JP6027998B2 - リング式紡機の液潤滑の無いリング/トラベラ系 - Google Patents

リング式紡機の液潤滑の無いリング/トラベラ系 Download PDF

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Description

本発明は、リング式紡機の液潤滑の無いリング/トラベラ系に関する。
リング精紡機用のリング/トラベラ系において、摩擦摩耗や焼き付きなどによる性能低下を抑制することによって高速化や寿命延長を達成するため、材質変更、表面処理、形状変更、潤滑液の使用等の種々の技術が提案されている。このうち、潤滑液を使用する方策は、比較的低コストで効果もあるが、オイルによって通過する糸が汚れたり、メンテナンスに手間がかかったりする等の問題があり、毛紡などの比較的限られた用途にのみ用いられている。
液潤滑を用いずに、従来品に比べて摩擦低減効果が向上し、かつ摩擦低減効果を長く持続することができるリング式紡機のリング/トラベラ系が提案されている(特許文献1及び特許文献2参照)。特許文献1に記載のリング式紡機のリング/トラベラ系は、非液潤滑で、トラベラの滑走時におけるトラベラとリングとの摺動面に、0.1〜20μmの深さの凹部と、1〜250μmの幅の平面部と、が交互に形成されている。ここで、「リング式紡機」とは、リングレールに支持されて昇降するリング上を摺動するトラベラを介して糸の巻き取りを行うリング精紡機、リング撚糸機等の紡機を意味する。また、「凹部」とは、溝及び周囲が平面で囲まれた窪みを意味する。凹部の存在により、トラベラの摺動時に周囲の空気によるくさび効果が生じて摩擦低減効果が得られるとともに、摺動は平面部で行われるため凹部が摩滅することはないとしている。
また、凹部は円形で直径5〜50μm、深さ1〜10μmの窪みであり、隣り合う窪み間の距離が10〜100μmであることが好ましいとしている。凹部が円形の窪みで直径、深さ及び隣り合う窪み間の距離が前記の範囲の場合、くさび効果及びトラベラとリングとの摺動界面から摩耗粉やその他異物を排出する効果により摩擦低減効果が良好に得られるとしている。
特許文献2に記載のリング式紡機のリング/トラベラ系は、非液潤滑で、トラベラの滑走時における前記トラベラとリングとの摺動面に、400個/cm以上の凹部を有する。リング/トラベラ系の摺動面に、400個/cm以上存在する凹部に繊維薄膜が入り込むことで薄膜の付着力が向上し、繊維薄膜の剥離が防止されて繊維薄膜の潤滑による摩擦低減効果によって、トラベラの滑走抵抗が低減された状態に維持されるとしている。
特開2014−29045号公報 特開2014−29046号公報
特許文献1では、トラベラの滑走距離が9000kmまでの滑走距離と滑走抵抗の関係が開示されており、市販品に比べて滑走抵抗が小さく摩擦低減効果が持続されていた。しかし、特許文献1の構成のトラベラを使用して、リング精紡機において滑走距離を17000kmまで延ばして紡出を行うと、滑走抵抗は高くなり、交換が必要になった。
また、特許文献2では、400個/cm以上の凹部として硬質クロムメッキ層の表面に形成されたマイクロクラックを利用することが開示されているが、マイクロクラックを形成することで硬質クロムメッキ層の耐久性に悪影響を与えるおそれがある。また、400個/cm以上の凹部として溝や窪みをリング又はトラベラの表面に加工することも特許文献2に開示されているが、溝又は窪みを400個/cm以上とするためには、加工が可能な溝又は窪みの大きさを考慮すると、溝又は窪みが形成されない平面部の面積が極めて狭くなってしまい、溝又は窪みが早期に摩滅して摩擦低減効果を持続させることができない。
本発明は、前記の問題に鑑みてなされたものであって、その目的は、液潤滑を用いずに、従来品に比べて摩擦低減効果を長く持続することができるリング式紡機のリング/トラベラ系を提供することにある。
