JP2015022292A - トナーバインダー及びトナー組成物 - Google Patents
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Abstract
Description
低温定着性と耐ホットオフセット性のいずれにも優れた、ポリエステル系トナーバインダーを含有するトナー組成物が知られている(特許文献1、2参照)。一方で、印刷画質の向上のため、トナーの帯電性や定着画像の耐湿熱保存性についての要望も高まっている。
すなわち、本発明は、ポリカルボン酸(x)とポリオール(y)を構成単位として有するポリエステル樹脂(A)を含有してなるトナーバインダーであって、(y)が1,2−プロピレングリコール(PG)を含有し、(PG)が(a)脂肪酸又はその金属塩、(b)含硫黄化合物、(c)含窒素化合物及び(d)3価以上の多価アルコールからなる群から選ばれる1種以上の物質を含有し、かつその含有率が(PG)の重量に基づき0.001〜10重量%であるトナーバインダーである。
ポリエステル樹脂(A)は、ポリカルボン酸(x)とポリオール(y)を構成単位として有するポリエステル樹脂である。
これらのうち好ましいのは、アルケンジカルボン酸及び芳香族ジカルボン酸であり、更に好ましいのは芳香族ジカルボン酸である。
(x1)又は(x2)の低級アルキルエステルとしては、メチルエステル、エチルエステル及びイソプロピルエステル等が挙げられる。
(x)中の3〜6価又はそれ以上のポリカルボン酸(x2)の割合は、好ましくは20モル%以下であり、更に好ましくは1〜15モル%、特に好ましくは2〜12モル%である。
炭素数2〜30の飽和脂肪酸としては、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、2−エチルヘキサン酸、カプロン酸 、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、ツベルクロステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸及びリグノセリン酸等が挙げられる。
炭素数3〜30の不飽和脂肪酸としては、アクリル酸、メタクリル酸、パルミトレイン酸、オレイン酸、バクセン酸、リノール酸、α−リノレン酸、γ−リノレン酸、エレオステアリン酸、8,11−エイコサジエン酸、5,8,11−エイコサトリエン酸、アラキドン酸、ステアリドン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸、ジホモ−γ−リノレン酸、ドコサペンタエン酸、エライジン酸、エルカ酸及びネルボン酸等が挙げられる。
脂肪酸の金属塩(a)としては、上記の脂肪酸のアルカリ金属(リチウム、ナトリウム及びカリウム等)塩、及びアルカリ土類金属(マグネシウム、カルシウム及びバリウム等)塩等が挙げられる。
モノカルボン酸(e)としては、脂肪族モノカルボン酸(e−1)及び芳香族モノカルボン酸(e−2)が挙げられる。
鎖式飽和モノカルボン酸としては、炭素数2〜30の直鎖又は分岐の鎖式飽和モノカルボン酸(酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、2−エチルヘキサン酸、カプロン酸 、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、ツベルクロステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸及びリグノセリン酸等)等が挙げられる。
鎖式不飽和モノカルボン酸としては、炭素数3〜30の直鎖又は分岐の鎖式不飽和モノカルボン酸(アクリル酸、メタクリル酸、パルミトレイン酸、オレイン酸、バクセン酸、リノール酸、α−リノレン酸、γ−リノレン酸、エレオステアリン酸、8,11−イコサジエン酸、5,8,11−イコサトリエン酸、アラキドン酸、ステアリドン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸、ジホモ−γ−リノレン酸、ドコサペンタエン酸、エライジン酸、エルカ酸及びネルボン酸等)等が挙げられる。
脂環式モノカルボン酸としては、炭素数4〜14の脂環式モノカルボン酸(シクロプロパンカルボン酸、シクロブタンカルボン酸、シクロペンタンカルボン酸、シクロヘキサンカルボン酸及びシクロヘプタンカルボン酸等)等が挙げられる。
