JP2015006853A - タイヤの摩耗性能評価方法及びシミュレーション装置 - Google Patents

タイヤの摩耗性能評価方法及びシミュレーション装置 Download PDF

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Abstract

【課題】タイヤの摩耗性能を精度よく評価しうる。【解決手段】コンピュータ1を用いて、タイヤの摩耗性能を評価する方法である。評価方法は、コンピュータ1が、路面モデル31の上でタイヤモデル20を転動させ、タイヤモデル20の節点27のせん断力P及びすべり量Qを含む物理量を計算するシミュレーション工程S3、並びに、コンピュータ1が、物理量に基づいて、タイヤの摩耗性能を評価する評価工程S4を含む。シミュレーション工程S3では、節点27が路面モデル31に接地している間、節点27毎に、せん断力P及びすべり量Qが微小時間刻みで複数回計算される。評価工程S4は、節点27毎に、せん断力の最大値Pmを選択する最大値選択工程S42、節点27毎に、すべり量の積算値Qsを計算するすべり量積算工程S43、及びせん断力の最大値Pmとすべり量の積算値Qsとに基づいて、タイヤの摩耗性能を評価する工程S45を含む。【選択図】図4

Description

本発明は、タイヤの摩耗性能を精度よく評価しうるタイヤの摩耗性能評価方法及びシミュレーション装置に関する。
近年、タイヤの摩耗性能を、コンピュータを用いて評価するためのシミュレーション方法が提案されている(例えば、下記特許文献1参照)。この種のシミュレーション方法では、コンピュータによって、路面モデルの上でタイヤモデルを転動させ、タイヤモデルの節点のせん断力及びすべり量を含む物理量が計算される。そして、節点の物理量に基づいて、タイヤの摩耗性能が評価される。
上記シミュレーション方法では、タイヤモデルの接地中の各節点のせん断力とすべり量とが時々刻々と計算される。そして、時刻毎に両者がかけ合わされつつ、それらが積算されることにより、各節点の摩耗エネルギーが計算される。このような摩耗エネルギーに基づいて、タイヤの摩耗性能が評価される。
特許第3431818号公報
上述のように、摩耗エネルギーは、せん断力とすべり量とが乗じられた値である。このため、従来の方法では、摩耗の原因が、せん断力又はすべり量のいずれにあるのかを分析するのが困難であった。
また、せん断力又はすべり量の大小を節点毎に比較して、摩耗性能を評価することも考えられる。しかしながら、せん断力及びすべり量は、節点が路面モデルに接地している間に大きく変化するため、単に比較しただけでは、摩耗性能を精度よく評価することが難しいという問題もあった。
発明者は、鋭意研究を重ねた結果、節点毎のせん断力の最大値と、節点毎のすべり量の積算値とに基づいて評価することにより、タイヤの摩耗性能を精度良く評価できることを知見した。
本発明は、以上のような実状に鑑み案出されたもので、タイヤの摩耗性能を精度よく評価しうるタイヤの摩耗性能評価方法及びシミュレーション装置を提供することを主たる目的としている。
本発明は、コンピュータを用いて、タイヤの摩耗性能を評価する方法であって、前記コンピュータに、前記タイヤを、節点を有する有限個の要素でモデル化したタイヤモデルを設定する工程、前記コンピュータに、路面を有限個の要素でモデル化した路面モデルを設定する工程、前記コンピュータが、前記路面モデルの上で前記タイヤモデルを転動させ、前記タイヤモデルの前記節点のせん断力及びすべり量を含む物理量を計算するシミュレーション工程、並びに前記コンピュータが、前記物理量に基づいて、前記タイヤの摩耗性能を評価する評価工程を含み、前記シミュレーション工程では、前記節点が前記路面モデルに接地している間、前記節点毎に、前記せん断力及び前記すべり量が微小時間刻みで複数回計算され、前記評価工程は、前記節点毎に、前記せん断力の最大値を選択する最大値選択工程、前記節点毎に、前記すべり量の積算値を計算するすべり量積算工程、及び前記せん断力の最大値と前記すべり量の積算値とに基づいて、前記タイヤの摩耗性能を評価する工程を含むことを特徴とする。
本発明に係る前記タイヤの摩耗性能評価方法は、前記せん断力は、タイヤ周方向のせん断力又はタイヤ軸方向のせん断力を含むのが望ましい。
本発明に係る前記タイヤの摩耗性能評価方法は、前記せん断力は、タイヤ周方向のせん断力とタイヤ軸方向のせん断力との二乗和の平方根であるのが望ましい。
本発明に係る前記タイヤの摩耗性能評価方法は、前記すべり量は、タイヤ周方向のすべり量又はタイヤ軸方向のすべり量を含むのが望ましい。
本発明に係る前記タイヤの摩耗性能評価方法は、前記すべり量は、タイヤ周方向のすべり量と、タイヤ軸方向のすべり量との二乗和の平方根であるのが望ましい。
本発明に係る前記タイヤの摩耗性能評価方法は、前記評価工程は、前記せん断力の最大値及び前記すべり量の積算値を、前記要素に関連付けて、色情報で可視化したコンター図を出力する工程をさらに含むのが望ましい。
本発明に係る前記タイヤの摩耗性能評価方法は、前記コンター図には、前記せん断力が作用した方向又は前記せん断力の最大値を表示するせん断力情報を含むのが望ましい。
本発明に係る前記タイヤの摩耗性能評価方法は、前記せん断力情報は、前記方向及び前記最大値を示すベクトルを含むのが望ましい。
本発明に係る前記タイヤの摩耗性能評価方法は、前記コンター図には、前記節点のすべり方向又は前記すべり量の積算値を表示するすべり情報を含むのが望ましい。
本発明に係る前記タイヤの摩耗性能評価方法は、前記すべり情報は、前記すべり方向及び前記積算値を示すベクトルを含むのが望ましい。
