JP2015003998A - アクリルポリマー粒子の製造方法及びそれにより得られるアクリルポリマー粒子 - Google Patents

アクリルポリマー粒子の製造方法及びそれにより得られるアクリルポリマー粒子 Download PDF

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孝也 小林
Takaya Kobayashi
孝也 小林
正嗣 青谷
Masatsugu Aotani
正嗣 青谷
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Abstract

【課題】 可とう性及び密着性に優れ、かつリチウム電池のバインダ樹脂として用いた場合にもサイクル特性に優れた特性を有するアクリルポリマーを提供する。【解決手段】 (メタ)アクリロニトリル、一般式(I)で表される単量体、一般式(II)で表される単量体を含むモノマー及び水を用いて重合するアクリルポリマー粒子の製造方法であって、前記重合における初期反応温度を40℃以上、60℃以下とし、重合液のpHを6以上、8以下として重合するアクリルポリマー粒子の製造方法。【化1】【選択図】 なし

Description

本発明は、アクリルポリマー粒子の製造方法及びそれにより得られるアクリルポリマー粒子に関する。
PDA、移動電話、ノート型パソコンのような情報通信のための携帯用電子機器;電気自転車;電気自動車などの電源として、充電と放電とを繰り返して使用する二次電池の需要が急増している。
リチウムイオン電池は、リチウムイオンの吸蔵及び放出が可能な活物質を含んだ負極と正極との間に、有機電解液またはポリマー電解液を充填させた状態で、リチウムイオンが正極及び負極で、吸蔵/放出されるときの酸化反応、還元反応によって電気エネルギーを生産する。
リチウムイオン電池の電極にはバインダ樹脂が使用され、そのバインダ樹脂材料に求められる特性としては、活物質間並びに活物質及び集電体間の密着性、電解液に対する耐膨潤性、電気化学定安定性、可とう性等が挙げられる。さらに、リチウム電池の高容量化のためには、バインダ樹脂材料の添加量が少ない場合でもこれらの特性を満足することが求められる。しかしながら、バインダ樹脂材料が、これらの特性を充分に満足するには至っていない。これらの問題の解決策として、炭素数2〜4の1−オレフィン及び/又は炭素数3以下のアルキル(メタ)アクリレートといった短鎖の単量体を共重合させた変性ポリ(メタ)アクリロニトリル系バインダ樹脂、並びに、これにガラス転移温度が−80〜0℃のゴム成分等をブレンドしたバインダ樹脂が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
また、アクリロニトリルと鎖長の短いメチルメタクリレートとの2元共重合体をバインダ樹脂として用いることが提案されている(例えば、非特許文献1参照)。
また、長鎖アクリレートを共重合させた変性ポリ(メタ)アクリロニトリル系バインダ樹脂が開示されている(例えば、特許文献2参照)。
合剤スラリー作製に用いる溶媒としては環境負荷低減の観点から水を用いることが好ましいとされている。水を溶媒として用いる場合、バインダ樹脂材料を水で分散させる方法が知られている。しかし水分散液は粘性を付与することが難しいため、カルボキシメチルセルロース等の増粘剤を併用する必要があり、増粘剤との組み合わせによっては、密着性や合剤スラリーの安定性等に不具合を生じる場合がある。
また近年、高容量な負極活物質として金属系負極材が提案されている。金属系負極材は高容量である反面、充放電に伴う体積膨張収縮が大きいため、従来から用いられているバインダ樹脂材料では、合剤層と集電体との界面の密着性及び合剤層中の活物質間の密着性が不足し、充放電サイクルを繰り返すことで著しい容量低下を起こすことが問題となっており、金属系負極材で用いることのできるバインダ樹脂材料が求められている。これに関して、錫−コバルト−炭素系複合負極にバインダとしてポリアクリル酸リチウム塩を用いることが提案されている(例えば、非特許文献2参照)。
特許第4200349号明細書 国際公開第2006/033173号パンフレット
Journal of Power Sources, 109 (2002), 422-426 Electrochimica Acta., 55 (2010),2991-2995
しかしながら、元来、ポリ(メタ)アクリロニトリルは、剛直な分子構造を有するポリマーであり、上記文献に記載されている鎖長の短い単量体との共重合体では、たとえゴム成分等をブレンドしたとしても、得られる電極の柔軟性・可とう性には難がある。
また、長鎖アクリレートの含有量が増加すると、電解液に対する耐膨潤性が低下する傾向にある。さらに、ポリアクリル酸リチウム塩は非常に硬く、リチウム電池の電極作製におけるロールプレス成形、あるいは、セパレータを介して正極と負極を渦巻き状に捲回する工程等で合剤層にクラック等の不良が発生する懸念があった。
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、可とう性及び密着性に優れ、かつリチウム電池のバインダ樹脂として用いた場合にもサイクル特性に優れた特性を有するアクリルポリマー粒子の製造方法と、それにより製造されたアクリルポリマー粒子を提供することにある。
本発明は、(メタ)アクリロニトリル、下記一般式(I)で表される単量体、及び下記一般式(II)で表される単量体を含むモノマー並びに水を用いて重合するアクリルポリマー粒子の製造方法であって、前記重合における初期反応温度を40℃以上、60℃以下とし、重合液のpHを6以上、8以下として重合するアクリルポリマー粒子の製造方法に関する。
Figure 2015003998
Figure 2015003998
(一般式(I)、(II)中、Rは水素原子又はメチル基を示し、Rは炭素数1〜10のアルキレン基、−(CHCH−O)−CHCH−(ここでnは2〜10の整数を示す)、又は−(R−O−CHCH)−(ここでRは炭素数1〜10のアルキレン基を示す)を示し、Rは炭素数3〜20のアルキル基、又は炭素数5〜20のヒドロキシアルキル基を示す。)
また、本発明は、前記モノマーと前記水の質量比が1:4〜1:25である上記のアクリルポリマー粒子の製造方法に関する。
また、本発明は、上記のアクリルポリマー粒子の製造方法で得られる粒径が500nm以下であるアクリルポリマー粒子に関する。
さらに、本発明は、上記のアクリルポリマー粒子をエネルギーデバイス電極用バインダ樹脂として用いるアクリルポリマー粒子に関する。
本発明のアクリルポリマー粒子の製造方法によれば、得られるアクリルポリマー粒子は可とう性及び密着性に優れ、高温での充放電サイクル特性に優れるアクリルポリマー粒子を提供することができ、これをバインダ樹脂として用いることで充放電サイクル特性に優れる電池を提供することができる。
本明細書において「〜」は、その前後に記載される数値をそれぞれ最小値および最大値として含む範囲を示すものとする。
さらに、本明細書において組成物中の各成分の量は、組成物中に各成分に該当する物質が複数存在する場合、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数の物質の合計量を意味する。
また、(メタ)アクリロニトリルは、アクリロニトリルまたはメタクリロニトリル、それらの混合物を示し、(メタ)アクリレートは、アクリレートまたはメタクリレート、それらの混合物を示す。
本発明のアクリルポリマー粒子の製造方法は、(メタ)アクリロニトリルと、下記一般式(I)で表される単量体と、下記一般式(II)で表される単量体とを含むモノマーを、水を用いて重合し、前記重合における初期反応温度を40℃以上、60℃以下とし、重合液のpHを6以上、8以下として重合することを特徴とする。これにより得られるアクリルポリマー粒子の粒径は、500nm以下であり、前記アクリルポリマー粒子の分散液は、pHが6以上、8以下である。
以下、アクリルポリマー粒子の構成成分について詳しく説明する。
[モノマー]
モノマー成分は、少なくと(メタ)アクリロニトリル、下記一般式(I)で表される単量体と、下記一般式(II)で表される単量体とを含む。
Figure 2015003998
一般式(I)中、Rは水素原子又はメチル基を示し、Rは炭素数1〜10のアルキレン基、−(CHCH−O)−CHCH−(ここでnは2〜10の整数を示す)、又は−(R−O−CHCH)−(ここでRは炭素数1〜10のアルキレン基を示す)を示す。
Figure 2015003998
一般式(II)中、Rは水素原子又はメチル基を示し、Rは炭素数3〜20のアルキル基、又は炭素数5〜20のヒドロキシアルキル基を示す。
一般式(II)中、Rは水素原子又はメチル基を示し、Rは炭素数3〜20のアルキル基、又は炭素数5〜20のヒドロキシアルキル基を示す。
本発明のアクリルポリマー粒子は、(メタ)アクリロニトリル由来の第一の構造単位と、一般式(I)で表される単量体由来の第二の構造単位と上記一般式(II)で表される単量体由来の第三の構造単位とを含む共重合体を含有する。即ち、アクリルポリマー粒子は、このような少なくとも3つの互いに異なる所定の構造単位を有する。これにより、アクリルポリマー粒子は、柔軟な分子構造を持つことから、本発明のアクリルポリマー粒子は、例えば、エネルギーデバイス電極用バインダ樹脂材料を合剤層中に含むエネルギーデバイス電極に用いることが好適である。また、アクリルポリマー粒子は、高極性な部位を有するため、アクリルポリマー粒子を含有する本発明のエネルギーデバイス電極用バインダ樹脂材料を含む合剤層と集電体とは密着性に優れる。更にアクリルポリマー粒子をエネルギーデバイス電極用バインダ樹脂として用いた場合は、電解液に対して親和性が低いため、アクリルポリマー粒子を含有する本発明のアクリルポリマー粒子を合剤層中に含むエネルギーデバイス電極は、耐膨潤性に優れる。
