JP2015017027A - 半導体装置及びその製造方法、並びに結晶及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】コランダム構造酸化物結晶の高温時の相転移が抑制される半導体装置、又は結晶を提供する
【解決手段】本発明によれば、インジウム原子及びガリウム原子の一方又は両方を含むコランダム構造酸化物結晶を備え、前記酸化物結晶は、少なくとも、結晶格子の格子点間の隙間にアルミニウム原子を含有する、半導体装置、又は結晶構造体が提供される。
【選択図】図3

Description

本発明は、コランダム構造酸化物結晶を備える半導体装置及びその製造方法、並びに結晶及びその製造方法に関する。
被成膜試料上に結晶性の高い酸化ガリウム薄膜のα相単相を形成する方法として、ミストCVD法が知られている(特許文献1)。この方法では、ガリウムアセチルアセトナートなどのガリウム化合物を塩酸などの酸に溶解して原料溶液を作成し、この原料溶液をミスト化することによって原料ミストを生成し、この原料ミストをキャリアガスによって被成膜試料の成膜面に供給し、原料ミストを400℃程度で反応させて成膜面上に薄膜を形成することによって、被成膜試料上に結晶性の高い酸化ガリウム薄膜を形成している。
特開2013−28480号公報
Hiroshi Ito, Growth and Band Gap Control of Corundum-Structured -(AlGa)2O3 Thin Films on Sapphire by Spray-Assisted Mist Chemical Vapor Deposition, Japanese Journal of Applied Physics 51 (2012) 100207
酸化ガリウムは5eV以上と極めて大きいバンドギャップを有し、パワーデバイスへの応用が期待されている。中でも、コランダム構造酸化ガリウム(α相)は、また、インジウム、アルミニウム、鉄、クロムなどとの混晶化技術が非特許文献1に開示されており、バンドギャップエンジニアリングをはじめ、混晶化による様々な機能の付加、デバイス応用が期待されている。しかしながら、酸化ガリウムの最安定相はベータガリア構造(β相)と言われており、コランダム構造は準安定相である。そのため高温での後処理や、高温での成膜ではベータガリア構造相が出現するため、単相の作成および維持が難しい。一般的に、半導体のデバイス応用は単相の結晶相を用いることが好適であると考えられており、コランダム構造酸化ガリウム系材料のデバイス応用の最大の課題であると考えられている。以下、成膜時、成膜後に分けて課題をまとめる。
酸化ガリウムの成膜時、反応温度が高温になるにつれて最安定相が形成されやすくなる。特許文献1においても図2に示すように、400℃までは純粋なα相であるが、450℃でβ相が混ざり始め、500℃ではβ相がα相よりも優勢になっている。このような事情により、特許文献1では、α相の薄膜を形成するために、原料ミストを400℃で反応させている。しかし、反応温度は、成膜速度やドーパント濃度に影響を与えたり、混晶膜を形成する場合には、構成金属の元素の原子比に影響を与えたりするので、これらのパラメータを最適化するために反応温度を適宜変化させたい。特に、半導体結晶中の不純物低減のためには成膜温度をできるだけ高温にすることが望ましいと考えられているため、高温成膜手法の確立が課題である。
また、成膜後においても半導体デバイスプロセスには加熱を要する工程がある。α相を成膜できたとしてもこの加熱工程によってβ相に一部もしくは全部が相転移してしまう。具体的な加熱プロセスとしては、不純物熱拡散プロセス、表面・界面改質プロセス、ホットインプランテーション、イオン注入後結晶性改善アニールなどが挙げられ、これらの加熱プロセスを全て回避してデバイスを実現することは非現実的であり、熱耐性の向上が産業応用に向けて不可欠である。
例えば、非特許文献1では酸化ガリウムのβ相ではスズドーパント活性化のためにはアニール処理が有効であると開示されているものの、従来技術ではα型Gaをアニール処理すると結晶の一部または全部がβ相への相転移するため実施できない。
このような課題は、インジウム原子及びガリウム原子の一方又は両方を含むコランダム構造酸化物結晶の薄膜においても同様に存在している。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、コランダム構造酸化物結晶の高温時の相転移が抑制される半導体装置、又は結晶を提供するものである。
本発明の第1観点によれば、以下の(1)又は(2)が提供される。
(1)インジウム原子及びガリウム原子の一方又は両方を含むコランダム構造酸化物結晶を備え、
前記酸化物結晶は、少なくとも、結晶格子の格子点間の隙間にアルミニウム原子を含有する、半導体装置、又は結晶構造体。
(2)インジウム原子及びガリウム原子の一方又は両方を含むコランダム構造酸化物結晶を備え、
前記酸化物結晶は、アルミニウム原子を含有し、
前記酸化物結晶がアルミニウム原子を含有する場合のc軸長が、前記酸化物結晶がアルミニウム原子を含有しない場合のc軸長よりも大きい、半導体装置、又は結晶構造体。
従来、ミストCVD法によって、コランダム構造酸化物結晶にアルミニウムを含有させる場合、アルミニウム源としては、アルミニウムアセチルアセトナートが使用され、アルミニウムアセチルアセトナートをガリウム源と共に水に溶解した原料溶液を微粒子化して得られた原料微粒子を成膜室に供給することによってアルミニウムを含むコランダム構造酸化物結晶の成膜が行われていた。
一方、本発明者らは、アルミニウム源としてハロゲン化アルミニウムを使用し、ガリウム源と共に水に溶解した原料溶液を微粒子化して得られた原料微粒子を成膜室に供給することによって成膜を行ったところ、コランダム構造酸化物結晶の薄膜は形成されるものの、得られた薄膜から得られるX線回折のピークは、コランダム構造であるα相の酸化ガリウムとほぼ一致し、アルミニウムは結晶中にほとんど含まれていないことが分かり、ハロゲン化アルミニウムはアルミニウム源としては適切でないことが分かった。
このまま終わらせては悔しいので、本発明者らは、成膜温度を変えたり、形成された薄膜に加熱処理を行ったり等のさらなる実験を行った。その実験の過程で興味深い現象が見出された。ハロゲン化アルミニウムとガリウム源を含む原料溶液を用いて形成した薄膜は、X線回折のピークはα相の酸化ガリウムとほぼ一致するにも関わらず、加熱処理を行ったときのβ相への相転移温度に顕著に高くなったのである。
本発明者らはこの不思議な現象の起源を突き止めるためにX線回折のグラフを再度見直した。そして、ピークの位置を詳細に観察すると、ハロゲン化アルミニウムとガリウム源を含む原料溶液を用いて形成した薄膜では、X線回折のピークの位置が低角度側にわずかにずれていることに気がついた。X線回折のピークの位置が低角度側にずれるということは、結晶のc軸長が大きくなったことを意味している。しかし、アルミニウムはガリウムよりも原子半径が小さいので、ガリウムがアルミニウムに置き換わるとc軸長は小さくなり、X線回折のピークの位置は高角度側にずれるはずである。実際に、アルミニウムアセチルアセトナートとガリウム源を含む原料溶液を用いて薄膜を形成した場合には、X線回折のピークの位置が低角度側にずれるという現象は見られなかった。
