JPH1089969A - 圧電振動角速度計 - Google Patents

圧電振動角速度計

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JPH1089969A
JPH1089969A JP8248004A JP24800496A JPH1089969A JP H1089969 A JPH1089969 A JP H1089969A JP 8248004 A JP8248004 A JP 8248004A JP 24800496 A JP24800496 A JP 24800496A JP H1089969 A JPH1089969 A JP H1089969A
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electrode
excited
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JP8248004A
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Yoshitaka Sango
貴敬 三五
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 製造が容易で、なおかつ外部環境の影響を受
けにくく誤差の発生しにくい、安価で小型の圧電振動角
速度計を提供することを目的とする。 【解決手段】 直方体状の圧電体と、この圧電体の回転
軸方向に伸びた側面のうち上下方向に相対する2側面に
のみ形成された複数の電極とを有した振動子が用いられ
る。そして、複数の電極のうち少なくとも2つの電極間
に接続される自励振駆動回路と、複数の電極のうち、上
下いずれか一の側面に形成された2つの電極間からの出
力差を検出する差動回路と、自励振駆動回路から差動回
路の出力と同一位相のスイッチング信号を生成する位相
調整回路と、差動回路からの出力信号をスイッチング信
号に同期して検波する同期検波回路と、同期検波回路の
出力を平滑化する平滑回路からなる処理回路を有して構
成されている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は圧電振動角速度計、
いわゆる振動ジャイロに関し、特に直方体状に形成され
た圧電体を使用した圧電振動角速度計の出力を処理する
ための角速度検出回路に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、圧電振動角速度計は種々の形
が製造されている。例えば、直方体状の振動体(金属導
体)の4側面に圧電素子を接着させた音片型振動角速度
計(GEタイプ)、三角柱状にしたもの、或いは、4枚
の圧電セラミックスバイモルフを2枚ずつ互いに直交す
るように重ねて音叉形状としたもの(ワトソンタイプ)
等がある。しかしながら、これらの振動角速度計は安価
に大量に振動子を生産すること及び小型化することに問
題があった。
【0003】本発明で使用する振動子は、直方体状の圧
電体の回転中心軸方向に伸びた側面のうち、上下方向に
相対する2側面(いずれを上下としてもよい)に2次元
的に電極を構成しており、本願出願人が既に特許出願
(特願平6−207082)をしている「圧電振動角速
度計及びその製造方法」に詳しく記載されている。この
振動子は電極パターンが形成された同じ大きさの圧電体
2枚を接合し、この後切断することにより一度に大量に
バイモルフ型の振動子を作製することができ、また、極
めて小型のバイモルフ型振動子を再現性良く作製するこ
とができる利点を有するものである。
【0004】第6図に、このような小型バイモルフ型振
動子(直方体状の圧電体からなる振動子100)を用い
て従来実施されていた圧電振動角速度計の構成図を示
す。振動子100は駆動用の圧電体100−1と検出用
の圧電体100−2と、前記二つの圧電体100−1,
100−2の間に形成されたアース電極101と、駆動
用の圧電体100−1の外部側面に形成された励振用電
