JP2015020381A - 被加飾部材の加飾方法及び加飾部材 - Google Patents

被加飾部材の加飾方法及び加飾部材 Download PDF

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Abstract


【課題】 湾曲部に装飾層を転写することができる被加飾部材の加飾方法及び加飾部材を提供する。
【解決手段】 基部と、基部よりも突出する複数の被覆表面部2とをもつロアグリルにおいて、周縁に凸状に湾曲する周縁湾曲面21,22をもつ被覆表面部2に、クロム箔53を転写する方法である。クロム箔53と支持フィルムとを有する転写シート5で、複数の被覆表面部2を跨いで被覆表面部2を被覆する。転写シート5における複数の被覆表面部2の間に配置される部分には、スリット50aが形成されている。転写シート5を、ホットスタンプ装置7の弾性面73により、被覆表面部2に押圧して、被覆表面部2にクロム箔53を転写する。
【選択図】 図9

Description

本発明は、ホットスタンプ技術を用いた被加飾部材の加飾方法及び加飾部材に関する。
自動車のロアグリルは、例えば、後述の図1に示すように、長尺形状をなし、横方向に互いに並行に延びる上枠体11及び下枠体12と、上枠体11及び下枠体12の間に格子状に形成された横材13及び縦材14とを有する。横材13の前方先端部17は、面取りされていて円弧状の湾曲面を有している。
かかるロアグリルの前方先端部17に金属調の加飾をする場合には、表面にめっきが施されたメッキモールを別体としてロアグリルに取り付けていた。しかし、重量増加になり、また製造工数もかかり、コスト高の要因となっていた。
そこで、例えば、特許文献1に示されているように、ホットスタンプ技術を用いて、ロアグリルの前方先端部の必要箇所に、金属箔を転写することが提案された。ホットスタンプ技術は、金属箔を蒸着したシートを、加熱されたローラで被加飾部材表面に押し当てることで、金属箔を被加飾部材表面に熱転写する方法である。ホットスタンプ技術は、特許文献2〜4にも開示されている。
特開平6−219225号公報 特開平4−159153号公報 特開2000−348550号公報 特開2012−111045号公報
しかしながら、メッキモールと同様の外観を保つためには、加飾面の頂部から湾曲終点部まで金属箔を転写する必要がある。また、生産性から、金属箔は1枚続きのロール体としてロアグリルの表面に供給され、ロール体を巻き取る必要がある。
ここで、金属箔の転写される被覆表面部が、不連続に配置されている場合がある。この場合、隣合う被覆表面部同士で金属箔を引っ張り合い、被覆表面部周縁の湾曲した周縁湾曲部の湾曲終点部まで金属箔を転写することができず、外観性能を満たすことができない。
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであり、不連続に配置された被覆表面部の周縁の湾曲部に装飾層を転写することができる被加飾部材の加飾方法及び加飾部材を提供することを課題とする。
(1)本発明の被加飾部材の加飾方法は、基部と、基部より突出する複数の被覆表面部とをもつ被加飾部材において、周縁に凸状に湾曲する周縁湾曲面をもつ前記被覆表面部に、装飾層を転写する被加飾部材の加飾方法であって、
装飾層及び支持フィルムを有する転写シートと、加熱された弾性面を有するホットスタンプ装置を用い、前記ホットスタンプ装置の前記弾性面により、複数の前記被覆表面部を跨いで前記被覆表面部を被覆する前記転写シートを、前記被覆表面部に押圧して、前記被覆表面部に前記装飾層を転写する転写工程をもち、
前記転写シートにおける複数の前記被覆表面部の間に配置される部分には、スリットが形成されていることを特徴とする。
本発明の被加飾部材の加飾方法は、被加飾部材の被覆表面部に装飾層を転写させる方法である。被覆表面部は、基部よりも突出している。被覆表面部の周縁は凸状に湾曲して周縁湾曲面を形成している。周縁湾曲面は、被覆表面部の突出方向に位置する湾曲開始部から、被覆表面部の側面に位置する湾曲終点部までの間で連続的に湾曲する面をもつ。
転写シートは、複数の被覆表面部を跨いで被覆表面部を被覆する。この転写シートを、ホットスタンプ装置の弾性面により被覆表面部に押圧すると、転写シートは、被覆表面部の周縁湾曲面に沿って湾曲されて、被覆表面部全体を被覆する。転写シートは、弾性面による押圧と加熱により、各被覆表面部に保持される。
被覆後にホットスタンプ装置を被覆表面部から取り去ったとき、転写シートは、弾性面による押圧力から解放されて元の自然長さに戻ろうとする。転写シートは各被覆表面部の頂面に保持されているため、隣合う被覆表面部の間で引っ張り合いが生じる。転写シートは、周縁湾曲面から離れて、平面状に延びようとして、被覆表面部の間に引っ張り力が生じる。
