JP2015180146A - 回転電機用コイル - Google Patents
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Abstract
【課題】互いに並列接続されるコイル部の数によらず、循環電流の抑制効果と回転電機の製造品質の双方の向上を図ることが可能な回転電機用コイルを実現する。
【解決手段】コイルは、巻回方向が互いに逆方向の第一同心巻部41と第二同心巻部42とを、周方向Cに沿って磁極ピッチP毎に交互に備える。コイル部20は、第一同心巻部41と第二同心巻部42とが1つずつ交互となるように直列接続して構成される。第一同心巻部41は、当該第一同心巻部41と同じコイル部20を構成する他の第一同心巻部41と径方向Rに対向するように配置され、第二同心巻部42は、当該第二同心巻部42と同じコイル部20を構成する他の第二同心巻部42と径方向Rに対向するように配置される。同じコイル部20を構成して互いに直列接続される第一同心巻部41及び第二同心巻部42が、磁極ピッチPの2倍以上周方向Cに互いに離間して配置される。
【選択図】図3
【解決手段】コイルは、巻回方向が互いに逆方向の第一同心巻部41と第二同心巻部42とを、周方向Cに沿って磁極ピッチP毎に交互に備える。コイル部20は、第一同心巻部41と第二同心巻部42とが1つずつ交互となるように直列接続して構成される。第一同心巻部41は、当該第一同心巻部41と同じコイル部20を構成する他の第一同心巻部41と径方向Rに対向するように配置され、第二同心巻部42は、当該第二同心巻部42と同じコイル部20を構成する他の第二同心巻部42と径方向Rに対向するように配置される。同じコイル部20を構成して互いに直列接続される第一同心巻部41及び第二同心巻部42が、磁極ピッチPの2倍以上周方向Cに互いに離間して配置される。
【選択図】図3
Description
本発明は、互いに並列接続されるM個(Mは3以上の整数を表す)のコイル部を備え、円筒状のコア基準面の周方向に分散配置された複数のスロットを有するコアに巻装されて(M×N×2)個(Nは2の正の倍数を表す)の磁極を形成する回転電機用コイルに関する。
互いに並列接続される複数のコイル部を備える回転電機用コイルとして、特許第4665595号公報(特許文献1)に記載されたものが知られている。特許文献1に記載の構成では、互いに並列接続される2個のコイル部(当該文献の図5に示される直列コイルA及び直列コイルB)のそれぞれが、当該文献の図4に示されるように、径方向に対向するように配置される2つのコイル群により構成される。これにより、ステータに対してロータが偏心した状態で配置される場合でも、電磁気的なバランスを保つことができ、2つのコイル部により形成される並列回路における循環電流の発生を抑制することが可能とされている。特許第4617992号公報(特許文献2)にも同様の技術が記載されている。
しかしながら、特許文献1や特許文献2の構成では、径方向に対向するように配置される2つのコイル群によりコイル部が構成されるため、互いに並列接続されるコイル部の数を3以上とした場合には、循環電流の抑制効果が低下するおそれがある。なぜなら、互いに並列接続されるコイル部の数が大きくなるに従って、1つのコイル部を構成する2つのコイル群の間の周方向の離間距離が長くなるため、ロータのステータに対する偏心がコイル部に与える影響の程度が複数のコイル部の間で不均一になりやすいからである。また、特許文献1や特許文献2の構成では、1つのコイル部を構成する2つのコイル群の間の周方向の離間距離が長くなることで、回転電機の製造品質の確保が難しくなる場合がある。なぜなら、1つのコイル部を構成する2つのコイル群の間の周方向の離間距離が長くなるに従って、当該2つのコイル群同士を接続する接続導線の長さが大きくなるため、回転電機の製造方法によっては、延在長さの大きい接続導線がコイルの他の部分と接触することで、コイルの形状の正確性やコイルの絶縁性が低下し得るからである。しかしながら、特許文献1や特許文献2では、この点について特段の認識がなされていなかった。
そこで、互いに並列接続されるコイル部の数によらず、循環電流の抑制効果と回転電機の製造品質の双方の向上を図ることが可能な回転電機用コイルの実現が望まれる。
本発明に係る、互いに並列接続されるM個(Mは3以上の整数を表す)のコイル部を備え、円筒状のコア基準面の周方向に分散配置された複数のスロットを有するコアに巻装されて(M×N×2)個(Nは2の正の倍数を表す)の磁極を形成する回転電機用コイルの特徴構成は、巻回方向が互いに逆方向の同心巻部である第一同心巻部と第二同心巻部とを、前記周方向に沿って磁極ピッチ毎に交互に備え、前記コイル部のそれぞれは、N個の前記第一同心巻部とN個の前記第二同心巻部とを、前記第一同心巻部と前記第二同心巻部とが1つずつ交互となるように直列接続して構成され、前記第一同心巻部のそれぞれが、当該第一同心巻部と同じ前記コイル部を構成する他の前記第一同心巻部と前記コア基準面の径方向に対向するように配置されると共に、前記第二同心巻部のそれぞれが、当該第二同心巻部と同じ前記コイル部を構成する他の前記第二同心巻部と前記径方向に対向するように配置され、同じ前記コイル部を構成して互いに直列接続される前記第一同心巻部及び前記第二同心巻部が、前記磁極ピッチの2倍以上前記周方向に互いに離間して配置される点にある。
上記の特徴構成によれば、互いに並列接続されるコイル部の数によらず、コイル部を構成する複数の同心巻部のそれぞれを、当該コイル部を構成する他の同種(巻回方向が同方向)の同心巻部と径方向に対向するように配置しつつ、当該複数の同心巻部のそれぞれの周方向の配置領域が偏ることを抑制することができる。よって、互いに並列接続されるコイル部の数が3以上である場合でも、複数のコイル部により形成される並列回路における循環電流の発生を抑制し、或いは当該並列回路に循環電流が発生する場合であってもその大きさを低減することができる。
更に、上記の特徴構成によれば、同じコイル部を構成する複数の同心巻部のそれぞれの周方向の配置領域が偏ることを抑制することができるため、コイル部が備える複数の接続導線の中での延在長さの最大値を小さく抑えることができる。なお、接続導線は、互いに直列接続される2つの同心巻部を接続する導線である。よって、極端に延在長さの大きい接続導線が存在することを回避でき、結果、回転電機の製造品質の向上を図ることができる。
