JP2016130646A - ジャイロ素子、ジャイロ素子の製造方法、ジャイロセンサー、電子機器および移動体 - Google Patents
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Abstract
【課題】優れた検出感度を有するジャイロ素子、そのジャイロ素子の製造方法、そのジャイロ素子を備えるジャイロセンサー、電子機器および移動体を提供する。【解決手段】本発明のジャイロ素子100は、基部10と、基部10から延出され、駆動振動する駆動用振動腕12a,12bと、基部10から延出され、駆動用振動腕12a,12bに加えられたコリオリ力に応じて電荷を出力する検出用電極42a〜45bを有する検出用振動腕14a,14bと、基部10から延出され、調整用電極62a〜65bを有する調整用振動腕16a,16bと、を備え、駆動用振動腕12a,12bにコリオリ力が加わっていないときに検出用電極42a〜45bから発生する電荷の極性により、調整用電極62a〜65bから検出用電極42a〜45bへの配線46a,46b,66a,66bの接続を変えている。【選択図】図1
Description
本発明は、ジャイロ素子、このジャイロ素子の製造方法、このジャイロ素子を備えたジャイロセンサー、電子機器および移動体に関する。
従来から、ジャイロセンサーは、船舶、航空機、ロケット等の姿勢を自律制御する技術に使用されているが、最近では、車両における車体制御、カーナビゲーションシステムの自車位置検出、デジタルカメラ、ビデオカメラおよび携帯電話の振動制御補正(いわゆる手振れ補正)等に用いられている。ジャイロセンサーは、高弾性材料としての水晶などの圧電性単結晶物からなるジャイロ素子により、物体の揺れや回転などの振動によってジャイロ素子の一部に発生する電気信号を角速度として検出し、回転角を算出することによって物体の変位を求めるものである。
ジャイロセンサーに用いられるジャイロ素子としては、水晶などの圧電体材料により形成されたジャイロ素子が広く用いられている。一般的に用いられているH型構造と呼ばれるジャイロ素子は、基部と、基部の一方の端部から並行して延出する一対の駆動用振動腕と、基部の他方の端部から駆動用振動腕の延出する方向と反対方向に並行して延出する一対の検出用振動腕と、を有している。ジャイロ素子に駆動信号を印加することにより駆動用振動腕を主面に沿った方向に振動(面内振動)させているときに、駆動用振動腕の延出する方向の軸まわりに回転させると、コリオリの力により駆動用振動腕が主面と直交する方向に振動(面外振動)する。この面外振動が基部を伝わり検出用振動腕を面外振動させることで、検出用振動腕に設けられた検出用電極に電荷が発生する。発生した電荷はジャイロ素子の回転速度に比例することから角速度として検出することができる。
上記のようなジャイロ素子の基部や振動腕は、圧電体材料、例えば水晶を、フォトリソグラフィーを用いてエッチング加工することにより一体に形成することができる。もともと、振動腕の断面形状は矩形状となるように設計されるが、水晶のエッチング異方性や加工プロセスのばらつきなどにより、矩形状とならずに、平行四辺形や菱形、あるいは、もっと複雑な不定形を呈する。このとき、振動腕の断面形状が、もともと設計されていた矩形状から大きくずれると、振動腕の振動方向が設計値からずれて、所謂漏れ出力という望まない振動漏れが発生し、ジャイロ素子の検出感度を劣化させる要因になる。このような漏れ出力を抑制する方法として、基部から駆動用振動腕の延出する方向に沿って並行して延出する一対の調整用振動腕を設けたジャイロ素子が、例えば、特許文献1に紹介されている。
特許文献1に記載のジャイロ素子は、調整用振動腕に設けられ、検出用電極と電気的に接続されている調整用振動腕の振動に伴って電荷を出力する一対の第1電極(調整用電極)と、第1電極とは逆極性となる電荷を出力する一対の第2電極(調整用電極)と、を備えており、検出用電極に発生する電荷量に、第1電極に発生する電荷と第2電極に発生する電荷との差分を加算することで、漏れ出力を抑制している。また、第1電極又は第2電極の一部又は全部を除去することにより、第1電極又は第2電極に発生する電荷量を小さくし、センサー出力(漏れ出力)を調整することができる。具体的には、ジャイロ素子にコリオリの力が加えられていない状態でのセンサー出力(漏れ出力)が所望の基準値(例えばゼロ)となるように、センサー出力(漏れ出力)を調整(補正)することができる。
しかしながら、特許文献1に記載のジャイロ素子は、一対の第1電極および一対の第2電極がともに1つの調整用振動腕の表裏の主面および両側面に設けられており、調整用振動腕の表裏の主面に設けられている第1電極と第2電極とは腕幅の略中央で調整用振動腕の延出方向に沿って分割されている。また、センサー出力(漏れ出力)の調整には、調整用振動腕の表裏の主面に設けられている第1電極又は第2電極の一部又は全部を除去している。そのため、ジャイロ素子の小型化を図ると、調整用振動腕の腕幅が狭くなってしまい第1電極および第2電極の面積が小さくなるので、センサー出力(漏れ出力)の調整量(調整幅)が小さくなってしまうという課題があった。
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態又は適用例として実現することが可能である。
[適用例1]本適用例に係るジャイロ素子は、基部と、前記基部から延出され、駆動振動する駆動用振動腕と、前記基部から延出され、前記駆動用振動腕に加えられたコリオリ力に応じて電荷を出力する検出用電極を有する検出用振動腕と、前記基部から延出され、調整用電極を有する調整用振動腕と、を備え、前記駆動用振動腕にコリオリ力が加わっていないときに前記検出用電極から発生する電荷の極性により、前記調整用電極から前記検出用電極への配線の接続を変えていることを特徴とする。
本適用例によれば、駆動用振動腕にコリオリ力が加わっていないときに検出用電極から発生する電荷(漏れ出力)の極性を測定し、その極性と逆の極性の電荷を発生する調整用電極と検出用電極とを接続することで、コリオリ力が加わっていないときに生じる検出用電極の電荷(漏れ出力)を逆極性の調整用電極の電荷で相殺することができるので、コリオリ力が加わっていないときに生じる検出用電極の電荷(漏れ出力)を低減することができ、高精度の検出特性を有するジャイロ素子を得ることができる。
[適用例2]本適用例に係るジャイロ素子の製造方法は、ジャイロ素子の製造方法であって、前記ジャイロ素子は、基部と、前記基部から延出され、駆動振動する駆動用振動腕と、前記基部から延出され、前記駆動用振動腕に加えられたコリオリ力に応じて電荷を出力する検出用電極を有する検出用振動腕と、前記基部から延出され、調整用電極を有する調整用振動腕と、を備えており、前記駆動用振動腕にコリオリ力が加わっていないときに前記検出用電極から発生する電荷の極性により、前記調整用電極から前記検出用電極への配線の接続を変えることは、前記配線の一部又は全部を除去することであることを特徴とする。
本適用例によれば、検出用電極と、互いに極性が異なる複数の調整用電極と、を接続している電極パターンを形成し、その後、駆動用振動腕にコリオリ力が加わっていないときに検出用電極から発生する電荷(漏れ出力)の極性を測定し、その極性と同じ極性の電荷を発生する調整用電極と検出用電極とを接続している配線を除去する。このことにより、検出用電極が逆の極性を有する調整用電極のみと接続されるため、コリオリ力が加わっていないときに生じる検出用電極の電荷(漏れ出力)を逆の極性を有する調整用電極の電荷で相殺することができる。そのため、コリオリ力が加わっていないときに生じる検出用電極の電荷(漏れ出力)を低減することができ、高精度の検出特性を有するジャイロ素子を製造することができる。
[適用例3]上記適用例に記載のジャイロ素子の製造方法において、前記配線の除去は、レーザーで行うことが好ましい。
本適用例によれば、検出用電極と、駆動用振動腕にコリオリ力が加わっていないときに発生する検出用電極の電荷(漏れ出力)と同じ極性の電荷を発生する調整用電極と、を接続している配線の除去をレーザーで行うことにより、簡単で短時間に配線を除去することができるため、低コストで高精度の検出特性を有するジャイロ素子を製造することができる。
[適用例4]上記適用例に記載のジャイロ素子の製造方法において、前記配線の除去は、フォトリソグラフィーで行うことが好ましい。
本適用例によれば、検出用電極と、駆動用振動腕にコリオリ力が加わっていないときに発生する検出用電極の電荷(漏れ出力)と同じ極性の電荷を発生する調整用電極と、を接続している配線の除去をフォトリソグラフィーで行うことにより、大型基板に多数個のジャイロ素子を形成する場合、多数個を一括処理することで、配線を除去することができるため、大量生産に適し、低コストで高精度の検出特性を有するジャイロ素子を製造することができる。