ここで、本発明においては、転写シートにおける複数の被覆表面部の間に配置される部分に、スリットが形成されている。転写シートの被覆表面部の間はスリットにより分断されている。転写シートを、ホットスタンプ装置の弾性面により被覆表面部に押圧したとき、被覆表面部の間では転写シートに引っ張り合いは生じない。転写シートは、被覆表面部においてスリットに対向する周縁湾曲面に、その湾曲開始部から湾曲終点部まで、周縁湾曲面に沿って追従し湾曲した状態で、周縁湾曲部全体を被覆する。
被覆後にホットスタンプ装置を被覆表面部から取り去ったとき、スリットを挟んで互いに向かい合う被覆表面部の間では、転写シートの引っ張り合いは生じない。転写シートは、被覆表面部の全体を被覆した状態を維持する。
転写シートの支持フィルムから装飾層を剥離すると、被覆表面部を被覆する装飾層を残して支持フィルムが被覆表面部から離れる。装飾層は、周縁湾曲面の湾曲開始部から湾曲終点部までを含む被覆表面部の全体に密着し続ける。ゆえに、本発明によれば、被覆表面部の全体に装飾層を転写することができる。形成された被加飾部材の外観性能が向上する。
(2)複数の前記被覆表面部が互いに平行に延びている場合において、前記転写シートの前記スリットは、前記被覆表面部の長手方向に沿って延びており、前記スリットの長手方向の長さは、前記被覆表面部の長手方向の長さと同じかまたはそれ以上であることが好ましい。
この場合、互いに対向する周縁湾曲面を被覆する転写シートは、周縁湾曲面の長手方向の全体にわたって、引っ張り合いが生じない。ゆえに、周縁湾曲面の長手方向の端部まで全体に装飾層が転写される。形成された被加飾部材の見栄えが更に向上する。
(3)前記スリットは、前記転写シートの一方向に延びる細長形状を呈しており、前記転写シートの送り方向と前記スリットの長手方向とが同じ向きであることが好ましい。
転写シートは、例えば、ローラなどにより、所定方向に移動されて、ホットスタンプ装置の設置されている転写工程領域に送られる。転写シートの送り方向とは、転写シートの移動される方向をいう。転写シートの送り方向とスリットの長手方向とが同じ向きであることにより、送り方向に転写シートの供給、回収をしたときに、転写シートが破れにくく、ロールでの生産性がよくなる。
(4)複数の前記被覆表面部は、それぞれ矩形をなし、各前記被覆表面部の周縁は横方向に延びる第1の前記周縁湾曲面と縦方向に延びる第2の前記周縁湾曲面をもち、複数の前記被覆表面部が互いに平行に配列している場合において、前記転写シートの前記スリットは、第1の前記周縁湾曲面に沿って延びる第1のスリットと、第2の前記周縁湾曲面に沿って延びる第2のスリットとをもつことが好ましい。
複数の被覆表面部を転写シートで被覆したときに、矩形の被覆表面部の横方向に延びる第1の周縁湾曲面は第1のスリットに対向し、縦方向に延びる第2の周縁湾曲面は第2のスリットに対向する。矩形の被覆表面部の周縁湾曲面のほぼ全体が第1,第2のスリットで囲まれる。互いに隣合う被覆表面部の間には、第1又は/及び第2のスリットが介在される。押圧後にホットスタンプ装置を被覆表面部から取り去ったとき、スリットを挟んで互いに向かい合う被覆表面部の間では、転写シートの引っ張り合いは生じない。被覆表面部における縦方向及び横方向に延びる第1,第2の周縁湾曲面の湾曲開始部から湾曲終点部まで、転写シートが追従して被覆した状態を維持する。ゆえに、縦方向及び横方向に延びる周縁湾曲面を含めた被覆表面部の全体に、装飾層を転写することができる。
(5)本発明の加飾部材は、基部、及び前記基部よりも突出し且つ周縁に凸状に湾曲する周縁湾曲面をもつ複数の被覆表面部をもつ被加飾部材と、
前記被覆表面部に転写された装飾層と、を有する加飾部材であって、
前記被覆表面部は、前記周縁湾曲面を含めて前記装飾層により被覆されていることを特徴とする。
上記の被加飾部材の加飾方法によれば、被覆表面部には、周縁湾曲面を含めて、装飾層が転写されている。このため、被加飾部材は優れた外観をもつ。
本発明によれば、転写シートにおける複数の被覆表面部の間に配置される部分には、スリットが形成されている。このため、周縁湾曲面を含めて被覆表面部に装飾層を転写することができる。
本発明の実施例1のロアグリルの斜視図である。 図1のA−A矢視断面図である。 転写シートの断面説明図である。 加飾装置の説明図である。 ホットスタンプ装置により、転写シートをロアグリルに押圧したときの断面図である。 転写シートのスリットと、ロアグリルの被覆表面部との位置関係を示すための、転写シートの平面図である。 引っ張り力を加えた状態の転写シートでロアグリルを被覆した状態を示すためのロアグリルの転写シートの斜視図である。 ホットスタンプ装置で、転写シートを被覆表面部に押圧している状態を示すためのロアグリルの前方先端部の断面図である。 クロム箔の転写の際の、転写シートに形成されたスリットの働きを説明するための、ロアグリルの前方先端部の断面説明図であって、図9(a)は転写シートで被覆表面部を被覆した状態を示す図であり、図9(b)はホットスタンプ装置で転写シートを被覆表面部に押圧した状態を示す図であり、図9(c)はホットスタンプ装置の押圧力を解除した状態を示す図であり、図9(d)は転写シートを被覆表面部から取り外した状態を示す図であり、図9(e)はクロム箔が転写された被覆表面部を示す図である。 