第2コイル21X2では、7スロットピッチの間隔となっている。
そして、詳細は後述するが、第2コイル21X2の48番目及び49番目の要素導体31,31は、各相毎に、ステータ11の軸方向第2端側で、図8に示す如く、ブリッジ導体52X(52U又は52V又は52W)を介して接続される。
第2コイル21X2の1番目〜96番目の要素導体31の配置及び接続の形態は、以上説明した事項以外は、第1コイル21X1と同じである。また、U相、V相、W相の第2コイル21U2、21V2、21W2の相互の配置形態は、第1コイル21U1、21V1、21W1の相互の配置形態と同じである。
次に、各相の第1コイル21X1及び第2コイル21X2のそれぞれにおける要素導体31,31同士の接続構造(第1渡り部43及び第2渡り部44の構造)をより具体的に説明する。
本実施形態では、各要素導体31は、図9(a),(b)に示すセグメント導体40の一部分として形成される。このセグメント導体40は、第1渡り部43により接続する要素導体31,31の対(第1要素導体31及び第2要素導体31の対)をそれぞれ形成する4つの二股導体部材41の束である。
セグメント導体40は、互いに絶縁された4本の導体線をそれらの横断方向に一列に整列させてなる導体線束を、図9(a)に示すように二股形状(略U字状)に成形することで作成されたものである。そして、このセグメント導体40を構成する4つの二股形状の導体線のそれぞれが二股導体部材41である。
セグメント導体40の各二股導体部材41は、二股形状に成形されていることで、ステータ11の互いに異なるスロット12,12に挿入される2つの脚部42,42と、該脚部42,42の基端部同士を連結する部分としての第1渡り部43とを一体に有する構造のものである。
各二股導体部材41の2つの脚部42,42のうちの一方側の脚部42は、1つの第1要素導体31を形成するための脚部(以降、第1要素導体形成用脚部42ということがある)である。また、各二股導体部材41の他方側の脚部42は、一方側の脚部42により形成される第1要素導体31と接続すべき第2要素導体31を形成するための脚部(以降、第2要素導体形成用脚部42ということがある)である。
この場合、セグメント導体40は、各二股導体部材41の2つの脚部42,42が、ステータ11の周方向と径方向とにそれぞれ所定間隔を存して、ステータ11の軸方向に延在するように成形されている。ステータ11の周方向における脚部42,42の間の間隔は、図5(a)又は図6(a)に示すように、前記第2の所定間隔(5スロットピッチの間隔)である。
また、ステータ11の径方向における脚部42,42の間隔は、図5(a)又は図6(a)に示すように、4層分の間隔である。
そして、各セグメント導体40の第1要素導体形成用脚部42の束と、第2要素導体形成用脚部42の束とを、ステータ11の周方向に第2の所定間隔(5スロットピッチの間隔)を有する2つのスロット12,12にステータ11の軸方向第1端側から各々挿入することで、当該2つのスロット12,12の一方のスロット12において、第1要素導体形成用脚部42の束により第5層〜第8層の第1要素導体31の束が形成される。さらに、当該2つのスロット12,12の他方のスロット12(一方のスロット12から周方向正側に第2の所定間隔を有するスロット12)において、第2要素導体形成用脚部42の束により第1層〜第4層の第2要素導体31の束が形成される。
そして、第1層〜第4層の要素導体31は、それぞれ、ステータ11の径方向に4層分の間隔を有する第5層〜第8層の要素導体31のそれぞれに、ステータ11の軸方向第1端側で第1渡り部43を介して接続された状態となる。
なお、この場合、第5層〜第8層の第1要素導体31の並び順(ステータ11の径方向での並び順と、第5層〜第8層の各第1要素導体31にそれぞれ接続する第1層〜第4層の第2要素導体31の並び順(ステータ11の径方向での並び順)とは、互いに同じである。従って、セグメント導体40の4つの二股導体部材41は、それぞれの第1渡り部43を含めて、ステータ11の径方向に整列することとなる。
このように、セグメント導体40の各二股導体部材41は、1つのスロット12においてステータ11の径方向外側の4つの層(第5層〜第8層)の1つの層に配置される第1要素導体31と、当該1つのスロット12に対してステータ11の周方向正側に5スロットピッチの間隔を有する他のスロット12においてステータ11の径方向内側の4つの層(第1層〜第4層)の1つの層に配置される第2要素導体31との対を2つの脚部42,42により形成する。
