JP2015021200A - 耐油性を有する紙複合体 - Google Patents

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Abstract

【課題】高温の油性食品を包装した場合でも耐油性かつ耐水性に優れる紙複合体を提供する。【解決手段】エチレン単位の含有量2〜10モル%、粘度平均重合度300〜2000、けん化度95〜99.5モル%、カルボキシル基とラクトン環との合計含有量0.02〜3モル%、融点が180℃〜230℃、1,2−グリコール結合の含有量1.2〜2モル%、およびビニルアルコール単位に対するトライアッド表示による水酸基3連鎖の中心水酸基のモル分率75〜98モル%であるビニルアルコール系重合体(A)、および平均アスペクト比20以上である層状無機化合物(B)を含有する耐油層を、透気抵抗度1000秒以下の基紙かつ緊度0.5〜1.0g/cm3の少なくとも一方の表面に乾燥質量換算で0.5〜10.0g/m2設けてなる紙複合体。耐油層は、脂肪酸サイズ剤(C)または架橋剤(D)を含有していてもよい。【選択図】 なし

Description

本発明は、ビニルアルコール系重合体および層状無機化合物からなる耐油層を有し、高温の油性食品を包装した場合でも耐油性、耐水性に優れる紙複合体に関する。
耐油紙は、JIS P0001「紙・板紙及びパルプ用語」において「1)耐油性をもたせた紙の総称。2)グリース又は脂肪の浸透に対して極めて大きな抵抗力をもった紙又は板紙。」と定義されている。
食品などの包装材料において、耐油性を持たせた耐油紙が幅広く用いられている。それらの中でも、チョコレートやピザ、ドーナツなどの油や油脂成分が多く含まれる食品には油が包装材料に浸透しないように耐油紙が使用される。食品に含まれる油や油脂成分が包装材料に浸透すると、食品が接していない表面にまで油が浸透して油しみができて外観を損ねて商品価値を下げたり、印刷部分が油染みにより黒くなることで文字が判読できなくなったり、バーコード等のOCR適性が低下する恐れがある。また、手指あるいは衣服に油が転移して汚れる等の問題があるため、食品に接する部分に耐油性を付与した耐油紙が使用される。
従来、耐油紙に耐油性を発現させるため、耐油剤としてフッ素系化合物、特にパーフルオロフッ素系化合物が使用されてきた。しかし、フッ素系化合物を用いた加工紙は、該フッ素系化合物が有する高い撥油性により印刷インキをもはじいてしまうため、グラビア印刷等をした際にベタ印刷部分における白抜けが発生するなどの問題がある。
また、パーフルオロアルキル基を有するフッ素系化合物は燃焼時に有毒物質であるフッ化水素を発生し、更に近年、電解重合法によるフッ素系化合物製造工程で生成するパーフルオロオクタンスルホン酸類が人間や動物の血液や海水など環境中に広く蓄積していること、及び電解重合法やテロメリゼーション法で製造されたフッ素系化合物は製造法に係わらず100℃以上の加熱で環境蓄積性の高いパーフルオロアルコールを生成すること等が明らかになり、また、その他の低分子フッ素系化合物も一般的に難分解性であることから、特に食品包装用途では、フッ素系化合物を用いずに高い耐油性を実現する事が望まれている。そのため、フッ素系化合物に代わるものとして紙基材表面に非フッ素系の耐油剤を塗工する耐油紙が提案されるようになっている。
非フッ素系の耐油剤として、ビニルアルコール系重合体(以下、「ビニルアルコール系重合体」を「PVA」と略記することがある)を使用できることが知られている。PVAは親水性樹脂であり、強固な皮膜を形成するため、油の浸透性を防ぎ、耐油性に優れる。例えば、特許文献1にはPVAまたはPVAと架橋剤を併用したコーティング剤を塗工した耐油紙が、特許文献2には澱粉および/またはPVAと脂肪酸を含むコーティング剤を塗工した耐油紙が提案されているが、いずれの場合も特に高温の油性食品を包装した場合、すなわち高温条件下での耐油性が十分でないという問題点がある。特に透気抵抗度1000秒以下の密度の低い基紙を用いた場合、この問題が顕著となる。また耐油性を高める為に塗工液中のPVA含有量を増やした場合、PVAは水溶性高分子であるため、吸水性が増加する可能性がある。そのため、天ぷらやフライドチキン等の揚げ物、蒸されて熱くなった中華まん等の蒸し饅頭類等を包装した場合や、これらを保湿機器や電子レンジで加熱した場合に、食品から発散する水蒸気が袋内部に充満して揚げ物等の衣が、水分を含んで過度に柔らかくなり、味が著しく損なわれてしまったり、紙表面にベトツキを生じたりする事が課題である。
液体に対する遮蔽性と耐水性を改善するために、エチレン−酢酸ビニル共重合体けん化物と層状無機化合物を含有する樹脂組成物の層を有する紙複合体が特許文献3で提案されている。しかし、高温条件下での耐油性は十分でない。
特開2004−68180号公報 特開2006−219786号公報 特開2001−214396号公報
本発明は、高温の油性食品を包装した場合でも耐油性に優れ、かつ蒸気を含む食品を包装した場合でも耐水性に優れる紙複合体を提供することを目的とする。
本発明者らは鋭意検討を重ねた結果、特定のビニルアルコール系重合体(A)と特定の層状無機化合物(B)を含有する耐油層を、透気抵抗度1000秒以下かつ緊度0.5〜1.0g/cmの基紙の少なくとも一方の表面に乾燥質量換算で0.5〜10.0g/m設ける事により、高温の油性食品を包装した場合でも耐油性に優れ、また蒸気を含む食品を包装した場合でも耐水性に優れる事を見出した。
すなわち、本発明は、
[1]エチレン単位の含有量2〜10モル%、粘度平均重合度300〜2000、けん化度95〜99.5モル%、カルボキシル基とラクトン環との合計含有量0.02〜3モル%、融点が180℃〜230℃、1,2−グリコール結合の含有量1.2〜2モル%、およびビニルアルコール単位に対するトライアッド表示による水酸基3連鎖の中心水酸基のモル分率75〜98モル%であるビニルアルコール系重合体(A)および平均アスペクト比20以上の層状無機化合物(B)を含有する耐油層を、
透気抵抗度1000秒以下かつ緊度0.5〜1.0g/cm以下の基紙の少なくとも一方の表面に乾燥質量換算で0.5〜10.0g/m設けてなる紙複合体;
[2]前記紙複合体において、上記ビニルアルコール系重合体(A)100質量部に対して、上記層状無機化合物(B)を10〜200質量部含有し、該耐油層を、透気抵抗度1000秒以下かつ緊度0.5〜1.0g/cmの基紙の少なくとも一方の表面に乾燥質量換算で1.0〜10.0g/m設けてなる、上記[1]の紙複合体;
[3]前記層状無機化合物が、カオリンである[1]または[2]の紙複合体;
[4]前記層状無機化合物が、タルクである[1]または[2]の紙複合体;
[5]前記層状無機化合物が、膨潤性粘土鉱物である[1]または[2]の紙複合体;
