JP5462311B2 - 回転電機 - Google Patents
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回転電機のコイル端末の結線構造に関する従来の技術としては、例えば、帯状導体を環状にした環状導電部材に一体化された複数の腕部を有し、同心円状にこの環状導電部材を複数配置し、環状導電部材を環状絶縁部材(ホルダ)に挿着した上で、固定子鉄心端部のコイル上で保持し、コイルから延出したコイル端末を前記環状導電部材の腕部に接続する構成が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
コイルから延出されたコイル端末の一部が他のティースの位置へ配置替えされて、3相の各相に対応するコイル端末が隣接するティース部に集約され、集約されたコイル端末は、対応する相の導電部材の腕部の複数箇所に接続されているものである。
また、接続範囲が短くなるため導電部材が小形化でき、材料使用量の低減に伴う材料費の低減を図ることができると共に、材料の歩留まりの向上を図ることができる。また小形化により導電部材の変形が抑制され、環状絶縁部材への組み付け性が向上する。
また、環状絶縁部材の構造が簡素化でき、材料使用量を低減することができる。
更に、導電性部材を1重の環状に構成することにより、導電性部材間の絶縁距離を容易に確保することが可能である。
図1は、この発明の実施の形態1による回転電機の全体構成を示す側面断面図である。図1に基づき、先ず回転電機の全体の構造から説明する。各図において、回転電機の軸方向から見た図を正面図、その側方から見た図を側面図と呼ぶことにする。
なお、図1では、回転電機の一例としてブラシレスモータを示している。
0極ないし14極の永久磁石5(詳細は図示せず)が規則正しく配置され、中心の回転軸部が、2つの軸受6,7で回転自在に支持されている。
一方、固定子鉄心3は、電磁鋼板を多数積層して構成され、周方向に12個のティース(図示せず)を有している。固定子鉄心3のティースにコイル巻枠となる絶縁樹脂製のインシュレータ8を介して、所定の巻き方法によりコイル9が巻回されて固定子部が構成されている。
さらに固定子鉄心3の軸方向の一端側に、コイル9の端部同士を接続する接続部材である、同一形状をした3個の導電部材10(詳細は後述する)が、絶縁性材料からなる環状絶縁部材11に保持されて配置されている。
本願発明の回転電機は、固定子鉄心3のティースに巻回された複数のコイル9の端末12同士を接続する結線構造に特徴を有すものである。
図2は、例えば、10極12スロットの12本のコイル9を使用したタイプの結線図であり、3相デルタ結線の場合を示している。各相はそれぞれU相,V相,W相と呼び、また、各相コイルも同様にU相コイル,V相コイル,W相コイルと呼ぶことにする。
図2に示す結線図のように、2直列・2並列で1相のコイルを構成し、これらがデルタ結線されている。この3相の各相コイルを、それぞれ後述の導電部材により接続してコイル結線処理を行うものである。
図14に示すように、各相がそれぞれ環状導電部材20a,20b,20cを有する、3重の環状になっている。各環状導電部材20a,20b,20cは絶縁ホルダの環状溝に挿入され相間が絶縁されている。各環状導電部材20a,20b,20cに形成されたフック形状をした腕部において、各相のコイルから延出されたコイル端末部と接続されるようになっている。各コイルのコイル端末は、図3のような状態にあり、その位置で、各環状導電部材20a,20b,20cの腕部と接続される。
同様に、V相は、(b)に示すように、第2の環状導電部材20bにより、腕部において、「U1−」,「U2−」,「V1+」,「V2+」の計4箇所のコイル端末と接続され、W相は、(c)に示すように、第3の環状導電部材20cにより、腕部において、「V1−」,「V2−」,「W1+」,「W2+」の計4箇所のコイル端末と接続されている。なお、各環状導電部材20a〜20cは、図面に垂直方向に幅を持つ帯状導電部材を円形に曲げて形成されている。
このように従来技術では、絶縁ホルダ内に3個の環状導電部材20a〜20cが同心円状に挿着されて結線されていた。
