JPWO2014003146A1 - 偏光制御素子、近接場光源、および並列電子線装置 - Google Patents

偏光制御素子、近接場光源、および並列電子線装置 Download PDF

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Abstract

直線偏光を軸対称偏光に変換する偏光制御素子(10)を、透光性を有する基板(20)と、基板(20)上の放射状に分割された複数の分割領域の各々に設けられた、前記複数の分割領域ごとに方向を異ならせ、かつ間にスリット(24)を有するように延伸されるとともに、前記複数の分割領域の1つの延伸方向を基準とした場合に、隣接する分割領域の延伸方向の前記基準の延伸方向とのなす角度が、周方向に増加、または減少する方向とされている複数の金属(22)を含んで構成された複数の波長板(12a、12b、12c、12d)を含む偏光変換部とを備えて構成した。

Description

本発明は、偏光制御素子、近接場光源、および並列電子線装置に関する。
偏光は光技術の重要な要素であり、直線偏光や円偏光などは広く利用されている。これらの偏光は,光線の断面内で一様な偏光状態を持っている。ところが近年、光線の断面内において偏光状態に分布を持つ光が注目されている。一例として、図1Aおよび図1Bに示すような軸対称偏光がある。代表的な軸対称偏光に図1Aに示すラジアル偏光、図1Bに示すアジムサル偏光がある。これらはそれぞれ、ビーム内での偏光状態が、光軸に対して動径方向および周方向に軸対称に分布している。前者は径偏光、軸方向偏光などとも呼ばれ、後者は周偏光、方位偏光、アジマス偏光などとも呼ばれる。ここで、軸対称とは、その形状を中心点の回りに回転させたとき、所要の回転角度で元の形状と重ね合わせることができる形状をいう。図1Aおよび図1Bの例では、中心点の回りに180°回転させたときにも元の形状と重ね合わせることができるので、点対称でもある。
同図において、矢印の向きは特定の偏光における電場ベクトルの位相を表しており、各偏光の電場ベクトルは、中心に対して反対向きの偏光の電場ベクトル、すなわち位相の反転した偏光の電場ベクトルと対になっている。そして、同図に示すように、電場の半周期の時間経過とともに偏光状態が反転する。
上記のラジアル偏光状態またはアジムサル偏光状態を有する光は、特異な集光特性や電磁場分布を持つことから、観察、加工、光ピンセットなど多くの分野に応用されている。特に、ラジアル偏光した光をレンズで集光すると各偏光が角度分散を持ち、それらの干渉により光の進行方向に大きな電場成分をもつ特殊な光の場を作り出せることが知られており、今後の応用が期待されている。
ところで、軸対称偏光を得るには、大別して二つの方法がある。第1の方法は、レーザ共振器の出力ミラーに特殊な形状のものを用いて、軸対称モードのレーザ光のみを発振させる方法である。このような方法の一例として、特許文献1には、出力ミラーとしてフォトニック結晶を採用し、円筒対称な偏光分布を有するレーザ光を発振するレーザ発振器が開示されている。
一方、第2の方法は、直線偏光や円偏光といった従来から知られた均一な分布を持つ偏光を、軸対称偏光に変換する光学素子(軸対称偏光子)を利用する方法である。軸対称偏光子の例として、非特許文献1には、GaAsウエハをECR(電子サイクロトロン共鳴)で渦状に溝加工し、サブ波長回折格子としたものが開示されている。非特許文献1の回折格子は、波長10.6μmの円偏光を入射することにより、ラジアル偏光あるいはアジムサル偏光を得ている。
また、第2の方法の別の例として、非特許文献2には、シリカガラスに軸対称レーザ光を照射して描画し、軸対称偏光子としたものが開示されている。非特許文献2の軸対称偏光子は、直線偏光または円偏光を入射することにより、ラジアル偏光あるいはアジムサル偏光を得ている。
さらに、第2の方法の別の例として、特許文献2には、放射状に8分割、あるいは16分割した光学結晶による2分の1波長板を、光学軸の方向を異ならせて基板に貼り付け軸対称偏光子としたものが開示されている。特許文献2の軸対称偏光子は、直線偏光を入射することにより、ラジアル偏光またはアジムサル偏光に近い偏光状態を得ている。
WO2008/117528 特許第4512693号公報
Z. Bomzon, G. Biener, V. Kleiner, and E. Hasman, Optics Letters, Vol.27, No.5, p285-287 (2002) M. Beresna, M. Gecevicius, P. Kazansly, and T. Gertus, Appl. Phys. Lett., 98 201101 (2011)
特許文献1のレーザ発振器によるものは、出射波長や軸対称偏光の状態等が固定されており、取り扱いが容易で、金属加工等の特定の目的を有する用途には適する。しかしながら、出射光の波長や、軸対称偏光の状態等を目的、用途に応じて変えたいような場合には、汎用性がなく適さない。
また、非特許文献1のサブ波長回折格子は、基板としてGaAsを用いているため適用する波長が赤外域等の長波長に限定され、観察・蛍光等の分野で必要となる可視光・紫外光には適用できない。
また、非特許文献2の軸対称偏光子は、レーザ描画による逐次的な加工により得るため、軸対称偏光子を多数アレイ状に配置する場合(軸対称偏光子アレイ)のような並列化用途への適用が困難である。そのため、MEMS(Micro Electro Mechanical System)等を利用した多数の光ビームを取り扱う並列光学素子への応用が難しい。
さらに、特許文献2の軸対称偏光子は、結晶材料を用いているため、一定の大きさ(一例として、直径数mmないし数10mm程度、厚さ10mm程度)が必要とされ、微細化、並列化が困難である。
本発明は、以上のような背景に鑑みてなされたものであり、可視域全体および一部近紫外域を含む広い波長範囲に利用可能で、薄型であり、微細化・並列化(アレイ化)が可能な偏光制御素子、該偏光制御素子を用いた近接場光源、および並列電子線装置を提供することを目的とする。
本発明の第1の態様に係る偏光制御素子は、透光性を有する基板と、前記基板上の放射状に分割された複数の分割領域の各々に設けられた、前記複数の分割領域ごとに方向を異ならせ、かつ間にスリットを有するように延伸されるとともに、前記複数の分割領域の1つの延伸方向を基準とした場合に、隣接する分割領域の延伸方向の前記基準の延伸方向とのなす角度が、周方向に増加、または減少する方向とされている複数の金属を含んで構成された複数の波長板を含む偏光変換部と、を備えるものである。
第1の態様に係る偏光制御素子によれば、透光性を有する基板上に延伸して形成された複数の金属および隣接する金属に挟まれたスリットにより波長板を構成しているので、結晶による波長板を用いた従来技術に比較して、可視域全体および一部近紫外域を含む広い波長範囲に利用可能で、薄型であり、微細化が可能な偏光制御素子を実現できるという効果が得られる。
本発明の第2の態様に係る偏光制御素子は、第1の態様に係る偏光制御素子において、前記波長板は2分の1波長板であり、隣接する前記波長板に含まれる前記複数の金属の延伸方向のなす角度が、180を前記波長板の数で割った角度であるものである。
本発明の第3の態様に係る偏光制御素子は、第1または第2の態様に係る偏光制御素子において、前記基板が、石英ガラス、溶融石英ガラス、ホウケイ酸ガラス、サファイア、および蛍石のうちのいずれかで形成されているものである。
本発明の第4の態様に係る偏光制御素子は、第1ないし第3のいずれか1つの態様に係る偏光制御素子において、前記金属が、金、アルミニウムおよび銀のうちのいずれかであるものである。
