JP2010192585A - 圧電素子 - Google Patents

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Abstract

【課題】駆動信号の検出電極への容量結合が少なく、感度が高いセンサ用圧電素子を提供する。
【解決手段】圧電膜6、7に少なくとも1層の埋め込み電極4を設け、埋め込み電極4の内少なくとも1層を電気的に安定な電位である基準電位に接続した基準電極とし、圧電膜6、7の成膜面に対し平行な方向の変位を駆動もしくは検出するための電極1、2と圧電膜6、7の成膜面に対し垂直な方向の変位を駆動もしくは検出するための電極3によって基準電極4を厚み方向に挟んだように構成する。
【選択図】図1

Description

本発明は、カメラの手振れ補正システム、ナビゲーションシステム、姿勢制御システム用のジャイロセンサを始めとし、機器の振動衝撃検知や防犯システム用衝撃センサ等に用いられる圧電素子に関するものである。
圧電材料は電気−機械変換効率が高く、小型で高感度なセンサ用圧電素子を実現できることから、様々なセンサに利用されている。近年では、数μm厚みの圧電膜を大面積の基板に再現性良く成膜する技術や圧電膜を微細に加工する技術も確立され、ますます超小型なセンサ用圧電素子が量産性良く製造できるようになってきた。
こうした中、新たな技術的課題も生じてきている。その一つに電極間の容量結合があげられる。センサ用圧電素子にはしばしば複数の電極が形成されるが、それぞれの電極の間隔が極めて狭くなってきていることと、特に圧電性が高いチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)等の圧電体は誘電率が高いことから、各電極間の容量が増大し、一つの電極で取り扱う電気信号が他の電極に飛び込む、いわゆる容量結合が大きくなり、センサ性能への影響が無視できなくなってきている。
容量結合について特許文献1を用いてもう少し詳しく説明する。図8は、従来例1に係る圧電素子の図を示す。図8(a)は斜視図、図8(b)は断面図である。説明をわかりやすくするため圧電素子の構造は、片端側が振動自由であり、片端側が固定されているカンチレバー状の圧電素子とした。斜視図は、片端側が自由である方向から見たものである(片端固定側は図示せず)。基板509上に下部電極504、圧電膜506、上部電極501、502、503が形成されている。尚、圧電膜506は矢印が示す通り厚み方向に予め分極処理が施されている。こうした構成とすることで、下部電極504と上部電極503との間に交流電圧を印加すると、圧電膜成膜面に対し垂直方向に圧電素子を屈曲振動させることができ、また下部電極504と上部電極501及び上部電極502との間に各々逆位相の交流電圧を印加すると、圧電膜成膜面に対し平行な方向に屈曲振動できることが従来から知られている。例えばジャイロ用圧電素子にこの圧電素子を利用するには、組み合わせはいくつか考えられるが、上部電極501及び上部電極502を駆動用電極とし、上部電極503を検出用電極とすることで実現できる。ここで、圧電素子の小型化を考えた場合、振動振幅の大きさを維持するために圧電素子の共振周波数を上げないようにする必要がある。共振周波数は圧電素子の長さの二乗に反比例し、幅や厚みに比例するため、共振周波数を維持したまま小型化すると圧電素子は細長い形状になっていく。一方、配線間容量は隣り合う電極の間隔に反比例し長さに比例するため、圧電素子を小型化すると配線間容量は増大することとなる。即ち、圧電素子を小型化すればするほど容量結合が大きくなり、上部電極501及び上部電極502に加えた交流電圧が、各々の隣に配置された上部電極503に多量に(強く)流れ込むこととなり、検出出力の安定化を損なうことにつながる。
特許文献1の容量結合の影響に対する対策としては、例えば特許文献2、3記載の容量結合低減の従来技術が知られている。この従来技術は主にジャイロセンサ用圧電素子に関するものであり、圧電素子における圧電膜を離間配置することで容量結合を低減でき、印加された角速度に対する検出出力を安定化できる技術である。