スリットが形成されていない場合のクロム箔の転写を説明するための、ロアグリルの前方先端部の断面説明図であって、図10(a)は転写シートで被覆表面部を被覆した状態を示す図であり、図10(b)はホットスタンプ装置で転写シートを被覆表面部に押圧した状態を示す図であり、図10(c)はホットスタンプ装置の押圧力を解除した状態を示す図であり、図10(d)は転写シートを被覆表面部から取り外した状態を示す図であり、図10(e)はクロム箔が転写された被覆表面部を示す図である。 実施例2の、ミシン目状のスリットを有する転写シートの平面説明図である。 実施例3の、被覆表面部が弓形状である場合のスリットの形状を説明するための転写シートの平面説明図である。 実施例4の、被覆表面部の向きが不揃いである場合のスリットの向きを説明するための転写シートの平面説明図である。
本発明の実施形態に係る被加飾部材の加飾方法及び加飾部材について説明する。
本発明の実施形態において加飾される被加飾部材は、基部と、基部よりも突出する複数の被覆表面部とをもつ。被加飾部材の被覆表面部は、装飾層が転写される部分である。基部には装飾層は転写されない。被覆表面部は、基部よりも突出している。被加飾部材は、複数の被覆表面部を突出させている。
被覆表面部は、基部よりも突出している。被覆表面部の周縁には、周縁湾曲面が形成されている。周縁湾曲面は、被覆表面部の突出方向の湾曲開始部から湾曲終点部まで凸状に湾曲する面である。湾曲開始部は、被覆表面部の突出方向に位置する周縁湾曲面の開始点である。被覆表面部の突出方向の先端に頂面を有する場合には、例えば、湾曲開始部は頂面に接している。湾曲終点部は、周縁湾曲面の突出方向と反対側の端部に位置する周縁湾曲面の終点である。被覆表面部と基部との間に側面が形成されている場合には、例えば、湾曲終点部は側面に接している。
被加飾部材では、複数の被覆表面部が、互いに隣合う位置に配設されている。隣合う一方の被覆表面部の周縁湾曲面は、他方の被覆表面部の周縁湾曲面と対向している。被加飾部材は、例えば、ポリプロピレン樹脂(PP)、アクリレート・スチレン・アクリロニトリル三元系共重合体(ASA)などの樹脂材料などからなる。
転写シートは、装飾層と支持フィルムとを有する。転写シートの装飾層を形成した側を、被覆表面部に向けて、転写シートを被覆表面部に被覆する。転写シートには、装飾層と支持フィルムとの間に離型剤からなる離型層が介在しているとよい。被覆表面部に装飾層を転写した後に、装飾層が支持フィルムから離れやすくなるからである。
更に、装飾層の表面には、接着材からなる接着層が形成されているとよい。被覆表面部に装飾層を転写するときに、装飾層が被覆表面部に確実に接着されるからである。装飾層の表面には、接着層がなくてもよい。接着層がない場合でも、ホットスタンプ装置の弾性面による加圧力と加熱によって、装飾層が被覆表面部に固定される。
装飾層は、例えば、金属箔、印刷層などであるとよい。金属箔は、例えば、クロム箔、アルミ箔、インジウム箔などがある。金属箔は、例えば、支持フィルム表面に蒸着法などで形成される。印刷層は、塗料又は顔料を印刷して形成した層であるとよい。
ホットスタンプ装置は、弾性を有する弾性面を有する。弾性面は、ホットスタンプ装置に配設された加熱手段により加熱されて高温に保持される。弾性面は、例えば、押し型又はローラの表面に設けられた弾性材の表面である。
転写シートは、被覆表面部を被覆する。転写シートは、被加飾部材を挟んでその前方部と後方部に備えた第1,第2の支持部に支持されている。第1,第2の支持部は、転写シートに引っ張り力を加えて転写シートを略平面状に延ばした状態で支持する。
転写シートは、複数の被覆表面部を被覆する。複数の被覆表面部に対して1回の転写工程により装飾層を転写する。
転写シートは、ホットスタンプ装置の弾性面により被覆表面部に押圧される。弾性面は、被覆表面部の周縁湾曲面で局所的に弾性変形して、周縁湾曲面の湾曲終点部まで押し込まれる。弾性面を被覆表面部に押し込むことにより、転写シートは、被覆表面部で固定される。このため、被覆表面部の間で自然長さよりも若干引き伸ばされて、周縁湾曲面に沿って湾曲する。転写シートは、周縁湾曲面の湾曲終点部を含む被覆表面部全体に追従して被覆表面部全体を被覆する。
ホットスタンプ装置の弾性面により転写シートを被覆表面部に押圧すると、弾性面が被覆表面部の形状に沿って弾性変形する。被覆表面部の周縁湾曲面には、弾性面が弾性変形することによって、周縁湾曲面に沿って転写シートが押圧される。このときの弾性面の温度と加圧力によって、転写シートの装飾層が被覆表面部に固定される。
転写シートを被覆表面部に接したときのホットスタンプ装置の位置から、転写シートを被覆表面部に押し込んだときのホットスタンプ装置の押し込み量は、転写シートが被覆表面部の周縁湾曲面の湾曲終点部まで被覆するまでの量とするとよい。また、ホットスタンプ装置は、湾曲終点部を超えて更に深く押し込んでもよい。ホットスタンプ装置の押し込み量は、ホットスタンプ装置の形状や弾性面を形成している弾性材の厚みなどによって変わるが、例えば、0.5〜3mmであるとよい。