芳香族モノカルボン酸(e−2)としては、炭素数7〜36の芳香族モノカルボン酸が挙げられ、具体的には、安息香酸、ビニル安息香酸、トルイル酸、ジメチル安息香酸、t−ブチル安息香酸、クミン酸、ナフトエ酸、ビフェニルモノカルボン酸及びフロ酸等が挙げられる。
モノカルボン酸(e)のうち、低温定着性及び耐湿熱保存安定性の観点から好ましいのは、芳香族モノカルボン酸(e−2)であり、更に好ましいのは、安息香酸、t−ブチル安息香酸及びナフトエ酸である。
脂肪族モノアルコール(f−1)としては、鎖式飽和モノアルコール及び鎖式不飽和モノアルコール等が挙げられる。
ポリオール成分(y)とポリカルボン酸成分(x)との反応比率は、水酸基とカルボキシル基の当量比[OH]/[COOH]として、好ましくは2/1〜1/2、さらに好ましくは1.5/1〜1/1.3、特に好ましくは1.3/1〜1/1.2である。
このとき必要に応じてエステル化触媒を使用することができる。エステル化触媒の例には、スズ含有触媒(例えばジブチルスズオキシド)、三酸化アンチモン、チタン含有触媒[例えばチタンアルコキシド、シュウ酸チタン酸カリウム、テレフタル酸チタン、特開2006−243715号公報に記載の触媒〔チタニウムジヒドロキシビス(トリエタノールアミネート)、チタニウムモノヒドロキシトリス(トリエタノールアミネート)、及びそれらの分子内重縮合物等〕、及び特開2007−11307号公報に記載の触媒(チタントリブトキシテレフタレート、チタントリイソプロポキシテレフタレート、及びチタンジイソプロポキシジテレフタレート等)]、ジルコニウム含有触媒(例えば酢酸ジルコニル)、及び酢酸亜鉛等が挙げられる。これらの中で好ましくはチタン含有触媒である。
線形ポリエステル樹脂(A2)とは、ジカルボン酸(x1)とジオール(y1)を構成単位とする、三次元の架橋構造を有しない鎖状のポリエステル樹脂のことであり、(x1)、(y1)に加え、3〜6価又はそれ以上のポリカルボン酸(x2)、(x2)の酸無水物及び低級アルキルエステル(x3)、及び/又は3〜6価又はそれ以上のポリオール(y2)を構成単位とする場合であっても、それらの使用モル比や反応条件を選択して、実質的に1官能又は2官能として反応させ、残りの官能基は未反応として残すようにしたものである。線形ポリエステル樹脂(A2)であることは、THF不溶解分等で確認することができる。
(A2)の水酸基価は、耐ホットオフセット性の観点から、好ましくは0〜100(mgKOH/g、以下同じ)、さらに好ましくは0〜80、とくに好ましくは0〜50である。
なお、試料に架橋にともなう溶剤不溶解分がある場合は、以下の方法で溶融混練後のものを試料として用いる。
混練装置 : 東洋精機(株)製 ラボプラストミル MODEL4M150
混練条件 : 130℃、70rpmにて30分
装置(一例) : 東ソー(株)製 HLC−8120
カラム(一例): TSK GEL GMH6 2本 〔東ソー(株)製〕
測定温度 : 40℃
試料溶液 : 0.25重量%のTHF(テトラヒドロフラン)溶液
溶液注入量 : 100μl
検出装置 : 屈折率検出器
基準物質 : 東ソー製 標準ポリスチレン(TSKstandard POLYSTYRENE)12点(分子量 500 1050 2800 5970 9100 18100 37900 96400 190000 355000 1090000 2890000)
得られたクロマトグラム上最大のピーク高さを示す分子量をピークトップ分子量(Mp)とする。また、分子量の測定は、ポリエステル樹脂をTHFに溶解し、不溶解分をグラスフィルターでろ別したものを試料溶液とする。
なお、上記及び以下において、Tgは、セイコー電子工業(株)製DSC20、SSC/580を用いて、ASTM D3418−82に規定の方法(DSC法)で測定される。
この範囲であると、耐ホットオフセット性と低温定着性の両立が良好となる。本発明において、Tmは以下の方法で測定される。
<軟化点〔Tm〕>
高化式フローテスター{たとえば、(株)島津製作所製、CFT−500D}を用いて、1gの測定試料を昇温速度6℃/分で加熱しながら、プランジャーにより1.96MPaの荷重を与え、直径1mm、長さ1mmのノズルから押し出して、「プランジャー降下量(流れ値)」と「温度」とのグラフを描き、プランジャーの降下量の最大値の1/2に対応する温度をグラフから読み取り、この値(測定試料の半分が流出したときの温度)を軟化点〔Tm〕とする。