上記課題を解決するリング式紡機の液潤滑の無いリング/トラベラ系は、トラベラの滑走時における前記トラベラとリングとの摺動面に、深さが0.5〜8μmで、径が5〜30μmの円形の窪みが、面積率が5〜16%となる範囲で形成されている。ここで、「円形」とは、真円に限らず、楕円率が0.8以上の楕円であってもよい。また、「面積率」とは、トラベラとリングとの摺動面全体の面積に対する窪み全体の面積の割合を百分率で表した値である。
この発明では、トラベラとリングとの摺動面の表面テクスチャにより、トラベラの摺動時に糸成分由来の炭素が摺動面全体に薄く付着物として形成される。そして、摺動面全体に付着物が薄く形成された後は、この付着物が潤滑膜として作用し、リングとトラベラとの金属同士の固体接触が防止され、トラベラの摩耗が低減する。したがって、液潤滑を用いずに、従来品に比べて摩擦低減効果を長く持続することができる。
前記窪みの径は8〜25μmであることが好ましい。窪みの径が小さすぎても、大きすぎても、面積率との関係で潤滑膜として作用する付着物が薄く均一に付着し難くなり、摩擦低減効果が長く持続し難くなる。そのため、窪みの径は8〜25μmであることが好ましい。
前記窪みは深さが1〜5μmであることが好ましい。トラベラの摺動によってトラベラとリングとの摺動面に潤滑膜として作用する付着物が初期から付着するために、窪みの深さが1〜5μmであると摩擦低減効果が良好に得られる。
本発明によれば、液潤滑を用いずに、従来品に比べて摩擦低減効果を長く持続することができる。
(a)は実施形態のリングの斜視図、(b)は部分拡大斜視図、(c)は紡出中のトラベラとリングとの関係を示す模式断面図。 (a)は凹部を示す模式平面図、(b)は模式断面図。 (a)は実施形態の作用を示す模式図、(b)は従来品の作用を示す模式図。 滑走抵抗と滑走距離との関係を示すグラフ。 (a)は実施形態におけるリング表面の付着物の付着状態を示す模式図、(b)は窪みのないリング表面の付着物の付着状態を示す模式図。 (a)は実施形態におけるリング表面の付着物の付着状態を示す模式断面図、(b)は窪みのないリング表面の付着物の付着状態を示す模式断面図。 面積率と摩耗レベルの関係を示す図。 (a)は実施形態のリングを使用した場合のトラベラの摩耗状態を示す模式図、(b)は比較例のリングを使用した場合のトラベラの摩耗状態を示す模式図。
以下、本発明をリング精紡機のリング/トラベラ系に具体化した一実施形態を図1〜図8にしたがって説明する。
図1(a)〜(c)に示すように、リング/トラベラ系を構成するリング11は、断面形状がT型のフランジ11aを有し、トラベラ12はC型断面形状に形成されている。リング11はベアリング鋼で形成され、図1(b),(c)に示すように、フランジ11aの表面にメッキ層13が形成されている。メッキ層13はクロムメッキで、厚さが10〜20μm程度に形成されている。
メッキ層13には、トラベラ12の滑走時におけるトラベラ12とリング11との摺動面に、この実施形態では図1(c)に示すようにフランジ11aの内周面に、周期構造(表面テクスチャ)14が形成されている。周期構造14は、図2(a),(b)に示すように、円形の窪み15が所定間隔で形成されることによって構成されている。窪み15は、深さが0.5〜8μm、好ましくは1〜5μm、より好ましくは2〜4μmで、径が5〜30μm、好ましくは8〜25μm、より好ましくは10〜20μmで、面積率が5〜16%となるように形成されている。面積率とは、トラベラ12とリング11との摺動面全体の面積に対する窪み15全体の面積の割合を百分率で表した値である。
窪み15は、例えば、フェムト秒パルスレーザや高出力ナノパルスレーザをリング11の窪み15を形成すべき箇所に照射することにより形成される。
次に前記のように構成されたリング/トラベラ系の作用を説明する。図示しないドラフトパートから送出された糸Yは、図1(c)に示すように、トラベラ12を経て高速回転されるボビン(図示せず)に巻き取られる。リング精紡機の通常紡出運転時のスピンドルの最高回転速度は25000rpm程度であり、トラベラ12は糸Yの巻取り張力によりフランジ11a上を滑走する。トラベラ12の滑走姿勢は回転速度により若干異なるが、図1(c)に示すように、フランジ11aの内側下部に当接した状態で滑走する。