アルミニウムがガリウムに置き換わっていればc軸長は小さくなるはずである。そうすると、アルミニウム添加によってc軸長が大きくなったという現象から導き出されるのは、ハロゲン化アルミニウムとして添加されたアルミニウムは、ガリウムに置き換わるのではなく、結晶格子の格子点間の隙間に入り込み、それによって結晶格子が膨張するのであるということである。そして、この格子点間の隙間に存在するアルミニウムが相転移を阻害するので、加熱処理を行ったときのβ相への相転移温度が顕著に高くなったと考えられる。また、このような現象はコランダム構造酸化ガリウムに限定されず、インジウム原子及びガリウム原子の一方又は両方を含むコランダム構造酸化物結晶について同様に適用されると考えられる。
本発明の第2観点によれば、以下の(1)又は(2)が提供される。
(1)インジウム原子及びガリウム原子の一方又は両方を含むコランダム構造酸化物結晶を備え、
前記酸化物結晶は、結晶格子の格子点上と格子点間の隙間の一方又は両方にアルミニウム原子を含有し、
前記酸化物結晶の結晶格子の格子点上に存在するアルミニウム原子の原子比は、前記酸化物結晶中のインジウム原子とガリウム原子の合計に対して0より大きく且つ2.9%以下である、半導体装置、又は結晶構造体。
(2)インジウム原子及びガリウム原子の一方又は両方を含むコランダム構造酸化物結晶を備え、
前記酸化物結晶は、アルミニウム原子を含有し、
前記酸化物結晶がアルミニウム原子を含有する場合のc軸長が、前記酸化物結晶がアルミニウム原子を含有しない場合のc軸長に対して0.9991倍以上である、半導体装置、又は結晶構造体。
本発明者らは、従来のアルミニウムアセチルアセトナートを少量添加して、格子点上にアルミニウム原子が存在する酸化物結晶からなる薄膜を作成した。このような酸化物結晶について、本発明者らが発見したのは、インジウム原子とガリウム原子の合計に対して格子点上のアルミニウム原子の原子比が0より大きく且つ2.9%以下であるという非常に少ない量であっても、アルミニウム原子がα相からβ相への相転移を抑制する効果を有しているということである。このような少量のアルミニウム原子が相転移抑制効果を示すことは従来知られていなかった。
従って、アルミニウム原子は、格子点間の隙間に存在する場合には極めて優れた相転移抑制効果を示すが、格子点上に存在する場合でも相転移抑制効果をある程度示すことが本発明者らによって明らかにされた。
また、2.9%以下といった少量のアルミニウム原子ではバンドギャップの幅などの結晶物性に与える影響はあまり大きくないので、本発明によれば、インジウム原子及びガリウム原子の一方又は両方を含むコランダム構造酸化物結晶の本来の結晶物性をほぼ維持したまま、相転移が起こりにくい酸化物結晶が得られる。
本発明の一実施形態の酸化物結晶薄膜の製造方法で製造可能な半導体装置又は結晶構造体の構成例を示す。 本発明の実施例で用いたミストCVD装置の構成図である。 原料溶液中の臭化アルミニウムの添加量の増大に伴ってα相ピークが低角度側に移動することを示すXRDパターンである。 (a)は、原料溶液中の臭化アルミニウムの添加量の増大に伴ってα相ピークが低角度側に移動することを示すXRDパターンであり、(b)は、原料溶液中のアルミニウムアセチルアセトナートの添加量の増大に伴ってα相ピークが高角度側に移動することを示すXRDパターンである。 (a)はアルミ無添加である条件1で作成した酸化物結晶のアニール前後のXRDパターンであり、(b)は、原料溶液中に臭化アルミニウムを添加した条件2で作成した酸化物結晶のアニール前後のXRDパターンである。 原料溶液中にアルミニウムアセチルアセトナートを添加した条件で作成した酸化物結晶のアニール前後のXRDパターンである。 (a)はGaN基板と酸化物結晶の間に酸化鉄バッファを設けたことの効果を示すXRDパターンである。(b)は、SiC基板と酸化物結晶の間に酸化鉄バッファを設けた場合にもα相の酸化物結晶が形成されることを示すXRDパターンである。
1.第1観点
1−1.第1観点の半導体装置、又は結晶構造体の構造
本発明の第1観点の一実施形態の半導体装置、又は結晶構造体は、インジウム原子及びガリウム原子の一方又は両方を含むコランダム構造酸化物結晶を備え、前記酸化物結晶は、少なくとも、結晶格子の格子点間の隙間にアルミニウム原子を含有する。「結晶構造体」とは、一層以上の結晶層を含む構造体であり、結晶層以外の層(例:アモルファス層)を含んでいてもよい。また、結晶層は、単結晶層であることが好ましいが、多結晶層であってもよい。
本実施形態が対象とするコランダム構造酸化物結晶は、インジウム原子及びガリウム原子の一方又は両方を含むものである。アルミニウム原子は、結晶格子の格子点間の隙間に存在していることが必須であり、格子点間の隙間にのみ存在していてもよく、格子点間の隙間と格子点上の両方に存在していてもよい。なお、本明細書において、「格子点」とは、コランダム構造を構成する金属原子(例:インジウム原子、ガリウム原子)が存在する点を意味する。格子点間の隙間にアルミニウム原子が入ると、そのアルミニウム原子に隣接した原子がアルミニウム原子から離れようとするので、アルミニウム原子が格子点間の隙間にない場合よりも結晶格子のc軸長がよりも大きくなる。また、このアルミニウム原子が相転移を阻害するので、格子点間の隙間にアルミニウム原子が存在することによって相転移抑制効果が得られる。c軸長が大きくなる程度は、格子点上のアルミニウム量と格子点間の隙間のアルミニウム量によって決定されるものであるが、酸化物結晶がアルミニウム原子を含有しない場合のc軸長に対する、酸化物結晶がアルミニウム原子を含有する場合のc軸長の比の値は、例えば1.0001以上である。具体的には例えば、1.0001、1.0002、1.0003、1.0004、1.0005、1.0006、1.0007、1.0008、1.0009、1.001、1.002、1.003、1.004、1.005、1.006、1.007、1.008、1.009、1.01、1.02、1.03、1.04、1.05、1.06、1.07、1.08、1.09、1.1であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。なお、この比の値は、酸化物結晶の組成、成膜方法、アルミニウム原子の割合などによって影響を受けるものであり、c軸長についての限定を含まない請求項の範囲が、c軸長の比の値によって限定されることはない。また、測定誤差を最小限にするために、酸化物結晶がアルミニウム原子を含有する場合としない場合のc軸長を比較する際には、アルミニウム原子を含有する酸化物結晶とアルミニウム原子を含有しない酸化物結晶を同一の成膜法(例:ミストCVD法)で形成し、得られた酸化物結晶について同一の装置を用いてc軸長を測定することが好ましい。また、被成膜試料によっても成膜試料の格子定数およびc軸長は影響を受けるため、c軸長の比較の際には、同一の被成膜試料を用いるべきである。
インジウム原子及びガリウム原子の一方又は両方を含むコランダム構造酸化物結晶のコランダム構造を形成する格子点上の原子の組成の例は、一般式(1)の通りである。
一般式(1):
