JP2011186328A - 偏光回折格子アレイ、偏光センサー、および偏光解析装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】安価で耐久性のある偏光子アレイ、偏光センサー、およびそれを用いた偏光解析装置を提供する。
【解決手段】偏光回折格子アレイは、常光屈折率がnoであり異常光屈折率がneである複屈折を有する光学媒質12と、屈折率がnoあるいはneである等方性媒質13とが周期的に交互に配列され、常光偏光及び異常光偏光のいずれか一方のみを回折させる複数の偏光回折格子11を備える。複数の偏光回折格子11は、複屈折を有する光学媒質と等方性媒質とが交互に配列された方向が少なくとも2種類以上存在するように同一面内に配置されている。
【選択図】図2
【解決手段】偏光回折格子アレイは、常光屈折率がnoであり異常光屈折率がneである複屈折を有する光学媒質12と、屈折率がnoあるいはneである等方性媒質13とが周期的に交互に配列され、常光偏光及び異常光偏光のいずれか一方のみを回折させる複数の偏光回折格子11を備える。複数の偏光回折格子11は、複屈折を有する光学媒質と等方性媒質とが交互に配列された方向が少なくとも2種類以上存在するように同一面内に配置されている。
【選択図】図2
Description
本発明は、偏光回折格子アレイ、偏光センサー、及び偏光解析装置に関する。
光学部品の複屈折特性や、食品の糖度測定や、光通信で用いられるシングルモードファイバーの入力光の偏光状態の調査など、様々な分野で偏光解析装置が利用されている。
近年、偏光解析装置の簡便化、簡素化、高速測定化を目的として、異なる透過軸を有した複数の偏光子を有する偏光子アレイを用いた偏光解析装置が提案されている。
特許文献1では、多層膜スパッタ形成法によるフォトニック結晶を用いた偏光子アレイ、ならびにそれを用いた偏光解析装置が開示されている。
特許文献2では、ワイヤーグリッドを用いた偏光子アレイ、ならびそれを用いた偏光検出素子が開示されている。
特許文献3では、二色性色素及び側鎖に配向性基を有する高分子を用いた偏光子アレイが開示されている。
しかしながら、特許文献1で開示された偏光子アレイは、その作製に電子ビームリソグラフィーを用いた基板を用いており、さらにスパッタ成膜とスパッタエッチングとを組み合わせたプロセスを用いているため、生産性が悪い。
特許文献2で開示された偏光子アレイは、利用する光の波長よりも短い周期で金属の細線を高アスペクト比で作製する必要がある。可視光で利用できる偏光子アレイを作製するためにはサブミクロン周期で金属の細線を作製する必要があり、生産性が悪い。
特許文献3で開示された偏光子アレイは、高分子を用いていること、及び電子ビームリソグラフィーを用いていないことから特許文献1で開示された偏光子アレイや特許文献2で開示された偏光子アレイより安価に作製することが可能であるが、二色性色素を利用しているため耐久性や耐環境性に難がある。また、高分子を配向させるためにワイヤーグリッド偏光子を用いた偏光紫外光を露光して配向層を作製する方法が開示されているが、露光に用いられる遠紫外光用のワイヤーグリッド偏光子は高価であり、低コスト化には限界がある。
本発明は、このような課題を解決するためになされたものであり、より安価で耐久性のある偏光子アレイ、偏光センサー、およびそれを用いた偏光解析装置を提供することを目的とする。
本発明の偏光回折格子アレイは、常光屈折率がnoであり異常光屈折率がneである複屈折を有する光学媒質と、屈折率がnoあるいはneである等方性媒質とが周期的に交互に配列され、常光偏光及び異常光偏光のいずれか一方のみを回折させる複数の偏光回折格子を備える。前記複数の偏光回折格子は、前記複屈折を有する光学媒質と前記等方性媒質とが交互に配列された方向が少なくとも2種類以上存在するように同一面内に配置されていることを特徴とする。
本発明の偏光センサーは、上記の本発明の偏向回折格子アレイと、前記複数の偏光回折格子と一対一に対応し且つ前記複数の偏光回折格子を透過した光をそれぞれ受光する複数の受光素子を有する受光素子アレイとを備えることを特徴とする。
本発明の偏光解析装置は、上記の本発明の偏向センサーを備えることを特徴とする。
本発明によれば、安価で耐久性を有する偏光回折格子アレイ、偏光センサー、及び偏光解析装置を提供することができる。また、本発明の偏光解析装置は、偏光解析を簡便に行うことができるので、装置の簡素化が可能となる。
本発明の偏光回折格子アレイは、常光屈折率がnoであり異常光屈折率がneである複屈折を有する光学媒質と、屈折率がnoあるいはneである等方性媒質とが周期的に交互に配列され、常光偏光及び異常光偏光のいずれか一方のみを回折させる複数の偏光回折格子を備える。従って、この偏向回折格子は、常光偏光と異常光偏光とを分離することができ、偏光子として作用する。本発明は、このような複数の偏光回折格子を、複屈折を有する光学媒質と等方性媒質とが交互に配列された方向が少なくとも2種類以上存在するように同一面内に配置して偏光回折格子アレイを構成する。この偏光回折格子アレイを偏光子アレイとして用いることにより、安価な偏光子アレイを提供することができる。また、偏光回折格子は特定の偏光を吸収して偏光分離を行うものではないので、高分子の反応や熱の発生などが起こりにくく、安定な偏光子アレイを提供することができる。
ここで、前記複屈折を有する光学媒質は液晶性分子であることが好ましい。これにより、より簡便な方法で、より安価に、より安定な偏光回折格子アレイを作製することが可能となる。