さらに、各二股導体部材41は、上記第1要素導体31と第2要素導体31との対を、ステータ11の軸方向第1端側で接続する第1渡り部43を形成する。
そして、ステータ11の各スロット12には、2つのセグメント導体40の一方のセグメント導体40の第1要素導体形成用脚部42の束が第5層〜第8層の位置に挿入されると共に、他方のセグメント導体40の第2要素導体形成用脚部42の束が第1層〜第4層の位置に挿入される。これにより、各スロット12の第1層〜第8層の要素導体31が形成される。
以上のようにセグメント導体40を構成する4つの二股導体部材41の第1要素導体形成用脚部42の束と、第2要素導体形成用脚部42の束とをスロット12に挿入することで、各相の第1コイル21X1及び第2コイル21X2のそれぞれの1番目〜96番目の要素導体31をスロット12に図3及び図4に示したパターンで配置することと、接続対象の第1要素導体31及び第2要素導体31の対を、ステータ11の軸方向第1端側で、図5(a)又は図6(a)に示した如く接続することとが一括して実現される。
スロット12に軸方向第1端側から挿入される各セグメント導体40の各脚部42の先端側部分は、図9(a)に示した如く、該スロット12から軸方向第2端側に突出する。そして、各スロット12から軸方向第2端側に突出した各セグメント導体40の4つの脚部42の先端側部分は、図9(b)に示す如く相互に分離されて、ステータ11の周方向に折り曲げられる。この折り曲げにより、スロット12の各要素導体31をステータ11の軸方向第2端側で他の要素導体31に接続するための第2渡り部44が形成されることとなる。
この場合、図5(a)又は図6(a)に示すように、第2層、第4層、第5層及び第8層の要素導体31にそれぞれ連なる第2渡り部44が周方向正側に折り曲げられる。また、第1層、第3層、第6層及び第8層の要素導体31にそれぞれ連なる第2渡り部44が周方向負側に折り曲げられる。従って、第2層、第4層、第5層及び第8層の要素導体31にそれぞれ連なる第2渡り部44と、第1層、第3層、第6層及び第8層の要素導体31にそれぞれ連なる第2渡り部44とは、ステータ11の周方向で互いに接近する側に折り曲げられる。
なお、1つの要素導体31に連なる第2渡り部44は、ステータ11の周方向で6スロットルピッチ(第2の所定間隔)の半分程度の長さを有するものとされている。また、第2渡り部44の先端部は、図9(b)に示す如く、ステータ11の軸方向に起立するように折り曲げられている。
そして、各相の第1コイル21X1及び第2コイル21X2のそれぞれの1番目〜96番目の要素導体31が、図3及び図4に示した接続順番で導通するように、接続順番が隣り合う第1要素導体31,31の対、又は第2要素導体31,31の対にそれぞれ連なる第2渡り部44,44の先端部同士が直接的に接続され、もしくは後述のブリッジ導体51X,52Xを介して接続される。
さらに詳細には、各相の第1コイル21X1及び第2コイル21X2のそれぞれにおいて、ステータ11の軸方向第2端側で接続すべき要素導体31,31の対は、4na+2番目及び4na+3番目(ただし、na=0,1,…,23)の第2要素導体31,31の対、並びに、4nb+4番目及び4nb+5番目(ただし、nb=0,1,…,22)の第1要素導体31,31の対である。
これらの要素導体31,31の対(第1要素導体31,31の対、及び第2要素導体31,31の対)のうち、48番目及び49番目の要素導体31,31の対を除く要素導体31,31の対は、図3及び図4に示した配置パターンによって、いずれの対においても、ステータ11の径方向での要素導体31,31の位置(層)が1層分だけずれたものとなる(例えば図5(a)に白色で示す2番目及び3番目の要素導体31,31の対、28番目及び29番目の要素導体31,31の対、あるいは、グレー色で示す70番目及び71番目の要素導体31,31の対等を参照)。
そして、当該対の要素導体31,31のそれぞれに連なる第2渡り部44,44の先端部同士は、ステータ11の径方向で対向するように近接する。
従って、本実施形態では、ステータ11の軸方向第2端側で接続すべき要素導体31,31の対のうち、48番目及び49番目の要素導体31,31の対を除く要素導体31,31の対においては、当該対の要素導体31,31のそれぞれに連なる第2渡り部44,44の先端部同士が直接的に接続される。その接続は、例えば溶接によってなされる。
この場合、当該対の要素導体31,31のそれぞれに連なる第2渡り部44,44の先端部同士が近接しているので、これらを接続することを容易に行うことができる。