極102と、検出用の圧電体100−2の外部側面に左
右2つに分割されて形成された検出用電極103R,1
03Lとから構成されている。
【0005】駆動用の圧電体100−1の外部側面に形
成された励振用電極102に前記圧電体100−1を駆
動するための励振信号発生回路300が接続され、また
検出用圧電体100−2の外部側面に形成された2つの
検出用電極103R、103Lはそれぞれ差動増幅器2
00の反転、非反転入力に接続され、差動増幅器200
によって2つの検出用電極103R、103Lからの出
力信号の差が検出される。
【0006】振動子100は、励振信号発生回路300
により圧電体100−1の機械的な共振周波数の交流電
圧(励振信号)がアース電極101と励振用電極102
の間に印加されることにより、励振方向(振動子の上下
方向)に励振(屈曲)させられる。この振動に伴い、検
出用の圧電体100−2の外部側面に形成された検出用
電極103R、103Lから前記共振周波数の励振信号
が検出されるが、このときの励振信号は図7(a)に示
すように検出用電極103R,103Lにおいて、振
幅、位相ともに同一であり、従って、原理的に差動増幅
器200の出力は0となる。
【0007】振動子100が回転中心軸1を中心に回転
すると、振動子100の励振方向及び回転中心軸1の方
向とは直角の方向(左右方向という)にコリオリの力F
cが加わり、圧電体100−2は上下方向から左右の方
向に少しずれて振動することになる。このずれた分が図
7(b)に示すようなコリオリ信号と励振信号の合成信
号として、検出用電極103R、103Lから検出され
る。
【0008】ところで、振動子100の質量をm、上下
振動の速度(励振速度という)V、回転の角速度Ωとす
ると、コリオリの力Fcは2m[V×Ω]で表されるか
ら、回転角速度Ωが一定の場合は上下方向の励振速度V
に比例することになる。この上下振動が一定角速度の正
弦波で行われる場合にはその励振速度Vは余弦波とな
り、従ってコリオリ力も余弦波で変化することになる。
言い換えれば振動子100は左右方向にも上下振動と同
一周波数で振動することになるが、その振動は上下振動
に比べて90度の位相差をもった振動となっている。
【0009】また、圧電体100−2が左右方向に振動
する場合、一方の検出用電極側(例えば103R側)に
圧縮応力が働くとき、他方の検出用電極側(この場合は
103L側)には引張応力が働くことになり、二つの電
極間103L、103Rで常に応力の符号が異なること
になる。従って、コリオリ力に起因する圧電信号(コリ
オリ信号という)は二つの電極間で位相が全く逆極性と
なるため、左右の検出用電極103R、103Lから検
出されるコリオリ信号は励振電圧と同一周波数で90度
の位相差をもった交流電圧となる。
【0010】すなわち、図7(b)の(1)、(2)に示す
ように、例えば右側の検出用電極103Rからのコリオ
リ信号が励振電圧に比べて90度進んでいるときには、
左側の検出用電極103Lからのコリオリ信号は同じ励
振電圧と比べて90度遅れることになり、この二つの検
出用電極からの出力を差動増幅器200に入力すれば原
理的には励振信号は互いに打ち消し合い、2倍された互
いに逆相のコリオリ信号だけが検出されることになる。
よって、回転の角速度Ωが一定の場合には、差動増幅器
200の出力はコリオリ信号が励振信号に対して90度
の位相差をもって回転角速度Ωに比例した振幅で出力さ
れる。
【0011】また、回転の角速度Ωが一定ではなく変化
する場合(励振信号よりも低い周波数で変化する場合)
には、差動増幅器200の出力には、励振信号の周波数
(振動子の機械的共振周波数)の交流コリオリ信号が前
記励振信号より低い周波数で位相及び振幅変調され、回
転の角速度Ωに比例した振幅を有して出力される。従っ
て、図6に示す圧電振動角速度計によって、振動子10
0の回転中心軸1のまわりの回転の角速度Ωを測定する
ことができる。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、一般的