この実施形態のリング/トラベラ系は、トラベラ12の滑走時におけるリング11とトラベラ12との摺動面に、窪み15が所定の条件を満たす状態で形成された周期構造14を有する。そのため、トラベラ12の摺動時に、窪み15により糸成分の付着物が形成されるためトラベラ12の滑走抵抗が小さくなる。
また、窪み15は、面積率が5〜16%であるという要件を満たして形成されているため、リング11の表面テクスチャにより、摺動時に糸成分由来の炭素が、図3(a)に示すように、摺動面全体に薄く付着物16として形成される。そして、摺動面全体に付着物16が薄く形成された後は、この付着物16が潤滑膜として作用し、リング11とトラベラ12の金属同士の固体接触が防止され、トラベラ12の摩耗が低減する。その結果、摩擦低減効果が長く持続されてトラベラ12が摩耗し難くなる。なお、図3(a)及び図3(b)では、トラベラ12のリング11との摺動面の凹凸を誇張して図示している。
一方、リング11のトラベラ12との摺動面に窪み15が形成されても、窪み15が、深さが0.5〜8μmで、径が5〜30μmで、面積率が5〜16%であるという要件を満たしていない場合は、図3(b)に示すように、摺動面の一部にのみ付着物16が形成され、付着物16の厚さが厚くなる。付着物が形成されていないところでは、トラベラとの金属接触が生じ摩擦が高くなり、トラベラの摩耗が進む。その結果、糸成分由来の炭素が摺動面全体に薄く付着物16として形成された場合に比べて、摩擦低減効果は長く持続しない。
ベアリング鋼製でフランジ11aの表面にCrメッキが被覆されたリング11のトラベラ12との摺動面に周期構造(表面テクスチャ)14を形成した。
リング11への表面テクスチャの形成には、例えば、高出力ナノパルスレーザ(スペクトラ・フィジックス製HIPPO 355-5W、レーザで波長335nm)を用いた。レーザ照射条件としては、パルスエネルギー:86uJ、パルス時間:12nsとし、大気中にてリングを治具に固定し、回転速度:50°/secで25回周回させた。レーザ照射によって形成された表面テクスチャの穴径は20μm、深さ2μmで、リング周方向に70μm間隔で、軸方向に60μm間隔で表面テクスチャを形成させた。リング1個の処理時間は約160秒であった。これ以外にもレーザ照射条件を変更し、各種テクスチャを形成した条件の一例を表1に示す。なお、1cm当たりの穴の個数は111〜125個である。
表1において、試料1が特許文献1の発明品で、本願発明の従来品となる。試料2〜試料4が本願発明品となる。
表面テクスチャを形成したリング11(以下、表面テクスチャ品と記載する場合もある。)を使用したリング/トラベラ系と、比較例として表面テクスチャを形成しない市販品のリングを使用したリング/トラベラ系とを構成した。そして、滑走距離25000kmとなるまで紡出試験を行い、滑走抵抗と滑走距離との関係を調べた。紡出は、トラベラ12の滑走距離が1400kmまでは15000〜21000rpmで段階的に回転数を上げて慣らし運転で紡出し、滑走距離1600km以降において高速回転(22000rpm)で紡出を行った。滑走抵抗は、リング11を回転可能に支持し、トラベラ12により、リング11に与えられる連れ回り力をロードセルで計測して求めた。
図4に、滑走抵抗と滑走距離との関係の結果を示す。図4から、慣らし運転後の高速回転の紡出時には、市販品のリングを使用した場合に比べて、表面テクスチャ(周期構造14)を有するリング11ではいずれも滑走抵抗が小さくなり、表面テクスチャの効果が確認された。また、表面テクスチャを有するリング11であっても、面積率が5〜16%という本発明の構成要件を満たさない試料1(従来品)では、滑走距離が17000kmになると滑走抵抗が18[ gf] 〜19[ gf] まで大きくなった。一方、本発明品の試料2〜試料4では、滑走距離が17000kmを越えても、滑走抵抗は殆ど変化しない。即ち、表面テクスチャの要件が従来品と異なる本発明品は、従来品に比べて摩擦低減効果を長く持続することができることが確認された。