よって、本発明のアクリルポリマー粒子を用いて作製された電極は、合剤スラリー塗布乾燥後の未プレス状態での巻き取りや、スリット加工時、プレス時及びプレス後において、合剤層の集電体からの剥離を防止することができる。さらに、本発明のアクリルポリマー粒子は、上記のように、可とう性、密着性、電解液に対する低い親和性、及び耐膨潤性に優れる合剤層が得られるため、少量でも充分使用可能であり、バインダ樹脂材料の使用量を低減することが可能である。
また、本発明のアクリルポリマー粒子を用いて作製された電極を使用したエネルギーデバイス(好ましくはリチウムイオン二次電池)は、導電性が良好であり、充放電サイクルにおける容量低下が小さい。
[アクリルポリマー粒子]
前記アクリルポリマー粒子は、(メタ)アクリロニトリル単量体と、上記一般式(I)で表される単量体と、上記一般式(II)で表される単量体で表される単量体と、必要に応じてその他の単量体とを含む単量体組成物を重合させることにより得ることができる。各構造単位を構成する単量体は、それぞれの構成単位において、1種選択されて重合に使用されてもよく、複数種が選択されて重合に使用されてもよい。
また、特定の構造単位を構成する単量体には1種類を選択し、他の構造単位を構成する単量体には複数種の単量体を選択してもよい。また、アクリルポリマー粒子は、上述した各構造単位を含んでいればよく、各構造単位の結合順序については特に制限はない。アクリルポリマー粒子は、ブロック共重合体及びランダム共重合体のいずれであってもよく、ランダム共重合体であることが好ましい。
本発明におけるアクリルポリマー粒子を構成する単量体の各成分について説明する。
[一般式(I)で表される単量体]
下記一般式(I)中、Rは水素原子又はメチル基を示し、Rは炭素数1〜10のアルキレン基、−(CHCH−O)−CHCH−(ここでnは2〜10の整数を示す)、又は−(R−O−CHCH)−(ここでRは炭素数1〜10のアルキレン基)を示す。
Figure 2015003998
一般式(I)中、Rは、水素原子を示すことが好ましい。
一般式(I)中、Rにおけるアルキレン基としては、炭素数1〜6のアルキレン基が好ましく、炭素数1〜4のアルキレン基がより好ましい。
また、前記アルキレン基としては、直鎖又は分岐のアルキレン基が挙げられる。
炭素数1〜10のアルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基、ヘプチレン基、オクチレン基、ノニレン基、デシレン基、イソブチレン基、2−エチルへキシレン基等が挙げられ、合成の容易さの点で、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ヘキシレン基が好ましく、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基がより好ましく、エチレン基が更に好ましい。
−(CHCH−O)−CHCH−におけるnは、合成の容易さの点で、2〜8の整数が好ましく、2〜4の整数がより好ましい。
−(CHCH−O)−CHCH−としては、ジエチレンオキシエチル基、トリエチレンオキシエチル基、テトラエチレンオキシエチル基、ペンタエチレンオキシエチル基、ヘキサエチレンオキシエチル基、ヘプタエチレンオキシエチル基、オクタエチレンオキシエチル基、ノナエチレンオキシエチル基が挙げられ、合成の容易さ及びコストの点で、ジエチレンオキシエチル基、トリエチレンオキシエチル基、テトラエチレンオキシエチル基が好ましい。
−(R−O−CHCH)−におけるRは、炭素数1〜8のアルキレン基が好ましく、炭素数1〜6のアルキレン基がより好ましい。
で示されるアルキレン基としては、直鎖又は分岐のアルキレン基が挙げられる。
炭素数1〜10のアルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基、ヘプチレン基、オクチレン基、ノニレン基、デシレン基、ウンデシレン基、ドデシレン基、イソブチレン基、2−エチルへキシレン基等が挙げられ、合成の容易さの点で、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ヘキシレン基、オクチレン基が好ましく、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ヘキシレン基がより好ましい。
一般式(I)におけるRとしては、前記アルキレン基であることが好ましい。
一般式(I)で表される単量体としては、具体的には、2−シアノエチル(メタ)アクリレート、3−シアノプロピル(メタ)アクリレート、4−シアノブチル(メタ)アクリレート、5−シアノペンチル(メタ)アクリレート、6−シアノヘキシル(メタ)アクリレート、7−シアノヘプチル(メタ)アクリレート、8−シアノオクチル(メタ)アクリレート、9−シアノノニル(メタ)アクリレート、10−シアノデシル(メタ)アクリレート等のシアノアルキル(メタ)アクリレート;2−(2−シアノエチルオキシ)エチル(メタ)アクリレート、2−((2−シアノエチルオキシ)エチレンオキシ)エチル(メタ)アクリレート、2−((2−シアノエチルオキシ)ビス(エチレンオキシ))エチル(メタ)アクリレート、2−((2−シアノエチルオキシ)トリス(エチレンオキシ))エチル(メタ)アクリレート、2−((2−シアノエチルオキシ)テトラキス(エチレンオキシ))エチル(メタ)アクリレート、2−((2−シアノエチルオキシ)ペンタキス(エチレンオキシ))エチル(メタ)アクリレート、2−((2−シアノエチルオキシ)ヘキサキス(エチレンオキシ))エチル(メタ)アクリレート、2−((2−シアノエチルオキシ))ヘプタキス(エチレンオキシ)エチル(メタ)アクリレート、2−((2−シアノエチルオキシ)オクタキス(エチレンオキシ))エチル(メタ)アクリレート、2−((2−シアノエチルオキシ)ノナキス(エチレンオキシ))エチル(メタ)アクリレート等のシアノポリエチレンオキシアルキル(メタ)アクリレート;並びに、2−シアノエチルオキシメチル(メタ)アクリレート、2−(2−シアノエチルオキシ)エチル(メタ)アクリレート、3−(2−シアノエチルオキシ)プロピル(メタ)アクリレート、4−(2−シアノエチルオキシ)ブチル(メタ)アクリレート、5−(2−シアノエチルオキシ)ペンチル(メタ)アクリレート、6−(2−シアノエチルオキシ)ヘキシル(メタ)アクリレート、7−(2−シアノエチルオキシ)ヘプチル(メタ)アクリレート、8−(2−シアノエチルオキシ)オクチル(メタ)アクリレート、9−(2−シアノエチルオキシ)ノニル(メタ)アクリレート、10−(2−シアノエチルオキシ)デシル(メタ)アクリレート、2−(2−シアノエチルオキシ)−2−メチルプロピル(メタ)アクリレート、6−(2−シアノエチルオキシ)−2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート等のシアノエトキシアルキル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。これらの中でも、合成の容易さ、可とう性及び密着性の観点から、2−シアノエチル(メタ)アクリレート、3−シアノプロピル(メタ)アクリレート、4−シアノブチル(メタ)アクリレート、6−シアノヘキシル(メタ)アクリレート、2−(2−シアノエトキシ)エチル(メタ)アクリレート、3−(2−シアノエチルオキシ)プロピル(メタ)アクリレート、4−(2−シアノエチルオキシ)ブチル(メタ)アクリレート、6−(2−シアノエチルオキシ)ヘキシル(メタ)アクリレートから選択された少なくとも1種が好ましく、2−シアノエチル(メタ)アクリレート、3−シアノプロピル(メタ)アクリレート、4−シアノブチル(メタ)アクリレート、2−(2−シアノエチルオキシ)エチル(メタ)アクリレート、3−(2−シアノエチルオキシ)プロピル(メタ)アクリレート、4−(2−シアノエチルオキシ)ブチル(メタ)アクリレートから選択された少なくとも1種が更に好ましい。
アクリルポリマー粒子における、一般式(I)で表される単量体由来の第二の構造単位の組成比は、(メタ)アクリロニトリルに由来する第一の構造単位1モルに対して、第二の構造単位が0.1〜10.0モルであることが好ましく、0.1〜8.0モルであることがより好ましく、0.1〜5.0モルが特に好ましい。
前記第二の構造単位の組成比が、第一の構造単位1モルに対して、0.1〜10.0モルである場合には、密着性が良好であり好ましい。
また、一般式(I)で表される単量体は全モノマー量に対して15〜25質量%であることが好ましい。
[一般式(II)で表される単量体]
下記一般式(II)中、Rは水素原子又はメチル基を示し、Rは炭素数3〜20のアルキル基、又は炭素数5〜20のヒドロキシアルキル基を示す。
Figure 2015003998
一般式(II)中、Rとしては、水素原子を示すことが好ましい。
一般式(II)中、Rにおけるアルキル基としては、炭素数3〜12のアルキル基が好ましく、炭素数3〜8のアルキル基がより好ましい。
また、アルキル基は、直鎖又は分岐のアルキレン基が挙げられ、好ましくは直鎖のアルキル基が挙げられる。