[6]前記紙複合体において、ビニルアルコール系重合体(A)100質量部に対して、さらに脂肪酸サイズ剤(C)を50質量部以下含有する、上記[1]〜[5]のいずれかの紙複合体;
[7]前記紙複合体において、ビニルアルコール系重合体(A)100質量部に対して、さらに架橋剤(D)を30質量部以下含有する、[1]〜[6]のいずれかの紙複合体;
[8]前記紙複合体において、架橋剤(D)がポリアミドエピクロルヒドリン系である、[7]の紙複合体;
[9]前記紙複合体において、架橋剤(D)がオキシ硝酸ジルコニウムである、[7]の紙複合体;
に関する。
本発明の紙複合体は、高温の油性食品を包装した場合でも実用上問題にならない程度に耐油性が維持でき、さらに耐水性に優れることから、様々な揚げ物食品や油脂含有食品だけでなく、蒸気を含む食品の包装用又は容器用等の、実用的な耐油紙を提供するのに有用である。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明に用いられるビニルアルコール系重合体(A)は、エチレン単位を有していることが必須である。エチレン単位の含有量としては、2〜10モル%であることが必須であり、2.5〜9.5モル%が好ましく、3〜9モル%がさらに好ましく、3.5〜8.5モル%が特に好ましい。エチレン単位の含有量が2モル%未満の場合には、得られる紙複合体の高温条件下での耐油性、耐水性が問題となる場合がある。エチレン単位の含有量が10モル%より大の場合には、ビニルアルコール系重合体が水に不溶となる場合があり、基紙上への均一な塗工が困難となる。
ビニルアルコール系重合体(A)のエチレン単位の含有量は、例えば、該ビニルアルコール系重合体の前駆体または再酢化物であるエチレン単位を含有するポリビニルエステルのプロトンNMRから求められる。すなわち、得られたポリビニルエステルをn−ヘキサン/アセトンで再沈精製を3回以上十分に行った後、80℃での減圧乾燥を3日間して分析用のポリビニルエステルを作成する。該ポリマーをDMSO−Dに溶解し、プロトンNMR(例:500MHz)を用いて80℃で測定する。ビニルエステルの主鎖メチンに由来するピーク(4.7〜5.2ppm)とエチレン、ビニルエステルおよび第3成分の主鎖メチレンに由来するピーク(0.8〜1.6ppm)を用いてエチレン単位の含有量を算出することができる。
ビニルアルコール系重合体(A)の粘度平均重合度(以下、重合度と略記する)は300〜2000であり、320〜1800が好ましく、340〜1600がさらに好ましく、350〜1500が特に好ましい。重合度が300未満の場合には得られる紙複合体の耐油性が十分でない場合がある。重合度が300を下回る場合、ビニルアルコール系重合体の皮膜が形成されにくいため、得られる紙複合体の耐油性が十分でない場合がある。重合度が2000を超えると、水溶液の粘度が高くなり基紙への塗工適性が悪化し、塗工ムラが生じやすくなるため、十分な性能を発現しない場合がある。PVA系重合体の重合度(P)は、JIS−K6726に準じて測定される。すなわち、PVA系重合体を再けん化し、精製した後、30℃の水中で測定した極限粘度[η](dl/g)から次式により求められるものである。
P=([η]×10/8.29)(1/0.62)
ビニルアルコール系重合体(A)のけん化度は95〜99.5モル%であり、96〜99.3モル%が好ましく、97〜99.1モル%がより好ましく、97.5〜99.0モル%が特に好ましい。けん化度が95モル%未満の場合には、得られる紙複合体の耐水性が十分でない場合がある。一方、けん化度が99.5モル%よりも大きいビニルアルコール系重合体は水溶液の保管中に粘度が急激に上昇したり、塗工中に糸状物質が析出する等の問題が発生する事があり、安定に紙複合体を製造する事が困難な場合がある。
ビニルアルコール系重合体(A)のカルボキシル基とラクトン環との合計含有量は、全単量体単位のモル数に対して0.02〜3.0モル%であり、0.025〜2.5モル%が好ましく、0.03〜2.25モル%がより好ましく、0.05〜2.0モル%が特に好ましい。本発明におけるカルボキシル基はそのアルカリ金属塩を包含し、アルカリ金属としてはカリウム、ナトリウムなどが挙げられる。カルボキシル基とラクトン環との合計含有量が0.02モル%未満の場合には、得られる紙複合体の耐油性が十分でない場合があり、また併用する層状無機化合物の分散性が低下する。一方、カルボキシル基とラクトン環との合計含有量が3.0モル%を超える場合には、得られる紙複合体の耐水性が低下する場合がある。
エチレン単位を特定量有しかつカルボキシル基またはラクトン環を有するビニルアルコール系重合体の製法としては、
i)酢酸ビニル等のビニルエステル系単量体とカルボキシル基またはラクトン環を生成する能力を有する単量体とを共重合して得られたビニルエステル系重合体を、アルコールあるいはジメチルスルホキシド溶液中でけん化する方法、
ii)メルカプト酢酸、3−メルカプトプロピオン酸などのカルボキシル基を含有するチオール化合物の存在下で、ビニルエステル系単量体を重合した後それをけん化する方法、
iii)酢酸ビニルなどのビニルエステル系単量体を重合する際に、ビニルエステル系単量体およびビニルエステル系重合体のアルキル基への連鎖移動反応を起こし、高分岐ビニルエステル系重合体を得た後にけん化する方法、
iv)エポキシ基を有する単量体とビニルエステル系単量体との共重合体をカルボキシル基を有するチオール化合物と反応させた後けん化する方法、
v)PVAとカルボキシル基を有するアルデヒド類とのアセタール化反応による方法、
などが挙げられる。
ビニルエステル系単量体としては、ギ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バレリン酸ビニル、カプリン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、安息香酸ビニル、ピバリン酸ビニルおよびバーサティック酸ビニル等が挙げられ、これらの中でもPVAを得る点からは酢酸ビニルが好ましい。カルボキシル基またはラクトン環を生成する能力を有する単量体としては、フマール酸、マレイン酸、イタコン酸、無水マレイン酸または無水イタコン酸等に由来するカルボキシル基を有する単量体、アクリル酸およびその塩、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸i−プロピル等のアクリル酸エステル類、メタクリル酸およびその塩、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸i−プロピル等のメタクリル酸エステル類、アクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N−エチルアクリルアミド等のアクリルアミド誘導体、メタクリルアミド、N−メチルメタクリルアミド、N−エチルメタクリルアミド等のメタクリルアミド誘導体が挙げられる。共重合で導入されるカルボキシル基は、隣接するビニルアルコール単位の水酸基とラクトン環を形成し易く、特に環が5員環となる場合、その可能性が高い。