このように、ステータ11の軸方向第2端側での接続対象の第1要素導体31,31の対のそれぞれと、接続対象の第2要素導体31,31の対のそれぞれとを接続する第2渡り部44は、当該対の要素導体31,31を形成する脚部42,42の先端側部分を、ステータ11の周方向で互いに接近する向きにを折り曲げた状態で接続してなる部材として構成される。
補足すると、各相の第1コイル21X1及び第2コイル21X2のそれぞれの1−24部分コイルにおいては、図5(a)又は図6(a)に例示されるように、接続順番が隣り合う第3層及び第4層の第2要素導体31,31の対、並びに、接続順番が隣り合う第7層及び第8層の第1要素導体31,31の対が、ステータ11の軸方向第2端側で上記の如く第2渡り部44を介して接続される。
また、25−48部分コイルにおいては、図5(a)又は図6(a)に例示されるように、接続順番が隣り合う第1層及び第2層の第2要素導体31,31の対、並びに、接続順番が隣り合う第5層及び第6層の第1要素導体31,31の対が、ステータ11の軸方向第2端側で上記の如く第2渡り部44を介して接続される。
そして、図7(a)に示すように、24番目及び25番目の要素導体31,31の対は、ステータ11の軸方向第2端側で上記の如く第2渡り部44を介して接続されるものであるものの、該要素導体31,31の対は、第6層及び第7層の第1要素導体の対である。
従って、1−24部分コイルにおいて、ステータ11の軸方向第2端側で接続される要素導体31,31の層の組と、25−48部分コイルにおいて、ステータ11の軸方向第2端側で接続される要素導体31,31の層の組とは、24番目及び25番目の要素導体31,31の接続を介して切替わることとなる。
また、各相の第1コイル21X1及び第2コイル21X2のそれぞれの49−72部分コイルにおいては、図5(a)又は図6(a)に例示されるように、接続順番が隣り合う第1層及び第2層の第2要素導体31,31の対、並びに、接続順番が隣り合う第5層及び第6層の第1要素導体31,31の対が、ステータ11の軸方向第2端側で上記の如く第2渡り部44を介して接続される。
また、73−96部分コイルにおいては、図5(a)又は図6(a)に例示されるように、接続順番が隣り合う第3層及び第4層の第2要素導体31,31の対、並びに、接続順番が隣り合う第7層及び第8層の第1要素導体31,31の対が、ステータ11の軸方向第2端側で上記の如く第2渡り部44を介して接続される。
そして、図7(b)に示すように、72番目及び73番目の要素導体31,31は、ステータ11の軸方向第2端側で上記の如く第2渡り部44を介して接続されるものであるものの、該要素導体31,31の対は、第6層及び第7層の第1要素導体の対である。
従って、49−72部分コイルにおいて、ステータ11の軸方向第2端側で接続される要素導体31,31の層の組と、73−96部分コイルにおいて、ステータ11の軸方向第2端側で接続される要素導体31,31の層の組とは、72番目及び73番目の要素導体31,31の接続を介して切替わることとなる。
なお、本実施形態では、各相の第1コイル21X1及び第2コイル21X2のそれぞれにおいて、47番目及び第48番目の要素導体31,31の対と、49番目及び50番目の要素導体31,31の対とを除いて、第1渡り部43により接続される第1要素導体31及び第2要素導体31の対のうち、接続順番が隣り合う要素導体31,31をそれぞれ含む第1要素導体31及び第2要素導体31の2つの対(例えば、4n+1番目及び4n+2番目の要素導体31,31の対と、4n+3番目及び4n+4番目の要素導体31,31の対)が本発明における第1要素導体対、第2要素導体対に相当するものである。
次に、各相の第1コイル21X1及び第2コイル21X2のそれぞれにおいて、48番目及び49番目の要素導体31,31の対をステータ11の軸方向第2端側で接続する構成を説明する。
48番目及び49番目の要素導体31,31の対は、第1コイル21X1及び第2コイル21X2のいずれにおいても、第5層に配置される第1要素導体の対である。そして、48番目及び49番目の要素導体31,31は、前記したように、第1コイル21X1では、ステータ11の周方向で5スロットピッチの間隔を有するスロット12,12に配置され、第2コイル21X2では、ステータ11の周方向で7スロットピッチの間隔を有するスロット12,12に配置される。
また、前記した各セグメント導体40の各二股導体部材41の第2渡り部44の折り曲げ(ステータ11の周方向への折り曲げ)によって、48番目及び49番目の要素導体31,31にそれぞれ連なる第2渡り部44,44は、図8に示す如く、いずれも周方向正側に折り曲げられる。