炭素数3〜20のアルキル基としては、プロピル基、1−メチルエチル基、1−メチルプロピル基、2−メチルプロピル基、1,1−ジメチルエチル基、ペンチル基、1−メチルブチル基、2−メチルブチル基、3−メチルブチル基、1,1−ジメチルプロピル基、1,2−ジメチルプロピル基、2,2−ジメチルプロピル基、1−エチルプロピル基、ヘキシル基、1−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、4−メチルペンチル基、1,1−ジメチルブチル基、1,2−ジメチルブチル基、1,3−ジメチルブチル基、2,2−ジメチルブチル基、2,3−ジメチルブチル基、3,3−ジメチルブチル基、1−エチルブチル基、2−エチルブチル基、1−エチル−1−メチルプロピル基、1−エチル−2−メチルプロピル基、へプチル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基、6−メチルヘプチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、エイコシル基等が挙げられ、合成の容易さの点で、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、へプチル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基が好ましく、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、へプチル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基がより好ましい。
におけるヒドロキシアルキル基としては、炭素数5〜12のヒドロキシアルキル基が好ましく、炭素数5〜8のヒドロキシアルキル基が特に好ましい。また、ヒドロキシアルキル基としては、直鎖又は分岐のアルキレン基が挙げられ、好ましくは直鎖のアルキル基が挙げられる。
炭素数5〜20のヒドロキシアルキル基としては、5−ヒドロキシペンチル基、6−ヒドロキシヘキシル基、7−ヒドロキシへプチル基、8−ヒドロキシオクチル基、9−ヒドロキシノニル基、10−ヒドロキシデシル基、11−ヒドロキシウンデシル基、12−ヒドロキシドデシル基、13−ヒドロキシトリデシル基、14−ヒドロキシテトラデシル基、15−ヒドロキシペンタデシル基、16−ヒドロキシヘキサデシル基、17−ヒドロキシヘプタデシル基、18−ヒドロキシオクタデシル基、19−ヒドロキシノナデシル基、20−ヒドロキシエイコシル基等が挙げられ、合成の容易さの点で、5−ヒドロキシペンチル基、6−ヒドロキシヘキシル基、7−ヒドロキシへプチル基、8−ヒドロキシオクチル基、9−ヒドロキシノニル基、10−ヒドロキシデシル基、11−ヒドロキシウンデシル基、12−ヒドロキシドデシル基が好ましく、2−ヒドロキシエチル基、3−ヒドロキシプロピル基、4−ヒドロキシブチル基、5−ヒドロキシペンチル基、6−ヒドロキシヘキシル基、7−ヒドロキシへプチル基、8−ヒドロキシオクチル基がより好ましい。
一般式(II)で表される単量体としては、具体的には、プロピル(メタ)アクリレート、1−メチルエチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、1−メチルプロピル(メタ)アクリレート、2−メチルプロピル(メタ)アクリレート、1,1−ジメチルエチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、1−メチルブチル(メタ)アクリレート、2−メチルブチル(メタ)アクリレート、3−メチルブチル(メタ)アクリレート、1,1−ジメチルプロピル(メタ)アクリレート、1,2−ジメチルプロピル(メタ)アクリレート、2,2−ジメチルプロピル(メタ)アクリレート、1−エチルプロピル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、1−メチルペンチル(メタ)アクリレート、2−メチルペンチル(メタ)アクリレート、3−メチルペンチル(メタ)アクリレート、4−メチルペンチル(メタ)アクリレート、1,1−ジメチルブチル(メタ)アクリレート、1,2−ジメチルブチル(メタ)アクリレート、1,3−ジメチルブチル(メタ)アクリレート、2,2−ジメチルブチル(メタ)アクリレート、2,3−ジメチルブチル(メタ)アクリレート、3,3−ジメチルブチル(メタ)アクリレート、1−エチルブチル(メタ)アクリレート、2−エチルブチル(メタ)アクリレート、1−エチル−1−メチルプロピル(メタ)アクリレート、1−エチル−2−メチルプロピル(メタ)アクリレート、へプチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、6−メチルヘプチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、テトラデシル(メタ)アクリレート、ペンタデシル(メタ)アクリレート、ヘキサデシル(メタ)アクリレート、ヘプタデシル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート、ノナデシル(メタ)アクリレート、エイコシル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート;及び、5−ヒドロキシペンチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、7−ヒドロキシへプチル(メタ)アクリレート、8−ヒドロキシオクチル(メタ)アクリレート、9−ヒドロキシノニル(メタ)アクリレート、10−ヒドロキシデシル(メタ)アクリレート、11−ヒドロキシウンデシル(メタ)アクリレート、12−ヒドロキシドデシル(メタ)アクリレート、13−ヒドロキシトリデシル(メタ)アクリレート、14−ヒドロキシテトラデシル(メタ)アクリレート、15−ヒドロキシペンタデシル(メタ)アクリレート、16−ヒドロキシヘキサデシル(メタ)アクリレート、17−ヒドロキシヘプタデシル(メタ)アクリレート、18−ヒドロキシオクタデシル(メタ)アクリレート、19−ヒドロキシノナデシル(メタ)アクリレート、20−ヒドロキシエイコシル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートが挙げられる。中でも、合成の容易さの点で、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、へプチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、5−ヒドロキシペンチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、7−ヒドロキシへプチル(メタ)アクリレート、8−ヒドロキシオクチル(メタ)アクリレート、9−ヒドロキシノニル(メタ)アクリレート、10−ヒドロキシデシル(メタ)アクリレート、11−ヒドロキシウンデシル(メタ)アクリレート、12−ヒドロキシドデシル(メタ)アクリレートから選択される少なくとも1種が好ましく、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、へプチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、5−ヒドロキシペンチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、7−ヒドロキシへプチル(メタ)アクリレート、8−ヒドロキシオクチル(メタ)アクリレートから選択される少なくとも1種がより好ましい。
本発明のアクリルポリマー粒子は、モノマー成分として、上記(メタ)アクリロニトリル、上記一般式(I)で表される単量体と、上記一般式(II)で表される単量体以外に、2以上のエチレン性不飽和結合を有する化合物を含有することが好ましい。
[2以上のエチレン性不飽和結合を有する化合物]
前記2以上のエチレン性不飽和結合を有する化合物(架橋剤)は、エチレン性不飽和結合を含む2以上の官能基と、前記官能基を互いに連結する2価以上の連結基である有機基とを有する化合物であれば特に制限はない。前記2以上のエチレン性不飽和結合を有する化合物は、例えば、下記一般式(III)で表される化合物であることが好ましい。
Figure 2015003998
一般式(III)中、Rはそれぞれ独立に、水素原子又はメチル基を示す。Rは、n価の有機基を示す。nは2〜6の数を示し、3〜4であることが好ましい。nは一般式(III)で表される化合物が単一の分子種である場合、整数である。
で示されるn価の有機基としては、炭素数2〜20の脂肪族炭化水素からn個の水素原子を取り除いて構成される炭素数が2〜20であるn価の脂肪族炭化水素基;炭素数2〜4のアルキレングリコールが2以上エーテル結合してなるポリアルキレングリコールの両末端からヒドロキシ基を取り除いて構成されるポリアルキレンオキシアルキレン基;グリセリン、ジグリセリン、ネオペンチルグリコール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン等の炭素数3〜20の多価アルコール又はそのヒドロキシアルキル化物からn個のヒドロキシ基を取り除いて構成されるn価の有機基;イソシアヌル酸又はそのヒドロキシアルキル化物からn個のヒドロキシ基を取り除いて構成されるn価の有機基;などを挙げることができる。
これらの中でも、Rは炭素数2〜11の脂肪族炭化水素からn個の水素原子を取り除いて構成される炭素数が2〜11であるn価の脂肪族炭化水素基及び炭素数3〜11の多価アルコール又はそのヒドロキシアルキル化物からからn個のヒドロキシ基を取り除いて構成されるn価の有機基からなる群より選ばれる少なくとも1種であることが好ましく、炭素数3〜11の脂肪族炭化水素から3〜4個の水素原子を取り除いて構成される炭素数が3〜11である3〜4価の脂肪族炭化水素基及び炭素数3〜11の多価アルコール又はそのヒドロキシアルキル化物から3〜4個のヒドロキシ基を取り除いて構成される3〜4価の基からなる群より選ばれる少なくとも1種であることがより好ましい。