[適用例5]本記適用例に係るジャイロ素子の製造方法は、ジャイロ素子の製造方法であって、前記ジャイロ素子は、基部と、前記基部から延出され、駆動振動する駆動用振動腕と、前記基部から延出され、前記駆動用振動腕に加えられたコリオリ力に応じて電荷を出力する検出用電極を有する検出用振動腕と、前記基部から延出され、調整用電極を有する調整用振動腕と、を備えており、前記駆動用振動腕にコリオリ力が加わっていないときに前記検出用電極から発生する電荷の極性により、前記調整用電極から前記検出用電極への配線の接続を変えることは、前記配線を形成することであることを特徴とする。
本適用例によれば、検出用電極と、互いに極性が異なる複数の調整用電極と、が接続されていない電極パターンを形成し、その後、駆動用振動腕にコリオリ力が加わっていないときに検出用電極から発生する電荷(漏れ出力)の極性を測定し、その極性と逆の極性の電荷を発生する調整用電極と検出用電極とを接続する配線を形成する。このことにより、コリオリ力が加わっていないときに生じる検出用電極の電荷(漏れ出力)を逆の極性を有する調整用電極の電荷で相殺することができる。そのため、コリオリ力が加わっていないときに生じる検出用電極の電荷(漏れ出力)を低減することができ、高精度の検出特性を有するジャイロ素子を製造することができる。
[適用例6]上記適用例に記載のジャイロ素子の製造方法において、前記配線の形成は、導電性部材を蒸着もしくはスパッタすることであることが好ましい。
本適用例によれば、検出用電極と、駆動用振動腕にコリオリ力が加わっていないときに発生する検出用電極の電荷(漏れ出力)と逆の極性の電荷を発生する調整用電極と、を接続する配線の形成を蒸着又はスパッタで導電性部材を付着する方法で行うことにより、大型基板に多数個のジャイロ素子を形成する場合、多数個を一括処理することで、配線を形成することができるため、大量生産に適し、低コストで高精度の検出特性を有するジャイロ素子を製造することができる。
[適用例7]上記適用例に記載のジャイロ素子の製造方法において、前記配線の形成は、導電性部材を塗布し加熱することであることが好ましい。
本適用例によれば、検出用電極と、駆動用振動腕にコリオリ力が加わっていないときに発生する検出用電極(漏れ出力)の電荷と逆の極性の電荷を発生する調整用電極と、を接続する配線の形成を導電性部材を塗布し加熱する方法で行うことにより、大型基板に多数個のジャイロ素子を形成する場合、各ジャイロ素子の検出用電極から発生する電荷(漏れ出力)の極性がばらついても、個々に対応できるため、歩留まりの向上が図れ、低コストで高精度の検出特性を有するジャイロ素子を製造することができる。
[適用例8]本適用例に係るジャイロセンサーは、上記適用例に記載のジャイロ素子と、前記ジャイロ素子を駆動する回路および前記電荷を検出する回路を含む電子部品と、前記ジャイロ素子と前記電子部品とを収容するパッケージと、を備えていることを特徴とする。
本適用例によれば、高精度の検出特性を有するジャイロ素子を備えたジャイロセンサーを構成できるという効果がある。
[適用例9]本適用例に係る電子機器は、上記適用例に記載のジャイロ素子を備えていることを特徴とする。
本適用例によれば、高精度の検出特性を有するジャイロ素子を備えた電子機器を構成できるという効果がある。
[適用例10]本適用例に係る移動体は、上記適用例に記載のジャイロ素子を備えていることを特徴とする。
本適用例によれば、高精度の検出特性を有するジャイロ素子を備えた移動体を構成できるという効果がある。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。なお、以下の各図においては、各層や各部材を認識可能な程度の大きさにするため、各層や各部材の尺度を実際とは異ならせている。また、図1〜図12において、図3、図5、図7、および図9を除いては、説明の便宜上、互いに直交する3軸として、X軸、Y軸およびZ軸を図示しており、その図示した矢印の先端側を「+側」、基端側を「−側」としている。また、以下の説明では、X軸に平行な方向を「X軸方向」と言い、Y軸に平行な方向を「Y軸方向」と言い、Z軸に平行な方向を「Z軸方向」と言う。更に、説明の便宜上、Z軸方向から見たときの平面視において、Z軸方向の面を主面として、また、X軸方向から見たときの平面視において、X軸方向の面を側面として説明する。
<第1実施形態>
[ジャイロ素子]
本発明の第1実施形態に係るジャイロ素子の一例として、H型と呼ばれる構造のジャイロ素子を挙げ、図1を参照して説明する。
図1は、本発明の第1実施形態に係るジャイロ素子の構造を示す概略平面図である。なお、駆動用電極は、説明の便宜上、省略して図示してある。
[ジャイロ素子]
本発明の第1実施形態に係るジャイロ素子の一例として、H型と呼ばれる構造のジャイロ素子を挙げ、図1を参照して説明する。
図1は、本発明の第1実施形態に係るジャイロ素子の構造を示す概略平面図である。なお、駆動用電極は、説明の便宜上、省略して図示してある。
(ジャイロ素子の構造)
ジャイロ素子100は、図1に示すように、基材(主要部分を構成する材料)を加工することにより一体に形成された基部10と、基部10のY軸方向の端部10a,10bのうち一方の端部10bから、並行するようにY軸に沿って延出された一対の駆動用振動腕12a,12bと、基部10の他方の端部10aからY軸に沿って並行するように延出された一対の検出用振動腕14a,14bと、基部10の他方の端部10aからY軸に沿って並行するように延出された一対の調整用振動腕16a,16bと、を有している。
ジャイロ素子100は、図1に示すように、基材(主要部分を構成する材料)を加工することにより一体に形成された基部10と、基部10のY軸方向の端部10a,10bのうち一方の端部10bから、並行するようにY軸に沿って延出された一対の駆動用振動腕12a,12bと、基部10の他方の端部10aからY軸に沿って並行するように延出された一対の検出用振動腕14a,14bと、基部10の他方の端部10aからY軸に沿って並行するように延出された一対の調整用振動腕16a,16bと、を有している。
また、基部10から延出する第1連結部20a、および第1連結部20aに連結する第1支持部22aと、基部10から第1連結部20aと反対方向に延出する第2連結部20b、および第2連結部20bに連結する第2支持部22bと、が設けられている。更に、第1支持部22aおよび第2支持部22bは、駆動用振動腕12a,12bの側で一体的に繋って、固定枠部24を構成している。そして、ジャイロ素子100は、固定枠部24の所定の位置で、図示しないパッケージ等の基板に固定される。
なお、駆動用振動腕12a,12bの先端部には錘部32a,32bが設けられており、検出用振動腕14a,14bの先端部には錘部34a,34bが設けられている。錘部32a,32b,34a,34bを設けることによって、共振周波数を同一で駆動用振動腕12a,12bおよび検出用振動腕14a,14bの延出する方向の長さ(Y軸方向の長さ)を短くすることができるため、ジャイロ素子100の小型化を図ることができる。また、駆動用振動腕12a,12bおよび検出用振動腕14a,14bの共振周波数を低めることができる。更に、錘部32a,32b,34a,34bは、必要に応じて複数の幅(X軸方向の長さ)を有していても良く、省略しても良い。なお、錘部32a,32b,34a,34bに金属膜等で形成された質量部(図示せず)を設け、この質量部の一部をレーザー光等で除去することにより駆動用振動腕12a,12bおよび検出用振動腕14a,14bの共振周波数を調整することができる。
本実施形態のジャイロ素子100では、基材として圧電体材料である水晶を用いた例について説明する。ジャイロ素子100をなす基材は、水晶結晶軸において直交するX軸およびY軸で規定される平面に沿って切り出されて平板状に加工され、平面と直交するZ軸方向に所定の厚みを有している。X軸を中心に0度から2度の範囲で回転して切り出したものを使用することができる。Y軸およびZ軸についても同様である。本実施形態においてジャイロ素子100は、水晶を用いたが他の圧電材料、例えば、タンタル酸リチウムやチタン酸ジルコン酸鉛等を基材として用いても良い。なお、所定の厚み(Z軸方向の長さ)は、振動周波数、外形サイズ、加工性などにより適宜設定される。
更に、ジャイロ素子100には、図1に示すように、水晶の結晶X軸(電気軸)と交差する方向に検出用振動腕14a,14bと並行させて且つ検出用振動腕14a,14bを内側に挟むように、基部10の他方の端部10aから延出された一対の調整用振動腕16a,16bが設けられている。即ち、調整用振動腕16a,16bは、Y軸に沿って+Y軸方向に延出され、検出用振動腕14a,14bと所定の間隔を空けて内側に挟むように位置し、且つ並行するように設けられている。
なお、調整用振動腕16a,16bは、チューニングアームと呼ばれることもある。このような調整用振動腕16a,16bが設けられていることにより、水晶のエッチング異方性や加工プロセスのばらつきなどによって、駆動用振動腕12a,12bの断面形状が矩形状とならずに、平行四辺形や菱形となることによる駆動用振動腕12a,12bの振動方向の設計値からのずれ、所謂振動漏れによる漏れ出力を調整することが可能となる。換言すれば、駆動振動が漏れる(伝播する)、所謂振動漏れで発生する検出用振動腕14a,14bの電荷を調整用振動腕16a,16bに発生する電荷で相殺することができる。