本発明は、タイヤの摩耗性能を評価する演算処理装置を有するタイヤのシミュレーション装置であって、前記演算処理装置は、前記タイヤを、節点を有する有限個の要素でモデル化したタイヤモデルが入力されるタイヤモデル入力部、前記路面を有限個の要素でモデル化した路面モデルが入力される路面モデル入力部、前記路面モデルの上で前記タイヤモデルを転動させ、前記タイヤモデルの前記節点のせん断力及びすべり量を含む物理量を計算する物理量計算部、並びに前記物理量に基づいて、前記タイヤの摩耗性能を評価する評価する摩耗性能評価部を含み、前記物理量計算部は、前記節点が前記路面モデルに接地している間、前記節点毎に、前記せん断力及び前記すべり量が微小時間刻みで複数回計算し、前記摩耗性能評価部は、前記節点毎に、前記せん断力の最大値を選択する最大値選択部、前記節点毎に、前記すべり量の積算値を計算するすべり量積算部、及び前記せん断力の最大値と前記すべり量の積算値とに基づいて、前記タイヤの摩耗性能を評価する評価部を含むことを特徴とする。
本発明のタイヤの摩耗性能評価方法は、コンピュータが、路面モデルの上でタイヤモデルを転動させ、タイヤモデルの節点のせん断力及びすべり量を含む物理量を計算するシミュレーション工程、並びに、コンピュータが、物理量に基づいて、タイヤの摩耗性能を評価する評価工程を含む。シミュレーション工程では、節点が路面モデルに接地している間、節点毎に、せん断力及びすべり量が微小時間刻みで複数回計算される。
評価工程は、節点毎に、せん断力の最大値を選択する最大値選択工程、節点毎に、すべり量の積算値を計算するすべり量積算工程、及びせん断力の最大値とすべり量の積算値とに基づいて、タイヤの摩耗性能を評価する工程を含む。
タイヤのトレッド部は、接地面に入ったとき(以下、「接地入り」という。)からせん断力を受けて変形する。そして、トレッド部が、接地面から出る(以下、「接地出」という。)に復元して路面をすべることにより、タイヤの摩耗が発生する。このため、タイヤの摩耗は、せん断力に比例して大きくなる。一方、トレッド部のすべりは、トレッド部が変形してから復元するまで継続して生じている。
本発明では、上記のような現実のタイヤの摩耗現象に基づいて、節点毎にせん断力の最大値及びすべり量の積算値を計算してタイヤの摩耗性能を評価しているため、タイヤの摩耗性能を精度よく評価することができる。
本実施形態のシミュレーション装置のブロック図である。 タイヤの断面図である。 タイヤのトレッド部の展開図である。 本実施形態の評価方法の処理手順の一例を示すフローチャートである。 タイヤモデルの断面図である。 タイヤモデルのトレッド部の展開図である。 タイヤモデル及び路面モデルの斜視図である。 本実施形態のシミュレーション工程の一例を示すフローチャートである。 (a)は、接地入りから接地出にかけて変形したトレッド部の部分断面図、(b)は、接地出に復元したトレッド部の部分断面図である。 (a)は、せん断力と時間との関係を示すグラフ、(b)は、すべり量と時間との関係を示すグラフである。 本実施形態の評価工程の一例を示すフローチャートである。 せん断力の最大値を可視化したコンター図である。 せん断力情報を含むコンター図である。 すべり量の積算値を可視化したコンター図である。 すべり情報を含むコンター図である。 他の実施形態のせん断力の最大値を可視化したコンター図である。 他の実施形態のすべり量の積算値を可視化したコンター図である。
以下、本発明の実施の一形態が図面に基づき説明される。
図1に示されるように、本実施形態のタイヤの摩耗性能評価方法(以下、単に「評価方法」ということがある)は、コンピュータを用いて、解析対象のタイヤの摩耗性能を評価するための方法である。
図1に示されるように、コンピュータ1は、入力デバイスとしての入力部11、出力デバイスとしての出力部12、及びタイヤの物理量等を計算する演算処理装置13を有するシミュレーション装置1Aとして構成される。
入力部11には、例えば、キーボード又はマウス等が用いられる。また、出力部12には、例えば、ディスプレイ装置又はプリンタ等が用いられる。さらに、演算処理装置13には、各種の演算を行う演算部(CPU)13A、データやプログラム等が記憶される記憶部13B、及び作業用メモリ13Cが含まれる。
記憶部13Bは、例えば、磁気ディスク、光ディスク又はSSD等からなる不揮発性の情報記憶装置である。この記憶部13Bには、データ部15及びプログラム部16が設けられる。
データ部15には、図2に示される評価対象のタイヤ及び路面に関する情報(例えば、CADデータ等)が記憶される初期データ部15A、タイヤがモデル化されたタイヤモデルが入力されるタイヤモデル入力部15B、及び路面がモデル化した路面モデルが入力される路面モデル入力部15Cが含まれている。さらに、データ部15には、演算部13Aによって計算された物理量が入力される物理量入力部15Dが含まれている。
プログラム部16は、演算部13Aによって実行されるプログラムである。プログラム部16には、タイヤモデルの内圧充填後の形状を計算する内圧充填計算部16Aと、内圧充填後のタイヤモデルに、荷重を定義する荷重負荷計算部16Bとが含まれる。さらに、プログラム部16には、路面モデルの上でタイヤモデルを転動させて、せん断力及びすべり量を含む物理量を計算する物理量計算部16C、せん断力及びすべり量に基づいて、コンター図を出力するコンター図作成部16D、及びタイヤの摩耗性能を評価する摩耗性能評価部16Eが含まれている。