〔G’(150)〕/〔G’(180)〕≦15 ・・・式(1)
〔G’(150)〕/〔G’(180)〕≦14 ・・・式(1’)
〔G’(150)〕/〔G’(180)〕≦13 ・・・式(1”)
G’(150)、G’(180)が式(1)を満たすと、高温領域でも実用範囲において粘度が低くなりすぎないと考えられ、トナーとして使用したときの耐ホットオフセット性が良好となる。
非線形ポリエステル樹脂(A1)の貯蔵弾性率(G’)を調整するには、例えば、G’(150)/G’(180)を小さくする場合、ポリエステル樹脂(A)のTmを上げる、3価以上の構成成分の比率を上げ架橋点の数を増やす、分子量を大きくする、又はTgを高くする、等で達成できる。
装置 :ARES−24A(レオメトリック社製)
治具 :25mmパラレルプレート
周波数 :1Hz
歪み率 :5%
昇温速度:5℃/min
Eta〔Tg+40〕≦7×105 ・・・式(2)
Eta〔Tg+40〕≦6×105 ・・・式(2’)
Eta〔Tg+40〕≦5×105 ・・・式(2”)
Eta〔Tg+40〕が式(2)を満たすと、低温領域での粘度が小さく、トナーとして使用したときの低温定着性が良好となる。
非線形ポリエステル樹脂(A1)の粘度Etaを調整するには、例えば、Eta〔Tg+40〕を小さくする場合、非線形ポリエステル樹脂(A1)のTmを下げる、又はMpを小さくする、などすればよい。
装置 :ARES−24A(レオメトリック社製)
治具 :8mmパラレルプレート
周波数 :1Hz
歪み率 :5%
昇温速度:3℃/min
試料0.5gに50mlのTHFを加え、3時間撹拌還流させる。冷却後、グラスフィルターにて不溶解分をろ別し、グラスフィルター上の樹脂分を80℃で3時間減圧乾燥する。グラスフィルター上の乾燥した樹脂分の重量と試料の重量比から、不溶解分を算出する。
ポリエステル樹脂(B)としては、非線形ポリエステル樹脂(B1)及び線形ポリエステル樹脂(B2)が挙げられる。
上記及び以下において、この含有率は1H−NMRによって測定されるプロトンのモル比より算出された各成分の重量比を合計した値である。
溶融混合する場合の混合装置としては、反応槽等のバッチ式混合装置、及び連続式混合装置が挙げられる。適正な温度で短時間で均一に混合するためには、連続式混合装置が好ましい。連続混合装置としては、エクストルーダー、コンティニアスニーダー、3本ロール等が挙げられる。
粉体混合する場合の混合装置としては、ヘンシェルミキサー、ナウターミキサー、及びバンバリーミキサー等が挙げられる。好ましくはヘンシェルミキサーである。
着色剤の含有量は、本発明のトナーバインダー100重量部に対して、好ましくは1〜40重量部、さらに好ましくは3〜10重量部である。なお、磁性粉を用いる場合は、好ましくは20〜150重量部、さらに好ましくは40〜120重量部である。
離型剤としては、フローテスターによる軟化点〔Tm〕が50〜170℃のものが好ましく、ポリオレフィンワックス、天然ワックス、炭素数30〜50の脂肪族アルコール、炭素数30〜50の脂肪酸等が挙げられる。
ポリオレフィンワックスとしては、オレフィン(例えばエチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブチレン、1−ヘキセン、1−ドデセン、1−オクタデセン及びこれらの混合物等)の(共)重合体[(共)重合により得られるもの及び熱減成型ポリオレフィンを含む]、オレフィンの(共)重合体の酸素及び/又はオゾンによる酸化物、オレフィンの(共)重合体のマレイン酸変性物[例えばマレイン酸及びその誘導体(無水マレイン酸、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノブチル及びマレイン酸ジメチル等)変性物]、オレフィンと不飽和カルボン酸[(メタ)アクリル酸、イタコン酸及び無水マレイン酸等]及び/又は不飽和カルボン酸アルキルエステル[(メタ)アクリル酸アルキル(アルキルの炭素数1〜18)エステル及びマレイン酸アルキル(アルキルの炭素数1〜18)エステル等]等との共重合体、及びサゾールワックス等が挙げられる。