ビニルアルコール系重合体のカルボキシル基とラクトン環との合計含有量は、例えばプロトンNMRのピークから求めることができる。ビニルアルコール系重合体をけん化度99.95モル%以上に完全にけん化した後、十分にメタノール洗浄を行い、次いで90℃で減圧乾燥を2日間して分析用のビニルアルコール系重合体を作成する。上記i)の場合、作成した分析用のビニルアルコール系重合体をDMSO−Dに溶解し、プロトンNMRを用いて60℃で測定する。アクリル酸、アクリル酸エステル類、アクリルアミドおよびアクリルアミド誘導体の単量体は、主鎖メチンに由来するピーク(2.0ppm)を用いて、メタクリル酸、メタクリル酸エステル類、メタクリルアミドおよびメタクリルアミド誘導体の単量体は、主鎖に直結するメチル基に由来するピーク(0.6〜1.1ppm)を用いて、常法により含有量を算出する。フマール酸、マレイン酸、イタコン酸、無水マレイン酸または無水イタコン酸等に由来するカルボキシル基を有する単量体は、作製した分析用PVAをDMSO−Dに溶解後トリフルオロ酢酸を数滴加え、プロトンNMRを用いて60℃で測定する。定量は4.6〜5.2ppmに帰属される
ラクトン環のメチンピークを用いて常法により含有量を算出する。ii)およびiv)の場合、硫黄原子に結合するメチレンに由来するピーク(2.8ppm)を用いて含有量を算出した。iii)の場合、作成した分析用PVAをメタノール−D/DO=2/8に溶解しプロトンNMRを用いて80℃で測定する。末端のカルボキシル基もしくはそのアルカリ金属塩のメチレン由来ピークは2.2ppm(積分値A)および2.3ppm(積分値B)に帰属し、末端のラクトン環のメチレン由来ピークは2.6ppm(積分値C)、ビニルアルコール単位のメチン由来ピークは3.5〜4.15ppm(積分値D)に帰属し、下記の式でカルボキシル基およびラクトン環の含有量を算出する。ここでΔは変性量(モル%)を表す。
カルボキシル基およびラクトン環の含有量(モル%)
=50×(A+B+C)×(100−Δ)/(100×D)
v)の場合、作製した分析用PVAをDMSO−Dに溶解し、プロトンNMRを用いて60℃で測定する。アセタール部分のメチンに由来するピーク4.8〜5.2ppmを用いて、定法により含有量を算出する。
ビニルアルコール系重合体(A)には、本発明の効果を損なわない範囲であれば、ビニルアルコール単位、エチレン、ビニルエステル単位および前述のカルボキシル基またはラクトン環を生成する能力を有する単量体以外の単量体単位を含有していてもよい。このような単位としては、プロピレン、1−ブテン、イソブテン、1−ヘキセン等のα−オレフィン類、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、i−プロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル等のビニルエーテル類、エチレングリコールビニルエーテル、1,3−プロパンジオールビニルエーテル、1,4−ブタンジオールビニルエーテル等のヒドロキシ基含有のビニルエーテル類、アリルアセテート、プロピルアリルエーテル、ブチルアリルエーテル、ヘキシルアリルエーテル等のアリルエーテル類、オキシアルキレン基を有する単量体、ビニルトリメトキシシラン等のビニルシラン類、酢酸イソプロペニル、3−ブテン−1−オール、4−ペンテン−1−オール、5−ヘキセン−1−オール、7−オクテン−1−オール、9−デセン−1−オール、3−メチル−3−ブテン−1−オール等のヒドロキシ基含有のα−オレフィン類、エチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、メタアリルスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸等に由来するスルホン酸基を有する単量体;ビニロキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド、ビニロキシブチルトリメチルアンモニウムクロライド、ビニロキシエチルジメチルアミン、ビニロキシメチルジエチルアミン、N−アクリルアミドメチルトリメチルアンモニウムクロライド、3−(N−メタクリルアミド)プロピルトリメチルアンモニウムクロライド、N−アクリルアミドエチルトリメチルアンモニウムクロライド、N−アクリルアミドジメチルアミン、アリルトリメチルアンモニウムクロライド、メタアリルトリメチルアンモニウムクロライド、ジメチルアリルアミン、アリルエチルアミン等に由来するカチオン基を有する単量体が挙げられる。これらの単量体の含有量は、使用される目的や用途等によって異なるが通常20モル%以下、好ましくは10モル%以下である。
ビニルアルコール系重合体(A)は、前述のカルボキシル基を有するメルカプタンを除く2−メルカプトエタノール、n−オクチルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタンなどのチオール化合物の存在下で、酢酸ビニルなどのビニルエステル系単量体を、エチレンと共重合し、それをけん化することによって得られる末端変性物でもよい。
ビニルエステル系単量体とエチレンとの共重合の方法としては、塊状重合法、溶液重合法、懸濁重合法、乳化重合法などの公知の方法が挙げられる。その中でも、無溶媒あるいはアルコールなどの溶媒中で重合する塊状重合法や溶液重合法が通常採用される。溶液重合時に溶媒として使用されるアルコールとしては、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコールなどの低級アルコールが挙げられる。共重合に使用される開始剤としては、2,2'-アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチル−バレロニトリル)、過酸化ベンゾイル、n−プロピルパーオキシジカーボネートなどのアゾ系開始剤または過酸化物系開始剤などの公知の開始剤が挙げられる。重合温度については特に制限はないが、0℃〜150℃の範囲が適当である。しかしながら、重合条件を選定するにあたっては、後述する実施例からも明らかなように、本発明の目的とするビニルアルコール系重合体が得られるように種々の条件を適切に設定することが必要である。
ビニルアルコール系重合体(A)の融点は180〜230℃であることが好ましく、さらには、190〜225℃が好ましく、200〜220℃が特に好ましい。融点が180℃未満の場合にはビニルアルコール系重合体の結晶性が低下し、得られる紙複合体の耐油性、耐水性が十分でない場合がある。融点が230℃を超える場合には結晶性が高すぎる為か作製した水溶液も粘度安定性が悪く基紙への塗工が困難である。
