JP2015001420A - ジャイロセンサー素子、ジャイロ装置、電子機器および移動体 - Google Patents
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(実施形態)
図1は、実施形態に係るジャイロセンサー素子1の概略構成を示す模式平面図である。図2は、図1におけるA−A線での断面図である。ここで、図1、図2、および後述する図3、図6、図7では、説明の便宜上、互いに直交する3軸として、X軸、Y軸およびZ軸を図示しており、その図示した矢印の先端側を「+側」、基端側を「−側」としている。また、以下では、X軸に平行な方向を「X軸方向」と言い、Y軸に平行な方向を「Y軸方向」と言い、Z軸に平行な方向を「Z軸方向」と言う。
まず、実施形態に係るジャイロセンサー素子の概略構成について、図1と図2とを用いて説明する。
振動腕30の主面11上には、Y軸方向を長辺とする矩形状の一対の第1積層体70,80が設けられている。そして、一対の第1積層体70,80の間には、Y軸方向を長辺とする第2積層体90が設けられている。
第1積層体70と第1積層体80とは、振動腕30の主面11上の中心線C2に対して、互いに略線対称形状に設けられ、第2積層体90は、振動腕30の主面11上の中心線C2に対して、+X側と−X側とが互いに略線対称に設けられている。
第1積層体50は、振動腕20の主面11の上面より、第1電極層51、第1圧電層52、第2電極層53、第2圧電層54、第3電極層55の順に積層され、第1電極層51、第1圧電層52および第2電極層53で構成される駆動部102が設けられている。
第2積層体60は、振動腕20の主面11の上面より、第1電極層61、第1圧電層62、第2電極層63、第2圧電層64、第3電極層65の順に積層され、第2電極層63、第2圧電層64および第3電極層65で構成される検出部111が設けられている。
第1積層体80は、振動腕20の主面11の上面より、第1電極層81、第1圧電層82、第2電極層83、第2圧電層84、第3電極層85の順に積層され、第1電極層81、第1圧電層82および第2電極層83で構成される駆動部104が設けられている。
第2積層体90は、振動腕20の主面11の上面より、第1電極層91、第1圧電層92、第2電極層93、第2圧電層94、第3電極層95の順に積層され、第2電極層93、第2圧電層94および第3電極層95で構成される検出部112が設けられている。
第1圧電層42,52,62,72,82,92には、圧電歪定数(絶対値)の大きい圧電材料として知られているPZTが用いられ、第2圧電層44,54,64,74,84,94には、ZnO(酸化亜鉛)が用いられている。
なお、本実施形態では、第1圧電層42,52,62,72,82,92にPZT、第2圧電層44,54,64,74,84,94にZnOを用いるものとして説明したが、これらの圧電材料に限定されるものではない。
本実施形態では、第1積層体40,50,70,80および第2積層体60,90は、主面11上に設けられ、主面11の反対側にあたる裏面12には設けられていない。これにより、スパッタ法、フォトリゾグラフィー法やエッチング法などの一括処理を効率よく実施できる。
駆動部101,102,103,104の第1圧電層42,52,72,82は、−Z軸方向に分極処理され、第2電極層43,53,73,83は、グランドに接続されている。
第1積層体80の第1電極層81に−電位を印加すると、第1圧電層82はY軸方向に伸長し、第1電極層71に+電位を印加すると第1圧電層72はY軸方向に収縮する。よって、振動腕20はXY平面に沿って−X方向へ変位する。
したがって、第1圧電層42,82と第1圧電層52,72とに、位相が180度異なる交流電圧を印加すると、ジャイロセンサー素子1は、振動腕20と振動腕30とが、XY平面に沿って互いに逆方向へ変位する屈曲振動を繰り返す。
これにより、ジャイロセンサー素子1は、角速度に伴って生じるコリオリ力を受けやすくなる。
ジャイロセンサー素子1は、振動腕20,30が上述した屈曲振動をしている状態で、Y軸周りに角速度ωが加わると、振動腕20,30にコリオリ力が発生し、振動腕20,30が+Z軸方向(図1の紙面手前側)と−Z軸方向(図1の紙面奥側)へ変位する。
検出部111の第2圧電層64は、−Z軸方向に分極処理されている。振動腕20が+Z軸方向へ変位すると、Y軸方向を長辺とする矩形状の第2圧電層64は、Y軸方向に収縮し、Z軸方向に伸長する。すると、圧電効果により、第3電極層65に−電荷が発生する。
検出部112の第2圧電層94は、−Z軸方向に分極処理されている。振動腕30が−Z軸方向へ変位すると、Y軸方向を長辺とする矩形状の第2圧電層94は、Y軸方向に伸長し、Z軸方向に収縮する。すると、圧電効果により、第3電極層95に+電荷が発生する。
ジャイロセンサー素子の検出部111,112を構成する第2圧電層64,94の材料に、駆動部101,102,103,104を構成する第1圧電層42,52,72,82と同じPZTを用いると、PZTは他の圧電材料と比較して大きな誘電率を有しているため、検出部111,112に多くの電荷(静電容量)を帯電してしまうため、微少な電荷の変化を検出し難い。そこで、本実施形態では、第2圧電層64,94の材料として、PZTに比べ誘電率の小さいZnOを用いている。これにより、検出部111,112の静電容量を減らせるため、角速度ωが加わった時に生じる微少な電荷の変化を精度良く検出することができる。