容量結合低減の対策として、圧電素子の横方向に離間配置したことが、特許文献2に記載されている。図9は、従来例2に係る圧電素子の図を示す。図9(a)は斜視図、図9(b)は断面図である。基板519上に下部電極514、圧電膜516、上部電極511、512、513が形成されている。尚、圧電膜516は矢印が示す通り厚み方向に予め分極処理が施されている。上部電極511、512、513の各配線間における圧電膜516及び下部電極514を削りとり、上部電極511、512、513の各々を圧電素子の幅方向に離間配置している。これにより各配線間の間隔が広くなり、配線間容量を抑え、つまりは容量結合が抑えられ、検出出力の安定化につなげている。
更に、容量結合低減の対策として、圧電素子の長手方向に離間配置すると同時に、上部電極の引き回しを絶縁体にすることが、特許文献3に記載されている。図10は、従来例3に係る圧電素子の図を示す。図10(a)は斜視図、図10(b)は断面図である。基板529上に下部電極524、圧電膜526、上部電極521、522、523が形成されている。尚、圧電膜526は矢印が示す通り厚み方向に予め分極処理が施されている。上部電極523は、上部電極521、522と圧電素子の長手方向に離間配置すると同時に、上部電極523の引き回しは絶縁体528上にすることで、配線間容量を抑え、つまりは容量結合が抑えられ、検出出力の安定化につなげている。
特開2005−227110号公報 特開2005−249395号公報 特開2003−227719号公報
しかしながら、上部電極の離間配置は圧電素子の駆動検出効率の低下を招くこととなる。具体的には、図8〜図9において、上部電極503や上部電極513は圧電膜成膜面に対し垂直方向に生じる圧電素子の屈曲振動を駆動もしくは検出するためのものであるため、圧電素子の幅全面に形成されるのが、効率面においては好ましい。しかし、幅方向に圧電膜を離間配置すれば、その分、検出効率は低下する。また上部電極511、512、513の各配線間における圧電膜516及び下部電極514を削りとると、圧電膜516が加工時のダメージにより性能劣化を起こして、更に圧電素子駆動検出効率を低下させる。
また、図10において、上部電極521、522を圧電素子の長手方向に離間配置すると圧電素子の屈曲振動の歪発生箇所に適正に配置できなくなり、これもまた圧電素子の駆動検出効率を低下させることになる。尚、基板の表裏に離間配置することも考えられるが、圧電素子の駆動検出効率の低下や容量結合は防げるものの、基板の表裏に離間した上部電極同士の位置合わせ精度が悪くなり、検出出力の安定化にはつながらない。
以上のように上部電極の離間配置は、圧電素子の駆動検出効率の低下につながると言った問題があった。そこで本発明は、圧電素子の駆動検出効率の低下を招くことなく、且つ容量結合を少なくすることで、感度が高く、出力が安定な即ちS/Nに優れるセンサ用圧電素子の提供を目的とする。
上記の課題を解決するために、本発明の圧電素子は、圧電膜に少なくとも1層の埋め込み電極を設け、埋め込み電極の内の少なくとも1層を電気的に安定な電位である基準電位に接続した基準電極とする点と、圧電膜の成膜面に対し平行な方向の変位を駆動もしくは検出するための電極と圧電膜の成膜面に対し垂直な方向の変位を駆動もしくは検出するための電極によって基準電極を厚み方向に挟んだ状態となるように構成したものである。この構成により、電気的に安定な電位に接続した埋め込み電極を挟んだ電極同士の容量結合は、ほぼ無くすことができると同時に圧電素子の変位歪が発生する箇所に電極を理想的に配置でき、圧電素子の駆動検出効率を低下させずに出力を安定にすることが可能となる。