摩耗性能評価部16Eには、せん断力の最大値を選択する最大値選択部17、すべり量の積算値を計算するすべり量積算部18、せん断力の最大値とすべり量の積算値とに基づいて、タイヤの摩耗性能を評価する評価部19、及び摩耗エネルギーを計算する摩耗エネルギー計算部20が含まれる。
図2に示されるように、本実施形態の解析対象となるタイヤ2は、例えば、トラック・バス用の重荷重用タイヤとして構成されている。タイヤ2は、例えば、トレッド部2aからサイドウォール部2bを経てビード部2cのビードコア7に至るカーカス8と、このカーカス8のタイヤ半径方向外側かつトレッド部2aの内部に配されるベルト層9とを具える。
図3に示されるように、トレッド部2aには、タイヤ周方向にのびる複数本の主溝4と、この主溝4に交わる複数本の横溝5とが設けられている。これにより、トレッド部2aには、主溝4及び横溝5によって区分された複数個のブロック6が、タイヤ周方向に隔設されている。
主溝4は、最もトレッド端2t側に配置される一対のショルダー主溝4A、4A、該ショルダー主溝4A、4Aのタイヤ軸方向内側に配置される一対のミドル主溝4B、4B、及び該ミドル主溝4B、4Bのタイヤ軸方向内側に配置される一本のセンター主溝4Cが含まれる。これらの主溝4A、4B、4Cは、タイヤ周方向にジグザグ状にのびている。
横溝5は、ショルダー主溝4Aとトレッド端2tとの間をのびるショルダー横溝5A、ショルダー主溝4Aとミドル主溝4Bとの間をのびるミドル横溝5B、及びミドル主溝4Bとセンター主溝4Cとの間をのびるセンター横溝5Cが含まれる。
ブロック6は、ショルダー主溝4Aとトレッド端2tとショルダー横溝5Aとで区分されるショルダーブロック6A、ショルダー主溝4Aとミドル主溝4Bとミドル横溝5Bとで区分されるミドルブロック6B、及びミドル主溝4Bとセンター主溝4Cとセンター横溝5Cとで区分されるセンターブロック6Cが含まれる。
図2に示されるように、カーカス8は、少なくとも1枚以上、本実施形態では1枚のカーカスプライ8Aで構成される。カーカスプライ8Aは、トレッド部2aからサイドウォール部2bを経てビード部2cのビードコア7に至る本体部8aと、この本体部8aに連なりビードコア7の廻りをタイヤ軸方向内側から外側に折り返された折返し部8bとが含まれる。この本体部8aと折返し部8bとの間には、ビードコア7からタイヤ半径方向外側にのびるビードエーペックスゴム10が配される。また、カーカスプライ8Aは、タイヤ赤道Cに対して、例えば70〜90°の角度で配列されたスチール製のカーカスコードが設けられる。
ベルト層9は、例えば、スチール製のベルトコードをタイヤ周方向に対して10〜70゜の角度で配列した4枚のベルトプライ9A〜9Dから構成される。これらのベルトプライ9A〜9Dは、ベルトコードがプライ間で互いに交差する箇所を1箇所以上設けて重置されている。
図4には、本実施形態の評価方法の具体的な処理手順が示される。
本実施形態では、先ず、コンピュータ1に、図2に示したタイヤ2をモデル化したタイヤモデルが設定される(工程S1)。
工程S1では、先ず、図1に示されるように、初期データ部15Aに記憶されているタイヤ2に関する情報(例えば、タイヤ2の輪郭データ等)が、作業用メモリ13Cに入力される。図5及び図6に示されるように、演算部13A(図1に示す)は、タイヤ2(図2に示す)に関する情報に基づいて、数値解析法により取り扱い可能な有限個の要素Fi(i=1、2、…)で離散化する。これにより、タイヤ2がモデル化されたタイヤモデル20が設定される。タイヤモデル20は、タイヤモデル入力部15B(図1に示す)に入力される。なお、数値解析法としては、例えば有限要素法、有限体積法、差分法又は境界要素法が適宜採用できるが、本実施形態では有限要素法が採用される。
要素Fiとしては、例えば、4面体ソリッド要素、5面体ソリッド要素、又は6面体ソリッド要素などが用いられるのが望ましい。各要素Fiには、複数個の節点27が設けられる。このような各要素Fiには、要素番号、節点27の番号、節点27の座標値及び材料特性(例えば密度、ヤング率及び/又は減衰係数等)などの数値データが定義される。
タイヤモデル20には、図2に示したトレッドゴム等を含むゴム部分2g、カーカスプライ8A及びベルトプライ9A〜9Dがモデル化されたゴム部材モデル21、カーカスプライモデル22及びベルトプライモデル23が含まれている。
ゴム部材モデル21には、図2に示したトレッド部2aがモデル化されたトレッド部21Aが含まれる。トレッド部21Aには、図2及び図3に示した主溝4、横溝5及びブロック6が再現された主溝24、横溝25及びブロック26が設定されている。主溝24は、一対のショルダー主溝24A、24Aと、一対のミドル主溝24B、24Bと、一本のセンター主溝24Cとが含まれる。横溝25は、ショルダー横溝25A、ミドル横溝25B、及びセンター横溝25Cが含まれる。ブロック26は、ショルダーブロック26A、ミドルブロック26B及びセンターブロック26Cが含まれる。
次に、コンピュータ1に、路面をモデル化した路面モデルが設定される(工程S2)。工程S2では、先ず、図1に示した初期データ部15Aに記憶されている路面に関する情報(例えば、路面の輪郭データ等)が、作業用メモリ13Cに入力される。図7に示されるように、演算部13A(図1に示す)は、路面に関する情報に基づいて、数値解析法により取り扱い可能な有限個の要素Gi(i=1、2、…)で離散化する。これにより、路面がモデル化された路面モデル31が設定される。路面モデル31は、路面モデル入力部15C(図1に示す)に入力される。また、数値解析法としては、タイヤモデル20(図5に示す)と同様に、有限要素法が採用される。