なお、図8では、図示の便宜上、48番目及び49番目の要素導体31,31にそれぞれ連なる第2渡り部44,44を、ステータ11の径方向で実際の位置からずらした状態で記載している。これらの第2渡り部44,44は、実際には、ステータ11の径方向で、48番目及び49番目の要素導体31,31と同一の層(第5層)の位置に配置される。
従って、48番目及び49番目の要素導体31,31にそれぞれ連なる第2渡り部44,44の先端部同士は、第1コイル21X1では、ステータ11の周方向に5スロットピッチ程度の間隔を有し、第2コイル21X2では、ステータ11の周方向に7スロットピッチ程度の間隔を有する。
また、各相の第1コイル21X1及び第2コイル21X2の48番目及び49番目の要素導体31,31にそれぞれ連なる第2渡り部44,44の先端部は、図8に示すような順番でステータ11の周方向に並んでいる。
具体的には、ステータ11の周方向負側から周方向正側に向かって、U相の第1コイル21X1及び第2コイル21X2の49番目の要素導体31,31にそれぞれ連なる第2渡り部44,44の先端部の対、V相の第1コイル21X1及び第2コイル21X2の49番目の要素導体31,31にそれぞれ連なる第2渡り部44,44の先端部の対、U相の第1コイル21X1及び第2コイル21X2の48番目の要素導体31,31にそれぞれ連なる第2渡り部44,44の先端部の対、W相の第1コイル21X1及び第2コイル21X2の49番目の要素導体31,31にそれぞれ連なる第2渡り部44,44の先端部の対、V相の第1コイル21X1及び第2コイル21X2の48番目の要素導体31,31にそれぞれ連なる第2渡り部44,44の先端部の対、W相の第1コイル21X1及び第2コイル21X2の48番目の要素導体31,31にそれぞれ連なる第2渡り部44,44の先端部の対が順番に並んでいる。
そこで、本実施形態では、各相の第1コイル21X1において、48番目及び49番目の要素導体31,31にそれぞれ連なる第2渡り部44,44同士は、ブリッジ導体51X(51U,51V,51W)を介して接続される。同様に、第2コイル21X2において、48番目及び49番目の要素導体31,31にそれぞれ連なる第2渡り部44,44同士は、ブリッジ導体52X(52U,52V,52W)を介して接続される。
この場合、各相におけるブリッジ導体51X,52Xは、48番目の要素導体31に連なる第2渡り部44の先端部と、49番目の要素導体31に連なる第2渡り部44の先端部との間でステータ11の径方向に張り出すように凸形状(具体的には、矩形状)に形成されている。
また、各相毎に、第1コイル21X1のブリッジ導体51Xが、第2コイル21X2のブリッジ導体52Xの内側に収まるように、ステータ11の径方向でのブリッジ導体51Xの幅が、ブリッジ導体52Xの幅よりも小さく、且つ、ステータ11の周方向でのブリッジ導体51Xの長さが、ブリッジ導体52Xの長さよりも小さいものとされている。
なお、ステータ11の周方向でのブリッジ導体51Xの長さは、第1コイル21X1の48番目及び49番目の要素導体31,31の間の間隔(5スロットピッチの間隔)と同程度の長さである。また、ステータ11の周方向でのブリッジ導体52Xの長さは、第2コイル21X2の48番目及び49番目の要素導体31,31の間の間隔(7スロットピッチの間隔)と同程度の長さである。
以降の説明では、ステータ11の径方向でのブリッジ導体51X,52Xの幅を張り出し高さ、ステータ11の周方向でのブリッジ導体51X,52Xの長さを周方向長さという。
そして、各相毎に、ブリッジ導体51Xの両端部が、第1コイル21X1の48番目及び49番目の要素導体31,31にそれぞれ連なる第2渡り部44,44の先端部に各々溶接により接続される。同様に、ブリッジ導体52Xの両端部が、第2コイル21X2の48番目及び49番目の要素導体31,31にそれぞれ連なる第2渡り部44,44の先端部に各々溶接により接続される。
この場合、本実施形態では、48番目及び49番目の要素導体31,31にそれぞれ連なる第2渡り部44,44は、それぞれの先端部が、ステータ11の軸方向でのブリッジ導体51X,52Xの幅(厚さ)と同程度の長さだけ、他の要素導体31に連なる第2渡り部44の先端部よりもステータ11の軸方向に突出する(当該軸方向での高さが高くなる)ように形成されている(図11を参照)。なお、ステータ11の軸方向でのブリッジ導体51X,52Xの幅(厚さ)は、ブリッジ導体51X,52Xの周囲に設けられる絶縁部材(絶縁被膜等)の厚み分を含めた厚さである。