ホットスタンプ装置の弾性面により転写シートを被覆表面部に押圧するときに、ホットスタンプ装置の弾性面の温度は、例えば、220〜240℃であるとよい。ホットスタンプ装置で転写シートを被覆表面部に押圧する際の加圧力は、1〜4MPa(10〜40kg/cm)であるとよい。
ホットスタンプ装置による押圧力を解除すると、転写シートは、元の自然長さに戻ろうとする。転写シートは各被覆表面部の頂面に固定されているため、隣合う被覆表面部の間で引っ張り合いが生じる。転写シートは、周縁湾曲面から離れて、平面状に延びようとする。このため、周縁湾曲面から転写シートが離れようとする。ホットスタンプ装置を引き上げた直後では、周縁湾曲面に対する転写シートの装飾層の固定力が弱く、装飾層は支持フィルムとともに周縁湾曲面から剥がれてしまう。
ここで、転写シートには、複数の被覆表面部の間に位置する部分にスリットが形成されている。ホットスタンプ装置を引き上げて、ホットスタンプ装置から転写シートへの加圧力を解除したとき、転写シートは熱により変形している。スリットにより、転写シートの被覆表面部の間には引っ張り力は働かない。このため、転写シートは、平面状に広がろうとはせずに、周縁湾曲面に沿って変形した状態で被覆表面部上に保持される。
その後、転写シートの支持フィルムを引っ張って、支持フィルムを装飾層から剥がす。このとき、被覆表面部には、その周縁湾曲面の湾曲開始部から湾曲終点部までを含めて装飾層が固定されて転写されている。支持フィルムが被覆表面部から剥がされると、装飾層における被覆表面部に固定された部分が、装飾層における被覆表面部に固定されていない部分と破断する。この破断線は、ちょうど周縁終点部近傍に位置する。装飾層が被覆表面部に転写されて形成された加飾部材をみたときに、被覆表面部の全体が装飾層で被覆されていて、非常に見栄えがよい。
スリットは、例えば、切れ込み又は孔である。中でも、スリットは、細長い切れ込み又は長孔が良い。スリットは、被覆表面部の周縁湾曲面の延び方向、即ち被覆表面部が周縁で囲まれている周方向に沿って配置されているとよい。
スリットは、例えば、連続した線状の切れ込み、不連続なミシン目から構成されていてもよい。または、転写シートのスリットとなる部分に、他の部分よりも極めて薄い薄膜部を形成して構成してもよい。ホットスタンプ装置の弾性面で転写シートを被覆表面部に押圧したときに、ミシン目は、破断してミシン目が連続した長いスリットが形成される。転写シートに薄膜部を形成した場合には、弾性面の押圧力により薄膜部が破断して連続した線状のスリットが形成される。要は、スリットは、ホットスタンプ装置の弾性面による転写シートの押圧力を解除したときに、転写シートの被覆表面部の間に形成されていればよい。即ち、ホットスタンプ装置により押し込んだときに直線状のスリットが形成されればよい。この場合、押圧力解除後に、転写シートの被覆表面部の間に引っ張り力は生じない。
転写シートに形成されるスリットは、複数の被覆表面部の間に形成されればよく、スリットの向きはどの向きでもよい。
例えば、複数の被覆表面部が、互いに平行に延びている場合には、転写シートのスリットは、被覆表面部の長手方向と平行に延びているとよい。スリットの長さは、被覆表面部の長手方向の長さと同じか又はそれ以上であることが好ましい。
転写シートには、隣合う複数の被覆表面部の周縁湾曲面の間にスリットが配置される。ホットスタンプ装置による押圧力を解除しても、転写シートにおける複数の被覆表面部を覆う部分には、引っ張り合いが生じない。周縁湾曲面を含む被覆表面部全体に、転写シートが被覆した状態で保持される。
複数の被覆表面部がそれぞれ矩形をなし、互いに平行に配列している場合には、被覆表面部の周縁は、横方向に延びる第1の周縁湾曲面と、縦方向に延びる第2の周縁湾曲面とで構成される。この場合、転写シートで被覆表面部を被覆したときに、転写シートのスリットは、第1の被覆表面部に沿って横方向に延びる第1のスリットと、第2の被覆表面部に沿って縦方向に延びる第2のスリットとから構成されているとよい。これにより、転写シートを複数の被覆表面部に被覆したときに、被覆表面部の縦方向及び横方向で対向する他の被覆表面部との間に、第1,第2のスリットが介在する。このため、転写シートからホットスタンプ装置の弾性面による押圧力を解除したときに、転写シートにおける、被覆表面部の縦方向及び横方向で対向する他の被覆表面部との間に引っ張り合いが生じない。ゆえに、被覆表面部の全周囲の周縁湾曲面に装飾層を確実に転写することができる。
複数の被覆表面部が互いに異なる方向に向いている場合には、スリットは、被覆表面部の互いに異なる方向の中間の方向に延びるように配置するとよい。複数の被覆表面部の間が狭くても、転写シートにおける複数の被覆表面部の間に、長いスリットを配置することができるからである。
上記の被加飾部材の加飾方法によれば、周縁湾曲面を含めて被覆表面部全体に装飾層が転写された加飾部材を得ることができる。得られた加飾部材は、周縁湾曲面を含めて被覆表面部全体に装飾層が転写されているため、装飾層に立体感及び奥行きが生まれ、見栄えがよい。
