JP2014526618A - 精紡機または撚糸機に用いる糸案内リング - Google Patents
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Abstract
【選択図】図2
Description
リング精紡機に供給される繊維ストランドは、練紡と呼ばれているものであり、通常は、弱い保護的な撚りがかけられているだけである。
この練紡をさらに撚って、いわゆる、糸を製造する。
この諸撚糸も、便利な形態で巻き取ることを想定している。
このような繊維ストランドを、以下、一律に糸と呼ぶ。
この能動的に駆動されるスピンドルは、本明細書では、糸を受け取るボビンを支持する。
さらに、巻取装置は、ボビンと同心に設けられた糸案内リングを含む。
本明細書では、糸案内リングは、リングトラベラのための走行面を含み、このリングトラベラに軸方向の上から供給される糸が架け渡され、それによって糸が方向を変えて略接線方向の配置でボビンに供給される。
この例では、リングトラベラは、糸によって走行面に沿ってボビンを中心にして環状に変位される。
本明細書では、リングトラベラは、スピンドルおよびスピンドルに非回転の態様で設けられたボビンよりも回転速度が低くなっている。
この速度差により、糸が巻き取られる。
「リングトラベラの動作方向に対して傾斜して設けられた溝」という表現は、溝がその長さの少なくとも一部において、リングトラベラの動作方向に対して平行でも垂直でもなく配置されていることを意味している。
この潤滑物は、たとえば、糸の繊維に付着した天然の蝋、繊維の摩耗くず、ならびに/または人工的に加えられた湿潤材および/もしくは潤滑剤を含んでいる。
したがって、走行面の幅方向のうち糸がリングトラベラに架け渡される領域に潤滑物が集中する従来の糸案内リングと異なり、潤滑膜を走行面のより幅広い領域に形成することができ、場合によっては走行面の幅方向全体に形成することができる。
このことは、糸が細く、解放される潤滑物が本来的に少ない場合に特にあてはまる。
テストの結果、従来の巻取装置に比べて、外部の潤滑物供給装置を用いることなく、糸案内リングとリングトラベラとの寿命を50%以上延ばせることがわかった。
本明細書では、深さとは、溝の走行面に対して垂直な方向の大きさを表す。
指示された最大値により、各巻取装置を作動させたときに、リザーバとして機能する溝に潤滑物がすばやく入り込み、それによってごく短い動作時間の後に潤滑効果が確実に生じる。
指示された最低値により、潤滑物が走行面の幅方向全体に分散することができる。なぜなら、溝の実用的な幅に対して、溝の横断面積を十分な大きさにすることができるからである。
また、これによって潤滑物が拭き取られないようにすることもできる。
本明細書では、長さとは、各溝の一方向での最大の大きさを表す。
指示された最大値を超えないことにより、リングトラベラをさらに円滑に走行させることができる。
特に、リングトラベラの高周波の振動を防止して、リングトラベラの寿命をさらに延ばすと共に、騒音レベルをさらに下げることができる。
指示された最低値により、走行面の幅方向全体で実用的な数の溝に潤滑物を分散させることができる。
本明細書では、幅とは、各溝の長さに対して垂直な方向の大きさとして説明される。
指示された最大値を超えないことにより、リングトラベラを特に円滑に走行させることができる。
詳細には、この態様でリングトラベラの高周波の振動を軽減して、リングトラベラの寿命を延ばすと共に、騒音レベルを下げることができる。
指示された最低値により、潤滑物は、走行面の幅方向全体に分散することができる。なぜなら、溝の実用的な深さに対して、溝の横断面積を十分な大きさにすることができるからである。
この動作方向に対する角度は、溝の長さが動作方向に平行な線に交差する角度(の小さいほう)の大きさを意味すると理解される。
この角度は、溝が湾曲し、したがって、角度が溝に沿って変化する場合は、平均の角度と理解され得る。
指示された最低値により、溝の長さと、溝の動作方向に垂直な方向での実際の広がりとの比率が好ましいものとなる。
これにより、走行面の幅にわたる潤滑物の均一な分散が促進される。
指示された最大値を超えないことにより、リングトラベラを特に円滑に走行させることができる。
詳細には、この態様でリングトラベラの高周波の振動をさらに軽減して、リングトラベラの寿命をさらに延ばすと共に、騒音レベルをさらに下げることができる。
溝の形状とは、長さ、幅、深さ、および角度の全体を意味すると理解される。
少なくとも2つの形状を提供することにより、リングトラベラを特に円滑に走行させることができる。
詳細には、この態様でリングトラベラの共振振動を軽減して、リングトラベラの寿命をさらに延ばすと共に、騒音レベルを下げることができる。
この態様で、糸から解放された潤滑物の少なくとも一部が下方に移動し、潤滑物の効果的な分散が促進される。