InAlGa(0≦X≦2、0≦Y≦2、0≦Z≦2、X+Y+Z=1.5〜2.5であり、0<X又は0<Zである。)
この一般式(1)中でのAlは、格子点上に存在するアルミニウム原子を表しているので、Al量を示すYは0であっても、0よりも大きくてもよい(つまりY>0)。具体的には、X及びYが0である場合にα型Gaとなり、Xのみが0の場合にAlGaとなり、X及びZが0の場合にα型Inとなり、Zのみが0の場合にInAlとなり、X,Y,Zの全てが0でない場合、α型InAlGaとなる一般式(1)において、Z≦0.5且つX≧0.5としてGaリッチな組成にしたり、X≧0.5且つZ≦0.5としてInリッチな組成にしてもよい。
また、コランダム構造酸化物結晶のコランダム構造を形成する格子点上の原子の組成の別の例は、一般式(2)の通りである。
一般式(2):
α型InGaFe(0≦X≦2、0≦Y≦2、0<Z≦2、X+Y+Z=1.5〜2.5であり、X≧0.5又はY≧0.5)
上記一般式において、X、Y、Zは、それぞれ、具体的には例えば、0、0.01、0.05、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。X+Y又はX+Y+Zは、具体的には例えば、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。
なお、上記一般式は、コランダム構造を形成する格子点上の原子の組成を表現しているのであって、「X+Y+Z=2」と表記していないことからも明らかなように、ノンストイキオメトリー酸化物も含んでおり、これは、金属不足酸化物、酸素不足酸化物も含む。また、格子点間の隙間に存在している金属や酸素原子は上記一般式には含まれないが、本実施形態が対象とするコランダム構造酸化物結晶は、格子点間の隙間に金属や酸素原子が存在している金属過剰酸化物や酸素過剰酸化物も含む。なお、格子点上に存在する原子と格子点間の隙間に存在する原子の両方を含む組成も上記一般式で表される組成であることが好ましい。また、本実施形態が対象とするコランダム構造酸化物結晶の組成は、上記のものに限定されず、Ti,Niなど3価のイオンになる金属元素が格子点上に存在する結晶であってもよい。また、コランダム構造酸化物結晶に電気伝導性を付与する不純物(例:Sn)を添加してもよい。
格子点上に存在するアルミニウム原子の原子比は、特に限定されないが、インジウム原子とガリウム原子の合計に対して0より大きく且つ2.9%以下であることが好ましい。このような少量のアルミニウム原子ではバンドギャップの幅などの結晶物性に与える影響はあまり大きくないので、本実施形態によれば、インジウム原子及びガリウム原子の一方又は両方を含むコランダム構造酸化物結晶の本来の結晶物性をほぼ維持したまま、相転移が起こりにくい酸化物結晶が得られる。アルミニウム原子の原子比は、具体的には例えば、0.01、0.05、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9%であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。アルミニウム原子の原子比は、厳密にはSIMS測定によって決定することができるが、X線回折のピークからも近似的に算出することができる。
1−2.第1観点の半導体装置の製造方法、又は結晶構造体の製造方法
本発明のポイントは、コランダム構造酸化物結晶の格子点間の隙間にアルミニウム原子が入り込むように結晶成長を行ったことである。
そして、本発明者らは、微粒子化した原料溶液を用いて成膜を行う成膜方法(例:ミストCVD又はこれに類似した方法)において、アルミニウム源として従来使用されてきたアルミニウムアセチルアセトナートの代わりに、ハロゲン化アルミニウム(フッ化、塩化、臭化、ヨウ化アルミニウム)を用いることによって、格子点間の隙間にアルミニウム原子を含ませることに成功し、相転移しにくいという優れた特性を有するコランダム構造酸化物結晶を得た。
従って、本発明の一実施形態によれば、インジウム化合物及びガリウム化合物の一方又は両方と、アルミニウム化合物をそれぞれ溶媒に溶解した同一又は別々の原料溶液を一緒に又は別々に微粒子化して生成される原料微粒子を成膜室に供給してコランダム構造酸化物結晶を形成する結晶形成工程を備え、前記アルミニウム化合物は、ハロゲン化アルミニウムを含む、半導体装置の製造方法、又は結晶構造体の製造方法が提供される。
本発明者らは、微粒子化した原料溶液を用いて成膜を行う成膜方法ハロゲン化アルミニウムを用いることによってアルミニウム原子を格子点間の隙間に導入することを可能としたが、アルミニウム原子を格子点間の隙間に導入できる方法であれば、別の手段を採用してもよい。
本実施形態の方法で形成される酸化物結晶は、相転移しにくいので、成膜室の温度を比較的高くしたり、結晶形成工程後の加熱工程の温度を高くしたりすることができるという利点が得られる。具体的には、結晶形成工程後に、酸化物結晶の薄膜が形成された被成膜試料を成膜室から取り出し、イオン注入やエッチング、フォトリソグラフィー等のデバイスプロセスを行うことによって半導体装置を製造することができるが、これらのデバイスプロセスにおいては、不純物熱拡散プロセス、表面・界面改質プロセス、ホットインプランテーション、イオン注入後結晶性改善アニールなどにおいて、形成されたコランダム構造酸化物結晶が高温にさらされてα相からβ相への相転移が起こりやすい。しかし、本実施形態の方法で製造されるコランダム構造酸化物結晶は、相転移が起こりにくいので、これらの高温プロセスの温度を比較的に高くすることができ、プロセスの効率化及び製造される半導体装置の品質安定化などが図れる。結晶形成工程後のプロセスで酸化物結晶が加熱される温度は、例えば400℃以上、好ましくは400〜1000℃である。この温度は、具体的には例えば、400、500、600、700、800、900、1000℃であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。
以下、微粒子化した原料溶液を用いて成膜を行う成膜方法の各工程について詳細に説明する。
1−2−1.原料溶液
原料溶液は、インジウム化合物とガリウム化合物の一方又は両方と、アルミニウム化合物をそれぞれ溶媒に溶解させることによって作製することができる。インジウム化合物としては、インジウム有機金属錯体(例:インジウムアセチルアセトナート)や、ハロゲン化インジウム(フッ化、塩化、臭化、ヨウ化インジウム)が挙げられる。ガリウム化合物としては、ガリウム有機金属錯体(例:ガリウムアセチルアセトナート)や、ハロゲン化ガリウム(フッ化、塩化、臭化、ヨウ化ガリウム)が挙げられる。アルミニウム化合物は、少なくともハロゲン化アルミニウムを含む。ハロゲン化アルミニウムとしては、フッ化、塩化、臭化、又はヨウ化アルミニウムが挙げられる。
また、ハロゲン化アルミニウムのみを使用した場合、形成される酸化物結晶の格子点上にはアルミニウム原子はほとんど存在しなくなるので、酸化物結晶の格子点上にアルミニウム原子を存在させたい場合には、アルミニウム有機金属錯体(例:アルミニウムアセチルアセトナート)とハロゲン化アルミニウムを併用することが好ましい。