本発明の加飾部材は、例えば、内装部材、外装部材などの車両部品、家電製品に用いられる。車両部品の中でも、例えば、ロアグリル、ラジエータグリルなどといった複雑な形状をもつ部品にも見栄え良く装飾層を形成することができる。
(実施例1)
本発明の加飾部材は、車体の前面側に装着されるロアグリルである。図1に示すように、ロアグリル1は、PP(ポリプロピレン)からなる樹脂成形品であり、長尺形状をなしている。ロアグリル1は、横方向に互いに並行に延びる上枠体11及び下枠体12と、上枠体11及び下枠体12の間に形成された通風口10と、通風口10を格子状に仕切る複数の横材13及び複数の縦材14とを有する。
各横材13は、長板形状をなしている。各横材13は、通風口10内に配置されている。各横材13の長手方向は通風口10の左右方向と平行に向けられ、各横材13の幅方向は通風口10の前後方向と平行に向けられている。ロアグリル1は、車体前方に配設されるバンパーの中央開口部に取り付けられる。縦材14は、上枠体11と下枠体12との間に上下方向、即ち縦方向に延びている。縦材14は、左右方向、即ち横方向に所定の間隔を隔てて複数並列されている。
横材13の前方先端部17は、縦材14と交差している部分に設けた窪み部13aと、窪み部13aの間に形成された一般部13bとを有する。横材13の前方先端部17では、窪み部13aを隔てて複数の一般部13bが配列している。
図1、図2に示すように、横材13は、前方先端部17を屈曲させている。一般部13bは、その屈曲部の背面13cに相当する。一般部13bは、横方向に長い長尺形状をなしている。一般部13bの表面は、横材13の窪み部13a及び縦材14よりも前方側に突出している。一般部13bの表面は、クロム箔53で装飾された被覆表面部2である。横材13の窪み部13a及び縦材14は、本発明の基部3に相当する。
クロム箔53によりロアグリル1の表面を装飾するにあたっては、図3に示すように、クロム箔53を有する転写シート5と、加飾装置6とを準備する。転写シート5は、支持フィルム51と、支持フィルム51の表面に形成された離型層52と、離型層52の上に配置されたクロム箔53と、クロム箔53の表面に形成された接着層54とからなる。
支持フィルム51は、PET(ポリエチレンテレフタレート)からなる。支持フィルム51に用いられるPETは、後述のホットスタンプ装置7の弾性面73の表面温度よりも軟化温度が高い。離型層52は、離型剤により形成されている。クロム箔53は、クロムの蒸着膜からなる。接着層54は、熱可塑性接着剤からなる。支持フィルム51には、その全面に、離型層52とクロム箔53と接着層54が形成されている。転写時には、支持フィルム51は、ホットスタンプ装置7側に配置され、接着層54はロアグリル1の被覆表面部2の側に配置される。
図4に示すように、加飾装置6は、転写シート5を搬送するシート搬送機構61と、転写シート5にスリットを形成するスリット形成部62と、転写シート5のクロム箔53をロアグリル1の被覆表面部2に転写する転写部63とを備えている。シート搬送機構61は、転写シート5を巻回した巻回部61aと、巻回部61aから引き出した転写シート5を搬送する搬送ローラ61b、61c、61d、61eと、転写シート5を巻き取る巻取りローラ61gとを有する。搬送ローラ61b、61c、61d、61eは、スリット形成部62と転写部63にそれぞれ1対ずつ配設されている。搬送ローラ61b、61cはスリット形成部62の上流側と下流側に配置され、搬送ローラ61d、61eは転写部63の上流側と下流側に配置されている。いずれも、スリット形成部62及び転写部63で、転写シート5に搬送方向の上流側と下流側に、送り方向の引っ張り力を加えて、転写シート5を略平面状に広げている。
スリット形成部62は、転写シート5を載せる台座部62aと、転写シート5にスリットを形成するためのカッター62bと、カッター62bを上下動させる可動部62cとを備えている。
転写部63は、ホットスタンプ装置7と、ホットスタンプ装置7を上下方向に移動させる駆動部64と、ロアグリル1を載置する受け治具65とを有する。ホットスタンプ装置7に設けられた表面部71には、弾性材72が固定されている。弾性材72は、シリコンゴムからなり、その厚みは形状によって異なるが、例えば、3〜5mmである。弾性材72の表面である弾性面は、グリルロア1の表面形状に沿った形状をなしている。
図5に示すように、ロアグリル1を受け治具65に載置したときに、弾性材72は、ロアグリル1の被覆表面部2に相当する部分にそれぞれ配設されている。なお、弾性材72は表面部71の全体に配設してもよい。表面部71は、ホットスタンプ装置7に内蔵された加熱手段により所定の温度に加熱されている。
受け治具65は、ロアグリル1の裏面を保持する保持面66をもつ。保持面66は、ロアグリル1の横材13の被覆表面部2の裏面に相応する形状をもつ。ロアグリル1を受け治具65に載置すると、保持面66によりロアグリル1が安定に保持される。