少なくとも2つの形状を第1グループで提供することにより、リングトラベラの走行をさらに改善することができる。
特に、リングトラベラの共振振動を防止して、リングトラベラの寿命をさらに延ばすと共に、騒音レベルをさらに下げることができる。
この態様で、糸から解放された潤滑物の少なくとも一部が上方に移動し、潤滑物の効果的な分散が促進される。
少なくとも2つの形状を第2グループで提供することにより、リングトラベラの走行をさらに改善することができる。
特に、リングトラベラの共振振動を防止して、リングトラベラの寿命をさらに延ばすと共に、騒音レベルをさらに下げることができる。
これにより、糸案内リングの製造が簡素化される。
これにより、リングトラベラの円滑な走行がさらに促進される。
これにより、垂直軸を中心とするリングトラベラの振動が特に軽減される。
これにより、リングトラベラの円滑な走行がさらに促進される。
詳細には、接線方向の軸を中心とするリングトラベラの振動が軽減される。
これにより、潤滑物の均一な分散をさらに促進することができる。
レーザーホーニング時に、レーザービームが金属の表面を溶かして部分的に蒸発させ、それによって所望の溝を生成する。
レーザーホーニングにより、きわめて細かい溝を高い精度で形成することができる。
追加の利点として、レーザーホーニングによって作り出される溶解した端部は、きわめて硬く、摩耗に強い。これにより、糸案内リングの耐用寿命がさらに延びる。
これにより、糸案内リングの走行面を特に平坦にすることができる。詳細には、レーザーホーニングで生じた溶解領域を平坦化し、リングトラベラの摩耗を減らすことができる。
それぞれの例で、原則を表す略図を用いる。
巻取装置1は、送られてくる糸FをボビンSに巻き付ける役割を果たす。
ボビンSは、スピンドルに対して同心に、且つ、回転方向で固定された態様で設けられている。スピンドルは、図示されておらず、垂直軸Aを中心に回転するように能動的に駆動される。
糸案内リング2も、同様に、同心に設けられている。
リングトラベラ3は、ボビンSを中心として動作方向BRで環状に移動できるように、糸案内リング2に設けられている。
本明細書では、糸案内リング2は、リングトラベラ3が滑走できる走行面4を備えている。
走行面4は、幅BLを有し、ボビンSに対向している。
本明細書では、リングトラベラ3は、糸Fにより、走行面4に沿ってボビンSを中心に環状に変位される。
本明細書では、リングトラベラ3は、スピンドルおよびスピンドルに非回転の態様で設けられたボビンSよりも回転速度が低くなっている。
この速度差により、糸FがボビンSに巻き付けられる。
本発明によると、走行面4は、リングトラベラ3の動作方向BRに対して傾斜して設けられた溝5、6、7、8を含んでいる。
本明細書では、溝5、6、7、8のいくつかは、走行面4の全体にわたり動作方向BRで相互に重複している。
溝5、6、7、8の少なくともいくつかは、動作方向BRに垂直な方向でも相互に重複している。
したがって、走行面4の幅方向のうち糸Fがリングトラベラ3に架け渡される領域に潤滑物が集中する従来の糸案内リング2とは、対照的に、走行面4の幅BLの全体に効果的な潤滑膜を形成することができる。
このことは、糸Fが細く、解放される潤滑油が本来的に少ない場合に特にあてはまる。
テストの結果、このような外部の潤滑物適用装置を用いない態様で、従来の巻取装置1に比べて、糸案内リング2とリングトラベラ3との耐用年数を50%以上延ばせることがわかった。
第2の溝6は、各溝の一方向での最大の大きさを表す長さLを有している。
さらに、第2の溝6は、長さLに対して垂直に延在する幅Bを有している。
さらに、第2の溝6は、動作方向BRに対する角度Nを有している。この角度は、第2の溝6の長さLが動作方向BRに平行な線と交差する角度(の小さいほう)の大きさと理解される。
第2の溝6の形状のさらなるパラメータは、溝の深さであり、図3の図面に対して垂直に延在する。
2 ・・・糸案内リング(回転リング、撚糸リング)
3 ・・・リングトラベラ
4 ・・・走行面
5 ・・・第1グループの第1の溝
6 ・・・第1グループの第2の溝
7 ・・・第2グループの第1の溝
B ・・・第2グループの第2の溝
S ・・・ボビン
F ・・・糸
A ・・・軸
BR ・・・動作方向
BL ・・・走行面の幅
B ・・・溝の幅
L ・・・溝の長さ
N ・・・溝の角度
Claims (20)
- 糸(F)をボビン(S)に巻き付けるときに前記糸(F)の方向を変えるリングトラベラ(3)のための走行面(4)を含み、前記リングトラベラ(3)が前記糸(F)によって走行面(4)に沿って変位される、リング精紡機または撚糸機に用いられる糸案内リングであって、
前記走行面(4)が、前記リングトラベラ(3)の動作方向(BR)に対して傾斜して設けられた溝(5、6、7、8)を含んでいることを特徴とする糸案内リング。 - 前記溝(5、6、7、8)の少なくとも一部の深さが、25μm以下、好ましくは15μm以下、特に好ましくは10μm以下であることを特徴とする請求項1に記載の糸案内リング。