に回転角速度計においては、出力から回転角速度への換
算を容易にするため、一定の角速度が加わったときには
回転角速度計の出力は直流信号であることが望ましい。
また、回転角速度が一定ではなく、低い周波数で変化し
た場合も回転角速度計の出力はその低い周波数と同一の
周波数の信号が出力されることが望ましい。ところが、
図6に示すような従来の回路では回転時の差動増幅器2
00の出力は励振信号の周波数(機械的共振周波数)の
交流信号であるため、その出力のままでは角速度への換
算が困難である。そのため、回転時の差動増幅器200
の出力を直流化するためA/D変換等を行って回転時の
変化分を読み取る必要があったが、このようなディジタ
ル的な処理を施すとコスト増加はやむを得なかった。
【0013】また、振動体を構成する圧電体の静電容量
は経時変化や外部環境(例えば温度等)の変化によって
変化するため、振動子100が無回転の場合においても
差動増幅器200の出力が生じてしまい、これが誤差と
なって正確な角速度の検出を妨げることにもなる(図7
(c)参照)。本発明はこのような問題に鑑みてなされ
たものであり、製造が容易で、なおかつ外部環境の影響
を受けにくく誤差の発生しにくい、安価で小型の圧電振
動角速度計を提供することを目的としたものである。
【0014】
【課題を解決するための手段】以上の目的を達成するた
め、本発明に係る第1の圧電振動角速度計では直方体状
の圧電体と、この圧電体の回転軸方向に伸びた側面のう
ち、上下方向に相対する側面に形成された複数の電極と
を有した振動子が用いられている。そして、この振動子
を自励振駆動させるために、複数の電極のうち少なくと
も2つの電極間に接続される自励振駆動回路と、複数の
電極のうち、上下いずれか一の側面に形成された二つの
電極間からの出力差を検出する差動回路と、自励振駆動
回路から差動回路の出力と同一位相のスイッチング信号
を生成する位相調整回路と、差動回路からの出力をスイ
ッチング信号に同期して検波する同期検波回路と、同期
検波回路の出力を平滑化する平滑回路からなる処理回路
を有して構成されている。
【0015】本発明に係る第2の圧電振動角速度計では
直方体状の圧電体と、この圧電体の回転軸方向に伸びた
側面のうち、上下方向に相対する側面の一方に形成され
た自励振用電極と、他方の側面において回転中心軸方向
に伸びかつ左右に分割されて形成された検出用分割電極
と、この二つの検出用分割電極が形成された側面の中央
において前記検出用分割電極と平行に伸びて形成された
帰還用電極とを有した振動子が用いられている。そし
て、出力の処理回路において、前記第1の圧電振動角速
度計のおける自励振駆動回路を自励振用電極と帰還用電
極との間に接続し、二つの検出用電極に差動回路を接続
して構成されている。
【0016】本発明に係る第3の圧電振動角速度計で
は、第2の圧電振動角速度計における直方体状の圧電体
が、回転軸方向に垂直な平面内において上下方向に第1
圧電体と第2圧電体に分割され、第1圧電体と第2圧電
体の間にアース電極が形成された振動子が用いられて構
成されている。特に、自励振駆動回路は複数の電極のう
ちいずれか一つの電極若しくは自励振用電極と前記アー
ス電極との間に接続されて構成されている。
【0017】このように構成された圧電振動角速度計で
は、自励振駆動回路により圧電体(第3の圧電振動角速
度計では第1圧電体)に交流電圧がかけられることによ
り圧電体が励振され交流電圧による電界方向に屈曲運動
を行う。この状態で回転角速度が加わるとコリオリ力が
励振方向とは直角の方向に発生する。このコリオリ力に
よる圧電体の振動を検出用電極より電気信号として取り
出し、さらに差動回路によって電気信号から同相の自励
振駆動信号を取り除き、互いに逆位相のコリオリ信号の
みを分離して取り出す。
【0018】この差動出力後のコリオリ信号は励振信号
とは同一周波数でかつ90度位相差のある交流信号であ
り、同期検波回路のスイッチング信号を差動後のコリオ
