JP2016079485A - 成膜方法ならびに膜形成用ミストおよびその前駆体溶液 - Google Patents

成膜方法ならびに膜形成用ミストおよびその前駆体溶液 Download PDF

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Abstract

【課題】表面平滑性に優れた膜を工業的有利に成膜できる成膜方法並びに成膜方法に用いられる膜形成用ミスト及びその前駆体溶液の提供。【解決手段】膜形成用ミストの前駆体溶液24aを霧化し、得られた膜形成用ミストを、キャリアガス22によって基板20へ搬送して基板20上に成膜する成膜方法であって、前駆体溶液24aが、ハロゲン化金属塩とハロゲン化水素とからなるハロゲン含有錯体を含む成膜方法並びに成膜方法に用いられる膜形成用ミスト及びその前駆体溶液24a。【選択図】図1

Description

本発明は、優れた半導体膜を成膜できる成膜方法ならびに前記成膜方法に用いられる膜形成用ミストおよびその前駆体溶液に関する。
高耐圧、低損失および高耐熱を実現できる次世代のスイッチング素子として、バンドギャップの大きな酸化ガリウム(Ga)を用いた半導体装置が注目されており、インバータなどの電力用半導体装置への適用が期待されている。当該酸化ガリウムは、非特許文献1によれば、インジウムやアルミニウムをそれぞれ、あるいは組み合わせて混晶とすることにより、バンドギャップを制御することが可能であり、中でも、InX1AlY1GaZ1(0≦X1≦2、0≦Y1≦2、0≦Z1≦2、X1+Y1+Z1=1.5〜2.5)で表されるInAlGaO系半導体は、極めて魅力的な材料である。
特許文献1には、ドーパント(4価の錫)を添加した結晶性の高い導電性α‐Ga薄膜が記載されている。しかしながら、特許文献1記載の薄膜では、十分な耐圧性を維持することができず、また、炭素不純物が多く含まれており、導電性も含め、半導体特性もまだまだ満足のいくものではなく、表面も平滑にするのが困難であり、半導体装置に用いることがまだまだ困難であった。
特許文献2には、ガリウム又はインジウムの臭化物又はヨウ化物を用いて、ミストCVD法により、酸化物結晶薄膜を製造する方法が記載されている。
特許文献3〜5には、コランダム型結晶構造を有する下地基板上に、コランダム型結晶構造を有する半導体層と、コランダム型結晶構造を有する絶縁膜とが積層された多層構造体が記載されている。
なお、特許文献2〜5に記載のInAlGaO系半導体は500℃以上では結晶構造が壊れやすく、アニールが容易ではない等の問題があり、特に、表面平滑性において、必ずしも満足のいくものではなかった。
特開2013−28480号公報 特許第5397794号 特許第5343224号 特許第5397795号 特開2014−72533号公報
金子健太郎、「コランダム構造酸化ガリウム系混晶薄膜の成長と物性」、京都大学博士論文、平成25年3月
本発明は、表面平滑性に優れた膜を成膜できる成膜方法ならびに前記成膜方法に用いられる膜形成用ミストおよびその前駆体溶液を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意検討した結果、ミストCVD法やミスト・エピタキシー法に用いられる原料に、ハロゲン化金属塩とハロゲン化水素とからなるハロゲン含有錯体を用いることにより、得られた膜の表面平滑性が格段に向上することを見出した。そして、このような膜が、他の錯体(例えばシアノ錯体、カルボニル錯体、シクロペンタジエン錯体、アセチルアセトナート錯体、アセチル錯体)を用いた場合に比べて、予想もしえないほど表面平滑性に優れたものになることを知見し、上記した従来の問題を一挙に解決できるものであることを見出した。
また、本発明者らは、上記した各種知見を得た後、さらに検討を重ねて、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、以下の発明に関する。
[1] 膜形成用ミストの前駆体溶液を霧化し、得られた膜形成用ミストを、キャリアガスによって基板へ搬送して基体表面の一部または全部に成膜する成膜方法であって、前記前駆体溶液が、ハロゲン化金属塩とハロゲン化水素酸とからなるハロゲン含有錯体を含むことを特徴とする成膜方法。