本発明の偏光回折格子アレイは、前記偏光回折格子アレイに対して光の出射側に、前記複数の偏光回折格子と一対一に対応した複数のピンホールが同一面内に配置されたピンホールアレイを更に備えることが好ましい。これにより、より高品質に常光偏光と異常光偏光とを分離することが可能になる。
本発明の偏光回折格子アレイは、前記偏光回折格子アレイに対して光の出射側に、前記複数の偏光回折格子と一対一に対応し且つ前記複数の偏光回折格子を透過した光をそれぞれ集光する複数のレンズを有するレンズアレイを更に備えることが好ましい。これにより、より高品質に常光偏光と異常光偏光とを分離することが可能になる。
前記ピンホールアレイと前記レンズアレイとを備える場合、前記ピンホールアレイは前記レンズアレイの焦点面又はその近傍に配置されていることが好ましい。これにより、さらにより高品質に常光偏光と異常光偏光とを分離することが可能になる。
本発明の偏光センサーは、上記の本発明の偏向回折格子アレイと、前記複数の偏光回折格子と一対一に対応し且つ前記複数の偏光回折格子を透過した光をそれぞれ受光する複数の受光素子を有する受光素子アレイとを備える。これにより、安価な偏光センサーを提供することができる。また、偏光子を回転することなく偏光状態を測定することが可能であるので、より簡便で簡易な偏光センサーを提供することができる。
本発明の上記の偏光センサーにおいて、前記複数の偏光回折格子のうちの少なくとも1つに対応する1/4波長板が前記偏光回折格子アレイに対して光の入射側に設けられていることが好ましい。これにより、ストークスパラメーターを取得することが可能になる。
本発明の偏光解析装置は、上記の本発明の偏向センサーを備える。これにより、より簡便で高速測定が可能な偏光測定装置を供することができる。
以下、本発明を好適な実施形態及び実施例を示しながら詳細に説明する。但し、本発明は以下の実施形態及び実施例に限定されないことはいうまでもない。以下の説明において参照する各図は、説明の便宜上、本発明の実施形態又は実施例の構成部材のうち、本発明を説明するために必要な主要部材のみを簡略化して示したものである。従って、本発明は以下の各図に示されていない任意の構成部材を備え得る。また、以下の各図中の部材の寸法は、実際の構成部材の寸法および各部材の寸法比率等を忠実に表したものではない。
図1は、本発明の一実施形態に係る偏光センサー1の概略構成を示した分解斜視図である。図1に示すように、この偏光センサー1は、偏光回折格子アレイ10、レンズアレイ20、受光素子アレイ40をこの順に備える。受光素子アレイ40のレンズアレイ20側の面にはピンホールアレイ30が設けられている。図示したように、偏光センサー1に対して光が入射する方向をZ軸とし、Z軸と直交し且つ互いに垂直な軸をX軸及びY軸とするXYZ直交座標系を設定する。
偏光回折格子アレイ10は、XY面に平行な同一面内に配置された複数の偏光回折格子11を備える。
図2は偏光回折格子11の一例の概略構成を示した斜視図である。偏光回折格子11は、常光屈折率がnoであり異常光屈折率がneである複屈折を有する光学媒質(以下、「複屈折性媒質」という)12と、屈折率がnoあるいはneである等方性媒質13とから構成される。XY面に平行な面内において、ストライプ状の複屈折性媒質12とストライプ状の等方性媒質13とが周期的に交互に配列されて回折格子を構成している。
例えば等方性媒質13の屈折率がnoである場合を考える。常光偏光の光が偏光回折格子11を通過する場合、複屈折性媒質12と等方性媒質13とで位相差が発生しないから、常光偏光の光は偏光回折格子11において回折されない。一方、異常光偏光の光が偏光回折格子11を通過する場合、複屈折性媒質12と等方性媒質13とで位相差が発生するため、常光偏光の光は偏光回折格子11において回折される。よって、常光偏光と異常光偏光との分離が可能になる。
等方性媒質13の屈折率がneである場合は、上記とは逆に、常光偏光の光は偏光回折格子11において回折され、異常光偏光の光は偏光回折格子11において回折されない。よって、この場合も常光偏光と異常光偏光との分離が可能になる。
複屈折性媒質12の材料としては、液晶性分子が最も好適である。等方性媒質13の材料としては、透明なガラス、プラスチック、または紫外線硬化樹脂、あるいは所定の凹凸形状が転写された表面を備える紫外線硬化樹脂を透明基板上に備えたいわゆる2P(Photo Polymer)基板などを用いることができる。
図3A〜図3Cに偏光回折格子11の作製法の一例を示す。最初に、例えばフォトリソ、エッチング、電鋳工程を経て、互いに平行な複数の溝からなる凹凸形状を表面に形成した金型60を準備する。この金型60の凹凸形状を形成した表面に、図3Aに示すように、紫外線硬化樹脂61を塗布し、更に紫外線硬化樹脂61上にガラス基板62を積層する。そして、ガラス基板62を介して紫外線硬化樹脂61に紫外線63を露光して、紫外線硬化樹脂61を硬化させる。次いで、硬化された紫外線硬化樹脂61及びガラス基板62を金型60から剥離して2P基板64を得る。紫外線硬化樹脂61の表面には金型60の表面の凹凸形状が転写されている。次いで、図3Bに示すように、上記2P基板64の紫外線硬化樹脂61上に重合性液晶65をスピンコートで塗布する。重合性液晶は、紫外線硬化樹脂61の表面の凹凸形状の溝内に充填される。次いで、図3Cに示すように、紫外線66を露光し、重合性液晶65を硬化し高分子化する。このようにして、偏光回折格子11が得られる。