リ信号に同期させることでコリオリ信号を効率よく検波
できる。特に、振動体を圧電材料で構成する本願発明に
係る圧電振動角速度計では、経年変化や外部環境の変化
(温度変化等)のため、無回転時において差動回路出力
に誤差出力が生じたとしても、この誤差信号は励振信号
と同位相の信号であり、差動後のコリオリ信号はその誤
差に対して90度の位相差をもって出力される。従っ
て、この誤差出力は検波回路において正の部分と負の部
分が対称になるように検波される。検波されたコリオリ
信号は平滑回路により直流の差動信号に変換される。こ
のとき、誤差出力は平滑回路において相殺され直流的に
は0となる。
【0019】振動体に金属材料を使用し、その表面に圧
電素子を貼付する従来の振動型角速度計では検出用圧電
素子に左右別々の圧電素子を使用しており、これらが経
年変化等で劣化した場合には応答性(周波数特性)も悪
くなり、無回転時に発生する誤差信号の位相をコリオリ
信号に対して90度に維持できなくなる可能性もある。
従って、検波後の信号を単に平滑回路で平滑化しただけ
では誤差を完全に打ち消し合うことができなくなるし、
逆に無回転時の誤差を打ち消し合わせるためには新たな
位相補正回路が必要となったりする。
【0020】本願発明のような構成にすれば、安価にか
つ小型に大量生産された振動子を用いて正確な角速度の
検出が可能な圧電振動角速度計を製作することができ
る。また、ディジタル処理を介さずにアナログ処理のみ
でコリオリ信号を直流のコリオリ信号に変換でき、しか
も外部環境の変化や経時変化による誤差も簡単な回路で
容易に少なくすることができる。
【0021】
【発明の実施の形態】以下、図面を用いて本発明の実施
の形態を説明する。第1図は本発明の最適な実施例に使
用する振動子の基本構成を示すものである。圧電材料か
らなる振動子10は全体としてほぼ直方体状をしてお
り、回転中心軸1の方向に長尺状に形成されている。振
動子10は励振方向(v方向)に対して圧電材料の2層
積層構造とされ、両者の結合面には全面的に広がるアー
ス電極14が形成されている。すなわち、圧電材料から
なる直方体(圧電体)を電極面同士を接合して作製して
いる。
【0022】駆動用となる圧電体10−1にはアース電
極14と相対向する外部側面に自励振用電極11が全面
的に形成されており、検出用となる圧電体10−2には
アース電極14と相対向する外部側面に帰還用電極12
と検出用分割電極13L、13Rが形成されている。検
出用分割電極13Lと13Rは振動子10の回転中心軸
1に対して左右対称にかつ回転中心軸1の方向に伸びて
形成されており、帰還用電極12は二つの検出用分割電
極13L、13Rの中央を検出用分割電極13L、13
Rと平行に伸びて形成されている。なお、振動子10の
回転中心軸1方向に垂直な断面は、励振方向とコリオリ
力の生じる方向の共振周波数を合わせるため、ほぼ正方
形に形成されている。
【0023】図2は以上説明してきた振動子10を使用
した圧電振動角速度計の処理回路の構成図である。帰還
用電極12に自励振駆動回路30の入力端が接続され、
自励振用電極11に自励振駆動回路30の出力端が接続
されている。この自励振駆動回路30は振動子10を励
振し、機械的振動を与えるための交流駆動電圧を与える
回路であり、ゲインをかけるための反転増幅器31と不
要なスプリアス発振を防止するためのループフィルター
32を有して構成される。
【0024】この自励振駆動回路30は電源の投入によ
り発振条件を満足して、振動子10の機械的共振周波数
付近の交流信号を自ら発生させるが、帰還用電極12か
らの出力を自励振駆動回路30に帰還することにより簡
単な発振回路の構成で振動子10を共振周波数付近で駆
動することができるように構成してある。さらに振動子
10の断面を正方形としてコリオリ力の作用する方向の
共振周波数と励振方向の共振周波数を合わせてあるた
め、コリオリ力による振動も共振状態とすることができ
て検出感度を向上させることができる。
【0025】二つの検出用電極13Lと13Rは差動回