本発明の第5の態様に係る偏光制御素子は、第1ないし第4のいずれか1つの態様に係る偏光制御素子において、前記金属の前記基板の表面からの高さをH(nm)、前記スリットの幅をW(nm)とした場合に、前記HおよびWが、100≦W/(H−100)≦441なる関係を満たすものである。
本発明の第6の態様に係る偏光制御素子は、第1ないし第5のいずれか1つの態様に係る偏光制御素子において、前記複数の波長板の各々が、前記複数の波長板の各々を構成する複数の金属に接続されるとともに、前記複数の金属の延伸方向と交差する方向に延伸された金属をさらに含むものである。
本発明の第7の態様に係る偏光制御素子は、第1ないし第5のいずれか1つの態様に係る偏光制御素子において、前記複数の波長板の各々が、前記複数の波長板の各々を構成する複数の金属を分断するとともに、前記複数の金属の延伸方向と交差する方向に延伸されたスリットをさらに含むものである。
本発明の第8の態様に係る偏光制御素子は、第1ないし第7のいずれか1つの態様に係る偏光制御素子において、前記基板上に、前記偏光変換部が複数設けられているものである。
第8の態様に係る偏光制御素子によれば、偏光制御素子を並列化してアレイ状に配置した偏光制御素子アレイを実現できるという効果が得られる。
本発明の第9の態様に係る近接場光源は、先端を先鋭化した金属探針と、前記金属探針に対して前記金属探針の先端とは反対側に配置された第1ないし第7のいずれか1つの態様に係る偏光制御素子と、前記偏光制御素子を介して、前記金属探針の先端に光を照射する光源と、を含むものである。
第9の態様に係る近接場光源によれば、第1ないし第7のいずれか1つの態様に係る偏光制御素子を用いた近接場光源を実現できるという効果が得られる。
本発明の第10の態様に係る近接場光源アレイは、先端を先鋭化した金属探針を、各々の先端が同一または略同一の面上となるようにアレイ状に複数配置した金属探針アレイと、前記金属探針アレイに対して前記金属探針の先端とは反対側に、光の入射面が前記金属探針の先端が配置された面と平行または略平行に配置された第8の態様に係る偏光制御素子と、前記偏光制御素子を介して、前記金属探針アレイの各々の金属探針の先端に光を照射する光源と、を含むものである。
ここで、「略同一面上」、または「略平行」とは、近接場光源アレイの製造誤差や、経時的変化、環境状態に応じた変形等を許容した範囲内で、同一面上、または平行であることをいう。
第10の態様に係る近接場光源アレイによれば、偏光制御素子アレイを用いて、近接場光源をアレイ状に配置した近接場光源アレイを実現できるという効果が得られる。
本発明の第11の態様に係る近接場光源アレイは、第10の態様に係る近接場光源アレイにおいて、前記金属探針アレイにおける各々の金属探針は、前記偏光制御素子における各々の前記偏光変換部に対応して設けられているものである。
第11の態様に係る近接場光源アレイによれば、金属探針アレイにおける各々の金属探針と、偏光制御素子における各々の偏光変換部が1:1に対応して設けられているので、さらに効率よく近接場光を発生することのできる近接場光源アレイが実現できるという効果が得られる。
本発明の第12の態様に係る並列電子線装置は、先端が同一または略同一の面上に配置されるようにして、先鋭化して形成された複数の錘状部を有する透光性の基板、前記基板上の前記複数の錘状部が設けられた面に金属で形成された第1の電極と前記錘状部の先端に対し間隙を設けて前記錘状部の周囲に配置された第2の電極とを含んで構成された複数の電界放出電子源、および前記第1の電極と前記第2の電極との間に接続された電源を具備した並列電界放出電子源と、前記並列電界放出電子源に対して前記先端とは反対側に、光の入射面が前記先端が配置された面と平行または略平行に配置された第8の態様に係る偏光制御素子と、前記偏光制御素子に対して前記並列電界放出電子源とは反対側に配置され、励起光源からの励起光を前記偏光制御素子を介して、前記並列電界放出電子源の対応する前記電界放出電子源に照射するかしないかを選択的に切り換える複数のミラーを有するミラーアレイと、を含むものである。
第12の態様に係る並列電子線装置によれば、偏光制御素子アレイを用いて、電界放出電子源をアレイ状に配置して構成した並列電子線装置を実現できるという効果が得られる。
可視域全体および一部近紫外域を含む広い波長範囲に利用可能で、薄型であり、微細化・並列化(アレイ化)が可能な偏光制御素子、該偏光制御素子を用いた近接場光源、および並列電子線装置を提供することができるという効果が得られる。
実施の形態に係る軸対称偏光を説明するための模式図である。 実施の形態に係る軸対称偏光を説明するための模式図である。 第1の実施の形態に係る軸対称偏光子の機能を説明するための模式図である。 第1の実施の形態に係る軸対称偏光子の作用を説明するための説明図である。 第1の実施の形態に係る軸対称偏光子の構成を示す模式図である。 第1の実施の形態に係る軸対称偏光子の構成を示す模式図である。 第1の実施の形態に係る軸対称偏光子の構成を示す模式図である。 第1の実施の形態に係るナノスリット構造体の斜視図である。 第1の実施の形態に係るナノスリット構造体の作用を説明するための説明図である。 第1の実施の形態に係る軸対称偏光子の製造工程を示す工程図である。 第1の実施の形態に係る軸対称偏光子アレイの写真である。 第1の実施の形態に係る軸対称偏光子アレイの模式図である。 第1の実施の形態に係るナノスリット構造体の複屈折量の測定値および計算値を示すグラフである。 第1の実施の形態に係る軸対称偏光子の出射光の観測系の構成例を示すブロック図である。 第1の実施の形態に係る軸対称偏光子の出射光の観測結果の一例を示す説明図である。 第1の実施の形態に係るナノスリット構造体の複屈折量と金膜厚およびナノスリットの幅との関係を示すグラフである。 第1の実施の形態に係る各波長における金膜厚およびナノスリットの幅の最適値を示すグラフである。 第1の実施の形態に係る各波長におけるAl膜厚およびナノスリットの幅の最適値を示すグラフである。 第2の実施の形態に係る軸対称偏光子の構成を示す模式図である。 第2の実施の形態に係る軸対称偏光子の構成を示す模式図である。 第3の実施の形態に係る軸対称偏光子の構成を示す模式図である。 第4の実施の形態に係る近接場光を説明するための模式図である。 第4の実施の形態に係る近接場光源アレイの構成を示す構成図である。 第5の実施の形態に係る並列電子線装置の構成を示す構成図である。 第5の実施の形態に係るミラーアレイの平面図である。 第5の実施の形態に係る並列電界放出電子源の平面図である。 第5の実施の形態に係る電界放出電子源の構成を示す構成図である。
以下、図面を参照して、本発明を実施するための形態を詳細に説明する。
[第1の実施の形態]
まず、図2を参照して、本実施の形態に係る軸対称偏光子10について説明する。本実施の形態に係る軸対称偏光子10は、特定方向に偏光方向を設定された偏光を入射させることにより、ラジアル偏光またはアジムサル偏光を出射する偏光制御素子として機能する。
同図に示すように本実施の形態に係る軸対称偏光子10は、4つのナノスリット構造体12a、12b、12c,および12d(以下、個々のナノスリット構造体を区別しない場合には、単に「ナノスリット構造体12」という。)を含んで構成されている。そして、各々のナノスリット構造体12は、後述するように2分の1波長板(以下、「λ/2板」という。)として機能する。