インジウム化合物及びガリウム化合物としては、結晶中に混入する炭素不純物量が少ないこと、成膜レートが高くなること、高温で成膜してもコランダム構造になりやすいことなどの観点からハロゲン化物が好ましく、臭化物又はヨウ化物がさらに好ましく、臭化物が特に好ましい。また、ハロゲン化アルミニウムとしては、臭化アルミニウムが好ましい。この場合に、アルミニウム原子が格子点間の隙間に入りやすいからである。なお、インジウム化合物、アルミニウム化合物、ガリウム化合物は、同じ原料溶液中に溶解させてもよく、別々の原料溶液を作製して別途微粒子化して生成した原料微粒子を成膜室の手前又は成膜室内で混合してもよい。また、インジウム化合物とガリウム化合物を1つの原料溶液から微粒子化し、アルミニウム化合物を別の原料溶液から微粒子化してもよい。別の観点では、原料溶液に溶解させる溶質として有機金属錯体とハロゲン化物が含まれている場合、有機金属錯体は、ハロゲン化物とは別の原料溶液にすることが好ましい。例えばアルミニウムアセチルアセトナートと臭化ガリウムを1つの原料溶液に溶解させると、アニオン交換反応が進んで、ガリウムアセチルアセトナートや臭化アルミニウムが生成されてしまい、形成される酸化物結晶の格子点上にはアルミニウム原子の割合が減少するといった問題が生じうるからである。
原料溶液中のインジウム化合物、ガリウム化合物、ハロゲン化アルミニウム、アルミニウム有機金属錯体の濃度は、特に限定されないが、それぞれ、例えば、0.001〜10mol/Lであり、好ましくは、0.005〜2mol/Lである。この濃度は、0.001、0.005、0.01、0.02、0.03、0.04、0.05、0.06、0.07、0.08、0.09、0.1、0.2、0.5、1、2、5、10mol/Lであり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。
原料溶液の溶媒としては、水(好ましくは超純水)や有機溶媒(例:メタノール)、又は水と有機溶媒の混合物などの微粒子化が可能な種々の溶媒を用いることができ、形成される酸化物結晶中の炭素不純物濃度低減の観点から溶媒は水であることが好ましく、有機溶媒を含まないことが好ましい。原料溶液中には、ドーパント化合物を添加することができ、これによって、形成される薄膜に導電性を付与することができ、半導体層として利用することができる。反応溶液は、ここで説明した化合物以外のものを含んでもよいが、有機化合物を含まないことが好ましい。また、ドーピング元素として炭素を用いる場合には、例えば、有機酸(例:酢酸)などを微量添加することができる。
1−2−2.微粒子化
原料溶液を微粒子化して原料微粒子を生成する方法は、特に限定されないが、原料溶液に超音波振動を印加して微粒子化する方法が一般的である。また、これ以外の方法でも、例えば、原料溶液を噴霧することによって原料溶液を微粒子化することによっても原料微粒子を生成することができる。
1−2−3.キャリアガス
キャリアガスは、例えば窒素であるが、アルゴン、酸素、オゾン、空気などのガスを用いてもよい。また、キャリアガスの流量は、特に限定されないが、例えば、0.1〜50L/minであり、好ましくは0.5〜10L/minである。この流量は、具体的には例えば、0.5、1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、9.5、10L/minであり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。
1−2−4.成膜室・被成膜試料・成膜
原料微粒子は、キャリアガスによって成膜室に供給され、成膜室において反応が起こって成膜室内に載置された被成膜試料上に薄膜が形成される。被成膜試料上に形成される薄膜は、コランダム構造酸化物結晶(好ましくは酸化物単結晶)の薄膜である。
成膜室は、薄膜形成が行われる空間であり、その構成や材料は特に限定されない。成膜室は、一例では、実施例のように石英管の一端から原料微粒子を含むキャリアガスを供給し、石英管の他端から排ガスを排出する構成である。この構成の場合、被成膜試料は、成膜面が水平になるように配置してもよく、キャリアガスの供給側に向けて例えば45度に傾斜するように配置してもよい。また、数mm以下のチャネルを反応領域として利用するファインチャネル法や、基板上に直線状のノズルを設け、ここから基板に垂直方向に原料微粒子(およびキャリアガス)を吹き付け、さらにノズルを直線状の出口とは垂直方向に移動させるというリニアソース法や、複数の方式を混合した、あるいは派生させた方式による成膜室を利用してもよい。ファインチャネル法では、均質な薄膜作製と原料の利用効率の向上が可能であるし、リニアソース法では、将来の大面積基板およびロールツーロールでの連続成膜が可能である。成膜室は、例えば成膜室の周囲をヒータで取り囲む等によって内部空間を所望温度に加熱できる構成になっている。また、成膜室は、大気圧ではなく加圧や減圧をしてもよい。
成膜時の成膜室の加熱温度は、原料溶液に含まれる原料溶質(ガリウム化合物、インジウム化合物、ハロゲン化アルミニウム、アルミニウム有機金属錯体等)を化学反応させることができる温度であれば特に限定されず、例えば300〜1500℃である。また、加熱温度は500℃以上が好ましく、550℃以上が好ましい。従来技術では、500℃以上で成膜するとβ相へ相転移しやすかったが、本実施形態の方法では、ハロゲン化アルミニウムが相転移抑制剤として機能してβ相への相転移が抑制される。ただし、加熱温度が高温の場合はβ相が成長しやすいため、α相単相を得たい場合は温度ごとに、原料供給速度および、原料組成、ガス種などの条件の最適化が必要である。加熱温度は、具体的には例えば、300、400、450、500、510、520、530、540、550、560、570、580、590、600、700、800、900、1000、1500℃であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。
被成膜試料は、薄膜が形成可能なものであれば特に限定されないが、コランダム構造を有する基板又は薄膜が好ましい。コランダム構造を有する基板としては、サファイア基板や、α型酸化ガリウム基板が挙げられる。コランダム構造を有する薄膜としては、コランダム構造又は別の構造を有する下地基板上にコランダム構造を有する薄膜を形成したものが挙げられる。コランダム構造を有する基板又は薄膜上にはα型酸化ガリウムなどのコランダム構造を有する薄膜を形成しやすいので好ましい。
また、被成膜試料は、コランダム構造を有さないものであってもよい。コランダム構造を有さない被成膜試料としては、例えば、六方晶構造を有する基板又は薄膜(例:GaN結晶)が挙げられる。六方晶構造を有する基板又は薄膜上には、直接または緩衝層を介して、コランダム構造酸化物結晶を形成することができる。緩衝層としては、本発明者らの実験によれば、200〜500℃という比較的低い温度で成膜したアモルファル相の酸化鉄(Fe)層が特に有効であった。なお、本明細書での「アモルファス相」は、アモルファル相中に微結晶が分散されているものも含む。また、酸化鉄層の成膜温度は、具体的には例えば、200、250、300、350、400、450、500℃であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。
