JP2015023613A - 燃料電池車両 - Google Patents
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Abstract
Description
ところで、燃料電池が低温環境下で長時間放置されて低温状態で維持されたり(低温ソーク)、低温状態から発電を開始したりすると(低温起動)、燃料電池を構成するセルが劣化しやすくなる。したがって、このような低温ソーク及び低温起動の発生頻度を低減し、燃料電池の耐久性を向上させることが要請されている。
この燃料電池冷却システムが備える制御装置は、燃料電池スタックが過冷却されていると判定した場合、ラジエータから車外ガスクーラに向かって送風するようにラジエータファンを制御する。これによって、車外ガスクーラで放熱した冷たい空気がラジエータに向かわず、比較的暖かい空気がラジエータに送風される。
また、収容室において燃料電池の周囲にはシステム補機が配置される。したがって、システム補機のうち凍結しやすいもの(例えば、弁類、ポンプ類)が、燃料電池等の熱で温められる。これによって、システム補機の温度低下が抑制され、次回のシステム起動時に不具合が生じることを防止できる。
<燃料電池システム>
図1は、本実施形態に係る燃料電池車両が備える燃料電池システムの構成図である。燃料電池システム1は、燃料電池10の発電電力によって走行モータ53を含む負荷に電力供給するシステムであり、燃料電池車両V(図2参照)に搭載されている。
燃料電池システム1は、燃料電池10と、燃料電池10のアノードに対して水素(燃料ガス、反応ガス)を供給するアノード系と、燃料電池10のカソードに対して酸素を含む空気(酸化剤ガス、反応ガス)を供給するカソード系と、燃料電池10を経由するように冷媒を循環させて燃料電池10を適温に保つ冷媒系と、燃料電池10の発電電力を消費する電力消費系と、これらを制御するECU60と、を備えている。
燃料電池10は、固体高分子型燃料電池(Polymer Electrolyte Fuel Cell:PEFC)であり、膜/電極接合体(Membrane Electrode Assembly:MEA)を一対の導電性のセパレータ(図示せず)で挟持してなるセル(図示せず)を複数積層して構成される。
O2+4H++4e-→2H2O・・・(式2)
アノード系は、水素タンク21と、遮断弁22と、エゼクタ23と、気液分離器24と、水素ポンプ25と、ドレン弁26と、パージ弁27と、希釈器28と、を備えている。
遮断弁22は、水素タンク21からの水素供給を制御するための電磁弁であり、配管a2を介してエゼクタ23に接続されている。
気液分離器24は、アノード流路11から流出するアノードオフガスから水分を分離して一時的に貯留する容器であり、配管a4を介してアノード流路11の出口に接続されている。
ドレン弁26は、気液分離器24に貯留された水を希釈器28に向けて排出するための電磁弁である。ドレン弁26は、上流側が配管a8を介して気液分離器24の下部に接続され、下流側が配管a9を介して希釈器28に接続されている。
希釈器28は、アノードオフガスに含まれる水素を希釈するものであり、上流側が配管a9,a11,b5に接続され、下流側が配管b6を介して系外に開放されている。
カソード系は、コンプレッサ31と、入口封止弁32と、出口封止弁33と、EGRポンプ34と、背圧弁35と、を備えている。
コンプレッサ31は、内部の羽根車(図示せず)を回転させることで車外から空気を吸引・圧縮し、配管b1等を介してカソード流路12に供給する空気圧送用の圧縮機である。
出口封止弁33は、電磁作動式の開閉弁であり、上流側が配管b3を介してカソード流路12の出口に接続され、下流側が配管b4を介して背圧弁35に接続されている。
システム停止時に入口封止弁32及び出口封止弁33が閉弁されることで、カソード流路12が系外から締め切られる。
背圧弁35は、その開度を調整することでカソード流路12を通流する空気の圧力(背圧)を制御するものである、配管b5を介して希釈器28に接続されている。
冷媒系は、冷媒ポンプ41と、ラジエータ42と、サーモスタット弁43と、を備えている。
冷媒ポンプ41は、冷媒流路13を介して冷媒を送り出して循環させる循環送出用のポンプであり、吸入側が配管c1を介してサーモスタット弁43に接続され、吐出側が配管c2を介して冷媒流路13の入口に接続されている。
電力消費系は、VCU51と、PDU52と、走行モータ53と、を備えている。