λ/2板とは、一般的には複屈折性を有する結晶からなり、入射光に対して180°の位相差を与える複屈折位相子である。複屈折性とは、物質を透過する時の光の速さが、透過する光の電場ベクトルの向きに依存する性質をいい、入射した光の電場成分の位相が進む方向を進相軸(fast軸)、逆に位相が遅れる方向を遅相軸(slow軸)という。
上記のような特性を有するために、その進相軸に対してθなる角度で傾いた偏光方向を有する直線偏光がλ/2板に入射すると、出射光の偏光方向は入射光の偏光方向に対して2θだけ回転する。
つぎに、図3を参照して、本実施の形態に係る軸対称偏光子10の作用について説明する。同図(a)は、軸対称偏光子10がラジアル偏光を出射する場合の作用を示している。軸対称偏光子10は4つのナノスリット構造体12aないし12dを含んで構成され、その進相軸(図中一点鎖線で示している。)は同図に示すように互いに45°ずつ異なっている。そして、任意のナノスリット構造体12の進相軸を基準線にした場合、隣接するナノスリット構造体12の進相軸が基準線となす角度は、周方向に45°ずつ漸次増加または減少するように構成されている。
ここで、同図(a)に示すように、ナノスリット構造体12dの進相軸を基準にとり(同図に基準線として示している)、該基準線に対し45°傾いた偏光が入射した場合を考える。
このとき、ナノスリット構造体12aについては、入射光の偏光方向と進相軸とのなす角度は0°、すなわち平行であるので、出射光は入射光と平行になり、入射光はその偏光方向を回転させることなくナノスリット構造体12aを通過する。つぎに、ナノスリット構造体12bでは、入射光と進相軸のなす角は45°なので、出射光の偏光方向は90°回転し、進相軸に対し入射光と対称な偏光方向となる。つぎに、ナノスリット構造体12cでは、入射光は進相軸と直行する方向に入射するので、出射光は入射光の偏光方向を180°回転したものとなる。そして、ナノスリット構造体12dでは、入射光は進相軸に対し45°の角度で入射するのでその偏光方向は90°回転し、出射光は進相軸に対し入射光と対称な偏光方向となる。
以上4つのナノスリット構造体12aないし12dによって、それぞれ入射偏光が回転された出射偏光を合成すると、出射光全体は同図(a)に示すように軸対称なラジアル偏光となる。
同図(b)に示すように、アジムサル偏光を得たい場合には、基準線に対し135°入射角を傾けた偏光を軸対称偏光子10に入射すればよい。軸対称偏光子10の作用は、上記ラジアル偏光の場合と同様に考えることができる。
以上のように、本実施の形態に係る軸対称偏光子10によれば、入射する偏光の偏光方向を異ならせるだけでラジアル偏光およびアジムサル偏光を切り替えて得ることができる。
つぎに、図4Aないし図4C、および図5を参照して、ナノスリット構造体を形成する材料として金を用いた場合のナノスリット構造体12の構成について詳細に説明する。
まず、図4Aに示すように、本実施の形態に係る軸対称偏光子10は、先述したように、進相軸の方向が45°ずつ異なるナノスリット構造体12aないし12dを含んで構成されている。同図において、双方向の矢印の向きはナノスリット構造体12におけるナノスリットの方向、すなわち進相軸の方向を示している。そして、図4Cに示すように、本実施の形態に係る軸対称偏光子10は、石英ガラス基板20(図4Bも参照)上に蒸着された金の膜に、ナノスリット構造体12の進相軸の方向に応じてナノスリット24を設けた構成となっている。
図4Bは、図4Cに示す軸対称偏光子10のナノスリット構造体12d中に示した一点鎖線Sで切り取った部分を射視した図である。図4Bに示すように、各ナノスリット構造体12aないし12dは、石英ガラス基板20上に形成された複数の金ライン22、および隣接する金ライン22に挟まれたナノスリット24を含んで構成されている。
図5に、図4Bのナノスリット構造体12の拡大図を示す。同図には、後述の説明で用いる各パラメータとして、ナノスリット24の幅W、金ライン22の金膜厚H、金ライン22(またはナノスリット24)の周期P、および石英ガラス基板20の厚さtの定義を併せて示している。なお、クロム層26は後述する石英ガラス基板20と金ライン22との密着層である。
つぎに、図6を参照して、ナノスリット構造体12の作用について説明する。
同図に示すように、金ライン22はy軸方向に延伸されており、隣接する金ライン22に挟まれた領域が、サブ波長オーダーの幅Wを有するナノスリット24を形成している。かかる構成において、石英ガラス基板20の底面(石英ガラス基板20の表面のうち、金ライン22が形成されていない側の面)から光を入射した場合、入射光の電場ベクトルは、y軸方向成分(金ライン22に平行な方向:TE方向)の偏光とx軸方向成分(金ライン22に直交する方向:TM方向)の偏光に分離して考えることができる。
このとき、金ライン22の作用によって、TE方向の偏光に対しては波数が小さくなるため位相が進む(進相軸)。一方、TM方向の偏光については、金ラインの表面に表面プラズモンが励起されるために波数が大きくなって位相が遅れる(遅相軸)。そのため、TE方向の偏光とTM方向の偏光との間に大きな光学的位相差が発生し、複屈折性を示すようになる。このような、TE方向の偏光とTM方向の偏光に対する金ライン22の作用の相違は、金ライン22と空気との境界において、TE方向の偏光の電場は0となり光プロファイルがナノスリット24内に閉じ込められるのに対し、TM方向の偏光の電場は金ライン22と空気の境界においてピークとなるという違いに起因している。(図6のナノスリット24内に図示した、各々の光プロファイルを参照。)
なお、以上の説明は、S. Y. Hsu , K. L. Lee, E. H. Lin, M. C. Lee. and P.K. Wei, Appl. Phy. Lett. 95, 013105 (2009) を参考にしている。
本実施の形態におけるナノスリット構造体12は、上記TE方向の偏光とTM方向の偏光との間の光学的位相差が約180°となるように設計されている。そのため、先述したように、各ナノスリット構造体12aないし12dは、それぞれの進相軸の方向に応じて入射した偏光の偏光軸を回転させる。
上記で説明した本実施の形態に係るナノスリット構造体12は、その原理的な特徴により、微細構造でありながら非常に大きな複屈折性を有するので、微小サイズのλ/2板を実現することができる。
つぎに、図7を参照して、本実施の形態に係る軸対称偏光子10の製造方法について説明する。本実施の形態に係る軸対称偏光子10は、一例として、電子ビーム(EB)リソグラフィおよびリフトオフにより製造することができる。
まず、石英ガラス基板20に電子ビーム露光用のレジスト50を塗布する(同図(a))。石英ガラス基板20の大きさは、一例として2cm角とすることができ、厚さは、一例として500μmとすることができる。レジスト50は電子線用のもので、たとえば、PMMA(Polymethyl Methacrylate)系のレジストを用いることができる。
つぎに、レジストの取り除きたい部分に電子ビームを照射する(同図(b)、露光)。
つぎに、現像液に浸して電子ビームを照射した部分のレジスト50を取り除く(同図(c)、現像)。現像液としては、たとえば、TMAH(Tetramethylammonium hydroxide)等を用いることができる。
つぎに、石英ガラス基板20の全体にCr(クロム)を蒸着した後、金を蒸着する(同図(d))。この際に用いたCrは金ライン22と石英ガラス基板20との間の密着層であり、必須のものではない。
つぎに、有機溶媒に浸して、残留しているレジスト50を除去する(同図(e)、リフトオフ)。有機溶媒としては、たとえば、アセトン等を用いることができる。