また、調整用振動腕16a,16bは、駆動用振動腕12a,12bおよび検出用振動腕14a,14bよりも全長が短く形成されている。これにより、漏れ出力を調整するための調整用振動腕16a,16bの振動が、駆動用振動腕12a,12bと検出用振動腕14a,14bによるジャイロ素子100の主要な振動を阻害することがないので、ジャイロ素子100の振動特性が安定するとともに、ジャイロ素子100の小型化にも有利となる。
更に、調整用振動腕16a,16bの基部10と接続する一端と反対側の他端側の先端部には、調整用振動腕16a,16bより幅が広い(X軸方向の寸法が大きい)略矩形状の幅広部としての錘部36a,36bが設けられている。このように、調整用振動腕16a,16bの先端部に錘部36a,36bを設けることにより、調整用振動腕16a,16bにおける質量変化を顕著にさせることができ、ジャイロ素子100の高感度化に寄与する効果を更に向上させることができる。
基部10の中央は、ジャイロ素子100の重心とすることができる。そして、X軸、Y軸およびZ軸は、互いに直交し、重心を通るものとする。ジャイロ素子100の外形は、重心を通るY軸方向の仮想の中心線に対して線対称とすることができる。これにより、ジャイロ素子100の外形はバランスのよいものとなり、ジャイロ素子100の特性が安定して、検出感度が向上するので好ましい。このようなジャイロ素子100の外形形状は、フォトリソグラフィー技術を用いたエッチング(ウェットエッチング又はドライエッチング)により形成することができる。なお、ジャイロ素子100は、1枚の水晶ウェハーから複数個取りすることが可能である。
(ジャイロ素子の動作原理)
次に、ジャイロ素子100の動作原理について、図2を参照して説明する。
図2は、本発明の第1実施形態に係るジャイロ素子の動作原理を説明する概略図であり、図2(a)は駆動状態を示す概略平面図であり、図2(b)はY軸回りに回転する角速度ωが印加された検出状態を示す概略平面図である。説明の便宜上、基部10周辺のみを図示している。なお、図2(b)において、○で囲んだ黒点の記号は、+Z軸方向への変位を示し、○で囲んだ×の記号は、−Z軸方向への変位を示している。
次に、ジャイロ素子100の動作原理について、図2を参照して説明する。
図2は、本発明の第1実施形態に係るジャイロ素子の動作原理を説明する概略図であり、図2(a)は駆動状態を示す概略平面図であり、図2(b)はY軸回りに回転する角速度ωが印加された検出状態を示す概略平面図である。説明の便宜上、基部10周辺のみを図示している。なお、図2(b)において、○で囲んだ黒点の記号は、+Z軸方向への変位を示し、○で囲んだ×の記号は、−Z軸方向への変位を示している。
駆動モードにおいて、駆動用電極に所定の交流電圧を印加すると、図2(a)に示すように、駆動用振動腕12a,12bは、XY面内方向で逆向きに即ち互いに接近離反する向きに屈曲振動(面内モード振動)する。また、調整用振動腕16a,16bは、駆動用振動腕12a,12bの屈曲振動(面内モード振動)に基部10を介して共振し、駆動用振動腕12a,12bと同様に、XY面内方向で逆向きに即ち互いに接近離反する向きに屈曲振動(面内モード振動)する。
この状態でジャイロ素子100が各振動腕の延出方向であるY軸回りに回転する角速度ωを印加すると、その角速度ωに応じて発生するコリオリ力の作用により、図2(b)に示すように、駆動用振動腕12a,12bは主面に垂直な面外方向即ちZ軸方向に互いに逆向きに屈曲振動(面外モード振動)する。このZ軸方向の振動に共振して、検出用振動腕14a,14bが検出モードで、同じくZ軸方向に互いに逆向きに屈曲振動(面外モード振動)する。このとき、検出用振動腕14a,14bの振動方向は、駆動用振動腕12a,12bの振動方向とは逆相になる。
つまり、駆動用振動腕12aが+Z軸方向に振動すると、駆動用振動腕12bは−Z軸方向に振動する面外モード振動の屈曲振動となる。この駆動用振動腕12a,12bの面外モードの屈曲振動が基部10を介して検出用振動腕14a,14bに伝わることで、検出用振動腕14a,14bを共振させ、検出用振動腕14aが−Z軸方向に振動すると、検出用振動腕14bは+Z軸方向に振動する面外モードの屈曲振動となる。
この検出モードにおいて、検出用振動腕14a,14bの検出用電極間に発生する電荷量を取り出すことによって、ジャイロ素子100に加えられた角速度ωが求められる。
(ジャイロ素子の電極構成)
次に、ジャイロ素子100の電極構成について、再び図1を参照して説明する。なお、以下では、検出用電極42a,42b,43a,43b,44a,44b,45a,45bは検出用電極42a〜45bと、調整用電極62a,62b,63a,63b,64a,64b,65a,65bは調整用電極62a〜65bと記載して説明する。
駆動用振動腕12a,12bの表裏の主面(XY平面)および両側面(XZ平面)には、駆動モードにおいて駆動用振動腕12a,12bを主面に沿う面内方向に、例えば主面に平行なXY面内で屈曲振動(面内モード振動)させるための駆動用電極(図示せず)が形成されている。
次に、ジャイロ素子100の電極構成について、再び図1を参照して説明する。なお、以下では、検出用電極42a,42b,43a,43b,44a,44b,45a,45bは検出用電極42a〜45bと、調整用電極62a,62b,63a,63b,64a,64b,65a,65bは調整用電極62a〜65bと記載して説明する。
駆動用振動腕12a,12bの表裏の主面(XY平面)および両側面(XZ平面)には、駆動モードにおいて駆動用振動腕12a,12bを主面に沿う面内方向に、例えば主面に平行なXY面内で屈曲振動(面内モード振動)させるための駆動用電極(図示せず)が形成されている。
検出用振動腕14aの表裏の主面(XY平面)には、検出モードにおいて検出用振動腕14aが主面と交差する、例えば主面に垂直なZ軸方向に屈曲振動(面外モード振動)する際に発生する電荷量を検出するための検出用電極42a,43a,44a,45aが形成されている。検出用電極42aと検出用電極44aとは同じ極性であり、錘部34aや基部10に形成された配線(図示せず)により電気的に接続されている。また、検出用電極43aと検出用電極45aとは検出用電極42a,44aと逆の極性であり、錘部34aや基部10に形成された配線(図示せず)により電気的に接続されている。
検出用振動腕14bの表裏の主面(XY平面)には、検出モードにおいて検出用振動腕14bが主面と交差する、例えば主面に垂直なZ軸方向に屈曲振動(面外モード振動)する際に発生する電荷を検出するための検出用電極42b,43b,44b,45bが形成されている。検出用電極42bと検出用電極44bとは同じ極性であり、錘部34bや基部10に形成された配線(図示せず)により電気的に接続されている。また、検出用電極43bと検出用電極45bとは検出用電極42b,44bと逆の極性であり、錘部34bや基部10に形成された配線(図示せず)により電気的に接続されている。
また、検出用振動腕14aに形成されている検出用電極42a,44aと検出用振動腕14bに形成されている検出用電極42b,44bとは同じ極性であり、基部10に形成された配線(図示せず)により電気的に接続されている。また、検出用振動腕14aに形成されている検出用電極43a,45aと検出用振動腕14bに形成されている検出用電極43b,45bとは同じ極性であり、基部10に形成された配線(図示せず)により電気的に接続されている。従って、検出用電極42a,42b,44a,44bと検出用電極43a,43b,45a,45bとは逆の極性である。
調整用振動腕16aの表裏の主面(XY平面)および両側面(XZ平面)には、駆動モードにおいて駆動用振動腕12a,12bと共振して、主面に沿う面内方向に、例えば主面に平行なXY面内で屈曲振動(面内モード振動)する際に発生する電荷を検出するための調整用電極62a,63a,64a,65aが形成されている。調整用電極62aと調整用電極64aとは同じ極性であり、錘部36aや基部10に形成された配線(図示せず)により電気的に接続されている。また、調整用電極63aと調整用電極65aとは調整用電極62a,64aと逆の極性であり、錘部36aや基部10に形成された配線(図示せず)により電気的に接続されている。
調整用振動腕16bの表裏の主面(XY平面)および両側面(XZ平面)には、駆動モードにおいて駆動用振動腕12a,12bと共振して、主面に沿う面内方向に、例えば主面に平行なXY面内で屈曲振動(面内モード振動)する際に発生する電荷を検出するための調整用電極62b,63b,64b,65bが形成されている。調整用電極62bと調整用電極64bとは同じ極性であり、錘部36bや基部10に形成された配線(図示せず)により電気的に接続されている。また、調整用電極63bと調整用電極65bとは調整用電極62b,64bと逆の極性であり、錘部36bや基部10に形成された配線(図示せず)により電気的に接続されている。