ビニルアルコール系重合体の融点は、DSCを用いて、窒素中、昇温速度10℃/分で250℃まで昇温後室温まで冷却し、再度昇温速度10℃/分で250℃まで昇温した場合のビニルアルコール系重合体の融点を示す吸熱ピークのピークトップの温度を意味する。
ビニルアルコール系重合体(A)の1,2−グリコール結合含有量は1.2〜2モル%であることが好ましく、さらには1.25〜1.95モル%が好ましく、1.3〜1.9モル%がより好ましい。該ビニルアルコール系重合体の1,2−グリコール結合含有量が1.2モル%未満の場合には、PVAの結晶性が高すぎる為か、水溶液の粘度安定性が著しく悪化し、塗工適性に問題が生じる場合がある。一方該PVAの1,2−グリコール結合含有量が2モル%を超える場合にはPVAの結晶性が低下するためか得られる紙複合体の耐油性、耐水性が十分でない場合がある。
ビニルアルコール系重合体の1,2−グリコール結合含有量は、たとえば、エチレンカーボネートを代表とする共重合および重合温度によってコントロールすることができる。PVAの1,2−グリコール結合含有量はNMRのピークから求めることができる。けん化度99.9モル%以上にけん化後、十分にメタノール洗浄を行い、次いで90℃で減圧乾燥を2日間したPVAをDMSO−Dに溶解し、トリフルオロ酢酸を数滴加えた試料を、プロトンNMRを用いて80℃で測定する。ビニルアルコール単位のメチン由来ピークは3.2〜4.0ppm(積分値A’)、1,2−グリコール結合の1つのメチン由来のピークは3.25ppm(積分値B’)に帰属され、次式で1,2−グリコール結合含有量を算出できる。ここでΔはエチレン変性量(モル%)を表す。
1,2−グリコール結合含有量(モル%)=B’(100−Δ)/A’
本発明において、ビニルアルコール単位に対するトライアッド表示による水酸基3連鎖の中心水酸基とは、PVAのDMSO−D溶液でのプロトンNMRを用いて65℃で測定する水酸基メチンプロトンのトライアッドのタクティシティを反映するピーク(I)を意味する。また、水酸基3連鎖の中心水酸基とは、ビニルアルコール単位3連鎖の中心ビニルアルコール単位の水酸基を意味する。ピーク(I)はPVAの水酸基のトライアッド表示のアイソタクティシティ連鎖(4.54ppm)、ヘテロタクティシティ連鎖(4.36ppm)およびシンジオタクティシティ連鎖(4.13ppm)の和で表わされ、全てのビニルアルコール単位における水酸基に由来するピーク(II)はケミカルシフト4.05ppmから4.70ppmの領域に現れることから、ビニルアルコール単位に対するトライアッド表示による水酸基3連鎖の中心水酸基のモル分率は、100×(I)/(II)で表されるものである。
ビニルアルコール系重合体(A)のトライアッド表示による水酸基3連鎖の中心水酸基の含有量は65〜98モル%であることが好ましく、さらには70〜97.5モル%が好ましく、72〜97モル%がより好ましく、74〜96モル%がさらに好ましく、75〜95モル%が特に好ましい。
PVAのトライアッド表示による水酸基3連鎖の中心水酸基の含有量が65モル%未満の場合には、該ビニルアルコール系重合体の結晶性が極度に低下し、本発明の意図する高い耐油性や耐水性が得られない。また得られた紙複合体において、ビニルアルコール系重合体の特長である機械的物性などが損なわれる。一方、該PVAのトライアッド表示による水酸基3連鎖の中心水酸基の含有量が98モル%より大の場合には、ポリマーの結晶性が極めて高くPVAの水溶液を調製するのに大変な労力を要したり、得られた水溶液の粘度が非常に高く、基紙への塗工適性に問題が生じる。
ビニルアルコール系重合体(A)の製法としては、エチレンと前述のビニルエステル系単量体とを共重合して得られたビニルエステル系重合体を、アルコールあるいはジメチルスルホキシド溶液中でけん化する方法などの公知の方法が挙げられる。
けん化触媒として使用するアルカリ性物質としては、水酸化カリウムまたは水酸化ナトリウムがあげられる。けん化触媒に使用するアルカリ性物質のモル比は、酢酸ビニル単位に対して0.004〜0.5が好ましく、0.005〜0.1が特に好ましい。けん化触媒は、けん化反応の初期に一括添加しても良いし、けん化反応の途中で追加添加しても良い。けん化反応の溶媒としては、メタノール、酢酸メチル、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミドなどが挙げられる。これらの溶媒の中でも反応性の観点からメタノールが好ましい。けん化反応の温度としては、5〜80℃が好ましく、20〜70℃がより好ましい。けん化時間としては5分間〜10時間が好ましく、10分間〜5時間がより好ましい。けん化方法としてはバッチ法や連続法など公知の方法が適用可能である。
洗浄液としては、メタノール、アセトン、酢酸メチル、酢酸エチル、ヘキサン、水などがあげられ、これらの中でもメタノール、酢酸メチル、水の単独もしくは混合液がより好ましい。洗浄液の量としては通常PVA100質量部に対して、30〜10000質量部が好ましく、50〜3000質量部がより好ましい。洗浄温度としては、5〜80℃が好ましく、20〜70℃がより好ましい。洗浄時間としては20分間〜10時間が好ましく、1時間〜6時間がより好ましい。洗浄方法としてはバッチ法や向流洗浄法など公知の方法が適用可能である。
本発明の紙複合体は、ビニルアルコール系重合体(A)と層状無機化合物(B)の両方を耐油層に含有させることで性能を発現する。
本発明に用いられる層状無機化合物(B)は、原子が共有結合などによって強く結合して密に配列した層が、ファンデルワールス力、静電気力等の弱い力によってほぼ平行に積層した構造を有する化合物をいう。
かかる層状無機化合物(B)としては、特に制限されることなく、タルク、カオリナイト、モンモリロナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ヘクトライト、ソーコナイト、スチブンサイト等のスメクタイト類やバーミキュライト類等の粘土鉱物、Na型フッ素四ケイ素雲母、Na型テニオライト、Li型テニオライト、Na型ヘクトライト等の水膨潤性フッ素雲母系鉱物、合成マイカ等が挙げられる。
本発明においては、上記の層状無機化合物(B)はハンドリングの観点からカオリナイト、タルクが好ましく、特にカオリナイト、タルクが好ましい。また、高い耐油性を付与するために、膨潤性粘度鉱物であるモンモリロナイト、スメクタイト類を用いることも好ましい。