図3A〜図3Cの方法では、紫外線硬化樹脂61の表面の溝内に重合性液晶65を充填すると(図3B)、溝の表面と重合性液晶との間の分子相互作用により液晶性分子が自発的に溝の長手方向に沿って整列する。従って、特別な配向処理を施すことなく、液晶を溝の長手方向に沿って配向させることができる。この状態で重合性液晶65を硬化させると(図3C)、光学異方性を有する複屈折性媒質12が得られる。この場合、複屈折性媒質12を構成する液晶性分子の光学軸は溝の長手方向に平行になるため、屈折率が異常光屈折率neとなる直線偏光(異常光偏光)の方向は溝の長手方向に平行となり、屈折率が常光屈折率noとなる直線偏光(常光偏光)の方向は溝の長手方向に垂直となる。つまり、常光偏光方向と異常光偏光方向とは、2P基板64の凹凸形状を構成する溝の方向で規定される。従って、このようにして得られた偏光回折格子11は、溝の長手方向を振動方向とする偏光と、溝の長手方向に垂直な方向を振動方向とする偏光とを分離することができる。図3A〜図3Cの方法によれば、金型60を作製した後はフォトリソ工程や成膜工程を用いず、レプリカ工程及び2P工程のみで偏光回折格子11を作製可能であるので、安価に偏光回折格子11を作製することが可能になる。
図1において、各偏光回折格子11に施したストライプの方向は、ストライプ状の複屈折性媒質12のストライプ方向(図2参照)を示している。図示されているように、複数の偏光回折格子11を、複屈折性媒質12と等方性媒質13とが交互に配列された方向(以下、「媒質12,13の交互配列方向」という)が少なくとも2種類以上存在するように配置することにより、偏光回折格子アレイ10を作製することができる。このような偏光回折格子アレイ10は、図3A〜図3Cの方法では、金型60を形成するためのフォトリソ工程において使用するフォトマスクに、光が通過するスリットの長手方向が異なる複数種類の回折格子パターンを配置しておくだけで容易に作製することができる。このようなフォトマスクを用いてフォトリソを行えば、溝方向が異なる複数種類の凹凸形状が形成された金型60を作製できる。この複数種類の凹凸形状は2P基板64の表面に転写される。従って、媒質12,13の交互配列方向が複数種類存在するように複数の偏光回折格子11が配置された偏光回折格子アレイ10を一体的に作製できる。
このような偏光回折格子アレイ10の作製方法では、2P基板64を構成する紫外線硬化樹脂61の凹凸形状の溝の表面と重合性液晶との間の分子相互作用により液晶性分子が溝の長手方向に沿って配向されるため、複屈折性媒質12の常光偏光方向と異常光偏光方向は、溝の長手方向で規定される。従って、溝の長手方向を振動方向とする偏光と、溝の長手方向に垂直な方向を振動方向とする偏光とを分離することが可能な偏光回折格子11が得られる。このような偏光回折格子11を、媒質12,13の交互配列方向が少なくとも2種類以上存在するように同一平面内に配置すれば、分離される常光偏光及び異常光偏光の偏光方向の種類が、媒質12,13の交互配列方向の種類数だけ存在する偏光回折格子アレイ10が得られる。従って、本発明の偏光回折格子アレイ10は、異なる透過軸を有する複数の偏光子を有する偏光子アレイとなる。
図3A〜図3Cの方法では、重合性液晶65を塗布する基板として2P基板64を使用したが、本発明はこれに限定されない。基板が、表面に凹凸形状を有していれば、重合性液晶65を塗布し凹凸形状の溝内に充填したときに、溝の表面と重合性液晶との間の分子相互作用により液晶性分子を配向させることができる。基板は、利用する光の波長に対して透明であり、その屈折率が、複屈折性媒質12の常光屈折率noあるいは異常光屈折率neであればよい。例えばガラスインプリント法や射出成形法などの公知の方法で表面に凹凸形状が形成されたガラス基板やプラスチック基板を2P基板64の代わりに用いることができる。
図1では、媒質12,13の交互配列方向の種類数(即ち、分離される常光偏光及び異常光偏光の偏光方向の種類数)は4であるが、本発明はこれに限定されず、2種類以上であればよく、図1より多くても少なくてもよい。媒質12,13の交互配列方向が同じである偏光回折格子11が2以上存在してもよいし、複数の偏光回折格子11の全ての媒質12,13の交互配列方向が互いに異なっていてもよい。複数の偏光回折格子11は、媒質12,13の交互配列方向を除いて、ストライプ状の複屈折性媒質12の配置ピッチや寸法等の仕様は同一であることが好ましい。
レンズアレイ20は、偏光回折格子アレイ10を構成する複数の偏光回折格子11と一対一に対応する複数のレンズ21を備える。複数のレンズ21のある方向の配置ピッチは、複数の偏光回折格子11の同方向の配置ピッチと略同一である。複数のレンズ21は、好ましくは同一形状であり、好ましくはXY面と平行な同一平面上に配置される。各レンズ21は、対応する偏光回折格子11を透過した光を集光する。レンズ21は、屈折レンズ又は回折レンズのいずれであってもよく、更にはこれらの複合レンズであってもよい。
偏光回折格子アレイ10及び/又は受光素子アレイ40との位置合わせを容易に行うためのアライメントマークが、レンズアレイ20の任意の位置に設けられていてもよい。図1では偏光回折格子アレイ10とレンズアレイ20とは分離しているが、偏光回折格子アレイ10の片面にレンズアレイ20を一体に形成しても良い。偏光回折格子11を透過した光が、これに対応しない受光素子(後述する図4の受光素子41を参照)に入射することにより発生するクロストークノイズを防止するために、隣り合うレンズ21間の境界又はその近傍に、金属膜や感光性樹脂などによるブラックマトリクス等の遮光層(後述する図8のブラックマトリクス213を参照)が設けられていてもよい。