以上のような工程により、図4Cに示すような金膜により周囲を囲まれたナノスリットを含んで構成された、本実施の形態に係る軸対称偏光子10を得ることができる。
なお、本実施の形態においては、電子ビームを照射した部分が取り除かれるいわゆるポジ型レジストを用いているが、これに代えて電子ビームを照射した部分が残るネガ型レジストを用いてもよい。
また、本実施の形態では、基板として石英ガラス基板を用いているが、その他、溶融石英ガラス、ホウケイ酸ガラス、サファイア、および蛍石などを好適に用いることができる。
また、本実施の形態では、金属ラインを形成する材料として金を用いているが、その他、表面プラズモン効果による損失が少ないアルミニウム、および銀などを好適に用いることができる。
また、石英ガラス基板20の光の入射面には、必要に応じAR(Anti−reflective)コート(反射防止膜)を施してもよい。
さらに、本実施の形態では金属ラインを形成する方法としてリフトオフを例示して説明したが、これに限られず、金属メッキをエッチングして形成する方法や、レジストを鋳型にして金属ラインを形成するLIGA法などを用いて形成してもよい。
つぎに、図8A、図8Bおよび図9を参照して、上記製造プロセスによって製造された本実施の形態に係る軸対称偏光子10の特性について説明する。
図8Aに、本実施の形態に係る軸対称偏光子10を複数有する軸対称偏光子アレイ100の電子顕微鏡写真を示す。軸対称偏光子アレイ100は、図4Cに示す軸対称偏光子10が9個アレイ状に配置されている。図8Bは、ナノスリット24の方向を明瞭化して図示した軸対称偏光子アレイ100の模式図である。同図に示すように、本実施の形態に係る軸対称偏光子アレイ100は、一様に形成された金膜に周囲を囲まれたナノスリット24含んで構成されている。
軸対称偏光子10の各ナノスリット構造体12における各部寸法は、金ライン22の周期Pを525nm、ナノスリットの幅Wを300nm、および金膜厚Hを445nmとし、軸対称偏光子10のサイズを1辺が10μmの正方形とした。また、石英ガラス基板20の厚さtを500μmとした。(図5参照。)このように、本実施の形態に係る軸対称偏光子10は、結晶を並べて配置した従来例に比較して、微細化と同時に、非常に薄型にできるのも特徴のひとつである。
図9は、軸対称偏光子アレイ100の各ナノスリット構造体12における複屈折量(位相差)をセナルモン法を用いて測定した結果である。セナルモン法とは、1/4波長板と偏光子を組み合わせて、試料透過後の楕円偏光を直線偏光に戻して、楕円率と楕円主軸の方向を決定する手法であるが、公知の手法であるので詳細な説明については省略する。
図9には、有限差分時間領域法(FDTD法)を用いた電磁場解析による計算値も併せて図示している。
同図から、波長610〜630nm付近で位相差が180°に達しており、λ/2板として機能していることがわかる。また、実験値と計算値はよく一致していることもわかる。
つぎに、本実施の形態に係る軸対称偏光子10が、実際に直線偏光を軸対称偏光へ変換していることを確認した観測結果について説明する。なお、本観測では、上記軸対称偏光素子アレイ100のナノスリット構造体12の各部寸法と同様の寸法で作成した、1辺が100μmの軸対称偏光子10を用いている。
図10は、本実施の形態に係る軸対称偏光子10からの出力光の観測に用いた軸対称偏光観測系200を示している。
図10において、白色光源30(たとえば、ハロゲンランプ等)より出射した光をコリメート用のレンズ34を通し、偏光子36にて偏光方向を特定した直線偏光に変換する。その直線偏光を本実施の形態に係る軸対称偏光子10に入射させ、偏光方向を特定して軸対称偏光子10の出射光を切り出す検光子38を通過させる。その後、軸対称偏光子10からの出射光を集光用のレンズ42を通して観測用のカメラ32に入射させる。白色光源30とレンズ34との間には、必要に応じ、白色光源30からの出射光の特定波長のみを選択的に透過させる(つまり、白色光源を単一波長化する)フィルタ40を挿入する。ここで、本実施の形態では、図9の実験結果から、633nmのフィルタ40を採用した。
以上のような軸対称偏光観測系200を用いて軸対称偏光子10からの出射光を観測した結果を図11に示す。同図における写真(a)ないし(d)は、633nmの単色光源による軸対称偏光子10の透過画像を示している。
まず、図11の写真(a)および(b)は、図11に示す基準線に対し45°の角度をなす偏光状態の入射光(図11において、上側の入射偏光)を軸対称偏光子10に入射させた場合について、検光子38の通過方向を基準線に対し45°および135°の角度をなすように設定した場合の軸対称偏光子10からの出射光の観測結果を示している。
図11の写真(a)を参照して、45°方向の検光子38を通過した軸対称偏光子10からの出射光は、右上、左下に位置するナノスリット構造体12aおよびナノスリット構造体12cから出射しており、左上、右下に位置するナノスリット構造体12bおよびナノスリット構造体12dが消光していることがわかる。一方、図11の写真(b)を参照すると、135°方向の検光子38を通過した軸対称偏光子10からの出射光は、左上、右下に位置するナノスリット構造体12bおよびナノスリット構造体12dから出射しており、右上、左下に位置するナノスリット構造体12aおよびナノスリット構造体12cが消光していることがわかる。
以上の観測結果から、軸対称偏光子10に対し、基準線に対して45°の角度をなす偏光方向を有する光を入射させると、出射光はラジアル偏光になっていることがわかる。
つぎに、図11の写真(c)および(d)は、基準線に対し135°の角度をなす偏光状態の入射光(図11において、下側の入射偏光)を軸対称偏光子10に入射させた場合について、検光子38の通過方向を基準線に対し45°および135°の角度をなすように設定した場合の軸対称偏光子10からの出射光の観測結果を示している。
図11の写真(c)を参照して、45°方向の検光子38を通過した軸対称偏光子10からの出射光は、左上、右下に位置するナノスリット構造体12bおよびナノスリット構造体12dから出射しており、右上、左下に位置するナノスリット構造体12aおよびナノスリット構造体12cが消光していることがわかる。一方、図11の写真(d)を参照すると、135°方向の検光子38を通過した軸対称偏光子10からの出射光は、右上、左下に位置するナノスリット構造体12aおよびナノスリット構造体12cから出射しており、左上、右下に位置するナノスリット構造体12bおよびナノスリット構造体12dが消光していることがわかる。
以上の観測結果から、軸対称偏光子10に対し、基準線に対して135°の角度をなす偏光方向を有する光を入射させると、出射光はアジムサル偏光になっていることがわかる。
ここで、上述においては、波長が633nmの場合について例示して説明したが、金ラインおよび隣接する金ラインで形成されたナノスリットをガラス基板上に配置したモデルについて、FDTD法による解析を行なうことにより、他の波長についても軸対称偏光子10の最適設計値を求めることができる。この解析は、各波長について、たとえば、金膜厚Hおよびナノスリット幅Wをパラメータとし、位相差およびTE方向の電界の振幅とTM方向の電界の振幅の比である振幅比TE/TMを評価して行なうことができる。
図12は、光の波長が633nmにおける上記解析の結果を示している。各図は、横軸を金膜厚(Gold thickness)とし、縦軸をナノスリットの幅(Slit width)として、軸対称偏光子10におけるTE方向とTM方向の偏光成分の位相差を同図(a)に、振幅比TE/TMを同図(b)に、同図(a)における位相差180°の曲線と同図(b)における振幅比1の曲線を重ねたものを同図(c)に示している。なお、図12の解析においては、金ライン22の周期Pを500nmとしている(図5も参照)。