層状無機化合物(B)の平均粒径は特に限定されないが、平均粒径が0.01μm以上10μm以下であることが好ましく、さらに0.1μm以上5μm以下であることが好ましく、0.1μm以上4μm以下であることが一層好ましい。平均粒径が0.01μm未満である場合、塗工液調製時に粘度が急激に高くなりやすく、また塗工適性は低下する。平均粒径が10μmより大きい場合、塗工液調製後に層状無機化合物が沈殿し易く、塗工時にムラが生じ易い。平均粒径は次の方法で測定する。まず、層状無機化合物をイオン交換水で0.05質量%に希釈し、レーザー回折式粒度分布測定装置(島津製作所製:SALD−2200)を用いて希釈液の粒度分布を測定する。粒度分布の平均値を算出し、これを平均粒径として定義する。なお、層状無機化合物の屈折率は1.6とした。
また、かかる層状無機化合物(B)は、平均アスペクト比〔(平均粒径)/(平均厚さ)の値〕が20以上1000以下であるものが好ましく、さらには30以上500以下、特には50以上500以下のものが好ましい。平均アスペクト比は次の方法で測定する。まず、層状無機化合物をイオン交換水で0.05質量%に希釈する。上記希釈液をコロナ処理したPETフィルム上にコートし、厚み5〜30μmの層状無機物のフィルムを作製し、電子顕微鏡を用いて分散粒子の状態を観察し、分散した粒子の層厚、長径を測定した。平均アスペクト比は、層状無機化合物100個の長径と層厚の比の平均値とした。
本発明で使用できる無機層状化合物(B)として、前記以外にも、例えば、前記層状無機化合物をシランカップリング剤で表面処理した加工処理品または合成マイカ、合成スメクタイト等の様に、化学処理により得られる合成品を挙げることができ、本発明においては、これらの1種または2種以上を混合して用いることができる。
層状無機化合物(B)の配合量は、当該ビニルアルコール系重合体(A)100質量部に対して、10〜200質量部、好ましくは20〜150質量部、より好ましくは20〜120質量部、最も好ましくが20〜100質量部である。10質量部未満では十分な耐水性が得られず、200質量部を超える場合には得られる耐油性が十分ではない。
上記ビニルアルコール系重合体(A)および層状無機化合物(B)を混合する方法については、特に限定されないが、実際の使用時に、水性塗工液として基材等の塗工されることから、水中で(A)および(B)を混合し、そのまま水性塗工液とし、塗工後に乾燥処理を行って溶剤を除去する方法が好ましく用いられる。
かかる本発明の樹脂組成物を含有する水性塗工液を製造する方法は、特に限定されるものではないが、例えば、(ア)PVA(A)の水溶液と、層状無機化合物(B)を予め分散した水性分散液とを混合する方法、(イ)PVA(A)の水溶液に層状無機化合物(B)を加え、分散させる方法、(ウ)予め層状無機化合物(B)を分散させた水性分散液に、PVA(A)を加え、加熱溶解させる方法、等を挙げることができる。なお、層状無機化合物(B)を水に分散させる際には、公知の撹拌装置や分散装置を用いることができる。
かかる塗工液の濃度は特に限定されないが、固形分濃度で4〜30質量%、さらには4〜25質量%、特には5〜20質量%であることが好ましく、かかる濃度が低すぎると耐油層の厚みが十分に得られず、耐油性が不十分となる場合があり、濃度が高すぎると塗工液の粘度が高くなりすぎるため塗工適性が低下する、あるいは均一な塗工層が得られないため、好ましくない。
また、本発明の塗工液は、本発明の目的を阻害しない範囲において、例えば基材への親和性や揮発性の調整等の目的により水以外の溶剤を併用することもできる。かかる溶剤としては、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコールなどの1級アルコール類、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン等の多価アルコール類、フェノール、クレゾール等のフェノール類、エチレンジアミン、トリメチレンジアミン等のアミン類、ジメチルスルホキシド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等を挙げることができる。
本発明の紙複合体を得る為に使用する基紙は、JIS P8117に準じた透気抵抗度が1000秒以下、かつJIS P8118に準じた緊度(密度)が0.5〜1.0g/cmである。透気抵抗度が1000秒以下、かつ緊度が0.5〜1.0g/cmの基紙では、既存の非フッ素耐油層を設けても目的の高温の油性食品を包装した場合の耐油性、高温多湿の食品を包装した場合の耐水性を達成する事は困難であるが、少なくとも片面に上記ビニルアルコール系重合体(A)を含有する耐油層を0.5〜10.0g/m設ける事により、目的の達成が可能となる。
本発明の紙複合体のビニルアルコール系重合体(A)を含有する耐油層の塗工量は、基紙の少なくとも一方の表面上に、乾燥質量換算で0.5〜10.0g/mであるが、0.7〜8.0g/mがより好ましく、0.8〜6.0g/mがさらに好ましく、1.0〜5.0g/mが特に好ましい。塗工量が0.5g/m未満の場合には得られる耐油性が十分ではない。塗工量が10.0g/mより多い場合は必要な塗工液濃度が高くなり、塗工適性が悪くなる場合がある。
本発明における基紙としては、上記以外に特に指定はなく、目的に応じ、一般に紙とされている材料のいずれもが好ましく使用可能である。
本発明の紙複合体は、より高い耐油性を発現するために脂肪酸サイズ剤(C)を耐油層に含有させる事が可能である。ビニルアルコール系重合体(A)100質量部に対する、脂肪酸サイズ剤(C)の含有量は50質量部以下であり、30質量部以下が好ましく、20質量部以下がより好ましく、15質量部以下が特に好ましい。脂肪酸サイズ剤の含有量が50質量部を超える場合、PVAの皮膜形成を阻害するためか、耐油性、耐水性が低下することがある。
本発明の紙複合体に含有させる脂肪酸サイズ剤(C)としては、基本的に脂肪酸成分が含まれていればよく、変性されたものや脂肪酸塩であってもよい。例えば、脂肪酸から誘導される脂肪酸アミドや、脂肪酸とアルコールによって生成される脂肪酸エステル等も好適に使用できる。脂肪酸としては、飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸、蒸留脂肪酸、硬化脂肪酸等のいずれであってもよく、これらの脂肪酸は、塗工できるようにエマルジョン化、ソープ化されているものが好ましいが、熱をかけて溶融させてから塗工する等、塗工が可能であればエマルジョン化、ソープ化されている必要はない。また、植物性脂肪酸であっても動物性脂肪酸であっても使用できる。
脂肪酸は、カチオンに変性されて紙用の脂肪酸サイズ剤として従来から広く使用されている。脂肪酸サイズ剤には、脂肪酸、脂肪酸塩もしくは機能性を付与するために変性された脂肪酸に、ポリアミン系薬剤等のカチオン性定着剤を付与したものがあり、エピクロルヒドリン系薬剤でエポキシ化されているものもある。本発明で使用する脂肪酸は、これら脂肪酸を利用したサイズ剤であれば、いかなるものでも好ましく使用できる。