天然ワックスとしては、例えばカルナウバワックス、モンタンワックス、パラフィンワックス及びライスワックスが挙げられる。
炭素数30〜50の脂肪族アルコールとしては、例えばトリアコンタノールが挙げられる。
炭素数30〜50の脂肪酸としては、例えばトリアコンタンカルボン酸が挙げられる。
また、乳化転相法によりトナーを得る場合、流動化剤を除くトナーを構成する成分を有機溶剤に溶解又は分散後、水を添加する等によりエマルジョン化し、次いで分離、分級して製造することができる。トナーの体積平均粒径は、3〜15μmが好ましい。
冷却管、撹拌機のついた反応槽中に、粗製プロピレングリコール(PG−1)(ガスクロマトグラフィーにて測定したプロピレングリコール純度は88重量%であった)を入れ、大気圧下で蒸留操作を行って、沸点186〜190℃の留分を回収して精製プロピレングリコール(PG−2)を得た。ガスクロマトグラフィーにて測定したプロピレングリコール純度は97重量%であった。
冷却管、撹拌機のついた反応槽中に上記のプロピレングリコール(PG−2)を入れ、大気圧下で蒸留操作を行って、沸点188〜190℃の留分を回収して精製プロピレングリコール(PG−3)を得た。ガスクロマトグラフィーにて測定したプロピレングリコール純度は99重量%であった。
冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応槽中に、テレフタル酸631重量部、アジピン酸21重量部、(PG−3)640重量部、重合触媒としてチタニウムジイソプロポキシビストリエタノールアミネート0.5重量部を入れ、210℃で窒素気流下に生成する水を留去しながら5時間反応させた後、0.5〜2.5kPaの減圧下に1時間反応させた。次いで、安息香酸53重量部を加え、常圧下で3時間反応させた。さらに、無水トリメリット酸94重量部を加え、常圧下で1時間反応させた後、2.5〜5kPaの減圧下で反応させ軟化点1℃で取り出した。回収された1,2−プロピレングリコールは274重量部であった。得られた樹脂を室温まで冷却後、粉砕し粒子化した。これをポリエステル樹脂(A1−1)とする。
(A1−1)のMpは6000、Tgは65℃、Tmは160℃、酸価は16、水酸基価は14であった。
冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応槽中に、テレフタル酸608重量部、アジピン酸20重量部、1,2−プロピレングリコール(PG−3)600重量部、重合触媒としてチタニウムジイソプロポキシビストリエタノールアミネート0.5重量部を入れ、210℃で窒素気流下に生成する水を留去しながら5時間反応させた後、0.5〜2.5kPaの減圧下に1時間反応させた。次いで、安息香酸65重量部を加え、常圧下で3時間反応させた。さらに、無水トリメリット酸132重量部を加え、常圧下で1時間反応させた後、2.5〜5kPaの減圧下で反応させ軟化点160℃で取り出した。回収された1,2−プロピレングリコールは257重量部であった。得られた樹脂を室温まで冷却後、粉砕し粒子化した。これをポリエステル樹脂(A1−2)とする。
(A1−2)のMpは4500、Tgは65℃、Tmは160℃、酸価は30、水酸基価は1であった。
冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応槽中に、テレフタル酸596重量部、フタル酸33重量部、1,2−プロピレングリコール(PG−3)465重量部、エチレングリコール95重量部、重合触媒としてチタニウムジイソプロポキシビストリエタノールアミネート0.5重量部を入れ、210℃で窒素気流下に生成する水を留去しながら5時間反応させた後、0.5〜2.5kPaの減圧下に1時間反応させた。次いで、安息香酸88重量部を加え、常圧下で3時間反応させた。さらに、無水トリメリット酸133重量部を加え、常圧下で1時間反応させた後、2.5〜5kPaの減圧下で反応させ軟化点164℃で取り出した。回収された1,2−プロピレングリコールは207重量部、エチレングリコールは35重量部であった。得られた樹脂を室温まで冷却後、粉砕し粒子化した。これをポリエステル樹脂(A1−3)とする。
(A1−3)のMpは4700、Tgは63℃、Tmは164℃、酸価は28、水酸基価は3、アルコール中の1,2−プロピレングリコールのモル比は80モル%であった。
冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応槽中に、テレフタル酸559重量部、イソフタル酸49重量部、1,2−プロピレングリコール(PG−3)393重量部、エチレングリコール138重量部、重合触媒としてチタニウムジイソプロポキシビストリエタノールアミネート0.5重量部を入れ、210℃で窒素気流下に生成する水を留去しながら5時間反応させた後、0.5〜2.5kPaの減圧下に1時間反応させた。次いで、安息香酸85重量部を加え、常圧下で3時間反応させた。さらに、無水トリメリット酸129重量部を加え、常圧下で1時間反応させた後、2.5〜5kPaの減圧下で反応させ軟化点164℃で取り出した。回収された1,2−プロピレングリコールは141重量部、エチレングリコールは51重量部であった。得られた樹脂を室温まで冷却後、粉砕し粒子化した。これをポリエステル樹脂(A1−4)とする。
(A1−4)のMpは4700、Tgは61℃、Tmは164℃、酸価は26、水酸基価は5、アルコール中の1,2−プロピレングリコールのモル比は70モル%であった。
冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応槽中に、テレフタル酸752重量部、アジピン酸73重量部、無水トリメリット酸17重量部、1,2−プロピレングリコール(PG−3)726重量部、重合触媒としてチタニウムジイソプロポキシビストリエタノールアミネート0.5重量部を入れ、210℃で窒素気流下に生成する水を留去しながら5時間反応させた後、2.5〜5kPaの減圧下で反応させ軟化点141℃で取り出した。回収された1,2−プロピレングリコールは384重量部であった。得られた樹脂を室温まで冷却後、粉砕し粒子化した。これをポリエステル樹脂(A1−5)とする。
(A1−5)のMpは18000、Tgは66℃、Tmは141℃、酸価は1、水酸基価は14であった。
冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応槽中に、テレフタル酸693重量部、アジピン酸68重量部、無水トリメリット酸28重量部、1,2−プロピレングリコール(PG−3)670重量部、重合触媒としてチタニウムジイソプロポキシビストリエタノールアミネート0.5重量部を入れ、210℃で窒素気流下に生成する水を留去しながら5時間反応させた後、2.5〜5kPaの減圧下で反応させ軟化点141℃で取り出した。回収された1,2−プロピレングリコールは384重量部であった。得られた樹脂を室温まで冷却後、粉砕し粒子化した。これをポリエステル樹脂(A1−6)とする。
(A1−6)のMpは14000、Tgは64℃、Tmは143℃、酸価は1、水酸基価は19であった。
冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応槽中に、テレフタル酸680重量部、アジピン酸30重量部、無水トリメリット酸16重量部、1,2−プロピレングリコール(PG−2)660重量部、重合触媒としてチタニウムジイソプロポキシビストリエタノールアミネート0.5重量部を入れ、210℃で窒素気流下に生成する水を留去しながら5時間反応させた後、2.5〜5kPaの減圧下で反応させ軟化点135℃で取り出した。回収された1,2−プロピレングリコールは280重量部であった。得られた樹脂を室温まで冷却後、粉砕し粒子化した。これをポリエステル樹脂(A1−7)とする。
(A1−7)のMpは5000、Tgは64℃、Tmは135℃、酸価は1、水酸基価は18であった。
反応槽中に、テレフタル酸455重量部(88.5モル部)、アジピン酸44重量部(9.8モル部)、1,2−プロピレングリコール(PG−2)383重量部(下記回収分235重量部を差し引くと60.0モル部)、ビスフェノールA・PO2モル付加物452重量部(40.0モル部)、チタニウムジイソプロポキシビストリエタノールアミネート0.5重量部を入れ、210℃で窒素気流下に生成する水とエチレングリコールを留去しながら5時間反応させた後、無水トリメリット酸10重量部(1.7モル部)を加え、常圧下で1時間反応させた後、2.5〜5kPaの減圧下で反応させ軟化点130℃で取り出した。回収された1,2−プロピレングリコールは235重量部であった。得られた樹脂を室温まで冷却後、粉砕し粒子化した。これをポリエステル樹脂(A1−8)とする。