本実施の形態に係る軸対称偏光子10の金膜厚Hおよびナノスリット幅Wの最適値は、同図(c)における位相差180°の曲線および振幅比1の曲線の交点近傍の値として求めることができる。同図から、波長633nmにおいては、金膜厚Hの最適値は約320nm、ナノスリット幅Wの最適値は約250nmであることがわかる。
同様にして、他の波長について金膜厚Hとナノスリット幅Wの最適値を求めた結果を表1に示す。同表に示すように、金属ラインを形成する材料として金を用いた場合の本実施の形態に係る軸対称偏光子10は、特に可視域の広い波長範囲にわたって設計することが可能であることがわかる。
さらに、図13は、表1に示した各波長に対して、位相差が170°以上、180°以下であって、かつ振幅比が0.95以上、1.05以下を実現する金膜厚Hおよびナノスリット幅Wの領域をそれぞれプロットしたグラフである。位相差および振幅比についての前記範囲は、軸対称偏光子10の性能指標であり、軸対称偏光子10によって変換・出射された軸対称偏光が十分実用的である範囲を示している。
図13には、下記(式1)および(式2)で示される、上記各波長についてのプロットを間に包含するようにして求めた2本の近似線を併せて示している。
/(H−100)=100 ・・・ (式1)
/(H−100)=441 ・・・ (式2)
したがって、金膜厚Hおよびナノスリット幅Wを、下記(式3)の範囲内の領域から選択して軸対称偏光子10を設計することにより、特に可視域の広い波長範囲にわたって軸対称偏光子10を実現することができる。
100≦W/(H−100)≦441 ・・・ (式3)
ここで、本実施の形態に係る軸対称偏光子10では、金属ラインを形成する材料として、金以外にアルミニウム(Al)、銀(Ag)等の材料が適用可能であるが、以下に、金属ラインを形成する材料としてAlを採用した場合の例を示す。
金属ラインを形成する材料としてAlを用いた本実施の形態に係る軸対称偏光子10について、図13と同様のグラフを作成した。すなわち、Alラインおよび隣接するAlラインで形成されたナノスリットをガラス基板上に配置したモデル(図4Bに示すナノスリット構造体12において、金ライン22をAlラインに変えたモデル)について、FDTD法による解析を行なった。
図14は、上記解析結果を元に、波長442nmおよび375nmの場合について、位相差が170°以上、180°以下であって、かつ振幅比が0.95以上、1.05以下を実現するAl膜厚Hおよびナノスリット幅Wの領域をそれぞれプロットしたグラフである。ただし、波長442nmにおけるAlラインの周期Pは250nm、波長375nmにおけるAlラインの周期Pは275nmとしている。
図14に示すように、Alラインを用いた場合の、波長442nmおよび375nmのプロットを包含する式も、上記の(式1)および(式2)と同様の式となった。したがって、Al膜厚Hおよびナノスリット幅Wを、上記(式3)の範囲内の領域から選択して軸対称偏光子10を設計することにより、可視域全域、および一部近紫外域を含む波長範囲の短波長側において軸対称偏光子10を実現することができる。
上記結果から、金属ラインを形成する材料として金およびAlを使い分けることにより、可視域全体および一部近紫外域を含む広い波長範囲(本実施の形態では、375nm〜780nm)にわたって適用可能な、本実施の形態の形態に係る軸対称偏光子10を実現することが可能であることがわかる。
なお、Alラインを用いた本実施の形態に係る軸対称偏光子10も、図7に示した製造方法を用いて製造することが可能である。すなわち、図7(d)の蒸着工程において、金を蒸着する代わりにアルミニウムを蒸着すればよい。
以上詳述したように、本実施の形態によれば、可視域全体および一部近紫外域を含む広い波長範囲において、一例として厚さが約500μm、1辺が約10μm等と、薄型で微細な軸対称偏光子、あるいは軸対称偏光子アレイを実現することができる。しかも、EBリソグラフィおよびリフトオフによるプロセスで製造することができるので、大量生産にも対応可能である。また、リソグラフィプロセスをナノインプリントリソグラフィや縮小投影露光等に置き換えることにより、さらに効率的な大量生産も期待できる。
以上のように、本実施の形態の軸対称偏光子、あるいは軸対対称偏光子アレイによれば、可視域全体および一部近紫外域を含む広い波長範囲に利用可能で、薄型であり、微細化・並列化(アレイ化)が可能な軸対称偏光子を実現することが可能となる。
[第2の実施の形態]
図15Aおよび図15Bに、本実施の形態に係る軸対称偏光子70および軸対称偏光子80を示す。
図15A示す軸対称偏光子70は、第1の実施の形態に係る軸対称偏光子10において、さらに金ライン74a、74b、74c、および74d(以下、個々の金ラインを区別しない場合には、単に「金ライン74」という。)を設けたものである。金ライン74aないし74dは、λ/2板を構成する各ナノスリット構造体72a、72b、72c、および72dを構成する各金ライン22の各々を接続するとともに、金ライン22と交差する方向(本実施の形態では直交する方向)に延伸して形成されている。かかる構成の金ライン74は、図7に示す製造工程において、電子ビームによる露光を変えることによって形成することができる。
本実施の形態に係る軸対称偏光子70によれば、各金ライン22の間が金ライン74で架橋されているので、図7に示す製造工程において現像工程後に残留させるレジスト(図7(c)および図7(d)参照)が細分化され、レジストの倒れを防止することができるという効果を奏する。なお、レジストの倒れとは、たとえば、現像時に、現像液の毛細管現象の影響でレジストパターンが倒れることをいう。
一方、図15B示す軸対称偏光子80は、第1の実施の形態に係る軸対称偏光子10において、さらにスリット84a、84b、84c、および84d(以下、個々のスリットを区別しない場合には、単に「スリット84」という。)を設けたものである。スリット84aないし84dは、λ/2板を構成する各ナノスリット構造体82a、82b、82c、および82dを構成する各金ライン22の各々を分断するとともに、金ライン22と交差する方向(本実施の形態では直交する方向)に延伸して形成されている。かかる構成のスリット84は、図7に示す製造工程において、電子ビームによる露光を変えることによって形成することができる。
本実施の形態に係る軸対称偏光子80によれば、図7に示す製造工程において、残留させるレジスト(図7(c)および図7(d)参照)に架橋が生ずる。そのため、金を蒸着し、リフトオフした後、ナノスリット24に加えて、金ライン22を分断するように形成されたスリット84がさらに形成される。したがって、本実施の形態に係る軸対称偏光子80によれば、スリット84の部分も光が透過可能となるので、光の透過率をさらに向上させることができるという効果を奏する。
以上のように、本実施の形態に係る軸対称偏光子によっても、可視域全体および一部近紫外域を含む広い波長範囲に利用可能で、薄型であり、微細化・並列化(アレイ化)が可能な軸対称偏光子を実現することが可能となる。また、本実施の形態に係る軸対称偏光子70および軸対称偏光子80によれば、前記に加えてさらに上述の効果を奏することが可能となる。
[第3の実施の形態]