このため、ブリッジ導体51X,52Xの各端部を、48番目又は49番目の要素導体31の先端部にステータ11の径方向から溶接することを容易に行うことが可能となっている。
さらに、各相のブリッジ導体51X,52Xが、他の相のブリッジ導体51X,52Xと干渉しないようにするために、U相のブリッジ導体51U,52Uと、V相のブリッジ導体51V,52Vと、W相のブリッジ導体51W,52Wとのうち、ステータ11の周方向で両側に位置する2つの相のブリッジ導体と、当該2つ相のブリッジ導体の間に位置するブリッジ導体とを、ステータ11の径方向で互いに逆向きに張り出させる(径方向で逆向きに凸となる)ように各相のブリッジ導体51X,52Xが形成されている。
具体的には、本実施形態では、U相のブリッジ導体51U,52Uと、V相のブリッジ導体51V,52Vと、W相のブリッジ導体51W,52Wとのうち、ステータ11の周方向で両側に位置する2つの相のブリッジ導体は、U相のブリッジ導体51U,52Uと、W相のブリッジ導体51W,52Wである。この場合、U相の長い方のブリッジ導体52Uの周方向正側の端部と、W相の長い方のブリッジ導体52Wの周方向負側の端部とは、ほぼ1スロットピッチ程度の間隔を有する。
そして、U相のブリッジ導体51U,52Uと、W相のブリッジ導体51W,52Wとは、それぞれが、ステータ11の径方向内側に張り出す(凸となる)ように形成されている。
また、V相のブリッジ導体51V,52Vは、その周方向の中央部が、U相のブリッジ導体51U,52Uと、W相のブリッジ導体51W,52Wとの中間に位置する。
そして、V相のブリッジ導体51V,52Vは、ステータ11の径方向外側、すなわち、U相のブリッジ導体51U,52U及びW相のブリッジ導体51W,52Wと逆向きに張り出す(凸となる)ように形成されている。
なお、径方向内側に張り出すU相のブリッジ導体51U,52U及びW相のブリッジ導体51W,52Wの張り出し高さは、これらのブリッジ導体51U,52U,51W,52Wがステータ11の内周面よりも内側に突出することがないような高さに設定されている。
また、径方向外側に張り出すV相のブリッジ導体51V,52Vの張り出し高さは、該ブリッジ導体51V,52Vがステータ11の外周面よりも外側に突出することがないような高さに設定されている。
ここで、図10は各相の第1コイル21X1及び第2コイル21X2を装着したステータ11の軸方向第2端側の端部の一部を該ステータ11の軸方向で見た図を示し、図11は該ステータ11の軸方向第2端側の端部の一部の斜視図を示している。
上記のように、U相のブリッジ導体51U,52U、V相のブリッジ導体51V,52V、及びW相のブリッジ導体51W,52Wを配置及び形成しておくことで、図10及び図11に見られる如く、ブリッジ導体51U,52U,51V,52V,51W,52Wが相互に干渉するのを防止することができる。
さらに、ブリッジ導体51U,52U,51V,52V,51W,52Wは、ステータ11の内周面と外周面との間の間隔が比較的小さくとも、ステータ11の内周面よりも内側もしくは外周面よりも外側に突出することが防止され、該内周面と外周面との間の間隔内に配置される。
また、ブリッジ導体51U,52U,51V,52V,51W,52Wが、ステータ11の第2端側で互いに近接した箇所に集中して配置されるので、これらのブリッジ導体を渡り部44に溶接等により接続する作業を効率よく行うことができる。
また、ステータ11の軸方向でのブリッジ導体51U,52U,51V,52V,51W,52Wの高さ位置は、いずれのブリッジ導体についても同じである。しかも、該ブリッジ導体の高さ位置は、48番目及び49番目の要素導体31,31以外の要素導体31,31の対を接続する第2渡り部44よりも、該ブリッジ導体の厚み分だけ高い位置であるので、ステータ11の軸方向第2端側の端面に十分に近接している。
このため、各相のコイル21Xを含めた回転電機の軸方向の長さを必要最小限に留めて、該回転電機の小型化を実現できる。
なお、本実施形態ではU相のブリッジ導体51U,52Uと、W相のブリッジ導体51W,52Wとを、それぞれ、ステータ11の径方向内側に張り出す(凸となる)ように形成し、V相のブリッジ導体51V,52Vを、ステータ11の径方向外側に張り出す(凸となる)ように形成した。ただし、U相のブリッジ導体51U,52Uと、W相のブリッジ導体51W,52Wとを、ステータ11の径方向外側に張り出すように形成し、V相のブリッジ導体51V,52Vを、ステータ11の径方向内側に張り出すように形成してもよい。