2以上のエチレン性不飽和結合を有する化合物として具体的には、1,4−ブタンジオールジアクリレート(日立化成株式会社製、商品名FA-124AS)、ノナンジオールジアクリレート(日立化成株式会社製、商品名FA-129AS)、ポリエチレングリコール#400ジアクリレート(日立化成株式会社製、商品名FA-240A)、ポリプロピレングリコール#400ジアクリレート(日立化成株式会社製、商品名FA-P240A)、ポリプロピレングリコール#700ジアクリレート(日立化成株式会社製、商品名FA-P270A)、EO変性ビスフェノールAジアクリレート(日立化成株式会社製、商品名FA-321A、FA-324A)、エチレングリコールジメタクリレート(日立化成株式会社製、商品名FA-121M)、1,3−ブタンジオールジメタクリレート(日立化成株式会社製、商品名FA-123M)、1,4−ブタンジオールジメタクリレート(日立化成株式会社製、商品名FA-124M)、ネオペンチルグリコールジメタクリレート(日立化成株式会社製、商品名FA-125M)、ポリエチレングリコール#200ジメタクリレート(日立化成株式会社製、商品名FA-220M)、ポリエチレングリコール#400ジメタクリレート(日立化成株式会社製、商品名FA-240M)、ペンタエリスリトールトリアクリレート(日本化学工業株式会社製、商品名PET−30)、エトキシ化イソシアヌル酸トリアクリレート(新中村化学工業株式会社製、商品名A−9300)、トリメチロールプロパントリアクリレート(新中村化学工業株式会社製、商品名A−TMPT)、トリメチロールプロパントリメタクリレート(新中村化学工業株式会社製、商品名TMPT)、エトキシ化イソシアヌル酸トリアクリレート(新中村化学工業株式会社製、商品名A−9300)、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラアクリレート(新中村化学工業株式会社製、商品名ATM−4E)、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(新中村化学工業株式会社製、商品名A−DPH)、ジペンタエリスリトールポリアクリレート(新中村化学工業株式会社製、商品名A−9550)等が挙げられる。
これらの中でも、2以上のエチレン性不飽和結合を有する化合物は、3又は4個の(メタ)アクリル基を有する3官能又は4官能のアクリレートであることが好ましく、炭素数3〜11の多価アルコールのポリ(メタ)アクリル酸エステルであることがより好ましく、ペンタエリスリトールトリアクリレート又はエトキシ化ペンタエリスリトールテトラアクリレートであることが更に好ましい。
これらの2以上のエチレン性不飽和結合を有する化合物は1種単独で又は2種類以上組み合わせて用いることができる。
アクリルポリマー粒子における2以上のエチレン性不飽和結合を有する化合物由来の構造単位の含有量は特に制限されない。2以上のエチレン性不飽和結合を有する化合物由来の構造単位の含有量は、アクリルポリマー粒子のゴム状領域における貯蔵弾性率を高めて、エネルギーデバイスの充放電における活物質の膨張収縮に追従しやすくさせるという観点から、アクリルポリマー粒子における単量体由来の総質量100質量部に対して、0.01〜5.0質量部であることが好ましく、0.02〜3.0質量部であることがより好ましく、0.05〜0.2質量部であることが更に好ましい。
また、アクリルポリマー粒子における2以上のエチレン性不飽和結合を有する化合物由来の構造単位の含有率をモル%で規定した場合、アクリルポリマー粒子における単量体由来の総構造単位数(100モル%)に対して、0.001〜1.0モル%であることが好ましく、0.005〜0.5モル%であることがより好ましく、0.02〜0.2モル%であることが更に好ましい。
更に特定重合体における(メタ)アクリロニトリル由来の構造単位の含有量に対する2以上のエチレン性不飽和結合を有する化合物由来の構造単位の含有量のモル比は特に制限されない。エネルギーデバイス電極における集電体と合剤層との密着性に優れる観点から、前記モル比は、0.008〜0.8モル%であることが好ましく、0.03〜0.3モル%であることがより好ましい。
[その他の単量体]
本発明におけるアクリルポリマー粒子は、必要に応じて、その他の単量体に由来する構造単位を含むことができる。このようなその他の構造単位としては、酸性官能基含有単量体由来の構造単位を挙げることができる。
接着性の観点から、本発明におけるアクリルポリマー粒子は、酸性官能基含有単量体由来の構造単位を含むことが好ましい。酸性官能基としては、カルボキシル基、スルホ基、リン酸基、フェノール性水酸基等が挙げられる。中でも密着性の点で、カルボキシル基が好ましい。
酸性官能基含有単量体としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、クロトン酸、イタコン酸、シトラコン酸、ビニル安息香酸、カルボキシエチルアクリレートのようなカルボキシル基含有単量体;ビニルベンゼンスルホン酸、(メタ)アリルスルホン酸ナトリウム、(メタ)アリルオキシベンゼンスルホン酸ナトリウム、スチレンスルホン酸ナトリウム、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸のようなスルホ基含有単量体;アッシドホスホキシエチルメタクリレート(ユニケミカル株式会社製、商品名:Phosmer M)、アッシドホスホキシポリオキシエチレングリコールモノメタクリレート(ユニケミカル株式会社製、商品名:Phosmer PE)、3−クロロ−2−アッシドホスホキシプロピルメタクリレート(ユニケミカル株式会社製、商品名:Phosmer CL)、アッシドホスホキシポリオキシプロピレングリコールモノメタクリレート(ユニケミカル株式会社製、商品名:Phosmer PP)のようなリン酸基含有単量体;などが挙げられる。中でも、アクリル酸、メタクリル酸及び2−カルボキシエチルアクリレートが、合成のし易さ及び密着性の観点から好ましい。これらの酸性官能基含有単量体は、単独で又は二種類以上組み合わせて用いることができる。
酸性官能基含有単量体由来の構造単位を含む場合の組成比は、第一の構造単位1モルに対して、0.001〜0.2モル、好ましくは0.01〜0.15モル、より好ましくは0.01〜0.1モルである。
酸性官能基含有単量体由来の構造単位が0.001〜0.2モルであれば、集電体、特に銅箔を用いた集電体との密着性及び電解液に対する耐膨潤性が不足することを抑制できる傾向がある。
酸性官能基含有単量体以外の更にその他の単量体としては、特に限定されない。例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート等の短鎖(メタ)アクリル酸エステル類、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート等の脂環式(メタ)アクリル酸エステル類、塩化ビニル、臭化ビニル、塩化ビニリデン等のハロゲン化ビニル類、マレイン酸イミド、フェニルマレイミド、(メタ)アクリルアミド、スチレン、α−メチルスチレン、酢酸ビニル及びその塩などが挙げられる。
また、1,1−ビス(トリフルオロメチル)−2,2,2−トリフルオロエチルアクリレート、2,2,3,3,4,4,4−ヘプタフルオロブチルアクリレート、2,2,3,4,4,4−へキサフルオロブチルアクリレート、ノナフルオロイソブチルアクリレート、2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロペンチルアクリレート、2,2,3,3,4,4,5,5,5−ノナフルオロペンチルアクリレート、2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,6−ウンデカフルオロヘキシルアクリレート、2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−ペンタデカフルオロオクチルアクリレート、3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,10−ヘプタデカフルオロデシルアクリレート、2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,10−ノナデカフルオロデシルアクリレート等のフルオロアルキル基を有するアクリレート化合物、ノナフルオロ−t−ブチルメタクリレート、2,2,3,3,4,4,4−ヘプタフルオロブチルメタクリレート、2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロペンチルメタクリレート、2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7−ドデカフルオロヘプチルメタクリレート、ヘプタデカフルオロオクチルメタクリレート、2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−ペンタデカフルオロオクチルメタクリレート、2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9−ヘキサデカフルオロノニルメタクリレート等のフルオロアルキル基を有するメタクリレート化合物などの(メタ)アクリル酸エステル類が挙げられる。
上述した第一〜第三の構造単位を構成する単量体以外のその他の単量体は、単独で又は二種類以上組み合わせて用いることができる。