(A1−8)のTgは62℃、Tmは130℃、Mpは13000、酸価は1、水酸基価は14であった。
反応槽中に、テレフタル酸455重量部(88.5モル部)、アジピン酸44重量部(9.8モル%)、1,2−プロピレングリコール(PG−2)333重量部(下記回収分235重量部を差し引くと40.0モル部)、ビスフェノールA・PO2モル付加物678重量部(60.0モル部)、チタニウムジイソプロポキシビストリエタノールアミネート0.5重量部を入れ、210℃で窒素気流下に生成する水とエチレングリコールを留去しながら5時間反応させた後、無水トリメリット酸10重量部(1.7モル部)を加え、常圧下で1時間反応させた後、2.5〜5kPaの減圧下で反応させ軟化点133℃で取り出した。回収された1,2−プロピレングリコールは235重量部であった。得られた樹脂を室温まで冷却後、粉砕し粒子化した。これをポリエステル樹脂(A1−9)とする。
(A1−9)のTgは63℃、Tmは133℃、Mpは13000、酸価は1、水酸基価は14であった。
冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応槽中に、テレフタル酸776重量部、安息香酸50重量部、1,2−プロピレングリコール(PG−3)710重量部、重合触媒としてチタニウムジイソプロポキシビストリエタノールアミネート0.5重量部を入れ、210℃で窒素気流下に生成する水を留去しながら5時間反応させた後、2.5〜5kPaの減圧下で反応させた。さらに、無水トリメリット酸17重量部を加え、常圧下で1時間反応させた。回収された1,2−プロピレングリコールは380重量部であった。得られた樹脂を室温まで冷却後、粉砕し粒子化した。これをポリエステル樹脂(A2−1)とする。
(A2−1)のMpは4800、Tgは61℃、Tmは106℃、酸価は10、水酸基価は18、THF不溶解分は1重量%であった。
冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応槽中に、テレフタル酸703重量部、無水フタル酸8重量部、アジピン酸67重量部、1,2−プロピレングリコール(PG−3)693重量部、エチレングリコール24重量部、重合触媒としてチタニウムジイソプロポキシビストリエタノールアミネート0.5重量部を入れ、210℃で窒素気流下に生成する水を留去しながら5時間反応させた後、2.5〜5kPaの減圧下で反応させた。さらに、無水トリメリット酸17重量部を加え、常圧下で1時間反応させた。回収された1,2−プロピレングリコールは332重量部、エチレングリコールは11重量部であった。得られた樹脂を室温まで冷却後、粉砕し粒子化した。これをポリエステル樹脂(A2−2)とする。
(A2−2)のMpは10000、Tgは62℃、Tmは115℃、酸価は9、水酸基価は20、THF不溶解分は1重量%、アルコール成分中の1,2−プロピレングリコールのモル比は96モル%であった。
反応槽中に、ビスフェノールA・EO2モル付加物41重量部(10.2モル部)、ビスフェノールA・PO3モル付加物457重量部(89.1モル部)、フェノールノボラック(平均官能基数:5.6)のPO6モル付加物9重量部(0.8モル部)、テレフタル酸166重量部(49.8モル部)、フマル酸93重量部(39.8モル部)、及び縮合触媒としてテトラブトキシチタネート3重量部を入れ、230℃窒素気流下に、生成する水を留去しながら5時間反応させた。次いで0.5〜2.5kPaの減圧下に反応させ、酸価が2以下になった時点で180℃に冷却し、無水トリメリット酸41重量部(10.4モル部)を加え、常圧密閉下2時間反応後、さらに230℃、0.5〜2.5kPaの減圧下で反応させ、軟化点135℃で取出した。取出した樹脂を室温まで冷却後、粉砕し粒子化した。これをポリエステル樹脂(B1−1)とする。
(B1−1)のTgは58℃、Tmは135℃、Mpは11300、酸価は20、水酸基価は5であった。