路面モデル31の要素Giは、変形不能に設定された剛平面要素からなる。この要素Giには、複数の節点32が設けられる。さらに、要素Giは、要素番号や、節点32の座標値等の数値データが定義される。
本実施形態の路面モデル31としては、平滑な表面を有するものが例示されたが、これに限定されるわけではない。例えば、路面モデル31には、必要に応じて、アスファルト路面のような微小凹凸、不規則な段差、窪み、うねり、又は轍等の実走行路面に近似した凹凸などが設けられても良い。
次に、コンピュータ1が、路面モデル31の上でタイヤモデル20を転動させて、タイヤモデル20の物理量を計算する(シミュレーション工程S3)。図8には、本実施形態のシミュレーション工程S3の具体的な処理手順が示される。
シミュレーション工程S3では、先ず、タイヤモデル20(図5に示す)の内圧充填後の形状が計算される(工程S31)。工程S31では、図1に示されるように、タイヤモデル入力部15Bに入力されているタイヤモデル20が、作業用メモリ13Cに読み込まれる。さらに、内圧充填計算部16Aが、作業用メモリ13Cに読み込まれる。そして、内圧充填計算部16Aが、演算部13Aによって実行される。
工程S31では、図5に示されるように、先ず、タイヤモデル20のリム接触域20r、20rが変形不能に拘束される。次に、タイヤモデル20のビード部29の幅W1と、リム幅とが等しくなるように、ビード部29が強制変位される。
また、工程S31では、タイヤモデル20の回転軸20s(図7に示す)とビード部29の底面とのタイヤ半径方向の距離Rs及びリム径が等しくなるように、ビード部29が強制変位される。さらに、タイヤモデル20には、内圧条件に相当する等分布荷重wに基づいて変形計算される。これにより、工程S31では、内圧充填後のタイヤモデル20が計算される。なお、内圧には、例えば、タイヤ2(図2に示す)が基づいている規格を含む規格体系において、各規格がタイヤ毎に定めている空気圧が設定されるのが望ましい。
タイヤモデル20の変形計算は、各要素の形状及び材料特性などをもとに、各要素Fiの質量マトリックス、剛性マトリックス及び減衰マトリックスがそれぞれ作成される。さらに、これらの各マトリックスが組み合わされて、全体の系のマトリックスが作成される。そして、コンピュータ1が、前記各種の条件を当てはめて運動方程式を作成し、これらを微小時間(単位時間Tx(x=0、1、…))ごとにタイヤモデル20の変形計算を行う。このような変形計算は、例えば、LSTC社製のLS-DYNAなどの市販の有限要素解析アプリケーションソフトを用いて計算できる。なお、単位時間Txは、全ての要素Fiについて応力波の伝達(伝播)時間を計算し、その最小時間の0.9倍以下の時間とするのが好ましい。本実施形態の単位時間Txは、1μ秒である。
次に、内圧充填後のタイヤモデル20に、荷重が定義される(工程S32)。この工程S32では、先ず、図1に示されるように、路面モデル入力部15Cに入力されている路面モデル31が、作業用メモリ13Cに読み込まれる。さらに、荷重負荷計算部16Bが、作業用メモリ13Cに読み込まれる。そして、荷重負荷計算部16Bが、演算部13Aによって実行される。
工程S32では、先ず、図7に示されるように、内圧充填後のタイヤモデル20と、路面モデル31との接触が設定される。さらに、工程S32では、予め定められた荷重Tに基づいて、タイヤモデル20の変形が計算される。これにより、工程S32では、路面モデル31に接地したタイヤモデル20が計算される。なお、荷重Tには、例えば、タイヤ2(図2に示す)の規格体系において、各規格がタイヤ毎に定めている荷重が設定されるのが望ましい。
次に、予め定められた走行速度Vに基づいて、タイヤモデル20が路面モデル31上を転動する状態が計算される(工程S33)。この工程S33では、図1に示されるように、物理量計算部16Cが作業用メモリ13Cに読み込まれる。そして、物理量計算部16Cが、演算部13Aによって実行される。
工程S33では、図7に示したタイヤモデル20を路面モデル31上で転動させるための境界条件等が定義される。この境界条件としては、タイヤモデル20と路面モデル31との摩擦係数等が含まれる。
タイヤモデル20には、走行速度Vに対応する角速度V1が定義される。路面モデル31には、走行速度Vに対応する並進速度V2が定義される。並進速度V2は、タイヤモデル20と路面モデル31との接地面28での速度である。これらの条件に基づいて、演算部13Aは、路面モデル31上を転動するタイヤモデル20を計算することができる。
さらに、工程S33では、タイヤモデル20の要素Fiの節点27(図6に示す)毎に、タイヤモデル20の物理量が計算される。物理量としては、転動するタイヤモデル20の接地面28で受けるせん断力P及びすべり量Qが含まれる。本実施形態では、要素Fiの節点27が路面モデル31に接地している間、節点27毎に、せん断力P及びすべり量Qが、微小時間(単位時間Tx)刻みで複数回計算される。
せん断力Pには、タイヤ軸方向のせん断力Px、又はタイヤ周方向のせん断力Pyが含まれる。本実施形態では、タイヤ軸方向のせん断力Px及びタイヤ周方向のせん断力Pyの双方が計算される。これらのせん断力Px、Pyは、物理量入力部15D(図1に示す)に入力される。
すべり量Qには、前記せん断力Px、Pyに対応して、タイヤ軸方向のすべり量Qx又はタイヤ周方向のすべり量Qyが含まれる。本実施形態では、タイヤ軸方向のすべり量Qx及びタイヤ周方向のすべり量Qyの双方が計算される。これらのすべり量Qx、Qyも、物理量入力部15Dに入力される。