補足すると、各相の第1コイル21X1及び第2コイル21X2のそれぞれにおいて、48番目及び49番目の要素導体31,31は、本発明における第A要素導体、第B要素導体に相当するものである。そして、48番目及び49番目の要素導体31,31の、ブリッジ導体51X又は52Xにより接続されるそれぞれの端部(より詳しくは、48番目及び49番目の要素導体31,31にそれぞれ連なる第2渡り部44,44の先端部)が本発明における第a端部、第b端部に相当するものである。
以上の如く構成されるU相、V相、W相の各相の第1コイル21X1及び第2コイル21X2のそれぞれの一端側の要素導体31は、以下に説明する如く、ステータ11の軸方向第2端側において、3相共通の中性点22に相互に接続される。また、各相の第1コイル21X1及び第2コイル21X2のそれぞれの他端側の要素導体31は、以下に説明する如く、ステータ11の軸方向第2端側において、各相毎の電流入出端子23Xに接続される。
本実施形態では、中性点22に接続する要素導体31は、各相の第1コイル21X1及び第2コイル21X2のいずれにおいても、96番目の要素導体31である。そして、中性点22は、図8又は図10に示す如く矩形状に形成された中性点形成導体53により構成される。
図8に示すように、この中性点形成導体53は、U相の第1コイル21U1及び第2コイル21U2のそれぞれの96番目の要素導体31,31に連なる第2渡り部44,44の先端部に接続するU相接続部53Uと、V相の第1コイル21V1及び第2コイル21V2のそれぞれの96番目の要素導体31,31に連なる第2渡り部44,44の先端部に接続するV相接続部53Vと、W相の第1コイル21W1及び第2コイル21W2のそれぞれの96番目の要素導体31,31に連なる第2渡り部44,44の先端部に接続するW相接続部53Wとを、ステータ11の周方向正側に向かって一定間隔(4スロットピッチ程度の間隔)で順番に備える。
なお、図8では、図示の便宜上、96番目の要素導体31に連なる第2渡り部44のそれぞれを、破線で示すと共に、ステータ11の径方向で実際の位置からずらした状態で記載している。これらの第2渡り部44は、実際には、ステータ11の径方向で、96番目の要素導体31と同一の層(最外側の層である第8層)の位置に配置される。
そして、中性点形成導体53は、ステータ11の周方向で隣り合うU相接続部53UとV相接続部53Vとの間の部分53aと、V相接続部53VとW相接続部53Wとの間の部分53bとが、各相接続部53U,53V,53Wよりもステータ11の径方向外側に張り出す(凸となる)ように形成されている。これらの部分53a,53bは、ステータ11の周方向に延在する。
このように形成された中性点形成導体53のU相接続部53U、V相接続部53V、W相接続部53Wが、それぞれ図8に示すように、ステータ11の軸方向第2端側で、対応する相の第1コイル21X1及び第2コイル21X2のそれぞれの96番目の要素導体31,31に連なる第2渡り部44,44の先端部に径方向外側から溶接により接続される。
これにより、U相、V相、W相の各相の第1コイル21X1及び第2コイル21X2のそれぞれの一端側の要素導体31(96番目の要素導体31)が、ステータ11の軸方向第2端側において、3相共通の中性点22として中性点形成導体53に接続される。
次に、本実施形態では、各相の電流入出端子23Xに接続する要素導体31は、各相の第1コイル21X1及び第2コイル21X2のいずれにおいても、1番目の要素導体31である。
そして、本実施形態では、図8及び図11に示すように、各相毎に、電流入出端子23X(23U,23V,23W)に接続コード55X(55U,55V,55W)を介して接続された導体端子部材54X(54U,54V,54W)が、ステータ11の軸方向第2端側において、対応する相の第1コイル21X1及び第2コイル21X2のそれぞれの1番目の要素導体31,31に連なる第2渡り部44,44の先端部に径方向外側から溶接により接続される。
これにより、各相毎に、第1コイル21X1及び第2コイル21X2のそれぞれの1番目の要素導体31,31が、ステータ11の軸方向第2端側において、電流入出端子23Xに接続される。
なお、図8では、図示の便宜上、1番目の要素導体31に連なる第2渡り部44のそれぞれを、ステータ11の径方向で実際の位置からずらした状態で記載している。これらの第2渡り部44は、実際には、ステータ11の径方向で、1番目の要素導体31と同一の層(最外側の層である第8層)の位置に配置される。