VCU51(Voltage Control Unit)は、燃料電池10の発電電力やバッテリ(図示せず)の充放電を制御するものであり、DC/DCチョッパ(図示せず)、DC/DCコンバータ(図示せず)等の電子回路を有している。
PDU52(Power Drive Unit)は、燃料電池10やバッテリ(図示せず)からの直流電力を三相交流電力に変換して走行モータ53を含む負荷に供給するものであり、インバータ回路(図示せず)等を有している。
走行モータ53は、例えば、永久磁石同期式の三相交流モータであり、3相交流電力で燃料電池車両V(図2参照)の駆動輪(前輪WF:図2参照)を回転駆動させる。
ECU60(Electric Control Unit:制御手段)は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、各種インタフェースなどの電子回路を備えて構成され、その内部に記憶したプログラムに従って各種機能を発揮する。
ECU60は、IG71から入力されるON/OFF信号、各種のセンサ類(図示せず)から入力されるセンサ信号等に応じて、各機器の動作を統括制御する。なお、ECU60が実行する処理の詳細については後記する。
IG71(Ignition Switch)は、燃料電池システム1の起動スイッチであり、運転席周りに設置されている。IG71は、ECU60に対してON信号(システム起動要求)/OFF信号(システム停止要求)を出力する機能を有している。
本実施形態では、一例として、燃料電池車両VにおいてバンパB(図2参照)の上方及び下方に、それぞれグリルシャッタ72を設置する場合について説明する。
図2は、燃料電池車両のモータルームにおける各機器の配置を模式的に示す側断面図であり、グリルシャッタが閉じた状態を示している。なお、図2では、エゼクタ23(図1参照)、気液分離器24、希釈器28、ECU60、配管等の図示を省略した。
図2に示すように、燃料電池車両Vの前部(車室Cの前方)には、走行モータ53、燃料電池10、ラジエータ42等の機器を収容するモータルームMR(収容室)が形成されている。
図2に示す各グリルシャッタ72の両脇(例えば、上下方向の両脇)には、グリルシャッタ72をモータルームMRの内壁面に沿って案内するためのガイド(図示せず)が形成されている。グリルシャッタ72は、シャッタ用モータ(図示せず)が駆動することで、前記したガイドに沿ってスライドするように構成されている。
燃料電池10(網掛:図2、図3参照)は、モータルームMRの上部領域に設置され、支持部材(図示せず)によって支持・固定されている。システム停止後にグリルシャッタ72が閉じられると、モータルームMR内の温かい空気(冷気よりも比重が軽く浮上しやすい。)が上昇し、燃料電池10が設置されている上部領域に留まる。これによって、燃料電池10の温度低下が抑制される。
図3は、燃料電池車両のモータルームにおける各機器の配置を模式的に示す平断面図(底側から視た図)であり、グリルシャッタが閉じた状態を示している。図3に示すように、燃料電池10は、セルの積層方向が車幅方向と略平行になるように横置きで設置されている。
「熱源補機」(網掛:図2、図3参照)は、燃料電池システム1の運転中に自ら発熱し、システム停止後にモータルームMRを保温する際の熱源となるシステム補機である。熱源補機は、ラジエータ42、走行モータ53、PDU52、コンプレッサ31を含み、モータルームMRにおいて燃料電池10の周囲に配置されている。
走行モータ53と電気的に接続されるPDU52は、上下方向において燃料電池10と走行モータ53との間に介在するように設置されている。
コンプレッサ31は、前後方向において燃料電池10とラジエータ42との間に介在する所定位置に設置されている。
「非熱源補機」(太枠線:図2、図3参照)は、システム運転中に自ら発熱しないシステム補機である。ここで、「システム運転中に自ら発熱しない」という事項には、非熱源補機がシステム運転中に全く発熱しない場合の他、その発熱量が前記した熱源補機と比べて十分に小さい場合も含まれる。
非熱源補機は、例えば、水素ポンプ25と、EGRポンプ34と、弁類VLV(ドレン弁26、パージ弁27、入口封止弁32、出口封止弁33、背圧弁35等)と、を含んでいる。なお、図2、図3では、任意の弁類を「VLV」と記載した。
図2、図3に示すように、非熱源補機(太枠線)は、熱源補機(網掛)よりも燃料電池10(網掛)の近くに配置されている。つまり、燃料電池10を中心として、非熱源補機は熱源補機よりも内側に配置されている。