すなわち、本発明によれば、基板、下部電極、圧電膜、上部電極を備え、前記圧電膜の成膜面に対し平行な方向及び垂直な方向の変位を駆動もしくは検出を可能とした圧電素子であって、前記圧電膜に少なくとも1層の埋め込み電極を設け、前記埋め込み電極の内の少なくとも1層を電気的に安定な電位である基準電位に接続した基準電極とし、前記圧電膜の成膜面に対し平行な方向の変位を駆動もしくは検出するための電極と前記圧電膜の成膜面に対し垂直な方向の変位を駆動もしくは検出するための電極によって前記基準電極を厚み方向に挟んだ構成としたことを特徴とする圧電素子が得られる。
本発明は、圧電膜に少なくとも1層の埋め込み電極を設け、厚み方向に圧電膜を2分割以上することで、圧電膜の成膜面に対し平行な方向の変位を駆動もしくは検出するための電極と圧電膜の成膜面に対し垂直な方向の変位を駆動もしくは検出するための電極とを各々別の層に形成することが可能となり、圧電膜の成膜面に対し垂直な方向に生じる圧電素子の屈曲振動において、電極を離間配置する必要がなくなるので、従来よりも広域に電極を形成できる。即ち、効率よく高い感度が得られるセンサ用圧電素子を提供できる。
更に、埋め込み電極の内、少なくとも1層を電気的に安定な電位である基準電位に接続した基準電極とし、圧電膜の成膜面に対し平行な方向の変位を駆動もしくは検出するための電極と圧電膜の成膜面に対し垂直な方向の変位を駆動もしくは検出するための電極によって基準電極を厚み方向に挟んだ構成としたことで、圧電膜の成膜面に対し平行な方向の変位を駆動もしくは検出するための電極と圧電膜の成膜面に対し垂直な方向の変位を駆動もしくは検出するための電極との間に発生する容量結合は、ほぼ無くすことができる。各々の電極の間隔は、圧電膜の厚みで決まるため通常極めて狭くなり、配線間容量は増加することとなるが、各々の電極の間には安定した基準電位を配置させるため、一方の電極が取り扱う信号が発生する電界が基準電極で遮断され、他方の電極に影響を及ぼすことを極めて少なくできる。尚、圧電性の高い材料の代表としてあげられるPZT等の比誘電率は、空気やシリコン等の基板材料と比較し数百倍〜数千倍と高いため、圧電膜にPZTを使用した場合電極間の容量結合による影響が大きく現れる。そこで、特に本発明の容量結合の低減効果は、圧電膜にPZTを使用した時には、極めて大きなものとなる。即ち、出力が安定なセンサ用圧電素子を提供できる。
更に、各電極や各圧電膜層の加工形成において、基板の表裏に上部電極を離間して配置する方法が考えられるが、そのためには精度の出しにくい基板両面からの位置合わせ加工が必要となってくる。しかし、本発明は、精度が出し難い両面からの位置合わせを不要とし、片側面から位置合わせのみで加工形成することが可能なため、圧電素子に対し高精度に電極を配置させることができ、出力が安定なセンサ用圧電素子を提供できる。
本発明の実施の形態1に係る圧電素子の図を示す。図1(a)は斜視図、図1(b)は断面図である。 本発明の実施の形態2に係る圧電素子の図を示す。図2(a)は斜視図、図2(b)は断面図である。 本発明の実施の形態3に係る圧電素子の図を示す。図3(a)は斜視図、図3(b)は断面図である。 本発明の実施例に係る圧電素子の図を示す。図4(a)は上面図及び回路結線図、図4(b)は図4(a)のA−A断面図、図4(c)は図4(a)のB−B断面図である。 本発明の実施例に係る圧電素子基板加工後の図を示す。図5(a)は上面図、図5(b)は図5(a)のC−C断面図である。 圧電素子の感度測定結果を示す。 駆動信号の検出電極への飛び込み量の測定結果を示す。 従来例1に係る圧電素子の図を示す。図8(a)は斜視図、図8(b)は断面図である。 従来例2に係る圧電素子の図を示す。図9(a)は斜視図、図9(b)は断面図である。 従来例3に係る圧電素子の図を示す。図10(a)は斜視図、図10(b)は断面図である。
本発明の圧電素子は、圧電膜に少なくとも1層の埋め込み電極を設け、埋め込み電極の内少なくとも1層を電気的に安定な電位である基準電位に接続した基準電極とする点と、圧電膜の成膜面に対し平行な方向の変位を駆動もしくは検出するための電極と圧電膜の成膜面に対し垂直な方向の変位を駆動もしくは検出するための電極によって基準電極を厚み方向に挟んだ状態となるように構成している。