アクリルポリマー粒子における、その他の単量体由来の構造単位を含む場合の組成比は、第一の構造単位1モルに対して、0.01〜10モル、好ましくは0.1〜5モル、より好ましくは0.1〜3モルである。
その他の単量体由来の構造単位が、0.01モル以上であれば、その他の単量体に由来する特性(例えば酸性官能基含有単量体を用いた場合には柔軟性など)がアクリルポリマー粒子において充分に発揮され、10モル以下であれば、上述した第一〜第三の構造単位に由来する特性がアクリルポリマー粒子において充分に発揮される。
アクリルポリマー粒子における各構成単位の比率としては、例えば、第一の構造単位1モルに対して、第二の構造単位が0.1〜8.0モル且つ第三の構造単位が0.1〜8.0モルであることが好ましく、第一の構造単位1モルに対して、第二の構造単位が0.1〜5.0モル且つ第三の構造単位が0.1〜5.0モルであることがより好ましい。
[アクリルポリマー粒子の製造方法]
本発明におけるアクリルポリマー粒子は、(メタ)アクリロニトリル単量体と、前記一般式(I)で表される単量体と、前記一般式(II)で表される単量体を重合して得ることができる。さらに必要に応じて、2以上のエチレン性不飽和結合を有する化合物、酸性官能基含有単量体や、これらの単量体とは異なるその他の単量体を適宜組合せて重合して得ることもできる。
本発明におけるアクリルポリマー粒子を合成するための重合様式としては、特に制限はない。例えば、沈殿重合、塊状重合、懸濁重合、乳化重合及び無乳化剤(ソープフリー)乳化重合を挙げることができる。共重合体合成のし易さ、回収・精製といった後処理のし易さ等の点で、沈殿重合又は乳化重合が好ましい。
また、本発明のアクリルポリマー粒子をリチウム電池用の電極合剤に用いる場合は、電極合剤スラリー安定性の観点から無乳化剤(ソープフリー)乳化重合することが好ましい。
無乳化剤(ソープフリー)乳化重合の典型的な反応系は、モノマーとイオン性開始剤と水で構成され、代表的なものとしてはスチレンモノマー(疎水性モノマー)と過硫酸塩(重合開始剤)を用いた系が挙げられる。スチレンは水に極少量しか溶解しないため、重合初期にはその大部分はモノマー滴として存在している。ラジカルは水相中で生成するため、水相中に溶けたモノマーと反応して、ポリマーが生じる。ポリマーは水相中に溶解することができないことから、析出・凝集してポリマー粒子を形成する。ポリマーは末端に荷電基(開始剤由来)を持つため、適切な反応条件では表面荷電基の静電相互作用で分散安定化することができる。無乳化剤(ソープフリー)乳化重合の粒径制御は、静電相互作用を考慮することにあるため、重合開始剤量を変化させることで静電相互作用を変化させ、粒径を制御することができる。
無乳化剤(ソープフリー)乳化重合は、重合開始剤である過硫酸塩を多量に用いることから、ラテックス粒子のpHが低くなる(1〜2)傾向にある。電極合剤用のバインダー樹脂のpHが1〜2であると、電極作製時に塩が多く生成し、電池の劣化に繋がる。本発明のアクリルポリマー粒子は、重合開示剤の使用量を減らして、pHを6〜8の範囲とする。
[重合開始剤]
重合開始剤としては、重合開始効率等の点で水溶性重合開始剤が好ましい。
水溶性重合開始剤としては、例えば、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム等の過硫酸塩、過酸化水素等の水溶性過酸化物;2,2´−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジンハイドロクロライド)等の水溶性アゾ化合物;過硫酸塩等の酸化剤と、亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸水素アンモニウム、チオ硫酸ナトリウム、ハイドロサルファイト等の還元剤と、硫酸、硫酸鉄、硫酸銅等の重合促進剤とを併用した酸化還元型(レドックス型)などが挙げられる。
これらの中では、共重合体合成のし易さ等の点で過硫酸塩が好ましく、過硫酸カリウム(以下、KPSという場合もある)がより好ましい。
重合開始剤は、アクリルポリマー粒子に使用される単量体の総量に対し、例えば、0.001〜5モル%の範囲で使用されることが好ましく、重合効率の点0.01〜2モル%の範囲で使用されることがより好ましい。
[連鎖移動剤]
前記単量体を重合し、アクリルポリマー粒子を得る際には、必要に応じて分子量調節などの目的で、連鎖移動剤を用いることができる。
連鎖移動剤としては、例えば、メルカプタン化合物、チオグリコール、四塩化炭素、α−メチルスチレンダイマーなどが挙げられる。
これらの中では、臭気が少ない等の点で、α−メチルスチレンダイマーが好ましい。
連鎖移動剤は、アクリルポリマー粒子に使用される単量体の総量に対し、例えば、0.001〜3質量%の範囲で使用されることが好ましく、分子量制御の点で、0.01〜3質量%の範囲で使用されることがより好ましい。
0.001〜3質量%の範囲とすることで、分子量を制御することが可能であり好ましい。
[界面活性剤]
前記単量体を重合し、アクリルポリマー粒子を得る際には、必要に応じて、各種界面活性剤を用いることができる。
界面活性剤としては、陰イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤又は陽イオン性界面活性剤等を用いることができる。
陰イオン性界面活性剤としては、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムのようなアルキルベンゼンスルホン酸塩、ラウリル硫酸ナトリウム塩のようなアルキル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレン多環フェニルエーテルのようなポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ステアリン酸ソーダ石けんのような脂肪酸塩等が挙げられる。
また、非イオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンビフェニルエーテルのようなポリオキシエチレン多環フェニルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテルのようなポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルのようなポリオキシアルキレン誘導体、ソルビタンモノラウレートのようなソルビタン脂肪酸エステル、グリセロールモノステアレートのようなグリセリン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコールモノラウレートのようなポリオキシエチレン脂肪酸エステル等が挙げられる。
また、陽イオン性界面活性剤としては、ステアリルアミンアセテートのようなアルキルアミン塩、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライドのような第四級アンモニウム塩等が挙げられる。
[溶媒]
アクリルポリマー粒子を重合反応により合成する際の溶媒としては、水が挙げられるが、沈殿重合及び乳化重合を行う際、或いは重合終了後に、析出粒子径の調節や濡れ性向上などの必要に応じ、水以外の溶媒を加えることもできる。
水以外の溶媒としては、例えば、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド類、N,N−ジメチルエチレンウレア、N,N−ジメチルプロピレンウレア、テトラメチルウレア等のウレア類、γ−ブチロラクトン、γ−カプロラクトン等のラクトン類、プロピレンカーボネート等のカーボネート類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、ブチルセロソルブアセテート、ブチルカルビトールアセテート、エチルセロソルブアセテート、エチルカルビトールアセテート等のエステル類、ジグライム、トリグライム、テトラグライム等のグライム類、トルエン、キシレン、シクロヘキサン等の炭化水素類、ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類、スルホラン等のスルホン類、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール等のアルコール類などが挙げられる。
溶媒は、単独で又は二種類以上組み合わせて用いることができる。
溶媒は、アクリルポリマー粒子に使用される単量体の総量に対し、例えば、50〜2000質量%の範囲で使用されることが好ましく、100〜1000質量%の範囲で使用されることがより好ましい。
[重合方法]
重合は、例えば、初期反応温度まで水を窒素バブリングしながら昇温し、初期反応温度に達したら、開始剤を投入する。その後、(メタ)アクリロニトリル単量体、一般式(I)で表される単量体、一般式(II)で表される単量体、並びに必要に応じて2以上のエチレン性不飽和結合を有する化合物及びその他の単量体を、1〜3時間かけて溶媒中に導入する。この際の初期反応温度は40〜60℃とする。より好ましくは45〜55℃であり、更に好ましくは45〜50℃である。初期反応温度が低い程、粒子の合一が抑制され、小さい粒子が形成される傾向にある。前記単量体を全て溶媒中に導入した後、重合温度を、65℃〜100℃、好ましくは70℃〜90℃として1時間〜50時間、好ましくは、2時間〜12時間保持することによって行われる。
ここで、水の仕込み量は、pH及びラテックス粒径制御の観点から、モノマーと水の比が1:4〜1:25が好ましく、より好ましくは1:7〜1:20であり、更に好ましくは1:9〜1:19である。水の割合が多い程、粒子の合一が抑制され、小さい粒子が形成される傾向にある。