また、調整用振動腕16aに形成されている調整用電極62a,64aと調整用振動腕16bに形成されている調整用電極63b,65bとは同じ極性であり、調整用振動腕16aに形成されている調整用電極63a,65aと調整用振動腕16bに形成されている調整用電極62b,64bとは同じ極性である。従って、調整用電極62a,63b,64a,65bと調整用電極62b,63a,64b,65aとは逆の極性である。
検出用電極42a,42b,44a,44bは配線47aを介して、固定枠部24に設けられた電極パッド48aと電気的に接続されており、検出用電極42a,42b,44a,44bと逆の極性を有する調整用電極63a,65a(事前にシミュレーションや実験結果により極性を確認済み)は配線46aおよび配線47aを介して検出用電極42a,42b,44a,44bと電気的に接続されている。
従って、検出用電極42a,42b,44a,44bと逆の極性を有する調整用電極63a,65aとが電気的に接続されているために、駆動用振動腕12a,12bにコリオリ力が加わっていないときに検出用電極42a,42b,44a,44bから発生する振動漏れによる電荷を相殺することができ、振動漏れによる電荷を低減することができる。
検出用電極42a,42b,44a,44bと逆の極性を有する検出用電極43a,43b,45a,45bは配線47bを介して、固定枠部24に設けられた電極パッド48bと電気的に接続されている。検出用電極43a,43b,45a,45bと逆の極性を有する調整用電極63b,65b(事前にシミュレーションや実験結果により極性を確認済み)は配線46bおよび配線47bを介して検出用電極43a,43b,45a,45bと電気的に接続されている。
従って、検出用電極43a,43b,45a,45bと逆の極性を有する調整用電極63b,65bとが電気的に接続されているために、駆動用振動腕12a,12bにコリオリ力が加わっていないときに検出用電極43a,43b,45a,45bから発生する振動漏れによる電荷を相殺することができ、振動漏れによる電荷を低減することができる。
検出用電極42a,42b,44a,44bと同じ極性を有する調整用電極62a,64a(事前にシミュレーションや実験結果により極性を確認済み)は配線66aと配線67aとを介して、固定枠部24に設けられた電極パッド68aと電気的に接続されている。
また、検出用電極43a,43b,45a,45bと同じ極性を有する調整用電極62b,64b(事前にシミュレーションや実験結果により確認済み)は配線66bと配線67bとを介して、固定枠部24に設けられた電極パッド68bと電気的に接続されている。
また、検出用電極43a,43b,45a,45bと同じ極性を有する調整用電極62b,64b(事前にシミュレーションや実験結果により確認済み)は配線66bと配線67bとを介して、固定枠部24に設けられた電極パッド68bと電気的に接続されている。
電極パッド48a,48bは、検出用電極42a〜45bで発生した電荷を検出する回路を含むIC部品等の端子に接続される。
電極パッド68a,68bは、調整用電極62a,62b,64a,64bを短絡するために、上述したICチップ(図示せず)に設けられたグランド用電極パッドに接続されている。
上述した構成とすることで、駆動用振動腕12a,12bにコリオリ力が加わっていないときに生じる検出用電極42a〜45bの電荷(漏れ出力)を逆の極性を有する調整用電極62a〜65bの電荷で相殺することができるので、コリオリ力が加わっていないときに生じる検出用電極42a〜45bの電荷を低減することができ、高精度の検出特性を有するジャイロ素子100を得ることができる。
以上、本発明の実施形態に係るジャイロ素子100の一例として、圧電材料である水晶を基材とするジャイロ素子100を挙げ、説明したが、シリコン基板やガラス基板上に機械的に可動な構造体を半導体微細加工技術で形成したMEMS(Micro Electro Mechanical System)素子であっても構わない。MEMS素子の場合は、半導体回路を組み込んで製造することが容易であり、微細化、高機能化に対し有利である。
[ジャイロ素子の製造方法]
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態に係るジャイロ素子の製造方法について、基材(主要部分を構成する材料)として圧電体材料である水晶を用いた例を、図3から図9を参照して説明する。
図3は、本発明の第2実施形態に係るジャイロ素子の製造方法を示すフローチャートである。図4は、本発明の第2実施形態に係るジャイロ素子の製造方法を説明するジャイロ素子の概略平面図である。図5は、図4に示すジャイロ素子の検出用電極の漏れ出力を示す図である。図6は、図4に示すジャイロ素子の検出用電極の極性に伴う調整用電極との接続方法を説明するジャイロ素子の概略平面図である。図7は、図6に示すジャイロ素子の調整用電極の出力と調整後の検出用電極の出力を示す図である。図8は、図6に示すジャイロ素子の調整用電極の出力量調整方法を説明するジャイロ素子の概略平面図である。図9は、図8に示すジャイロ素子の出力量調整後の調整用電極の出力と調整後の検出用電極の出力を示す図である。
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態に係るジャイロ素子の製造方法について、基材(主要部分を構成する材料)として圧電体材料である水晶を用いた例を、図3から図9を参照して説明する。
図3は、本発明の第2実施形態に係るジャイロ素子の製造方法を示すフローチャートである。図4は、本発明の第2実施形態に係るジャイロ素子の製造方法を説明するジャイロ素子の概略平面図である。図5は、図4に示すジャイロ素子の検出用電極の漏れ出力を示す図である。図6は、図4に示すジャイロ素子の検出用電極の極性に伴う調整用電極との接続方法を説明するジャイロ素子の概略平面図である。図7は、図6に示すジャイロ素子の調整用電極の出力と調整後の検出用電極の出力を示す図である。図8は、図6に示すジャイロ素子の調整用電極の出力量調整方法を説明するジャイロ素子の概略平面図である。図9は、図8に示すジャイロ素子の出力量調整後の調整用電極の出力と調整後の検出用電極の出力を示す図である。
なお、図4、図6、および図8では、説明の便宜上、駆動用電極の図示を省略してある。また、図6および図8では、説明の便宜上、ジャイロ素子100b,100cのX軸方向の中心でY軸方向に沿った中心線に対して、−X軸側の部分について図示してある。
第2実施形態に係るジャイロ素子100cの製造方法は、図3に示すように、Step1の準備工程からStep7の調整用出力量調整工程までの7工程で構成されている。
第2実施形態に係るジャイロ素子100cの製造方法は、図3に示すように、Step1の準備工程からStep7の調整用出力量調整工程までの7工程で構成されている。
〔準備工程(Step1)〕
先ず、準備工程(Step1)では、素子が多数個取りできる大型の基板を準備する。
先ず、準備工程(Step1)では、素子が多数個取りできる大型の基板を準備する。
〔外形マスクパターニング工程(Step2)〕
次に、外形マスクパターニング工程(Step2)では、蒸着やスパッタリング等によって、次工程の外形エッチング工程(Step3)において基板を保護するための、金(Au)等の金属膜を基板の表裏主面の全面に成膜する。なお、基板との密着性を向上させるために、基板と金属膜との間に下地膜としてクロム(Cr)等を成膜しても良い。その後、金属膜上にレジスト膜を塗布し、図4に示すように、ジャイロ素子100aの外形パターンとなる基部10、駆動用振動腕12a,12b、検出用振動腕14a,14b、調整用振動腕16a,16b、および固定枠部24等が一体化した形状を露光し現像することでレジスト膜をパターニングする。その後、レジスト膜から露出した金属膜を金属膜用エッチャントによりエッチングし、金属膜による外形パターンをパターニングする。
次に、外形マスクパターニング工程(Step2)では、蒸着やスパッタリング等によって、次工程の外形エッチング工程(Step3)において基板を保護するための、金(Au)等の金属膜を基板の表裏主面の全面に成膜する。なお、基板との密着性を向上させるために、基板と金属膜との間に下地膜としてクロム(Cr)等を成膜しても良い。その後、金属膜上にレジスト膜を塗布し、図4に示すように、ジャイロ素子100aの外形パターンとなる基部10、駆動用振動腕12a,12b、検出用振動腕14a,14b、調整用振動腕16a,16b、および固定枠部24等が一体化した形状を露光し現像することでレジスト膜をパターニングする。その後、レジスト膜から露出した金属膜を金属膜用エッチャントによりエッチングし、金属膜による外形パターンをパターニングする。