本実施形態の方法によって製造可能な半導体装置又は結晶体の例を図1に示す。図1の例では、下地基板1上に、結晶性応力緩和層2、半導体層3、キャップ層4、及び絶縁膜5がこの順で形成される。下地基板1上に絶縁膜から順に積層してもよい。結晶性応力緩和層2及びキャップ層4は、必要ない場合には、省略してもよい。また、下地基板1と半導体層3、あるいは半導体層3と絶縁膜5とをコランダム構造をもつ異なる材料で形成する場合、半導体層3と絶縁膜5、下地基板1と半導体層3、および結晶性応力緩和層2と半導体層3、キャップ層4と絶縁膜5との間の少なくとも1つにコランダム構造を持つ構造相転移防止層を形成してもよい。結晶性応力緩和層2、半導体層3、キャップ層4、絶縁膜5を形成するそれぞれの結晶成長温度が当該形成層より下層の結晶構造転移温度より高いときには、構造相転移防止層を形成することで、コランダム構造から異なる結晶構造に変化することを防ぐことができる。結晶構造の相転移を防ぐために、結晶性応力緩和層2、半導体層3、キャップ層4、絶縁膜5の形成温度を低くした場合には、結晶性が低下してしまう。そのため、成膜温度を低下させることで結晶構造の変化をおさえることも困難であり、構造相転移防止層の形成は有効である。
また、酸化物結晶上に、直接または緩衝層を介して1軸に配向したIII族窒化物薄膜を形成してもよい。III族窒化物薄膜は、製品の量産の際には、通常、成膜温度が800℃以上である成膜法(MOCVD法、HVPE法など)で形成されるが、インジウム原子及びガリウム原子の一方又は両方を含むコランダム構造酸化物結晶がこのような高温にさらされると、相転移が起こりやすいので、従来は、このような酸化物結晶をIII族窒化物薄膜の下地試料(基板、又は薄膜)としては、利用することが困難であった。これに対して、本発明によれば、格子点間の隙間にアルミニウム原子を含有させることによって、上記酸化物結晶の相転移が抑制されるために、上記酸化物結晶をIII族窒化物薄膜形成のための下地試料として利用することが可能になった。
上記成膜温度は、800℃以上であり、例えば800〜1300℃であり、具体的には例えば、800、850、900、950、1000、1050、1100、1150、1200、1250、1300℃であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。
2.第2観点
2−1.第2観点の半導体装置、又は結晶構造体の構造
本発明の第2観点の一実施形態の半導体装置、又は結晶構造体は、インジウム原子及びガリウム原子の一方又は両方を含むコランダム構造酸化物結晶を備え、前記酸化物結晶は、結晶格子の格子点上と格子点間の隙間の一方又は両方にアルミニウム原子を含有し、前記酸化物結晶の結晶格子の格子点上に存在するアルミニウム原子の原子比は、前記酸化物結晶中のインジウム原子とガリウム原子の合計に対して0より大きく且つ2.9%以下である。「結晶構造体」の説明は、第1観点と同様である。
第1観点の半導体装置、又は構造体結晶は、結晶格子の格子点間の隙間のアルミニウム原子が存在することを必須の要件としたが、第2観点の半導体装置、又は構造体結晶では、コランダム構造酸化物結晶内でアルミニウム原子が存在する位置は限定せず、アルミニウム原子は、結晶格子の格子点上と格子点間の隙間の一方又は両方に存在すればよい。つまり、アルミニウム原子は、結晶格子の格子点上のみに存在しても、格子点間の隙間のみに存在しても、両方に存在してもよい。
本発明者らは、実験を通じて、アルミニウム原子は、格子点間の隙間に存在する場合には極めて優れた相転移抑制効果を示すが、格子点上に存在する場合でも相転移抑制効果をある程度示すということを発見し、その相転移抑制効果は、インジウム原子とガリウム原子の合計に対して格子点上のアルミニウム原子の原子比が0より大きく且つ2.9%以下というアルミニウム原子の原子比が比較的小さい場合でも発揮されることを発見した。このような少量のアルミニウム原子は、バンドギャップの幅などの結晶物性に与える影響はあまり大きくないので、従来は、このような少量のアルミニウム原子が添加されることはなかった。第2観点の発明では、バンドギャップの幅などの結晶物性に影響を与えることを目的とするのではなく、アルミニウム原子が有する相転移抑制効果を得るために、従来は試みられなかった2.9%以下という量のアルミニウム原子を添加するものである。アルミニウム原子の原子比は、具体的には例えば、0.01、0.05、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9%であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。アルミニウム原子の原子比は、厳密にはSIMS測定によって決定することができるが、X線回折のピークからも近似的に算出することができる。
また、アルミニウム原子を含有する酸化物結晶のc軸長は、格子点上のアルミニウム量と格子点間の隙間のアルミニウム量によって決定され、酸化物結晶がアルミニウム原子を含有しない場合のc軸長に対する、酸化物結晶がアルミニウム原子を含有する場合のc軸長の比の値は、例えば0.9991以上である。この比の値は、具体的には例えば、0.9991、0.9992、0.9993、0.9994、0.9995、0.9996、0.9997、0.9998、0.9999、1、1.001、1.002、1.003、1.004、1.005、1.006、1.007、1.008、1.009、1.01、1.02、1.03、1.04、1.05、1.06、1.07、1.08、1.09、1.1であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。なお、この比の値は、酸化物結晶の組成、成膜方法、アルミニウム原子の割合などによって影響を受けるものであり、c軸長についての限定を含まない請求項の範囲が、c軸長の比の値によって限定されることはない。また、測定誤差を最小限にするために、酸化物結晶がアルミニウム原子を含有する場合としない場合のc軸長を比較する際には、アルミニウム原子を含有する酸化物結晶とアルミニウム原子を含有しない酸化物結晶を同一の成膜法(例:ミストCVD法)で形成し、得られた酸化物結晶について同一の装置を用いてc軸長を測定することが好ましい。また、被成膜試料によっても成膜試料の格子定数およびc軸長は影響を受けるため、c軸長の比較の際には、同一の被成膜試料を用いるべきである。
インジウム原子及びガリウム原子の一方又は両方を含むコランダム構造酸化物結晶についての説明は、第1観点と同様である。また、このような酸化物結晶上に、直接または緩衝層を介して1軸に配向したIII族窒化物薄膜を形成してもよい点についても第1観点と同様である。
2−2.第2観点の半導体装置の製造方法、又は結晶構造体の製造方法
第2観点の半導体装置の製造方法、又は結晶構造体の製造方法は、基本的には、第1観点の方法と同じであるので、以下、差異点を中心に説明を進める。
第1実施形態では、アルミニウム原子を格子点間の隙間に導入するために、アルミニウム化合物としてハロゲン化アルミニウムを用いることを必須の要件としたが、本実施形態では、アルミニウム原子の存在量のみが規定され、アルミニウム原子の存在位置は規定されていないので、アルミニウム化合物の種類は、特に限定されず、例えば、アルミニウム有機金属錯体とハロゲン化アルミニウムの一方又は両方を用いることができる。