アクリルポリマー粒子のpHを6〜8に調整できる観点からは、開始剤が過硫酸カリウム(KPS)を用いることが好ましく、過硫酸カリウムの含有量は、全単量体量に対して0.1〜0.5質量%であることが好ましく、0.2〜0.4質量%であることがより好ましい。
(メタ)アクリロニトリル単量体、一般式(I)で表される単量体、一般式(II)で表される単量体、2以上のエチレン性不飽和結合を有する化合物及びその他の単量体を重合する際、特に(メタ)アクリロニトリル基含有単量体の重合熱が大きいため、(メタ)アクリロニトリル基含有単量、一般式(I)で表される単量体、2以上のエチレン性不飽和結合を有する化合物及びその他の単量体は適宜溶媒中に滴下しながら重合を進めることが好ましい。
各単量体の重合系への投入順序には特に制限はない。
沈殿重合の場合には、溶媒として、水、アルコール、ヘキサン、酢酸エチル、トルエン等を使用することが好ましい。重合温度は40〜100℃であり、重合時間は2〜8時間であることが好ましい。
乳化重合の場合には、溶媒として、水、アルコール等を使用することが好ましい。重合温度は40〜100℃であり、重合時間は2〜8時間であることが好ましい。
また、乳化重合の際には、単量体及び共重合体の分散安定性、共重合体の粒子径制御の容易さなどの観点から、前記界面活性剤を用いることが好ましいが、電池用バインダ樹脂として用いる場合、界面活性剤は用いず無乳化剤(ソープフリー)乳化重合することが好ましい。
本発明のアクリルポリマー粒子は、密着性及び電池特性の観点から粒径が500nm以下であることが好ましく、400nm以下がより好ましい。下限値は特に制限はないが、実用的な観点から100nm以上であることが好ましく、200nm以上であることがより好ましい。
ここで粒径は、平均粒径であり、市販の動的光散乱法による測定装置を用いて測定することができる。
[エネルギーデバイス電極用バインダ樹脂材料]
本発明のエネルギーデバイス電極用バインダ樹脂材料は、本発明のアクリルポリマー粒子の少なくとも1種を含有し、さらに、溶媒や他の成分を含有してもよい。
アクリルポリマー粒子を分散するのに適切な溶媒としては、水が好ましい。また、水に加えてアルコール、ヘキサン、酢酸エチル、トルエン等の水以外の溶媒も使用することができる。
また、本発明のエネルギーデバイス電極用バインダ樹脂材料は、本発明のアクリルポリマー粒子を製造した際に用いた溶媒を除去し、適当な有機溶媒に分散・溶解させた形態で使用することもできる。
本発明のエネルギーデバイス電極用バインダ樹脂材料を分散・溶解するのに適当な溶媒としては、アミド類、ウレア類あるいはラクトン類又はそれを含む混合溶媒が好ましく、これらの中でも分散・溶解性の点でN−メチル−2−ピロリドンやγ−ブチロラクトン又はそれを含む混合溶媒がより好ましい。
これらの溶媒は、単独で又は二種類以上組み合わせて用いられる。
溶媒の使用量は、常温でエネルギーデバイス電極用バインダ樹脂材料が分散・溶解状態を保てる必要最低限の量以上であれば、特に制限はないが、後のエネルギーデバイス電極の作製におけるスラリー調製工程で、通常、溶媒を加えながら粘度調節を行うため、必要以上に希釈し過ぎない任意の量とすることが好ましい。
例えば、エネルギーデバイス電極用バインダ樹脂材料中のアクリルポリマー粒子の固形分濃度が5〜60質量%であることが好ましく、10〜50質量%であることがより好ましい。
また、前記(メタ)アクリロニトリル単量体、一般式(I)で表される単量体、一般式(II)で表される単量体とを重合させて前記アクリルポリマー粒子を製造した際に、前記アクリルポリマー粒子は、溶媒に分散された状態で得られるため、前記アクリルポリマー粒子の製造方法に従い得られたアクリルポリマー粒子の溶媒分散液を、そのままの形態で、本発明のエネルギーデバイス電極用バインダ樹脂材料として使用することも可能である。
また、本発明のエネルギーデバイス電極用バインダ樹脂材料は、必要に応じて界面活性剤、増粘剤、その他の添加物等を含有していてもよい。
[界面活性剤]
界面活性剤としては、陰イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、若しくは陽イオン性界面活性剤等、又はこれらの組み合わせを用いることができる。
[増粘剤]
本発明で得られるアクリルポリマー粒子は、エネルギーデバイス電極用バインダ樹脂材料として用いる場合、増粘剤を含有してもよい。これにより、後に詳述するエネルギーデバイス電極の作製におけるスラリー調製工程において、粘度調整することができる。
増粘剤としては、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなどのセルロース類及びこれらのアンモニウム塩又はアルカリ金属塩、ポリアクリル酸及びこれらのアルカリ金属塩、エチレン−メタアクリル酸共重合体、ポリビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコール共重合体などのポリビニルアルコール系共重合体などが挙げられる。
アクリルポリマー粒子と増粘剤との比率に特に制限はないが、スラリー調製工程における粘度調整の観点から、アクリルポリマー粒子1質量部に対して増粘剤が0.1〜2質量部であることが好ましく、0.3〜1.5質量部であることがより好ましく、0.3〜1質量部であることがさらに好ましい。
[その他の添加剤]
エネルギーデバイス電極用バインダ樹脂材料には、必要に応じて他の材料、例えば、電極の導電性を補完するための導電助剤、電極の柔軟性・可とう性を補完するためのゴム成分、スラリーの電極塗工性を向上させるための沈降防止剤、消泡剤、レベリング剤といった各種添加剤などを配合することもできる。
[エネルギーデバイス電極用バインダ樹脂材料の用途]
本発明のエネルギーデバイス電極用バインダ樹脂材料は、エネルギーデバイス電極形成に利用され、特に非水電解液系のエネルギーデバイスに好適に利用される。
非水電解液系エネルギーデバイスとは、水以外の電解液を用いる蓄電又は発電デバイス(装置)を言う。非水電解液系エネルギーデバイスとしては、例えば、リチウム電池、電気二重層キャパシタ、太陽電池等が挙げられる。
本発明のエネルギーデバイス電極用バインダ樹脂材料は、エネルギーデバイス電極を形成した際に、水以外の有機溶媒のような非水電解液に対する耐膨潤性が高いため、特にリチウム電池の電極形成において使用することが好ましい。
なお、本発明のエネルギーデバイス電極用バインダ樹脂材料は、エネルギーデバイス電極のみならず、塗料、接着剤、硬化剤、印刷インキ、ソルダレジスト、研磨剤、電子部品の封止材、半導体の表面保護膜や層間絶縁膜、電気絶縁用ワニス、バイオマテリアル等の各種コーティングレジンや成形材料、繊維などに幅広く利用できる。
以下、エネルギーデバイス電極及びこの電極を用いたエネルギーデバイスについて説明する。
<エネルギーデバイス電極>
エネルギーデバイス電極は、集電体と、該集電体の少なくとも1面上に設けられた合剤層とを有するものである。
本発明のアクリルポリマー粒子は、この合剤層を構成する材料として使用され得る。
[合剤層]
本発明における合剤層は、活物質と、本発明のアクリルポリマー粒子とを含み、必要に応じて他の成分を含んでいてもよい。
(活物質)
本発明で使用される活物質は、特に制限されず、エネルギーデバイスに応じて適宜選択される。例えば、エネルギーデバイスがリチウム電池の場合、活物質としては、リチウム電池の充放電により可逆的にリチウムイオンを挿入・放出できるものが挙げられる。なお、正極と負極とはそれぞれ逆の機能を有するので、正極及び負極で使用される活物質は、通常、それぞれの有する機能にあわせて、異なる材料が使用される。リチウム電池を例に挙げて説明すると、正極は、充電時にリチウムイオンを放出し、放電時にリチウムイオンを受け取るという機能を有する一方、負極は、充電時にリチウムイオンを受け取り、放電時にリチウムイオンを放出するという正極とは逆の機能を有するので、正極及び負極で使用される活物質は、通常、それぞれの有する機能にあわせて、異なる材料が使用される。
負極活物質としては、例えば、黒鉛、非晶質炭素、炭素繊維、コークス、活性炭等の炭素材料が好ましく、このような炭素材料とシリコン、すず、銀等の金属又はこれらの酸化物との複合物なども使用できる。
一方、正極活物質としては、例えば、リチウムと、鉄、コバルト、ニッケル及びマンガンから選ばれる少なくとも1種類以上の金属とを含有するリチウム含有金属複合酸化物が好ましい。
例えば、リチウムマンガン複合酸化物、リチウムコバルト複合酸化物、リチウムニッケル複合酸化物等が用いられる。
これらのリチウム含有金属複合酸化物としては、さらに、Al、V、Cr、Fe、Co、Sr、Mo、W、Mn、B及びMgから選ばれる少なくとも1種の金属で、リチウムサイト、マンガン、コバルト又はニッケル等のサイトを置換したリチウム含有金属複合体も使用することができる。
また、正極活物質は、特に制限はなく、例えば、リチウムイオンをドーピングまたはインターカレーション可能な金属化合物、金属酸化物、金属硫化物、または導電性高分子材料を用いればよく、特に限定されない。例えば、コバルト酸リチウム(LiCoO)、ニッケル酸リチウム(LiNiO)、マンガン酸リチウム(LiMnO)、およびこれらの複酸化物(LiCoNiMn、x+y+z=1、0<x、0<y;LiNi2−xMn、0<x≦2)、リチウムマンガンスピネル(LiMn)、リチウムバナジウム化合物、V、V13、VO、MnO、TiO、MoV、TiS、V、VS、MoS、MoS、Cr、Cr、オリビン型LiMPO(M:Co、Ni、Mn、Fe)、ポリアセチレン、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアセン等の導電性ポリマー、多孔質炭素等などを単独或いは混合して使用することができる。中でも、ニッケル酸リチウム(LiNiO)およびその複酸化物(LiCoNiMn、x+y+z=1)は、容量が高いため本発明に用いる正極材として好適である。