〔外形エッチング工程(Step3)〕
外形エッチング工程(Step3)では、基板である水晶を溶解するフッ化アンモニウム溶液等のエッチャントを用いて、金属膜による保護用の外形パターンから露出した部分の基板をエッチングする。この工程により、基板に複数の図4に示す外形形状を有する素子が形成される。
外形エッチング工程(Step3)では、基板である水晶を溶解するフッ化アンモニウム溶液等のエッチャントを用いて、金属膜による保護用の外形パターンから露出した部分の基板をエッチングする。この工程により、基板に複数の図4に示す外形形状を有する素子が形成される。
〔電極パターニング工程(Step4)〕
電極パターニング工程(Step4)では、保護膜として用いた金属膜による外形パターンを除去し、その後、蒸着やスパッタリング等によって、駆動用、検出用、および調整用の電極とするための、金(Au)等の金属膜を基板の表裏主面の全面とエッチングにより形成された側面の全面とに成膜する。なお、基板との密着性を向上させるために、基板と金属膜との間に下地膜としてクロム(Cr)等を成膜しても良い。その後、金属膜上にレジスト膜を塗布し、電極パターン形状に露光し現像することでレジスト膜をパターニングする。その後、レジスト膜から露出した金属膜を金属膜用エッチャントによりエッチングし、金属膜による電極パターンをパターニングする。その後、レジスト膜を除去することで、図4に示すジャイロ素子100aの電極パターン形成が完了する。なお、この時点では、調整用振動腕16aの調整用電極63a,64aは配線46aにより配線47aに接続されており、調整用電極62a,63aは配線66aにより配線67aに接続されている。また、調整用振動腕16bの調整用電極63b,64bは配線46bにより配線47bに接続されており、調整用電極62b,63bは配線66bにより配線67bに接続されている。
電極パターニング工程(Step4)では、保護膜として用いた金属膜による外形パターンを除去し、その後、蒸着やスパッタリング等によって、駆動用、検出用、および調整用の電極とするための、金(Au)等の金属膜を基板の表裏主面の全面とエッチングにより形成された側面の全面とに成膜する。なお、基板との密着性を向上させるために、基板と金属膜との間に下地膜としてクロム(Cr)等を成膜しても良い。その後、金属膜上にレジスト膜を塗布し、電極パターン形状に露光し現像することでレジスト膜をパターニングする。その後、レジスト膜から露出した金属膜を金属膜用エッチャントによりエッチングし、金属膜による電極パターンをパターニングする。その後、レジスト膜を除去することで、図4に示すジャイロ素子100aの電極パターン形成が完了する。なお、この時点では、調整用振動腕16aの調整用電極63a,64aは配線46aにより配線47aに接続されており、調整用電極62a,63aは配線66aにより配線67aに接続されている。また、調整用振動腕16bの調整用電極63b,64bは配線46bにより配線47bに接続されており、調整用電極62b,63bは配線66bにより配線67bに接続されている。
〔漏れ出力測定工程(Step5)〕
漏れ出力測定工程(Step5)では、駆動用振動腕12a,12bの駆動用電極(図示せず)に所定の交流電圧を印加し駆動振動した状態で、調整用振動腕16aの調整用電極63a,64aは配線46aにより配線47aに接続されており、調整用電極62a,63aは配線66aにより配線67aに接続されている。
漏れ出力測定工程(Step5)では、駆動用振動腕12a,12bの駆動用電極(図示せず)に所定の交流電圧を印加し駆動振動した状態で、調整用振動腕16aの調整用電極63a,64aは配線46aにより配線47aに接続されており、調整用電極62a,63aは配線66aにより配線67aに接続されている。
断面形状の変形に伴う振動もれにより検出用振動腕14a,14bが振動することで生じる検出用電極42a,42b,44a,44bの電荷(漏れ出力)の極性を電極パッド48aにネットワークアナライザー装置等の測定装置のプローバー(図示せず)を接触させて測定する。次に、同様に、検出用電極43a,43b,45a,45bの電荷(漏れ出力)の極性を電極パッド48bにネットワークアナライザー装置等の測定装置のプローバー(図示せず)を接触させて測定する。
次に、上記測定結果の一例を図5に示す。図5の横軸は経過時間であり、縦軸は検出用電極からの漏れ出力Sの極性とその大きさを表している。図5において、漏れ出力Sの極性は経過時間に伴い+(プラス)側から−(マイナス)側に変化している。これは、駆動用振動腕12a,12bの共振周波数の振幅の周期と一致しており、漏れ出力Sが最大又は最小となるのは、検出用振動腕14a,14bの振動におけるZ軸方向への変位が+Z軸側で最大又は−Z軸側で最大となるときである。なお、図5は、極性の異なる2つの電極パッド48a,48bからの漏れ出力Sにおいて一方の漏れ出力Sを示したもので、他方の漏れ出力Sは逆の特性を示す。つまり、漏れ出力Sの極性が経過時間と共に−(マイナス)側から+(プラス)側に変化する。
なお、駆動用振動腕12a,12bの振動に伴い共振して振動する調整用振動腕16a,16bは、極性の異なる調整用電極62a,62b,64a,64bと調整用電極63a,63b,65a,65bとが、配線46a,46b,66a,66bと配線47a,47b,67a,67bとによって短絡しているため、電荷を相殺し上記漏れ出力の測定には影響を及ぼさない。
〔接続変更工程(Step6)〕
接続変更工程(Step6)では、漏れ出力測定工程(Step5)における電極パッド48a,48bでの漏れ出力Sの測定の結果に基づいて、漏れ出力Sの極性に伴い、極性が同じである調整用電極に接続されている配線の一部又は全部を除去する。ここで、極性の異なる調整用電極62a,62b,64a,64bと調整用電極63a,63b,65a,65bとは、事前にシミュレーションや実験結果によって、+(プラス)側か−(マイナス)側かどちらの極性を有しているか確認してある。
接続変更工程(Step6)では、漏れ出力測定工程(Step5)における電極パッド48a,48bでの漏れ出力Sの測定の結果に基づいて、漏れ出力Sの極性に伴い、極性が同じである調整用電極に接続されている配線の一部又は全部を除去する。ここで、極性の異なる調整用電極62a,62b,64a,64bと調整用電極63a,63b,65a,65bとは、事前にシミュレーションや実験結果によって、+(プラス)側か−(マイナス)側かどちらの極性を有しているか確認してある。
本実施形態におけるジャイロ素子100aでは、漏れ出力Sと同じ極性を有するのは調整用電極63aであり、漏れ出力Sと異なる極性を有するのは調整用電極64aである。そのため、図6に示すように、除去領域C1において、電極パッド48aにおける漏れ出力Sの極性と逆の極性を有する調整用電極63aとを接続する配線46aをそのままとし、電極パッド48aにおける漏れ出力Sの極性と同じ極性を有する調整用電極64aとを接続する配線46aの一部又は全部を除去する。また、漏れ出力Sの極性と同じ極性を有する調整用電極64aとグランドとなる電極パッド68aとを接続する配線66aをそのままとし、漏れ出力Sの極性と逆の極性を有する調整用電極63aと電極パッド68aとを接続する配線66aの一部又は全部を除去することで、ジャイロ素子100bを形成している。
なお、配線46a,66aを除去する方法としては、レーザーを用いて切断する方法が好ましい。配線46a,66aの除去をレーザーで行うことにより、簡単で短時間に配線46a,66aを除去することができるため、低コストで高精度の検出特性を有するジャイロ素子100bを製造することができる。
また、配線46a,66aを除去する方法としては、フォトリソグラフィーにより除去する方法も好ましい。配線46a,66aの除去をフォトリソグラフィーで行うことにより、大型基板に多数個のジャイロ素子100bを形成する場合、多数個を一括処理することで、配線46a,66aを除去することができるため、大量生産に適し、低コストで高精度の検出特性を有するジャイロ素子100bを製造することができる。
次に、接続変更工程(Step6)を施した後の検出用電極42aの出力特性(漏れ出力)を説明する。図7は、ジャイロ素子100bの調整用電極63aの出力特性T1と調整後(接続変更後)の検出用電極42aの出力特性(漏れ出力)S+T1を示す図であり、横軸は経過時間、縦軸は出力の大きさを示している。図7に示すように、極性の異なる検出用電極42aの漏れ出力Sと調整用電極63aの出力特性T1とが接続されているため、調整後(接続変更後)の検出用電極42aの出力特性(漏れ出力)S+T1は、検出用電極42aの漏れ出力Sと調整用電極63aの出力特性T1とが加算された出力特性(漏れ出力)S+T1となり、漏れ出力Sの低減が図れている。
しかし、加算された出力特性(漏れ出力)S+T1が所望の基準値(例えばゼロ)となれば、工程を終了するが、所望の基準値(例えばゼロ)となっていない場合には、以下の調整用出力量調整工程(Step7)を行う。