図16に、第3の実施の形態に係る軸対称偏光子60を示す。本実施の形態は、石英ガラス基板(図16では図示していない)上に8つのナノスリット構造体62a、62b、62c、62d、62e、62f、62g、および62h(以下、各ナノスリット構造体を区別しない場合には、単に「ナノスリット構造体62」という。)を形成した形態例である。本発明に係る軸対称偏光子の形状は矩形に限られず任意の形状とすること可能であり、本実施の形態では円形状としている。
図16(a)に示すように、本実施の形態に係る軸対称偏光子60の各ナノスリット構造体62は、その進相軸の方向を22.5°ずつずらして配置している。すなわち、ナノスリット構造体62aの進相軸の方向を基準にとると、ナノスリット構造体62bの進相軸は周方向左回りに22.5°回転させており、ナノスリット構造体62cの進相軸は45°回転させている。以下、ナノスリット構造体62dないしナノスリット構造体62hについても同様である。つまり、ナノスリット構造体62aの進相軸の方向を基準にとると、隣接するナノスリット構造体62の進相軸の方向は、周方向に漸次増加、または減少するように構成されている。
進相軸の方向を図16(a)のように配置した場合には、ナノスリット62eの進相軸の方向を基準線とすると、同図(b)に示すように、基準線に対し90°方向に偏光した光を入射することにより、軸対称偏光子60の出射光としてラジアル偏光を得ることができる。同様に、軸対称偏光子60に、基準線に対し180°の方向に偏光した光を入射することにより、その出射光としてアジムサル偏光を得ることができる。各ナノスリット構造体62の入射偏光に対する作用は図3と同様に考えることができる。
本実施の形態では、ナノスリット構造体62の分割数を増やすことにより、より完全な軸対称偏光に近づけることができる。ここで、ある点を中心として周方向にM等分した場合には、進相軸の回転角は一般に、(180/M)°ずつ漸次異ならせればよい。また、等分数Mは、M=2(Nは自然数)が好ましい。
しかしながら、必ずしも等分に分割する必要はなく、目的、用途に応じて、角度を異ならせて分割してもよい。
以上のように、本実施の形態によっても、可視域全体および一部近紫外域を含む広い波長範囲に利用可能で、薄型であり、微細化・並列化(アレイ化)が可能な軸対称偏光子を実現することが可能となる。
[第4の実施の形態]
つぎに、図17および図18を参照して、第4の実施の形態に係る近接場光源、および近接場光源アレイ300について説明する。本実施の形態は、第1の実施の形態に係る軸対称偏光子アレイ100を近接場光の発生に応用した形態である。
近年、ナノテクノロジーの進展に伴い、ナノ領域での光技術が必要不可欠になってきている。中でも、近接場光を利用した装置の開発が注目されている。
近接場光とは、光の波長よりも微小な物質構造に光を当てた際に、その物質構造の表面のごく近くに発生するが、遠くへ伝播することのない特殊な光である。これは、光の波長よりも小さな物質構造では光電場により原子の電気双極子が誘起されるが、この電気双極子が作る振動電界のうち、物質構造のごく近くにある電磁界は周囲にほとんど伝播せずに減衰するという現象に基づいている。
近接場光はその性質として、回折しないという特徴をもっている。したがって、この近接場光を照明光として用い顕微鏡を構成すると、その分可能は照明光の波長とは無関係になるので、波長以下のオーダーの分解能を得ることができ、また、照明光の波長とレンズの開口数によって決まる最小分解能(回折限界)の影響も受けない。これが、いわゆる近接場光学顕微鏡(NSOM:Near−field Scanning Optical Microscopy)の原理である。
ところで、近接場光を発生させるための方法のひとつとして、先端部の曲率半径をサブ波長オーダーとして先鋭に加工した金属探針の先端に光を照射する方法が知られている。図17(a)に、この従来技術による近接場光の発生のための構成を示す。
同図に示すように、金属探針304の先端に、側方から特定方向に偏光した光を照射すると、プラズモン共鳴場が発生し、このプラズモン共鳴によって増強された近接場光が発生する。
金属探針を作成するための材料としては、一例として、金、銀等を挙げることができ、先端部を先鋭に加工するための加工・研磨方法としては電界研磨等を挙げることができる。電界研磨とは、被研磨体を陽極として電解液中で浸漬し電圧を印加することにより、陽極溶液作用により陽極面を平滑化する技術である。
また、照射光の光源としては、たとえば偏光状態をP偏光(金属探針304の先鋭化方向と平行な方向に偏光した光)としたYAG(Yttrium Aluminum Garnet)レーザを用いることができる。P偏光状態の照射光を用いることにより、それと直交する方向に偏光した状態のS偏光よりも効率よくプラズモン共鳴場を発生することができる。
図17(a)のように構成したプラズモン共鳴場により発生した近接場光を試料に照射し、該試料で散乱された光を図示しないCCD(Charge Coupled Device)等の受光素子で観測することにより、近接場光学顕微鏡として機能させることができる。また、発生した近接場光を加工対象物に近づけることにより、従来のフォトリソグラフィでは不可能であった10数nmの加工も可能となる。これが、近接場光学顕微鏡による微細加工である。
ここで、上記のような従来の近接場光学顕微鏡においては、その構成上一定の大きさをもつ対象構造物に対しては近接場光をスキャン(走査)する必要がある。そのため、たとえば、近接場光学顕微鏡をリソグラフィ等に応用した場合、その描画速度が問題となることが指摘されている。
かかる問題点に対応するため、本実施の形態に係る近接場光源アレイ300では、複数のプラズモン共鳴場をアレイ状に配置する構成を採用し、このアレイ状のプラズモン共鳴場により増強されたアレイ状の近接場光を発生するようにしている。そして、該アレイ状の近接場光に、たとえばMEMSを組み合わせ、複数の探針を同時に制御してリソグラフィを行なうことにより、速度が遅いという欠点に対応することが可能となる。
さらに、図17(b)に示すように、本実施の形態に係る近接場光源アレイ300の各近接場光源に対しては、照射光を側方からではなく、上方すなわち金属探針304の先端部306対し反対側から照射するようにしている。これは、金属探針304をアレイ状に配置し、照射光を側方から照射した場合、隣接する金属探針304が妨害して照射光を効率的に照射できない金属探針304が存在するからである。また、P偏光よりもさらに効率よくプラズモン共鳴場を発生させるために、本実施の形態では、ラジアル偏光状態の照射光を照射するようにしている。
図18に、本実施の形態に係る近接場光源アレイ300を示す。同図に示すように、本実施の形態に係る近接場光源アレイ300では、金属探針304をアレイ状に配置した金属探針アレイ302の先端部306に対して反対側に、第1の実施の形態で説明した軸対称偏光子アレイ100を配置する。このとき、該軸対称偏光子アレイ100上の個々の軸対称偏光子10は、個々の金属探針304のそれぞれに対応させるようにし、金属探針アレイ302の先端306とは反対側から軸対称偏光子アレイ100を介して照射光を照射する構成としている。
先述したように、軸対称偏光子アレイ100における個々の軸対称偏光子10は、照射光の偏光方向状態に応じラジアル偏光またはアジムサル偏光を出射する。本実施の形態では、軸対称偏光子10がラジアル偏光を出射するように照射光の偏光状態を設定している。かかる構成によって、各金属探針304の先端部306にはラジアル偏光状態の光が一様に照射されることになってプラズモン共鳴場がより増強され、その結果、アレイ状の近接場光を効率的に発生させることができるようになる。