[2] ハロゲン化金属塩が、ハロゲン化ガリウム、ハロゲン化インジウムおよびハロゲン化アルミニウムから選ばれる1または2以上の金属塩である前記[1]記載の成膜方法。
[3] ハロゲン化金属塩が、臭化金属塩またはヨウ化金属塩である前記[1]または[2]に記載の成膜方法。
[4] ハロゲン化水素酸が、臭化水素またはヨウ化水素である前記[1]〜[3]のいずれかに記載の成膜方法。
[5] 溶媒が、水、アルコール類、ケトン類またはこれらの混合物である前記[1]〜[4]のいずれかに記載の成膜方法。
[6] ハロゲン含有錯体を前駆体溶液に対して0.01〜50質量%含む前記[1]〜[5]のいずれかに記載の成膜方法。
[7] 前駆体溶液に対して、ハロゲン化金属塩0.01〜60質量%およびハロゲン化水素酸0.001〜50質量%を混合してなる前記[1]〜[6]のいずれかに記載の成膜方法。
[8] ハロゲン化金属塩およびハロゲン化水素酸のハロゲンがそれぞれ同じハロゲンで構成されている前記[1]〜[7]のいずれかに記載の成膜方法。
[9] さらに、ドーパントを含む前記[1]〜[8]のいずれかに記載の成膜方法。
[10] 前記[1]〜[9]のいずれかに記載の成膜方法を用いて成膜された膜。
[11] ハロゲン化金属塩とハロゲン化水素酸とからなるハロゲン含有錯体を含むことを特徴とする膜形成用ミストの前駆体溶液。
[12] ハロゲン化金属塩が、ハロゲン化ガリウム、ハロゲン化インジウムおよびハロゲン化アルミニウムから選ばれる1または2以上の金属塩である前記[11]記載の前駆体溶液。
[13] ハロゲン化金属塩が、臭化金属塩またはヨウ化金属塩である前記[11]または[12]に記載の前駆体溶液。
[14] ハロゲン化水素酸が、臭化水素またはヨウ化水素である前記[11]〜[13]のいずれかに記載の前駆体溶液。
[15] 溶媒が、水、アルコール類、ケトン類またはこれらの混合物である前記[11]〜[14]のいずれかに記載の前駆体溶液。
[16] ハロゲン含有錯体を前駆体溶液に対して0.01〜50質量%含む前記[11]〜[15]のいずれかに記載の前駆体溶液。
[17] 前駆体溶液に対して、ハロゲン化金属塩0.01〜60質量%およびハロゲン化水素酸0.001〜50質量%を混合してなる前記[11]〜[16]のいずれかに記載の前駆体溶液。
[18] ハロゲン化金属塩およびハロゲン化水素酸のハロゲンがそれぞれ同じハロゲンで構成されている前記[11]〜[17]のいずれかに記載の前駆体溶液。
[19] さらに、ドーパントを含む前記[11]〜[18]のいずれかに記載の前駆体溶液。
[20] 前記[11]〜[19]のいずれかに記載の前駆体溶液を霧化してなることを特徴とする膜形成用ミスト。
[21] 前記霧化を、超音波を用いて行う前記[20]記載の膜形成用ミスト。
本発明の成膜方法により得られた膜は表面平滑性に優れている。
本発明の実施例で用いたミストCVD装置の構成図である。
本発明の成膜方法は、膜形成用ミストの前駆体溶液を霧化し、得られた膜形成用ミストを、キャリアガスによって基板へ搬送して基体表面の一部または全部に成膜する成膜方法であって、前記前駆体溶液が、ハロゲン化金属塩とハロゲン化水素とからなるハロゲン含有錯体を含むことを特徴とする。
前記前駆体溶液は、ハロゲン化金属塩とハロゲン化水素とからなるハロゲン含有錯体を含んでさえいれば特に限定されない。また、前記前駆体溶液は、霧化によって膜形成用ミストになるものであれば、形状等も特に限定されず、ゾル状であってもよい。
前記ハロゲン化金属塩としては、例えば、塩化金属塩、臭化金属塩、ヨウ化金属塩などが挙げられ、中でも、臭化金属塩またはヨウ化金属塩が表面平滑性においてより好ましい。また、前記ハロゲン化金属塩の金属としては、例えば、ガリウム、インジウム、アルミニウム、亜鉛、チタン、ジルコニウム、マグネシウム、ハフニウム、クロム、モリブデン、タングステンなどが挙げられるが、中でも、ガリウム、インジウムまたはアルミニウムが好ましい。
本発明においては、前記ハロゲン化金属塩が、ハロゲン化ガリウム、ハロゲン化インジウムおよびハロゲン化アルミニウムから選ばれる1または2以上の金属塩であるのが好ましい。