〔調整用出力量調整工程(Step7)〕
調整用出力量調整工程(Step7)では、接続変更工程(Step6)を施した後の検出用電極42aの出力特性(漏れ出力)S+T1が所望の基準値(例えばゼロ)となるように、調整用電極63aの一部を除去することで電荷量を調整する。電極に発生する電荷量は電極の面積に応じて決まるため、調整用電極63aの一部を除去することで、電荷量を小さくできる。そのため、図8に示すように、電極パッド48aにネットワークアナライザー装置等の測定装置のプローバー(図示せず)を接触させて、検出用電極42aの出力特性(漏れ出力)を測定しながら、検出用電極42aの出力特性(漏れ出力)が所望の基準値(例えばゼロ)となるまで、調整領域C2における調整用電極63aの一部をレーザー等で除去する。
調整用出力量調整工程(Step7)では、接続変更工程(Step6)を施した後の検出用電極42aの出力特性(漏れ出力)S+T1が所望の基準値(例えばゼロ)となるように、調整用電極63aの一部を除去することで電荷量を調整する。電極に発生する電荷量は電極の面積に応じて決まるため、調整用電極63aの一部を除去することで、電荷量を小さくできる。そのため、図8に示すように、電極パッド48aにネットワークアナライザー装置等の測定装置のプローバー(図示せず)を接触させて、検出用電極42aの出力特性(漏れ出力)を測定しながら、検出用電極42aの出力特性(漏れ出力)が所望の基準値(例えばゼロ)となるまで、調整領域C2における調整用電極63aの一部をレーザー等で除去する。
図9は、ジャイロ素子100cの調整用電極63aの出力量調整後の出力特性T2と出力量調整後の検出用電極42aの出力特性(漏れ出力)S+T2を示す図であり、横軸は経過時間、縦軸は出力の大きさを示している。図9に示すように、検出用電極42aの漏れ出力Sを相殺するように調整用電極63aの出力特性T2の出力量(電荷量)を調整することで、検出用電極42aの漏れ出力Sと出力量調整後の調整用電極63aの出力特性T2とが加算された出力特性(漏れ出力)S+T2は、所望の基準値(例えばゼロ)とすることができる。
なお、上述した第2実施形態に係るジャイロ素子100cの製造方法では、検出用振動腕14aと調整用振動腕16aとに形成された検出用電極42a,43a,44a,45aと調整用電極62a,63a,64a,65aとの接続方法を主に説明したが、検出用振動腕14bと調整用振動腕16bとに形成された検出用電極42b,43b,44b,45bと調整用電極62b,63b,64b,65bとの接続方法についても同様の工程で行う。
以上で、ジャイロ素子100cの製造を完了する。その後、基板から個片化したジャイロ素子100cを、ジャイロ素子100cを駆動し検出を行うIC部品が搭載されたパッケージに実装し、気密封止することで、後述するジャイロセンサーが完成する。
以上、本発明の第2実施形態に係るジャイロ素子100cの製造方法では、検出用電極42a〜45bと、互いに極性が異なる複数の調整用電極62a〜65bと、を接続している電極パターンを形成する。その後、駆動用振動腕12a,12bにコリオリ力が加わっていないときに検出用電極42a〜45bに発生する電荷(漏れ出力)の極性を測定し、その極性と同じ極性の電荷を発生する調整用電極62a〜65bと検出用電極42a〜45bとを接続している配線46a,46b,66a,66bを除去する。このことにより、検出用電極42a〜45bが逆の極性を有する調整用電極62a〜65bのみと接続されるため、コリオリ力が加わっていないときに生じる検出用電極42a〜45bの電荷(漏れ出力)を逆の極性を有する調整用電極62a〜65bの電荷で相殺することができる。そのため、コリオリ力が加わっていないときに生じる検出用電極42a〜45bの電荷(漏れ出力)を低減することができ、高精度の検出特性を有するジャイロ素子100cを製造することができる。
<第3実施形態>
次に、本発明の第3実施形態に係るジャイロ素子の製造方法について、図10から図12を参照して説明する。
図10は、本発明の第3実施形態に係るジャイロ素子の製造方法を説明するジャイロ素子の概略平面図である。図11は、図10に示すジャイロ素子の検出用電極の極性に伴う調整用電極との接続方法を説明するジャイロ素子の概略平面図である。図12は、図11に示すジャイロ素子の調整用電極の出力量調整方法を説明するジャイロ素子の概略平面図である。
次に、本発明の第3実施形態に係るジャイロ素子の製造方法について、図10から図12を参照して説明する。
図10は、本発明の第3実施形態に係るジャイロ素子の製造方法を説明するジャイロ素子の概略平面図である。図11は、図10に示すジャイロ素子の検出用電極の極性に伴う調整用電極との接続方法を説明するジャイロ素子の概略平面図である。図12は、図11に示すジャイロ素子の調整用電極の出力量調整方法を説明するジャイロ素子の概略平面図である。
なお、図10、図11、および図12では、説明の便宜上、駆動用電極の図示を省略してある。また、図11および図12では、説明の便宜上、ジャイロ素子110aのX軸方向の中心でY軸方向に沿った中心線に対して、−X軸側の部分について図示してある。
以下、第3実施形態に係るジャイロ素子110cの製造方法は、第2実施形態で説明したジャイロ素子100cの製造方法とは、電極パターニング工程(Step4)における基板に形成される電極パターンと、接続変更工程(Step6)における接続変更方法が異なる。
その他の構成等は、第2実施形態で上述したジャイロ素子100cの製造方法と略同じであるため、同様の構成には同じ符号および符番を付して説明を一部省略して第3実施形態に係るジャイロ素子110cの製造方法について説明する。
その他の構成等は、第2実施形態で上述したジャイロ素子100cの製造方法と略同じであるため、同様の構成には同じ符号および符番を付して説明を一部省略して第3実施形態に係るジャイロ素子110cの製造方法について説明する。
第3実施形態に係るジャイロ素子110cの製造方法は、電極パターニング工程(Step4)において、図10に示すように、調整用振動腕16aの調整用電極62a,63a,64a,65aが検出用電極42aと電極パッド48aとを接続する配線47aに接続されておらず、調整用振動腕16bの調整用電極62b,63b,64b,65bが電極パッド68bと接続する配線67bに接続されていない電極パターンを形成する。
また、接続変更工程(Step6)において、図11に示すように、前工程である漏れ出力測定工程(Step5)での電極パッド48a,48bの漏れ出力Sの測定の結果に基づいて、漏れ出力Sの極性に伴い、形成領域C3内に、検出用電極42aの極性と逆の極性を有する調整用電極63aと、検出用電極42aが接続されている配線47aと、の電気的な接続を図るために導電性部材による配線146aを形成する。また、形成領域C3内に、検出用電極42aの極性と同じ極性を有する調整用電極62aと、短絡用となる電極パッド68aが接続されている配線67aと、の電気的な接続を図るために導電性部材による配線166aを形成する。
なお、配線146a,166aを形成する方法としては、蒸着又はスパッタを用いて導電性部材を付着する方法が好ましい。配線146a,166aの形成を蒸着又はスパッタで行うことにより、大型基板に多数個のジャイロ素子110bを形成する場合、多数個を一括処理することで、配線146a,166aを形成することができるため、大量生産に適し、低コストで高精度の検出特性を有するジャイロ素子110bを製造することができる。
また、配線146a,166aを形成する方法としては、導電性部材を塗布し加熱する方法も好ましい。配線146a,166aの形成を導電性部材を塗布し加熱する方法で行うことにより、大型基板に多数個のジャイロ素子110bを形成する場合、各ジャイロ素子110bの検出用電極42aから発生する電荷(漏れ出力)の極性がばらついても、個々に対応できるため、歩留まりの向上が図れ、低コストで高精度の検出特性を有するジャイロ素子110bを製造することができる。
なお、出力特性(漏れ出力)が所望の基準値(例えばゼロ)とならない場合には、調整用出力量調整工程(Step7)において、図12に示すように、電極パッド48aにネットワークアナライザー装置等の測定装置のプローバー(図示せず)を接触させて、検出用電極42aの出力特性(漏れ出力)を測定しながら、検出用電極42aの出力特性(漏れ出力)が所望の基準値(例えばゼロ)となるまで、調整領域C4における調整用電極63aの一部をレーザー等で除去する。
以上で、検出用電極の出力特性(漏れ出力)が所望の基準値(例えばゼロ)となるジャイロ素子110cを得ることができる。
以上で、検出用電極の出力特性(漏れ出力)が所望の基準値(例えばゼロ)となるジャイロ素子110cを得ることができる。