この場合、図8に示すように、U相の導体端子部材54Uは、ステータ11の周方向での位置が中性点形成導体53と重なるものの、該導体端子部材54Uの位置では、中性点形成導体53の張り出し部分53b(径方向に凸となる部分)が該導体端子部材54Uに対向するように形成されている。このため、導体端子部材54Uと電流入出端子23Uとの間の接続コード55Uを容易に配線することができる。
なお、本実施形態では、1番目の要素導体31のそれぞれに連なる第2渡り部44の先端部(これは本発明における第C要素導体の端部に相当する)と、96番目の要素導体31のそれぞれに連なる第2渡り部44の先端部(これは本発明における第D要素導体の端部に相当する)は、ステータ11の軸方向での高さ(ステータ11の軸方向第2端側の端面からの高さ)が、48番目及び49番目の要素導体31,31以外の他の要素導体31に連なる第2渡り部43の先端部の高さと同じである。
従って、ブリッジ導体51X,52Xの接続対象となる48番目及び49番目の要素導体31,31に連なる第2渡り部44の先端部は、1番目の要素導体31のそれぞれに連なる第2渡り部44の先端部、及び6番目の要素導体31のそれぞれに連なる第2渡り部44の先端部よりも、ステータ11の軸方向におけるブリッジ導体51X,52Xの厚さ分だけ該軸方向の高さ(ステータ11の第2端側の端面からの高さ)が高いものとなっている。
このため、各相の接続コード55Xを1番目の要素導体31に連なる第2渡り部44の先端部に接続すると共に、中性点形成導体53を各相の96番目の要素導体31に連なる第2渡り部44の先端部に接続した後に、各相のブリッジ導体51X,52Xを48番目及び49番目の要素導体31,31に連なる第2渡り部44,44の先端部に接続する作業を行っても、その接続作業時に、中性点形成導体53や、接続コード55Xの導体端子部材54が邪魔になるのを防止できる。
また、本実施形態では、各相の第1コイル21X1及び第2コイル21X2のそれぞれの96番目の要素導体31,31に連なる第2渡り部44,44は、周方向負側に折り曲げられている。該周方向負側は、ブリッジ導体51X,52Xをそれぞれ接続する第2渡り部44,44の折り曲げ方向である周方向正側と逆向きである。
このため、各相の第1コイル21X1及び第2コイル21X2のそれぞれの96番目の要素導体31,31に連なる第2渡り部44,44の先端部は、それぞれ、図8に示すように、各相の第1コイル21X1及び第2コイル21X2のそれぞれの49番目の要素導体31,31に連なる第2渡り部44,44の先端部に、ステータ11の径方向で対向する。
さらに、本実施形態では、各相の第1コイル21X1及び第2コイル21X2のそれぞれの1番目の要素導体31,31に連なる第2渡り部44,44も、周方向負側(ブリッジ導体51X,52Xをそれぞれ接続する第2渡り部44,44の折り曲げ方向である周方向正側と逆向き)に折り曲げられている。
このため、各相の第1コイル21X1及び第2コイル21X2のそれぞれの1番目の要素導体31,31に連なる第2渡り部44,44の先端部は、それぞれ、図8に示すように、各相の第1コイル21X1及び第2コイル21X2のそれぞれの48番目の要素導体31,31に連なる第2渡り部44,44の先端部に、ステータ11の径方向で対向する。
ブリッジ導体51X,52Xの接続対象となる48番目及び49番目の要素導体31,31にそれぞれ連なる第2渡り部44,44の先端部と、接続コード55Xの接続対象となる1番目の要素導体31に連なる第2渡り部44の先端部と、中性点形成導体53の接続対象となる96番目の要素導体31に連なる第2渡り部44の先端部とが上記の如く配置されているので、各相のブリッジ導体51X,52Xと、接続コード55Xの導体端子部材54と、中性点形成導体53とをステータ11の周方向の比較的狭い範囲内に集中させて配置することができる。
このため、ブリッジ導体51X,52X、接続コード55Xの導体端子部材54、及び中性点形成導体53をそれぞれに対応する要素導体31に連なる第2渡り部44に接続する作業を効率よく行うことができる。
以上が、本実施形態の回転電機においてステータ11に装着されるコイル21の構造である。
本実施形態によれば、ステータ11の軸方向第1端側で第1渡り部43により接続する第1要素導体31及び第2要素導体31の対は、ステータ11の周方向に5スロットピッチ(第2の所定間隔)を有するスロット12,12に挿入される2つの要素導体の対である。