レンズアレイ20の作製方法は特に限定はないが、例えば、透明樹脂又は透明ガラスを金型等で一体に成型する方法、表面に所定のレンズ形状を形成した金型上に紫外線硬化樹脂を塗布し更に透明基板を積層し、紫外線硬化樹脂を硬化させた後、紫外線硬化樹脂及び透明基板を金型から剥離する2P法などを用いることができる。
受光素子アレイ40は、偏光回折格子アレイ10を構成する複数の偏光回折格子11と一対一に対応する複数の受光素子(後述する図4の受光素子41を参照)を備える。複数の受光素子は、好ましくはXY面と平行な同一平面上に配置される。各受光素子は、対応する偏光回折格子11及びレンズ21を順に透過した光を受光する。
受光素子としては、特に制限はなく、偏光状態を測定する光の波長に感度を有していればよく、例えば薄膜トランジスター(TFT)、CCD(Charge Coupled Devices)、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等を用いて構成してもよい。
ピンホールアレイ30は、偏光回折格子アレイ10を構成する複数の偏光回折格子11と一対一に対応する複数のピンホール31を備え、好ましくはレンズアレイ20の焦点面又はその近傍に配置されている。複数のピンホール31は、好ましくはXY面と平行な同一平面上に配置される。ピンホール31は、受光素子の受光部(後述する図4の受光部42を参照)の位置に対応して形成された開口であり、対応する偏光回折格子11及びレンズ21を順に透過した光を通過させる。
ピンホールアレイ30は、受光素子が感度を有する波長の光を遮る材料からなる。その形成方法は、特に限定されないが、例えば、通常の半導体プロセス技術(スパッタ、蒸着等)を利用して金属材料を積層する方法、ブラックレジストを用いてフォトリソ工程によって作製する方法などを用いることができる。図1ではピンホールアレイ30は受光素子アレイ40のレンズアレイ20側の面に形成されているが、これに限定されない。例えば、ピンホールアレイ30を、レンズアレイ20の受光素子アレイ40側の面に形成してもよいし(後述する図7、図8を参照)、レンズアレイ20及び受光素子アレイ40とは別個の部材であるガラス等の透明基板上に形成してもよい。
本実施形態の偏光センサー1では、偏光回折格子アレイ10の複数の偏光回折格子11、レンズアレイ20の複数のレンズ21、ピンホールアレイ30の複数のピンホール31、受光素子アレイ40の複数の受光素子が、それぞれ一対一に対応している。即ち、1つの偏光回折格子11と1つのレンズ21と1つのピンホール31と1つの受光素子とが、偏光センサー1の1つの光学系単位を構成する。
図4に、偏光センサー1の一光学系単位の断面図を示す。この光学系単位では、偏光回折格子11を構成する媒質12,13の交互配列方向はY軸に平行であるが、媒質12,13の交互配列方向は光学系単位ごとに適宜任意に設定することができる。ピンホール31は、受光素子41の受光部42上に形成されている。「f」はレンズ21の焦点距離を示す。
光は、図4の左側から、偏光回折格子11に垂直に、すなわちZ軸に平行に入射する。複屈折性媒質12と等方性媒質13の各屈折率は、偏光方向が媒質12,13の交互配列方向に垂直である偏光光(異常光偏光)71を回折し、媒質12,13の交互配列方向に平行である偏光光(常光偏光)72を回折させないように設定されている。従って、偏光光71は、偏光回折格子11によって回折され偏向されるので、レンズ21によってピンホールアレイ30上のピンホール31以外の位置に集光される。一方、偏光光72は、偏光回折格子11によって回折されないので、レンズ21によってピンホール31内に露出した受光部42上に集光される。このように、入射する光は、その偏光方向に応じて偏光分離され、受光素子からは入射した光に応じた信号が出力される。このような動作が、偏光センサー1を構成する各光学系単位において互いに独立して行われる。
上記より容易に理解できるように、ピンホールアレイ30は、入射する光の偏光分離をより確実に行うために設けられる。従って、ピンホール31の開口径は、偏光光71を遮蔽し、偏光光72を通過させることができるように設定される。即ち、ピンホール31の開口径は、偏光回折格子11のX軸方向寸法及びY軸方向寸法より小さく設定され、一般に小さければ小さいほど好ましいが、光の回折限界以下に小さくする必要はない。
図1に示した偏光センサー1は、図4に示した光学系単位をX軸方向及びY軸方向にそれぞれ4個ずつ、合計16個配置しているが、本発明の偏光センサーはこれに限定されない。偏光センサーに設けられる光学系単位の総数は図1より多くても少なくてもよい。また、X軸方向及びY軸方向の各配置個数は同じである必要はなく、また図1よりも多くても少なくてもよい。更に、光学系単位の配置は図1のような格子点状である必要はなく、例えばハニカム状であってもよい。
また、偏光分離精度を向上させるために、偏光回折格子アレイ10をZ軸方向に2枚以上重ねて配置してもよい。
図5は、本発明の別の実施形態に係る偏光センサー2の概略構成を示した分解斜視図である。図5の偏光センサー2は、図1の偏光センサー1と以下の点で異なる。第1に、偏光回折格子アレイ10を構成する4個×4個に配置された偏光回折格子11のうち2行目及び4行目に配置された合計8個の偏光回折格子11の媒質12,13の交互配列方向がY軸に対して同じ向きに45°傾斜されている。第2に、この8個の偏光回折格子11のうちの4個に対して、光の入射側に1/4波長板51が設けられている。
1/4波長板51の作製方法は特に限定されないが、図3A〜図3Cに示した偏光回折格子アレイ10と同様に重合性液晶を用いて作製することが好ましい。
具体的には、1/4波長板51は以下のようにして作製することができる。