前記ハロゲン化水素酸としては、例えば、臭化水素酸、塩酸、ヨウ化水素酸などが挙げられるが、中でも、臭化水素酸またはヨウ化水素酸が好ましい。
本発明においては、前記ハロゲン含有錯体を、前記ハロゲン化金属塩と前記ハロゲン化水素とを溶媒中で混合することにより得ることができる。前記溶媒としては、例えば、水、アルコール類、ケトン類などが挙げられる。また、前記ハロゲン化金属塩と前記ハロゲン化水素との配合割合は、本発明の目的を阻害しない限り、特に限定されないが、前記前駆体溶液に対して、ハロゲン化金属塩0.01〜60質量%およびハロゲン化水素0.001〜50質量%であるのが好ましく、ハロゲン化金属塩0.1〜50質量%およびハロゲン化水素0.01〜30質量%であるのがより好ましい。
また、本発明においては、ハロゲン化金属塩およびハロゲン化水素のハロゲンがそれぞれ同じハロゲンで構成されているのが好ましい。
本発明では、前記前駆体溶液が、前記ハロゲン含有錯体を0.01〜50質量%含むのが好ましく、0.1〜30質量%含むのがより好ましい。
また、前記前駆体溶液は、さらにドーパントが含まれていてもよい。前記ハロゲン化金属塩が、ハロゲン化ガリウム、ハロゲン化インジウムおよびハロゲン化アルミニウムから選ばれる1または2以上の金属塩であり、結晶性半導体膜を成膜する場合には、前記ドーパントとしては、例えば、スズ、ゲルマニウム、ケイ素、チタン、ジルコニウム、バナジウムまたはニオブ等のn型ドーパント、またはp型ドーパントなどが挙げられる。ドーパントの濃度は、通常、約1×1016/cm〜1×1022/cmであってもよいし、また、ドーパントの濃度を例えば約1×1017/cm以下の低濃度にして、例えばn型ドーパントの場合には、n−型半導体等とすることができる。また、さらに、本発明によれば、ドーパントを約1×1019/cm以上の高濃度で含有させて、例えばn型ドーパントの場合にはn+型半導体等とすることもできる。本発明においては、n型ドーパントが、ゲルマニウム、ケイ素、チタン、ジルコニウム、バナジウムまたはニオブであるのが好ましく、n−型半導体層を形成する場合、前記結晶性半導体膜中のゲルマニウム、ケイ素、チタン、ジルコニウム、バナジウムまたはニオブの濃度を、約1×1013〜5×1017/cmにすることが好ましく、約1×1015〜1×1017/cmにすることがより好ましい。また、ゲルマニウム、ケイ素、チタン、ジルコニウム、バナジウムまたはニオブをn型ドーパントとしてn+型半導体層を形成する場合には、前記結晶性半導体膜中のゲルマニウム、ケイ素、チタン、ジルコニウム、バナジウムまたはニオブの濃度を、約1×1018/cm〜1×1023/cmにすることが好ましく、約5×1018/cm〜5×1021/cmにすることがより好ましい。
本発明の成膜方法では、前記前駆体溶液を霧化してミストを得るが、得られたミストは膜形成に用いられる。霧化手段は、前記前駆体溶液を霧化できれば特に限定されないが、超音波を用いる霧化手段であるのが好ましい。得られた膜形成用ミストは、キャリアガスによって基体へ搬送されて、ついで、膜形成用ミストが熱反応し、基体表面の一部または全部が成膜される。前記キャリアガスの種類としては、本発明の目的を阻害しない限り、特に限定されず、例えば、酸素ガス、窒素ガスやアルゴンガス等の不活性ガス、フォーミングガスや水素ガス等の還元ガスなどが挙げられる。前記基体も、本発明の目的を阻害しない限り、形状等特に限定されない。前記基体の形状としては、例えば、平板や円板等の板状、繊維状、棒状、円柱状、角柱状、筒状、螺旋状、球状、リング状などが挙げられる。なお、成膜温度は、特に限定されないが、600℃以下であるのが好ましく、580℃以下であるのがより好ましい。
以下、図面を用いて、本発明の成膜方法を説明するが、本発明は、これら図面に限定されるものではない。図1は、本発明の実施例で用いたミストCVD装置の構成図である。図1のミストCVD装置は、基板(基体)20、サセプタ21、キャリアガス供給手段22、流量調節弁23、ミスト発生源24、前駆体溶液(原料溶液)24a、容器25、水25a、超音波振動子26、供給管27、ヒーター28を備えている。