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態1に係る圧電素子の図を示す。図1(a)は斜視図、図1(b)は断面図である。基板9上に下部電極3、圧電膜7、埋め込み電極4、圧電膜6、上部電極1、2を形成する。尚、圧電膜6及び圧電膜7は矢印が示す通り厚み方向に予め分極処理を施す。埋め込み電極4は、電気的に安定な電位である基準電位に接続した基準電極とする。
こうした構成とすることで、電極間の容量結合の影響を少なくすることができる。下部電極3と埋め込み電極4との間に交流電圧を印加すると、圧電膜成膜面に対し垂直方向に圧電素子を屈曲振動させることができ、また埋め込み電極4と上部電極1及び上部電極2との間に各々逆位相の交流電圧を印加すると、圧電膜成膜面に対し平行な方向に屈曲振動できる。
(実施の形態2)
図2は本発明の実施の形態2に係る圧電素子の図を示す。図2(a)は斜視図、図2(b)は断面図である。基板19上に下部電極11及び下部電極12、圧電膜17、埋め込み電極14、圧電膜16、上部電極13を形成する。尚、圧電膜16及び圧電膜17は矢印が示す通り厚み方向に予め分極処理を施す。埋め込み電極は、電気的に安定な電位である基準電位に接続した基準電極とする。
こうした構成とすることで、電極間の容量結合の影響を少なくすることができる。埋め込み電極14と下部電極11及び下部電極12との間に各々逆位相の交流電圧を印加すると、圧電膜成膜面に対し平行な方向に屈曲振動させることができ、また上部電極13と埋め込み電極14との間に交流電圧を印加すると、圧電膜成膜面に対し垂直方向に圧電素子を屈曲振動させることができる。
実施の形態2は実施の形態1とほぼ同等の方法で製造できるが、圧電膜の成膜前に下部電極をパターン加工する必要があるため、成膜前の洗浄工程が増える等、若干工程が長くなる。しかし、圧電膜成膜面に対し垂直方向に圧電素子を屈曲振動させる際には、圧電素子は最表層部が最も歪むため、その箇所の圧電を利用できるようになる。つまり、上部電極を圧電膜成膜面に対し垂直方向に圧電素子を屈曲振動させる電極として利用できるようになる。更に、圧電膜成膜面に対し平行方向に圧電素子を屈曲振動させる際にも、圧電素子は最側壁部が最も歪むため、その箇所の圧電を利用できるようになる。即ち、若干コスト高ではあるが、実施の形態1より感度を向上できる。
(実施の形態3)
図3は本発明の実施の形態3に係る圧電素子の図を示す。図3(a)は斜視図、図3(b)は断面図である。基板29上に下部電極25、圧電膜28、埋め込み電極21、22、圧電膜27、埋め込み電極24、圧電膜26、上部電極23を形成する。圧電膜26、圧電膜27及び圧電膜28は矢印が示す通り厚み方向に予め分極処理を施す。尚、下部電極25、埋め込み電極24は、電気的に安定な電位である基準電位に接続した基準電極とする。
こうした構成とすることで、電極間の容量結合の影響を少なくすることができる。下部電極25及び埋め込み電極24と埋め込み電極21及び埋め込み電極22との間に各々逆位相の交流電圧を印加すると、圧電膜成膜面に対し平行な方向に屈曲振動させることができ、また上部電極23と埋め込み電極24との間に交流電圧を印加すると、圧電膜成膜面に対し垂直方向に圧電素子を屈曲振動させることができる。
実施の形態3は実施の形態2とほぼ同等の方法で製造できるが、圧電膜の成膜層数が増える等、若干工程が長くなる。しかし、圧電膜成膜面に対し水平方向に圧電素子を屈曲振動させる際には、圧電膜27と圧電膜28が利用でき、より大きな駆動振幅を得られるようになる。即ち、コスト高ではあるが、実施の形態2より更に感度を向上できる。
実施の形態3のように圧電膜の層数をあげることで感度を向上させることができることは言うまでもないため、これ以上の多層膜についての説明を省略する。