本発明の紙複合体は、より高い耐水性発現の為に塗工層に架橋剤(D)を含む事ができる。ビニルアルコール系重合体(A)100質量部に対する、架橋剤(D)の含有量は30質量部以下であり、25質量部以下が好ましく、20質量部以下がより好ましく、15質量部以下が特に好ましく、1質量部以上が好ましい。架橋剤の量が30質量部を超える場合、PVAの結晶性を阻害する為か、耐水性が逆に悪化する場合がある。
本発明の紙複合体に含有させる架橋剤(D)としてはPVAの耐水性を向上させるものであれば特に限定されないが、グリオキザール、尿素樹脂、メラミン樹脂、多価金属塩、多価イソシアネート、ポリアミドエピクロルヒドリン系の化合物(例:Ashland社製、Polycup 172)が挙げられるが、安全性、経済性、反応性の観点から、オキシ硝酸ジルコニウムおよびポリアミドエピクロルヒドリン系の化合物が特に好ましい。
本発明の紙複合体の耐油層は、必要に応じてグリコール類、グリセリン等の可塑剤;アンモニア、カセイソーダ、炭酸ソーダ、リン酸等のpH調節剤;消泡剤、離型剤、界面活性剤等の各種の添加剤を添加することもできる。さらに、本発明の紙複合体の耐油層は、ビニルアルコール系重合体、変性ビニルアルコール系重合体、ビニルアルコール−ビニルエステル共重合体、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシメチルプロピルセルロース、カゼイン、澱粉(酸化澱粉など)などの水溶性高分子;スチレン−ブタジエン共重合体ラテックス、ポリアクリル酸エステルエマルジョン、ポリメタクリル酸エステルエマルジョン、酢酸ビニル−エチレン共重合体エマルジョン、酢酸ビニル−アクリル酸エステル共重合体エマルジョンなどの合成樹脂エマルジョンを、本発明の効果を阻害しない範囲内で含有することもできる。
耐油層を紙基材上に設ける方法としては、公知の方法、例えば、サイズプレス、ゲートロールコーター、バーコーターなどの装置を用いて紙の片面または両面に溶液、又は分散液を塗工する方法が通常用いられる。また、塗工した紙の乾燥およびビニルアルコール系重合体(A)と必要に応じ含有される架橋剤(D)との架橋反応は、例えば熱風、赤外線、加熱シリンダーやこれらを組み合わせた方法により行うことができ、乾燥した塗工紙は、調湿及びキャレンダー処理することにより、バリヤー性を更に向上させることが出来る。キャレンダー処理条件としては、ロール温度が常温〜100℃、ロール線圧20〜300kg/cmが好ましい。
本発明の紙複合体の紙基材としては透気抵抗度が1000秒以下であり、かつ緊度0.5〜1.0g/cmであれば特に限定されず、少なくとも一方の表面に耐油層を設けることができるものであればよく、用途に応じて適宜選択することができる。例えば、クラフト紙、上質紙、板紙、コート紙、カード紙、ライナー、グラシン紙、パーチメント紙等が好ましく用いられる。なお、紙基材の繊維原料はセルロースやセルロース誘導体に限定されない。また、紙基材の代わりにセルロースやセルロース誘導体以外の原料からできた繊維からなる織物や不織布等も基材として使用できる。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はかかる実施例により何ら限定されるものではない。なお、以下の実施例および比較例において、特に断りがない場合、部および%はそれぞれ質量部および質量%を示す。
[紙複合体の評価]
(1)耐油性評価
○キットテスト
一般的な耐油度はTAPPI UM557「Repellency of Paper and Board to Grease,Oil,and Waxes(Kit Test)」によって測定した。
撥油性は、通常キットテスト(TAPPI UM557)で評価される。キットテストは処理された紙に対し、炭化水素中または徐々に低下する表面張力を有する炭化水素混合物(ヒマシ油、トルエンとヘプタンの各種割合の混合物)の浸透に対する耐性を15秒間接触させ、評価する手法である。
キットテストは極めて短時間(15秒)で耐油性の指標を得る事が出来る為、耐油度の簡便な評価として広く利用されているが、このテストで得られる評価は必ずしも現実に即さない場合がある。例えばある種の脂肪に対して、室温より高い温度の脂肪の混合物を使用した場合にはキットテストで良い耐油性を示しても、実際には実用に耐えうる耐油度を示さない場合がある。そこで、より実用に即した、次のような一連の性能テストを利用した。
(2)実用耐油性評価
○脂肪酸混合物に対する耐性テスト
脂肪酸の混合物として、以下の組成を有する(A*)、(B*)、(C*)、(D*)、(E*)の5種を、それぞれの純粋な化合物から用意する。
Figure 2015021200
前記混合物は、室温で種々の融点を有するワックス状の固形物が生じる。各混合物の組成と温度を均一にするため、テスト前に少なくとも30分間、60℃で保存する。
次に、各塗工紙を5cm×5cmの大きさに切り出し、黒色の紙上に各試験片を置き、60℃に熱された乾燥器内に入れた。次いで、試験片上に5滴のテスト混合物の液滴を落とす。乾燥器の扉を閉め、試験片を10分間テスト混合物の液滴と接したまま保存する。10分後、乾燥器の扉を開き、混合液滴を吸い取り紙で除去する。個々のテスト混合物において、浸透が生じないときは陽性、浸透が生じたときは各表面の滴下部分の暗色化により陰性と判断される。混合物に対し、少なくとも2枚の試験片を用い評価する。テスト結果は、試験片を通過する最初のテスト混合物の前のテスト混合物の記号とする。
前記テストは、40〜60℃の温度範囲の熱脂肪酸の浸透可能性がそれらの化学構造に依存することを示している。例えば、直鎖脂肪酸において、撥油物でサイズ処理された紙の上での熱浸透可能性は、主として炭化水素鎖の長さ、すなわち脂肪酸の炭素原子数に依存している。炭素原子数が低い場合、必要な時間が短くなり、一定温度で脂肪酸液滴がサイズ処理された紙に浸透する。
更に、等しい炭素原子数において、直鎖脂肪酸の構造中の不飽和の存在が、不飽和でない同種の脂肪酸に対して、サイズ処理された紙片の浸透可能性を実質的に変動させないことが分る。
混合物(A*)は、脂肪酸を20%含み、ひまし油80%で希釈されている。(A*)は、低浸透力であり、一般にファーストフード用の低い性能値、例えば、ハンバーガー用の使い捨て紙を製造するのに必要な性能値を識別するために使用される。上記のような一般に使用されるサイズ処理された紙は、通常3〜5のキットテスト値を有する。混合物(B*)、(C*)、(D*)および(E*)の組成は、オリーブ油、動物油、バターおよびやし油の脂肪酸の組成をそれぞれ代表している。本テストでは、一般的な油脂に含まれるトリグリセリン類中に存在する脂肪酸を使用するので、より現実的な条件で紙の耐油挙動を評価することが出来る。
○熱コーン油テスト