ここで、本実施の形態では、金属探針アレイ302の各金属探針304のそれぞれに対し、軸対称偏光子アレイ100の各軸対称偏光子10を対応させるようにしているが、金属探針304と軸対称偏光子10とは必ずしも1対1に対応させる必要はない。各金属探針304の先端部306に対し十分な照射光を照射できれば、軸対称偏光子アレイ100上の軸対称偏光子10の数は、金属探針アレイ302における金属探針304の数より少なくても、また多くてもよい。
以上説明したように、本実施の形態に係る近接場光源によれば、近接場光を効率よく発生させることができる。さらに、本実施の形態に係る近接場光源アレイ300によれば、アレイ状の近接場光を効率よく発生させることができる。したがって、該アレイ状の近接場光とMEMSなどを組み合わせて用いることにより、高速なリソグラフィや、高速な細胞操作技術、光学分析等、近接場光学顕微鏡の用途をさらに拡大することが可能となる。
[第5の実施の形態]
本実施の形態は、第1の実施の形態に係る軸対称偏光子アレイ100を並列電子線装置400に応用した形態である。
先に、本発明者らは、新規な電子放出装置について開示している(特開2010−257898号公報参照。)。本開示に係る電子線放出装置は、光照射によって電子線放出を制御する「プラズモン共鳴電子放出」という方式を採用したものである。この方式は、金属中の自由電子の集団振動であるプラズモン共鳴を電界放出に利用するもの、つまり、照射光の波長が電子源の形状・材質によって決まる固有の値に一致した場合、放出電流が共鳴的に大きくなるという現象を利用するものである。本方式によれば、電極間のギャップのポテンシャル障壁の厚さを狭くすることができるので、電極間の印加電圧を低減することも可能となる。
先の開示では、先端の直径を200〜300nm程度に先鋭化したタングステン製母材に金薄膜を約50nmスパッタして得たエミッタと、該エミッタに対し約1mm離して配置した引出電極との間に電圧を印加し、波長532nmのYAGレーザ光を照射した。その結果プラズモン共鳴によってエミッタを励起し、電場増強を発生させて電界放出を誘起することが可能であることを示した。また、P偏光の方がS偏光より電界放出による電流が最大80%増加することも示した。
本実施の形態に係る並列電子線装置400は、上記プラズモン共鳴電子放出を採用し、さらに照射光源の偏光状態を、第1の実施の形態に係る軸対称偏光子アレイ100によって制御している。
図19ないし図21を参照して、本実施の形態に係る並列電子線装置400について説明する。図19は本実施の形態に係る並列電子線装置400の構成を示す構成図、図20Aは、図19における矢印Aの方向から見たミラーアレイ430の平面図、図20Bは、同様に矢印Aの方向から見た並列電界放出電子源410の平面図、図21は、本実施の形態に係る電界放出電子源420の構成を示す構成図である。
まず、図19に示すように、本実施の形態に係る並列電子線装置400は、並列電界放出電子源410、静電レンズ440、ミラーアレイ430、光源500、および軸対称偏光子アレイ100を含んで構成されている。
並列電界放出電子源410は、石英ガラス等の透光性、および高屈折率性を有する基板412を複数の先端を先鋭化した錘状(たとえば、円錐状)の突起を有するように加工し、その上にたとえば金薄膜をコーティングして先鋭化した先端部422を有する電子源電極414を形成する。先端部の直径は、一例として、200nmとすることができる。錘状の部分は、その先端部422から電子線を放出する電界放出電子源420a、420b、420c、420d、420e、420f、420g、420h、および420i(図20Bも参照。以下、各電界放出電子源を区別しない場合には、単に「電界放出電子源420」という。)を構成する。本実施の形態では、並列電界放出電子源410の電界放出電子源420は、3×3のアレイ状に形成されている。
電子源電極414上には、絶縁膜416を介して、電界放出電子源420を取り囲むように、たとえば金を蒸着して形成した引出電極418が配されている。電子源電極414と引出電極418との間には、電源423が接続されている。また、絶縁膜416は、たとえば、酸化シリコンを用いて形成することができる。並列電界放出電子源410の作用については後述する。
ここで、本実施の形態においては電界放出電子源420の形状を円錐状としたが、本発明はこれに限定されるものではなく、他の任意の錘状、たとえば、三角錐、四角錐、楕円錐等を採用することができる。
静電レンズ440は放出された電子線のビーム形状を整形するためのものであり、絶縁膜444a、444b、および444cを交互に介して形成された、静電レンズ電極442a、442b、および442cを含んで構成されている。絶縁膜444aないし444cは、たとえば酸化シリコンを用いて形成することができ、静電レンズ電極442aないし442cは、たとえばニオブを用いて形成することができる。静電レンズ電極442aおよび442cは接地されており、静電レンズ電極442bには電源443が接続されている。静電レンズは公知の技術なので、詳細な説明については省略する。
なお、本実施の形態において静電レンズ440は必須のものではなく、目的、用途に応じて適宜採用すればよいものである。
ミラーアレイ430は、可動式の微細な平面鏡をアレイ状に配置したものであり、たとえば、テキサス・インスツルメンツ社のDMD(Digital Micromirror Device)(登録商標)を用いることができる。DMD(登録商標)は、MEMS技術により製作された、静電力によりミラーの向きを制御可能なミラーアレイである。
本実施の形態では、ミラーアレイ430により、各ミラー432a、432b、432c、432d、432e、432f、432g、432h、および432i(図20Aも参照。以下、各ミラーを区別しない場合には、単に「ミラー432」という。)に対応する電界放出電子源420への励起光の照射、非照射を選択的に制御する。(以下、照射する場合のミラー432の状態を「オン状態」、非照射の場合のミラー432の状態を「オフ状態」という。)したがって、ミラーアレイ430も並列電界放出電子源410同様、3×3のアレイ状に形成されている。
本実施の形態における励起光源としての光源500は、可視光を発生するYAGレーザを用いており、そのスポットサイズの直径は、ミラーアレイ430の各ミラー432を一括照射可能なように約20mm程度とされている。
軸対称偏光子アレイ100は、図8Aおよび図8Bに示したものを用いている。そして、光源500の偏光方向は、軸対称偏光子アレイ100を通過後の偏光状態がラジアル偏光となるような偏光方向とされている(図3参照。)。
つぎに、図19および図21を参照して、本実施の形態に係る並列電子線装置400の作用について説明する。
図19に示すように、ミラーアレイ430におけるミラー432aおよび432bはオン状態にある。したがって、光源500より出射した励起光はミラー432aおよび432bで反射されて、軸対称偏光子アレイ100に入射し、その偏光状態を直線偏光からラジアル偏光に変換されて、電界放出電子源420aおよび420bへと導かれる。
変換されたラジアル偏光は、基板412を通過後、錘状の電界放出電子源420の先端部422に向かう。ラジアル偏光の各々の偏光は、錘状の電界放出電子源420の斜面において、それぞれ同位相かつ斜面に対して法線方向の偏光成分を生ずる。錘状の電界放出電子源420の先端部422においてこれらの偏光成分が干渉することにより、前記ラジアル偏光は、光の進行方向に大きな電場成分を持つ偏光状態へと変換される。