ジャイロセンサ用圧電素子に本発明の実施の形態1に係る圧電素子を利用する場合について説明する。図4は本発明の実施例に係る圧電素子の図を示す。図4(a)は上面図及び回路結線図、図4(b)は図4(a)のA−A断面図、図4(c)は図4(a)のB−B断面図である。圧電素子には各電極を回路に結線できるように入出力パッドを形成し、圧電素子の入出力パッドと反対側端部が自由に屈曲振動できるよう圧電素子を浮かせ入出力パッド周辺部10にて支持固定する。埋め込み電極4は、入出力パット周辺部10において埋め込み電極4上の圧電膜6及び上部電極1及び上部電極2を除去し表面に露出させている。同様に、下部電極3も入出力パット周辺部10において表面に露出させている。
上部電極1及び上部電極2に各々逆位相で圧電素子の屈曲振動の共振周波数に略一致する交流電圧を印加できるよう自励発信回路101に接続する。下部電極3は電流検出増幅回路102に接続し、下部電極に発生する電荷を電流検出増幅回路102にて増幅した後、同期検波整流回路103を経由し出力端子105を設ける構成とする。尚、同期検波整流回路103では、電流検出増幅回路102にて増幅した信号を自励発信回路101の動作周波数で検波し他の周波数帯域のノイズを除去した後、検出角速度の周波数帯域を考慮したカットオフ周波数のローパスフィルタで整流され、動作周波数を含む高い周波数成分のノイズも除去して出力させる。また、埋め込み電極4は、電気的に安定な電位有する基準電圧回路104に接続する。
このように本発明の実施例に係る圧電素子を前述の回路に結線することで、予め圧電素子を圧電膜の成膜面に対し平行な方向に圧電素子の共振周波数で屈曲振動させることができる。同時に、圧電素子の長手方向を中心とした角速度が加わった際、コリオリ力の作用により新に発生する圧電膜に垂直な方向の屈曲振動の振幅も出力端子105から得られる直流電圧の変化として知ることができ、つまりジャイロセンサとして機能する。
本発明の実施の形態1に係る圧電素子の構造は、片持ち支持バリであるカンチレバー形状としたが、本発明の圧電素子の構造は、前述の構造に限定されるものではない。屈曲振動のモードが1波長共振でも何次の共振であっても構わないし、捻り振動でも構わない。更には、各振動を安定化させるために圧電素子を音さ形状としても構わないし、多軸の角速度を検出できるように振動部を複数設ける形状であっても構わない。
本発明の構成の重要な点は、圧電膜に少なくとも1層の埋め込み電極を設け、埋め込み電極の内、少なくとも1層を電気的に安定な電位である基準電位に接続した基準電極とする点と、圧電膜の成膜面に対し平行な方向の変位を駆動もしくは検出するための電極と圧電膜の成膜面に対し垂直な方向の変位を駆動もしくは検出するための電極によって基準電極を厚み方向に挟んだ構成とした点にある。
即ち、本発明の構成により、圧電膜の成膜面に対し垂直な方向の変位を駆動もしくは検出するための電極が、圧電素子の屈曲振動等による歪範囲に対し広域に形成できている点と、自励発振回路で生成される駆動信号が、比誘電率の高い圧電膜を還しての容量結合で、検出電極に飛び込まないよう基準電極で電界を遮断している点にある。
本発明の実施例の製造工程例を以下に説明する。図5は、本発明の実施例に係る圧電素子基板加工後の図を示す。図5(a)は上面図、図5(b)は図5(a)のC−C断面図である。まず、SOI(シリコン・オン・インシュレーター)基板212を用意する。基板サイズは4インチとした。厚みは、活性層(基板)209のSiを100μm、埋め込み酸化膜層210のSiO2を2μm、支持層211のSiを400μmとした。厚みに関しては、活性層209が振動部となるため所望の寸法にする必要があるが、埋め込み酸化膜層210及び支持層211は、工程中での基板の破損やソリによる加工精度劣化、後で述べるエッチングの加工性等を考慮した任意の寸法で構わない。
