JP2015017834A - 測定装置及び測定方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】光学系としてのメインレンズ24の絞り位置S付近には、光学バンドパスフィルタとしてのカラーフィルタ26が配置されている。カラーフィルタ26は、実際には分光透過率が異なる6種類のフィルタから構成されている。メインレンズ24の集光位置付近には、レンズアレイとしてのMLA3が配置されている。イメージ面6には、メインレンズ24により集光された光情報を電気信号に変換する受光素子アレイが配置されている。電気信号は受光位置毎に補正手段により補正される。
【選択図】図5
Description
例えば、国際照明委員会(CIE)によるXYZ表色系で規定された等色関数に対応した光学的バンドパスフィルタを用いたいわゆるXYZカメラと呼ばれるものである。
人間の網膜の細胞は、物体からの反射光についてR(赤)、G(緑)、B(青)に対応した感覚組織を持っており、その強さに応じた信号を脳に伝達する。それぞれの信号の割合によって物体の色を知覚するようになっている。
R、G、Bに対応する感覚組織の感度は、図15に示すような特性を持っており、この特性を等色関数という。
Xの刺激量が多い場合には物体の色は赤色として、Yの刺激量が多い場合には緑色として、Zの刺激量が多い場合には青色として知覚される。
このため、測定領域全域で高精度な測定を行うことができないという問題があった。
この問題を解消すべく、特許文献1には、走査レンズと回転ミラーとを備えた走査光学部により、測定対象の測定領域を複数の領域に分割して走査し、測定対象の各位置から取り込む光量をムラ無く均一にする色彩輝度測定装置が開示されている。
走査光学部の走査レンズによって取り込まれる立体角が測定対象の走査位置にかかわらずほぼ一定となるので、光量ムラを均一にすることができる。
光源からの光の強さ等の測定環境の条件は刻々変化するため、精度の高い測定データを得るためには同時測定が望ましい。
また、測定対象が動く場合には、上記のような分割走査方式では正確な測定データは得られない。
さらに、上記分割走査方式では可動部(回転ミラー)が必須であるため、可動部の経時的劣化による走査精度の低下が懸念される。
上記の問題は分光スペクトルの測定においても同様である。
まず、本発明の実施形態を説明する前に、色を測定対象とする実施例について説明する。
図5は、本実施例における測定装置の原理を説明するための図であるが、本発明の実施形態に係る測定装置の原理を説明するための図を兼ねている。
ここでは、分かり易く説明するために、光学系としてのメインレンズ24は単レンズで示し、メインレンズ24の絞り位置Sを単レンズの中心としている。
カラーフィルタ26は、XYZ表色系の等色関数に基づいた分光透過率を持つ色の三刺激値に対応したフィルタである。
すなわち、カラーフィルタ26は、XYZ表色系の等色関数に基づいた分光透過率が異なる複数(ここでは3つ)のカラーフィルタ26a、26b、26cから構成されている。
カラーフィルタ26は、メインレンズ24の絞り付近に配置される。「絞り付近」とは、絞り位置を含み、種々の画角の光線が通過できる部位を意味する。
換言すれば、メインレンズ24に対するカラーフィルタ26の設計上の許容範囲を意味する。
図6における実線、破線、点線はそれぞれ、下記の等色関数に基づいたカラーフィルタ26a(FX)、26b(FY)、26c(FZ)の分光透過率TX(λ)、TY(λ)、TZ(λ)である。
図7ではカラーフィルタ26をおおよそ扇型に3等分しているが、もちろんこれに限定される趣旨ではなく、全体が円形でなくてもよいし、矩形で分割してもよい。
また、各フィルタの面積の割合も等分である必要はない。
図6、図15から明らかなように、Zについての等色関数のラインで囲まれる面積は他に比べて小さい。この面積の大小は信号雑音比(SN比)の大きさに相関する。
SN比を大きくする観点から、Zに対応するカラーフィルタ26cの面積を他に比べて大きくしてもよい。
図6の各分光透過率はCIE−1931表色系で規定された等色関数とレンズのフィルタを除く光学系の分光透過率TL(λ)、および受光素子の分光感度S(λ)から設計される。
すなわち次式のように書ける。
式(1)、(2)、(3)において、それぞれの最大値を透過率100%として規格化したものがTX(λ)、TY(λ)、TZ(λ)となる。