路20の入力端にそれぞれ接続される。差動回路20は
二つの検出用電極13L、13Rからの出力の差を検出
するものであり、一方の出力が差動回路20の反転入力
に入力された場合には他方の出力は差動回路20の非反
転回路に入力される。差動回路20の出力は同期検波回
路40に入力されて検波される。検波はコリオリ信号に
同期して行われるが、この同期信号として位相調整回路
50からのスイッチング信号が検波回路40に入力され
ている。位相調整回路50は自励振駆動回路30の励振
信号の位相を90度ずらし、コリオリ信号の位相に合わ
せて同期検波回路40のスイッチング信号を生成するた
めの回路である。そして、この同期検波回路40の出力
を平滑回路60に入力することにより、差動回路20の
交流出力を直流出力に変換し、振動子10の回転角速度
に比例したアナログ出力を得る。
【0026】以上のように構成された圧電振動角速度計
の作動原理を説明する。いま、振動子10に回転が加わ
っていない場合において自励振駆動回路30から振動子
10に正弦波電圧が印加されたとき、自励振用電極11
とアース電極14の間に交流電圧がかかり、両電極に挟
まれた駆動用圧電体10−1は逆圧電効果により印加電
圧の方向(回転中心軸1の方向と垂直の方向)に屈曲振
動する。この屈曲振動は検出用の圧電体10−2を含む
振動子10全体を屈曲振動させることになる。
【0027】仮に自励振用電極11が正の電圧になり駆
動用圧電体10−1が縮動して振動子10が検出用分割
電極13側に凸に屈曲した場合、検出用の圧電体10−
2は機械的に伸長し、帰還用電極12からは負の電圧が
帰還されることになる。検出用の圧電体10−2は屈曲
振動により全体が伸び縮みしているので、帰還用電極1
2及び検出用電極13からは機械的振動と同じ振動数の
交流電圧が検出され、しかもこれら電圧は原理的には同
相同電圧である。従って、差動回路20の出力は0とな
り、出力端2からは何ら出力は検出されない(図3
(a))。
【0028】振動子10がこのような機械的振動をして
いる状態で回転中心軸1のまわりに回転が加わるとコリ
オリ力が発生する。このコリオリ力は回転中心軸1の方
向及び励振方向とは互いに直角の方向に作用し、振動体
10を歪ませる。この歪みは電極が形成されていない振
動子10の左右側面に向かう方向に生じるので、例えば
振動子10の右側が伸びたときには左側が縮むことにな
り、二つの検出電極13Lと13Rから発生する電圧は
原理的に逆位相の同電圧信号となる。これはコリオリ力
により生ずるので以下コリオリ電圧(信号)と呼ぶ。
【0029】ところで、コリオリ力Fcは2m[V×
Ω]で表されるので角速度Ωが一定の場合にはコリオリ
力Fcは励振速度Vに比例する。この励振速度Vは振動
子10の変位の微分で表されることから、振動子10の
励振電圧が正弦波交流電圧で与えられるときはコリオリ
電圧は励振電圧と同一周波数で90度の位相差を有する
余弦波交流電圧として検出される。さらに、左右の検出
用電極13からのコリオリ電圧は前述したように互いに
逆位相であるので、例えば右側の検出用電極13Rから
のコリオリ電圧が励振電圧に比べて90度進み位相の場
合には左側の検出用電極13Lからのコリオリ電圧は励
振電圧に比べて90度遅れ位相となる。
【0030】振動子10には励振電圧による振動とコリ
オリ力による振動が同時に生じるため、振動子の振動方
向は励振電圧のかけられた方向からずれ、左右の検出用
電極13からはそれぞれのコリオリ電圧と励振電圧とが
重畳された形の交流電圧として検出される(図3(b)
の(1)(2))。この検出電圧はそれぞれ差動回路20の
反転入力、非反転入力に加えられて電圧差がとられてい
るので、差動後の出力には同相である励振電圧が互いに
打ち消されて、逆位相のコリオリ電圧だけが2倍されて
出力される(図3(b)の(3))。
【0031】この差動回路20の出力は回転角速度に比
例した振幅を有する交流信号であり、原理的にはこの信
号を検波して平滑化すれば角速度に比例した直流信号を
得ることができる。しかし、圧電体の静電容量等は外部