最初に、ガラス基板上に例えばポリイミド等からなる配向膜を形成し、ラビング処理を行う。次いで、この配向膜上に重合性液晶を塗布する。重合性液晶の硬化後の厚さが、常光偏光と異常光偏光との間の光路差が1/4波長になるように、重合性液晶の塗布厚さが設定される。次いで、紫外線を露光して重合性液晶を硬化させ、一定方向に配向した高分子液晶膜を作製する。次いで、フォトリソ及びエッチングにより、所定の領域のみに高分子液晶膜が残るように高分子液晶膜をパターンニングする。高分子液晶膜が残された領域が図5に示す1/4波長板51となる。
あるいは、以下のようにして1/4波長板51を作製することもできる。最初に、基板に対してフォトリソ及びエッチングを行って所定領域を減厚して、基板の片面に常光偏光と異常光偏光との光路差が1/4波長になるような段差を形成する。次いで、上記所定領域内に、さらにフォトリソ、エッチングによりピッチが数μm、深さが数〜数十nm程度の互いに平行な複数の微小微深溝を形成する。あるいは、基板の片面の所定領域に上記微小微深溝を形成し、その後、上記所定領域を異方性エッチング等により減厚して常光偏光と異常光偏光との光路差が1/4波長になるような段差を形成してもよい。次いで、電鋳工程により、このようにして得た段差付き基板の表面形状を反転した金型を作製する。作製した金型を用いて図3Aと同様にして2P基板を作製し、図3及び図3Cと同様にしてこの2P基板上に重合性液晶を塗布し硬化させる。液晶性分子は、上記所定領域内に形成された微小微深溝に沿って配向する。この所定領域が図5に示す1/4波長板51となる。
上記のようにして重合性液晶を用いて作製された1/4波長板51では、液晶性分子の配向の方向が1/4波長板の遅相軸あるいは進相軸となる。
本実施形態の偏光センサー2を用いると、容易にストークスパラメータを取得することが可能になる。ストークスパラメータとは、偏光状態を表すパラメータである。ストークスパラメータについて説明する。
たとえばZ方向に進む光は、互いに直交する以下の成分で表すことができる。
Ex=Ax・exp{i(ωt−kz+δx)}
Ey=Ay・exp{i(ωt−kz+δy)}
ここで、ωは角周波数、kは波数ベクトル、δx、δyはそれぞれX方向及びY方向の光の位相、Ax、Ayはそれぞれx方向及びy方向の電場振幅である。
Ey=Ay・exp{i(ωt−kz+δy)}
ここで、ωは角周波数、kは波数ベクトル、δx、δyはそれぞれX方向及びY方向の光の位相、Ax、Ayはそれぞれx方向及びy方向の電場振幅である。
ストークスパラメータは、4つパラメータS0、S1、S2、S3であり、次のように定義される。
S0=<Ax2>+<Ay2>
S1=<Ax2>−<Ay2>
S2=2<AxAy・cosδ>
S3=2<AxAy・sinδ>
ここで、<>は時間平均を示し、δ=δy−δxである。
S1=<Ax2>−<Ay2>
S2=2<AxAy・cosδ>
S3=2<AxAy・sinδ>
ここで、<>は時間平均を示し、δ=δy−δxである。
透過軸がX軸と平行になるように偏光子を配置した場合の透過光強度Ixは<Ax2>であり、透過軸がY軸と平行になるように偏光子を配置した場合の透過光強度Iyは<Ay2>であり、透過軸がY軸に対して45°になるように偏光子を配置した場合の透過光強度I45°は(1/2)・<Ax2>+(1/2)・<Ay2>+<AxAy・cosδ>であり、透過軸がY軸に対して45°になるように偏光子を配置し且つ進相軸の方位をX軸方向に設定した1/4波長板を偏光子よりも光源側に設置した場合の透過光強度IQ45°は(1/2)・<Ax2>+(1/2)・<Ay2>+<AxAy・sinδ>である。この4つの透過光強度を測定すればストークスパラメータを得ることができる。
図5に示す偏光センサー2を用いると、一度に上記の4つの透過光強度を測定することができるので、ストークスパラメータを得ることができ、入射する光の偏光状態を高速に解析することができる。
図6は、本発明の一実施形態に係る偏光解析装置6の概略構成を示した図である。この偏光解析装置6は、光源61と、コリメートレンズ62と、偏光子63と、偏光センサー64と、信号処理演算部65と、制御部66と、出力部67と、記憶部68とを備えている。偏光子63と偏光センサー64との間に測定対象である試料を保持した試料セル69が配置される。
光源61は、測定に必要な波長の光を出射することができれば特に限定はないが、例えばレーザーやLED等が好適である。光の波長を制御するための分光器が光源61と偏光子63との間に設けられていてもよい。
光源61から出射された光は、コリメートレンズ62によって略平行光に変換され、偏光子63を通過し直線偏光とされる。直線偏光は試料セル69に露光され、その透過光が偏光センサー64で検出される。偏光センサー64として、上述した本発明の偏光センサーが使用される。偏光センサー64は、信号処理演算部65に接続されている。信号処理演算部65は、偏光センサー64からの出力信号に基づいて、試料セル69内の試料によって偏光状態が変化したか等の解析を行う。制御部66は、信号処理演算部65が行う信号処理・演算等の制御を行うとともに、信号処理演算部65が出力した解析結果を出力部67に出力させたり、記憶部68に保存させたりする。出力部67としては、モニター、プリンタ等を例示することができる。記憶部68としては、ハードディスク、光ディスク、磁気テープ、半導体メモリ等を例示することができる。
偏光解析装置6は、偏光センサー64として本発明の偏光センサーを用いるので、簡単な構成で簡便に偏光解析を行うことができる。