次に、予め定められた転動終了時間が経過したか否かが判断される(工程S34)。この工程S34では、転動終了時間が経過したと判断された場合、次の評価工程S4が実施される。一方、転動終了時間が経過していないと判断された場合は、単位時間Txを一つ進めて(工程S35)、各工程S33、S34が再度実施される。これにより、シミュレーション工程S3では、転動開始から転動終了までの各せん断力Px、Py及び各すべり量Qx、Qyが、単位時間Txごとの時系列データとして記憶される。なお、転動終了時間は、実行するシミュレーションに応じて、適宜設定することができる。
次に、コンピュータ1が、物理量に基づいて、タイヤ2の摩耗性能を評価する(評価工程S4)。図11には、本実施形態の評価工程S4の具体的な処理手順が示される。
本実施形態の評価工程S4では、先ず、要素Fiの節点27毎に、摩耗エネルギーが計算される(工程S41)。この工程S41では、図1に示されるように、物理量入力部15Dに入力されているせん断力Px、Pyが、作業用メモリ13Cに読み込まれる。さらに、摩耗性能評価部16Eの摩耗エネルギー計算部20が、作業用メモリ13Cに読み込まれる。そして、摩耗エネルギー計算部20が、演算部13Aによって実行される。
工程S41では、摩耗エネルギーは、例えば、特許第3431818号公報等に記載の従来の方法に基づいて計算される。具体的な計算方法としては、先ず、各節点27のせん断力Px、Py、及びすべり量Qx、Qyに基づいて、タイヤ軸方向及びタイヤ周方向毎に、せん断力Px、Pyと、各すべり量Qx、Qyとが乗じられる。そして、せん断力Px、Pyと、各すべり量Qx、Qyとが乗じられた各節点の値が、接地入りから接地出まで積算されることにより、節点27毎に摩耗エネルギーが計算される。このような摩耗エネルギーは、摩耗しやすい節点27を特定するのに役立つ。摩耗エネルギーは、コンピュータ1に記憶される。
ところで、摩耗エネルギーは、せん断力Px、Pyとすべり量Qx、Qyとが乗じられた値である。このため、摩耗エネルギーだけでは、摩耗の原因が、せん断力Px、Py又はすべり量Qx、Qyのいずれにあるのかを分析するのが困難である。また、せん断力Px、Py又はすべり量Qx、Qyの大小を節点27毎に比較して、摩耗性能を評価することも考えられる。しかしながら、せん断力Px、Py及びすべり量Qx、Qyは、節点27が接地している間に大きく変化するため、単に比較しただけでは、摩耗性能を精度よく評価することが難しい。
図9(a)に示されるように、タイヤ2の摩耗は、接地入りからトレッド部2aがせん断力Pを受けて元の形状(二点鎖線で示す)から変形し、図9(b)に示す接地出に復元して、トレッド部2aが路面3をすべることにより発生する。
図10(a)に示されるように、せん断力Pは、接地入りから接地出にかけて徐々に大きくなる。このせん断力Pが、図9に示すタイヤ2と路面3との最大静止摩擦力(接地圧×摩擦係数)を超えると、トレッド部2aが復元して路面3をすべる。従って、タイヤ2の摩耗は、せん断力Pに比例して大きくなる。図10(b)に示されるように、トレッド部2a(図9に示す)のすべりQは、接地入りから接地出までの間、トレッド部2aが継続して発生している。
本実施形態の評価方法では、せん断力Pが大きいほどタイヤ2の摩耗が大きくなることに着目し、各節点27(図6に示す)毎にせん断力の最大値Pm(図10(a)に示す)を選択して、タイヤ2の摩耗性能が評価される。さらに、評価方法では、トレッド部2aのすべりQが、トレッド部2aが変形してから復元するまで継続して発生していることに着目し、節点27毎にすべり量の積算値Qsを計算して、タイヤ2の摩耗性能が評価される。従って、本実施形態の評価方法は、ステップS41で計算された摩耗エネルギーのみならず、現実のタイヤの摩耗現象に基づいて、タイヤ2の摩耗性能を評価することができる。
上記のような観点に基づいて、本実施形態では、せん断力の最大値Pmが、要素Fiの節点27毎に選択される(最大値選択工程S42)。この最大値選択工程S42では、図1に示されるように、物理量入力部15Dに入力されているせん断力Px、Pyが、作業用メモリ13Cに読み込まれる。さらに、摩耗性能評価部16Eの最大値選択部17が、作業用メモリ13Cに読み込まれる。そして、最大値選択部17が、演算部13Aによって実行される。
本実施形態の最大値選択工程S42では、各節点27(図6に示す)において、タイヤ軸方向のせん断力Pxと、タイヤ周方向のせん断力Pyとの二乗和の平方根(Px2+Py20.5が、単位時間Tx毎に計算される。この二乗和の平方根(Px2+Py20.5は、せん断力Px及びせん断力Pyを合成したせん断力Pの大きさである。そして、最大値選択工程S42では、各節点27おいて、単位時間Tx毎の二乗和の平方根(Px2+Py20.5の最大値が、せん断力の最大値Pmとして選択される。せん断力の最大値Pmは、物理量入力部15D(図1に示す)に入力される。
次に、すべり量の積算値Qsが、節点27毎に計算される(すべり量積算工程S43)。このすべり量積算工程S43では、図1に示されるように、物理量入力部15Dに入力されているすべり量Qx、Qyが、作業用メモリ13Cに読み込まれる。さらに、摩耗性能評価部16Eのすべり量積算部18が、作業用メモリ13Cに読み込まれる。そして、すべり量積算部18が、演算部13Aによって実行される。