以上のように、上記の特徴構成によれば、互いに並列接続されるコイル部の数によらず、循環電流の抑制効果と回転電機の製造品質の双方の向上を図ることが可能な回転電機用コイルを実現することができる。
なお、上記の特徴構成によれば、巻回方向が互いに逆方向の第一同心巻部と第二同心巻部とを1つずつ交互に直列接続してコイル部が構成されるため、フライヤ方式の巻線装置を用いることができる等、巻線装置についての制約を緩和することも可能である。
更に、上記の特徴構成によれば、同じコイル部を構成する複数の同心巻部のそれぞれの周方向の配置領域が偏ることを抑制することができるため、コイル部が備える複数の接続導線の中での延在長さの最大値を小さく抑えることができる。なお、接続導線は、互いに直列接続される2つの同心巻部を接続する導線である。よって、極端に延在長さの大きい接続導線が存在することを回避でき、結果、回転電機の製造品質の向上を図ることができる。
以上のように、上記の特徴構成によれば、互いに並列接続されるコイル部の数によらず、循環電流の抑制効果と回転電機の製造品質の双方の向上を図ることが可能な回転電機用コイルを実現することができる。
なお、上記の特徴構成によれば、巻回方向が互いに逆方向の第一同心巻部と第二同心巻部とを1つずつ交互に直列接続してコイル部が構成されるため、フライヤ方式の巻線装置を用いることができる等、巻線装置についての制約を緩和することも可能である。
ここで、前記コイル部は、互いに直列接続される2つの前記同心巻部を接続する接続導線を備え、前記接続導線は、他の前記コイル部を構成する前記同心巻部である対象同心巻部に対して、同心状に巻回される巻回部を備え、前記対象同心巻部の巻回数が、前記対象同心巻部ではない前記同心巻部に比べて、前記巻回部の巻回数だけ少なく設定されていると好適である。
この構成によれば、回転電機の製造時に、対象同心巻部を保持する治具を利用して巻回部を保持することが可能となる。すなわち、接続導線の一部(巻回部の形成部分)を回転電機の製造時に保持することが可能となるため、回転電機の製造品質の向上をより一層図ることができる。また、対象同心巻部の巻回数が、対象同心巻部ではない同心巻部に比べて巻回部の巻回数だけ少なく設定されるため、コアの各スロット内の巻回数を一定にすることができると共に、コアに対して軸方向の外側に配置されるコイルの体積が、巻回部を備えることによって増加することを抑制することができる。よって、コイルエンド部の大型化を抑制しつつ、接続導線が巻回部を備える構成を実現することができる。
上記のように前記接続導線が前記巻回部を備える構成において、前記巻回部の巻回方向が、当該巻回部の両端から延びる前記接続導線の2本の延在部の前記周方向の配置領域が互いに重複しない巻回方向となるように、前記第一同心巻部及び前記第二同心巻部のいずれかから前記対象同心巻部が設定されていると好適である
この構成によれば、接続導線が巻回部を備えない場合に比べて、対象同心巻部が巻回されるスロット間をコアに対して軸方向の外側において接続するコイルの体積を増加させることなく、接続導線におけるコアに対して軸方向の外側に配置される部分の体積を減少させることができる。よって、コイルエンド部の小型化を図りつつ、接続導線が巻回部を備える構成を実現することができる。
また、上記のように前記接続導線が前記巻回部を備える構成において、前記対象同心巻部は、前記接続導線により接続される2つの前記同心巻部の前記周方向の間に配置される複数の前記同心巻部の中から、予め定められた選択条件に基づき設定され、前記接続導線は、前記巻回部の一端から接続対象の前記第一同心巻部まで延びる第一延在部と、前記巻回部の他端から接続対象の前記第二同心巻部まで延びる第二延在部とを有し、前記選択条件を満たす前記同心巻部が複数存在する場合には、前記接続導線による接続対象の2つの前記同心巻部の前記周方向の間における前記第一延在部及び前記第二延在部のそれぞれの前記周方向の延在長さの差が、最も小さくなる前記同心巻部を、前記対象同心巻部として設定すると好適である
この構成によれば、コイル部が備える複数の接続導線の中での延在長さの最大値を小さく抑えることができることに加えて、コイル部が備える複数の第一延在部及び複数の第二延在部の中での延在長さの最大値を小さく抑えることもできる。よって、接続導線が1つの巻回部を備える場合において、回転電機の製造品質の向上をより一層図ることができる。
上記の各構成の回転電機用コイルにおいて、Mが偶数であり、前記コイル部において互いに直列接続される前記第一同心巻部及び前記第二同心巻部が、前記磁極ピッチの(M+1)倍又は(M−1)倍だけ前記周方向に離間して配置されている構成とすると好適である。
磁極ピッチのM倍は(180/N)度に相当し、この角度に1つのコイル部が備える同心巻部の総数である(2×N)を乗算すると、360度となる。よって、この構成によれば、コイル部の一端部を構成する第一同心巻部と他端部を構成する第二同心巻部とを、磁極ピッチの(M+1)倍又は(M−1)倍だけ周方向に離間して配置することが可能となる。この結果、Mが偶数である場合に、1つのコイル部を構成する複数の同心巻部のそれぞれを、周方向に沿って均等状(略均等)に分散配置することができ、上述した循環電流の抑制効果と回転電機の製造品質の双方の向上を、より一層図ることができる。
上記のようにMが偶数である構成において、前記コイル部の一端部を構成する前記第一同心巻部と他端部を構成する前記第二同心巻部とが、前記磁極ピッチの(M+1)倍だけ前記周方向に離間して配置されている構成とすると好適である。
この構成によれば、コイル部の一端部を構成する第一同心巻部と他端部を構成する第二同心巻部とが、磁極ピッチの(M−1)倍だけ周方向に離間して配置される場合に比べて1つのコイル部が備える複数の接続導線のそれぞれの長さの総和を短く抑えることができ、結果、コイルエンド部の小型化と回転電機の製造品質の向上を図ることができる。
或いは、Mが奇数であり、前記コイル部において互いに直列接続される前記第一同心巻部及び前記第二同心巻部が、前記磁極ピッチのM倍だけ前記周方向に離間して配置されている構成とすると好適である。
この構成によれば、コイル部の一端部を構成する第一同心巻部と他端部を構成する第二同心巻部とを、磁極ピッチのM倍だけ周方向に離間して配置することできる。よって、Mが奇数である場合に、1つのコイル部を構成する複数の同心巻部のそれぞれを、周方向に沿って均等に分散配置することができ、上述した循環電流の抑制効果と回転電機の製造品質の双方の向上を、より一層図ることができる。