これによって、システム停止後にグリルシャッタ72が閉じられると、熱源補機の熱で昇温した空気と、燃料電池10の周囲に留まっている温かい空気と、によって非熱源補機が温められる。
図2、図3において二重枠線で示すVCU51(断熱性補機)は、モータルームMR内において燃料電池10の上方に配置される。VCU51は、DC/DCチョッパ等の電子回路が形成された回路基板(図示せず)と、この回路基板を収容する筐体(図示せず)と、を有している。この筐体の内壁面と、回路基板と、の間には、金属と比較して熱伝導率が小さい(つまり、断熱性が高い)空気層が存在する。
VCU51は、その車幅方向両端が開口H2と近接するように、燃料電池10よりも上側に配置されている(図3参照)。このように断熱性を有するVCU51を開口H2付近に配置することで、モータルームMRへの冷気の侵入を抑制できる。
次に、燃料電池システム1の運転中の動作について簡単に説明した後、停止時の動作について説明する。
IG−ONの後、ECU60は遮断弁22を開弁するとともに、コンプレッサ31を駆動する。これによって、燃料電池10のアノード流路11に水素が供給され、カソード流路12に空気が供給される。そうすると、前記した電極反応によって燃料電池10が発電するとともに、自己発熱する。
ステップS101においてECU60は、IG71からOFF信号(システム停止要求)が入力されたか否かを判定する。IG71からOFF信号が入力された場合(S101→Yes)、ECU60の処理はステップS102に進む。一方、IG71からOFF信号が入力されていない場合(S101→No)、ECU60はステップS101の処理を繰り返す。
例えば、ECU60は、外気温が所定温度(例えば、0℃)以下であるか否かに基づいて前記判定を行う。その他、ECU60は、日時情報、天気情報、GPS(Global Positioning System)に基づく位置情報等を用いて前記判定を行ってもよい。
一方、低温起動及び低温ソークのいずれも起こらないと推定される場合(S103→No)、ECU60は処理を終了する(END)。この場合、グリルシャッタ72を開いたままでソーク状態にしても、燃料電池10及び各システム補機が凍結するおそれはない。
図2を参照しつつ、システム停止時にグリルシャッタ72が閉じられた後の、モータルームMR内の状態について説明する。なお、図2では、温かい空気の流れを矢印で図示した。
グリルシャッタ72を閉じた直後、それまでの発電によって発生した熱で燃料電池10は比較的高温になっている。この熱によって、燃料電池10の周囲の空気が温められる。
なお、熱源補機はシステム停止直後において比較的高温になっており、燃料電池10及び非熱源補機への放熱によって凍結するおそれはない。
本実施形態に係る燃料電池車両Vによれば、システム停止時において次回の低温起動・低温ソークのうち少なくとも一つが起こる可能性が高いと判定した場合、ECU60はグリルシャッタ72を閉じる。これによって、モータルームMRへの冷気の侵入を妨げ、モータルームMRに収容された機器の温度低下を抑制できる。
また、システム停止後に燃料電池10を保温することで、低温状態で燃料電池システム1が起動する頻度を減らし、燃料電池10の耐久年数を長くすることができる。
また、システム停止後にグリルシャッタ72を閉じてモータルームMR内の機器を保温することで、燃料電池10及び各システム補機の凍結を抑制できる。したがって、燃料電池10及び各システム補機の長寿命化を図ることができる。
第2実施形態は第1実施形態と比較して、モータルームMR内の燃料電池10及び各システム補機の配置が異なるが、その他(燃料電池システム1の構成及び動作)については第1実施形態と同様である。したがって、モータルームMRにおける各機器の配置について説明し、その他の部分については説明を省略する。
なお、図6に示すように、コンプレッサ31及びPDU52(熱源補機)は燃料電池10よりも下方に設置されているが、温かい空気は比重が軽く浮上しやすいため、各熱源補機の熱で燃料電池10の端部を温めることができる。
背圧弁35等の弁類VLVは、上下方向において燃料電池10と走行モータ53との間に介在している。これによって、燃料電池10(特に、積層方向の中央付近)、及び熱源補機の熱によって弁類VLVが温められる。
本実施形態に係る燃料電池車両Vによれば、熱源補機(コンプレッサ31及びPDU52)を、ホイールハウス開口部H4の近傍に配置することで、車外の冷気がモータルームMRに侵入することを抑制できる。したがって、モータルームMRに収容された燃料電池10及び各システム補機を効果的に保温できる。