なお、上述した第3実施形態に係るジャイロ素子110cの製造方法では、検出用振動腕14aと調整用振動腕16aとに形成された検出用電極42a,43a,44a,45aと調整用電極62a,63a,64a,65aとの接続方法を主に説明したが、検出用振動腕14bと調整用振動腕16bとに形成された検出用電極42b,43b,44b,45bと調整用電極62b,63b,64b,65bとの接続方法についても同様の工程で行う。
以上、本発明の第3実施形態に係るジャイロ素子110cの製造方法では、検出用電極42a〜45bと、互いに極性が異なる複数の調整用電極62a〜65bと、が接続されていない電極パターンを形成する。その後、駆動用振動腕12a,12bにコリオリ力が加わっていないときに検出用電極42a〜45bから発生する電荷(漏れ出力)の極性を測定し、その極性と逆の極性の電荷を発生する調整用電極62a〜65bと検出用電極42a〜45bとを接続する配線146a,166aを形成する。このことにより、コリオリ力が加わっていないときに生じる検出用電極42a〜45bの電荷(漏れ出力)を逆の極性を有する調整用電極62a〜65bの電荷で相殺することができる。そのため、コリオリ力が加わっていないときに生じる検出用電極42a〜45bの電荷(漏れ出力)を低減することができ、高精度の検出特性を有するジャイロ素子110cを製造することができる。
[ジャイロセンサー]
次に、前述の第1実施形態に係るジャイロ素子100を備えるジャイロセンサー200について説明する。
図13は、本発明の実施形態に係るジャイロ素子を備えるジャイロセンサーの構造を示す概略図であり、図13(a)は概略平面図であり、図13(b)は、図13(a)中のA−A線の概略断面図である。なお、図13(a)において、ジャイロセンサー200の内部の構成を説明する便宜上、リッド240を取り外した状態を図示している。また、説明の便宜上、互いに直交する3つの軸として、X軸、Y軸およびZ軸を図示している。更に、説明の便宜上、Z軸方向から見たときの平面視において、+Z軸方向の面を上面、−Z軸方向の面を下面として説明する。
次に、前述の第1実施形態に係るジャイロ素子100を備えるジャイロセンサー200について説明する。
図13は、本発明の実施形態に係るジャイロ素子を備えるジャイロセンサーの構造を示す概略図であり、図13(a)は概略平面図であり、図13(b)は、図13(a)中のA−A線の概略断面図である。なお、図13(a)において、ジャイロセンサー200の内部の構成を説明する便宜上、リッド240を取り外した状態を図示している。また、説明の便宜上、互いに直交する3つの軸として、X軸、Y軸およびZ軸を図示している。更に、説明の便宜上、Z軸方向から見たときの平面視において、+Z軸方向の面を上面、−Z軸方向の面を下面として説明する。
ジャイロセンサー200は、図13に示すように、パッケージ210のキャビティー218に、ジャイロ素子100と、ジャイロ素子100を駆動する回路および電荷を検出する回路を含む電子部品250と、を収容し、パッケージ210の開口部をリッド240により密閉し、内部を気密に保持されている。パッケージ210は、図13(b)に示すように、平板状の第1基板212と、第1基板212上に、枠状の第2基板214、第3基板216、を順に積層、固着して形成され、電子部品250とジャイロ素子100とが収容されるキャビティー218が形成される。基板212,214,216は、例えばセラミックスなどにより形成される。
第1基板212のキャビティー218側には、電子部品250が載置され固定されるダイパッド(図示せず)が設けられている。電子部品250はダイパッド上に、例えば、ろう材(ダイアタッチ材)などの接合部材260によって接着され、固定されている。
電子部品250は、ジャイロ素子100を駆動振動させるための励振手段としての駆動回路と、角速度が加わったときにジャイロ素子100に生じる検出振動を検出する検出手段としての検出回路と、を有する。具体的には、電子部品250が有する駆動回路は、ジャイロ素子100の一対の駆動用振動腕12a,12b(図1参照)にそれぞれ形成された駆動用電極(図示せず)に駆動信号を供給する。また、電子部品250が有する検出回路は、ジャイロ素子100の一対の検出用振動腕14a,14b(図1参照)にそれぞれ形成された検出用電極42a〜45b(図1参照)に生じる検出信号を増幅させて増幅信号を生成し、該増幅信号に基づいてジャイロセンサー200に加わった回転角速度を検出する。
第2基板214は、電子部品250が収容可能な大きさの開口を有する枠状の形状に形成されている。第3基板216は、第2基板214の開口より広い開口を有する枠状の形状に形成され、第2基板214上に積層され、固着されている。そして、第2基板214に第3基板216が積層されて第3基板216の開口の内側に現れる第2基板214上には、ジャイロ素子100が第1支持部22aと第2支持部22b(図1参照)とを位置を合わせして載置され、接合部材270によって接着され、固定されている。そのため、各振動腕はパッケージ210やリッド240と接触することなく、振動することができるので、高いQ値を有し安定な振動特性となるため、高い検出感度のジャイロセンサー200を得ることができる。また、第3基板216の開口の内側に現れる第2基板214上には、複数の内部端子222が形成されている。
第1基板212上に固定されている電子部品250のキャビティー218側には、前述した駆動回路や検出回路が設けられており、各回路と接続し第2基板214上に形成されている内部端子222やジャイロ素子100上に形成されている電極パッド48a,48b,68a,68bと接続するための接続端子252,252a,252bが複数形成されている。接続端子252は、ボンディングワイヤー280を介して第2基板214上の内部端子222と電気的に接続されている。接続端子252aは、検出用の端子であり、ボンディングワイヤー280を介してジャイロ素子100上の検出信号を出力する電極パッド48a,48bと電気的に接続されている。接続端子252bは、グランド用の端子であり、ボンディングワイヤー280を介してジャイロ素子100上の電極パッド68a,68bと電気的に接続されている。
第2基板214上に形成されている内部端子222のいずれかは、パッケージ210の内部配線(図示せず)により、第1基板212の外部底面に設けられた複数の外部接続端子220に電気的に接続されている。
更に、第3基板216の開口の上面にリッド240が配置され、パッケージ210の開口を封止し、パッケージ210の内部が気密封止され、ジャイロセンサー200が得られる。リッド240は、例えば、42アロイ(鉄にニッケルが42%含有された合金)やコバール(鉄、ニッケルおよびコバルトの合金)等の金属、セラミックス、あるいはガラスなどを用いて形成することができる。例えば、金属によりリッド240を形成した場合には、コバール合金などを矩形環状に型抜きして形成されたシールリング等の接合部材230を介してシーム溶接することによりパッケージ210と接合される。パッケージ210およびリッド240によって形成されるキャビティー218(内部空間)は、ジャイロ素子100が動作するための空間となるため、略真空又は減圧雰囲気に気密封止することが好ましい。
[電子機器]
次に、図14〜図16を参照して、前述の第1実施形態に係るジャイロ素子100を備えた電子機器について説明する。なお、以下の説明では、ジャイロ素子100を用いた例について説明する。図14〜図16は、本実施形態に係るジャイロ素子100を備える電子機器の一例を示す斜視図である。
次に、図14〜図16を参照して、前述の第1実施形態に係るジャイロ素子100を備えた電子機器について説明する。なお、以下の説明では、ジャイロ素子100を用いた例について説明する。図14〜図16は、本実施形態に係るジャイロ素子100を備える電子機器の一例を示す斜視図である。
図14は、本実施形態に係る電子機器として、モバイル型(またはノート型)のパーソナルコンピューター1100を模式的に示す斜視図である。図14に示すように、パーソナルコンピューター1100は、キーボード1102を備えた本体部1104と、表示部1000を有する表示ユニット1106と、により構成され、表示ユニット1106は、本体部1104に対しヒンジ構造部を介して回動可能に支持されている。このようなパーソナルコンピューター1100には、ジャイロ素子100が内蔵されている。
図15は、本実施形態に係る電子機器として、携帯電話機(PHSも含む)1200を模式的に示す斜視図である。図15に示すように、携帯電話機1200は、複数の操作ボタン1202、受話口1204および送話口1206を備え、操作ボタン1202と受話口1204との間には、表示部1000が配置されている。このような携帯電話機1200には、ジャイロ素子100が内蔵されている。