1.第一の実施形態
本発明に係る回転電機用コイルの第一の実施形態について、図面(図1〜図4)を参照して説明する。ここでは、本発明に係る回転電機用コイルを、図1に示すように、回転電機用のステータ10のコア11(ステータコア)に巻装されるコイル1に適用した場合を例として説明する。なお、「回転電機」は、モータ(電動機)、ジェネレータ(発電機)、及び必要に応じてモータ及びジェネレータの双方の機能を果たすモータ・ジェネレータのいずれをも含む概念として用いている。
本発明に係る回転電機用コイルの第一の実施形態について、図面(図1〜図4)を参照して説明する。ここでは、本発明に係る回転電機用コイルを、図1に示すように、回転電機用のステータ10のコア11(ステータコア)に巻装されるコイル1に適用した場合を例として説明する。なお、「回転電機」は、モータ(電動機)、ジェネレータ(発電機)、及び必要に応じてモータ及びジェネレータの双方の機能を果たすモータ・ジェネレータのいずれをも含む概念として用いている。
以下の説明では、特に区別して明記している場合を除き、「軸方向」、「周方向C」、及び「径方向R」は、円筒状のコア基準面Sを基準として、言い換えれば、コア基準面Sの軸心Aを基準として定義している(図1参照)。「周第一方向C1」は、周方向Cにおける一方側へ向かう方向を表し、「周第二方向C2」は、周方向Cにおける他方側へ向かう方向(周第一方向C1とは反対方向)を表す。また、本明細書では、寸法、配置方向、配置位置等に関する用語(例えば、平行や直交等)は、誤差(製造上許容され得る程度の誤差)による差異を有する状態も含む概念として用いている。
1−1.ステータの全体構成
ステータ10は、回転電機用のステータであり、図1に示すように、コア11と、コア11に巻装されるコイル1とを備えている。コア11は、磁性材料を用いて形成される。例えば、複数枚の磁性体板(例えば、ケイ素鋼板等の電磁鋼板)を積層してコア11が形成され、或いは、磁性材料の粉体を加圧成形してなる圧粉材を主な構成要素としてコア11が形成される。ステータ10は、回転界磁型の回転電機用のステータであり、電機子として機能する。ステータ10から発生する磁界により、永久磁石や電磁石等を備えた界磁としてのロータ(図示せず)が回転する。ロータは、コア11に対して径方向Rの内側に配置される。
ステータ10は、回転電機用のステータであり、図1に示すように、コア11と、コア11に巻装されるコイル1とを備えている。コア11は、磁性材料を用いて形成される。例えば、複数枚の磁性体板(例えば、ケイ素鋼板等の電磁鋼板)を積層してコア11が形成され、或いは、磁性材料の粉体を加圧成形してなる圧粉材を主な構成要素としてコア11が形成される。ステータ10は、回転界磁型の回転電機用のステータであり、電機子として機能する。ステータ10から発生する磁界により、永久磁石や電磁石等を備えた界磁としてのロータ(図示せず)が回転する。ロータは、コア11に対して径方向Rの内側に配置される。
コア11は、周方向Cに分散配置された複数のスロット12を有する。複数のスロット12は、周方向Cに沿って一定間隔で配置されている。スロット12のそれぞれは、軸方向及び径方向Rに延びるように形成されている。本実施形態では、スロット12のそれぞれは、軸方向の両側に開口部を有すると共に、径方向Rの内側に開口部を有する。周方向Cに隣接するスロット12の間にはティース13が形成され、複数のティース13のそれぞれの径方向Rの内側の端面を含む円筒状の仮想面により、コア11の内周面が形成される。本実施形態では、コア11の内周面をコア基準面Sとしている。コア11の径方向Rの外側の面(外周面)等をコア基準面Sとしても良い。
コイル1は複数相のコイルであり、コア11には各相用のスロット12が周方向Cに沿って繰り返し現れるように配置されている。本実施形態では、コイル1は、三相コイルであり、U相コイル2U、V相コイル2V、及びW相コイル2Wの3つの相コイル2を備えている。これに対応して、コア11には、U相用、V相用、及びW相用のスロット12が、周方向Cに沿って繰り返し現れるように配置されている。本実施形態では、毎極毎相あたりのスロット数が“2”であり、コア11には、各相用のスロット12が周方向Cに沿って2つずつ繰り返し現れるように配置されている。また、本実施形態では、毎相あたりの磁極数が“16”(磁極対数が“8”)であり、コア11には合計で96(=2×16×3)個のスロット12が配置されている。
1−2.コイルの構成
次に、本発明の要部であるコイル1の構成について説明する。コイル1は線状の導体である線状導体(図示せず)を用いて構成されている。線状導体は、銅やアルミニウム等の導電性を有する材料により構成される。このような線状導体として、例えば、延在方向に直交する断面の形状が円形状の線状導体を用いることができる。線状導体の表面には、樹脂等の電気的絶縁性を有する材料からなる絶縁皮膜が形成されている。
次に、本発明の要部であるコイル1の構成について説明する。コイル1は線状の導体である線状導体(図示せず)を用いて構成されている。線状導体は、銅やアルミニウム等の導電性を有する材料により構成される。このような線状導体として、例えば、延在方向に直交する断面の形状が円形状の線状導体を用いることができる。線状導体の表面には、樹脂等の電気的絶縁性を有する材料からなる絶縁皮膜が形成されている。
図1及び図2に示すように、相コイル2のそれぞれは、巻回方向が互いに逆方向の同心巻部である第一同心巻部41と第二同心巻部42とを、周方向Cに沿って磁極ピッチP毎に交互に備えている。すなわち、1つの相コイル2が備える複数の同心巻部は、周方向Cの配置領域が互いに重複しないように周方向Cに並べて配置されている。本実施形態では、磁極ピッチPは、スロットピッチ(スロット12の配設ピッチ)の6倍である。図1及び後に参照する図3、図4では、第一同心巻部41と第二同心巻部42との区別を容易にすべく、第一同心巻部41のみにハッチングを施している。なお、2つの同心巻部の巻回方向が逆とは、相コイル2を構成する線状導体の延在方向に沿って(言い換えれば、相コイル2を流れる電流の方向に沿って)相コイル2の一端部から他端部に向かう場合に、一方の同心巻部が時計回り方向に巻回され、他方の同心巻部が反時計回り方向に巻回されることを意味する。よって、第一同心巻部41と第二同心巻部42とは、コイル1への通電時に、互いに逆向きの磁極を形成する。なお、同心巻部は、一対又は複数対のスロット12間に、線状導体或いは線状導体の束を複数回巻回してなるコイル部(重ね巻部)である。本実施形態では、第一同心巻部41及び第二同心巻部42のそれぞれは、一対のスロット12間(本例では、互いにスロットピッチの5倍だけ離れた一対のスロット12間)に、線状導体或いは線状導体の束を複数回巻回して構成されている。