紡出をトラベラ12の滑走距離25000kmまで行い、滑走距離25000km時点で、トラベラ摩耗を評価した。また、紡出後の表面テクスチャ品及び市販品のリングの摺動面の表面と、表面付近の断面を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察した。また、摺動面の表面の炭素を電子線マイクロアナライザ(EPMA)で分析した。
図5(a),(b)にEPMAの分析結果を模式図として示す。図5(a)は、本発明品の表面テクスチャ品の摺動面の分析結果を示し、図5(b)は、表面テクスチャが形成されていないリングの摺動面の分析結果を示す。なお、図5(a),(b)において、ドットの存在する部分が付着物16が付着した箇所を示し、単位面積当たりのドットの数が多い方が付着物16の厚さが厚いことを示す。
図5(a)に示すように、表面テクスチャ品の摺動面では、摺動面全体に炭素の付着物16が薄い状態で検出され、窪み(穴)15の部分では厚く(高濃度で)検出された。一方、図5(b)に示すように、表面テクスチャが形成されていないリングの摺動面では、摺動面の一部に付着物16が付着し、付着物16の厚さは、本願発明品の付着物16より厚く付着した部分が多かった。この付着物16は、トラベラ12と糸Yとの摺動時に生成した糸Yの摩耗粉が、トラベラ12とリング11との摺動面に入り込むことで形成されたものと考えられる。
糸の主成分は、セルロースであることから、その有機成分由来の蛍光成分がEPMAで分析されたと考えられる。これらの付着物についてラマン分析した結果、表面テクスチャ品の付着物では、窪み15よりも光沢面(摺動面)の方にアモルファスカーボン成分由来のスペクトルが検出されていた。前述したセルロース由来成分以外にもこれらも潤滑性に寄与し、摩耗低減していると考えられる。
リングの摺動面の表面付近の断面を模式的に示すと、図6(a)に示すように、表面テクスチャ品の摺動面に形成された付着物16の厚さに比べて、図6(b)に示すように、表面テクスチャが形成されていない摺動面での付着物16の厚さが厚い。具体的には、表面テクスチャ品の摺動面に形成された付着物16の厚さが、サブミクロン程度、即ち1μm未満であるのに対して、表面テクスチャが形成されていない摺動面での付着物16の厚さは、例えば、2μm程度と厚かった。
表面テクスチャ品上を摺動したトラベラ12の摩耗を評価した。トラベラの摩耗評価は、紡出試験後に残存する最小の厚みとし、摩耗レベルを以下のように定義した。摩耗レベル1は、トラベラの初期厚みを基準とし、トラベラが摩耗していない場合とした。摩耗レベル2は、トラベラの初期厚みの半分以上の厚みとし、摩耗レベル3は、トラベラの初期厚みの半分未満とした。さらに摩耗が進行している段階で、4〜5と設定し、この段階になると糸の紡出性能が低下し、トラベラ交換が必要となる。
その結果を図7に示す。なお、比較材としては、テクスチャを形成していない未処理品とした。未処理品は、摩耗レベルがほぼ4となるのに対して、表面テクスチャ品上を摺動したトラベラは、最も良い摩耗レベルでは1.5〜2と摩耗の少ない結果が得られた。表面テクスチャが形成されていても、面積率が2%の場合、即ち、面積率が5〜16%の要件を満たしていない場合は、摩耗レベルは3となった。また、図示しないが、表面テクスチャ品では窪み15の径が30μmを超えると、摩耗レベルは3以上となる。したがって、穴径は8〜30μmが好ましい。また、面積率も重要であり、5〜16%が好ましい。
トラベラ12の摩耗状態を観察したところ、比較例の試料1のリングを使用した場合は、図8(a)に示すように、リングとの摺動面となる部分に摩耗部20が形成されていた。しかし、図8(b)に示すように、実施例の試料2〜試料4のリング11を使用した場合は、形成された摩耗部20’は、試料1のリングを使用した場合の摩耗部20に比べて減少していた。
この実施形態によれば、以下に示す効果を得ることができる。