前記基板は、膜の支持体となるものであれば特に限定されない。絶縁体基板であってもよいし、半導体基板であってもよいし、導電性基板であってもよいが、前記基板が、絶縁体基板であるのが好ましく、表面に金属膜を有する基板であるのも好ましい。本発明においては、前記基板が、その表面の一部または全部にコランダム構造を有する結晶物を主成分として含む基板、またはその表面の一部または全部にβ−ガリア構造を有する結晶物を主成分として含む基板であるのも好ましい。コランダム構造を有する結晶物を主成分として含む基板は、基板中の組成比で、コランダム構造を有する結晶物を50%以上含むものであれば、特に限定されないが、本発明においては、70%以上含むものであるのが好ましく、90%以上であるのがより好ましい。コランダム構造を有する結晶を主成分とする基板としては、例えば、サファイア基板(例:c面サファイア基板)や、α型酸化ガリウム基板などが挙げられる。β−ガリア構造を有する結晶物を主成分とする基板は、基板中の組成比で、β−ガリア構造を有する結晶物を50%以上含むものであれば、特に限定されないが、本発明においては、70%以上含むものであるのが好ましく、90%以上であるのがより好ましい。β−ガリア構造を有する結晶物を主成分とする基板としては、例えばβ−Ga基板、又はGaとAlとを含みAlが0wt%より多くかつ60wt%以下である混晶体基板などが挙げられる。その他の下地基板の例としては、六方晶構造を有する基板(例:SiC基板、ZnO基板、GaN基板)などが挙げられる。六方晶構造を有する基板上には、直接または別の層(例:緩衝層)を介して、膜を形成するのが好ましい。基板の厚さは、本発明においては特に限定されないが、好ましくは、50〜2000μmであり、より好ましくは200〜800μmである。
前記基板が、表面に金属膜等を有する基板である場合には、前記金属膜等は、基板表面の一部または全部に設けられていてもよく、メッシュ状やドット状の金属膜等が設けられていてもよい。また、前記金属膜等の厚さは、特に限定されないが、好ましくは、10〜1000nmであり、より好ましくは10〜500nmである。前記金属膜等の構成材料としては、例えば、白金(Pt)、金(Au)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、クロム(Cr)、銅(Cu)、鉄(Fe)、タングステン(W)、チタン(Ti)、タンタル(Ta)、ニオブ(Nb)、マンガン(Mn)、モリブデン(Mo)、アルミニウム(Al)もしくはハフニウム(Hf)等の金属またはこれらの合金などが挙げられる。なお、前記金属は、一軸に配向しているのが好ましい。一軸に配向している金属は、膜厚方向及び膜面内方向、もしくは膜厚方向などの一定の方向に単一の結晶方位をもつ金属であればそれでよく、一軸に優先配向している金属も含む。本発明においては、膜厚方向に一軸に配向しているのがより好ましい。配向については、一軸に配向しているのか否かをX線回折法により確認することができる。例えば、一軸に配向している結晶面に由来するピークとその他の結晶面に由来するピークとの積分強度比と、ランダムに配向した同一結晶粉末の一軸に配向している結晶面に由来するピークとその他の結晶面に由来するピークとの積分強度比と比較して、大きい場合(好ましくは倍以上大きい場合、より好ましくは一桁以上大きい場合)に、一軸に配向していると判断することができる。
前記ハロゲン化金属塩が、ハロゲン化ガリウム、ハロゲン化インジウムおよびハロゲン化アルミニウムから選ばれる1または2以上の金属塩である場合には、前記基板が、サファイア基板(例:c面サファイア基板)、α型酸化ガリウム基板、β−Ga基板もしくはGaとAlとを含み、Alが0wt%より多くかつ60wt%以下である混晶体基板または表面に金属膜が形成されているこれらの基板であるのが好ましい。このような好ましい基板を用いることで、前記結晶性半導体膜の不純物のカーボン含有率、キャリア濃度および半値幅が、他の下地基板を用いた場合に比べてさらに低減することができる。