転写シート5と加飾装置6を用いてロアグリル1の表面装飾を行う方法について説明する。図4に示すように、巻回部61aから転写シート5をシート状に引き出す。搬送ローラ61b、61c、61d、61eにより転写シート5をスリット形成部62及び転写部63に搬送する。転写シート5の1回の搬送量は、転写部63でロアグリル1の転写に必要とされる分の長さ、例えば、ロアグリル1の長さよりも若干長い程度の長さとする。
スリット形成部62では、可動部62cによりカッター62bを下方に移動させて転写シート5の所定の箇所にスリット50a、50bを形成する。スリット50a、50bの形成位置を図6に示す。図6に示すように、ロアグリル1には、複数の被覆表面部2が突出している。複数の被覆表面部2は、それぞれ長細い四角形をなし、縦方向と横方向に複数が互いに平行に配列している。各被覆表面部2の周縁は、横方向に延びる第1の周縁湾曲面21と、縦方向に延びる第2の周縁湾曲面22をもつ。
転写シート5は、第1の周縁湾曲面21に沿って延びる第1のスリット50aと、第2の周縁湾曲面22に沿って延びる第2のスリット50bとをもつ。第1のスリット50aの延び方向は、横方向であり、第1の周縁湾曲面21の延び方向と平行である。第2のスリット50bの延び方向は、縦方向であり、第2の周縁湾曲面22の延び方向と平行である。第1のスリット50aの延び方向の長さは、第1の周縁湾曲面21の延び方向の長さよりも長い。第2のスリット50bの延び方向の長さは、第2の周縁湾曲面22の延び方向の長さよりも長い。第1、第2のスリット50a、50bは、いずれも隣り合う被覆表面部2の間の中央に位置している。第1、第2のスリット50a、50bの間、及び各第1のスリット50aと第2のスリット50bとの間は、連結部55が残っている。連結部55により、転写シート5は1枚の連続したシートとして繋がっている。
図4に示すように、スリット形成部62で転写シート5にスリット50a、50bを形成した後、搬送ローラ61c、61d、61eにより、転写シート5のスリット50a、50bを形成した部分を転写部63に搬送する。転写部63では、受け治具65の上に、ロアグリル1を載置する。ロアグリル1の被覆表面部2を、受け治具65の保持面66に保持させる。図7に示すように、ロアグリル1に、送り方向の引っ張り力Fを加えた状態で転写シート5を近づける。図8に示すように、駆動部64によりホットスタンプ装置7を下降させて、ホットスタンプ装置7の弾性面73で転写シート5をロアグリル1の被覆表面部2に押圧する。
図8に示すように、ホットスタンプ装置7は、被覆表面部2の頂面23から、周縁湾曲部21、22の湾曲開始部24を経て、湾曲終点部25まで押し込まれる。ホットスタンプ装置7の押し込み量xは、表面部71に固定した弾性材72の表面である弾性面73が、被覆表面部2に接してから、周縁湾曲面21,22の湾曲終点部25に接するまでとする。ホットスタンプ装置7の押し込み量xは、例えば、2mmとする。このときのホットスタンプ装置7の加圧力は、1.2〜4MPaとする。弾性面73の温度は、220℃である。ホットスタンプ装置7により転写シート5を被覆表面部2に押圧させた状態で3〜5秒間保持する。
その後、ホットスタンプ装置7を上昇させて、ホットスタンプ装置7の弾性面73による転写シート5の押圧力を解除する。転写シート5及び被覆表面部2が常温まで冷却された後に、転写シート5を上昇させて被覆表面部2から取り去る。転写シート5の被覆表面部2を被覆していた部分のクロム箔53は、被覆表面部2に転写され、その他の部分は支持フィルム51とともに取り除かれる。以上により、ロアグリル1の被覆表面部2にクロム箔53が転写される。
ここで、被覆表面部2にクロム箔53が転写されるときのスリットの働きを、図9、図10を用いて説明する。被覆表面部2は、実際には、図2に示すように、横材13の屈曲した前側先端部17の背面13cに形成されている。図9、図10では、被覆表面部2の表面形状に着目し、他の詳細な形状は簡略化させた。図9では、転写シート5に横方向に延びる第1のスリット50aが形成されている場合の被覆表面部2の周縁湾曲部21を示している。図10は、転写シート5にスリット50aが形成されていない場合の被覆表面部2の周縁湾曲部21を示している。
図9(a)に示すように、転写シート5を被覆表面部2に近接させて、転写シート5で被覆表面部2を被覆させる。このとき、図4、図7に示すように、転写シート5は、搬送ローラ61d、61eで支持されていて、送り方向の引っ張り力Fが加わっている。転写シート5は、平面状に広がっている。
図9(b)に示すように、ホットスタンプ装置7を下降させて、ホットスタンプ装置7の弾性面73により転写シート5を被覆表面部2に押圧させる。弾性面73は、被覆表面部2の周縁湾曲面21で局所的に弾性変形して、周縁湾曲面21,22の湾曲終点部25まで押し込まれる。弾性面73は、ホットスタンプ装置7に装着された加熱手段により高温に加熱されている。弾性面73で付与された高温と高圧で、転写シート5のクロム箔53が、被覆表面部2に固定される。転写シート5は、被覆表面部2で固定されるため、被覆表面部2の間で自然長さよりも若干引き伸ばされて、周縁湾曲面21に沿って湾曲する。転写シート5は、周縁湾曲面21の湾曲終点部25を含む被覆表面部2全体に追従して被覆表面部2全体を被覆する。