また、アルミニウム化合物は、酸化物結晶がアルミニウム原子を含有する場合のc軸長が、前記酸化物結晶がアルミニウム原子を含有しない場合のc軸長に対して0.9991倍以上になる。具体的には、アルミニウム化合物が、酸化物結晶中でのインジウム原子とガリウム原子の合計に対する、酸化物結晶の結晶格子の格子点上に存在するアルミニウム原子の原子比(以下、「酸化物結晶中でのアルミニウム原子比」)が0より大きく且つ2.9%以下になるように混合されると、上記のc軸長の条件が達成される。
従って、本実施形態によれば、インジウム化合物及びガリウム化合物の一方又は両方と、アルミニウム化合物をそれぞれ溶媒に溶解した同一又は別々の原料溶液を一緒に又は別々に微粒子化して生成される原料微粒子を成膜室に供給してコランダム構造酸化物結晶を形成する工程を備え、前記アルミニウム化合物は、前記酸化物結晶がアルミニウム原子を含有する場合のc軸長が、前記酸化物結晶がアルミニウム原子を含有しない場合のc軸長に対して0.9991倍以上になるように混合される、半導体装置の製造方法、又は結晶構造体の製造方法が提供される。
原料中でのインジウム原子とガリウム原子の合計に対するアルミニウム原子の原子比(以下、「原料中でのアルミニウム原子比」)は、酸化物結晶中でのアルミニウム原子比とは必ずしも一致せず、酸化物結晶中のアルミニウム原子比が0より大きく且つ2.9%以下にするための原料中でのアルミニウム原子比は、使用する化合物によって異なる。例えば、アルミニウム化合物としてアルミニウム有機金属錯体(例:アルミニウムアセチルアセトナート)を使用すると、酸化物結晶中のアルミニウム原子比が大きくなりやすいので、酸化物結晶中のアルミニウム原子比を2.9%以下にするためには、原料に添加するアルミニウム有機金属錯体を十分に少なくする必要がある。一方、アルミニウム化合物としてハロゲン化アルミニウムを使用すると、酸化物結晶中のアルミニウム比が大きくなりにくいので、原料中でのアルミニウム原子比を4倍程度にしても、酸化物結晶中のアルミニウム原子の原子比は、2.9%以下よりも大幅に小さくすることができる。インジウム化合物、ガリウム化合物、及びアルミニウム化合物を全てハロゲン化物にする場合、原料中でのアルミニウム原子比は、例えば0.1〜20であり、具体的には例えば、0.1、0.5、1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、9.5、10、15,20であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。
3.第3観点
本発明の第3観点によれば、インジウム原子及びガリウム原子の一方又は両方を含むコランダム構造酸化物結晶と、前記酸化物結晶上に直接または緩衝層を介して設けられた1軸に配向したIII族窒化物薄膜とを備える、半導体装置、又は結晶構造体が提供される。また、インジウム化合物及びガリウム化合物の一方又は両方をそれぞれ溶媒に溶解した同一又は別々の原料溶液を一緒に又は別々に微粒子化して生成される原料微粒子を成膜室に供給してコランダム構造酸化物結晶を形成する結晶形成工程と、前記酸化物結晶上に、直接または緩衝層を介して1軸に配向したIII族窒化物薄膜を形成する窒化物薄膜形成工程とを備える、半導体装置の製造方法、又は結晶構造体の製造方法が提供される。好ましくは、前記原料微粒子は、アルミニウム化合物を含む。好ましくは、前記III族窒化物薄膜は、高い量産性の実現、および[0]良好な結晶性を得るという観点から、成膜温度が800℃以上である成膜法(例:MOCVD法、HVPE法)で形成される。
第1及び第2観点では、酸化物結晶がアルミニウム原子を含有することを必須の構成としていたが、本観点は、酸化物結晶上にIII族窒化物薄膜を備える点に特徴と有しており、酸化物結晶は必ずしもアルミニウム原子を含有している必要がない。但し、酸化物結晶の相転移を抑制するために酸化物結晶にアルミニウム原子を含有させることが好ましい。酸化物結晶及びIII族窒化物薄膜の組成及び製法等について第1及び第2観点で述べた内容は、その趣旨に反しない限り、本観点にも適用可能である。
酸化物結晶がアルミニウム原子を含まない場合、III族窒化物薄膜形成時に酸化物結晶が相転移されることを抑制するために、III族窒化物薄膜は、比較的低温のプロセス(例:MBE)を用いて形成することが好ましい。
以下、本発明の実施例を説明する。
1.CVD装置
まず、図2を用いて、本実施例で用いたCVD装置19を説明する。CVD装置19は、下地基板等の被成膜試料20を載置する試料台21と、キャリアガスを供給するキャリアガス源22と、キャリアガス源22から送り出されるキャリアガスの流量を調節するための流量調節弁23と、原料溶液24aが収容されるミスト発生源24と、水25aが入れられる容器25と、容器25の底面に取り付けられた超音波振動子26と、内径40mmの石英管からなる成膜室27と、成膜室27の周辺部に設置されたヒータ28を備えている。試料台21は、石英からなり、被成膜試料20を載置する面が水平面から傾斜している。成膜室27と試料台21をどちらも石英で作製することにより、被成膜試料20上に形成される薄膜内に装置由来の不純物が混入することを抑制している。
2.原料溶液の作製
表1に示す原料濃度になるよう金属臭化物を超純水に溶解させたアルミニウム・ガリウムの混合水溶液を調整した。比較例の条件は、非特許文献1を参照した。ただし、非特許文献1には濃度を変化させた実験がなかったので、材料、溶解方法などは全て文献と同様とし、濃度のみを変化させた溶液を調整した。この原料溶液24aをミスト発生源24内に収容した。
3.成膜準備
次に、被成膜試料20として、1辺が10mmの正方形で厚さ600μmのc面α型サファイア基板を試料台21上に設置させ、ヒータ28を作動させて成膜室27内の温度を表1に示す温度にまで昇温させた。次に、流量調節弁23を開いてキャリアガス源22からキャリアガスを成膜室27内に供給し、成膜室27の雰囲気をキャリアガスで十分に置換した後、キャリアガスの流量を5L/minに調節した。キャリアガスとしては、窒素ガスを用いた。
4.薄膜形成
次に、超音波振動子26を2.4MHzで振動させ、その振動を水25aを通じて原料溶液24aに伝播させることによって原料溶液24aを微粒子化させて原料微粒子を生成した。
この原料微粒子が、キャリアガスによって成膜室27内に導入され、成膜室27内で反応して、被成膜試料20の成膜面でのCVD反応によって被成膜試料20上に薄膜を形成した。
5.評価
5−1.成膜時の相転移抑制効果の実証
原料溶液の組成比、濃度、反応温度、および形成された薄膜の結晶相を同定した結果を表1に示す。
結晶相の同定は、薄膜用XRD回折装置を用いて、15度から95度の角度で2θ/ωスキャンを行うことによって行った。測定は、CuKα線を用いて行った。全ての実験で下地基板であるサファイア由来のピークと、酸化ガリウムを主成分とする酸化物結晶由来のピークのみが検出された。表中の表記内容について、「α」は、α−Gaを主成分とするα相の酸化物結晶由来のピークのみが観測された条件、「β」はβ−Gaを主成分とするβ相の酸化物結晶のピークが観測された条件、「β混」は、α相とβ相の両方のピークが観測され、単相が得られていない条件、「無」はピークが観測されなかったことを意味する。