本発明の偏光解析装置は図6に限定されない。例えば光ファイバーからの出射光等の自発光や、物体に反射した光の偏光状態の解析を行う場合、光源61、コリメートレンズ62、偏光子63、試料セル69を取り除くことができる。
本発明の偏光解析装置6は、旋光度測定装置等にも応用することが可能である。
(実施例1)
図6に示す偏光解析装置を作成し偏光状態の解析を行った。
図6に示す偏光解析装置を作成し偏光状態の解析を行った。
光源61として、中心波長λが560nmの市販のLEDを用いた。偏光子63として、市販の二色性偏光子を用いた。
図7に本実施例1の偏光センサー64を構成する、一つの偏光回折格子111と、これに対応するレンズ211、ピンホール311、受光素子411とからなる一光学系単位の断面図を示す。本実施例1の偏光センサー64は、ピンホール311が形成されたピンホールアレイがレンズアレイの受光素子アレイ側の面に形成されている点で、図1及び図4に示した偏光センサー1と異なる。
偏光回折格子アレイは図3A〜図3Cに示した方法で作製した。最初に、フォトリソ、エッチング、電鋳工程を経て、互いに平行な複数の溝からなる凹凸形状を表面に形成した金型60を作製した。次いで、この金型60に、図3Aに示すように、紫外線硬化樹脂61を塗布し、更に紫外線硬化樹脂61上にガラス基板62を積層した。紫外線硬化樹脂61として、ジシクロペンタジエニルヘキサアクリレート(共栄社化学製)に、イソボルニルアクリレート(共栄社化学製)、屈折率調整剤としてフェノキシアクリレート(共栄社化学製)、重合開始剤としてイルガキュア(チバスペシャリティケミカルズ製)を混合したものを用いた。紫外線硬化樹脂61の硬化物の屈折率は1.53であった。ガラス基板62として、厚さ200μmの石英基板を用いた。次いで、ガラス基板62を介して紫外線63を露光して紫外線硬化樹脂61を硬化させた。次いで、硬化した紫外線硬化樹脂61及びガラス基板62を金型60から剥離して2P基板64を得た。2P基板64の紫外線硬化樹脂61の表面には金型60の凹凸形状が転写されていた。次いで、図3Bに示すように、上記2P基板64の紫外線硬化樹脂61上に重合性液晶65をスピンコートで塗布した。重合性液晶としてRMS03−001C(メルク製)を用いた。なお、RMS03−001Cの硬化物の常光屈折率は1.529、異常光屈折率は1.684である。次いで、図3Cに示すように、紫外線66を露光し、重合性液晶65を硬化し高分子化した。紫外線66として光波長365nmを主とした紫外線を用いた。
このようにして作製された偏光回折格子アレイに配置された偏光回折格子111においては、図3A〜図3Cに示した方法により、紫外線硬化樹脂61の凹凸形状の溝の表面と重合性液晶との間の分子相互作用により液晶性分子が自発的に溝の長手方向に沿って配向されるので、屈折率が異常光屈折率ne=1.684となる直線偏光(異常光偏光)の方向は溝の長手方向に平行となり、屈折率が常光偏光no=1.529となる直線偏光(常光偏光)の方向は溝の長手方向に垂直となる。また、紫外線硬化樹脂部(等方性媒質13)の屈折率は、高分子化された液晶部(複屈折性媒質12)の常光屈折率と同じであり、異常光屈折率と異なるので、常光偏光を回折させず、異常光偏光を回折させる偏光回折格子となる。
2P基板64の紫外線硬化樹脂61の表面に形成された凹凸形状を構成する溝の幅は5μm、ピッチは10μm、深さは1.87μmに設定した。この溝深さは、波長λ=560nmの異常光偏光が偏光回折格子111を通過するときに紫外線硬化樹脂部(等方性媒質13)と液晶部(複屈折性媒質12)との間で1/2λの位相差を生じさせる。溝幅/溝ピッチ=0.5、及び偏光回折格子111で発生する位相差が1/2λの場合、ほぼ全ての光が回折される。従って、偏光回折格子111により常光偏光と異常光偏光との偏光分離が可能になる。溝ピッチが10μmの場合、波長λ=560nmの異常光偏光の1次回折光は、空気中で光軸に対して3°の角度へ回折される。
偏光回折格子アレイに、一辺が50μmの正方形の偏光回折格子111を、X軸方向及びY軸方向にそれぞれ50μmピッチで6個ずつ合計36個を正方配列した。36個の偏光回折格子の媒質12,13の交互配列方向は、Y軸に対して時計回り方向に0°から350°まで10°おきに順に異ならせた。つまり、偏光回折格子アレイは、常光偏光を回折させず異常光偏光のみを回折させる36個の偏光回折格子111を備え、36個の偏光回折格子の媒質12,13の交互配列方向が、10°おきに36種類存在するように同一面内に配置されている。偏光回折格子アレイを構成している偏光回折格子111は、図3A〜図3Cに示した方法で作製されているので、回折を起こさない常光偏光方向及び回折を起こす異常光偏光方向は媒質12,13の交互配列方向と関係する。従って、偏光回折格子アレイは、回折を起こさない常光偏光方向及び回折を起こす異常光偏光方向が、10°おきに36種類存在するように同一面内に配置された偏光分離素子アレイである。
レンズアレイは、石英基板(屈折率1.45)上に2P法により以下のようにして作製した。最初に、石英透明基板上に紫外線硬化樹脂を塗布し、グレイスケールマスクを介して露光し現像してレンズ形状を作製した。次いで、Ni電鋳工程により、このレンズ形状を反転した金型を作製した。得られたNi金型上に、偏光回折格子111の作製に用いたのと同じ紫外線硬化樹脂を塗布し、更に石英基板(屈折率1.45)を積層した。そして、上記した偏光回折格子111の作製と同様に紫外線硬化樹脂を硬化させ、金型から剥離して、紫外線硬化樹脂に金型のレンズ形状を転写させてレンズアレイを得た。レンズ211の曲率半径は185.5μm、よってレンズ211の焦点距離fは350μmに設定した。紫外線硬化樹脂からなるレンズ211を保持する石英基板221の厚さは500μmとした。従って、レンズ211の光軸と平行にレンズ211に入射した光は、石英基板221のレンズ211が形成された面とは反対側の面に集光される。レンズ211の光軸に対して3°の角度で斜めに入射した光は、当該光軸から約20μm離れた位置に集光される。