本実施形態及び比較例に関して、システム停止直後(一点鎖線)では、セルの積層方向でセルの温度差はほとんどない。システム停止後にグリルシャッタ72を閉じない場合の比較例(破線)では、システム停止してから所定時間が経過すると、両端のセルの温度が著しく低下していることが分かる。
以上、本発明に係る燃料電池車両Vについて各実施形態により説明したが、本発明はこれらの記載に限定されるものではなく、種々の変更を行うことができる。
例えば、各実施形態では、開状態においてモータルームMRへの外気の導入を促し、閉状態において前記導入を妨げる「開閉手段」がグリルシャッタ72である場合について説明したが、これに限らない。すなわち、「開閉手段」として、回動軸を支点として回動可能なフラップを用いてもよい。
例えば、ステップS103の判定処理を省略し、システム停止要求が入力された場合(S101→Yes)、ECU60によって発電を停止した後(S102)、グリルシャッタ72を閉じるようにしてもよい(S104)。この場合でも、モータルームMRに収容された燃料電池10及び各システム補機を適切に保温できる。
なお、モータルームMRの上部領域に燃料電池10を縦置きで設置してもよいし、前記した上部領域に燃料電池10を斜め置きで設置してもよい。
また、各実施形態では、開口H2(図6参照)の近くに配置する断熱性補機としてVCU51を用いる場合について説明したが、これに限らない。すなわち、断熱性を有する(例えば、空気層を内部に有する)他のシステム補機を開口H2の近くに配置してもよい。
1 燃料電池システム
10 燃料電池
11 アノード流路(反応ガス流路)
12 カソード流路(反応ガス流路)
25 水素ポンプ(非熱源補機、システム補機)
26 ドレン弁(非熱源補機、システム補機)
27 パージ弁(非熱源補機、システム補機)
31 コンプレッサ(熱源補機、システム補機)
32 入口封止弁(非熱源補機、システム補機)
33 出口封止弁(非熱源補機、システム補機)
34 EGRポンプ(非熱源補機、システム補機)
35 背圧弁(非熱源補機、システム補機)
42 ラジエータ(熱源補機、システム補機)
51 VCU(断熱性補機、システム補機)
52 PDU(熱源補機、システム補機)
53 走行モータ(熱源補機、システム補機)
60 ECU(制御手段)
72 グリルシャッタ(開閉手段)
H2 開口
H3 ホイールハウス
H4 ホイールハウス開口部
MR モータルーム(収容室)
WF 前輪
N ボンネット(上壁)
Claims (6)
- 車両前部の収容室に燃料電池が収容される燃料電池車両であって、
反応ガス流路に反応ガスが供給されることで発電し、前記収容室の上部に配置される前記燃料電池と、
前記収容室において前記燃料電池の周囲に配置されるシステム補機と、
開状態において前記収容室への外気の導入を促し、閉状態において前記導入を妨げる開閉手段と、
システム停止要求が入力された場合、前記開閉手段を閉じる制御手段と、を備えること
を特徴とする燃料電池車両。 - 前記システム補機は、
システム運転中に自ら発熱し、システム停止後に前記収容室を保温する際の熱源となる熱源補機と、
システム運転中に自ら発熱しない非熱源補機と、を含み、
前記非熱源補機のほうが前記熱源補機よりも前記燃料電池の近くに配置されること
を特徴とする請求項1に記載の燃料電池車両。 - 前記熱源補機は、
前記燃料電池を構成するセルの積層方向において前記燃料電池の端部付近に配置されること
を特徴とする請求項2に記載の燃料電池車両。 - 前記熱源補機は、
前記収容室と、前輪のホイールハウスと、を連通させるホイールハウス開口部の近傍に配置されること
を特徴とする請求項2に記載の燃料電池車両。 - 前記システム補機は、
前記収容室の上壁に形成される開口付近に配置され、断熱性を有する断熱性補機を含むこと
を特徴とする請求項1に記載の燃料電池車両。 - 前記制御手段は、
外部からシステム停止要求が入力された場合、次回に低温環境下でシステム起動する低温起動、及びシステム停止中に低温環境下となる低温ソークのうち、少なくとも一つが起こる可能性があるか否かを判定し、前記少なくとも一つが起こる可能性があるとき、前記開閉手段を閉じること
を特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の燃料電池車両。
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