本実施形態のすべり量積算工程S43では、先ず、各節点27(図6に示す)において、タイヤ軸方向のすべり量Qxとタイヤ周方向のすべり量Qyとの二乗和の平方根(Qx2+Qy20.5が、単位時間Tx毎に計算される。この二乗和の平方根(Qx2+Qy20.5は、すべり量Qx及びすべり量Qyを合成したすべり量Qの大きさである。そして、すべり量積算工程S43では、各節点27において、単位時間Tx毎の二乗和の平方根(Qx2+Qy20.5の積算値が、すべり量の積算値Qsとして計算される。すべり量の積算値Qsは、物理量入力部15D(図1に示す)に入力される。
次に、せん断力の最大値Pm及びすべり量の積算値Qsが、各要素Fiに関連付けられて、色情報で可視化したコンター図が出力される(工程S44)。工程S44では、図1に示されるように、せん断力の最大値Pm及びすべり量の積算値Qsが、作業用メモリ13Cに読み込まれる。さらに、コンター図作成部16Dが、作業用メモリ13Cに読み込まれる。そして、コンター図作成部16Dが、演算部13Aによって実行される。コンター図作成部16Dとしては、例えば、 MathWorks 社製の MATLAB などの市販のアプリケーションソフト(ポストプロセッサ)を採用することができる。
コンター図は、せん断力の最大値Pmを可視化したせん断力コンター図と、すべり量の積算値Qsを可視化したすべり量コンター図とを含んでいる。
図12に示されるように、せん断力コンター図は、各要素Fiの節点27で計算されたせん断力の最大値Pm、及び該節点27のせん断力の最大値Pmから補間計算されたせん断力の最大値Pmに基づいて、同一範囲のせん断力の最大値Pm毎に、異なる色情報が設定される。色情報としては、グレースケール(輝度)が採用されているが、カラースケール(色)でもよいのは言うまでもない。なお、コンター図の色情報とせん断力の最大値Pmとの対応は、コンター図内に記載されるカラーバー33によって定義される。
カラーバー33では、色が濃くなるほど、せん断力の最大値Pmが大きくなることを示している。このようなせん断力コンター図は、節点27の位置に限定されることなく、トレッド部21Aの接地面28において、せん断力の最大値Pmの大小関係を、視覚的に理解するのに役立つ。
また、せん断力コンター図には、せん断力Pが作用した方向又はせん断力の最大値Pmを表示するせん断力情報が含まれるのが望ましい。図13に拡大して示されるように、本実施形態のせん断力情報34としては、各節点27において、せん断力Pが作用した方向及びせん断力の最大値Pmを示すベクトル34Vである場合が例示される。このベクトル34Vの長さは、せん断力の最大値Pmに比例する大きさに設定される。
せん断力情報34は、せん断力Pの方向を、コンター図の色情報に合わせて表示することができる。また、せん断力情報34は、せん断力の最大値Pmの大きさをベクトル34Vの長さで表すことができる。従って、せん断力情報34は、せん断力Pをより詳細に分析するのに役立つ。なお、せん断力情報34は、全ての節点27に表示させてもよいが、例えば、摩耗性能を重点的に解析したい箇所に限定して表示させてもよい。
図14に示されるように、すべり量コンター図は、せん断力コンター図(図12に示す)と同様に、各要素Fiの節点27で計算されたすべり量の積算値Qs、及び該節点13のすべり量の積算値Qsから補間計算されたすべり量の積算値Qsに基づいて、同一範囲のすべり量の積算値Qs毎に、異なる色情報が設定される。すべり量コンター図では、カラーバー35の色が濃くなるほど、すべり量の積算値Qsが大きくなることを示している。このようなすべり量コンター図も、節点27の位置に限定されることなく、トレッド部21Aの接地面28において、すべり量の積算値Qsの大小関係を、視覚的に理解するのに役立つ。
また、すべり量コンター図には、節点27のすべり方向又はすべり量の積算値Qsを表示するすべり情報が含まれるのが望ましい。図15に拡大して示されるように、本実施形態のすべり情報36としては、すべり方向及びすべり量の積算値Qsを示すベクトル36Vである場合が例示される。このベクトル36Vの長さは、すべり量の積算値Qsに比例する大きさに設定される。
すべり情報36は、すべり量が作用する方向を、コンター図の色情報に合わせて表示することができる。また、すべり情報36は、すべり量の積算値Qsの大きさを、ベクトル36Vの長さで示すことができる。従って、すべり情報36は、すべり量Qを詳細に分析するのに役立つ。なお、すべり情報36は、せん断力情報34と同様に、全ての節点27に表示させてもよいが、例えば、摩耗性能を重点的に解析したい箇所に限定して表示させてもよい。
次に、摩耗エネルギー、せん断力の最大値Pmとすべり量の積算値Qsとに基づいて、タイヤ2の摩耗性能が評価される(工程S45)。この工程S45では、先ず、摩耗性能評価部16Eの評価部19が、作業用メモリ13Cに読み込まれる。そして、評価部19が、演算部13Aによって実行される。
工程S44では、先ず、摩耗エネルギーが相対的に大きい節点27において、トレッド部が摩耗しやすいと判断される。次に、摩耗しやすいと判断された節点27において、せん断力の最大値Pm又はすべり量の積算値Qsが比較される。そして、他の節点27よりも相対的に大きいせん断力の最大値Pm又はすべり量の積算値Qsが、摩耗エネルギーを大きくした原因であると判断される。
本実施形態の工程S44では、摩耗しやすい節点27の特定だけでなく、特定された節点27において、大きな摩耗エネルギーの原因が、せん断力P又はすべり量Qのいずれにあるのかを容易に分析することができる。従って、本実施形態の評価方法では、摩耗エネルギーのみで評価していた従来の方法に比べて、タイヤの摩耗性能を精度よく評価することができる。