図2に示すように、コイル1は、複数の相のそれぞれに対応する相コイル2(本例では、U相コイル2U、V相コイル2V、及びW相コイル2W)がスター結線されて構成されている。すなわち、相コイル2のそれぞれの一端部は、各相毎に設定された接続端子90に接続され、相コイル2のそれぞれの他端部は、中性点91にて互いに接続されている。接続端子90は、ステータ10との間で電力の授受を行う装置(例えば、インバータ等)に対してコイル1を接続するための端子である。回転電機の力行時には、接続端子90に対して当該装置側から電力が入力される。本実施形態では、接続端子90として、三相のそれぞれに対応するU相接続端子90U、V相接続端子90V、及びW相接続端子90Wが設けられている。図1では、理解を容易にすべく、同心巻部のそれぞれについて、相コイル2を構成する線状導体の延在方向に沿って接続端子90側から中性点91側に向かう場合を想定し、内部に“X”字状の記号が付された白抜き丸印によって紙面奥側に向かう部分を示すと共に、内部にドット状の記号が付された白抜き丸印によって紙面手前側に向かう部分を示している。本実施形態では、相コイル2を構成する線状導体の延在方向に沿って接続端子90側から中性点91側に向かう場合に、径方向Rの内側から見て時計回り方向に巻回される同心巻部を第一同心巻部41とし、径方向Rの内側から見て反時計回り方向に巻回される同心巻部を第二同心巻部42としている。
相コイル2のそれぞれは、磁極対数(本例では8個)と同数の第一同心巻部41と、磁極対数と同数の第二同心巻部42とを備える。第一同心巻部41及び第二同心巻部42の周方向Cの配置状態に関して、U相コイル2U、V相コイル2V、及びW相コイル2Wは、周方向Cに互いにずれた位置関係で配置されている。本実施形態では、図1に示すように、V相コイル2Vは、U相コイル2Uに対して周第一方向C1側にスロットピッチの4倍だけずれた位置関係で配置され、W相コイル2Wは、U相コイル2Uに対して周第二方向C2側にスロットピッチの4倍だけずれた位置関係で配置されている。また、相コイル2のそれぞれのターン部は、各相毎に設定された径方向Rの領域において周方向Cに延びるように配置される。ここで、ターン部は、コア11から軸方向に突出する同心巻部の部分である。本実施形態では、図1に模式的に示すように、径方向Rの外側から順に、U相コイル2Uのターン部、V相コイル2Vのターン部、及びW相コイル2Wのターン部が配置される。ターン部と後述する接続導線30(図2、図3参照)とによって、コア11から軸方向に突出するコイル1の部分であるコイルエンド部が形成される。
相コイル2のそれぞれは、図2に示すように、互いに並列接続されるM個(Mは3以上の整数を表す)の直列コイル部20を備えている。そして、相コイル2のそれぞれは、コア11に巻装されて(M×N×2)個(Nは2の正の倍数を表す)の磁極を形成する。なお、図2では、V相コイル2V及びW相コイル2Wを簡略化して示しているが、V相コイル2V及びW相コイル2Wのそれぞれも、U相コイル2Uと同様に、互いに並列接続されるM個の直列コイル部20を備えている。本実施形態では、Mは偶数であり、具体的にはMは“4”に設定されている。そのため、相コイル2のそれぞれは、互いに並列接続される直列コイル部20として、第一直列コイル部21、第二直列コイル部22、第三直列コイル部23、及び第四直列コイル部24の4つの直列コイル部20を備えている。また、Nは1つの直列コイル部20が形成する磁極対の個数であり、本実施形態では、Nは“2”に設定されている。本実施形態では、直列コイル部20が本発明における「コイル部」に相当する。
直列コイル部20は、複数の同心巻部を互いに直列接続して構成される。具体的には、直列コイル部20のそれぞれは、N個の第一同心巻部41とN個の第二同心巻部42とを、第一同心巻部41と第二同心巻部42とが1つずつ交互となるように直列接続して構成されている。本実施形態では、Nが“2”に設定されているため、直列コイル部20のそれぞれは、2個の第一同心巻部41と2個の第二同心巻部42とを備える。また、直列コイル部20は、図2及び図3に示すように、互いに直列接続される2つの同心巻部(第一同心巻部41と第二同心巻部42)を接続する接続導線30を備える。本実施形態では、接続導線30の全体が、コア11に対して軸方向の外側に配置される。なお、図1では、簡素化のため、接続導線30を省略している。
ここで、直列コイル部20が備える複数の同心巻部を、中性点91とは反対側の端部側(すなわち、接続端子90側)から順に第一コイル部、第二コイル部、・・・、第Xコイル部(X=2×N)とする。本実施形態では、直列コイル部20のそれぞれは、第一コイル部51、第二コイル部52、第三コイル部53、及び第四コイル部54を備えている。そして、図2に示すように、第一直列コイル部21及び第三直列コイル部23については、第一コイル部51及び第三コイル部53が第一同心巻部41により構成されると共に、第二コイル部52及び第四コイル部54が第二同心巻部42により構成される。また、第二直列コイル部22及び第四直列コイル部24については、第一コイル部51及び第三コイル部53が第二同心巻部42により構成されると共に、第二コイル部52及び第四コイル部54が第一同心巻部41により構成される。
次に、直列コイル部20が備える複数の同心巻部の配置構成について、図3及び図4を参照して説明する。なお、図3は、U相コイル2Uの第一直列コイル部21の簡略図である。また、図4は、U相コイル2Uの全体の簡略図であり、U相コイル2Uの全ての直列コイル部20(第一直列コイル部21、第二直列コイル部22、第三直列コイル部23、及び第四直列コイル部24)が示されている。図1では、図3との対比を容易にすべく、図3に示すU相コイル2Uの第一直列コイル部21についてのみ、第一コイル部51、第二コイル部52、第三コイル部53、及び第四コイル部54を表す符号を付すと共に、接続端子90及び中性点91のそれぞれとの接続関係を示している。以下では、U相コイル2Uが備える同心巻部の配置構成についてのみ具体的に説明するが、V相コイル2VやW相コイル2Wが備える同心巻部の配置構成も、U相コイル2Uと同様とすることができる。