これらの活物質は単独で又は二種以上組み合わせて用いられる。
合剤層におけるアクリルポリマー粒子と活物質との比率に特に制限はないが、高容量と高密着性の両立という観点から、アクリルポリマー粒子1質量部に対して、活物質が90〜100質量部であることが好ましく、95〜100質量部であることがより好ましく、97〜99質量部であることがさらに好ましい。
これらの活物質には、それぞれ、導電助剤を組み合わせて使用してもよい。
導電助剤としては、例えば、黒鉛、カーボンブラック、アセチレンブラック等が挙げられる。これらの導電助剤は、単独で又は二種類以上組み合わせて使用してもよい。
導電助剤の配合量は、活物質1質量部に対して、0.001〜0.1質量部であることが好ましく、0.01〜0.1質量部であることがより好ましく、0.01〜0.05質量部であることがさらに好ましい。導電助剤の配合量を上記範囲とすることにより、高導電性と高容量の両立が可能であるため好ましい。
[エネルギーデバイス電極の製造方法]
前記エネルギーデバイス電極は、特に制限なく公知の電極の製造方法を利用して製造することができるが、例えば、本発明のエネルギーデバイス電極用バインダ樹脂材料、溶媒及び活物質等を含む合剤スラリーを、集電体の少なくとも1面に塗布し、次いで溶媒を乾燥除去し、必要に応じて圧延して集電体表面に合剤層を形成することにより製造することができる。
特に本発明のエネルギーデバイス電極用バインダ樹脂材料を含む合剤層は、エネルギーデバイス電極の負極として用いられることが好ましい。
(合剤層の製造方法)
合剤層は、例えば、本発明のエネルギーデバイス電極用バインダ樹脂材料及び活物質等を、溶媒とともに撹拌機、ボールミル、スーパーサンドミル又は加圧ニーダ等の分散装置により混練して、合剤スラリーを調製し(スラリー調製工程)、この合剤スラリーを前記集電体に塗布し、溶媒を乾燥除去することによって得られる。
(合剤層を形成するための溶媒)
合剤層の形成に用いられる溶媒としては、エネルギーデバイス電極用バインダ樹脂材料を均一に溶解または分散できる溶媒であれば、特に制限はない。
溶媒としては、水が好ましい。また、水の他にも、有機溶媒等の種々の溶媒を使用することができる。有機溶媒としては、例えば、水、N−メチル−2−ピロリドン、γ−ブチロラクトン等が挙げられる。
これらの溶媒は、単独で又は二種類以上組み合わせて用いてもよい。
ここで、スラリー調製工程で調節されるべき適当な粘度としては、総量に対して10質量%のエネルギーデバイス電極用バインダ樹脂材料を分散・溶解した水溶液の場合、25℃において、500〜50000mPa・sであることが好ましく、1000〜20000mPa・sであることがより好ましく、2000〜10000mPa・sであることが極めて好ましい。
ここで、塗布は、特に制限をされず、公知の塗布方法から適宜選択されればよい。例えば、コンマコーター等を用いて行うことができる。
塗布は、対向する電極間において、単位面積あたりの活物質利用率が負極/正極=1以上になるように行うことが適当である。前記スラリーの塗布量は、例えば、合剤層の乾燥質量が、30〜100g/m、好ましくは、50〜80g/mとなる量である。
溶媒の除去は、50〜150℃、好ましくは、80〜120℃で、1〜20分間、好ましくは、3〜10分間乾燥することによって行われる。
圧延は、例えばロールプレス機を用いて行われ、合剤層のかさ密度が、負極の合剤層の場合、例えば、1〜2g/cm、好ましくは、1.2〜1.8g/cmとなるように、正極の合剤層の場合、例えば、2〜5g/cm、好ましくは、3〜4g/cmとなるように、プレスされる。
さらに、エネルギーデバイス電極内の残留溶媒、吸着水の除去等のため、例えば、100〜150℃で1〜20時間真空乾燥してもよい。
[集電体]
前記集電体は、導電性を有する物質であればよく、例えば、金属が使用できる。具体的な金属としては、アルミニウム、銅及びニッケル等が使用できる。
さらに、集電体の形状は、特に限定はないが、エネルギーデバイスであるリチウム電池の高エネルギー密度化という点から、薄膜状が好ましい。
集電体の厚みは、例えば、5〜30μm、好ましくは、8〜25μmである。
<エネルギーデバイス>
エネルギーデバイスは、エネルギーデバイス電極と、該エネルギーデバイス電極の対極となる電極と、電解質とを有し、必要に応じてその他の構成要素を有して構成される。
エネルギーデバイスは、低抵抗であり、充放電サイクルにおける容量低下が小さい。
エネルギーデバイスとしては、リチウム電池、電気二重層キャパシタ、ハイブリッドキャパシタ、太陽電池などが挙げられ、その中でも、電気二重層キャパシタ、ハイブリッドキャパシタ及びリチウム電池が好ましく、リチウム電池がより好ましい。以下、リチウム電池を例に挙げて、エネルギーデバイスについて説明する。リチウム電池におけるエネルギーデバイス電極の詳細は記述の通りである。
[エネルギーデバイス電極の対極となる電極]
エネルギーデバイス電極が負極を構成する場合には、エネルギーデバイス電極の対極となる電極は正極を構成する。一方、エネルギーデバイス電極が正極を構成する場合には、エネルギーデバイス電極の対極となる電極は負極を構成する。
なお、エネルギーデバイス電極の対極となる電極は特に限定されず、エネルギーデバイス電極に応じて公知の電極を用いることができる。
[電解質]
電解質としては、例えば、エネルギーデバイスであるリチウム電池としての機能を発揮させるものであれば特に制限はない。
電解質としては、LiClO、LiBF、LiI、LiPF、LiCFSO、LiCFCO、LiAsF、LiSbF、LiAlCl、LiCl、LiBr、LiB(C、LiCHSO、LiCSO、Li(CFSON、Li[(COB等が挙げられ、イオン伝導性や安定性の観点より、LiPF、LiBF、Li(CFSON、が好ましく、LiPF又はLiBFがより好ましい。
また、電解液としては、上記電解質を、水以外の、例えば、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルエチルカーボネート等のカーボネート類、γ−ブチロラクトン等のラクトン類、トリメトキシメタン、1,2−ジメトキシエタン、ジエチルエーテル、2−エトキシエタン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン等のエーテル類、ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類、1,3−ジオキソラン、4−メチル−1,3−ジオキソラン等のオキソラン類、アセトニトリル、ニトロメタン、N−メチル−2−ピロリドン等の含窒素類、ギ酸メチル、酢酸メチル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、リン酸トリエステル等のエステル類、ジグライム、トリグライム、テトラグライム等のグライム類、アセトン、ジエチルケトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、スルホラン等のスルホン類、3−メチル−2−オキサゾリジノン等のオキサゾリジノン類、1,3−プロパンスルトン、4−ブタンスルトン、ナフタスルトン等のスルトン類などの有機溶媒に溶解した溶液が挙げられる。
これらの中では、カーボネート類にLiPFを溶解した電解液が好ましい。
電解液は、例えば上記有機溶媒と電解質とを、それぞれ単独で又は二種類以上組み合わせて調製し、用いられる。
また、前記電解液には、必要に応じてSolid Electrolyte Interface (SEI)層形成剤としてビニレンカーボネートなどを電解液全体の0.1〜3.0質量%含んでもよい。
[リチウム電池の製造方法]
前記リチウム電池の製造方法については特に制約はないが、いずれも公知の方法を利用できる。
例えば、まず、正極と負極との2つの電極を、ポリエチレン微多孔膜からなるセパレータを介して捲回する。
得られたスパイラル状の捲回群を電池缶に挿入し、予め負極の集電体に溶接しておいたタブ端子を電池缶底に溶接する。
得られた電池缶に電解液を注入し、さらに予め正極の集電体に溶接しておいたタブ端子を電池の蓋に溶接し、蓋を絶縁性のガスケットを介して電池缶の上部に配置し、蓋と電池缶とが接した部分をしめて密閉することによってリチウム電池を得ることができる。
リチウム電池は、特に限定されないが、ペーパー型電池、ボタン型電池、コイン型電池、積層型電池、円筒型電池などとして使用される。
次に実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれらにより制限されるものではない。
<実施例1>
FD羽根(ファウドラー翼、約300回転/分)、温調コントロール棒、Nバブラーを備える4リットルフラスコに、水(2100g)を導入し、初期反応温度である45℃まで昇温した。昇温後、Nパージを停止し、開始剤であるKPS(過硫酸カリウム)を0.33g(0.299質量%/モノマー)投入した。KPS投入後、直に混合モノマー[2−シアノエチルアクリレート(25.2g(22.6質量%))、2−エチルヘキシルアクリレート(27.5g(27.5質量%))、アクリロニトリル(17.5g(15.7質量%))、ブチルアクリレート(41.2g(36.9質量%))、ペンタエリスリトールトリアクリレート(0.2g(0.18質量%))]を2時間かけて投入した(モノマー:水=1:19質量比)。その後、45℃で1時間攪拌の後、80℃に昇温した。そして、80℃で1時間攪拌を行い、反応を終了した。常温(25℃)まで冷却後、濾過を実施しバインダ樹脂を得た。