規格化することで、特にx(λ)、y(λ)に対応したカラーフィルタについてSN比を改善できる。
このように設計したカラーフィルタを用いると、そのカラーフィルタを透過した光線を受光素子で検出した場合に、最大値による規格化を逆算するだけで、その出力値をそのままX、Y、Z(三刺激値)として用いることができる。
作製方法として、誘電体多層膜で形成することができる。多層膜は光学的な干渉作用によりバンドパスフィルタとして機能する。
カラーフィルタの分光透過率は干渉作用でバンドパス機能を実現するため、原理的に光線の入射角度依存性を持つ。
図8に、カラーフィルタ26a(FX)での入射角度依存性の例を示す。
実線、破線、点線はそれぞれ、入射角度0度、20度、30度の分光透過率である。入射角度が大きくなるにつれて短波長側に透過帯域がシフトしていることがわかる。
イメージ面6には、メインレンズ24により集光された光情報を電子情報(電気信号)に変換する受光手段としての受光素子アレイが配置されている。
受光素子アレイは複数の受光素子(センサ)からなる。以下においては、符号6を受光素子アレイとして表記する。
MLA3のマイクロレンズの径と、受光素子アレイ6を構成する各受光素子とは、おおよそ30:1〜2:1の比率の関係にある。
図9において、白い円は各レンズの部分を、黒く塗りつぶしている部分は遮光部(遮光手段)を示している。
すなわち、レンズアレイを構成するレンズの部分以外は遮光手段により遮光されている。本実施例における遮光手段は酸化クロムを蒸着したものである。
遮光部は、曲率を持たない平坦部や、曲率が製造的に設計値仕様を満たさない領域である。
これらの領域からの光は設計上意図しない光線を受光素子まで届けるおそれがあるため、遮光することで設計から想定される電気信号を得ることができる。このことは正確な測定値を得るために重要である。
物体1から発する光のうち、メインレンズ24の開口に入射し絞りを通過する光束が測定の対象となる。
メインレンズに入射した光束は無数の光線の集合であり、それぞれの光線はメインレンズの絞りの異なる位置を通過する。
本実施例では、メインレンズの絞り位置に3つのカラーフィルタ26a、26b、26cを配置しているので、各光線は異なる分光透過率を持つ3つのフィルタを通過することになる。
このとき、フィルタ面に入射する光線の角度は物体高さにより異なる。これは図5中P、Qで表される物体上の点から発した光束の主光線が異なる角度でメインレンズの絞り面を通過していることからもわかる。
すなわち、センサ面の位置(受光位置)は光線が通過したフィルタ面に対応するため、物体のある一点から発した光を波長的に三刺激値X、Y、Zに分解した値を測定することができる。
しかしながら、図8において説明したように、カラーフィルタの分光透過率は入射角依存性をもつため、受光素子の出力を単純に用いただけでは、光軸上はよくても軸外を含めた二次元面の正確な三刺激値X、Y、Zを測定することはできない。
重回帰分析では説明変数と目的変数とを予め用意し、それらから求まる回帰行列を利用して補正演算を行う。
以下にその手順を具体的に述べる。
まず、測定装置からの出力値を算出する手順について述べる。これは重回帰分析における説明変数に相当する。
円になるのは単レンズ(メインレンズ)の絞り形状が円であるためである。ここでは、それぞれの小さな円を「マクロピクセル」と呼ぶこととする。
各マクロピクセルはレンズアレイを構成する各小レンズの直下に形成される。マクロピクセルの内部構造は、図7示したカラーフィルタの構造に対応したものとなる。
マクロピクセルの拡大図を図11に示す。
図7と比べて、上下左右が反転しているのは光学系を通過してきたためである。但し、この対応関係は光学系に依存するため、この例に限ったものではない。
MX、MY、MZの受光素子の出力値をv=[vX,vY,vZ]tとする。tは行列の転置を意味する。
出力値のとりかたは、MX、MY、MZの平均値をとってもよいし、MX、MY、MZから受光素子一つを選択してその出力値を代表値として採用してもよい。
色空間において広い範囲をカバーする色見本を分光器などのX、Y、Z値を測定する装置で測定し、それらを基準の値とする。
色見本としては、例えば広く用いられている「カラーチェッカー」と呼ばれる24色の矩形の色見本が並んだものを用いることができる。
カラーチェッカーの例を図12に示す。
カラーチェッカーに含まれる24色の測定値のxy色度図へのプロット結果を図13に示す。
ある色見本に対するX、Y、Z(三刺激値)の基準の値をr=[rX,rY,rZ]tとする。