まず、相コイル2に備えられる全ての直列コイル部20の間で共通の構成について説明する。図3及び図4に示すように、第一同心巻部41のそれぞれは、当該第一同心巻部41と同じ直列コイル部20を構成する他の第一同心巻部41と径方向Rに対向するように配置されると共に、第二同心巻部42のそれぞれは、当該第二同心巻部42と同じ直列コイル部20を構成する他の第二同心巻部42と径方向Rに対向するように配置されている。ここで、径方向Rに対向するとは、同心巻部の配置領域が、コア11の周方向Cの位置に関して互いに180度異なることを意味する。更に、同じ直列コイル部20を構成して互いに直列接続される第一同心巻部41及び第二同心巻部42は、磁極ピッチPの2倍以上(本例では3倍以上)周方向Cに互いに離間して配置されている。なお、2つの同心巻部の周方向Cの離間距離は、それぞれの同心巻部の周方向Cの中心位置の離間距離である。よって、図4に示すように同じ相コイル2を構成して周方向Cに隣接して配置される第一同心巻部41及び第二同心巻部42は、同じ直列コイル部20を構成しない。
上記のような配置構成を採用することで、図3に示すように、直列コイル部20を構成する複数の同心巻部のそれぞれを、当該直列コイル部20を構成する他の同種(巻回方向が同方向)の同心巻部と径方向Rに対向するように配置しつつ、当該複数の同心巻部のそれぞれの周方向Cの配置領域が偏ることを抑制することができる。よって、組み付け誤差等に起因してロータがステータ10に対して偏心した状態で配置される場合であっても、ロータがステータ10に対して同心に配置された状態における基準逆起電圧からの、逆起電圧の変化の大きさや変化の方向が、同相の並列回路を構成する複数の直列コイル部20の間で不均一になることを抑制することができる。なお、直列コイル部20における逆起電圧は、ロータの回転に伴い発生する。この結果、同相の複数の直列コイル部20により形成される並列回路における循環電流の発生を抑制することができ、或いは、当該並列回路に循環電流が発生する場合であってもその大きさを低減することができる。
更に、直列コイル部20を構成する複数の同心巻部のそれぞれの周方向Cの配置領域が偏ることを抑制することができるため、直列コイル部20が備える複数の接続導線30の中での延在長さの最大値を小さく抑えることができ、結果、ステータ10の製造品質の向上を図ることができる。補足説明すると、例えば、U相コイル2U、V相コイル2V、及びW相コイル2Wの順に、インサート法等によって各相コイル2をコア11に巻装することで、ステータ10を製造することが考えられる。この場合、例えば、V相コイル2Vのコア11への巻装時に、既にコア11に巻装されているU相コイル2Uの接続導線30に対してV相コイル2Vが接触すると、当該接触の程度によってはステータ10の製造品質(形状の正確性や絶縁性能等)が低下するおそれがある。この点に関し、本実施形態に係るコイル1では、直列コイル部20が備える複数の接続導線30の中での延在長さの最大値を小さく抑えることができるため、言い換えれば、極端に延在長さの大きい接続導線30が存在することを回避できるため、ステータ10の製造時における異なる相の相コイル2同士の接触を回避すること或いは当該接触の程度を低く抑えることが容易となる。この結果、ステータ10の製造品質を適切に確保することができる。
1つの直列コイル部20に備えられる複数の同心巻部は、電気的な接続順と同じ周方向Cの順序で配置される。そして、本実施形態では、Mが偶数(具体的には“4”)であり、図3及び図4に示すように、直列コイル部20において互いに直列接続される第一同心巻部41及び第二同心巻部42は、磁極ピッチPの(M+1)倍又は(M−1)倍だけ周方向Cに離間して配置される。なお、1つの直列コイル部20には、互いに直列接続される第一同心巻部41と第二同心巻部42との組が(2×N−1)個形成され、磁極ピッチPの(M+1)倍だけ周方向Cに離間して配置された第一同心巻部41と第二同心巻部42との組と、磁極ピッチPの(M−1)倍だけ周方向Cに離間して配置された第一同心巻部41と第二同心巻部42との組とが、周方向Cに沿って交互に配置される。
ここで、磁極ピッチPのM倍は(180/N)度に相当し、この角度に1つの直列コイル部20が備える同心巻部の総数である(2×N)を乗算すると、360度となる。そのため、上記のように、直列コイル部20において互いに直列接続される第一同心巻部41及び第二同心巻部42を、磁極ピッチPの(M+1)倍又は(M−1)倍だけ周方向Cに離間して配置することで、直列コイル部20の一端部を構成する第一同心巻部41と他端部を構成する第二同心巻部42とを、磁極ピッチPの(M+1)倍又は(M−1)倍だけ周方向Cに離間して配置することができる。この結果、1つの直列コイル部20を構成する複数の同心巻部のそれぞれを、周方向Cに沿って均等状(略均等)に分散配置することができ、ロータのステータ10に対する偏心の向きにかかわらず、逆起電圧の基準逆起電圧からの変化の大きさや変化の方向が、同相の並列回路を構成する複数の直列コイル部20の間で不均一になることを抑制することができる。
更に、本実施形態では、直列コイル部20の接続端子90側の端部を構成する第一コイル部51と、第二コイル部52とが、磁極ピッチPの(M−1)倍だけ周方向Cに離間して配置される構成を採用している。よって、本実施形態では、第二コイル部52と第三コイル部53とが、磁極ピッチPの(M+1)倍だけ周方向Cに離間して配置されると共に、第三コイル部53と、直列コイル部20の中性点91側の端部を構成する第四コイル部54とが、磁極ピッチPの(M−1)倍だけ周方向Cに離間して配置される。この結果、直列コイル部20の一端部を構成する第一同心巻部41と他端部を構成する第二同心巻部42とが、磁極ピッチPの(M+1)倍だけ周方向Cに離間して配置される。これにより、後に説明するその他の実施形態の構成(図7参照)に比べて、1つの直列コイル部20が備える複数の接続導線30のそれぞれの長さの総和を短く抑えることができ、結果、コイルエンド部の小型化を図ることができる。