図3のように、コイル端末12がコイル9から延出された状態から、その箇所ですぐに導電部材へ接続するのではなく、この状態からコイル端末12の配置替えを行い、その配置位置において導電部材と接続することで、コイル端末の接続箇所を集約化した点に本願発明の特徴を有するものである。以下、この点について説明する。
図2の結線図から分かるように、各相へ接続が必要なコイルは、U相は「U1+」,「W1−」,「U2+」,「W2−」であり、V相は「U1−」,「V1+」,「U2−」,「V2+」であり、またW相は「V1−」,「W1+」,「V2−」,「W2+」である。
(A)コイル端末「U1−」12bはコイル端末「W1+」12cと配置を替える。
(B)コイル端末「W1−」12dはコイル端末「V2+」12eと配置を替える。
(C)コイル端末「V2−」12fはコイル端末「U1+」12aと配置を替える。
組み替え後のコイル端末を、図4に示す3つのグループに分けて、各グループ毎に後述する導電部材で接続するようにしたものである。
なお、コイル保持溝11aは必ずしも設ける必要はなく、図4のように配置替えされた状態の上に、コイル保持溝11aのない環状絶縁部材11を重ねて配置するようにしても良い。
配置替えを行なったコイル端末は支点間距離が長く、且つ、コイル導体間距離が近くなるが、コイル保持溝11aを設けることで、振動等が加わった場合でもコイル導体の動きが規制されるため、被膜の磨耗によってショートが発生するのを抑制することができる。また、溝に規制されて、コイル端末配置替え部9aが固定子鉄心3の内径以下の位置に入ることがない。
導電部材10は、U相接続用の第1の導電部材10aと、V相接続用の第2の導電部材10bと、W相接続用の第3の導電部材10cの3個の導電部材を有している。なお、説明の中で、相の区別無く導電部材を指す時は、符号の添え字を省略する。
導電部材10は、コイル9と同等な材料、例えば銅材からなり、銅の薄板を図のように加工して形成している。すなわち、環状絶縁部材11の導電部材保持溝11bに組み付けられる保持部13と、環状絶縁部材11の導電部材固定穴11cに嵌合する固定部13aと、保持部13から90度曲げて形成され、コイル端末12と接続するためのフック形状をした4個の腕部14と、同様に保持部13に折り曲げて形成され、制御装置へ接続される接続部15とを有している。
本願の導電部材10は、3個の導電部材10a〜10cが制御装置への接続部15を含め同一形状であることに特徴を有している。3個の導電部材10を同一形状にしたことにより、1重の環状に配置でき、小形化できることから絶縁性環状部材への組付け性が向上し、更に導電性材料の使用量低減、材料の歩留まり向上、寸法精度の向上により部品の管理工数が減り、工作性が向上する。
また、比較例で説明した従来技術では、各4箇所のコイル端末を接続するには、図14,15のように径の異なる3個の環状導電部材20a,20b,20cが必要であったが、本願の導電部材10は、同一円周上の周方向に配置できるため、組み付け順序に捉われることなく組付けが可能であり、また3個の導電部材10間の絶縁距離を容易にとることが可能となる。更に、環状絶縁部材11は、各相を隔てる環状の隔壁を必要とせず、構造が簡素化でき、材料使用量を低減することができる。
また、導電部材の小形化が可能であり、材料使用量の低減に伴う材料費の低減を図ることができると共に、小形化により導電部材の変形が抑制され、環状絶縁部材への組み付け性が向上する。
また、環状絶縁部材の構造が簡素化でき、材料使用量を低減することができる。
更に、導電部材間の絶縁距離を容易に確保することができる。
また、コイル保持溝に規制されて、入れ替えたコイル導体が固定子鉄心の内径より内側に入ることが無くなり、回転子組付時の干渉を防ぐことができる。
図9は、実施の形態2による回転電機の、コイル端末の配置替え後の状態を示す正面図である。回転電機の全体構造は、実施の形態1の図1と同等なので、図示及び説明は省略する。また、実施の形態1と同等部分は同一符号とする。なお、以下の説明において,煩雑になるのを避けるために、実施の形態1の部品と同機能を有する部品は、多少形状が異なっていても同符号で表示する。