つづけて図21に示すように、電界放出電子源420の電子源電極414のテーパ部と絶縁膜416上の引出電極418との間には空隙が設けられている。そして、電子源電極414と引出電極418との間には、電源423により常時電圧が印加されている。かかる構成において、基板412の電界放出電子源420とは反対側から励起光を入射すると、電界放出電子源420の、電子源電極414のテーパ部において表面プラズモンが発生し、先端部422に向かって伝搬する。そして、伝搬したプラズモンが先端部422付近に集中してプラズモン共鳴450を形成するので、該プラズモン共鳴450によってアシストされ電子線452が放出される。
一方、ミラーアレイ430のオフ状態にあるミラー432cにおいては、励起光は並列電界放出電子源410へ向かわない方向に反射されるので、電界放出電子源420cへとは導かれることはない。
以上のように、本実施の形態に係る並列電子線装置400によれば、並列電界放出電子源410のアレイ状に配された各電界放出電子源420への励起光の照射、非照射を、ミラーアレイ430の各ミラー432により個別に制御することができる。その結果、アレイ状に配置された電界放出電子源420を個別に制御して、電子線の発生、非発生を選択的に切り換えることが可能となる。したがって、本実施の形態に係る並列電子線装置400を、たとえば電子線リソグラフィ装置に採用すれば、単一電子源を走査して描画していた従来の電子線リソグラフィに比較して、格段に高速な電子リソグラフィ装置等を実現することが可能となる。
ここで、本実施の形態では、並列電子線装置400の電子線を3×3のアレイとしたが、むろん電子線の数はこれに限られず任意の数とすることができ、またその配置方法も本実施の形態のようにマトリクス状に限られず、たとえば、市松状、千鳥状等の配置とすることも可能である。
日本出願2012−146006の開示はその全体が参照により本明細書に取り込まれる。
本明細書に記載された全ての文献、特許出願、および技術規格は、個々の文献、特許出願、および技術規格が参照により取り込まれることが具体的かつ個々に記された場合と同程度に、本明細書中に参照により取り込まれる。
10 軸対称偏光子
12a〜12d ナノスリット構造体
20 石英ガラス基板
22 金ライン
24 ナノスリット
26 クロム層
30 白色光源
32 カメラ
34 レンズ
36 偏光子
38 検光子
40 フィルタ
42 レンズ
50 レジスト
60、70、80 軸対称偏光子
62a〜62h、72a〜72d、82a〜82d ナノスリット構造体
74a〜74d 金ライン
84a〜84d スリット
100 軸対称偏光子アレイ
200 軸対称偏光観測系
300 近接場光源アレイ
302 金属探針アレイ
304 金属探針
306 先端部
400 並列電子線装置
410 並列電界放出電子源
412 基板
414 電子源電極
416 絶縁膜
418 引出電極
420a〜420i 電界放出電子源
422 先端部
423 電源
430 ミラーアレイ
432a〜432i ミラー
440 静電レンズ
442a、442b、442c 静電レンズ電極
443 電源
444a、444b、444c 絶縁膜
450 プラズモン共鳴
452 電子線
500 光源

Claims (12)

  1. 透光性を有する基板と、
    前記基板上の放射状に分割された複数の分割領域の各々に設けられた、前記複数の分割領域ごとに方向を異ならせ、かつ間にスリットを有するように延伸されるとともに、前記複数の分割領域の1つの延伸方向を基準とした場合に、隣接する分割領域の延伸方向の前記基準の延伸方向とのなす角度が、周方向に増加、または減少する方向とされている複数の金属を含んで構成された複数の波長板を含む偏光変換部と、
    を備えた偏光制御素子。
  2. 前記波長板は2分の1波長板であり、
    隣接する前記波長板に含まれる前記複数の金属の延伸方向のなす角度は、180を前記波長板の数で割った角度である
    請求項1に記載の偏光制御素子。
  3. 前記基板が、石英ガラス、溶融石英ガラス、ホウケイ酸ガラス、サファイア、および蛍石のうちのいずれかで形成されている
    請求項1または請求項2に記載の偏光制御素子。
  4. 前記金属が、金、アルミニウムおよび銀のうちのいずれかである
    請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の偏光制御素子。
  5. 前記金属の前記基板の表面からの高さをH(nm)、前記スリットの幅をW(nm)とした場合に、前記HおよびWが、
    100≦W/(H−100)≦441
    なる関係を満たす
    請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の偏光制御素子。
  6. 前記複数の波長板の各々は、前記複数の波長板の各々を構成する複数の金属に接続されるとともに、前記複数の金属の延伸方向と交差する方向に延伸された金属をさらに含む
    請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の偏光制御素子。
  7. 前記複数の波長板の各々は、前記複数の波長板の各々を構成する複数の金属を分断するとともに、前記複数の金属の延伸方向と交差する方向に延伸されたスリットをさらに含む
    請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の偏光制御素子。
  8. 前記基板上に、前記偏光変換部が複数設けられている
    請求項1ないし請求項7のいずれか1項に記載の偏光制御素子。
  9. 先端を先鋭化した金属探針と、
    前記金属探針に対して前記金属探針の先端とは反対側に配置された請求項1ないし請求項7のいずれか1項に記載の偏光制御素子と、
    前記偏光制御素子を介して、前記金属探針の先端に光を照射する光源と、
    を含む近接場光源。
  10. 先端を先鋭化した金属探針を、各々の先端が同一または略同一の面上となるようにアレイ状に複数配置した金属探針アレイと、
    前記金属探針アレイに対して前記金属探針の先端とは反対側に、光の入射面が前記金属探針の先端が配置された面と平行または略平行に配置された請求項8に記載の偏光制御素子と、
    前記偏光制御素子を介して、前記金属探針アレイの各々の金属探針の先端に光を照射する光源と、
    を含む近接場光源アレイ。
  11. 前記金属探針アレイにおける各々の金属探針は、前記偏光制御素子における各々の前記偏光変換部に対応して設けられている
    請求項10に記載の近接場光源アレイ。
  12. 先端が同一または略同一の面上に配置されるようにして、先鋭化して形成された複数の錘状部を有する透光性の基板、前記基板上の前記複数の錘状部が設けられた面に金属で形成された第1の電極と前記錘状部の先端に対し間隙を設けて前記錘状部の周囲に配置された第2の電極とを含んで構成された複数の電界放出電子源、および前記第1の電極と前記第2の電極との間に接続された電源を具備した並列電界放出電子源と、
    前記並列電界放出電子源に対して前記先端とは反対側に、光の入射面が前記先端が配置された面と平行または略平行に配置された請求項8に記載の偏光制御素子と、
    前記偏光制御素子に対して前記並列電界放出電子源とは反対側に配置され、励起光源からの励起光を前記偏光制御素子を介して、前記並列電界放出電子源の対応する前記電界放出電子源に照射するかしないかを選択的に切り換える複数のミラーを有するミラーアレイと、
    を含む並列電子線装置。
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