次に、相コイル2に備えられる全ての直列コイル部20の間で共通でない構成について説明する。本実施形態では、図3及び図4に示すように、第一直列コイル部21については、周第一方向C1側に向かって、第一コイル部51、第二コイル部52、第三コイル部53、及び第四コイル部54の順に配置され、第二直列コイル部22については、周第二方向C2側に向かって、第一コイル部51、第二コイル部52、第三コイル部53、及び第四コイル部54の順に配置されている。すなわち、第一直列コイル部21については、第一同心巻部41及び第二同心巻部42のそれぞれが、電気的接続関係において接続端子90側に隣接する他の同心巻部に対して、周第一方向C1側に配置され、第二直列コイル部22については、第一同心巻部41及び第二同心巻部42のそれぞれが、電気的接続関係において接続端子90側に隣接する他の同心巻部に対して、周第二方向C2側に配置されている。なお、本例では、第二直列コイル部22の第一コイル部51は、第一直列コイル部21の第一コイル部51に対して周第二方向C2側に隣接して配置された同心巻部である。
そして、図4に示すように、第三直列コイル部23は、周方向Cの配置位置を除いて第一直列コイル部21と同様に構成され、本例では、第三直列コイル部23は、第一直列コイル部21に対して周第二方向C2側に磁極ピッチPの2倍だけずれた位置関係で配置されている。また、第四直列コイル部24は、周方向Cの配置位置を除いて第二直列コイル部22と同様に構成され、本例では、第四直列コイル部24は、第二直列コイル部22に対して周第二方向C2側に磁極ピッチPの2倍だけずれた位置関係で配置されている。このような配置構成を備えるため、第一直列コイル部21、第二直列コイル部22、第三直列コイル部23、及び第四直列コイル部24のそれぞれの第一コイル部51は、周方向Cに隣接して配置される4つの同心巻部により構成される。
2.第二の実施形態
本発明に係る回転電機用コイルの第二の実施形態について、図5を参照して説明する。本実施形態では、接続導線30が後述する巻回部33を備える点で、上記第一の実施形態とは異なる。以下では、上記第一の実施形態との相違点を中心に説明し、特に明記しない点については上記第一の実施形態と同様とする。
本発明に係る回転電機用コイルの第二の実施形態について、図5を参照して説明する。本実施形態では、接続導線30が後述する巻回部33を備える点で、上記第一の実施形態とは異なる。以下では、上記第一の実施形態との相違点を中心に説明し、特に明記しない点については上記第一の実施形態と同様とする。
図5に示すように、本実施形態に係る接続導線30は、対象同心巻部43に対して同心状に巻回される巻回部33を備える。ここで、対象同心巻部43は、同相の他の直列コイル部20を構成する同心巻部(第一同心巻部41又は第二同心巻部42)である。「他の直列コイル部20」とは、当該接続導線30が備えられる直列コイル部20とは異なる直列コイル部20である。巻回部33の巻回方向は、対象同心巻部43の巻回方向と同方向に設定される。すなわち、コイル1への通電時に、巻回部33は、対象同心巻部43と同じ向きの磁極を形成する。そして、対象同心巻部43の巻回数は、対象同心巻部43ではない同心巻部に比べて、巻回部33の巻回数だけ少なく設定される。よって、コア11の各スロット12内の巻回数は一定となる。本実施形態では、巻回部33の巻回数は“1”に設定されている。また、本実施形態では、図5に示すように、直列コイル部20が備える複数の接続導線30(本例では3つの接続導線)のそれぞれが、巻回部33を備えている。なお、巻回部33の巻回数を、2以上の値に設定することも可能である。
対象同心巻部43は、接続導線30により接続される2つの同心巻部(第一同心巻部41と第二同心巻部42)の周方向Cの間に配置される複数の同心巻部の中から、予め定められた選択条件に基づき設定される。図5に示すように、接続導線30は、第一延在部31と第二延在部32とを有する。第一延在部31は、巻回部33の一端(電気的接続関係において接続対象の第一同心巻部41側の端部)から、接続対象の第一同心巻部41まで延びる部分であり、第二延在部32は、巻回部33の他端(電気的接続関係において接続対象の第二同心巻部42側の端部)から、接続対象の第二同心巻部42まで延びる部分である。そして、本実施形態では、対象同心巻部43の選択条件が、第一延在部31及び第二延在部32のそれぞれの周方向Cの配置領域が、互いに重複しないという条件に設定されている。すなわち、本実施形態では、巻回部33の巻回方向が、当該巻回部33の両端から延びる接続導線30の2本の延在部(第一延在部31及び第二延在部32)の周方向Cの配置領域が互いに重複しない巻回方向となるように、第一同心巻部41及び第二同心巻部42のいずれかから対象同心巻部43が設定される。
具体的に説明すると、図5に示す第一直列コイル部21のように、周方向Cに沿って第一コイル部51から第二コイル部52へ向かう方向が周第一方向C1となる直列コイル部20については、第一同心巻部41が上記の選択条件を満たす。一方、第二直列コイル部22(図4参照)のように、周方向Cに沿って第一コイル部51から第二コイル部52へ向かう方向が周第二方向C2となる直列コイル部20については、第二同心巻部42が上記の選択条件を満たす。
そして、本実施形態では、接続導線30により接続される2つの同心巻部の周方向Cの間に上記の選択条件を満たす同心巻部が複数存在する場合には、言い換えれば、対象同心巻部43の候補となる同心巻部が複数存在する場合には、接続導線30による接続対象の2つの同心巻部(第一同心巻部41と第二同心巻部42)の周方向Cの間における第一延在部31及び第二延在部32のそれぞれの周方向Cの延在長さの差が、最も小さくなる同心巻部を、対象同心巻部43として設定する。すなわち、本実施形態では、1つの接続導線30は1つの巻回部33を備える。なお、本実施形態では、接続導線30による接続対象の2つの同心巻部の周方向Cの間における第一延在部31や第二延在部32の周方向Cの延在長さは、当該2つの同心巻部の周方向Cの間であって、当該2つの同心巻部のそれぞれの周方向Cの配置領域を除く周方向Cの領域における延在長さとする。以下では、第一延在部31や第二延在部32の周方向Cの延在長さは、この領域における延在長さを意味する。