また、ステータ11の軸方向第2端側で第2渡り部44により接続する2つの第1要素導体31の対、及び2つの第2要素導体31の対は、ステータ11の周方向に6スロットピッチ(第1の所定間隔)を有するスロット12,12に挿入される2つの要素導体の対である。
従って、ステータ11の周方向における第2渡り部44の長さを規定する第1の所定間隔は、スロット12の単位ピッチに1極当たりのスロット数N(=6)を乗じてなる間隔である一方、ステータ11の周方向における第1渡り部43の長さを規定する第2の所定関間隔は、N×単位ピッチ(6スロットピッチ)よりも小さい間隔(5スロットピッチ)となっている。
このため、本実施形態では、第1の所定間隔と第2の所定間隔との総和は、N×単位ピッチ(6スロットピッチ)の2倍の間隔よりも小さい。従って、本実施形態の回転電機では、前記した従来の回転電機に比べて、ステータ11の軸方向における第1渡り部43の最大の高さと第2渡り部44の最大の高さとの総和を小さくすることができる。
この結果、回転電機の軸方向の長さを短くして、該回転電機を小型化することができる。
さらに、本実施形態によれば、第1の所定間隔と第2の所定間隔とを上記の如く設定しておくことで、第1コイル21X1及び第2コイル21X2のそれぞれに関して、ステータ11の周方向に2スロットピッチで並ぶスロット12のそれぞれに、U相、V相、W相のうちの2つの相のコイルを構成する要素導体31が配置されることとなる。
具体的には、図3及び図4において、スロット番号が奇数番の各スロット12には、1つの相のコイルを構成する要素導体31だけが配置される一方、スロット番号の偶数番の各スロット12には、2つの相のコイルを構成する要素導体31が配置される。
加えて、さらに、本実施形態では、第2の所定間隔は、N×単位ピッチ(6スロットピッチ)よりも1スロットピッチだけ小さい(N−1)×単位ピッチ(5スロットピッチ)の間隔である。
このため、U相、V相、W相の各コイル21U,21V,21Wに順次通電することにより生成される磁束の時間的変化や、ステータ11の周方向における磁束の分布が滑らかなものとなる。
このため、回転電機のロータに発生するトルクの変動を抑制することができると共に、該トルクの変動に起因して発生する騒音を低減できる。
なお、以上説明した実施形態では、前記第2の所定間隔を、第1の所定間隔よりも1スロットピッチだけ小さい間隔にしたが、第2の所定間隔を第1の所定間隔よりも2スロットピッチ以上小さい間隔(例えば、4スロットピッチ、3スロットピッチ等)としてもよい。
また、前記実施形態では、各相のコイル21X(21U,21V,21W)を、並列接続する第1コイル21X1及び第2コイル21X2により構成したが、第1コイル21X1及び第2コイル21X2の一方だけにより構成してもよい。
また、前記実施形態では、ステータ11に3相のコイル21X(21U,21V,21W)を装着するようにしたが、1相もしくは2相のコイルだけを装着するようにしてもよい。
また、前記実施形態では、各相の第1コイル21X1及び第2コイル21X2を、1−24部分コイル、25−48部分コイル、49−72部分コイル、及び73−96部分コイルの4個の部分コイルを直列接続することで構成するようにした。ただし、各相のコイルを、上記4個の部分コイルの1つだけで構成したり、あるいは、上記4個の部分コイルのうちの2つの部分コイルを直列に接続することで構成するようにしてもよい。
また、前記実施形態では、4つの二股導体部材41を一束にしたセグメント導体40を用いたが、個々の二股導体部材41が相互に分離されていてもよい。
さらに、二股導体部材41を使用せずに、接続対象の第1要素導体31及び第2要素導体31の対をこれらと別体の第1渡り部を介して接続したり、あるいは、接続対象の第1要素導体31の対、及び第2要素導体31の対をこれらと別体の第2渡り部を介して接続するようにすることも可能である。
また、前記実施形態では、ブリッジ導体51X,52Xの接続対象となる48番目及び49番目の要素導体31,31に連なる第2渡り部44の先端部は、1番目の要素導体31のそれぞれに連なる第2渡り部44の先端部、及び6番目の要素導体31のそれぞれに連なる第2渡り部44の先端部よりも、ステータ11の軸方向の高さが高くなるようにした。
ただし、1番目の要素導体31のそれぞれに連なる第2渡り部44の先端部、及び6番目の要素導体31のそれぞれに連なる第2渡り部44の先端部を、ブリッジ導体51X,52Xの接続対象となる48番目及び49番目の要素導体31,31に連なる第2渡り部44の先端部よりもステータ11の軸方向で高くなるように配置することも可能である。