次に、SOI基板212に下部電極203、圧電膜207、埋め込み電極204、圧電膜206、上部電極201の順で成膜する。尚、予めSOI基板212の表面は、Siの下部電極層への拡散を防ぐため、熱処理により1μm厚程度のSiO2層を形成しておくのが好ましい。下部電極203は、数十nm厚のTi上に300nm厚のPtをスパッタで成膜した。続いて最初の圧電膜207として2μm厚のPZTをスパッタで成膜した後、埋め込み電極204は、300nm厚のPtをスパッタで成膜した。次の圧電膜206は、最初の圧電膜207と同じ2μm厚のPZTをスパッタで成膜した。最後に上部電極201は、数十nm厚のCr上に400nm厚のAuをスパッタで成膜した。尚、PZT成膜方法に関しては特にスパッタ法に限定されるものではなく、ゾル・ゲル法、MOD法、MOCVD法、エアロゾル堆積法等でも構わない。電極成膜方法についても、蒸着法等でも構わない。
成膜後は、レジスト塗布、露光、現像する一般的なフォトリソグラフィー技術を用いレジストを所望のパターンに形成した。露光の際に使用するマスクのパターンは、4インチ基板に数百個の圧電素子を配置させ、各層ごとに所望のレジストパターンに合うマスクを用意する必要がある。レジストパターン形成後は、エッチング加工で不要部を除去した後、レジストを除去、洗浄する工程を各層ごとに繰り返し行うことで所望のパターンに加工した。尚、エッチング方法は、上部電極201をウェットエッチングで、圧電膜206,207、埋め込み電極204、下部電極203、SOI基板212を反応性イオンエッチングで行った。SOI基板212に関しては、活性層209のSi側からボッシュプロセスを用い基板に垂直にディープエッチングし、埋め込み酸化膜層210を利用しエッチングストップさせる。次に、SOI基板212の裏面側、即ち支持層211側から同様に基板に垂直にディープエッチングした。
これらの工法についても、成膜、フォトリソグラフィー、エッチングの順に行う工法に限定されるものではなく、例えば、上部電極等をフォトリソグラフィー、成膜、リフトオフの順で所望のパターンに加工する工法であっても構わないし、上部電極をドライエッチングで加工する工法や、圧電膜をウェットエッチングやミリングで加工する工法であっても構わない。
各層のパターン加工後は、ダイシング加工にて個片化した後、入出力用パッドを使用し、下部電極と埋め込み電極間、及び埋め込み電極と上部電極間に各々10Vの電圧を印加することで圧電膜を分極処理した。尚、分極の向きに関しても、図1(a)に示す向きに限定されるものでなく、下部電極と埋め込み電極間、及び埋め込み電極と上部電極間が逆向きにしても構わない。分極処理後、入出力用パッドと駆動検出回路とをワイヤーボンディングにて図4(a)に示す結線で接続した。
本発明の実施の形態1の効果をより明確にするため、図8及び図9に示す従来技術の構造の圧電素子を、本発明の実施の形態1に係る圧電素子を作製した実施例と同一の4インチSOI基板内にて作製し、それぞれ図4(a)に示す回路に結線後、ジャイロセンサの感度と駆動信号の検出電極への飛び込み量を測定した。先ず、図6に圧電素子の感度測定結果を示す。従来例1の測定値301は図8に示す従来例1の圧電素子のものである。また、従来例2の測定値302は図9に示す従来例2の圧電素子のものであり、駆動電極としての上部電極511及び駆動電極としての上部電極512と、検出電極としての上部電極513との間のPZTの圧電膜516を削りこんだ離間配置の対策が施された場合のものである。本発明の測定値303は図1に示す本発明の実施の形態1に係る圧電素子の実施例のものであり、安定した基準電極としての埋め込み電極4を駆動電極としての上部電極1及び駆動電極としての上部電極2と検出電極としての下部電極3とで挟み込んだ場合のものである。本発明の圧電素子の角速度を加えた際の出力端子105の電圧変化、即ち感度が図8及び図9に示す従来例1、2の構造の圧電素子より3倍近く高く得られることがわかる。この結果は、本発明の検出電極の下部電極3の面積が従来技術の圧電素子の検出電極と比較し3倍程度大きいため感度が3倍程度高くなったものと考えられる。