なお、検出部111,112を構成する第2積層体60,90は、振動腕20,30の主面11上の中心線C1またはC2に対して、+X側と−X側とが互いに略線対称に設けられている。このため、検出部111,112は、振動腕20,30がXY面に沿って屈曲振動することによって発生する電荷を検出部111,112内で相殺し、Z軸方向の振動により発生した電荷を検出する。
本実施形態のジャイロセンサー素子1は、一対の振動腕20,30を有する音叉型ジャイロである。振動腕20,30の上に設けられた駆動部101,102,103,104を構成する第1圧電層42,52,72,82には、PZTが用いられ、検出部111,112を構成する第2圧電層64,94には、ZnOが用いられている。PZTは、ZnOより大きい圧電歪定数を有し、ZnOは、PZTより小さい誘電率を有している。したがって、駆動部101,102,103,104の第1圧電層42,52,72,82に、検出部111,112の第2圧電層64,94より圧電歪定数の大きいPZTを用いることで、振動腕20,30に振幅の大きい屈曲振動をさせることができる。また、検出部111,112の第2圧電層64,94に、駆動部101,102,103,104の第1圧電層42,52,72,82より誘電率の小さいZnOを用いることで、検出部111,112に滞留する静電容量が小さくなるため、振動腕20,30に加わる角速度に応じて現れる電荷を精度良く検出することができる。これによって、振動腕20,30を効率よく屈曲振動させると共に、角速度ωが加わった時に生じる微少な電荷の変化を精度良く検出することが可能なジャイロセンサー素子を提供することができる。
変形例1では、振動腕上に形成された第1積層体に、駆動部による振動に起因して振動腕に生ずる、第1の面と交差する方向の振動と逆位相の振動を振動腕に生じさせる補正部が設けられている。
図3は、変形例1に係る図1におけるA−A線での断面図である。
上記実施形態では、図2のように、第1積層体40,50,70,80に駆動部101,102,103,104を設けるものとして説明したが、この構成に限定するものではない。
以下、変形例1に係るジャイロセンサー素子1について図1および図3を用いて説明する。なお、実施形態と同一の構成部位については、同一の番号を附し、重複する説明は省略する。
第1積層体50には、第2電極層53、第2圧電層54および第3電極層55で構成される補正部122が設けられている。
第1積層体70には、第2電極層73、第2圧電層74および第3電極層75で構成される補正部123が設けられている。
第1積層体80には、第2電極層83、第2圧電層84および第3電極層85で構成される補正部124が設けられている。
補正部121,122の第2圧電層44,54は、−Z軸方向に分極処理されており、第3電極層45,55に−電位を印加すると、逆圧電効果により、Y軸方向を長辺とする矩形状の第2圧電層44,54は、Z軸方向に伸長し、Y軸方向に収縮する。これにより、振動腕20は、−Z軸方向に変位するため、漏れ振動により生じた+Z軸方向の変位を相殺することができる。したがって、補正部121,122に漏れ振動と逆位相の振動を生じさせる電圧を印加することで、漏れ振動を抑制することができる。
ジャイロセンサー素子1の第1積層体40,50,70,80には、補正部121,122,123,124が設けられており、検出部111,112で検知した漏れ振動と逆位相の振動を励起する電圧を補正部121,122,123,124に印加することで、振動腕20,30に生じた漏れ振動を制振することができるという効果がある。
変形例2では、振動腕上に形成された第1積層体に、振動腕の振動を検出し振幅に応じた電荷を出力するモニター部が設けられている。
図7は、変形例2に係る図1におけるA−A線での断面図である。
以下、変形例2に係るジャイロセンサー素子1について図7を用いて説明する。
第1積層体70には、第2電極層73、第2圧電層74および第3電極層75で構成されるモニター部133が設けられている。
図8は、本変形例2に係る駆動回路400の構成を表すブロック図である。
ジャイロセンサー素子1の振動腕20,30を駆動するための駆動回路400は、I−Vアンプ420、AGC回路440および駆動アンプ460を含んで構成されている。
ジャイロセンサー素子1の第1積層体50,70には、モニター部132,133が設けられており、振動腕20,30の屈曲振動で第2圧電層54,74に生じる歪により現れる電荷を増幅して、駆動部101,102,103,104に電圧を印加する駆動回路400にモニター電圧として印加することができるため、振動腕20,30に安定した屈曲振動をさせることができるという効果がある。
次に、本発明のジャイロセンサー素子1を適応したジャイロ装置について説明する。図9は、本発明のジャイロセンサー素子1を備えるジャイロ装置500の概略を示した断面図である。