図16は、本実施形態に係る電子機器として、デジタルカメラ1300を模式的に示す斜視図である。なお、図16には、外部機器との接続についても簡易的に示している。ここで、通常のカメラは、被写体の光像により銀塩写真フィルムを感光するのに対し、デジタルカメラ1300は、被写体の光像をCCD(Charge Coupled Device)などの撮像素子により光電変換して撮像信号(画像信号)を生成する。デジタルカメラ1300におけるケース(ボディー)1302の背面には、表示部1000が設けられ、CCDによる撮像信号に基づいて表示を行う構成になっており、表示部1000は、被写体を電子画像として表示するファインダーとして機能する。また、ケース1302の正面側(図中裏面側)には、光学レンズ(撮像光学系)やCCDなどを含む受光ユニット1304が設けられている。
撮影者が表示部1000に表示された被写体像を確認し、シャッターボタン1306を押下すると、その時点におけるCCDの撮像信号が、メモリー1308に転送・格納される。また、このデジタルカメラ1300においては、ケース1302の側面に、ビデオ信号出力端子1312と、データ通信用の入出力端子1314とが設けられている。そして、ビデオ信号出力端子1312には、テレビモニター1330が、データ通信用の入出力端子1314には、パーソナルコンピューター1340が、それぞれ必要に応じて接続される。さらに、所定の操作により、メモリー1308に格納された撮像信号が、テレビモニター1330や、パーソナルコンピューター1340に出力される構成になっている。このようなデジタルカメラ1300には、ジャイロ素子100が内蔵されている。
なお、上記ジャイロ素子100を備えた電子機器は、図14に示すパーソナルコンピューター1100(モバイル型パーソナルコンピューター)、図15に示す携帯電話機1200、図16に示すデジタルカメラ1300の他にも、例えば、インクジェット式吐出装置(例えばインクジェットプリンター)、ラップトップ型パーソナルコンピューター、テレビ、ビデオカメラ、ヘッドマウントディスプレイ、ビデオテープレコーダー、各種ナビゲーション装置、ページャー、電子手帳(通信機能付も含む)、電子辞書、電卓、電子ゲーム機器、ワードプロセッサー、ワークステーション、テレビ電話、防犯用テレビモニター、電子双眼鏡、POS端末、医療機器(例えば電子体温計、血圧計、血糖計、心電図計測装置、超音波診断装置、電子内視鏡)、魚群探知機、各種測定機器、計器類(例えば、車両、航空機、ロケット、船舶の計器類)、ロボットや人体などの姿勢制御、フライトシミュレーター等を挙げることができる。
[移動体]
次いで、前述の第1実施形態に係るジャイロ素子100を備える移動体について、図17を参照して説明する。
図17は、本実施形態に係る移動体の一例としての自動車を概略的に示す斜視図である。自動車1400には、本実施形態に係るジャイロ素子100を備えるジャイロセンサー200が搭載されている。例えば、同図に示すように、移動体としての自動車1400の車体1401には、ジャイロセンサー200を内蔵してタイヤ1403などを制御する電子制御ユニット1402が搭載されている。また、ジャイロセンサー200は、他にもナビゲーション装置、姿勢制御装置等の姿勢検出センサーとして用いられている。更に、上記自動車1400に限らず、自走式ロボット、自走式搬送機器、列車、船舶、飛行機、人工衛星等を含む移動体の姿勢検出センサー等として好適に用いることができる。
次いで、前述の第1実施形態に係るジャイロ素子100を備える移動体について、図17を参照して説明する。
図17は、本実施形態に係る移動体の一例としての自動車を概略的に示す斜視図である。自動車1400には、本実施形態に係るジャイロ素子100を備えるジャイロセンサー200が搭載されている。例えば、同図に示すように、移動体としての自動車1400の車体1401には、ジャイロセンサー200を内蔵してタイヤ1403などを制御する電子制御ユニット1402が搭載されている。また、ジャイロセンサー200は、他にもナビゲーション装置、姿勢制御装置等の姿勢検出センサーとして用いられている。更に、上記自動車1400に限らず、自走式ロボット、自走式搬送機器、列車、船舶、飛行機、人工衛星等を含む移動体の姿勢検出センサー等として好適に用いることができる。
本発明は、実施の形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法および結果が同一の構成、あるいは目的および効果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成または同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。
10…基部、10a,10b…端部、12a,12b…駆動用振動腕、14a,14b…検出用振動腕、16a,16b…調整用振動腕、20a…第1連結部、20b…第2連結部、22a…第1支持部、22b…第2支持部、24…固定枠部、32a,32b,34a,34b,36a,36b…錘部、42a,42b,43a,43b,44a,44b,45a,45b…検出用電極、46a,46b,47a,47b…配線、48a,48b…電極パッド、62a,62b,63a,63b,64a,64b,65a,65b…調整用電極、66a,66b,67a,67b…配線、68a,68b…電極パッド、100…ジャイロ素子、146a,166a…配線、200…ジャイロセンサー、210…パッケージ、212…第1基板、214…第2基板、216…第3基板、218…キャビティー、220…外部接続端子、222…内部端子、230…接合部材、240…リッド、250…電子部品、252,252a,252b…接続端子、260,270…接合部材、280…ボンディングワイヤー、1000…表示部、1100…パーソナルコンピューター、1102…キーボード、1104…本体部、1106…表示ユニット、1200…携帯電話機、1202…操作ボタン、1204…受話口、1206…送話口、1300…デジタルカメラ、1302…ケース、1304…受光ユニット、1306…シャッターボタン、1308…メモリー、1312…ビデオ信号出力端子、1314…入出力端子、1330…テレビモニター、1340…パーソナルコンピューター、1400…自動車、1401…車体、1402…電子制御ユニット、1403…タイヤ。
Claims (10)
- 基部と、
前記基部から延出され、駆動振動する駆動用振動腕と、
前記基部から延出され、前記駆動用振動腕に加えられたコリオリ力に応じて電荷を出力する検出用電極を有する検出用振動腕と、
前記基部から延出され、調整用電極を有する調整用振動腕と、を備え、
前記駆動用振動腕にコリオリ力が加わっていないときに前記検出用電極から発生する電荷の極性により、前記調整用電極から前記検出用電極への配線の接続を変えていることを特徴とするジャイロ素子。 - ジャイロ素子の製造方法であって、
前記ジャイロ素子は、
基部と、
前記基部から延出され、駆動振動する駆動用振動腕と、
前記基部から延出され、前記駆動用振動腕に加えられたコリオリ力に応じて電荷を出力する検出用電極を有する検出用振動腕と、
前記基部から延出され、調整用電極を有する調整用振動腕と、を備えており、
前記駆動用振動腕にコリオリ力が加わっていないときに前記検出用電極から発生する電荷の極性により、前記調整用電極から前記検出用電極への配線の接続を変えることは、前記配線の一部又は全部を除去することであることを特徴とするジャイロ素子の製造方法。 - 請求項2に記載のジャイロ素子の製造方法において、前記配線の除去は、レーザーで行うことを特徴とするジャイロ素子の製造方法。
- 請求項2に記載のジャイロ素子の製造方法において、前記配線の除去は、フォトリソグラフィーで行うことを特徴とするジャイロ素子の製造方法。
- ジャイロ素子の製造方法であって、
前記ジャイロ素子は、
基部と、
前記基部から延出され、駆動振動する駆動用振動腕と、
前記基部から延出され、前記駆動用振動腕に加えられたコリオリ力に応じて電荷を出力する検出用電極を有する検出用振動腕と、
前記基部から延出され、調整用電極を有する調整用振動腕と、を備えており、
前記駆動用振動腕にコリオリ力が加わっていないときに前記検出用電極から発生する電荷の極性により、前記調整用電極から前記検出用電極への配線の接続を変えることは、前記配線を形成することであることを特徴とするジャイロ素子の製造方法。 - 請求項5に記載のジャイロ素子の製造方法において、前記配線の形成は、導電性部材を蒸着もしくはスパッタすることであることを特徴とするジャイロ素子の製造方法。
- 請求項5に記載のジャイロ素子の製造方法において、前記配線の形成は、導電性部材を塗布し加熱することであることを特徴とするジャイロ素子の製造方法。
- 請求項1に記載のジャイロ素子と、
前記ジャイロ素子を駆動する回路および前記電荷を検出する回路を含む電子部品と、
前記ジャイロ素子と前記電子部品とを収容するパッケージと、を備えていることを特徴とするジャイロセンサー。 - 請求項1に記載のジャイロ素子を備えていることを特徴とする電子機器。
- 請求項1に記載のジャイロ素子を備えていることを特徴とする移動体。
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