<実施例2>
FD羽根、温調コントロール棒、Nバブラーを備える4リットルフラスコに、水(1954.8g)を導入し、初期反応温度である45℃まで昇温した。昇温後、Nパージを停止し、開始剤であるKPSを0.65g(0.299質量%/モノマー)投入した。KPS投入後、直に混合モノマー[2−シアノエチルアクリレート(50.4g(22.6質量%))、2−エチルヘキシルアクリレート(55.0g(27.5質量%))、アクリロニトリル(35.0g(15.7質量%))、ブチルアクリレート(82.3g(36.9質量%))、ペンタエリスリトールトリアクリレート(0.4g(0.18重量%))]を2時間かけて投入した(モノマー:水=1:9質量比)。その後、45℃で1時間攪拌の後、80℃に昇温した。そして、80℃で1時間攪拌を行い、反応を終了した。常温まで冷却後、濾過を実施しバインダ樹脂を得た。
<比較例1>
FD羽根、温調コントロール棒、Nバブラーを備える4リットルフラスコに、水(1666.8g)を導入し、初期反応温度である65℃まで昇温した。昇温後、Nパージを停止し、開始剤であるKPSを1.33g(0.299質量%/モノマー)投入した。KPS投入後、直に混合モノマー[2−シアノエチルアクリレート(100.8g(22.6質量%))、2−エチルヘキシルアクリレート(109.8g(27.5質量%))、アクリロニトリル(70.1g(15.7質量%))、ブチルアクリレート(164.4g(36.9質量%))、ペンタエリスリトールトリアクリレート(0.8g(0.18質量%))]を2時間かけて投入した(モノマー:水=1:4質量比)。その後、65℃で1時間攪拌の後、80℃に昇温した。そして、80℃で1時間攪拌を行い、反応を終了した。常温まで冷却後、濾過を実施しバインダ樹脂を得た。
<比較例2>
FD羽根、温調コントロール棒、Nバブラーを備える4リットルフラスコに、水(1666.8g)を導入し、初期反応温度である65℃まで昇温した。昇温後、Nパージを停止し、開始剤であるKPSを4.45g(0.998質量%/モノマー)投入した。KPS投入後、直に混合モノマー[2−シアノエチルアクリレート(100.8g(22.6質量%))、2−エチルヘキシルアクリレート(109.8g(27.5質量%))、アクリロニトリル(70.1g(15.7質量%))、ブチルアクリレート(164.4g(36.9質量%))、ペンタエリスリトールトリアクリレート(0.8g(0.18質量%))]を2時間かけて投入した(モノマー:水=1:4質量比)。その後、65℃で1時間攪拌の後、80℃に昇温した。そして、80℃で1時間攪拌を行い、反応を終了した。常温まで冷却後、濾過を実施しバインダ樹脂を得た。
(pH測定)
実施例1〜2及び比較例1〜2で合成した重合液のpHを下記により測定した。
使用機器:TWIN pH(pHメータ)
メーカ:アズワン株式会社
型番:AS−211
pHの測定結果を、表1に示した。
(粒径測定)
使用機器:粒度分布計
メーカ:BECKMAN COULTER(ベックマンコールター社)
型番:LS13320(レーザ回折・散乱法粒度分布測定装置)
分散媒:HO−D
サンプル屈折率:1.57rt780d
粒径測定結果を、表1に示した。
(負極電極作製)
黒鉛系負極材(日立化成株式会社製、商品名:MAG)95質量部、実施例1で得られたバインダ樹脂材料(不揮発分4.2質量%)71.4質量部(不揮発分換算3質量%)、カルボキシメチルセルロース(ダイセル化学工業株式会社製、商品名CMCダイセル2200)水溶液(不揮発分1.5質量%)66.7質量部(不揮発分換算1質量%)及び導電助剤(電気化学工業株式会社製HS−100)1質量部を混合し、更に粘度調整のために水を加えて合剤スラリー(不揮発分48質量%)を作製した。
同様の方法で実施例2、比較例1〜2のバインダ樹脂を用いて、それぞれ合剤スラリーを作製した。
(密着性測定)
圧延銅箔(集電体)厚さ10μmへ上記で得た合剤スラリーを乾燥後の電極層の厚みが75〜80μm(合剤層の乾燥質量67.5〜72.0g/m)になるように塗工機のギャップを調整し、均一に塗布したのち、80℃に設定した送風型乾燥機で1時間、更に120℃で5時間乾燥してシート状の負極電極を作製した。
実施例1〜2及び比較例1〜2で作製した負極電極をそれぞれ幅10mm、長さ100mmの短冊状に切り出し、両面テープを用いてガラス板に合剤層面を被着面として張り合わせ、密着性測定用サンプルとした。剥離試験機(株式会社島津製作所製SHIMAZU EZ−S)に密着性測定用サンプルを装着し、180度ピールに於けるピール強度を測定した。
密着性は、30N/mを超えたものを「○」、20〜30N/mを「△」、20N/m未満を「×」として評価し、密着性測定結果を表1に示した。
(正極電極作製)
正極活物質(LiCoO)88質量部及び導電助剤(HS−100)6質量部に、バインダ樹脂(PVDF、12質量%、NMP(N−メチルピロリドン)溶液)25質量部を加え、更に粘度調整のためにNMPを加えて混合し、正極用電極合剤スラリー(不揮発分67質量%)を作製した。これを上記の負極電極と同様の工程で、集電体(アルミ箔、厚み21μm)へ電極合剤層(集電体を含めない)の塗布量が220〜226g/mになるように塗工機のギャップを調節して均一に塗布した後、100℃に設定した送風型乾燥機で1時間、更に真空120℃で1時間乾燥してシート状の正極電極を作製した。
(電極評価用コイン電池の作製)
作製した負極電極を、ロールプレス機で合剤層のかさ密度が1.5mg/cmとなるように圧縮成形後、直径1.6cmの円形に切断し、評価用負極電極を得た。直径2.0cmのステンレス製コイン外装容器に、直径1.4cmの円形に切断した正極電極、直径2.0cmの円形に切断した厚さ25μmのポリエチレン微多孔膜からなるセパレータ、先に直径1.6cmの円形に切断した負極電極、更にスペーサーとして直径1.6cmの円形に切断した厚さ200μmのステンレス板をこの順番に重ね合わせ、電解液(1MのLiPFを含むエチレンカーボネート/メチルエチルカーボネート=3/7混合溶液(体積比)にビニレンカーボネートをエチレンカーボネート/メチルエチルカーボネート混合溶液全量に対して0.5mol%添加したもの)を溢れない程度に数滴垂らし、ポリプロピレン製のパッキンを介して、ステンレス製のキャップを被せ、コイン電池作製用のかしめ器で密封して電極評価用コイン電池を作製した。
(サイクル特性の評価)
60℃で1Cの容量の定電流−定電圧で充電を行ったのち、1Cの定電流で0.01Cまで放電を続けた。これを150回繰り返した後の放電容量を測定した。この値を1サイクル目の放電容量に対する百分率で表しサイクル特性(放電容量維持率)を評価した。値が大きいほどサイクル特性に優れることを示す。
サイクル特性は、80%を超えたものを「○」、60〜80%を「△」、60%未満を「×」として評価し、サイクル特性の評価結果を表1に示した。
Figure 2015003998
実施例1、2は初期反応温度と水比により粒径を制御し、300〜400nmサイズの粒子を合成した。開始剤であるKPS(過硫酸カリウム)は少量しか用いていないため、アクリルポリマー粒子重合液のpHは中性である。そのため、実施例1、2では密着性やサイクル特性が良好であった。
比較例1では実施例1、2と比べ、反応温度を上げ、水比を下げたことで500nmの粒子が合成できた。しかし、粒径が大きすぎたため、密着が低下し、サイクル特性も低下した。
比較例2では比較例1の条件に対して、開始剤量を多くすることで粒径の制御を試みた(粒径を小さくさせる)。その結果、粒径は小さくなり実施例2と同程度になったが、開始剤量を増やしたことで、アクリルポリマー粒子重合液のpHは低くなり、サイクル特性は低下した。

Claims (4)

  1. (メタ)アクリロニトリル、一般式(I)で表される単量体、一般式(II)で表される単量体を含むモノマー及び水を用いて重合するアクリルポリマー粒子の製造方法であって、前記重合における初期反応温度を40℃以上、60℃以下とし、重合液のpHを6以上、8以下として重合するアクリルポリマー粒子の製造方法。
    Figure 2015003998
    Figure 2015003998
    (一般式(I)、(II)中、Rは水素原子又はメチル基を示し、Rは炭素数1〜10のアルキレン基、−(CHCH−O)−CHCH−(ここでnは2〜10の整数を示す)、又は−(R−O−CHCH)−(ここでRは炭素数1〜10のアルキレン基を示す)を示し、Rは炭素数3〜20のアルキル基、又は炭素数5〜20のヒドロキシアルキル基を示す。)
  2. 前記モノマーと前記水の質量比が1:4〜1:25である請求項1に記載のアクリルポリマー粒子の製造方法。
  3. 請求項1又は請求項2に記載のアクリルポリマー粒子の製造方法で得られる粒径が500nm以下であるアクリルポリマー粒子。
  4. 請求項3に記載のアクリルポリマー粒子をエネルギーデバイス電極用バインダ樹脂として用いるアクリルポリマー粒子。
JP2013130312A 2013-06-21 2013-06-21 アクリルポリマー粒子の製造方法及びそれにより得られるアクリルポリマー粒子 Pending JP2015003998A (ja)

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