膜形成用ミストの前駆体溶液を霧化する工程では、原料溶液24aを超音波振動子26により霧化してミストを発生させる。図1には、超音波振動子26上に水25aを介して原料溶液24aが入ったミスト発生源24が容器25に備えられており、ミスト発生源24には、流量調節弁23を介してキャリアガス供給手段22が連結されており、キャリアガス供給手段によって供給されたキャリアガスがミストとともに供給管に流れるように構成されている。サセプタ21には、基板20が備え付けられており、供給管に流れ込んだミストが、ヒーターによって熱反応し、基板上に膜が形成される。
以上のようにして成膜することにより、工業的有利に、表面平滑性に優れた膜を得ることができる。なお、成膜時間を適宜調整することにより、膜厚を調節することができ、本発明においては、1μm以上の厚膜にするのが、表面平滑性がより良好なものとなるので好ましい。また、本発明においては、得られる膜が、コランダム構造を有する結晶膜であるのが好ましく、ガリウム、インジウムおよびアルミニウムから選ばれる1種または2種以上を含む結晶膜であるのがより好ましい。
本発明においては、成膜後、アニール処理などの後処理を適宜行ってもよい。アニール処理の温度は、特に限定されないが、300℃以上が好ましく、400℃以上がより好ましく、500℃以上が最も好ましい。このような好ましい温度でアニール処理を行うことにより、より好適に膜のキャリア濃度を調節することができるとともに、表面平滑性も格段に向上させることができる。アニール処理の処理時間は、本発明の目的を阻害しない限り、特に限定されないが、10秒〜10時間であるのが好ましく、1分〜5時間であるのがより好ましく、30分〜3時間であるのが最も好ましい。
以下、本発明の実施例を説明する。
1.成膜装置
図1を用いて、本実施例で用いたミストCVD装置19を説明する。ミストCVD装置19は、基板20を載置するサセプタ21と、キャリアガスを供給するキャリアガス供給手段22と、キャリアガス供給手段22から送り出されるキャリアガスの流量を調節するための流量調節弁23と、原料溶液24aが収容されるミスト発生源24と、水25aが入れられる容器25と、容器25の底面に取り付けられた超音波振動子26と、内径40mmの石英管からなる供給管27と、供給管27の周辺部に設置されたヒーター28を備えている。サセプタ21は、石英からなり、基板20を載置する面が水平面から傾斜している。成膜室となる供給管27とサセプタ21をどちらも石英で作製することにより、基板20上に形成される膜内に装置由来の不純物が混入することを抑制している。
2.前駆体溶液の作製
臭化ガリウムと酸化ゲルマニウムをガリウムに対するゲルマニウムの原子比が1:0.05となるように水溶液を調整した。この際、48%臭化水素酸溶液を体積比で10%を含有させ、実施例1の前駆体溶液とした。
また、臭化ガリウムおよび臭化水素酸溶液に代えて、ヨウ化ガリウムおよびヨウ化水素酸溶液をそれぞれ用いたこと以外は、上記と同様にして、水溶液を調整した(実施例2)。
3.成膜準備
次に、被成膜試料20として、1辺が10mmの正方形で厚さ600μmのc面サファイア基板を試料台21上に設置させ、ヒーター28を作動させて成膜室27内の温度を500℃にまで昇温させた。次に、流量調節弁23を開いてキャリアガス源22からキャリアガスを成膜室27内に供給し、成膜室27の雰囲気をキャリアガスで十分に置換した後、キャリアガスの流量を5L/minに調節した。キャリアガスとしては、酸素ガスを用いた。
4.薄膜形成
次に、超音波振動子26を2.4MHzで振動させ、その振動を水25aを通じて原料溶液24aに伝播させることによって原料溶液24aを微粒子化させて原料微粒子を生成した。この原料微粒子が、キャリアガスによって成膜室27内に導入され、成膜室27内で反応して、被成膜試料20の成膜面でのCVD反応によって被成膜試料20上に薄膜を形成した。
5.評価
成膜した薄膜の相の同定をした。同定は、薄膜用XRD回折装置を用いて、15度から95度の角度で2θ/ωスキャンを行うことによって行った。測定は、CuKα線を用いて行った。その結果、形成した薄膜は、コランダム構造を有するα−酸化ガリウムであった。
直径0.5mmのインジウム電極を1mmの端子間距離を設けて圧着後、窒素雰囲気で500℃20分アニール処理を行った。アニール後にもXRD測定を行い、相転移が起こらず、α−酸化ガリウムの結晶構造を維持していることを確認した。なお、本実施例の薄膜は干渉式膜厚計を用いて膜厚を計測した。