ピンホールアレイはレンズアレイ(石英基板221)のレンズ211が形成されている面とは反対側の面に、ブラックレジストを用いてフォトリソ工程を利用して作製した。ピンホール311は、レンズ211の光軸上に直径10μmの円形に形成した。
受光素子アレイとして、市販のTFTセンサーアレイを用いた。受光素子アレイにおいて、幅20μmの長方形の受光部421を有する受光素子411を、X軸方向及びY軸方向にそれぞれそれぞれ50μmピッチで6個ずつ合計36個を正方配列した。各受光部421は、対応するレンズ211の光軸上に配置した。
上記の偏光回折格子アレイ、レンズアレイ、受光素子アレイを、測定に影響しない領域に形成したアライメントマークを用いて位置合わせして組み合わせ、偏光センサー64を作製した。
このようにして作製した偏光解析装置を利用して偏光解析を行った。試料セル69として1/4波長板を設置し、その光学軸を回転させたときの偏光センサー64からの出力信号を解析した。偏光子63を通過した直線偏光は、直線偏光の偏光方向に対して1/4波長板の光学軸がなす角度が0°、90°以外である場合、1/4波長板によって楕円偏光に変換され、特に当該角度が45°である場合は円偏光に変換される。偏光センサー64からの信号を解析することにより、1/4波長板を回転したときに偏光センサー64に入射する光の偏光状態がこのように変化することを確認することができた。
(実施例2)
図6に示す偏光解析装置を作成し偏光状態の解析を行った。本実施例2では、図5に示した偏光センサー2と同様に、偏光センサー64として偏光回折格子の光の入射側に1/4波長板が設けられたものを用いた。
図6に示す偏光解析装置を作成し偏光状態の解析を行った。本実施例2では、図5に示した偏光センサー2と同様に、偏光センサー64として偏光回折格子の光の入射側に1/4波長板が設けられたものを用いた。
光源61として、中心波長λが560nmの市販のLEDを用いた。偏光子63として、市販の二色性偏光子を用いた。
図8に本実施例2の偏光センサー64を構成する、一つの偏光回折格子112と、これに対応する1/4波長板512、レンズ212、ピンホール312、受光素子412とからなる一光学系単位の断面図を示す。本実施例2の偏光センサーは、偏光回折格子112の光の入射側に1/4波長板512が設けられている点、及び、レンズアレイの隣り合うレンズ212の境界部分にブラックマトリクス213が設けられている点で、図7に示した実施例1の偏光センサーと異なる。
偏光回折格子アレイは、実施例1と同じ材料を用いて実施例1と同じ方法で作製した。2P基板64の紫外線硬化樹脂61の表面に形成された凹凸形状を構成する溝の形状も実施例1と同じとした。但し、実施例1と異なり、偏光回折格子アレイに、一辺が100μmの正方形の偏光回折格子112を、X軸方向及びY軸方向にそれぞれ100μmピッチで8個ずつ合計64個を正方配列した。媒質12,13の交互配列方向がY軸に対して時計回り方向に0°、90°、45°、45°である4つの偏光回折格子を、X軸方向×Y軸方向に2×2の4領域に配置した偏光回折格子ユニットを、X軸方向及びY軸方向にそれぞれ4つずつ配置した。本実施例の偏光回折格子アレイは実施例1と同じ方法で作製しているので、回折を起こさない常光偏光方向及び回折を起こす異常光偏光方向は媒質12,13の交互配列方向と関係する。従って、偏光回折格子アレイは、回折を起こす異常光偏光方向が、Y軸に対して0°、90°、45°の3種類存在するように同一面内に配置された偏光分離素子アレイである。
レンズアレイは、実施例1と同じ材料を用いて実施例1と同じ方法で作製した。但し、実施例1と異なり、レンズ212の曲率半径は371μm、よってレンズ212の焦点距離は700μmに設定した。紫外線硬化樹脂からなるレンズ212を保持する石英基板222の厚さは1000μmとした。従って、レンズ212の光軸と平行にレンズ212に入射した光は、石英基板222のレンズ212が形成された面とは反対側の面に集光される。レンズ212の光軸に対して3°の角度で斜めに入射した光は、当該光軸から約40μm離れた位置に集光される。レンズアレイのレンズ212が形成された側の面上の、隣り合うレンズ212間の境界部分には、ブラックレジストを用いてフォトリソ工程を利用してブラックマトリクス213を設けた。
実施例1と同様に、ピンホールアレイはレンズアレイ(石英基板222)のレンズ212が形成されている面とは反対側の面に、ブラックレジストを用いてフォトリソ工程を利用して作製した。ピンホール312は、レンズ212の光軸上に直径10μmの円形に形成した。
受光素子アレイとして、市販のTFTセンサーアレイを用いた。受光素子アレイにおいて、幅20μmの長方形の受光部422を有する受光素子412を、X軸方向及びY軸方向にそれぞれそれぞれ100μmピッチで8個ずつ合計64個を正方配列した。各受光部422は、対応するレンズ212の光軸上に配置した。
1/4波長板512は、以下のような方法で作製した。