図9(c)に示すように、ホットスタンプ装置7を上昇させて、転写シート5への押圧力を解除する。転写シート5には、隣合う複数の被覆表面部2の周縁湾曲面21の間にスリット50aが配置されるため、転写シート5における複数の被覆表面部2を覆う部分には、引っ張り合いが生じない。このため、周縁湾曲面21を含む被覆表面部2全体に、転写シート5が被覆した状態で保持される。
図9(d)に示すように、被覆表面部2が常温に冷却された後に、転写シート5を被覆表面部2から取り去る。転写シート5のクロム箔53は被覆表面部2に残して、支持フィルム51は、被覆表面部2から離れる。このとき、被覆表面部2には、その周縁湾曲面21の湾曲開始部24から湾曲終点部25までを含めてクロム箔53が固定されて転写されている。
図9(e)に示すように、支持フィルム51が被覆表面部2から引き離れると、クロム箔53における被覆表面部2に固定された部分が、クロム箔53における被覆表面部2に固定されていない部分に対して破断する。この破断線は、ちょうど周縁終点部25近傍に位置する。クロム箔53が被覆表面部2に転写されたロアグリル1をみたときに、被覆表面部2の全体がクロム箔53で被覆されていて、非常に見栄えがよい。
一方、転写シート5にスリット50aが形成されていない場合について、図10を用いて説明する。図10(a)に示すように、転写シート5を被覆表面部2に近接させて、転写シート5で被覆表面部2を被覆させる。このとき、転写シート5は、搬送ローラ61d、61eで支持されていて、送り方向の引っ張り力Fが加わっている。転写シート5は、平面状に広がっている。
図10(b)に示すように、ホットスタンプ装置7を下降させて、ホットスタンプ装置7の弾性面73により転写シート5を被覆表面部2に押圧させる。弾性面73は、被覆表面部2の周縁湾曲面21で局所的に弾性変形して、周縁湾曲面21の湾曲終点部25まで押し込まれる。加熱された弾性面73の温度と加圧力により、転写シート5のクロム箔53が、被覆表面部2に固定される。弾性面73の押し込みにより、転写シート5は、被覆表面部2で固定されるため、被覆表面部2の間で自然長さよりも若干引き伸ばされて、周縁湾曲面21に沿って湾曲する。転写シート5は、周縁湾曲面21の湾曲終点部25を含む被覆表面部2全体に追従して被覆表面部2全体を被覆する。
しかし、図10(c)に示すように、ホットスタンプ装置7を上昇させて、転写シート5への押圧力を解除したとき、転写シート5は、元の自然長さに戻ろうとする。転写シート5は各被覆表面部2の頂面23に固定されているため、隣合う被覆表面部2の間で引っ張り合いが生じる。この引っ張り合いは、ホットスタンプ装置7の弾性面73で押圧されたときに支持フィルム51の伸びた分の収縮と、支持フィルム51の熱収縮に起因する。
この引っ張り合いにより、転写シート5は、周縁湾曲面21から離れて、押圧力付与前の平面形状に戻ろうとして、転写シート5は周縁湾曲面21から離れようとする。図3に示すように、ホットスタンプ装置7を引き上げた直後では、接着層54の熱可塑性接着材が完全固化していないため、周縁湾曲面21に対する転写シート5のクロム箔53の固定力が弱い。クロム箔53が、接着層54の熱可塑性接着材が完全固化する前に、転写シート5の被覆表面部2間での引っ張り合いにより元の平面形状に戻ろうとすると、支持フィルム51とともに周縁湾曲面21から剥がれてしまう。
図10(d)に示すように、被覆表面部2が常温に冷却された後に、転写シート5を被覆表面部2から取り去る。転写シート5のクロム箔53は、被覆表面部2の頂面23を被覆している部分のみを残して、そのほかの部分は支持フィルム51とともに、被覆表面部2から離れる。
図10(e)に示すように、被覆表面部2には、その頂面23のみにクロム箔53が転写され、周縁湾曲面21には転写されない。このため、ロアグリル1を前方側からみたときに、湾曲周縁面21のロアグリル1の樹脂素材の色が見えてしまい、見栄えがよくない。
図9、図10は、横方向に延びるスリット50a及び周縁湾曲部21について例示説明したが、縦方向に延びるスリット50b及び周縁湾曲部22についても同様である。
このように、転写シート5の被覆表面部2の間に位置する部分にスリット50a、50bを形成することで、被覆表面部2全体にクロム箔53を転写することができる。このため、ロアグリル1の見栄えがよくなる。
(実施例2)
本実施例においては、図11に示すように、転写シート5に、ミシン目状のスリット50a、50bが形成されている。ミシン目50cからなるスリット50a、50は、スリット形成部62において形成される。次の転写部63において、ロアグリル1の被覆表面部2に転写シート5を近接させる。ホットスタンプ装置の弾性面で転写シート5を被覆表面部2に押しつけると、転写シート5が被覆表面部2に固定され、被覆表面部2の間で引っ張り力が生じる。この引っ張り力により、被覆表面部2のスリット50a、50bのミシン目50cが破断して、連続した直線状のスリットになる。