このテストは、ファーストフード用の包装紙について評価する際に使用される手法である。各塗工紙を5cm×5cmの大きさに切り出し、黒色の紙上に各試験片を置き、次いでコーン油1mlを試験片に滴下する。滴下した時間を試験開始時間とし、20分間110℃に設定した乾燥器中に静置し、一定時間間隔で、油が試験片に吸収されるか否かを観察する。油の吸収は、紙が透明になり、試験片に黒色が示されることで吸収の度合いが示される。20分を経過する前に吸収が見られた場合は陰性と判断し、20分を経過しても吸収が見られなかった場合は陽性と判断する。
(3)実用耐水性評価
塗工紙の塗工面上に、中華まん(ニッポンハム製 「天津閣 豊潤肉まん」)一個を置き、電子レンジを用い、600Wで一分加熱調理した。一分後、電子レンジより塗工紙と肉まんを取り出した。肉まんを塗工紙から剥がし、塗工紙表面を目視観察した。食品の剥離性を以下の基準に従って判定した。なお、下記評価がA又はBの場合、実用性に優れると言える。
A:肉まんの皮が全く付着しない
B:肉まんの薄皮が少量付着する
C:大きく剥がれた肉まんの皮が付着する
D:肉まんの底部分が剥がれ、皮と具が付着する
<実施例1>
[ビニルアルコール系重合体の製造方法]
撹拌機、窒素導入口、エチレン導入口、開始剤添加口およびディレー溶液添加口を備えた250L加圧反応槽に酢酸ビニル107.2kg、メタノール42.8kgおよび無水マレイン酸15.6gを仕込み、60℃に昇温した後30分間窒素バブリングにより系中を窒素置換した。次いで反応槽圧力が5.9Kg/cmとなるようにエチレンを導入仕込みした。開始剤として2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)(AMV)をメタノールに溶解した濃度2.8g/L溶液を調整し、窒素ガスによるバブリングを行って窒素置換した。またディレー溶液として無水マレイン酸をメタノールに溶解した濃度5%溶液を調整し、窒素ガスによるバブリングを行って窒素置換した。上記の重合槽内温を60℃に調整した後、上記の開始剤溶液204mlを注入し重合を開始した。重合中はエチレンを導入して反応槽圧力を5.9Kg/cm2に、重合温度を60℃に維持し、上記の開始剤溶液を用いて640ml/hrでAMVを、また上記ディレー溶液を用いて無水マレイン酸を重合系中の酢酸ビニルと無水マレイン酸の比率が一定となるようにしながら連続添加して重合を実施した。4時間後に重合率が30%となったところで冷却して重合を停止した。この時点でディレーにより添加した無水マレイン酸ディレー溶液の総量は1400mlであった。反応槽を開放して脱エチレンした後、窒素ガスをバブリングして脱エチレンを完全に行った。次いで減圧下に未反応酢酸ビニルモノマーを除去しポリ酢酸ビニルのメタノール溶液とした。得られた該ポリ酢酸ビニル溶液にメタノールを加えて濃度が30%となるように調整したポリ酢酸ビニルのメタノール溶液333g(溶液中のポリ酢酸ビニル100g)に、46.5g(ポリ酢酸ビニル中の酢酸ビニル単位に対してモル比[MR]0.10)のアルカリ溶液(NaOHの10%メタノール溶液)を添加してけん化を行った。アルカリ添加後約1分で系がゲル化したものを粉砕器にて粉砕し、40℃で1時間放置してけん化を進行させた後、酢酸メチル1000gを加えて残存するアルカリを中和した。フェノールフタレイン指示薬を用いて中和の終了を確認後、濾別して得られた白色固体のPVAにメタノール1000gを加えて室温で3時間放置洗浄した。上記洗浄操作を3回繰り返した後、遠心脱液して得られたPVAを乾燥機中70℃で2日間放置して乾燥PVA(PVA−1)を得た。
Figure 2015021200
[ビニルアルコール系重合体の分析]
得られたカルボキシル基またはラクトン環を有するビニルアルコール系重合体のけん化度は98.5モル%であった。また、重合後未反応酢酸ビニルモノマーを除去して得られたポリ酢酸ビニルのメタノール溶液をn−ヘキサンに沈殿、アセトンで溶解する再沈精製を3回行った後、80℃で3日間減圧乾燥を行って精製ポリ酢酸ビニルを得た。該ポリ酢酸ビニルをDMSO−Dに溶解し、500MHzのプロトンNMR(JEOLGX−500)を用いて80℃で測定したところ、エチレン単位の含有量は7モル%であった。上記のポリ酢酸ビニルのメタノール溶液をアルカリモル比0.5でけん化した後、粉砕したものを60℃で5時間放置してけん化を進行させた後、メタノールソックスレーを3日間実施し、次いで80℃で3日間減圧乾燥を行って精製されたカルボキシル基またはラクトン環を有すエチレン変性PVAを得た。該PVAの平均重合度を常法のJIS K6726に準じて測定したところ1000であった。該精製PVAのカルボキシル基またはラクトン環の含有量、1,2−グリコール結合量および水酸基3連鎖の水酸基の含有量を500MHzのプロトンNMR(JEOLGX−500)装置による測定から前述のとおり求めたところ、それぞれ0.246モル%、1.61モル%および87%であった。さらに該精製された変性PVAの5%水溶液を調整し厚み10μmのキャスト製フィルムを作成した。該フィルムを80℃で1日間減圧乾燥を行った後に、DSC(メトラー社、TA3000)を用いて、前述の方法によりPVAの融点を測定したところ210℃であった。
Figure 2015021200
[層状無機化合物分散液の調製]
カオリン−1(株式会社イメリスミネラルズ・ジャパン製「バリサーフHX」:平均粒子径1.5μm、平均アスペクト比100)を40%の濃度になるように水に分散し、家庭用ミキサーに10分かけ、分散液を調製した。
[塗工液の調製]
上記で得られたビニルアルコール系重合体の14%水溶液を調製した。上記ビニルアルコール系重合体水溶液の固形分100部に対して、上記カオリン分散液を固形分20部となるように混合し、溶液濃度15%となるよう水を混合し、塗工液を得た。
[塗工紙の作製]
上記で得られた塗工液を、試験用2−ロールサイズプレス機(熊谷理機工業製)を用いて、基紙A(坪量70g/m2、緊度0.9g/cm、透気抵抗度15秒の基紙)に塗工した。塗工は50℃にて100m/分の条件で行った後、110℃で1分間乾燥させ、塗工紙を得た。塗工液の固形分換算の塗工量は1.8g/m2(両面)であった。得られた塗工紙を20℃、65%RHで72時間調湿した。
[塗工紙の評価]
得られた塗工紙について、上記の方法に従って耐油性評価、耐水・剥離性を測定した。耐油性評価においてはキット値8を得た。脂肪酸に対する耐性テストでは動物油を想定した(C*)の混合液までは浸透が観測されず、コーン油に対する耐性テストでは浸透が観測されなかったため、十分な耐性がある陽性と判断した。また耐水・剥離性テストでは肉まんの皮が塗工面に付着しなかっため、いずれも実用上問題の無いレベルと判定した。
<実施例2>〜<実施例25>
表2に示すようにビニルアルコール系重合体の製造方法を変更してPVA2〜PVA9を得た。PVA2〜PVA9の分析結果を表3に示す。得られたPVAを用いて表4に示す様な組成の塗工層を基紙表面に実施例1と同様の方法で作製し、塗工紙の評価を行った。その結果を表4に示す。また、下記に表中の層状無機化合物の詳細を示す。