反応槽中に、ビスフェノールA・PO3モル付加物486重量部(80.7モル部)、フェノールノボラック(平均官能基数:5.6)のPO6モル付加物23重量部(19.3モル部)、テレフタル酸166重量部(82.6モル部)、及び縮合触媒としてテトラブトキシチタネート3重量部を入れ、230℃で窒素気流下に、生成する水を留去しながら5時間反応させた。次いで0.5〜2.5kPaの減圧下に反応させ、酸価が2以下になった時点で180℃に冷却し、無水トリメリット酸40重量部(17.4モル部)を加え、常圧密閉下2時間反応後、230℃、0.5〜2.5kPaの減圧下で反応させ、軟化点145℃で取り出した。取り出した樹脂を室温まで冷却後、粉砕し粒子化した。これをポリエステル樹脂(B−2)とする。
(B−2)のTgは57℃、Tmは145℃、Mpは8300、酸価は20、水酸基価は18であった。
反応槽中に、ビスフェノールA・PO3モル付加物418重量部(55モル部)、ビスフェノールA・EO2モル付加物320重量部(45モル部)テレフタル酸274重量部(100モル部)、及び縮合触媒としてテトラブトキシチタネート3重量部を入れ、230℃で窒素気流下に、生成する水を留去しながら5時間反応させた。次いで0.5〜2.5kPaの減圧下に反応させ、酸価が2以下になった時点で180℃に冷却し、無水トリメリット酸42重量部を加え、常圧密閉下2時間反応させ取り出した。取り出した樹脂を室温まで冷却後、粉砕し粒子化した。これをポリエステル樹脂(B2−1)とする。
(B2−1)のTgは64℃、Tmは110℃、Mpは5200、酸価は25、水酸基価は50であった。
冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応槽中に、テレフタル酸631重量部、アジピン酸21重量部、(PG−1)640重量部、重合触媒としてチタニウムジイソプロポキシビストリエタノールアミネート0.5重量部を入れ、210℃で窒素気流下に生成する水を留去しながら5時間反応させた後、0.5〜2.5kPaの減圧下に1時間反応させた。次いで、安息香酸53重量部を加え、常圧下で3時間反応させた。さらに、無水トリメリット酸94重量部を加え、常圧下で1時間反応させた後、2.5〜5kPaの減圧下で反応させ軟化点1℃で取り出した。回収された1,2−プロピレングリコールは250重量部であった。得られた樹脂を室温まで冷却後、粉砕し粒子化した。これをポリエステル樹脂(RA1−1)とする。
(RA1−1)のMpは6100、Tgは65℃、Tmは158℃、酸価は15、水酸基価は13であった。
冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応槽中に、テレフタル酸776重量部、安息香酸50重量部、1,2−プロピレングリコール(PG−1)710重量部、重合触媒としてチタニウムジイソプロポキシビストリエタノールアミネート0.5重量部を入れ、210℃で窒素気流下に生成する水を留去しながら5時間反応させた後、2.5〜5kPaの減圧下で反応させた。さらに、無水トリメリット酸17重量部を加え、常圧下で1時間反応させた。回収された1,2−プロピレングリコールは335重量部であった。得られた樹脂を室温まで冷却後、粉砕し粒子化した。これをポリエステル樹脂(RA2−1)とする。
(RA2−1)のMpは4900、Tgは60℃、Tmは105℃、酸価は9、水酸基価は19、THF不溶解分は1重量%であった。
上記製造例で得られたポリエステル樹脂(A1−1)〜(A1−9)、結晶性樹脂(B1−1)〜(B1−2)、非結晶性線形ポリエステル樹脂(B2−1)、及び比較製造例で得られたポリエステル樹脂(RA−1)〜(RA−2)、(RB−1)を、表4の配合比(重量部)に従い配合し、本発明のトナーバインダー、及び比較のトナーバインダーを得て、下記の方法でトナー化した。
まず、カーボンブラックMA−100[三菱化学(株)製]8重量部、カルナウバワックス5重量部、荷電制御剤T−77[保土谷化学(製)]1重量部を加え、ヘンシェルミキサー[三井三池化工機(株)製 FM10B]を用いて予備混合した後、二軸混練機[(株)池貝製 PCM−30]で混練した。ついで超音速ジェット粉砕機ラボジェット[日本ニューマチック工業(株)製]を用いて微粉砕した後、気流分級機[日本ニューマチック工業(株)製 MDS−I]で分級し、粒径D50が8μmのトナー粒子を得た。ついで、トナー粒子100重量部にコロイダルシリカ(アエロジルR972:日本アエロジル製)0.5部をサンプルミルにて混合して、本発明のトナー組成物(T−1)〜(T−18)、及び比較用のトナー組成物(RT−1)〜(RT−4)を得た。