次に、本発明の実施形態に係るジャイロセンサー素子1、またはジャイロ装置500を備えた電子機器について図10から図12を用いて説明する。なお、説明では、ジャイロセンサー素子1を用いた例を示している。
デジタルスチルカメラ1300におけるケース(ボディー)1302の背面には、表示部1000が設けられ、CCDによる撮像信号に基づいて表示を行う構成になっており、表示部1000は、被写体を電子画像として表示するファインダーとして機能する。また、ケース1302の正面側(図中裏面側)には、光学レンズ(撮像光学系)やCCD等を含む受光ユニット1304が設けられている。
撮影者が表示部1000に表示された被写体像を確認し、シャッターボタン1306を押下すると、その時点におけるCCDの撮像信号が、メモリー1308に転送・格納される。また、このデジタルスチルカメラ1300においては、ケース1302の側面に、ビデオ信号出力端子1312と、データ通信用の入出力端子1314とが設けられている。そして、図示されるように、ビデオ信号出力端子1312にはテレビモニター1430が、データ通信用の入出力端子1314にはパーソナルコンピューター1440が、それぞれ必要に応じて接続される。さらに、所定の操作により、メモリー1308に格納された撮像信号が、テレビモニター1430や、パーソナルコンピューター1440に出力される構成になっている。このようなデジタルスチルカメラ1300には、角速度センサー等としてジャイロセンサー素子1が内蔵されている。
図13は移動体の一例としての自動車を概略的に示す斜視図である。自動車1500には本発明に係るジャイロセンサー素子1が搭載されている。例えば、同図に示すように、移動体としての自動車1500には、ジャイロセンサー素子1を内蔵してタイヤなどを制御する電子制御ユニット1510が車体に搭載されている。また、ジャイロセンサー素子1は、他にもキーレスエントリー、イモビライザー、カーナビゲーションシステム、カーエアコン、アンチロックブレーキシステム(ABS)、エアバック、タイヤ・プレッシャー・モニタリング・システム(TPMS:Tire Pressure Monitoring System)、エンジンコントロール、ハイブリッド自動車や電気自動車の電池モニター、車体姿勢制御システム、等の電子制御ユニット(ECU:Electronic Control Unit)に広く適用できる。
Claims (8)
- 振動腕と、
前記振動腕の一面上に設けられている第1積層体および第2積層体と、を有し、
前記第1積層体および前記第2積層体は、第1電極層、第2電極層、第3電極層、前記第1電極層と前記第2電極層との間に設けられている第1圧電層および前記第2電極層と前記第3電極層との間に設けられている第2圧電層、を含み、
前記第1積層体は、前記第1積層体に設けられている前記第1電極層、前記第1圧電層および前記第2電極層を含む駆動部を有し、前記駆動部は、前記振動腕を第1の方向に屈曲振動させ、
前記第2積層体は、前記第2積層体に設けられている前記第2電極層、前記第2圧電層および前記第3電極層を含む検出部を有し、前記検出部は、前記振動腕が前記第1の方向と交差する方向へ振動したことを検出し、
前記第1圧電層の圧電歪定数は、前記第2圧電層の圧電歪定数より大きく、
前記第2圧電層の誘電率は、前記第1圧電層の誘電率より小さいことを特徴とするジャイロセンサー素子。 - 前記第1積層体および前記第2積層体は、前記振動腕の前記一面上より、前記第1電極層、前記第1圧電層、前記第2電極層、前記第2圧電層、前記第3電極層、の順に積層されていることを特徴とする請求項1に記載のジャイロセンサー素子。
- 前記第1積層体は、一対で設けられており、
前記第2積層体は、一対の前記第1積層体の間に設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載のジャイロセンサー素子。 - 前記第1積層体は、前記第1積層体に設けられている前記第2電極層、前記第3電極層および前記第2圧電層を含む補正部を有し、前記補正部は、前記駆動部による屈曲振動によって前記振動腕に生ずる前記第1の方向と交差する方向の振動と逆位相の振動を前記振動腕に生じさせることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のジャイロセンサー素子。
- 前記第1積層体は、前記第1積層体に設けられている前記第2電極層、前記第3電極層および前記第2圧電層を含むモニター部を有し、前記モニター部は、前記振動腕の振動を検出し振幅に応じた電荷を出力することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のジャイロセンサー素子。
- 請求項1から5のいずれか1項に記載のジャイロセンサー素子と、
前記ジャイロセンサー素子を駆動する駆動回路と、
前記ジャイロセンサー素子に加わった角速度に応じた信号を出力する検出回路と、を備えていることを特徴とするジャイロ装置。 - 請求項1から5のいずれか1項に記載のジャイロセンサー素子を備えていることを特徴とする電子機器。
- 請求項1から5のいずれか1項に記載のジャイロセンサー素子を備えていることを特徴とする移動体。
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