環境(特に温度)の変化や経時変化によって変化するた
め、振動子10の無回転時においても差動回路20の誤
差電圧が出力される場合がある(図3(c)の(3))。
このような場合にはこの誤差電圧がコリオリ電圧に加算
されて正確な角速度検出の妨げになる。
【0032】この誤差電圧は一般に励振信号(図3
(c)の(1)(2))と同相の信号であり、差動回路20
の出力である差動後コリオリ信号はこの誤差信号に対し
て90度の位相差をもって出力されるので、差動回路2
0の出力を同期検波回路40で検波する際に、差動後コ
リオリ信号に同期したスイッチング信号によって行え
ば、誤差信号は正の部分と負の部分が互いに対称になる
ように検波されることになる(図3(c)の(4))。な
お、スイッチング信号は自励振駆動回路30の励振信号
を位相調整回路50によって90度位相をずらすことに
よって得ることができる。
【0033】同期検波回路40の出力を平滑回路60に
入力することにより、誤差電圧信号は平滑回路60にて
相殺され、直流的に0となって打ち消される(図3
(c)の(5))。従って、差動出力後のコリオリ信号を
コリオリ信号に同期したスイッチング信号によって検波
し、平滑回路60により直流電圧に変換すれば、無回転
時に生じる誤差信号を含まない角速度に正確に比例して
変化する直流出力を出力端2から得ることができる。こ
のような回路構成とすれば、ディジタル処理を介さずア
ナログ処理のみで交流のコリオリ信号を直流のコリオリ
信号に変換でき、しかも外部環境の変化や経時変化によ
る誤差の影響もなくすことが容易となる。
【0034】なお、前述の実施例では帰還用電極12を
形成し帰還ループを形成して、簡単な回路構成で振動子
10を共振周波数付近で駆動できるようにするととも
に、ループフィルタ32により不要なスプリアス発振を
防止して、振動子10を単一周波数の励振モードで駆動
できるようにしているが、本発明はこのような帰還用電
極12を設けることなく、図4に示すように自励振駆動
回路30を直接、自励振用電極11とアース電極14と
の間に接続して二つの検出用電極13L,13Rから検
出することも可能である。また、図5に示すように、振
動子10を構成する圧電体を2層に分割して一方を駆動
用、他方を検出用とすることなく一体的に構成し、自励
振用電極11と2つの検出用電極13との間に自励振駆
動回路30を接続して検出用電極13を駆動用と検出用
の両方に兼用してもよい。
【0035】
【発明の効果】以上説明したように、本発明にかかる圧
電振動角速度計によれば、直方体状の圧電体の2側面
(この2側面と平行に形成された内部側面)にのみ電極
を有する振動子を使用して構成しているため、振動子自
体の製作が安価で量産が可能となり、かつ小型の圧電振
動角速度計とすることができる。さらに検出用電極から
のコリオリ出力電圧は励振信号、並びにこれに基づく誤
差信号と明確に90度の位相差があり、この位相差は圧
電体の静電容量の経時変化等によっても変化しないの
で、圧電体の静電容量の経時変化や外部環境の変化によ
る誤差をなくすことが容易であり、しかもディジタル処
理を施すことなくアナログ処理のみで交流のコリオリ信
号を直流のコリオリ信号に変換できるため、圧電振動角
速度計の処理回路を極めて簡単な構成とすることができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る圧電振動角速度計に用いられる振
動子の一構成例を示す図である。
【図2】本発明に係る圧電振動角速度計の構成図を示
す。
【図3】本発明に係る圧電角速度計の各部の検出波形を
示す。(a)は無回転時であり、(b)は回転時、
(c)は経時変化が生じたときのものである。
【図4】本発明に係る圧電振動角速度計の他の励振方法
を示す構成図である。
【図5】本発明に係る圧電振動角速度計のさらに他の励
振方法を示す構成図である。
【図6】従来の圧電振動角速度計の構成図である。
【図7】従来の圧電振動角速度計の各部の検出波形を示
す。(a)は無回転時であり、(b)は回転時、(c)