しかも、上記分析は、せん断力の最大値Pm又はすべり量の積算値Qsの計算結果に基づいて実施される。これは、図9及び図10を用いて説明した現実のタイヤ2(図2に示す)の摩耗現象に基づくものである。従って、本実施形態では、タイヤの摩耗性能をより精度よく評価することができる。
さらに、本実施形態では、せん断力の最大値Pm及びすべり量の積算値Qsが、コンター図によって表示されるため、摩耗が発生しやすい箇所(節点27)を、視覚的に把握することができる。従って、本実施形態では、タイヤ2の摩耗性能を容易に評価することができる。さらに、本実施形態のコンター図には、せん断力情報34及びすべり情報36が含まれるため、せん断力P及びすべり量Qが作用する方向を含めて、摩耗性能を詳細に分析することができる。
なお、本実施形態では、タイヤの摩耗性能が、摩耗エネルギー、せん断力の最大値Pm及びすべり量の積算値Qsに基づいて評価されるものが例示されたが、これに限定されるわけではない。例えば、各節点27において、摩耗エネルギーが計算されることなく、せん断力の最大値Pm又はすべり量の積算値Qsがそれぞれ比較されて、タイヤの摩耗性能が評価されてもよい。この場合、せん断力の最大値Pm又はすべり量の積算値Qsが相対的に大きい節点27において、トレッド部が摩耗しやすいと判断される。
次に、コンピュータ1が、タイヤ2(図2に示す)の摩耗性能が良好か否か判断する(工程S5)。工程S5では、例えば、全ての節点27又は重点的に摩耗性能を評価したい節点27において、摩耗エネルギー、せん断力の最大値Pm又はすべり量の積算値Qsが許容範囲か否かが判断される。なお、摩耗エネルギー、せん断力の最大値Pm又はすべり量の積算値Qsの許容範囲は、タイヤ2の大きさや構造に基づいて、適宜設定される。
摩耗エネルギーせん断力の最大値Pm及びすべり量の積算値Qsが許容範囲であると判断された場合は、タイヤモデル20に基づいて、タイヤが製造される(工程S6)。一方、せん断力の最大値Pm及びすべり量の積算値Qsが許容範囲外と判断された場合には、例えば、タイヤ2のトレッドパターン等が設計変更され(工程S7)、工程S1〜S5が再度実行される。これにより、本発明では、摩耗性能が優れるタイヤ2を確実に設計することができる。なお、工程S5では、図13及び図15に示したせん断力情報34及びすべり情報36も考慮されるのが望ましい。
本実施形態では、せん断力の最大値Pmが、タイヤ軸方向のせん断力Pxと、タイヤ周方向のせん断力Pyとの二乗和の平方根(Px2+Py20.5に基づいて選択される態様が例示されたが、これに限定されるわけではない。例えば、タイヤ軸方向のせん断力Px、又はタイヤ周方向のせん断力Pyに限定して、せん断力の最大値Pmが選択されてもよい。これにより、工程S45では、例えば、摩耗エネルギーがせん断力Pに起因して大きくなっていることが判明した場合に、その大きなせん断力Pが、タイヤ軸方向のせん断力Px又はタイヤ周方向のせん断力Pyに起因するのかを解析するのに役立つ。
また、工程S44では、タイヤ軸方向のせん断力Pxのみから選択されたせん断力の最大値Pmのせん断力コンター図(図16に示す)、又はタイヤ周方向のせん断力Pyのみから選択されたせん断力の最大値Pmのせん断力コンター図(図示省略)が出力されるのが望ましい。これらのコンター図は、タイヤ軸方向のせん断力の最大値Pm及びタイヤ周方向のせん断力の最大値Pmの大小関係を、視覚的に理解するのに役立つ。
同様に、すべり量の積算値Qsは、例えば、タイヤ軸方向のすべり量Qx、又はタイヤ周方向のすべり量Qyに限定して積算されてもよい。これにより、工程S45では、例えば、すべり量に起因して摩耗エネルギーが大きくなっていることが判明した場合に、その大きなすべり量Qが、タイヤ軸方向のすべり量Qx又はタイヤ周方向のすべり量Qyに起因するのかを解析するのに役立つ。なお、工程S44では、タイヤ軸方向のすべり量Qxのみを積算した積算値Qsに基づくすべり量コンター図(図17に示す)、又はタイヤ周方向のすべり量Qyのみを積算した積算値Qsに基づくすべり量コンター図(図示省略)が出力されるのが望ましい。
以上、本発明の特に好ましい実施形態について詳述したが、本発明は図示の実施形態に限定されることなく、種々の態様に変形して実施しうる。
図4及び図8に示した処理手順に従って、タイヤモデルの節点のせん断力及びすべり量を含む物理量を計算するシミュレーション工程が実施された。さらに、図11に示した処理手順に従って、タイヤの摩耗性能を評価する評価工程が実施された(実施例1、2)。
実施例1では、先ず、せん断力とすべり量とに基づいて、摩耗エネルギーが計算された。次に、タイヤ周方向のせん断力とタイヤ軸方向のせん断力との二乗和の平方根に基づいて、せん断力の最大値が選択された。さらに、実施例1では、タイヤ周方向のすべり量とタイヤ軸方向のすべり量との二乗和の平方根に基づいて、すべり量の積算値が計算された。また、図12及び図14に示すコンター図が出力された。そして、摩耗エネルギー、せん断力の最大値、及びすべり量の積算値に基づいて、タイヤの摩耗性能が評価された。
実施例2では、実施例1を基本として、タイヤ周方向のせん断力の最大値と、タイヤ軸方向のせん断力の最大値とが別々に選択され、タイヤ軸方向のせん断力の最大値のコンター図(図16に示す)と、タイヤ周方向のせん断力の最大値のコンター図(図示省略)が出力された。さらに、実施例2では、タイヤ周方向のすべり量の積算値と、タイヤ軸方向のすべり量の積算値とが別々に計算され、タイヤ軸方向のすべり量の積算値のコンター図(図17に示す)と、タイヤ周方向のすべり量の積算値のコンター図(図示省略)が出力された。そして、これらのコンター図に基づいて、タイヤの摩耗性能が評価された。