下記評価方法で評価した評価結果を表3に示す。表4中、空欄はその原料の配合がないことを示す。
〔1〕低温定着性
上記のトナー組成物を用いて、市販複写機(AR5030;シャープ製)を用いて現像した未定着画像を、市販複写機(AR5030;シャープ製)の定着機を用いて評価した。定着画像をパットで擦った後の、マクベス反射濃度計RD−191(マクベス社製)を用いて測定した画像濃度の残存率が70%以上となる下限温度を最低定着温度(MFT)とした。最低定着温度が低いほど、低温定着性に優れることを意味する。
〔2〕耐ホットオフセット性
上記の低温定着性の評価方法と同様にして、定着画像へのホットオフセットの有無を目視評価した。定着ロール通過後ホットオフセットが発生しない上限温度をホットオフセット発生温度(HOT)とした。ホットオフセット発生温度が高いほど、耐ホットオフセット性に優れることを意味する。
[HOT−MFT]を定着温度幅(℃)として記載した。
〔3〕耐ブロッキング性
上記トナー組成物を、50℃・85%R.H.の高温高湿環境下で、48時間調湿した。同環境下において該現像剤のブロッキング状態を目視判定し、さらに市販複写機(AR5030:シャープ製)でコピーした時の画質を観察し、以下の判定基準で耐ブロッキング性を評価した。
[判定基準]
◎:トナーのブロッキングがなく、3000枚複写後の画質も良好。
○:トナーのブロッキングはないが、3000枚複写後の画質に僅かに乱れが観察さ
れる。
×:トナーのブロッキングが目視でき、3000枚までに画像が出なくなる。
〔4〕帯電性
上記トナー組成物1重量部と電子写真用キャリア鉄粉(パウダーテック社製、ASR−
10)24重量部を、23℃、50%R.H.で8時間以上調湿した後、ターブラーシェーカーミキサーにて50rpm×1,3,7,20,60,及び120分間摩擦撹拌し、それぞれの時間毎に帯電量を測定した。測定にはブローオフ帯電量測定装置[東芝ケミカル(株)製]を用いた。帯電量の増加がなくなった摩擦時間の帯電量をもって飽和帯電量とした。
〔5〕定着画像の耐湿熱保存性
上記のトナー組成物を用いて、市販複写機(AR5030;シャープ製)を用いて現像した未定着画像を、市販複写機(AR5030;シャープ製)の定着機を用いて定着した画像を用いて評価した。
上記定着画像の上に白紙を一枚密着させて100gの荷重をかけ、50℃・85%R.H.の高温高湿環境下で、48時間調湿した。同環境下において用紙の接着度合を観察し、以下の判定基準で耐湿熱保存性を評価した。
[判定基準]
◎:2枚の紙の接着が無い
○:2枚の紙が弱く接着しており、はがすと白紙側に微量のトナー移りが確認できる
×:2枚の紙が強く接着しており、はがすと白紙側に明らかに移った画像が確認でき る
Claims (6)
- ポリカルボン酸(x)とポリオール(y)を構成単位として有するポリエステル樹脂(A)を含有してなるトナーバインダーであって、(y)が1,2−プロピレングリコール(PG)を含有し、(PG)が(a)脂肪酸又はその金属塩、(b)含硫黄化合物、(c)含窒素化合物及び(d)3価以上の多価アルコールからなる群から選ばれる1種以上の物質を含有し、かつその含有率が(PG)の重量に基づき0.001〜10重量%であるトナーバインダー。
- ポリオール(y)中の1,2−プロピレングリコール(y1)の含有率が、(y)に基づき40モル%以上である請求項1に記載の電子写真用トナーバインダー。
- ポリカルボン酸(x)とポリオール(y)を構成単位として有するポリエステル樹脂(A)を含有してなるトナーバインダーであって、(y)が1,2−プロピレングリコール(PG)を含有し、(A)が(a)脂肪酸又はその金属塩、(b)含硫黄化合物及び(c)含窒素化合物からなる群から選ばれる1種以上の物質を含有し、かつその含有率が(A)の重量に基づき10〜10,000ppmであるトナーバインダー。
- ポリエステル樹脂(A)が、非線形ポリエステル樹脂(A1)及び/又は線形ポリエステル樹脂(A2)である請求項1〜3のいずれかに記載のトナーバインダー。
- ポリエステル樹脂(A)に加え、(A)以外のポリエステル樹脂(B)を含有する請求項1〜4のいずれかに記載のトナーバインダー。
- 請求項1〜5のいずれかに記載のトナーバインダーと着色剤を含有するトナー組成物。
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