は経時変化が生じたときのものである。
【符号の説明】
1 回転中心軸 10 振動子 10−1 第1圧電体(駆動用圧電体) 10−2 第2圧電体(検出用圧電体) 11 自励振用電極 12 帰還用電極 13L 左検出用分割電極 13R 右検出用分割電極 20 差動回路 30 自励振駆動回路 40 同期検波回路 50 位相調整回路 60 平滑回路

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 直方体状の圧電体と、この圧電体の回転
    軸方向に伸びた側面のうち、上下方向に相対する側面に
    形成された複数の電極とを有して構成される振動子を励
    振し、この励振された状態において、前記振動子が回転
    した場合に発生するコリオリの力を検出することにより
    角速度を検出する圧電振動角速度計であって、 前記振動子を自励振駆動させるために、前記複数の電極
    のうち少なくとも2つの電極間に接続される自励振駆動
    回路と、 前記複数の電極のうち、上下いずれか一の側面に形成さ
    れた2つの電極間からの出力差を検出する差動回路と、 前記自励振駆動回路から前記差動回路の出力と同一位相
    のスイッチング信号を生成する位相調整回路と、 前記差動回路の出力を前記スイッチング信号に同期して
    検波するための同期検波回路と、 前記同期検波回路の出力を平滑化する平滑回路と、から
    なる圧電振動角速度計。
  2. 【請求項2】 直方体状の圧電体と、この圧電体の回転
    軸方向に伸びた側面のうち、上下方向に相対する側面の
    一方に形成された自励振用電極と、他方の側面において
    前記回転軸方向に伸びかつ左右方向に2つに分割されて
    形成された検出用分割電極と、この二つの検出用分割電
    極に挟まれて前記検出用分割電極と同一平面上、平行に
    伸びて形成された帰還用電極とを有して構成される振動
    子を励振し、この励振された状態において、前記振動子
    が回転した場合に発生するコリオリの力を検出すること
    により角速度を検出する圧電振動角速度計であって、 前記振動子を自励振駆動させるために、前記自励振用電
    極と前記帰還用電極の間に接続される自励振駆動回路と 二つの前記検出用分割電極からの出力の差を検出する差
    動回路と、 前記自励振駆動回路から前記差動回路の出力と同一位相
    のスイッチング信号を生成する位相調整回路と、 前記差動回路の出力信号を前記スイッチング信号に同期
    して検波するための同期検波回路と、 前記同期検波回路の出力信号を平滑化する平滑回路と、
    からなる圧電振動角速度計。
  3. 【請求項3】 前記直方体状の圧電体が、回転軸方向に
    垂直な平面内において上下方向に第1圧電体と第2圧電
    体に分割され、前記第1圧電体と前記第2圧電体の間に
    アース電極が形成されてなることを特徴とする請求項1
    又は請求項2に記載の圧電振動角速度計。
  4. 【請求項4】 前記自励振駆動回路が前記複数の電極の
    うちいずれか一つの電極若しくは前記自励振用電極とア
    ース電極との間に接続されてなることを特徴とする請求
    項3に記載の圧電振動角速度計。
JP8248004A 1996-09-19 1996-09-19 圧電振動角速度計 Pending JPH1089969A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008170165A (ja) * 2007-01-09 2008-07-24 Sony Corp 振動型ジャイロセンサ、制御回路及び電子機器
JP2015001420A (ja) * 2013-06-14 2015-01-05 セイコーエプソン株式会社 ジャイロセンサー素子、ジャイロ装置、電子機器および移動体

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