本実施の形態では、実施の形態1の図4に示すコイル端末12の配置替えに対し、更にコイル端末「U2−」,「V1+」,「V1−」,「W2+」,「W2−」,「U2+」を隣接するティース上に配置替えを行ったものである。配置替え後のコイル端末の相符号は、図9に示すようになり、例えば、U相であれば、「U2+」と「W1−」、及び「W1−」と「U1+」がそれぞれ同じ位置になる。すなわち、それぞれの相毎に、隣接するティース部の2箇所に集約したものである。
環状絶縁部材11の図示は省略しているが、コイル保持溝11aのルートと、導電部材保持溝11bの形状が異なる以外は,基本的に図5と同じである。
また、コイル端末と導電部材の接続箇所が減少するため、工作性の向上を図ることができる。
図11は、実施の形態3による回転電機の、環状絶縁部材に導電部材を組み付けた状態を示す正面図であり、図12は図11の導電部材の正面図、図13は導電部材を組み付けてコイル端末と接続した後の状態を示す図である。回転電機の全体構造は、実施の形態1の図1と同等なので、図示及び説明は省略する。また、実施の形態1と同等部分は同一符号とする。
先ず、図12により本実施の形態の導電部材の形状を説明すると、導電部材10は、環状絶縁部材11に組み付けられる保持部13と、コイル端末12と接続するためのフック形状を有する4箇所の腕部14と、制御装置へ接続される接続部15とを有している。全体が薄板帯状の導電材料を折り曲げて形成されており、保持部13は、回転電機1の径方向に板厚方向を合わせて円弧状に形成されている。各相に対応した第1〜第3の3個の導
電部材10a〜10cは、同形状である。
図13は、3個の導電部材10a〜10cを環状絶縁部材11に組み付けた図11を、インシュレータ8に取り付けてコイル端末12と接続した後の状態を示す。
また特に、小形で定コストを要求される、ステアリングに回転力を伝達する電動パワーステアリング装置用のモータに適用すれば、より効果を発揮することができる。
3 固定子鉄心 4 フレーム
5 永久磁石 6,7 軸受
8 インシュレータ 9 コイル
9a コイル端末配置替え部 10 導電部材
10a 第1の導電部材(U相接続) 10b 第2の導電部材(V相接続)
10c 第3の導電部材(W相接続) 11 環状絶縁部材
11a コイル保持溝 11b 導電部材保持溝
11c 導電部材固定穴 11d 固定部
12,12a〜12f コイル端末 13 保持部
13a 固定部 14 腕部
15 接続部。
Claims (4)
- 複数のティースを有する固定子鉄心と、前記ティースに巻回された複数のコイルと、前記コイルのコイル端末を接続する導電部材と、前記導電部材を保持する環状絶縁部材とを有し、前記導電部材により前記コイルが3相デルタ結線される回転電機において、
前記環状絶縁部材には、平面部の周方向の3箇所に、略均等に隙間を空け且つ径方向に見て1重の環状になるように配置された導電部材保持溝が形成されており、
3相の各相に対応して同一置形状に形成された3個の前記導電部材のそれぞれが、前記導電部材保持溝に装着され、
前記コイルから延出された前記コイル端末の一部が他のティースの位置へ配置替えされて、3相の各相に対応する前記コイル端末が隣接するティース部に集約され、
集約された前記コイル端末は、対応する相の前記導電部材の腕部の複数箇所に接続されていることを特徴とする回転電機。 - 請求項1に記載の回転電機において、
前記環状絶縁部材は、配置替えを行った前記コイル端末のコイル導体を保持するコイル保持溝が設けられていることを特徴とする回転電機。 - 請求項1または請求項2に記載の回転電機において、
前記コイル端末の前記配置替えは、前記各相につき隣接する前記ティース部の2箇所に集約されて行われており、前記導電部材のそれぞれに設けた2個の前記腕部で前記コイル端末と接続されることを特徴とする回転電機。 - 請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の回転電機において、
前記回転電機は、ステアリングに回転力を伝達する電動パワーステアリング装置用モータであることを特徴とする回転電機。
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