次に、図7に駆動信号の検出電極への飛び込み量の測定結果を示す。従来例1の測定値401は、図8に示す従来例1の圧電素子のものである。また、従来例2の測定値402は、図9に示す従来例2の圧電素子のものであり、駆動電極としての上部電極511及び駆動電極としての上部電極512と、検出電極としての上部電極513との間のPZTの圧電膜516を削りこんだ離間配置の対策が施された場合のものである。本発明の測定値403は図1に示す本発明の圧電素子のものであり、安定した基準電極としての埋め込み電極4を駆動電極としての上部電極1及び駆動電極としての上部電極2と、検出電極としての下部電極3とで挟み込んだ場合のものである。尚、圧電素子の寸法は、いずれも厚み約100μm、幅90μm、長さ3mmであり、上部電極の幅は20μmである。駆動信号の検出電極への飛び込み量の測定に関しては、常温大気中において各振動子の駆動電極としての上部電極1、上部電極501、上部電極511と、基準電極としての埋め込み電極4、下部電極504、下部電極514との間に各々外部から振幅1Vの信号を0.1kHz〜100kHzまで可変させ入力し、検出電極としての下部電極3、上部電極503、上部電極513に、飛び込み発生する電流を帰還容量5pFのチャージアンプで構成された電流検出増幅回路102(図4(a))で電圧に変換して測定した。図7の横軸は入力した信号の周波数を示し、縦軸はチャージアンプで測定された電圧の入力信号に対するレベルを容量結合レベルとして示す。測定結果が示す通り、図8に示す従来例1の圧電素子の測定値401に対し図1及び図9の圧電素子は約40dB程度の容量結合レベル低減が確認できた。従って、本発明の圧電素子は、従来技術より感度が高く、駆動信号の検出電極への飛び込み量も大幅に低減できると言える。
以上、本発明に係る圧電素子を実施の形態、実施例を用いて説明したが、この発明は、これらの具体例にのみ限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更があっても本発明に含まれる。すなわち、当業者であれば、当然なしえるであろう各種変形、修正もまた本発明に含まれる。
本発明は、カメラの手振れ補正システム、ナビゲーションシステム、姿勢制御システム用のジャイロセンサを始とし、機器の振動衝撃検知や防犯システム用衝撃センサ等に利用することができる。
1、2、13、23、201、501、502、503、511、512、513、
521、522、523 上部電極
3、11、12、25、203、504、514、524 下部電極
4、14、21、22、24、204 埋め込み電極
6、7、16、17、26、27、28、206、207、506、516、526 圧電膜
9、19、29、509、519、529 基板
10 入出力パッド周辺部
101 自励発振回路
102 電流検出増幅回路
103 同期検波整流回路
104 基準電圧回路
105 出力端子
209 活性層(基板)
210 埋め込み酸化膜層
211 支持層
212 SOI基板
301、401 従来例1の測定値
302、402 従来例2の測定値
303、403 本発明の測定値
528 絶縁体

Claims (1)

  1. 基板、下部電極、圧電膜、上部電極を備え、前記圧電膜の成膜面に対し平行な方向及び垂直な方向の変位を駆動もしくは検出を可能とした圧電素子であって、前記圧電膜に少なくとも1層の埋め込み電極を設け、前記埋め込み電極の内の少なくとも1層を電気的に安定な電位である基準電位に接続した基準電極とし、前記圧電膜の成膜面に対し平行な方向の変位を駆動もしくは検出するための電極と前記圧電膜の成膜面に対し垂直な方向の変位を駆動もしくは検出するための電極によって前記基準電極を厚み方向に挟んだ構成としたことを特徴とする圧電素子。
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