- 前記溝(5、6、7、8)の少なくとも一部の深さが、少なくとも0.5μm、好ましくは少なくとも0.7μm、特に好ましくは少なくとも1.0μmであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の糸案内リング。
- 前記溝(5、6、7、8)の少なくとも一部の長さが、3000μm以下、好ましくは2000以下μm、特に好ましくは1000μm以下であることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかひとつに記載の糸案内リング。
- 前記溝(5、6、7、8)の少なくとも一部の長さが、少なくとも10μm、好ましくは少なくとも15μm、特に好ましくは少なくとも20μmであることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかひとつに記載の糸案内リング。
- 前記溝(5、6、7、8)の少なくとも一部の幅(B)が、500μm以下、好ましくは100以下μm、特に好ましくは60μm以下であることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかひとつに記載の糸案内リング。
- 前記溝(5、6、7、8)の少なくとも一部の幅が、少なくとも5μm、好ましくは少なくとも10μm、特に好ましくは少なくとも15μmであることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれかひとつに記載の糸案内リング。
- 前記溝(5、6、7、8)の少なくとも一部の動作方向(BR)に対する角度が、少なくとも5°、好ましくは少なくとも10°、特に好ましくは少なくとも20°であることを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれかひとつに記載の糸案内リング。
- 前記溝(5、6、7、8)の少なくとも一部の動作方向(BR)に対する角度が、85°以下、好ましくは80°以下、特に好ましくは70°以下であることを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれかひとつに記載の糸案内リング。
- 前記溝(5、6、7、8)が、異なる形状で設けられていることを特徴とする請求項1乃至請求項9のいずれかひとつに記載の糸案内リング。
- 前記溝(5、6、7、8)の第1グループの溝(5、6)が、前記動作方向(BR)で上から下に向かって伸びるように傾斜していることを特徴とする請求項1乃至請求項10のいずれかひとつに記載の糸案内リング。
- 前記第1グループが、第1の形状(B、L、N)を有する第1の溝(5)と、異なる第2の形状(B、L、N)を有する第2の溝(6)とを少なくとも含んでいることを特徴とする請求項11に記載の糸案内リング。
- 前記溝(5、6、7、8)の第2グループの溝(7、8)が、前記動作方向(BR)の反対方向で上から下に向かって伸びるように傾斜していることを特徴とする請求項1乃至請求項12のいずれかひとつに記載の糸案内リング。
- 前記第2グループの溝(7、8)が、第1の形状(B、L、N)を有する第1の溝(7)と、異なる第2の形状(B、L、N)を有する第2の溝(8)とを少なくとも含んでいることを特徴とする請求項13に記載の糸案内リング。
- 前記溝(5、6、7、8)の少なくとも一部が、略直線で伸びていることを特徴とする請求項1乃至請求項14のいずれかひとつに記載の糸案内リング。
- 前記溝(5、6、7、8)の少なくともいくつかが、前記走行面(4)の全体にわたり動作方向(BR)で相互に重複していることを特徴とする請求項1乃至請求項15のいずれかひとつに記載の糸案内リング。
- 前記溝(5、6、7、8)の少なくともいくつかが、前記走行面(4)の幅(BL)の大部分で、前記動作方向(BR)に垂直な方向で相互に重複していることを特徴とする請求項1乃至請求項16のいずれかひとつに記載の糸案内リング。
- 前記溝(5、6、7、8)の少なくともいくつかが、相互に交差していることを特徴とする請求項1乃至請求項17のいずれかひとつに記載の糸案内リング。
- 前記溝(5、6、7、8)が、前記走行面(4)のレーザーホーニングにより形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項18のいずれかひとつに記載の糸案内リング。
- 前記走行面(4)が、前記レーザーホーニングの後に精密研磨により平坦化されていることを特徴とする請求項19に記載の糸案内リング。
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