また、比較のために、せん断力とすべり量とに基づいて、摩耗エネルギーが計算された。そして、摩耗エネルギーのみに基づいて、タイヤの摩耗性能が評価された(比較例)。なお、共通仕様は、次のとおりである。
タイヤサイズ:275/80R22.5
走行速度V:20km/h
節点の数:約30万個
テストの結果、実施例1及び実施例2の評価方法では、摩耗エネルギーにより、摩耗しやすい節点を特定できた。さらに、実施例1及び実施例2の評価方法では、摩耗の原因が、せん断力又はすべり量のいずれにあるのかを、精度よく分析することができた。一方、比較例の評価方法では、摩耗しやすい節点を特定できたが、摩耗の原因が、せん断力又はすべり量のいずれにあるのかを分析することができなかった。従って、実施例1及び実施例2の評価方法では、比較例の評価方法に比べて、タイヤの摩耗性能を精度よく評価できた。
さらに、実施例2では、摩耗の原因が、タイヤ軸方向のせん断力、タイヤ周方向のせん断力、タイヤ軸方向のすべり量、又はタイヤ周方向のすべり量のいずれにあるのかを分析することができた。従って、実施例2の評価方法は、実施例1の評価方法に比べて、タイヤの摩耗性能を精度よく評価できた。
1 コンピュータ
20 タイヤモデル
31 路面モデル
Pm せん断力の最大値
Qm すべり量の積算値

Claims (11)

  1. コンピュータを用いて、タイヤの摩耗性能を評価する方法であって、
    前記コンピュータに、前記タイヤを、節点を有する有限個の要素でモデル化したタイヤモデルを設定する工程、
    前記コンピュータに、路面を有限個の要素でモデル化した路面モデルを設定する工程、
    前記コンピュータが、前記路面モデルの上で前記タイヤモデルを転動させ、前記タイヤモデルの前記節点のせん断力及びすべり量を含む物理量を計算するシミュレーション工程、並びに
    前記コンピュータが、前記物理量に基づいて、前記タイヤの摩耗性能を評価する評価工程を含み、
    前記シミュレーション工程では、前記節点が前記路面モデルに接地している間、前記節点毎に、前記せん断力及び前記すべり量が微小時間刻みで複数回計算され、
    前記評価工程は、前記節点毎に、前記せん断力の最大値を選択する最大値選択工程、
    前記節点毎に、前記すべり量の積算値を計算するすべり量積算工程、及び
    前記せん断力の最大値と前記すべり量の積算値とに基づいて、前記タイヤの摩耗性能を評価する工程を含むことを特徴とするタイヤの摩耗性能評価方法。
  2. 前記せん断力は、タイヤ周方向のせん断力又はタイヤ軸方向のせん断力を含む請求項1に記載のタイヤの摩耗性能評価方法。
  3. 前記せん断力は、タイヤ周方向のせん断力とタイヤ軸方向のせん断力との二乗和の平方根である請求項1に記載のタイヤの摩耗性能評価方法。
  4. 前記すべり量は、タイヤ周方向のすべり量又はタイヤ軸方向のすべり量を含む請求項1乃至3のいずれかに記載のタイヤの摩耗性能評価方法。
  5. 前記すべり量は、タイヤ周方向のすべり量と、タイヤ軸方向のすべり量との二乗和の平方根である請求項1乃至3のいずれかに記載のタイヤの摩耗性能評価方法。
  6. 前記評価工程は、前記せん断力の最大値及び前記すべり量の積算値を、前記要素に関連付けて、色情報で可視化したコンター図を出力する工程をさらに含む請求項1乃至5のいずれかに記載のタイヤの摩耗性能評価方法。
  7. 前記コンター図には、前記せん断力が作用した方向又は前記せん断力の最大値を表示するせん断力情報を含む請求項6に記載のタイヤの転動シミュレーション方法。
  8. 前記せん断力情報は、前記方向及び前記最大値を示すベクトルを含む請求項7記載のタイヤの摩耗性能評価方法。
  9. 前記コンター図には、前記節点のすべり方向又は前記すべり量の積算値を表示するすべり情報を含む請求項6乃至8のいずれかに記載のタイヤの摩耗性能評価方法。
  10. 前記すべり情報は、前記すべり方向及び前記積算値を示すベクトルを含む請求項9記載のタイヤの摩耗性能評価方法。
  11. タイヤの摩耗性能を評価する演算処理装置を有するタイヤのシミュレーション装置であって、
    前記演算処理装置は、前記タイヤを、節点を有する有限個の要素でモデル化したタイヤモデルが入力されるタイヤモデル入力部、
    前記路面を有限個の要素でモデル化した路面モデルが入力される路面モデル入力部、
    前記路面モデルの上で前記タイヤモデルを転動させ、前記タイヤモデルの前記節点のせん断力及びすべり量を含む物理量を計算する物理量計算部、並びに
    前記物理量に基づいて、前記タイヤの摩耗性能を評価する評価する摩耗性能評価部を含み、
    前記物理量計算部は、前記節点が前記路面モデルに接地している間、前記節点毎に、前記せん断力及び前記すべり量が微小時間刻みで複数回計算し、
    前記摩耗性能評価部は、前記節点毎に、前記せん断力の最大値を選択する最大値選択部、
    前記節点毎に、前記すべり量の積算値を計算するすべり量積算部、及び
    前記せん断力の最大値と前記すべり量の積算値とに基づいて、前記タイヤの摩耗性能を評価する評価部を含むことを特徴とするタイヤのシミュレーション装置。
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