6.表面粗さ
得られた厚さ1.5μmのα−酸化ガリウム薄膜サンプルについて、ハロゲン化水素酸を含むサンプル(実施例1および2)と、ハロゲン化水素酸を含まないサンプル(比較例)の表面粗さを、AFMを用いて計測した。表1のとおり、ハロゲン化水素酸を含まないサンプルは凹凸が大きいのに対して、ハロゲン化水素酸を含む場合は数nmから数十nmのRaの値を示し、異常粒も観察されず、表面平滑性に優れた厚膜であった。
本発明の成膜方法は、種々の成膜に有用であり、特に半導体の結晶膜に有用である。
19 ミストCVD装置
20 基板
21 サセプタ
22a キャリアガス供給手段
22b キャリアガス(希釈)供給手段
23a 流量調節弁
23b 流量調節弁
24 ミスト発生源
24a 原料溶液
25 容器
25a 水
26 超音波振動子
27 供給管
28 ヒーター
29 排気口

Claims (21)

  1. 膜形成用ミストの前駆体溶液を霧化し、得られた膜形成用ミストを、キャリアガスによって基板へ搬送して基体表面の一部または全部に成膜する成膜方法であって、前記前駆体溶液が、ハロゲン化金属塩とハロゲン化水素酸とからなるハロゲン含有錯体を含むことを特徴とする成膜方法。
  2. ハロゲン化金属塩が、ハロゲン化ガリウム、ハロゲン化インジウムおよびハロゲン化アルミニウムから選ばれる1または2以上の金属塩である請求項1記載の成膜方法。
  3. ハロゲン化金属塩が、臭化金属塩またはヨウ化金属塩である請求項1または2に記載の成膜方法。
  4. ハロゲン化水素酸が、臭化水素またはヨウ化水素である請求項1〜3のいずれかに記載の成膜方法。
  5. 溶媒が、水、アルコール類、ケトン類またはこれらの混合物である請求項1〜4のいずれかに記載の成膜方法。
  6. ハロゲン含有錯体を前駆体溶液に対して0.01〜50質量%含む請求項1〜5のいずれかに記載の成膜方法。
  7. 前駆体溶液に対して、ハロゲン化金属塩0.01〜60質量%およびハロゲン化水素酸0.001〜50質量%を混合してなる請求項1〜6のいずれかに記載の成膜方法。
  8. ハロゲン化金属塩およびハロゲン化水素酸のハロゲンがそれぞれ同じハロゲンで構成されている請求項1〜7のいずれかに記載の成膜方法。
  9. さらに、ドーパントを含む請求項1〜8のいずれかに記載の成膜方法。
  10. 請求項1〜9のいずれかに記載の成膜方法を用いて成膜された膜。
  11. ハロゲン化金属塩とハロゲン化水素酸とからなるハロゲン含有錯体を含むことを特徴とする膜形成用ミストの前駆体溶液。
  12. ハロゲン化金属塩が、ハロゲン化ガリウム、ハロゲン化インジウムおよびハロゲン化アルミニウムから選ばれる1または2以上の金属塩である請求項11記載の前駆体溶液。
  13. ハロゲン化金属塩が、臭化金属塩またはヨウ化金属塩である請求項11または12に記載の前駆体溶液。
  14. ハロゲン化水素酸が、臭化水素またはヨウ化水素である請求項11〜13のいずれかに記載の前駆体溶液。
  15. 溶媒が、水、アルコール類、ケトン類またはこれらの混合物である請求項11〜14のいずれかに記載の前駆体溶液。
  16. ハロゲン含有錯体を前駆体溶液に対して0.01〜50質量%含む請求項11〜15のいずれかに記載の前駆体溶液。
  17. 前駆体溶液に対して、ハロゲン化金属塩0.01〜60質量%およびハロゲン化水素酸0.001〜50質量%を混合してなる請求項11〜16のいずれかに記載の前駆体溶液。
  18. ハロゲン化金属塩およびハロゲン化水素酸のハロゲンがそれぞれ同じハロゲンで構成されている請求項11〜17のいずれかに記載の前駆体溶液。
  19. さらに、ドーパントを含む請求項11〜18のいずれかに記載の前駆体溶液。
  20. 請求項11〜19のいずれかに記載の前駆体溶液を霧化してなることを特徴とする膜形成用ミスト。
  21. 前記霧化を、超音波を用いて行う請求項20記載の膜形成用ミスト。

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