表1から明らかなように、原料溶液にアルミニウムが全く含まれていない従来技術では、500℃ではα相単相の酸化物結晶薄膜を形成することができたが、550℃以上では、酸化物結晶薄膜は、β相単相、又はα相とβ相の混合相となった。これに対して、原料溶液にアルミニウムを含めた本発明の実施例では、ガリウムに対するアルミニウムの原子比が0.2〜4の全てにおいて、750℃という高い温度においてもα相単相の酸化物結晶薄膜を形成することができた。また、ガリウムに対するアルミニウムの原子比が4の場合には、800℃というさらに高い温度でもα相単相の酸化物結晶薄膜が得られた。この結果は、原料溶液中にアルミニウムを添加することによって、α相からβ相への相転移が抑制されたことを示している。
5−2.アルミニウム原子が結晶中で格子点間の隙間に存在していることの実証
次に、同定に使用したXRDパターンの一部を図3に示す。図3では、上から順に下にいくにつれて、原料溶液中のアルミニウムイオン比率が増加するようにXRDパターンを示した(上から1:0、1:0.2、1:1、1:2、1:4)。原料溶液中のガリウム濃度は0.1mol/Lに固定した。
図3において、41.7度付近のピークは、下地基板であるサファイア(Al)由来のものであり、40.3度付近のピーク(以下、「α相ピーク」)が、α−Gaを主成分とするα相の酸化物結晶由来のピークである。図3の5つのパターンのうち一番上のものは、アルミニウムを含まない原料溶液を用いて作製した純粋なα−Gaについて得られたものであり、その下の4つのパターンは、アルミニウムを含む原料溶液を用いて作製した酸化物結晶について得られたものである。アルミニウムを含む原料溶液を用いて作製した酸化物結晶中には、アルミニウムが含まれていると考えられるが、仮にアルミニウムがガリウムを置換して結晶格子の格子点上に存在しているとすると、アルミニウムはガリウムよりも原子半径が小さいので結晶格子のc軸長が短くなり、その結果、アルミニウムの量の増大に伴ってα相ピークの位置は高角度側(図3の右側)にシフトするはずである。しかし、実際の実験結果によれば、アルミニウムの量の増大に伴ってα相ピークの位置は低角度側(図3の左側)にシフトしている。この結果は、アルミニウムの添加によってc軸長が長くなったことを意味し、同時に、アルミニウムは、結晶中において格子点間の隙間に存在していることを示している。
ここで、原料溶液に含めるアルミニウム化合物の種類が、XRDパターンに与える影響を図4を用いて説明する。図4(a)は、アルミニウム化合物として臭化アルミニウムを用いた場合、図4(b)は、アルミニウム化合物としてアルミニウムアセチルアセトナートを用いた場合の結果を示す。両者の比較から明らかなように、臭化アルミニウムを用いた図4(a)では、アルミニウム量の増大に伴ってα相ピークが低角度側(図3の左側)にずれているのに対し、アルミニウムアセチルアセトナートを用いた図4(b)では、アルミニウム量の増大に伴ってα相ピークが低角度側(図3の右側)にずれている。この結果は、使用するアルミニウム化合物の種類によって、酸化物結晶中でのアルミニウム原子が配置される位置が異なり、臭化アルミニウムを用いた場合には格子点間の隙間にアルミニウム原子が入ってc軸長を長くするのに対し、アルミニウムアセチルアセトナートを用いた場合には格子点上にアルミニウム原子が入ってc軸長を短くすることを示している。
次に、α相ピークのずれと、c軸長の変化の関係について説明する。
図4(a)では、表2に示すように、Ga:Al=1:1の場合に、α相ピークの位置が2θ=40.27度から40.14度に変化している。ブラッグの式(2dsinθ=λ)でλが一定なので、Al添加による格子定数の変化は、d/d=sinθ/sinθでα相ピーク位置の変化前後のθをラジアンに変換して代入すると、d/d≒1.0031となり、c軸長が約0.3%長くなったことが分かる。同様の計算によって、Ga:Al=1:0.2の場合に、d/d≒1.0007となった。
図4(b)では、表3に示すように、Ga:Al=1:1の場合に、α相ピークの位置が2θ=40.27度から40.309度に変化している。ブラッグの式(2dsinθ=λ)でλが一定なので、Al添加による格子定数の変化は、d/d=sinθ/sinθでα相ピーク位置の変化前後のθをラジアンに変換して代入すると、d/d≒0.9991となり、c軸長が約0.1%短くなったことが分かる。また、α相のAlのc軸長が12.995であり、α相のGaのc軸長が13.433であることに基づいて、線形近似によって、本実施例の酸化物結晶のAl量を算出すると、表3に示すように、Ga:Al=1:0.5の場合に、Al量が0.0146となり、Ga:Al=1:1の場合に、Al量が0.0284となった。
5−3.成膜後の相転移抑制効果の実証
さらに、α型酸化物についてアニール処理の際の熱耐性評価の実験を行った。成膜条件は成膜温度500℃、成膜時間10分、キャリアガスには窒素、流量5L/minとした。
「条件1」は臭化ガリウム0.1mol/Lの水溶液のみを、「条件2」は臭化ガリウム、臭化物アルミニウムともに0.1mol/Lの濃度になるよう調整した水溶液を用いて成膜を行った。その後、窒素雰囲気で800℃30分のアニール処理を行った。条件1及び2で形成した酸化物結晶について、アニール処理前後のXRDパターンを図5(a)〜(b)に示す。図5(a)に示すように、原料溶液にアルミニウム化合物を含有しない「条件1」では38度付近にβ相由来のピークがはっきりと観測され、逆にα相由来のピーク強度に著しい減少が見られた。これはα相からβ相への相転移が引き起こされたことを意味する。一方、図5(b)に示すように、原料溶液にアルミニウム化合物を含有させた「条件2」は40度付近のα相由来のピークのみが観測され、アニール前後でピーク強度にも大きな差が無かった。このことから、相転移が生じず、結晶膜がコランダム構造を維持していることが分かる。また、図4〜図5の結果を合わせると、原料溶液に臭化アルミニウムを含ませることによって、格子点間の隙間にアルミニウム原子が導入され、このアルミニウム原子によって相転移が抑制されたことを示している。このように、本発明により得られたα型酸化物結晶薄膜が800℃のアニール処理でもα型構造を維持することは、不純物熱拡散プロセス、表面・界面改質プロセス、ホットインプランテーション、イオン注入後結晶性改善アニールなど、多くの既存量産プロセスの利用可能性を示唆するものであると言え、本発明の有用性を示すものである。
また、図6は、図4(b)のGa:Al=1:0.5に対応するXRDパターンであるが、アルミニウム原子の添加によって、相転移が抑制されたことが示されている。
5−4.コランダム構造酸化物結晶上へのIII族窒化物薄膜形成実験
上記の「5−3」の条件2で形成した酸化物結晶上に成膜温度が800℃以上であるMOCVD法によってIII族窒化物薄膜を形成した。酸化物結晶のXRDパターンを測定したところ、図5(b)と同様に、III族窒化物薄膜の成膜前後でα相ピークの強度がほとんど変化しなかった。
5−5.六方晶構造を有する基板上へのコランダム構造酸化物結晶薄膜形成実験