・カオリン−2(株式会社イメリスミネラルズ・ジャパン製「バリサーフLX」:平均粒子径1.5μm、アスペクト比60)
・カオリン−3(株式会社イメリスミネラルズ・ジャパン製「Eckalite120」:平均粒子径1.6μm、アスペクト比30)
・タルク(株式会社ヤマグチマイカ製「EX−15」:平均粒子径15μm、アスペクト比20)
・モンモリロナイト(クニミネ工業株式会社製「クニピア−F」:平均粒子径0.1〜0.5μm、アスペクト比200)
Figure 2015021200
表4に示すように、本発明の所定の範囲のビニルアルコール系重合体及び特定の層状無機化合物を有する紙複合体では、耐油性、実用耐油性、耐水・剥離性のいずれの評価においても良好な結果を示した。
<比較例1>〜<比較例20>
表5に示すように、ビニルアルコール系重合体の製造方法を変更してPVA10〜PVA22を得た。PVA10〜PVA22の分析結果を表6に示す。得られたPVAを用いて表7に示す様な組成の塗工層を基紙表面に実施例1と同様の方法で作製し、塗工紙の評価を行った。その結果を表7に示す。また、下記に表中の層状無機化合物の詳細を示す。
・カオリン−4(株式会社イメリスミネラルズ・ジャパン製「Flat DS」:平均粒子径4μm、アスペクト比8)
Figure 2015021200
Figure 2015021200
Figure 2015021200
比較例1〜2は層状無機化合物を含有しない紙複合体の評価結果である。どちらの場合も高温での実用耐油性は低く、また耐水性も低い。
比較例3〜4は特定の層状無機化合物を所定範囲よりも少なく、あるいは多く配合した紙複合体の評価結果である。所定範囲よりも少ない場合、十分な耐油性及び耐水性が得られず、所定範囲よりも多い場合は十分な耐油性が得られない。
比較例5〜8はエチレン含有量が2モル%に満たないビニルアルコール系重合体を有する紙複合体の評価結果である。いずれの場合もキット値は5〜6と中程度の耐油性を示すが、高温での実用耐油性が高いことは認められず、また耐水性も十分でない。
比較例9ではエチレン含有量が10モル%を超えるビニルアルコール系重合体の使用を試みたが、塗工液作成の際に未溶解成分が存在した為、紙複合体を得る事が出来なかった。
比較例10はカルボキシル基とラクトン環との合計含有量が3モル%を超えるビニルアルコール系重合体を有する紙複合体の評価結果である。耐油性は十分であったが、耐水性は十分でない。
比較例11はカルボキシル基とラクトン環との合計含有量が0.02モル%を下回るビニルアルコール系重合体を有する紙複合体の評価結果であるが、塗工液の分散性が不十分であるため層状無機化合物が沈殿し、塗工ムラが生じ易い。そのため、高温でのコーン油に対する耐性が認められない。
比較例12および13はけん化度が95モル%を下回り、融点が180℃を下回るビニルアルコール系重合体を有する紙複合体の評価結果である。いずれの場合も耐水性が不十分である。
比較例14は重合度が300を下回るビニルアルコール系重合体を有する紙複合体の評価結果であるが、高温での脂肪酸混合液への耐性が低く、及びコーン油に対する耐性が認められない。また耐水性も不十分である。
比較例15では1,2−グリコール結合量が1.2モル%を下回るビニルアルコール系重合体の使用を試みたが、塗工中に糸状物質が析出し、紙複合体を安定に得る事が出来なかった。
比較例16は1,2−グリコール結合量が2.0モル%を超えるビニルアルコール系重合体を有する紙複合体の評価結果であるが、高温での脂肪酸混合液に対する耐性が低く、またコーン油に対する耐性が認められず、また耐水性も十分でない。
比較例17ではけん化度が99.5モル%を超え、融点が230℃を上回るビニルアルコール系重合体の使用を試みたが、塗工中に糸状物質が析出し、紙複合体を安定に得る事が出来なかった。
比較例18は本発明の所定の範囲外の層状無機化合物を含有した紙複合体の評価結果であるが、耐油性、耐水性が十分でない。
比較例19は本発明の所定の範囲のビニルアルコール系重合体を0.5g/m未満塗工した紙複合体の評価結果であるが、耐油性が十分でない。
比較例20は本発明の所定の範囲のビニルアルコール系重合体を片面あたり10g/m2以上塗工した紙複合体の評価結果であるが、高温での脂肪酸混合液に対する耐性が低く、またコーン油に対する耐性が認められない。
本発明の紙複合体は、高温の油性食品を包装した場合でも実用上問題にならない程度に耐油性が維持でき、さらに、蒸気を含む食品を包装した場合でも耐水性に優れることから、様々な揚げ物食品や油脂含有食品の包装用又は容器用等の、実用的な耐油紙を提供するのに有用である。

Claims (10)

  1. エチレン単位の含有量2〜10モル%、粘度平均重合度300〜2000、けん化度95〜99.5モル%、カルボキシル基とラクトン環との合計含有量0.02〜3モル%、融点が180℃〜230℃、1,2−グリコール結合の含有量1.2〜2モル%、およびビニルアルコール単位に対するトライアッド表示による水酸基3連鎖の中心水酸基のモル分率75〜98モル%であるビニルアルコール系重合体(A)、および平均アスペクト比20以上である層状無機化合物(B)を含有する耐油層を、
    透気抵抗度1000秒以下かつ緊度0.5〜1.0g/cmの基紙の少なくとも一方の面に乾燥質量換算で0.5〜10.0g/m設けてなる紙複合体。
  2. 上記ビニルアルコール系重合体(A)100質量部に対して、上記層状無機化合物(B)を10〜200質量部含有する耐油層を、透気抵抗度1000秒以下かつ緊度0.5〜1.0g/cmの基紙の少なくとも一方の面に乾燥質量換算で0.5〜10.0g/m設けてなる請求項1記載の紙複合体。
  3. 上記層状無機化合物が、カオリンである請求項1または2記載の紙複合体。
  4. 上記層状無機化合物が、タルクである請求項1または2記載の紙複合体。
  5. 上記層状無機化合物が、膨潤性粘土鉱物である請求項1または2記載の紙複合体。
  6. 上記ビニルアルコール系重合体(A)100質量部に対して、さらに脂肪酸サイズ剤(C)を50部以下含有する請求項1〜5のいずれかに記載の紙複合体。
  7. 上記ビニルアルコール系重合体(A)100質量部に対して、さらに架橋剤(D)を30質量部以下含有する請求項1〜6のいずれかに記載の紙複合体。
  8. 上記架橋剤(D)が、ポリアミドエピクロルヒドリン系である請求項7記載の紙複合体。
  9. 上記架橋剤(D)が、ジルコニウム化合物である請求項7記載の紙複合体。
  10. 上記架橋剤(D)が、オキシ硝酸ジルコニウムである請求項9記載の紙複合体。
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