図5に示す例について具体的に説明すると、接続導線30により接続される第二コイル部52と第三コイル部53との周方向Cの間には、上記の選択条件を満たす同心巻部である第一同心巻部41が2つ配置されている。この場合、図5に示すように、当該2つの第一同心巻部41のうちの周第一方向C1側の第一同心巻部41を対象同心巻部43として設定することの他に、図6に示すように、当該2つの第一同心巻部41のうちの周第二方向C2側の第一同心巻部41を対象同心巻部43として設定することが可能である。後者のように設定した場合には、第一延在部31及び第二延在部32のそれぞれの周方向Cの延在長さの差が磁極ピッチPの3倍に応じた値となるのに対し、前者のように設定した場合には、第一延在部31及び第二延在部32のそれぞれの周方向Cの延在長さの差が磁極ピッチPの1倍に応じた値となる。よって、この例では、当該2つの第一同心巻部41のうちの、第一延在部31及び第二延在部32のそれぞれの周方向Cの延在長さの差が小さくなる方の第一同心巻部41である、周第一方向C1側の第一同心巻部41が、対象同心巻部43に設定される。
以上のように、接続導線30が巻回部33を備える構成とすることで、ステータ10の製造時に、対象同心巻部43を保持する治具を利用して巻回部33を保持することができる。すなわち、接続導線30の一部(巻回部33の形成部分)をステータ10の製造時に保持することができるため、ステータ10の製造品質の向上を図ることができる。また、対象同心巻部43が上記の選択条件に基づき設定されると共に、対象同心巻部43の巻回数が、対象同心巻部43ではない同心巻部に比べて巻回部33の巻回数だけ少なく設定されるため、接続導線30が巻回部33を備えない場合に比べて、対象同心巻部43が巻回されるスロット12間をコア11に対して軸方向の外側において接続する線状導体の体積を増加させることなく、接続導線30におけるコア11に対して軸方向の外側に配置される部分の体積を減少させることができる。よって、接続導線30が巻回部33を備える構成とすることで、コイルエンド部の小型化も図ることができる。
更に、対象同心巻部43の候補となる同心巻部が複数存在する場合には、第一延在部31及び第二延在部32のそれぞれの周方向Cの延在長さの差が最も小さくなる同心巻部が、対象同心巻部43として設定される。よって、直列コイル部20が備える複数の接続導線30の中での延在長さの最大値を小さく抑えることができることに加えて、直列コイル部20が備える複数の第一延在部31及び複数の第二延在部32の中での延在長さの最大値を小さく抑えることもできるため、ステータ10の製造品質の向上をより一層図ることができる。なお、上記のように、第一延在部31や第二延在部32の周方向Cの延在長さを、接続導線30による接続対象の2つの同心巻部の周方向Cの間であって、当該2つの同心巻部のそれぞれの周方向Cの配置領域を除く周方向Cの領域における延在長さとしているのは、接続導線30における当該2つの同心巻部の周方向Cの配置領域に配置される部分は、当該2つの同心巻部が存在する分だけ、ステータ10の製造時に他相の相コイル2と接触し難いからである。
3.その他の実施形態
最後に、本発明に係る回転電機用コイルの、その他の実施形態について説明する。なお、以下のそれぞれの実施形態で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用することも可能である。
最後に、本発明に係る回転電機用コイルの、その他の実施形態について説明する。なお、以下のそれぞれの実施形態で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用することも可能である。
(1)上記第二の実施形態では、接続導線30により接続される2つの同心巻部の周方向Cの間に予め定められた選択条件を満たす同心巻部が複数存在する場合には、接続導線30による接続対象の2つの同心巻部の周方向Cの間における第一延在部31及び第二延在部32のそれぞれの周方向Cの延在長さの差が、最も小さくなる同心巻部を、対象同心巻部43として設定する構成を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されず、例えば図6に示す例のように、予め定められた選択条件を満たす同心巻部のうちの、第一延在部31及び第二延在部32のそれぞれの周方向Cの延在長さの差が最も小さくなる同心巻部とは異なる同心巻部を、対象同心巻部43として設定する構成とすることもできる。また、上記第二の実施形態では、1つの接続導線30が1つの巻回部33を備える場合を例として説明したが、1つの接続導線30が周方向Cの互いに異なる位置に複数の巻回部33を備える構成とすることもできる。例えば、上記の選択条件を満たす全ての同心巻部のそれぞれに対応して複数の対象同心巻部43を設定し、接続導線30が当該複数の対象同心巻部43のそれぞれに巻回される複数の巻回部33を備える構成とすることができる。更に、上記第二の実施形態では、直列コイル部20が備える複数の接続導線30のそれぞれが、巻回部33を備える場合を例として説明したが、直列コイル部20が備える複数の接続導線30のうちの一部の接続導線30のみが、巻回部33を備える構成とすることもできる。
(2)上記の各実施形態では、直列コイル部20の一端部を構成する第一同心巻部41と他端部を構成する第二同心巻部42とが、磁極ピッチPの(M+1)倍だけ周方向Cに離間して配置される構成を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されず、例えば図7に示す例のように、直列コイル部20の接続端子90側の端部を構成する第一コイル部51と、第二コイル部52とが、磁極ピッチPの(M+1)倍だけ周方向Cに離間して配置される構成とすることで、直列コイル部20の一端部を構成する第一同心巻部41と他端部を構成する第二同心巻部42とが、磁極ピッチPの(M−1)倍だけ周方向Cに離間して配置される構成とすることもできる。
(3)上記の各実施形態では、Mが“4”に設定された構成を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されず、Mを6以上の偶数(例えば、“6”)に設定することも可能である。また、Mを3以上の奇数に設定することも可能である。このようにMが奇数である場合には、上記の各実施形態とは異なり、直列コイル部20において互いに直列接続される第一同心巻部41及び第二同心巻部42が、磁極ピッチPのM倍だけ周方向Cに離間して配置される構成とすると好適である。この場合、直列コイル部20の一端部を構成する第一同心巻部41と他端部を構成する第二同心巻部42とは、磁極ピッチPのM倍だけ周方向Cに離間して配置される。図8は、このような構成の例を示す図であり、この例では、Mが“3”に設定されている。なお、この図8に示す例では、Nは上記の各実施形態と同様に“2”に設定されている。