(1)リング式紡機(リング精紡機)のリング/トラベラ系は、トラベラ12の滑走時におけるトラベラ12とリング11との摺動面に、0.5〜8μmの深さで、径が5〜30μmの円形の窪み15が、面積率が5〜16%となる範囲で形成されている。そのため、トラベラ12の摺動時に、窪み15により糸成分由来の炭素が摺動面全体に薄く付着物16として形成され、その後は、この付着物16が潤滑膜として作用し、リング11とトラベラ12の金属同士の固体接触が防止され、トラベラ12の摩耗が低減する。また、上記した径と面積率によれば、窪み15の間に十分な大きさの平面部分(窪み15が形成されない部分)を確保することができる。したがって、液潤滑を用いずに、従来品に比べて摩擦低減効果を長く持続することができる。
(2)窪み15の径は8〜25μmであってもよい。窪み15の径が小さすぎても、大きすぎても、面積率との関係で潤滑膜として作用する付着物16が薄く均一に付着し難くなり、摩擦低減効果が長く持続し難くなる。しかし、窪み15の径が8〜25μmであれば、潤滑膜として作用する付着物16が薄く均一に付着し易くなり、摩擦低減効果が長く持続し易くなる。また、窪み15の径が10〜20μmであれば、摩擦低減効果がより長く持続し易くなる。
(3)窪み15は深さが1〜5μmであってもよい。窪み15の深さが1〜5μmであると摩擦低減効果が良好に得られる。また、窪み15の深さが2〜4μmであれば、摩擦低減効果がより長く持続し易くなる。
実施形態は前記に限定されるものではなく、例えば、次のように具体化してもよい。
○ 窪み15は、異なる大きさの窪み15が混在していてもよい。
○ 窪み15は、異なる深さの窪み15が混在していてもよい。
○ 窪み15は、異なる大きさの窪み15と、異なる深さの窪み15が混在していてもよい。
○ 周期構造14は、窪み15が千鳥状や格子状に一定間隔で摺動面全体に配置された構成に限らず、部分的に異なる配列状態で配置されたり、ランダムに配置されたりしてもよい。
○ フランジ11aにメッキ層13を形成せずに、周期構造14を形成してもよい。しかし、リング11の材質が現在、市販品で使用されている材質の場合は、メッキ層13を形成した方が好ましい。
○ リング/トラベラ系を構成するリング11は、フランジ11aが断面T型状に限らない。例えば、傾斜型のフランジ11aを有するリング11に適用してもよい。この場合、トラベラ12も傾斜フランジに対応する形状のものを使用する。
○ 周期構造14の形成方法は、フェムト秒パルスレーザや高出力ピコ秒パルスレーザ又はナノ秒パルスレーザ等の極短パルスレーザを、周期構造14を形成すべき位置に照射する方法に限らず、他の周知の周期構造形成方法を適用してもよい。
○ 周期構造14は、リング/トラベラ系のリング11に形成される代わりに、トラベラ12に形成されてもよい。しかし、トラベラ12に設けた場合は、リング11に設けた場合に比べて、周期構造14の面積が大幅に小さくなるため、リング11に設ける方が好ましい。
○ 紡出する糸は綿に限らず、例えば、麻、シルク、ウール、化学繊維(ニトロセルロース、ナイロン、ビニロン)であってもよく、その中でも、綿や麻が最も摩耗粉を排出し、リングとトラベラとの摺動面に付着物16を形成することから好ましい。
以下の技術的思想(発明)は前記実施形態から把握できる。
(1)リング式紡機のリングであって、トラベラの滑走時における前記トラベラとの接触面に、0.5〜8μmの深さで、径が5〜30μmの円形の窪みが、面積率が5〜16%となる範囲で形成されている周期構造を有するリング。
11…リング、12…トラベラ、15…窪み。

Claims (3)

  1. リング式紡機の液潤滑の無いリング/トラベラ系において、トラベラの滑走時における前記トラベラとリングとの摺動面に、0.5〜8μmの深さで、径が5〜30μmの円形の窪みが、面積率が5〜16%となる範囲で形成されていることを特徴とするリング式紡機の液潤滑の無いリング/トラベラ系。
  2. 前記窪みの径は8〜25μmである請求項1に記載のリング式紡機の液潤滑の無いリング/トラベラ系。
  3. 前記窪みは深さが1〜5μmである請求項1又は請求項2に記載のリング式紡機の液潤滑の無いリング/トラベラ系。
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