最初に、厚さ300μmの石英基板(屈折率1.45)522上に厚さ0.1μm程度のポリイミド膜を形成し、ラビング処理を行い配向膜を形成した。次いで、この配向膜上に重合性液晶をスピンコートで塗布した。重合性液晶としてRMS03−001C(メルク製)を用いた。重合性液晶の塗布厚さは、紫外線硬化後に厚さ0.93μmになるように設定した。次いで、紫外線を露光して重合性液晶を硬化させ、一定方向に配向した高分子液晶膜を作製した。次いで、フォトリソ及びエッチングにより、一辺が100μmの正方形領域がX軸方向及びY軸方向のそれぞれにおいて200μmピッチで残るように、高分子液晶膜をパターニングした。残された一辺が100μmの正方形の高分子液晶膜が1/4波長膜512である。高分子液晶膜の厚さ0.93μmは、波長λ=560nmの光が透過したときに常光偏光と異常光偏光との間の位相差が1/4λになる厚さである。
上記の1/4波長板、偏光回折格子アレイ、レンズアレイ、受光素子アレイを、測定に影響しない領域に形成したアライメントマークを用いて位置合わせして組み合わせ、偏光センサー64を作製した。1/4波長板512は、4種類の偏光回折格子からなる偏光回折格子ユニットを構成する、媒質12,13の交互配列方向がY軸に対して45°をなす2つの偏光回折格子(つまり、回折され、常光偏光から分離される異常光偏光の方向が、Y軸に対して45°をなす2つの偏光回折格子)のうちの一方のみに重なるように配置した。
このようにして作製した偏光解析装置を利用して偏光解析を行い、ストークスパラメータを取得した。試料セル69として1/4波長板を設置し、その光学軸を回転させたときの偏光センサー64からの出力信号を解析した。偏光子63を通過した直線偏光は、直線偏光の偏光方向に対して1/4波長板の光学軸がなす角度が0°、90°以外である場合、1/4波長板によって楕円偏光に変換され、特に当該角度が45°である場合は円偏光に変換される。偏光センサー64からの信号を解析することにより、1/4波長板を回転したときに偏光センサー64に入射する光の偏光状態がこのように変化することをストークスパラメータにより確認することができた。
本発明の利用分野は特に制限はなく、偏光状態を解析する必要がある分野に広範囲に利用することができる。
1,2,64 偏光センサー
6 偏光解析装置
10 偏光回折格子アレイ
11,111,112 偏光回折格子
12 複屈折を有する光学媒質
13 等方性媒質
20 レンズアレイ
21,211,212 レンズ
30 ピンホールアレイ
31,311,312 ピンホール
40 受光素子アレイ
41,411,412 受光素子
51,512 1/4波長板
6 偏光解析装置
10 偏光回折格子アレイ
11,111,112 偏光回折格子
12 複屈折を有する光学媒質
13 等方性媒質
20 レンズアレイ
21,211,212 レンズ
30 ピンホールアレイ
31,311,312 ピンホール
40 受光素子アレイ
41,411,412 受光素子
51,512 1/4波長板
Claims (8)
- 常光屈折率がnoであり異常光屈折率がneである複屈折を有する光学媒質と、屈折率がnoあるいはneである等方性媒質とが周期的に交互に配列され、常光偏光及び異常光偏光のいずれか一方のみを回折させる複数の偏光回折格子を備え、
前記複数の偏光回折格子は、前記複屈折を有する光学媒質と前記等方性媒質とが交互に配列された方向が少なくとも2種類以上存在するように同一面内に配置されていることを特徴とする偏光回折格子アレイ。 - 前記複屈折を有する光学媒質は液晶性分子であることを特徴とする請求項1に記載の偏光回折格子アレイ。
- 前記偏光回折格子アレイに対して光の出射側に、前記複数の偏光回折格子と一対一に対応した複数のピンホールが同一面内に配置されたピンホールアレイを更に備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の偏光回折格子アレイ。
- 前記偏光回折格子アレイに対して光の出射側に、前記複数の偏光回折格子と一対一に対応し且つ前記複数の偏光回折格子を透過した光をそれぞれ集光する複数のレンズを有するレンズアレイを更に備えることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の偏光回折格子アレイ。
- 前記偏光回折格子アレイに対して光の出射側に、
前記複数の偏光回折格子と一対一に対応した複数のピンホールが同一面内に配置されたピンホールアレイと、
前記複数の偏光回折格子と一対一に対応し且つ前記複数の偏光回折格子を透過した光をそれぞれ集光する複数のレンズを有するレンズアレイと
を更に備え、
前記ピンホールアレイは前記レンズアレイの焦点面又はその近傍に配置されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の偏光回折格子アレイ。 - 請求項1〜5のいずれかに記載の偏向回折格子アレイと、前記複数の偏光回折格子と一対一に対応し且つ前記複数の偏光回折格子を透過した光をそれぞれ受光する複数の受光素子を有する受光素子アレイとを備えることを特徴とする偏光センサー。
- 前記複数の偏光回折格子のうちの少なくとも1つに対応する1/4波長板が前記偏光回折格子アレイに対して光の入射側に設けられていることを特徴とする請求項6に記載の偏光センサー。
- 請求項6又は7に記載の偏向センサーを備えることを特徴とする偏光解析装置。
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-
2010
- 2010-03-10 JP JP2010053537A patent/JP2011186328A/ja not_active Withdrawn
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