(4)上記の各実施形態では、Nが“2”に設定された構成を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されず、Nを2の正の倍数であって4以上の値(例えば、“4”)に設定することも可能である。
(5)上記の各実施形態では、複数の相のそれぞれに対応する相コイル2がスター結線されてコイル1が構成される場合を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されず、複数の相のそれぞれに対応する相コイル2がデルタ結線されてコイル1が構成されても良い。
(6)その他の構成に関しても、本明細書において開示された実施形態は全ての点で例示であって、本発明の範囲はそれらによって限定されることはないと理解されるべきである。当業者であれば、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、適宜改変が可能であることを容易に理解できるであろう。従って、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で改変された別の実施形態も、当然、本発明の範囲に含まれる。
本発明は、互いに並列接続されるM個(Mは3以上の整数を表す)のコイル部を備え、円筒状のコア基準面の周方向に分散配置された複数のスロットを有するコアに巻装されて(M×N×2)個(Nは2の正の倍数を表す)の磁極を形成する回転電機用コイルに利用することができる。
1:コイル(回転電機用コイル)
11:コア
12:スロット
20:直列コイル部(コイル部)
30:接続導線
31:第一延在部(延在部)
32:第二延在部(延在部)
33:巻回部
41:第一同心巻部(同心巻部)
42:第二同心巻部(同心巻部)
43:対象同心巻部
C:周方向
P:磁極ピッチ
R:径方向
S:コア基準面
11:コア
12:スロット
20:直列コイル部(コイル部)
30:接続導線
31:第一延在部(延在部)
32:第二延在部(延在部)
33:巻回部
41:第一同心巻部(同心巻部)
42:第二同心巻部(同心巻部)
43:対象同心巻部
C:周方向
P:磁極ピッチ
R:径方向
S:コア基準面
Claims (7)
- 互いに並列接続されるM個(Mは3以上の整数を表す)のコイル部を備え、円筒状のコア基準面の周方向に分散配置された複数のスロットを有するコアに巻装されて(M×N×2)個(Nは2の正の倍数を表す)の磁極を形成する回転電機用コイルであって、
巻回方向が互いに逆方向の同心巻部である第一同心巻部と第二同心巻部とを、前記周方向に沿って磁極ピッチ毎に交互に備え、
前記コイル部のそれぞれは、N個の前記第一同心巻部とN個の前記第二同心巻部とを、前記第一同心巻部と前記第二同心巻部とが1つずつ交互となるように直列接続して構成され、
前記第一同心巻部のそれぞれが、当該第一同心巻部と同じ前記コイル部を構成する他の前記第一同心巻部と前記コア基準面の径方向に対向するように配置されると共に、前記第二同心巻部のそれぞれが、当該第二同心巻部と同じ前記コイル部を構成する他の前記第二同心巻部と前記径方向に対向するように配置され、
同じ前記コイル部を構成して互いに直列接続される前記第一同心巻部及び前記第二同心巻部が、前記磁極ピッチの2倍以上前記周方向に互いに離間して配置される回転電機用コイル。 - 前記コイル部は、互いに直列接続される2つの前記同心巻部を接続する接続導線を備え、
前記接続導線は、他の前記コイル部を構成する前記同心巻部である対象同心巻部に対して、同心状に巻回される巻回部を備え、
前記対象同心巻部の巻回数が、前記対象同心巻部ではない前記同心巻部に比べて、前記巻回部の巻回数だけ少なく設定されている請求項1に記載の回転電機用コイル。 - 前記巻回部の巻回方向が、当該巻回部の両端から延びる前記接続導線の2本の延在部の前記周方向の配置領域が互いに重複しない巻回方向となるように、前記第一同心巻部及び前記第二同心巻部のいずれかから前記対象同心巻部が設定されている請求項2に記載の回転電機用コイル。
- 前記対象同心巻部は、前記接続導線により接続される2つの前記同心巻部の前記周方向の間に配置される複数の前記同心巻部の中から、予め定められた選択条件に基づき設定され、
前記接続導線は、前記巻回部の一端から接続対象の前記第一同心巻部まで延びる第一延在部と、前記巻回部の他端から接続対象の前記第二同心巻部まで延びる第二延在部とを有し、
前記選択条件を満たす前記同心巻部が複数存在する場合には、前記接続導線による接続対象の2つの前記同心巻部の前記周方向の間における前記第一延在部及び前記第二延在部のそれぞれの前記周方向の延在長さの差が、最も小さくなる前記同心巻部を、前記対象同心巻部として設定する請求項2又は3に記載の回転電機用コイル。 - Mが偶数であり、前記コイル部において互いに直列接続される前記第一同心巻部及び前記第二同心巻部が、前記磁極ピッチの(M+1)倍又は(M−1)倍だけ前記周方向に離間して配置されている請求項1から4のいずれか一項に記載の回転電機用コイル。
- 前記コイル部の一端部を構成する前記第一同心巻部と他端部を構成する前記第二同心巻部とが、前記磁極ピッチの(M+1)倍だけ前記周方向に離間して配置されている請求項5に記載の回転電機用コイル。
- Mが奇数であり、前記コイル部において互いに直列接続される前記第一同心巻部及び前記第二同心巻部が、前記磁極ピッチのM倍だけ前記周方向に離間して配置されている請求項1から4のいずれか一項に記載の回転電機用コイル。
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2021090277A (ja) * | 2019-12-04 | 2021-06-10 | 三菱電機株式会社 | 回転電機 |
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- 2014-03-19 JP JP2014056580A patent/JP2015180146A/ja active Pending
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JP2021090277A (ja) * | 2019-12-04 | 2021-06-10 | 三菱電機株式会社 | 回転電機 |
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