まず、色見本を測定器で測定し、基準の値を得る。色見本に24色のカラーチェッカーを用いた場合、便宜的に番号を付け、1番目の色に対する基準の値をr1=[r1X r1Y r1Z]tとする。
すなわち、r1〜r24までの値を得る。R=[r1,・・・,r24]とする。Rは3行24列の行列となる。このRが目的変数である。
このとき画像全体に一つの色見本が映るように配置する。各マクロピクセルからvを取得する。
基準の値と同様にV=[v1,・・・,v24]を得る。このVが説明変数となる。
ここまでに得られたRおよびVから行列Gを求める。
G=RVt(VVt)−1 (4)
Vは各マクロピクセルごとに別々の値を持つため、Gもそれぞれのマクロピクセルについて算出される。
以上が補正演算のための準備である。
測定したい対象を本測定装置で撮像する。撮像画像に含まれる各マクロピクセルについて出力値を算出する。
これをvC=[vCX, vCY, vCZ]t とする。次に次式で補正された三刺激値rCを求める。
rC=GvC (5)
マクロピクセルごとにrCを求めることで二次元面の正確な三刺激値を求めることができる。
v=[vX, vY, vZ 1 vX 2 vY 2 vZ 2 ・・・]t (6)
・・・はvXvYやvX 3などの高次の項を意味する。
このような拡張を行うことで補正の精度を高め、より正確な値を求められることがある。拡張したVで回帰行列Gを求めた場合には、実際に式(5)を用いた測定の場合にも拡張したvCを用いなければならない。
本実施形態において、測定装置の出力は分光スペクトルである。分光スペクトルは色の定量値に変換することも可能である。
上記実施例では測定対象が色であったが、本実施形態では色の本性ともいえる分光スペクトルを測定対象とする。
上記実施例との構成の違いはカラーフィルタ26の構成である。本実施形態のカラーフィルタ26の一例を図1に示す。
カラーフィルタ26は、6種類の光学的バンドパスフィルタから構成されている。各フィルタの分光感度の一例を図2に示す。
補正の手順は上記実施例と同様である。但し、本実施形態の出力はX、Y、Zの三刺激値ではなく、分光スペクトルなので基準の値も分光スペクトルを測定できる測定器で色見本等を測定する。
r=[r400 r410・・・r690 r700] (7)
r400は波長400nmの光に対する分光スペクトルの値である。
上記実施例の説明変数に相当する値は、
v=[v#1 v#2 v#3 v#4 v#5 v#6] (8)
となる。
VやvCに高次の項を用いることで精度向上を図ることができるのも上記実施例と同様である。
本実施形態ではバンド数を6としたが、もちろんこれに限ったものではない。
一般的に6以上の適切なバンドを用いることで多様な波形の測定が精度よくできるといわれているため、本実施形態では6種類とした。
正確さを高めるためによりバンド数を増やしてもよいし、測定する色が限定されていて、波形の周波数が低い場合はより少ないバンド数でも正確な波形を測定することが可能である。
測定装置10は、物体からの分光情報を取得する撮像部12と、撮像部12により取得された分光情報に基づいて複数種類の分光画像を生成する分光画像生成手段としてのFPGA(Field-Programmable Gate Array)14とを有している。
FPGA14は色を測定するための上記補正演算を行う補正手段としても機能する。
撮像部12は、レンズモジュール18と、カメラ部20とから構成されており、FPGA14はカメラ部20に内蔵されている。
レンズモジュール18は、鏡筒22と、該鏡筒22内に設けられたメインレンズ24と、カラーフィルタ26と、レンズ28とを有している。
MLA3は、メインレンズ24の光軸と直交する方向に複数のマイクロレンズを配置した構成を有している。
換言すれば、MLA3は、受光素子アレイ6の二次元平面方向に略平行に配置されている。
補正手段として、FPGA14に代えてASIC(Application Specific Integrated Circuit)を用いてもよい。
上記補正手段の一部又は全部が測定装置本体と分離し、必要に応じて電気的に接続される構成としてもよい。
測定システム32は、測定装置10と、測定装置10により得られたデータに基づいて判別する判別手段としてのPC(パーソナルコンピュータ)34とを有している。
PC34は、図示しない中央演算装置(CPU)、記憶装置などから構成され、CPUにより実行されるソフトウェアにより上記補正演算処理を行う。