市販のGaN基板上にミストCVD法によって酸化鉄バッファ層を形成した。酸化鉄バッファ層は、上記のCVD装置19を用いて形成し、成膜温度は300℃とした。キャリアガス及び微粒子化の条件は上記と同様にした。成膜は30秒間行った。次に、(1)酸化鉄バッファ層なしで上記の「5−3」の条件1(但し成膜温度は600℃、)、(2)酸化鉄バッファ層なしで上記の「5−3」の条件2(但し成膜温度は600℃、以下同じ)、(3)酸化鉄バッファ層ありで上記の「5−3」の条件2という3つの条件で酸化物結晶を形成し、この酸化物結晶のXRDパターンを測定した。その結果を図7(a)に示す。図7(a)に示すように、酸化鉄バッファ層ありで上記の「5−3」の条件2で成膜した場合、α相単相の酸化物結晶が形成された。アルミニウムが存在しなかった条件1の場合にはβ相しか観測できないのに対して、アルミニウムが結晶膜中に微量に存在する条件2では、α相が現れており、本発明の効果を顕著に表している。なお、酸化鉄バッファ層の成膜温度を350℃にしても同様の結果が得られた。
また、市販のSiC基板上に上記と同様の方法で酸化鉄バッファ層を形成し、その上に、上記の「5−3」の条件2(但し成膜温度は600℃、以下同じ)で酸化物結晶を形成し、この酸化物結晶のXRDパターンを測定した。その結果を図7(b)に示す。図7(b)に示すように、SiC基板上にも酸化鉄バッファ層を介してα相単相の酸化物結晶が形成された。
1:下地基板
2:結晶性応力緩和層
3:半導体層
4:キャップ層
5:絶縁膜
19:ミストCVD装置
20:被成膜試料
21:試料台
22:キャリアガス源
23:流量調節弁
24:ミスト発生源
24a:原料溶液
25:ミスト発生源
25a :水
26:超音波振動子
27:成膜室
28:ヒータ

Claims (22)

  1. インジウム原子及びガリウム原子の一方又は両方を含むコランダム構造酸化物結晶を備え、
    前記酸化物結晶は、少なくとも、結晶格子の格子点間の隙間にアルミニウム原子を含有する、半導体装置、又は結晶構造体。
  2. 前記酸化物結晶の結晶格子の格子点上に存在するアルミニウム原子の原子比は、前記酸化物結晶中のインジウム原子とガリウム原子の合計に対して0より大きく且つ2.9%以下である請求項1に記載の半導体装置、又は結晶構造体。
  3. インジウム原子及びガリウム原子の一方又は両方を含むコランダム構造酸化物結晶を備え、
    前記酸化物結晶は、アルミニウム原子を含有し、
    前記酸化物結晶がアルミニウム原子を含有する場合のc軸長が、前記酸化物結晶がアルミニウム原子を含有しない場合のc軸長よりも大きい、半導体装置、又は結晶構造体。
  4. インジウム原子及びガリウム原子の一方又は両方を含むコランダム構造酸化物結晶を備え、
    前記酸化物結晶は、結晶格子の格子点上と格子点間の隙間の一方又は両方にアルミニウム原子を含有し、
    前記酸化物結晶の結晶格子の格子点上に存在するアルミニウム原子の原子比は、前記酸化物結晶中のインジウム原子とガリウム原子の合計に対して0より大きく且つ2.9%以下である、半導体装置、又は結晶構造体。
  5. インジウム原子及びガリウム原子の一方又は両方を含むコランダム構造酸化物結晶を備え、
    前記酸化物結晶は、アルミニウム原子を含有し、
    前記酸化物結晶がアルミニウム原子を含有する場合のc軸長が、前記酸化物結晶がアルミニウム原子を含有しない場合のc軸長に対して0.9991倍以上である、半導体装置、又は結晶構造体。
  6. 前記酸化物結晶のコランダム構造を形成する格子点上の原子の組成は、InAlGa(0≦X≦2、0≦Y≦2、0≦Z≦2、X+Y+Z=1.5〜2.5であり、0<X又は0<Zである。)からなる、請求項1〜請求項5の何れか1つに記載の半導体装置、又は結晶構造体。
  7. 0<Yである、請求項6に記載の半導体装置、又は結晶構造体。
  8. 前記酸化物結晶上に、直接または緩衝層を介して1軸に配向したIII族窒化物薄膜を備える、請求項1〜請求項7の何れか1つに記載の半導体装置、又は結晶構造体。
  9. インジウム化合物及びガリウム化合物の一方又は両方と、アルミニウム化合物をそれぞれ溶媒に溶解した同一又は別々の原料溶液を一緒に又は別々に微粒子化して生成される原料微粒子を成膜室に供給してコランダム構造酸化物結晶を形成する結晶形成工程を備え、前記アルミニウム化合物は、ハロゲン化アルミニウムを含む、半導体装置の製造方法、又は結晶構造体の製造方法。
  10. 前記アルミニウム化合物は、アルミニウム有機金属錯体とハロゲン化アルミニウムの両方を含む、請求項9に記載の方法。
  11. インジウム化合物及びガリウム化合物の一方又は両方と、アルミニウム化合物をそれぞれ溶媒に溶解した同一又は別々の原料溶液を一緒に又は別々に微粒子化して生成される原料微粒子を成膜室に供給してコランダム構造酸化物結晶を形成する工程を備え、
    前記アルミニウム化合物は、前記酸化物結晶がアルミニウム原子を含有する場合のc軸長が、前記酸化物結晶がアルミニウム原子を含有しない場合のc軸長に対して0.9991倍以上になるように混合される、半導体装置の製造方法、又は結晶構造体の製造方法。
  12. 前記アルミニウム化合物は、アルミニウム有機金属錯体とハロゲン化アルミニウムの一方又は両方である、請求項11に記載の方法。
  13. 前記結晶形成工程において前記成膜室内の温度が300〜1500℃である、請求項9〜請求項12の何れか1つに記載の方法。
  14. 前記結晶形成工程において前記成膜室内の温度が450℃以上である、請求項13に記載の方法。
  15. 前記結晶形成工程後に、前記酸化物結晶を400℃以上に加熱する加熱工程をさらに備える、請求項9〜請求項14の何れか1つに記載の方法。
  16. 前記酸化物結晶上に、直接または緩衝層を介して1軸に配向したIII族窒化物薄膜を形成する窒化物薄膜形成工程をさらに備える、請求項9〜請求項15の何れか1つに記載の方法。
  17. 前記III族窒化物薄膜は、成膜温度が800℃以上である、請求項16に記載の方法。
  18. インジウム原子及びガリウム原子の一方又は両方を含むコランダム構造酸化物結晶と、前記酸化物結晶上に直接または緩衝層を介して設けられた1軸に配向したIII族窒化物薄膜とを備える、半導体装置、又は結晶構造体。
  19. 前記酸化物結晶は、アルミニウム原子を含有する、請求項18に記載の半導体装置、又は結晶構造体。
  20. インジウム化合物及びガリウム化合物の一方又は両方をそれぞれ溶媒に溶解した同一又は別々の原料溶液を一緒に又は別々に微粒子化して生成される原料微粒子を成膜室に供給してコランダム構造酸化物結晶を形成する結晶形成工程と、前記酸化物結晶上に、直接または緩衝層を介して1軸に配向したIII族窒化物薄膜を形成する窒化物薄膜形成工程とを備える、半導体装置の製造方法、又は結晶構造体の製造方法。
  21. 前記原料微粒子は、アルミニウム化合物を含む、請求項20に記載の方法。
  22. 前記III族窒化物薄膜は、成膜温度が800℃以上である、請求項20又は請求項21に記載の方法。
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