ホットスタンプ装置による押圧力を転写シート5から解除すると、転写シート5におけるスリット50a、50bを挟んで両側の部分には、引っ張り力が働かない。スリット50a、50bを挟んで両側の被覆表面部2を被覆する転写シート5には引っ張り合いが生じない。このため、周縁湾曲面21、22を含む被覆表面部2全体に、転写シート5が被覆した状態で保持される。
その後、転写シート5が十分に冷却した後に、支持フィルムをクロム箔から剥離すると、クロム箔53が、被覆表面部2の周縁湾曲部21、22の湾曲終点部25まで残り、被覆表面部2全体にクロム箔53が転写される。
(実施例3)
本実施例においては、図12に示すように、被覆表面部2に相当する横材13の一般部13bが、弓形状に湾曲している。転写シート5に形成されるスリット50aは、被覆表面部2の横方向の周縁湾曲部21の形状に沿って、弓形状に湾曲している。もう一方のスリット50bは、実施例1と同様に、被覆表面部2の縦方向の周縁湾曲部22の形状に沿って、縦方向に直線状に形成されている。その他は、実施例1と同様である。本例においても、実施例1と同様に、転写シート5における被覆表面部2の間にスリット50a、50bが形成されている。このため、ホットスタンプ装置7による押圧力を転写シート5から解除したときに、転写シート5における被覆表面部2の間に引っ張り合いが生じない。被覆表面部2の全体にクロム箔が転写されて、見栄えがよい。
(実施例4)
本実施例は、自動車用のオーナメントなどの装飾部品である。この装飾部品においては、図13に示すように、向きが不揃いで奥行き平面が均一でない被覆表面部2が形成されている。被覆表面部2にクロム箔53を転写するために、転写シート5にスリット50dを形成する。スリット50dの向きは、隣り合う2つの被覆表面部2の傾斜方向a、bの中間の方向cとする。その他は、実施例1と同様である。本例においても、実施例1と同様に、転写シート5における被覆表面部2の間にスリット50dが形成されている。このため、ホットスタンプ装置7により転写シート5を被覆表面部2に押圧したときに、転写シート5における被覆表面部2の間に引っ張り合いが生じない。被覆表面部2の全体にクロム箔が転写されて、見栄えがよい。
1:ロアグリル(被加飾部材、加飾部材)、2:被覆表面部、3:基部、5:転写シート、6:加飾装置、7:ホットスタンプ装置、13:横材、14:縦材、21:第1の周縁湾曲部、22:第2の周縁湾曲部、23:頂面、24:湾曲開始部、25:湾曲終点部、51:支持フィルム、52:離型層、53:クロム箔(装飾層)、54:接着層、61:シート搬送機構、62:スリット形成部、63:転写部、71:表面部、72:弾性材、73:弾性面。

Claims (5)

  1. 基部と、基部より突出する複数の被覆表面部とをもつ被加飾部材において、周縁に凸状に湾曲する周縁湾曲面をもつ前記被覆表面部に、装飾層を転写する被加飾部材の加飾方法であって、
    装飾層及び支持フィルムを有する転写シートと、加熱された弾性面を有するホットスタンプ装置を用い、前記ホットスタンプ装置の前記弾性面により、複数の前記被覆表面部を跨いで前記被覆表面部を被覆する前記転写シートを、前記被覆表面部に押圧して、前記被覆表面部に前記装飾層を転写する転写工程をもち、
    前記転写シートにおける複数の前記被覆表面部の間に配置される部分には、スリットが形成されていることを特徴とする被加飾部材の加飾方法。
  2. 複数の前記被覆表面部が互いに平行に延びている場合において、
    前記転写シートの前記スリットは、前記被覆表面部の長手方向に沿って延びており、
    前記スリットの長手方向の長さは、前記被覆表面部の長手方向の長さと同じかまたはそれ以上である請求項1記載の被加飾部材の加飾方法。
  3. 前記スリットは、前記転写シートの一方向に延びる細長形状を呈しており、前記転写シートの送り方向と前記スリットの長手方向とが同じ向きである請求項1又は2に記載の被加飾部材の加飾方法。
  4. 複数の前記被覆表面部は、それぞれ矩形をなし、各前記被覆表面部の周縁は横方向に延びる第1の前記周縁湾曲面と縦方向に延びる第2の前記周縁湾曲面をもち、複数の前記被覆表面部が互いに平行に配列している場合において、
    前記転写シートの前記スリットは、第1の前記周縁湾曲面に沿って延びる第1のスリットと、第2の前記周縁湾曲面に沿って延びる第2のスリットとをもつ請求項1又は2に記載の被加飾部材の加飾方法。
  5. 基部、及び前記基部より突出し且つ周縁に凸状に湾曲する周縁湾曲面をもつ複数の被覆表面部をもつ被加飾部材と、
    前記被覆表面部に転写された装飾層と、を有する加飾部材であって、
    前記被覆表面部は、前記周縁湾曲面を含めて前記装飾層により被覆されていることを特徴とする加飾部材。
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