すなわち、PC34は上記補正手段を兼ねている。
PC34は、例えば測定対象の色が比較色と同一か否かを判別し、その結果をディスプレイに表示する。
本実施形態では、補正演算を装置のモデル(設計モデル)を用いて補正することを特徴とする。
測定装置の出力は色を定量化した値である。
まず、測定対象から発した光が光学系を通りマクロピクセルの出力値となる流れを定式化する。上記流れは次のように書ける。
H=Stとすると、式(9)は次に示す線形システムの形にまとめることができる。
g=Hr+n (10)
Hをシステムマトリクスと呼ぶ。
バンド出力値gから対象物の分光スペクトルrを求めるが、本実施形態のようにm<lの場合、式(10)を満足する解が無数に存在して一意に定まらないようになる。
このような問題は一般的に不良設定問題と呼ばれる。不良設定問題でしばしば選択される解のひとつに最小ノルム解がある。式(10)でノイズを無視できる場合、最小ノルム解は下式で表される。
システムマトリクスがマクロピクセルごとに異なることは、フィルタの入射角度依存性が異なることから明らかである。
そこで、各マクロピクセルごとにHをそれぞれ計算しておく。その際、マクロピクセルに対応する光線の入射角度を算出し、その入射角度のフィルタの分光透過率を用いる。
こうすることで式(11)による推定を正確に行うことが可能となる。
但し、マクロピクセルごとのシステムマトリクスの差異はカラーフィルタの分光透過率の入射角度依存性のみに依存するわけではなく、実際にはレンズアレイを構成する小レンズの製造誤差や、メインレンズの周辺光量低下も含まれる。
このため、第1の実施形態の重回帰分析の手法のほうが高い補正効果を期待できる。
6 受光手段としての受光素子アレイ
14 補正手段としてのFPGA
24 光学系としてのメインレンズ
26 光学バンドパスフィルタとしてのカラーフィルタ
34 補正手段で且つ判別手段としてのPC
Claims (10)
- 光学系と、
前記光学系により集光された光情報を電気信号に変換する受光手段と、
前記光学系の絞り付近に配置され、異なる分光透過率を持つ複数の光学バンドパスフィルタと、
前記光学系と前記受光手段との間に配置され、前記受光手段の二次元平面方向に略平行に複数のレンズが並んだレンズアレイと、
前記電気信号を前記受光手段の受光位置毎に補正する補正手段と、
を備え、
前記光学バンドパスフィルタは、分光スペクトルに対応したカラーフィルタである測定装置。 - 請求項1に記載の測定装置において、
前記光学バンドパスフィルタの数が6以上であることを特徴とする測定装置。 - 請求項1又は2に記載の測定装置において、
前記補正手段は、基準となる値と、該測定装置の出力値から算出した値とを用いて補正することを特徴とする測定装置。 - 請求項1又は2に記載の測定装置において、
前記補正手段は、該測定装置の設計モデルをもとに補正する演算を行うことを特徴とする測定装置。 - 請求項4に記載の測定装置において、
前記設計モデルをもとに補正する演算は、前記カラーフィルタの入射角度依存性を用いた演算であることを特徴とする測定装置。 - 請求項1〜5のいずれか1つに記載の測定装置において、
前記光学バンドパスフィルタは、誘電体多層膜で形成されていることを特徴とする測定装置。 - 請求項1〜6のいずれか1つに記載の測定装置において、
前記レンズアレイの前記レンズの部分以外は遮光手段により遮光されていることを特徴とする測定装置。 - 請求項7に記載の測定装置において、
前記遮光手段は酸化クロムを蒸着したものであることを特徴とする測定装置。 - 請求項1〜8のいずれか1つに記載の測定装置において、
前記補正手段の一部又は全部が測定装置本体と分離していることを特徴とする測定装置。 - 光学系と、
前記光学系により集光された光情報を電気信号に変換する受光手段と、
前記光学系の絞り付近に配置され、異なる分光透過率を持つ複数の光学バンドパスフィルタであって、分光スペクトルに対応したカラーフィルタと、
前記光学系と前記受光手段との間に配置され、前記受光手段の二次元平面方向に略平行に複数のレンズが並んだレンズアレイと、
を備えた装置を用いた測定方法であって、
前記受光手段により撮像データを取得するステップと、
前記撮像データを前記受光手段の受光位置毎に補正するステップと、
を備えた測定方法。
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